説明

深層水粉末と深層水錠剤

【課題】 深層水の分離物と液状ニガリを粉末化し、乾燥物等への利用を容易にしたものである。
【解決手段】 本発明の粉末深層水は、海洋深層水Bを逆浸透膜装置2により分離した淡水1bと濃縮海水2b、多段式電気透析装置1により分離した淡水b1と濃縮深層水b2とミネラル濃縮水b3と濃塩水b4から選ばれた1種を粉末化手段3にて粉末としたことを特徴とする。
本発明の粉末ニガリは、海水Aから得た海水系ニガリ水a5と、海洋深層水Bから得た深層水系ニガリ水b5と、富山湾固有冷水Cから得た固有冷水系ニガリ水c5と、岩塩類Dから得た岩塩系ニガリ水d5とから選ばれた1種を粉末化手段3にて粉末としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海洋深層水(富山湾固有冷水)を原料とした深層水粉末と深層水錠剤に関するもので、
深層水粉末は海洋深層水を逆浸透膜法により分離した淡水と濃縮海水、及び海洋深層水を多段式電気透析法により分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮液と濃塩水とを粉末化したものであり、深層水錠剤は深層水粉末を打錠したものである。
【背景技術】
【0002】
海洋深層水 は、太陽光線が届かない深さで光合成が行われず、高水圧下において永い年月をかけ熟成され、栄養塩(植物プランクトンの栄養源)が消費されないため、多種の微量ミネラルが溶け込み、表層水よりミネラル分も多く、生体保持に必要な無機栄養塩類に富む(富栄養性)。即ち、表層水に比べて窒素やリン等の栄養塩が豊富に含まれ、ミネラルのバランスも良く、しかも有機物や細菌類が少なく清浄性(一般細菌は表層水の1/100〜1/1000と少ない)があり、陸や大気からの化学物質による汚染もなく、年間を通じて低温で略安定していることが知られている。
【0003】
一方、海水から飲料水を得る手段として、逆浸透膜法やイオン交換膜法を用いた淡水化手段が知られている。イオン交換膜法は、陽イオン交換膜(陽イオンのみを通す膜)を利用し、食塩水の電解から水酸化ナトリウムや塩素ガスを得る方法として確立しており、その応用として、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置した多槽の電解槽で食塩水を電気分解すると、中間槽において電気透析が起こり、交互の槽に原液より濃い食塩水と薄い食塩水とが得られる。この方式は、食塩水を薄くできるので、海水から飲料水を得る淡水化プラントとして用いられている。
【0004】
人体へのミネラルの摂取がやっかいなのは、何十種類に及ぶミネラル成分の総てをバランスよく取らなければならないことである。主要成分として知られているカルシウム、ナトリウム、カリウム等は、食品や栄養補助食品から比較的容易に取り得るるが、マグネシウムが不足しがちである。成人に必要なマグネシウム量は、1日約300mgとされているが、日本人の摂取量は約100mg不足している。海洋深層水 の成分で比較的多く含んでいるカリウムイオンは、ナトリウムイオンの数倍程の辛味があるとも言われ、味覚の上ではマイナスの働き(えぐみ)があり、心臓疾患や糖尿病者、高齢者等の過剰摂取するには、極力少ない方がよいとされている。
【0005】
太平洋側の海洋深層水 は外洋にあって、季節により変動があるため表層水の影響を受けているという考えの基、「中層水」と呼ぶ学者もいる。一方、富山湾は、河川水等の影響を受けた塩分の低い沿岸表層水と、その下層に200〜300mの厚みを持つ対馬暖流系水と、300m以深の海洋深層水 (以下、富山湾固有冷水とする)で構成され、年間を通して2℃以下の低温で水温変動がほとんどなく、しかも水質、海水組成等(塩分は34.0〜34.1psuである)もほとんど変化せず、低温安定性に優れ、表層海水と比較して栄養塩類が著しく豊富に含まれ(富栄養)、有機物、細菌類が水道水より少ない(清浄性)等の特徴が挙げられる。
【0006】
(1)富山湾固有冷水は太平洋側深層水 と比べて溶存酸素量が多く、深層水 としての年齢が若いことを示している。
(2)両深層水 を表層水と比較すると、富山湾固有冷水の方が、リン酸態リン、硝酸態窒素などの無機栄養塩類が多く、且つ富山湾固有冷水の水温が、太平洋深層水 に比べて約6℃以上も低く、且つ、年間を通して安定的である。
(3)富山湾固有冷水の一般生菌数や真菌数は、表層水よりかなり少なかった。
【特許文献1】特開2002−272430
【特許文献2】特開2002−218955
【特許文献3】特開2002−17317
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
