説明

深型漏斗状の開口部および/または階段状漏斗状の開口部を備えるマイクロチャネルを有するマイクロチャネルプレート、ならびに、これらの製造方法

本発明は、イメージ増強管のためのマイクロチャネルプレートを提供し、ここで、プレートは、プレートの横断表面間を長手軸方向に延びる複数のマイクロチャネルを有する。各マイクロチャネルは、プレートの表面の近位末端において第1の開口部を形成する第1の部分を備える。第1の部分は、この表面から長手軸方向に延び、遠位端における第1の開口部と実質的に同じ開口部で終結する、壁を備える。マイクロチャネルはまた、壁の第2の部分を備え、この第2の部分は、遠位端における第1の開口部から長手軸方向に延び、さらなる遠位端における第2の開口部に向かって先細になっている。近位端における第1の開口部は、遠位端における第1の開口部の直径と実質的に同じ直径を有する。第1の開口部はまた、第2の開口部よりも広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、イメージ増強管において使用するためのマイクロチャネルプレートに関し、具体的には、深型漏斗状(deep funneled)の開口部および/または階段状漏斗状(step funneled)の開口部を備えるマイクロチャネルを有するマイクロチャネルプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
イメージ増強管は、夜/微光視野用途において、周辺光を有用な画像に増幅するために使用される。代表的なイメージ増強管は、およそ円筒型形状の真空デバイスであり、一般に、本体、光電陰極および面体、マイクロチャネルプレート(MCP)、および出力オプティクス(output optics)および蛍光スクリーンを備える。取り込まれた光子が、外部オプティクスによってガラス面体上に集められ、面体の内側表面につながれた光電陰極を打つ(strike)。光電陰極は、光子を電子に変換し、電子は、電場によりMCPに向かって加速される。MCPは、多数のマイクロチャネルを有し、これらの各々は、独立した電子増幅器として機能し、大まかに、CRTのピクセルに対応する。増幅された電子のストリームは、MCPから発され、蛍光スクリーンを励起し、得られた可視画像が、出力オプティクスを通して、任意のさらなる外部オプティクスへと通過する。本体は、これらの構成要素を正確な配置に保持し、電気接続を提供し、そしてまた、真空エンベロープを形成する。
【0003】
マイクロチャネルプレートは、多数のガラス繊維の融合体から形成され、各々は酸エッチング可能なコアおよび耐酸性クラッドを有する。融合体は、中実のロッドまたはボールを形成する。個々のプレートは、ボールから横軸方向にスライスされ、研磨され、そして、化学的にエッチングされる。MCPはまず、酸エッチング可能なコアロッドを取り除く(脱コアする(decore))塩酸浴に供され、その後、クラッドから移動性のアルカリ金属イオンを取り除く水酸化カリウムの温浴に供される。次いで、MCPは還元性大気中で活性化され、イメージ管内に挿入するために調製される。
【0004】
マイクロチャネルプレートは、代表的には円筒型の形状で、MCP表面に対する法線から0〜20°傾いている、多くのマイクロチャネルを備える。MCPの活性領域全体に対する組み合わされたチャネル領域の割合は、開口率(OAR)として知られている。酸エッチング前の領域全体に対するコアロッド領域の割合は、およそ45%である。MCPの酸エッチングは、コアロッドを取り除き(脱コアし)、これによるが45%のOARであることがわかる。水酸化ナトリウムによる浸出工程はさらに、OARをおよそ60%まで増やす。
【0005】
従来のMCPは代表的に、分解された出力画像を有する。すなわち、出力画像は、入力画像の完全な複製ではない。出力画像の分解は、多数の要因により引き起こされる。例えば、イメージ増強管は、MCP内のマイクロチャネルの間隔、および、イメージ増強管の種々の構成要素間を隔てる距離により決定される最大解像度を有する。正味の効果は、視聴者が画像の詳細を識別する能力を低下させる、わずかなピンぼけ状態である。
【0006】
陰極以外の種々の供給源からの散在した電子(これは、入力画像と対応しない)はまた、マイクロチャネルプレートに入り、増幅され得る。このような偽性電子についての増幅因子は、画像電子についての増幅因子と同じ亜であり、画像における光のちらつき点として現れる、画像ノイズを生じる。
