説明

液面検出装置

【課題】 超音波発振素子から反射板までの伝播経路の構成に工夫を凝らし、反射板に入射する超音波発振素子からの超音波の音圧レベルを高めて、高精度な液面検出が可能な液面検出装置を提供する。
【解決手段】 ガイドパイプ4を金属材料から形成し、その横断面形状を円形とし、横断面の直径寸法を、超音波センサ3から遠ざかるに連れて小さくなるように形成した。つまり、ガイドパイプ4は、超音波の伝播経路が超音波センサ3から反射板6に向かって先細り状に形成されている。これにより、反射板6に入射する超音波の音圧レベルを従来の液面検出装置における値よりも高めることができる。したがって、超音波センサ3から発射された超音波のエネルギを高効率で液面検出に利用できるので、高精度な液面検出が可能な燃料液面検出装置1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内の液体の液面位置を検出するための液面検出装置に関するものであり、たとえば自動車に装備される燃料タンク内の燃料液面を検出する用途に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク内の液体の液面レベルを検出する液面検出装置としては、たとえば、燃料中に配置された超音波発振素子と、燃料中に配置され超音波発振素子からの超音波を液面に向けて反射する反射板とを備え、液面で反射した超音波を反射板を介して超音波発振素子により受信して液面レベルを算出するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した液面検出装置においては、正方形の横断面を有する筒体が燃料タンク内部の底面に固定され、筒体の一端側には、超音波発振素子が筒体の他端側に向けて超音波を発射可能に取り付けられるとともに、筒体の他端側には、筒体内を進行してきた超音波を液面に向けて反射する反射板が設けられている。この筒体は、液面検出装置において超音波伝播経路を形成している。
【特許文献1】特開平11−153471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の液面検出装置では、筒体は、その横断面が正方形であるとともに、筒体の軸方向において横断面形状が一様であるように形成されている。つまり、筒体を構成する4つの壁面において、対向する2つの壁面は互いに平行な関係にある。
【0005】
超音波は、筒体内を筒体の各壁面にて反射を繰り返しながら進行するが、超音波が壁面で反射する度に一部が壁面を透過する等するために、超音波のエネルギがだんだん減少していく。
【0006】
上述した従来の液面検出装置における筒体、すなわち、その軸方向のほぼ全域において横断面形状が一様である筒体においては、反射板に入射する超音波の強さ、すなわち筒体の横断面における単位面積当たりの超音波の音圧レベルが、超音波発振素子の近傍における超音波の音圧レベルよりも低下してしまう。
【0007】
このため、反射板で反射して液面に向かう超音波の音圧レベルが低下し、それに伴って液面で反射する超音波の音圧レベルも低下して、精度の高い液面検出が困難になるという問題がある
本発明は、上記のような点に鑑みなされたものであり、その目的は、超音波発振素子から反射板までの伝播経路の構成に工夫を凝らし、反射板に入射する超音波発振素子からの超音波の音圧レベルを高めて、高精度な液面検出が可能な液面検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
本発明の請求項1に記載の液面検出装置では、液体を貯蔵するタンク内の底部に配置される超音波発振素子と、超音波発振素子が発射した超音波をタンク内の液体の液面に向けて反射する反射壁と、超音波発振素子および反射壁間の超音波伝播経路を形成する筒状の第1経路部材と、反射壁から液面間の超音波伝播経路を形成する筒状の第2経路部材とを備え、超音波発振素子から超音波を発射するとともにその液面からの反射波を反射壁を介して超音波発振素子により受信して液面位置を検出する液面検出装置であって、第1経路部材は、その軸線と直交する方向における断面積が超音波発振素子から遠ざかるに連れて小さくなるように形成された構成としている。
【0010】
液面検出装置において、超音波発振素子から発射された超音波のエネルギは、第1経路部材内を進行する間に壁面における反射等のために徐々に減衰していく。
【0011】