逆浸透膜法による海水淡水化装置を深層水 の分離に用いた場合、逆浸透膜(逆浸透圧膜)の塩分阻止率は通常99.5〜8%程度であり、塩分と同等の率で他の微量ミネラルも除去してしまう結果、成分比率の圧倒的に多い塩素(cl)とナトリウム(Na)を分離すると、塩素及びナトリウムの分離と略同率で他の微量ミネラル分も除去される。そのため、ミネラル分の含有率は、海水と分離後の淡水との間に変化は少なく、海洋深層水 のもつ有用ミネラル成分がほとんど含まないものとなる欠点があった。因みに、超純水装置は、逆浸透膜を2段処理したものである。
【0008】
海洋深層水のミネラル分は表層水より多いが、それでもナトリウムや塩素の1%未満しか含有していない。故に、海洋深層水 を濾過、又は逆浸透膜で分離するだけでは、ナトリウムと塩素、及びミネラル分の含有率に変化がない。従って濾過や逆浸透膜によって分離した淡水のミネラル分は、離島等における海水淡水化の水道水程度の無きに等しいので、これらをミネラル補給等の目的に用いても、含有量が少なく、ミネラル分を補給する商品としては不十分であった。海洋深層水 をそのまま用いる場合、成分比率の圧倒的に多い塩分(塩素イオンとナトリウムイオン等)が塩味の関係上、配合上限(ナトリウムの接収過多等)を考慮して用いる必要があるため、他の有用微量ミネラルは相対的にほとんど含まないものとなる欠点があった。
海洋深層水の分離物は液状を成しているため、液状物への混入は容易であるが、乾燥物への混入に不便があったし、深層水の分離物の多くが、空気中の水分を吸収しやすい問題点があった。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする所は、海洋深層水の分離物を粉末化し、液状物や乾燥物等への利用を容易にすると共に、更に錠剤化し、簡便な取扱を可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による深層水粉末は、請求項1として、海洋深層水を逆浸透膜装置により分離した淡水と濃縮海水、多段式電気透析装置により分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮水と濃塩水から選ばれた1種を急速粉末・錠剤化手段にて直接粉末化したことを特徴とする。
請求項2として、海洋深層水を逆浸透膜装置により分離した淡水と濃縮海水、多段式電気透析装置により分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮水と濃塩水から選ばれた1種を粉末・錠剤化手段にて加熱し、加熱濃縮物を得た後、加熱濃縮物と脱水成分とを混合し、その混合物を乾燥整粒し、整粒後の粉状物を微分機において粉末化したことを特徴とする。
請求項3として、請求項1,2の深層水粉末において、海洋深層水が富山湾固有冷水であることを特徴とする。
【0010】
ここで深層水粉末とは、人体に有益なミネラル成分を多種類含有している海洋深層水の分離物を粉末化したものを言い、各種の加工食品や菓子類の調味料、添加物として使用したり、飲料水や調理用等、その用途は広範囲である。
ここで逆浸透膜装置とは、海水や海洋深層水を淡水と濃縮海水に分離するものを言い、多段式電気透析法とは、出願人が先に発明した電気透析法であり、第一処理装置にて海洋深層水を淡水と濃縮深層水とに分離し、第二処理装置にて濃縮深層水をミネラル濃縮液と濃塩水とに分離することを言い、処理装置のイオン交換膜として、多くの膜種の中から人体に有用と思われるミネラル分の採取と、人体に有害と思われる一価イオン(ナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオン等)の除去を可能にした膜を検証選択したものである。特に、ミネラル濃縮水には人体と略同様のミネラル成分をバランス良く、しかも豊富に含んでいる。
ここで急速粉末・錠剤化手段とは、液状物を直接粉末化するフリーズドライやスプレードライ等を言い、粉末・錠剤化手段とは、液状物から粉末又は錠剤を得るまでの工程を言う。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による深層水錠剤は、請求項4として、海洋深層水を逆浸透膜装置により分離した淡水と濃縮海水、多段式電気透析装置により分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮水と濃塩水から選ばれた1種を急速粉末・錠剤化手段にて直接粉末化し、その深層水粉末を打状して固形化したことを特徴とする。
請求項5として、海洋深層水を逆浸透膜装置により分離した淡水と濃縮海水、多段式電気透析装置により分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮水と濃塩水から選ばれた1種を粉末・錠剤化手段にて加熱し、加熱濃縮物を得た後、加熱濃縮物と脱水成分とを混合し、その第一混合物を乾燥整粒し、整粒より得た粉状物に固形化成分を混合し、第二混合物を得て、これを打錠したことを特徴とする。