【0007】
さらに、投影画像の電子は、2つのMCPチャネル間で打たれ、陰極に向かって反射され得る。このような電子は、最終的に、その最初の点からいくらか離れたMCPチャネルに入り得る。このような電子は増幅され得るが、スクリーン上の得られるスポットは、入力画像には対応しない可能性がある。この効果は、入力画像が、明るいスポットを含む場合に顕著であり、出力画像において光輪として現れる。光輪は、陰極からMCPの間隔およびMCPチャネルの幾何学に影響される。
【0008】
MCPの特徴を改善するための1つの解決策は、開口率を上げることである。より高い開口率が所望されるが、不運なことに、平行な表面を有するMCPは、およそ65%の開口率に制限されており、その結果、十分なガラスが構造統合性のために残される。
【0009】
米国特許第6,311,001号(本発明の発明者の一人であるRosineに対して、2001年10月30日に発行された)は、漏斗形状のチャネルを使用することによってその構造統合性を維持しつつ、MCPの開口率を上げる方法を開示する。米国特許第6,311,001号は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0010】
上記の特許に記載されるように、改善されたMCPは、複数のガラス繊維の融合体から中実ロッドへと形成され、ここで、各々の繊維は、酸エッチング可能なコアおよび耐酸性クラッドを有する。次いで、個々のプレートが、ロッドから横軸方向にスライスされ、研磨される。次いで、MCPが、アルカリ性物質を用いて、部分的に化学エッチングされる。MCPは、続いて、コアを取り除く酸性浴に供され、その後、ガラスからさらなる耐酸性クラッドを取り除く、強アルカリ性の温浴に供される。開放端形状の漏斗を有するマイクロチャネルは、こうしてMCPへと形成される。
【0011】
上記特許の図1と類似する、図1を参照して、MCP10の断面図が示される。示されるように、MCP10は、入力側面12、出力側面14、および複数のマイクロチャネル16を備え、漏斗状の開口部18が、その入力側面12と出力側面14との間を延びている。マイクロチャネルの開口部は、MCP10の入力側面12上でのみ、MCP10の出力側面上のみ、または、MCP10の入力および出力の側面の両方において(示されるように)、漏斗状になっていてもよい。チャネル壁19は、管状構造を有し、各々のマイクロチャネルを形成する。チャネル壁19はまた、別のマイクロチャネルからあるマイクロチャネルを隔離する。
【0012】
図2に最良に示されるように、チャネル壁19は、入力側面12(出力側面14は示さず)において、各マイクロチャネルの長手軸の中心から分岐する部分または領域を備え、漏斗状の開口部を形成する。従って、示されるように、漏斗状の開口部18は、入力側面において、MCP10のより深いところにあるマイクロチャネル16の別の部分よりも直径が長い。漏斗の壁の分岐は、一般に、MCP表面からの1つのチャネルの直径内で生じる。
【0013】
しかし、発明者らは、漏斗状の開口部18の領域が、チャネルの電気接続の目的で、金属22でコーティングされることに注意している。コーティングされた金属22は、二次電子の生成を伴わずに、入射電子を吸収する傾向がある。
【0014】
金属コーティングの結果として、漏斗状チャネルの電子収集効率は、事実上無効にされる。入力電子回収効率の減少はまた、その信号雑音比を低下させることによって、イメージ増強管の性能を減じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、漏斗状の開口部の金属化により生じる不利益を克服する、改善されたMCPに対する必要性が存在するままである。本発明は、この必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
この必要性および他の必要性に応えるため、そして、その目的の観点から、本発明は、イメージ増強管のための改善されたマイクロチャネルプレートを提供する。このマイクロチャネルプレートは、マイクロチャネルプレートの横断表面間を長手軸方向に延びる複数のマイクロチャネルを備える。各マイクロチャネルは、マイクロチャネルの表面近くの端において、第1の開口部を形成する第1の部分を備える。第1の部分は、表面から長手軸方向に延び、遠位端における実質的に同じ第1の開口部で終わる壁を備える。マイクロチャネルはまた、遠位端における第1の開口部から長手軸方向に延び、さらなる遠位端における第2の開口部に向かって先細になっている壁の第2の部分を備える。近位端における第1の開口部は、遠位端における第1の開口部の直径と実質的に同じ直径を有する。第1の開口部は、第2の開口部よりも広い。