従来の液面検出装置の筒体は、その軸方向のほぼ全域において横断面形状が一様である。そのため、超音波の強さの指標である音圧レベル、つまり筒体の横断面における単位面積当たりの超音波の作用により生じる圧力レベルは、超音波発振素子から遠ざかるにつれて低下し、筒体の超音波発振素子と反対側端部である反射板付近においてはかなり低下してしまう。
【0012】
これに対して、本発明の請求項1に記載の液面検出装置では、第1経路部材はその横断面の断面積が超音波発振素子から遠ざかるに連れて小さくなるように形成されている。言い換えると、第1経路部材は超音波の伝播経路が超音波発振素子から反射壁に向かって先細り状に形成されている。
【0013】
このため、超音波発振素子から発射された超音波が第1経路部材内を進行中の超音波のエネルギ減衰度合いを従来の液面検出装置の筒体の場合と比べて小さくすることができる。したがって、反射壁に入射する超音波の音圧レベルを、従来の液面検出装置の場合よりも高めることができる。
【0014】
これにより、反射壁に入射する超音波発振素子からの超音波の音圧レベルの低下を抑制して、高精度な液面検出が可能な液面検出装置を提供することができる。
【0015】
本発明の請求項2に記載の液面検出装置では、前記第1経路部材は、その軸線と直交する方向における断面形状が円形に形成され、第2経路部材は、その軸線と直交する方向における断面形状が円形に形成される構成としている。
【0016】
一般に、超音波発振素子から発射される超音波は、超音波発振素子を頂点として円錐状に伝播していく。
【0017】
このため、従来の液面検出装置では、超音波の伝播経路である筒体の横断面形状が正方形であるため、その四隅部において超音波の干渉により超音波エネルギ減少が生じている。
【0018】
一方、本発明の請求項2に記載の液面検出装置では、第1経路部材の横断面を円形としているので、上述の従来の液面検出装置における超音波の干渉によるエネルギ損失をなくすことができる。したがって、反射壁に入射する超音波の音圧レベルを、従来の液面検出装置の場合よりも高めることができる。
【0019】
さらに、本発明の請求項2に記載の液面検出装置では、反射壁から液面間の超音波伝播経路を形成する筒状の第2経路部材についてもその横断面形状を円形にしている。
【0020】
これにより、反射壁・液面間においても、超音波の伝播中の超音波エネルギ損失を抑制することができる。
【0021】
本発明の請求項3に記載の液面検出装置では、第1経路部材の反射壁側端部における直径寸法が、第2経路部材の反射壁側端部における直径寸法とほぼ等しく設定された構成としている。
【0022】
一般に、超音波が筒状の経路内の液体中を進行する場合、経路の断面積が急変(拡大あるいは縮小)する箇所があると、そこで超音波のエネルギ損失が生じる。
【0023】
液面検出装置においては、超音波発振素子からの超音波が第1経路部材中から反射壁を介して第2経路部材中へ伝播する、あるいは液面での反射波が第2経路部材中から反射壁を介して第1経路部材中へ伝播する。
【0024】
ここで、本発明の請求項3に記載の液面検出装置においては、第1経路部材の反射壁側端部における直径寸法が、第2経路部材の反射壁側端部における直径寸法とほぼ等しく設定されているので、第1経路部材と第2経路部材の接続部において超音波の伝播経路の断面積が変化しない。
【0025】
これにより、第1経路部材と第2経路部材の接続部において超音波のエネルギ損失が生じることを防止できる。
【0026】
本発明の請求項4に記載の液面検出装置では、第2経路部材は、その直径寸法が全長に亘りほぼ一様に形成される構成としている。
【0027】
この場合、第2経路部材は、直径寸法が一様のいわゆる円管状となっている。これにより第2経路部材の加工形成が容易に行えるので、液面検出装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0028】
本発明の請求項5に記載の液面検出装置では、第1経路部材および第2経路部材を金属材料から形成した構成としている。
【0029】
金属材料は、超音波に対する反射率が高い、言い換えると超音波が透過し難いので、第1経路部材および第2経路部材を金属材料から形成すれば、超音波が第1経路部材および第2経路部材内を進行する途中における超音波のエネルギ損失を最小限度に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態による液面検出装置を、自動車の燃料タンク内の燃料液面位置を検出するための燃料液面検出装置1に適用した場合を例に図に基づいて説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1において、液体である燃料8を貯蔵するタンクとしての燃料タンク2の部分断面図である。図1において、図の上下方向が自動車の上下方向である。