請求項6として、請求項4,5記載の深層水錠剤において、海洋深層水が富山湾固有冷水であることを特徴とする。
【0012】
ここで深層水錠剤とは、水分の吸収を阻害した錠剤で、しかも直接飲み込むことが可能な大きさの錠剤、例えば径8mmm、重さ250mgを言う。
ここで脱水成分とは、飲食可能で、水分の吸収力を有する成分を言い、特に吸水力の強い成分、例えば乳糖、澱粉、α化澱粉等が好ましい。
ここで固形化成分とは、飲食可能で、粉状物の固形化に有益な成分を言い、特に安価で取扱の簡便な成分、例えばグリセリン、結晶セルロース等が好ましい。
ここで富山湾固有冷水(日本海固有冷水とも称する)とは、富山湾の沖合いの深度約320mより採取される深層水であって、深層水の3大要素である「低温性」と「清浄性」と「富栄養性」とを全て満足させ、特に「低温性」にあっては通年2℃であり、現在日本で採取されている他地域の深層水温度の8〜10℃に比較して、とても低いことが挙げられる。このことは、生育する魚介類郡の密度が低くなることにもつながるので、微生物数も少なく「清浄性」も高まる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による深層水粉末は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
請求項1の深層水粉末は、粉末化しているので、取扱が簡便で保管や輸送も便利であるし、加工食品や菓子等の原料に簡単に混合できる。しかもミネラル成分、特に微量ミネラルを多種類含む海洋深層水からの分離物を原料とするので、これを用いると微量ミネラルの補給に有益である。即ち、不足しがちな微量ミネラルを補うことが期待できる。
請求項2の深層水粉末は、脱水成分を混合し、その混合物を乾燥整粒し、粉末化したものであるから、安定した状態で粉末化できる。
請求項3の深層水粉末は、請求項1,2の特徴に加えて、海洋深層水が富山湾固有冷水であるから、通年を通して低温であるので、清浄性の高い原料を安定して得ることができる。
【0014】
本発明による深層水錠剤は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
請求項4の深層水錠剤は、固形化しているので、吸水性が少なく、その分、取扱が簡便で保管や輸送に便利である。しかも直接飲用することも可能であるし、ミネラル成分、特に微量ミネラルが多種類含まれているので、微量ミネラルの補給に有益である。即ち、不足しがちな微量ミネラルを補うことも期待できる。
請求項5の深層水錠剤は、脱水成分を混合して第一混合物を得た後、その第一混合物を乾燥整粒し、整粒にて得た粉状物に固形化成分を混合し、第二混合物を得て、これを固形化したものであるから、固形化が容易で、しかも安定した状態で製造し得る。
請求項6の深層水錠剤は、請求項4,5の特徴に加えて、海洋深層水が富山湾固有冷水であるから、通年を通して低温であるので、清浄性の高い原料を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による深層水粉末の最良形態を図1に基づき詳細に説明すれば、海面下200メートル以深から汲み上げた海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離し、概装置10から得たミネラル濃縮水b5を粉末・錠剤化手段9にて粉末化した深層水粉末4Bであり、多段式電気透析装置10は出願人が発明し出願しているものであって、イオン交換膜を用いた第一処理装置11にて海洋深層水Bを、イオンを多く含む濃縮深層水b4と、イオンをほとんど含まない淡水b3とに分離し、次いで一価イオン選択性に優れているイオン交換膜を用いた第二処理装置12にて、第一処理装置11で分離した濃縮深層水b4を一価の塩素イオンやナトリウムイオン等を濃縮(塩分を高濃度に含む)した濃塩水b6と、一価イオンを取り除いて得た(塩分をほとんど含まない)多価イオンのミネラル(Ca・Mgを濃厚に含む)を主とする有用微量ミネラルから成るミネラル濃縮水b5とに分離し、粉末・錠剤化手段9は、ミネラル濃縮水b5を加熱濃縮して加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を例えばハイスピードミキサーで攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを例えば50〜60℃の乾燥室で3〜5時間乾燥し、その乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。
多段式電気透析装置10により分離したミネラル濃縮水b5は、脱塩され、しかもミネラル成分、特に微量ミネラル成分を多種類含有している。