【0017】
壁の第1の部分は、実質的に円筒型の形状であり、プレートの表面における第1の開口部および遠位端における第1の開口部を備える。壁の第2の部分は、円錐の形状であり、第1の開口部から第2の開口部に向かって先細になっている。
【0018】
壁の第1の部分は、プレートの表面における第1の開口部と、遠位端における第1の開口部との間で、長第1の開口部の直径サイズの1〜10倍の値を有する長さを備える。壁の第2の部分は、遠位端における第1の開口部と、第2の開口部との間で、第1の開口部の直径サイズの1/4〜1/3倍の値を有する長さを備える。
【0019】
別の実施形態において、マイクロチャネルは、壁の第3の部分を備え、この部分は、第2の開口部から、なおさらなる遠位端における第3の開口部に向かって長手軸方向に延びる。第2の開口部および第3の開口部は、実質的に同じ断面の直径サイズを有する。
【0020】
なお別の実施形態において、マイクロチャネルは、壁の第4の部分を備え、この部分は、第3の開口部から長手軸方向に延び、なおさらなる遠位端における第4の開口部に向かって先細になる。第4の開口部は、第3の開口部よりも狭い断面の直径サイズを有する。
【0021】
本発明はまた、イメージ増強管のためのマイクロチャネルプレートの作製方法も包含する。
【0022】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明が例示的なものであって、本発明を限定するものでないことが理解される。
【0023】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って、深型漏斗状の開口部および/または階段状漏斗状の開口部を有するマイクロチャネルプレート(MCP)は、MCPの入力側面または出力側面において曝露されたマイクロチャネルの金属化により生じる不利益を克服する。漏斗をMCPマイクロチャネル内へとより深く(または、入力/出力側面からさらに遠くへ)移動することによって、MCPの性能が増強され、任意の金属化プロセスにより分解されない。入射電子は、同じ直径の完全に真っ直ぐなチャネル内にあり得るので、深型漏斗チャネル内の金属コーティングに遭遇する可能性が低くなる。
【0024】
さらに、深型漏斗チャネルは、非漏斗状チャネルまたは基本的な漏斗状チャネル(米国特許第6,311,001号に開示される基本的な漏斗)のいずれよりも広い直径を有するが、深型漏斗チャネルは、その長さのほとんど(例えば、その長さの90%)に沿って十分な壁厚を保持し、MCPに強度および堅固さを提供する。
【0025】
図1Bを参照して、本発明の1つの局面に従って形成されたMCP20の断面図が示される。図1Bは、入力側面12(電子受容側面)および出力側面14(電子放出側面)の間を延びるマイクロチャネル24を示す。各マイクロチャネル壁26は、管状構造であり、各マイクロチャネル24を形成する。マイクロチャネル壁はまた、互いにマイクロチャネルを隔てている。
【0026】
示されるように、マイクロチャネル壁26は、実質的に円筒型の形状であり、入力側面から出力側面へと連続する開口部を形成する。説明されるように、マイクロチャネル24は、入力側面のみ、出力側面のみ、または入力側面および出力側面の両方(示すように)において、多数の部分または領域22を備え得る。図1Bに示される複数の部分または領域は、一定の比例に拡大して描かれていないが、議論の目的のために誇張されている。説明されるように、これらの領域は、図1Aの従来の漏斗状開口部18に改善を提供する。これらの領域は、本発明の実施形態に従って、深型漏斗および/または階段状漏斗を形成する。
【0027】
ここで図3A〜3Cを参照して、MCP内に形成された異なるマイクロチャネルが示される。より具体的には、MCP30は、マイクロチャネル37を備え(図3A)、MCP31はマイクロチャネル38を備え(図3B)、そして、MCP32は、マイクロチャネル39を備える(図3C)。マイクロチャネル37、38および39の入力側面のみが示されていることが理解される。類似の形状のマイクロチャネルが、各MCPの出力側面において備え付けられていてもよい。