【0032】
図2は、図1中のII−II線断面図である。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における電気回路構成を説明する模式図である。
【0034】
図4は、図1中のIV矢視図である。
【0035】
燃料液面検出装置1は、図1に示すように、タンクである燃料タンク2、超音波発振素子である超音波センサ3、第1経路部材であるガイドパイプ4、反射壁である反射板6、および第2経路部材であるガイドパイプ5から構成されている。そして、超音波センサ3、ガイドパイプ4、反射板6、およびガイドパイプ5は、ボディ7に一体的に収容保持されるとともに、ボディ7を介して、図1に示すように、燃料タンク2の底面21に取り付けられている。
【0036】
以下に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の構成について説明する。
【0037】
超音波発振素子である超音波センサ3は、図1に示すように、後述するガイドパイプ4の一端側に超音波を発射する発振面31をガイドパイプ4内に対向させて配置されている。すなわち、超音波センサ3は、図1に示すように、ブラケット15に固定され、このブラケット15がボディ7に装着されている。
【0038】
超音波センサ3は、ピエゾ効果(電圧が印加されると体積が変化する一方、外部から力を受けると電圧を発生する特性)を有する物質、たとえばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)から形成されている。超音波センサ3は、図1に示すように、外部の電気回路に接続するためのリード線14を備えており、リード線14は、ブラケット15外へ延出され、さらに燃料タンク2の外へ気密的に引き出されている。また、超音波センサ3の発振面31は円形に形成されている。
【0039】
ブラケット15は、樹脂、あるいは金属から略有底円筒状に形成され、その底部15bに、超音波センサ3がたとえば接着等により固定されている。また、ブラケット15の開口端側(図1の右側)には、図1に示すように、プラグ13が接着あるいは圧入等により固定されている。プラグ13は、リード線14が挿通されてそれを保持するとともに、ブラケット15内への異物の侵入を防止している。また、ブラケット15は、ガイドパイプ4の一端側(図1において右側)に、超音波センサ3の発振面31をガイドパイプ4の他端(図1において左側)に向けて、すなわち、超音波センサ3が発射する超音波が、ガイドパイプ4内を他端側(図1において左側)に向けて伝播するようにして固定されている。リード線14を介して超音波センサ3にパルス状電圧が印加されると、発振面31が振動し、発振面31の振動がブラケット15の底部15bへ伝わり、さらにブラケット15の外側の表面15aから燃料8中に超音波が発射される。一方、この超音波が、液面81あるいは段部41で反射し、それらの反射波がブラケット15の表面15aを介して発振面31に到達し、その圧力作用により発振面31が振動すると超音波センサ3は電圧を発生し、それが出力信号としてリード線14を介して外部に出力される。
【0040】
超音波センサ3および後述する反射壁である反射板6間の超音波伝播経路を形成する筒状の第1経路部材であるガイドパイプ4は、金属材料から形成され、ガイドパイプ4の一端側(図1において右側)は、超音波センサ3を保持固定しているブラケット15に当接している。本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ4は、アルミニウムダイカスト用合金により形成されている。また、ガイドパイプ4は、その軸線Aと直交する方向における断面形状が、図2に示すように、円形に形成され、その超音波センサ3側端部(図1の右端)における直径寸法はd1、後述する反射板6側端部(図1の左端)における直径寸法はd2となっている。また、ガイドパイプ4は、その軸線Aと直交する方向における断面積が、超音波センサ3から遠ざかるに連れて、すなわち図1において右端から左方向に向かうに連れて小さくなるように形成されている。言い換えると、ガイドパイプ4は、その軸線Aと直交する方向における断面の直径が、超音波センサ3から遠ざかるに連れて小さくなるように形成されている。すなわち、図1に示すように、d1>d2という関係が成り立っている。また、ガイドパイプ4には、図1に示すように、段部41が形成されている。段部41は、図2に示すように、リング状に形成されるとともに、超音波センサ3に対向する面として形成されている。したがって、超音波センサ3から発射された超音波の一部は段部41に入射する。この超音波は、段部41で反射して超音波センサ3に向かって進み、超音波センサ3に入射することになる。