【実施例1】
【0016】
本発明による深層水粉末の第一実施形態を、最良形態と相違する点について説明すると、第一実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを逆浸透膜装置20により淡水b1と濃縮海水b2とに分離し、その内の淡水b1を急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものであり、急速粉末・錠剤化手段19として、例えばスプレードライやフリーズドライ、或いは加熱乾燥機を用いる。
逆浸透膜装置20による分離は、海洋深層水Bを塩分濃度で0.1%未満の淡水b1と、塩分濃度で5%以上の濃縮海水b2とに分離する。分離された淡水b1と濃縮海水b2には、海洋深層水Bの塩組成がほぼそのまま濃縮、希釈されている事を特長とする。
【実施例2】
【0017】
本発明による深層水粉末の第二実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すると、第二実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを逆浸透膜装置20により淡水b1と濃縮海水b2とに分離し、その内の濃縮海水b2を急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
濃縮海水b2のミネラル成分は第一実施形態の淡水b1より格段に多く含有するが、塩分も多いので、塩分を必要とする加工食品等に利用することが望ましい。
【実施例3】
【0018】
本発明による深層水粉末の第三実施形態を、第一及び第二実施形態と相違する点について説明すると、第三実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離し、概装置10から得た淡水b3を急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
多段式電気透析装置10により分離された淡水b3は、逆浸透膜装置20により分離された淡水b1よりミネラル成分が少ないと思われる。
【実施例4】
【0019】
本発明による深層水粉末の第四実施形態を、第三実施形態と相違する点について説明すると、第四実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離し、概装置10から得た濃縮深層水b4を、急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
多段式電気透析装置10により分離された濃縮深層水b4は、ミネラル成分も濃縮されているが、塩分濃度も高い。
【実施例5】
【0020】
本発明による深層水粉末の第五実施形態を、第三及び第四実施形態と相違する点について説明すると、第五実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離し、概装置10から得たミネラル濃縮水b5を、急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
多段式電気透析装置10により分離されたミネラル濃縮水b5は、ミネラル成分の種類が多く、特に微量ミネラルがバランス良く含有しているので、その分、ミネラルの補給に適している。
【実施例6】
【0021】
本発明による深層水粉末の第六実施形態を、第三〜第五実施形態と相違する点について説明すると、第六実施形態の深層水粉末14Bは、海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離し、概装置10から得た濃塩水b6を、急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
多段式電気透析装置10により分離された濃塩水b6は、ミネラル成分の種類が多いので、その分、ミネラルの補給に適しているが、塩分濃度は第四実施形態より更に高い。
【実施例7】
【0022】
本発明による深層水粉末の第七実施形態を、最良形態と相違する点について説明すると、第七実施形態の深層水粉末4Bは、最良形態の粉末・錠剤化手段9と同様に、逆浸透膜装置20にて分離した淡水b1を加熱濃縮し、加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を例えばハイスピードミキサーで攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを例えば50〜60℃の乾燥室で3〜5時間乾燥し、乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。
【実施例8】
【0023】