【0028】
図3Cは、Dミクロンの有効直径を有する真っ直ぐな管壁36(漏斗なし)を備えるマイクロチャネル39を示す。また、MCP32の入力側面に隣接して堆積され得る金属化カバレッジ33が示される。点線は、管壁36の内側表面上にぶつかる金属化堆積物の得られる経路を表す。
【0029】
図3Bは、漏斗状領域40(基本的な漏斗)を有する真っ直ぐな管壁35を備えるマイクロチャネル38を示す。マイクロチャネル38は、マイクロチャネル39の有効直径よりも広い有効直径(例えば、1.1048D)を有する。漏斗状領域40に堆積され得る金属化カバレッジ33(点線)がまた示される。
【0030】
図3Aは、本発明の実施形態に従う、深型漏斗を備えるMCP30を示す。示されるように、MCP30は、管壁34を有するマイクロチャネル37を備える。MCP30の入力側面において、壁34は、上側の真っ直ぐな壁領域または部分42(第1の部分)、漏斗状の領域または部分41(第2の部分)および下側の真っ直ぐな領域または部分45(第3の部分)を備える。マイクロチャネル37は、基本的な漏斗の有効直径よりも広い有効直径(例えば、1.2092D)を有する。示され得るように、深型漏斗チャネルの有効直径は、同じ物理学的チャネルの開口部サイズについての基本的な漏斗よりも広い。上側の真っ直ぐな壁領域42上に堆積され得る金属化カバレッジ33(点線)がまた示される。
【0031】
ここで、図4を参照して、(入口側面に)深型漏斗マイクロチャネル37を備えるMCP30が示される。深型漏斗マイクロチャネルは、上側(近位)の真っ直ぐな壁部分42(第1の部分)、漏斗状部分41(第2の部分)および下側(遠位)の真っ直ぐな壁部分45(第3の部分)を備える。上側(近位)の真っ直ぐな壁部分は、最大の直径を有し、下側(遠位)の真っ直ぐな壁部分は、最も狭い直径を有する。これらの部分は、MCP30の出力側面において裏返されることが理解される(示さず)。
【0032】
上側の、真っ直ぐな壁部分は、マイクロチャネル内へとチャネル直径の1〜10倍延びる。この部分は、その上に金属化体積されている(33に示すように)。この部分の深さは、加工時間に基づいて選択され得る。
【0033】
漏斗状の部分は、チャネルの直径の1/4〜1/3の長さであり、より広い直径からより狭い直径へと移り変わりを形成する。この部分が、電子衝突領域内に位置付けられる場合、傾斜の緩やかな衝突角からの二次電子の放出にさらに有益であり得る。
【0034】
漏斗状の部分を越えて遠位にあるのは、標準的なマイクロチャネル部分である。この部分は、真っ直ぐな管壁を備え、マイクロチャネルにより回収される電子の多重化を提供する。この遠位部分は、プレートに構造的な強度を提供し、マイクロチャネルの直径の40〜70倍の長さである。これらの部分は、マイクロチャネルの出力端において、逆の順序で繰り返され得る。
【0035】
(例えば、)図4に示されるように、上側の真っ直ぐな壁部分は9.18ミクロン長であり、漏斗状の部分は、2.23ミクロン長である。
【0036】
ここで図5を参照して、本発明の別の実施形態に従う、階段状の漏斗状幾何学に形成されたマイクロチャネルが示される。示されるように、MCP50は、入力側面において、マイクロチャネル52を備える。各マイクロチャネルの壁54は、壁54が、複数の漏斗状部分を備えること以外は、図4に示される壁34の深型漏斗状幾何学と同じである。
【0037】
示されるように、壁54は、第1の近位の真っ直ぐな壁部分55、第2の真っ直ぐな壁部分57および第3(遠位)の真っ直ぐな壁部分59を備える。第1の真っ直ぐな壁部分と第3の真っ直ぐな壁部分との間に形成される移り変わりが、漏斗状部分56である。遠位に、第2の真っ直ぐな壁部分と第3の真っ直ぐな壁部分との間に形成される移り変わりが、別の漏斗状領域58である。漏斗状部分間の間隔は、加工時間に基づいて選択され得る。
【0038】
米国特許第6,311,001号に議論されるように、図2〜5に示されるマイクロチャネルはMCPの入力側面から突出した法線軸に関して測定した場合、3°〜20°の間の角度(代表的には、約10°)であることが理解される。
【0039】