【0041】
また、ガイドパイプ4の超音波センサ3と反対側(図1において左側)には、超音波センサ3から発射された超音波を燃料タンク2内の液面81に向けて反射する反射壁である反射板6が、図1に示すように、配置されている。反射板6は、金属材料から形成されている。本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、反射板6は、鉄系金属、たとえばステンレス鋼板により形成されている。反射板6は、図1に示すように、その反射面61に入射した超音波センサ3から発射された超音波を、液面81へ向けて反射する。すなわち、反射板6は、ガイドパイプ4の軸線A上を進む超音波を、液面81への入射角が0°となる方向、つまり液面81に直交する方向に向けて反射するように設置されている。すなわち、反射面61は、図1に示すように、液面に対して45°傾斜させて設けられている。
【0042】
反射板6から液面81間の超音波伝播経路を形成する筒状の第2経路部材であるガイドパイプ5は、金属材料から形成されている。本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ5は、ステンレス鋼管から形成されている。また、ガイドパイプ5は、その軸線Bと直交する方向における断面形状が円形に形成されるとともに、その直径が全長に亘り一様に直径寸法d3に形成されている。ガイドパイプ5の直径寸法d3は、ガイドパイプ4の反射板6側端部における直径寸法d2と等しく形成されている。また、ガイドパイプ5の反射板6と反対側の先端部には、図1に示すように、波除け板51が装着されている。自動車走行中において、たとえば悪路走行中に自動車が揺れると、それに伴って燃料タンク2内の液面81も揺れて波が生じる。このとき、波がガイドパイプ5の上端側開口部からガイドパイプ5内に流入すると、液面81が一時的に上昇するので正確な液面81検出が困難となる。そこで、ガイドパイプ5先端に、図1に示すような、波除け板51を設置すれば、自動車が揺れ燃料タンク2内に波が発生したときでも、ガイドパイプ5内への燃料8流入を阻止できるので、正確な液面81検出が可能となる。この波除け板51には、図4に示すように切欠き部52が設けられ、それによりガイドパイプ5内外の空気の連通が可能となっている。したがって、波除け板51を装着しても、ガイドパイプ5内の液面81はガイドパイプ5外の液面81の変動に十分追従することができる。また、ガイドパイプ5の液面81側先端位置は、図1に示すように、燃料タンク2内の燃料8貯蔵量が最大時、つまり満タン時における液面82よりも、所定長さ上方に突き出すように設定されている。
【0043】
以上説明した、超音波センサ3を保持固定するブラケット15、ガイドパイプ4、反射板6およびガイドパイプ5は、ボディ7に装着されている。ボディ7は、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては樹脂材料、たとえば、燃料タンク2内の燃料8に対して安定性に優れる樹脂材料から形成されている。ボディ7は、上述の各構成部品相互の位置関係を高精度に維持しつつそれらを保持固定するとともに、上述の各構成部品を燃料タンク2の底面21に固定する機能を果たしている。また、ガイドパイプ4、反射板6およびガイドパイプ5は、ボディ7に保持固定された状態において、ガイドパイプ4の軸線Aとガイドパイプ5の軸線Bとが、図1に示すように、反射板6の反射面61上において交差するような位置関係を形成している。なお、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、ボディ7に、超音波センサ3が固定されたブラケット15、ガイドパイプ4、反射板6およびガイドパイプ5を組み付ける構成としている。
【0044】
次に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の電気回路構成について図3に基づき説明する。
【0045】