本発明による深層水粉末の第八実施形態を、第七実施形態と相違する点について説明すると、第八実施形態の深層水粉末4Bは、逆浸透膜装置20にて分離した濃縮海水b2を、第七実施形態の粉末・錠剤化手段9と同様に、濃縮海水b2を加熱濃縮し、加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを乾燥室で乾燥し、乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。即ち、粉末化する材料を濃縮海水b2に変えただけである。
【実施例9】
【0024】
本発明による深層水粉末の第九実施形態を、第七及び第八実施形態と相違する点について説明すると、第九実施形態の深層水粉末4Bは、多段式電気透析装置10により分離し淡水b3を、第七及び第八実施形態の粉末・錠剤化手段9と同様に、淡水b3を加熱濃縮し、加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを乾燥室で乾燥し、その乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。即ち、粉末化する材料を淡水b3に変えただけである。
【実施例10】
【0025】
本発明による深層水粉末の第十実施形態を、第七〜第九実施形態と相違する点について説明すると、第十実施形態の深層水粉末4Bは、多段式電気透析装置10により分離し濃縮深層水b4を、第七〜第九実施形態の粉末・錠剤化手段9と同様に、濃縮深層水b4を加熱濃縮し、加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを乾燥室で乾燥し、その乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。即ち、粉末化する材料を濃縮深層水b4に変えただけである。
【実施例11】
【0026】
本発明による深層水粉末の第十一実施形態を、、第七〜第十実施形態と相違する点について説明すると、第十一実施形態の深層水粉末4Bは、多段式電気透析装置10により分離し濃塩水b6を、第七〜第十実施形態の粉末・錠剤化手段9と同様に、濃塩水b6を加熱濃縮し、加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bに脱水成分7を攪拌混合し、混合物2Bを得た後、これを乾燥室で乾燥し、その乾燥混合物2Bを整粒し、整粒した粉状物3Bを微分機にて粉末化したものである。即ち、粉末化する材料を濃塩水b6に変えただけである。
【実施例12】
【0027】
本発明による深層水粉末の第十二実施形態を、第一〜第六実施形態と相違する点について説明すると、第十二実施形態の深層水粉末14Cは、海洋深層水Bとして富山湾固有冷水Cを用いたものであり、富山湾固有冷水Cは逆浸透膜装置20により淡水c1と濃縮海水c2に分離され、多段式電気透析装置10により淡水c3と濃縮深層水c4とミネラル濃縮水c5と濃塩水c6とに分離され、それらを急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化したものである。
富山湾固有冷水Cは、富山湾の容積の約65%を占めており、特開2000−290168号、特開2000−290161号等に記載した通り、高知県の外洋深層水と若干異なり、その性状として、年間を通じて2℃以下の低温で水温変化がほとんどなく、塩分34.0〜34.1psuも安定しており、表層水と比較して栄養塩類が著しく豊富に含まれ、有機物や細菌類が非常に少ないという特徴が挙げられる。
【実施例13】
【0028】
本発明による深層水粉末の第十三実施形態を、最良形態及び第七〜第十一実施形態と相違する点について説明すると、第十三実施形態の深層水粉末4Cは、海洋深層水Bとして富山湾固有冷水Cを用いたものであり、富山湾固有冷水Cを逆浸透膜装置20により分離した淡水c1と濃縮海水c2、多段式電気透析装置10により分離した淡水c3と濃縮深層水c4とミネラル濃縮水c5と濃塩水c6を、第七〜第十一実施形態の粉末・錠剤化手段9と同様に粉末化したものであり、例えば電気ヒーター等で加熱濃縮し、加熱濃縮物1Cを得た後、概加熱濃縮物1Cと脱水成分7とを攪拌混合し、第一混合物2Cを製造し、これを乾燥室で乾燥し、乾燥混合物2Cから粉状物3Cを整粒し、粉状物3Cを微分機にて粉末化したものである。
【実施例14】
【0029】
本発明による深層水錠剤の第一実施形態を図1に基づき説明すると、第一実施形態の深層水錠剤16Bは、海洋深層水Bを逆浸透膜装置20により分離した淡水b1と濃縮海水b2、及び多段式電気透析装置10により分離した淡水b3と濃縮深層水b4とミネラル濃縮水b5と濃塩水b6の内の1種類を急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化し、深層水粉末14Bを得た後、深層水粉末14Bを直接打錠したものであり、打錠には周知手段を用いる。