米国特許第6,311,001号に記載されているMCPの製造方法は、本明細書中に参考として援用される。米国特許第6,311,001号に記載されるように、MCPは、2つの異なるガラス成分、すなわち、耐酸性マトリクスガラス(クラッド)および酸エッチング可能なコアガラスから製造される。コアロッドは、マイクロチャネルとなる空間を占める。コアロッドは、化学処理の初期において、酸性溶液中で部分的に溶解される。水酸化ナトリウム浸出工程が、その領域における高い化学的または機械的ストレスによって、露出されたコア/クラッド界面を攻撃する(attack)。非漏斗状MCPについては、水酸化ナトリウムが、一本のマイクロチャネルを通して界面ゾーンに接触し、チャネルの直径の全体的な変化を生じる。基本的な漏斗状MCPにおいて、この界面ゾーンは、チャネルの末端においてのみ露出され(コアロッドがなお適所に存在するため)、先細の漏斗が、チャネルの最も末端において生じる。
【0040】
コアロッドは、1つの末端(または両方の末端)においてゆっくりと溶解され始める。MCPは、任意の時点でこの溶液から取り出され、リンスされて、任意の所望の量のコアロッドが残った状態で、エッチング反応を停止し得る。このような部分的な脱コアの後に、水酸化ナトリウムは、コアロッドが除かれたチャネルのいずれの場所においても界面物質を除去し、かつ、基本的な漏斗と同じ様式で、コアロッドをわずかに過ぎてエッチングする。壁を除去量は、NaOHへの露出時間、ならびに、その濃度、温度および流速に依存する。全ての残存するコアロッドの除去後、得られた幾何学が深型漏斗である。
【0041】
部分的な脱コアおよび浸出の工程は、任意の回数繰り返され得る。各サイクルは、深さが脱コア時間に対応し、直径がNaOH浸出時間に対応する、チャネル壁の小さな不連続面を生じる。この多サイクル加工により、階段状漏斗を形成する。
【0042】
MCP製造分野における当業者は、1つ以上のこれらのパラメーターを漏斗形成加工(funneling process)に適合するように調節して、所望の特性を有するMCPを製造し得る。
【0043】
深型漏斗加工は、基本的な漏斗プロセスと同様に、チャネルの入力末端および出力末端の両方を左右対称に固有に加工する。左右非対称なチャネル末端(例えば、出力側に所望される電子の集束)が有利であり得る。これは、漏斗加工の間にMCPの各表面をマスクオフ(masking off)し、異なる漏斗加工時間を有することによって達成され得る。マスキングは、o−リングシール、フォトレジスト、プレーティングテープ、蝋などを用いてなされ得る。
【0044】
ある特定の実施形態を参照して、本明細書中に例示および記載されているが、本発明は、それにも関わらず、示される詳細に限定されることを意図しない。むしろ、特許請求の範囲の等価な範囲内で、本発明の精神から逸脱することなく、詳細に対して種々の改変がなされ得る。例えば、ガラスシステムが、コア/クラッド界面においてストレスフィールドを示す場合、任意のマイクロチャネルプレートが深型漏斗および/または階段状漏斗に形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明は、添付の図面と関連して読まれる場合に、上記の詳細な説明から最良に理解される。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図1A】図1Aは、従来のマイクロチャネルプレートの断面図である。
【図1B】図1Bは、本発明の1つの実施形態に従って作製されたマイクロチャネルプレートの断面図である。
【図2】図2は、マイクロチャネルを形成する壁の漏斗状の領域にある金属化カバレッジを例示する、図1Aのマイクロチャネルプレートの一部の断面図である。
【図3】図3A〜3Cは、本発明の2つの実施形態の断面図であり、各々は、並べて配置したマイクロチャネルの一部を示し、比較の目的で、従来のマイクロチャネルが、基本的な漏斗を示す。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態に従って、各マイクロチャネルにおいて、深型漏斗を採用するマイクロチャネルプレートの一部の断面図を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従って、各マイクロチャネルにおいて、階段状漏斗を採用するマイクロチャネルプレートの一部の断面図を示す電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ増強管のためのマイクロチャネルプレートであって、該プレートは、該プレートの横断表面間を長手軸方向に延びる複数のマイクロチャネルを備え、1つのマイクロチャネルは、以下:
該プレートの表面の近位に第1の開口部を形成する第1の部分であって、該第1の部分は、該表面から長手軸方向に延び、遠位端において実質的に同じ第1の開口部内で終わる壁を備える、第1の部分、および
該壁を備える第2の部分であって、該第2の部分は、該遠位端において該第1の開口部から長手軸方向に延び、さらなる遠位端において、第2の開口部に向かって先細になっている、第2の部分を備え、
ここで、該第1の開口部が、該第2の開口部よりも広い、
マイクロチャネルプレート。
【請求項2】
前記第1の開口部が、前記第2の開口部よりも広い、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項3】
前記プレートの表面に前記第1の開口部を備える前記第1の部分が実質的に円筒型の形状であり、前記遠位端において該第1の開口部が、実質的に同じ直径を有し、かつ、前記第2の部分が円錐の形状であり、該第1の開口部から該第2の開口部に向かって先細になっている、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項4】
前記プレートの表面が、前記マイクロチャネルを通して電子を受容および放出するための入口および出口を備え、かつ、前記第1の部分が、該入口の表面と該出口の表面のうち少なくとも1つに隣接して形成されている、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項5】
前記壁が、ガラス繊維のクラッド層により形成され、かつ、前記第1および第2の開口部が、該クラッド層を部分的に取り除くことによって形成されている、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項6】
前記プレートの表面にある前記第1の開口部と前記遠位端にある該第1の開口部との間の、前記第1の部分の長さが、該第1の開口部の直径のサイズの1〜10倍の値を有し、かつ
該第1の開口部と前記第2の開口部との間の前記第2の部分の長さが、該第1の開口部の直径のサイズの1/4〜1/3倍の値を有する、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項7】
前記マイクロチャネルが、前記壁を備える第3の部分を備え、該第3の部分は、前記第2の開口部からなおさらなる遠位端にある第3の開口部に向かって長手軸方向に延び、該第2の開口部および該第3の開口部は、実質的に同じ断面サイズを有する、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項8】
前記マイクロチャネルが、前記壁を備える第4の部分を備え、該第4の部分は、前記第3の開口部から長手軸方向に延び、そして、なおさらなる遠位端にある第4の開口部に向かって先細になっており、該第4の開口部は、該第3の開口部よりも狭い断面サイズを有する、請求項7に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項9】
イメージ増強管のためのマイクロチャネルプレートであって、該プレートは、該プレートの横断表面間を長手軸方向に延びる複数のマイクロチャネルを備え、1つのマイクロチャネルは、該プレートの横断表面間を長手軸方向に延びて連続した開口部を形成する管壁を備え、該管壁は、
該プレートの表面の近位に配置された該開口部の第1の断面、該第1の断面から離れて配置された該開口部の第2の断面、および該第1および第2の断面から離れて配置された該開口部の第3の断面を備え、かつ、
該第1の断面開口部および該第2の断面開口部が、実質的に同じ直径値を有し、そして、該第3の断面開口部が、該第1または第2の断面の直径値よりも狭い直径値を有する、
マイクロチャネルプレート。
【請求項10】
前記管壁が、前記第2の断面開口部と前記第3の断面開口部との間を長手軸方向に延びる、漏斗状の部分を備え、そして
該漏斗状の部分が、該第2の断面開口部で始まり、該第3の断面開口部で終わる、連続して狭くなっている断面開口部を有する、請求項9に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項11】
前記管壁が、前記第1の断面開口部と前記第2の断面開口部との間で実質的に円筒型の形状であり、かつ、