図3の電気回路構成図に示すように、制御回路9は、イグニッションスイッチ11を介してバッテリ12に接続されている。また、制御回路9は、超音波センサ3が接続されている。また、制御回路9は、表示部10が接続されている。
【0046】
制御回路9は、たとえばマイクロコンピュータ等から構成され、超音波センサ3へパルス状電圧信号を印加するためのパルス発生回路91、超音波センサ3から出力される反射波受信信号を処理し、それに基づいて液面位置を算出する演算回路92、および演算回路92により算出された液面位置信号に基づき表示部10を駆動する駆動信号を出力する駆動回路93から構成されている。制御回路9は、イグニッションスイッチ11がONされてバッテリ12から電力が供給されると、燃料液面検出装置1は作動を開始する。
【0047】
表示部10は、たとえば指針計器あるいは液晶パネル等からなり、自動車の運転席正面のコンビネーションメータ(図示せず)内に設置されている。表示部10は、制御回路9の駆動回路93に駆動されて演算回路92により算出された液面81位置、すなわち燃料タン内2の燃料8残量を運転者が視認可能に表示する。
【0048】
次に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における、燃料液面検出作動について説明する。
【0049】
パルス発生回路91によりパルス状電圧信号を印加されると、超音波センサ3がパルス状の超音波を燃料タンク2内の燃料8中に発射すると、超音波センサ3の発振面31が振動し、発振面31の振動がブラケット15の底部15aへ伝わり、さらにブラケット15の外側の表面15aから超音波が燃料8中に発射される。この超音波の一部は、ガイドパイプ4内を進行して段部41に入射する。そこで反射されて、再び超音波センサ3の発振面31に入射する。一方、超音波センサ3から燃料8中に発射されたパルス状超音波の一部は、ガイドパイプ4内を進行して反射面61に入射する。そこで反射されて、ガイドパイプ5内を液面81へ向かって進む。さらに、液面81で反射されて、往路と同一の経路、すなわちガイドパイプ5、反射面61、ガイドパイプ4を経て超音波センサ3に入射する。
【0050】
すなわち、超音波センサ3は、パルス発生回路91に駆動されて1つの超音波パルスを発射すると、それに対応して、上述したように2つの反射パルス、つまり段部41からの反射パルスと液面81からの反射パルスとを受信する。超音波センサ3から段部41までの伝播経路長さは、図1から明らかなように、超音波センサ3から液面81までの伝播経路長さよりも短いので、超音波センサ3は、先ず、段部41からの反射パルスを受信し、次に、液面81からの反射パルスを受信する。超音波センサ3は、これらの反射パルスを受信する度に電圧信号を発生し、この電圧信号は演算回路92に入力される。
【0051】
演算回路92は、パルス発生回路91がパルス状電圧信号を発してから上述の2つの反射パルスを検出するまでの時間をそれぞれ算出する。
【0052】
ここで、段部41は、超音波センサ3に対して予め定められた位置に設けられている。すなわち、段部41と超音波センサ3との距離が既知である。したがって、演算回路92は、パルス発生回路91がパルス状電圧信号を発してから段部41からの反射パルスを受信するまでの時間と段部41と超音波センサ3との距離に基づいて、燃料8中における超音波パルスの伝播速度を算出する。次に、このようにして算出した燃料8中における超音波パルスの伝播速度とパルス発生回路91がパルス状電圧信号を発してから液面81からの反射パルスを受信するまでの時間とに基づいて、液面81位置、つまり図1中における液面81高さHを算出し、さらに予め記憶されている燃料タンク2形状に基づいて、燃料タンク2内の燃料8残量を算出する。
【0053】
駆動回路93は、表示部10に演算回路92が算出した液面81高さHあるいは燃料8残量を表示させるための信号、たとえば指針軸(図示せず)を液面81高さHあるいは燃料8残量に対応した角度まで回動させるための駆動信号を出力する。これにより、表示部10により燃料タンク2内の液面81高さHあるいは燃料8残量が表示される。
【0054】
次に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の特徴である、ガイドパイプ4の構成およびその作用効果について説明する。
【0055】