【実施例15】
【0030】
本発明による深層水錠剤の第二実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すると、第二実施形態の深層水錠剤6Bは、逆浸透膜装置20により分離した淡水b1と濃縮海水b2、及び多段式電気透析装置10により分離した淡水b3と濃縮深層水b4とミネラル濃縮水b5と濃塩水b6の1種類を、粉末・錠剤化手段9にて加熱濃縮し、水分を少なくした加熱濃縮物1Bと成し、概加熱濃縮物1Bを脱水成分7と攪拌混合し、第一混合物2Bを得た後、第一混合物2Bから水分を脱水すべく乾燥室で乾燥し、その乾燥混合物2Bを整粒し、粉状物3Bを得る。次いで粉状物3Bを固形化成分8と混合し、第二混合物5Bを得た後、第二混合物5Bを打錠したものである。
【実施例16】
【0031】
本発明による深層水錠剤の第三実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すると、第三実施形態の深層水錠剤16Cは、海洋深層水Bとして富山湾固有冷水Cを用いたものであり、富山湾固有冷水Cを逆浸透膜装置20により分離した淡水c1と濃縮海水c2、或いは多段式電気透析装置10により分離した淡水c3と濃縮深層水c4とミネラル濃縮水c5と濃塩水c6を原料とし、急速粉末・錠剤化手段19にて直接粉末化し、深層水粉末14Cを得た後、深層水粉末14Cを直接打錠したものである。
【実施例17】
【0032】
本発明による深層水錠剤の第四実施形態を、第二実施形態と相違する点について説明すると、第四実施形態の深層水錠剤6Cは、海洋深層水Bとして富山湾固有冷水Cを用いたものであり、富山湾固有冷水Cを逆浸透膜装置20により分離した淡水c1と濃縮海水c2、或いは多段式電気透析装置10により分離した淡水c3と濃縮深層水c4とミネラル濃縮水c5と濃塩水c6を原料とし、粉末・錠剤化手段9にて加熱濃縮し、水分を少なくした加熱濃縮物1Cと成し、概加熱濃縮物1Cを脱水成分7と攪拌混合し、第一混合物2Cを得た後、第一混合物2Cから水分を脱水すべく乾燥室で乾燥し、その乾燥混合物2Cを整粒し、粉状物3Cを得る。次いで粉状物3Cを固形化成分8と混合し、第二混合物5Cを得た後、第二混合物5Cを打錠したものである。
【実施例18】
【0033】
実験例1:深層水粉末

ミネラル濃縮水c5=100mlを20mlになるまで加熱濃縮したものである。
乳糖=粉末化の基材である。
α化澱粉(KZR−101)=日澱化学製、
KZR−10の微細粉末タイプであり、粒子がこまかいので、滑らかな食感が特に要求される場合に最適である。しかも、優れた吸水、保水能力を持つα化澱粉で、僅かの添加量で、より多くの水溶液を吸水できるメリットがある。
ラクトイウエイ2=松谷化学工業製
液状エキスや調味料の吸着剤として使われ、KZRほどではないが、普通の馬鈴薯澱粉よりも液状成分の吸着性は良くなっている。70℃で溶け、吸湿安定性に優れている。
水分含量を低く抑えることにより、他の素材から効率的に水分を吸着することを可能にした食品用澱粉。低粘性であり、食品の持つ風味、テクスチャーに影響を与えない。また、粉末化と造粒を一工程で行えるので、製造コストを低く抑えることができるし、加熱操作を伴わないので、芳香成分の散逸、風味の劣化及び色沢の変化等がほとんどない。
【0034】
加熱濃縮工程では、電気ヒーターを用いる。
攪拌混合工程では、乳糖と澱粉(ラクトイウエイ2)とα化澱粉(KZR−101)とを脱水成7とし、これを加熱濃縮物1Bと深江工業株式会社のハイスピードミキサーFS−GS30で攪拌混合する。
乾燥工程では、攪拌混合工程で得た第一混合物2Bを、松井製作所のサニタリー箱型乾燥機SPH−200DLを用い、50℃で3時間乾燥する。
整粒工程では、乾燥第一混合物2Bを不二パウダル株式会社のフラッシュミルFL200G整粒機により整粒し、16〜21メッシュの粉状物3Bを、不二パウダル株式会社のサンプルミルK2W−1微粒粉砕機を用いて粉末化する。
【0035】
実験例2:深層水錠剤


「含有量」1g(4粒)当たりの主要成分含有量(計算値)
【0036】
乾燥工程では、攪拌混合工程で得た第一混合物2Bを、松井製作所のサニタリー箱型乾燥機SPH−200DLを用い、55℃で5時間以上乾燥する。
混合工程では、整粒された21メッシュの粉状物3Bに固形化成分7として、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を1〜5%混合する。
打錠工程では、菊水製作所のロータリー打錠機COLLECT36HUKを用い、径8mm、重さ250mg、硬度5kg以上の円柱錠に形成する。
