説明

混合・粉砕微粒子化装置

前面開口の小室を上流側から下流側に向けて1個、1個、2個の順で備えている第一、第二の構造物を、小室の開口している側を互いに対向させて密着配置することによって、一方の構造物における1個の小室から、他方の構造物における1個の小室、一方の構造物における前記1個の小室の下流に位置する2個の小室、他方の構造物における前記1個の小室の下流に位置する次位の1個の小室、一方の構造物における前記2個の小室の下流に位置する次位の1個の小室、他方の構造物における前記次位の1個の小室の下流に位置する2個の小室、一方の構造物における前記次位の1個の小室の下流に位置する次々位の1個の小室へと連通する流体物流路が形成されている混合・粉砕微粒子化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、種々の物質を流体に混合し、粉砕、微粒子化する装置と、これらを用いた物質の混合、粉砕、微粒子化方法に関する。特に、機械的動力を用いることなしに物質の混合、粉砕、微粒子化を実現し、更には、種々の改質、等の反応工程を促進させることのできる方法と装置に関する。
【背景技術】
従来、機械動力を有しない静止型混合装置としては、日本国 特開昭58−133822号公報に記載されているものが知られている。これは、前面が開口している小室を一側面の全面に(全域に亘って)ハニカム状に複数個備えている第一の構造物と第二の構造物とを、それぞれの前記小室の前面開口を互いに対向させて密着配置し、第一の構造物の小室から、対向配置されている第二の構造物の複数個の小室へ、また、第二の構造物の小室から、対向配置されている第一の構造物の複数個の小室へと、均一混合すべき流体を流動させるものである。これによって、流体が複数の小室の壁に衝突し、流れの複雑な分散、反転、渦流、放射状の分散、集合を繰り返すことにより均一な混合を実現しようとしたものである。
しかし、この日本国 特開昭58−133822号公報に記載されている装置では、第一、第二の構造物の周辺部分になるとハニカム状に配置されている前面開口の小室の形状が、第一、第二の構造物の中心部における形状と同一にならず、一辺、又は、二辺が切り欠けた形状にならざるを得なかった。
この切り欠け部が存在するところでは流体の流れのショートパスが発生し、結局、流体は最も流動に対する抵抗の少ないところへ流れてしまうので、前述した流体の複雑な流動現状を生起させて均一な混合を実現するという目的を達成することが困難であった。
また、日本国 特開昭58−133822号公報に記載されている静止型混合装置は、流体の混合のみに焦点を当てたものであるため、混合を行いながら物質の粉砕、微粒子化、改質、等の作用、効果を発揮させることはできなかった。
本願の発明者は、静止型混合装置において、前面が開口している小室を一側面の全面に(全域に亘って)ハニカム状に複数個備えている第一、第二の構造物の小室の形状・構造に工夫を加え、第一、第二の構造物の周辺でも、中心部側に配置されている小室と同一形状・構造の小室が配備されるようにして、前述したショートパスの発生を抑え、複数の小室の壁に流体が衝突することによる流れの複雑な分散、反転、渦流、放射状の分散、集合を繰り返させ、均一な混合だけにとどまらず、流体に混合されている物質の粉砕、微粒子化、改質をも可能にする混合・粉砕微粒子化装置を提案している(日本国 特開2002−126487号公報、日本国 特開2002−1119836号公報、日本国 特開2002−28463号公報)。
【発明の開示】
本願発明者は、混合、粉砕、微粒子化をより一層効果的、効率的に行うことができ、なおかつ、装置の形状、構造が簡素で、製造コストを抑えることも可能な混合・粉砕微粒子化装置を開発すべく、先に提案した前述の混合・粉砕微粒子化装置に更に改良を加えて本願発明を完成させたものである。
先に提案した前述の混合・粉砕微粒子化装置について本願発明者が検討を加えたところ、前面の開口している側を互いに対向させて配置されているどちらかの構造物の小室から、対向する他方の構造物の小室に流体が流動していく際、流体が小室に流入して圧縮されるようになる状態と、流体が小室から流出していこうとして解放、拡散されるようになる状態とがあり、前者のときに、より強い圧縮方向の力を受け、後者のときに、より小さな圧力になるように効果的に解放、拡散され、両者の間の圧力の差がより大きくなれば、より効果的、効率的に、混合、粉砕、微粒子化を行い、改質、等の種々の反応工程の促進を実現できることを見出した。