本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ4を金属材料、つまりアルミニウムダイカスト材から形成し、その軸線Aと直交する方向における断面、すなわち横断面形状を円形とし、横断面の直径寸法を、超音波センサ3から遠ざかるに連れて小さくなるように形成した。言い換えると、ガイドパイプ4は、超音波の伝播経路が超音波センサ3から反射板6に向かって先細り状に形成されている。
【0056】
これにより、超音波センサ3から発射された超音波がガイドパイプ4内を反射板6まで進む間の超音波エネルギの減衰度合いを従来の液面検出装置の場合よりも小さくして、ガイドパイプ4の反射板6側端部付近における音圧レベル、つまり反射板6に入射する超音波の音圧レベルを従来の液面検出装置における値よりも高めることができる。したがって、超音波センサ3から発射された超音波のエネルギを高効率で液面検出に利用できるので、
高精度な液面検出が可能な燃料液面検出装置1を提供することができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ4の反射板6側端部の直径寸法d2を、ガイドパイプ5の反射板6側端部の直径寸法d3と等しく設定している。
【0058】
この場合、超音波センサ3からの超音波がガイドパイプ4から反射板6を介してガイドパイプ5内へ伝播する、あるいは液面81で反射した超音波がガイドパイプ5から反射板6を介してガイドパイプ4内へ伝播する際に、ガイドパイプ4およびガイドパイプ5の遷移部分において、伝播経路の断面積変化がほとんど無い。これにより、ガイドパイプ4およびガイドパイプ5の接続部において超音波のエネルギ損失が生じることを防止できる。
【0059】
また、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ5を、その直径寸法が全長に亘り一様に形成している。
【0060】
これにより、ガイドパイプ5を、たとえば、入手容易な鋼管から形成することが可能となるので、燃料液面検出装置1の低コスト化を図ることができる。また、搭載される車両に対応して燃料タンク2の形状が変更されると、燃料タンク2の満タン時の液面82高さも変化するので、ガイドパイプ5の長さもそれに応じて変える必要がある。この場合、ガイドパイプ5を鋼管から形成する構成とすれば、ガイドパイプ5の長さを変更する、という極めて容易な手段により、異なる形状の燃料タンク2に対応した燃料液面検出装置1を製作することができる。
【0061】
また、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1では、ガイドパイプ4およびガイドパイプ5を金属材料から形成している。
【0062】
金属材料は、超音波に対する反射率が高い、言い換えると超音波が透過し難いので、ガイドパイプ4およびガイドパイプ5を金属材料から形成すれば、超音波がガイドパイプ4およびガイドパイプ5内を進行する途中における超音波のエネルギ損失を最小限度に抑制して、超音波センサ3から発射された超音波のエネルギを高効率で液面検出に利用できる。
【0063】
なお、以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、ガイドパイプ4をアルミニウムダイカスト用合金から、ガイドパイプ5をステンレス鋼管からそれぞれ形成しているが、これらの金属材料に限る必要は無く、他の種類の金属材料を用いても良い。たとえば、ガイドパイプ4を鉄鋼材料から、ガイドパイプ5をアルミニウム管からそれぞれ形成してもよい。さらに、ガイドパイプ4およびガイドパイプ5を金属材料以外の材質、たとえば樹脂材料やセラミックス材料等から形成してもよい。超音波を高効率で伝播させることができるものであればよい。
【0064】
また、以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、ボディ7に、超音波センサ3が固定されたブラケット15、ガイドパイプ4、反射板6およびガイドパイプ5を組み付ける構成としているが、このような構成に限る必要は無く、たとえば、ボディ7の樹脂成型時にガイドパイプ4、反射板6およびガイドパイプ5を同時にインサート成型し、その後に、ボディ7に超音波センサ3が固定されたブラケット15を組み付ける構成としてもよい。
【0065】
また、以上説明した本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、ガイドパイプ4、ガイドパイプ5および反射板6をそれぞれ独立した部品として形成し、それらをボディ7に組み付ける構成としているが、ガイドパイプ4、ガイドパイプ5および反射板6のうちの少なくともいずれか2つを一体的に1つの部品として形成してもよい。この場合、ボディ7を省略して、ガイドパイプ4、ガイドパイプ5および反射板6のいずれかを介して燃料タンク2に固定する構成としてもよい。