該管壁が、該第2の断面開口部と前記第3の断面開口部との間で実質的に円錐の形状である、請求項9に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項12】
前記管壁が、前記第1および第3の断面開口部から離れて配置された第4の断面開口部を備え、そして
該第4の断面開口部が、該第3の断面開口部の直径値と実質的に同じ直径値を有する、請求項9に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項13】
前記管壁が、前記第1の断面開口部と前記第2の断面開口部との間で実質的に円筒型の形状であり、
該管壁が、該第2の断面開口部と前記第3の断面開口部との間で実質的に円錐の形状であり、かつ
該管壁が、該第3の断面開口部と前記第4の断面開口部との間で実質的に円筒型の形状である、請求項12に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項14】
前記管壁がガラス繊維のクラッド層により形成され、かつ、前記第1、第2および第3の断面開口部が、該クラッド層を部分的に取り除くことによって形成されている、請求項9に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項15】
電子を受容および放出するための複数のマイクロチャネルを有するマイクロチャネルプレートを作製するための方法であって、該方法は、以下:
(a)複数のガラス繊維を提供する工程であって、該繊維の各々は、酸エッチング可能なコアおよび耐酸性クラッドを有する、工程
(b)該ガラス繊維を薄板に形成する工程;
(c)該薄板の酸エッチング可能なコアの部分を、第1の所定の時間かけて、酸性溶液中で溶解する工程;
(d)該薄板の耐酸性クラッドの部分を、第2の所定の時間かけて、アルカリ性溶液中で浸出する工程:ならびに
(e)該第1の所定の時間および該第2の所定の時間を変更して、マイクロチャネル内に深型漏斗を形成する工程
を包含する、方法。
【請求項16】
以下の工程:
(f)前記部分を前記酸性溶液中で溶解した後に、前記薄板を取り出す工程;および
(g)工程(f)において該薄板を取り出した後直ぐに、該薄板をリンスし、前記酸エッチング可能なコアの別の部分の溶解を停止する工程
を包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
以下の工程:
(h)工程(c)〜(f)を繰り返して、前記マイクロチャネル内に階段状漏斗を形成する工程
を包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶解工程が、前記薄板を、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸および他の鉱酸からなる群より選択される化合物を含有する溶液中に浸す工程を包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記浸出工程が、前記薄板を、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび他のアルカリ金属水酸化物からなる群より選択される化合物を含有する溶液中に浸す工程を包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記溶解工程および浸出工程が、前記薄板の電子受容側面および電子放出側面のうちの一方を、耐薬品性のテープまたはフィルムでマスクする工程、ならびに
該薄板の他方の側面を溶解および浸出する工程
を包含する、請求項15に記載の方法。

【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−507646(P2006−507646A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555523(P2004−555523)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037197
【国際公開番号】WO2004/049382
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505194077)アイティーティー マニュファクチャリング エンタープライジーズ, インコーポレイテッド (114)
【Fターム(参考)】