固形化成分7は滑沢剤としての性質も有する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の深層水粉末は、海洋深層水Bを多段式電気透析装置10により分離した淡水b3とミネラル濃縮水b5と濃塩水b6、及び海洋深層水Bを逆浸透膜装置20により分離した淡水b1と濃縮海水b2との内、2液を混合し、例えば淡水b3とミネラル濃縮水b5、淡水b3と濃塩水b6、ミネラル濃縮水b5と濃塩水b6を混合し、その混合水を粉末・錠剤化手段9,19にて粉末化することも可能である。
【0038】
本発明の深層水粉末と深層水錠剤は、海洋深層水Bを逆浸透膜装置20により分離した淡水b1と濃縮海水b2、及び多段式電気透析装置10により分離した淡水b3とミネラル濃縮水b5と濃塩水b6、更に富山湾固有冷水Cを逆浸透膜装置20により分離した淡水c1と濃縮海水c2、及び多段式電気透析装置10により分離した淡水c3とミネラル濃縮水bcと濃塩水c6の内、少なくとも2液以上を混合し、その混合液を粉末・錠剤化手段9,19にて粉末化、及び錠剤化することも可能である。
【0039】
本発明の深層水粉末及び深層水錠剤における特徴の1つは、脱塩したミネラル濃縮水b5に含有するミネラル成分が人体を構叢成しているミネラル成分と略一致し、しかもミネラル成分のバランスも近似している点にある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による深層水粉末と深層水錠剤の製造工程例を示すブロック線図である。
【図2】粉末・錠剤化手段の製造工程例を示すブロック線図である。
【符号の説明】
【0041】
1B,1C 加熱濃縮物
2B,2C 第一混合物
3B,3C 粉状物
4B,4C,14B,14C 本発明による深層水粉末
5B,5C 第二混合物
6B,6C,16B,16C 本発明による深層水錠剤
7 脱水成分
8 固形用成分
9 粉末・錠剤化手段、19 急速粉末・錠剤化手段
10 多段式電気透析装置、11 第一処理装置、12 第二処理装置
20 逆浸透膜装置
B 海洋深層水
C 富山湾固有冷水
b1,c1,b3,c3 淡水
b2,c2 濃縮海水
b4,c4 濃縮深層水
b5,c5 ミネラル濃縮水
b6,c6 濃塩水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋深層水(B)を逆浸透膜装置(20)により分離した淡水(b1)と濃縮海水b2、多段式電気透析装置(10)により分離した淡水(b3)と濃縮深層水(b4)とミネラル濃縮水(b5)と濃塩水(b6)から選ばれた1種を急速粉末・錠剤化手段(19)にて直接粉末化したことを特徴とする深層水粉末。
【請求項2】
海洋深層水(B)を逆浸透膜装置(20)により分離した淡水(b1)と濃縮海水b2、多段式電気透析装置(10)により分離した淡水(b3)と濃縮深層水(b4)とミネラル濃縮水(b5)と濃塩水(b6)から選ばれた1種を粉末・錠剤化手段(9)にて加熱し、加熱濃縮物(1B)を得た後、加熱濃縮物(1B)と脱水成分(7)とを混合し、その混合物(2B)を乾燥整粒し、整粒後の粉状物(3B)を微分機において粉末化したことを特徴とする深層水粉末。
【請求項3】
海洋深層水(B)が富山湾固有冷水(C)であることを特徴とする請求項1または2記載の深層水粉末。
【請求項4】
海洋深層水(B)を逆浸透膜装置(20)により分離した淡水(b1)と濃縮海水b2、多段式電気透析装置(10)により分離した淡水(b3)と濃縮深層水(b4)とミネラル濃縮水(b5)と濃塩水(b6)から選ばれた1種を急速粉末・錠剤化手段(19)にて直接粉末化し、その深層水粉末(14B)を打状して固形化したことを特徴とする深層水錠剤。
【請求項5】
海洋深層水(B)を逆浸透膜装置(20)により分離した淡水(b1)と濃縮海水b2、多段式電気透析装置(10)により分離した淡水(b3)と濃縮深層水(b4)とミネラル濃縮水(b5)と濃塩水(b6)から選ばれた1種を粉末・錠剤化手段(9)にて加熱し、加熱濃縮物(1B)を得た後、加熱濃縮物(1B)と脱水成分(7)とを混合し、その第一混合物(2B)を乾燥整粒し、整粒により得た粉状物(3B)に固形化成分(8)を混合し、第二混合物(5B)を得て、これを打錠したことを特徴とする深層水錠剤。
【請求項6】
海洋深層水(B)が富山湾固有冷水(C)であることを特徴とする請求項4または5記載の深層水錠剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−219391(P2006−219391A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32702(P2005−32702)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(592008756)五洲薬品株式会社 (19)
【Fターム(参考)】