【0066】
また、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、ガイドパイプ4に段部41を設けているが、特に段部41を設けなくてもよい。この場合、たとえば、燃料タンク2内の燃料8温度を温度センサ(図示せず)等により検出し、それにより燃料8中の超音波伝播速度を補正して液面81高さHを算出することにより、高精度で液面81高さHを算出することができる。
【0067】
また、以上説明した実施形態は、本発明の液面検出装置を、自動車の燃料液面検出装置1に適用した場合を例に説明したが、燃料液面検出装置1以外に適用してもよい。すなわち、車両に搭載される他の液体、たとえば、エンジンオイル、ブレーキフルードあるいはウィンドウォッシャ液等の液面検出、あるいは液体輸送用車両に備えられた液体輸送用タンク内の液面を検出するために適用してもよい。さらには、自動車・車両以外の各種民生用機器の液体容器における液面検出の用途に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の部分断面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における電気回路構成を説明する模式図である。
【図4】図1中のIV矢視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 燃料液面検出装置(液面検出装置)
2 燃料タンク(タンク)
21 底面(底部)
3 超音波センサ(超音波発振素子)
31 発振面
4 ガイドパイプ(第1経路部材)
41 段部
5 ガイドパイプ(第2経路部材)
51 波除け板
52 連通孔
6 反射板(反射壁)
61 反射面
7 ボディ
8 燃料(液体)
81 液面
82 液面
9 制御回路
91 パルス発生回路
92 演算回路
93 駆動回路
10 表示部
11 イグニッションスイッチ
12 バッテリ
13 プラグ
14 リード線
15 ブラケット
15a 表面
A 軸線
B 軸線
d1 内径
d2 内径
d3 内径
H 液面高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯蔵するタンク内の底部に配置される超音波発振素子と、
前記超音波発振素子が発射した超音波を前記タンク内の液体の液面に向けて反射する反射壁と、
前記超音波発振素子および前記反射壁間の超音波伝播経路を形成する筒状の第1経路部材と、
前記反射壁から前記液面間の超音波伝播経路を形成する筒状の第2経路部材とを備え、
前記超音波発振素子から超音波を発射するとともにその前記液面からの反射波を前記反射壁を介して前記超音波発振素子により受信して前記液面位置を検出する液面検出装置であって、
前記第1経路部材は、その軸線と直交する方向における断面積が前記超音波発振素子から遠ざかるに連れて小さくなるように形成されたことを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記第1経路部材は、その軸線と直交する方向における断面形状が円形に形成され、
前記第2経路部材は、その軸線と直交する方向における断面形状が円形に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
【請求項3】
前記第1経路部材の前記反射壁側端部における直径寸法が、前記第2経路部材の前記反射壁側端部における直径寸法とほぼ等しく設定されたことを特徴とする請求項2に記載の液面検出装置。
【請求項4】
前記第2経路部材は、その直径寸法が全長に亘りほぼ一様に形成されることを特徴とする請求項3に記載の液面検出装置。
【請求項5】
前記第1経路部材および前記第2経路部材を金属材料から形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液面検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−47056(P2006−47056A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227003(P2004−227003)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】