そして、前述した流体が小室に流入して圧縮されるようになる状態のときに受ける圧縮方向の力と、流体が小室から流出していこうとして解放、拡散されるようになる状態のときの解放、拡散によって低下された圧力との間の差を最大にするためには、複数個の小室の配置位置、各小室の形状、構造に重要な意義があることを見出した。
かかる知見から本願発明者が発明した混合・粉砕微粒子化装置は以下の構造からなるものである。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置は、前面が開口している小室を一側面の上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向けて複数個備えている第一の構造物と第二の構造物とが、それぞれの前記小室の前面開口を互いに対向させて密着配置されることによって、第一の構造物の小室から第二の構造物の小室、第二の構造物の小室から第一の構造物の小室へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて流体物流路が形成されているものである。
ここで、前記第一の構造物及び第二の構造物に備えられている複数個の小室は、上流側から下流側に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものであり、当該1個の小室は、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有するものである。
そして、前記の流体物流路が連続する形態が、本発明の混合・粉砕微粒子化装置では、第4図(a)、(b)を参照して説明すると、以下のようになっている。どちらか一方の構造物(例えば、第一の構造物2)の上流側に位置する1個の小室4から、対向する他方の構造物(例えば、第二の構造物22)の上流側に位置する2個の小室26a、26bへ、続いて当該対向する他方の構造物22における当該2個の小室26a、26bから、前記一方の構造物2における前記1個の小室4より下流側に位置する次位の1個の小室5へ、続いて、当該一方の構造物2における当該次位の1個の小室5から、前記対向する他方の構造物22における2個の小室26a、26bより下流側に位置する次位の1個の小室27へ、続いて、当該他方の構造物22における当該次位の1個の小室27から、前記一方の構造物2における前記次位の1個の小室5より下流側に位置する次位の2個の小室6a、6bへ、引き続いて、当該一方の構造物2における当該次位の2個の小室6a、6bから、前記他方の構造物22における前記次位の1個の小室27より下流側に位置する次々位の1個の小室28へ、続いて、当該他方の構造物22における前記次々位の1個の小室28から、前記一方の構造物2における前記次位の2個の小室6a、6bより下流側に位置する次々位の1個の小室7へと流体物流路が連続するものである。
なお、前述した、どちらか一方の構造物の上流側に位置する1個の小室からスタートして、当該どちらか一方の構造物における下流側の一個の小室まで続く、前面が開口している小室を一側面の上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向けて複数個備えている第一、第二の構造物が、それぞれの小室の前面開口を互いに対向させて密着配置されることによって、第一の構造物の小室から第二の構造物の小室、第二の構造物の小室から第一の構造物の小室へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて流体物流路が形成されている本発明に特有の形態は、前面が開口している小室を当該開口を互いに対向させて配置される第一、第二の構造物が、それぞれ、前述したように、上流側から下流側に向かって、1個、1個、2個の順で小室が配置される形式が一回又は複数回繰り返され、当該1個の小室は、その中心を第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有するように形成され、このように形成された第一、第二の構造物が、前述した、どちらか一方の構造物の上流側に位置する1個の小室からスタートして、当該どちらか一方の構造物における下流側の一個の小室まで続く流体物流路が形成されるように対向配置されているものであれば、総て本発明に属するものである。
すなわち、一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室、というパターンからなるように流体物流路が形成されている形態であれば、どちらか一方の構造物の出発点となる小室の数が1個であると2個であるとを問わないものである。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置は、前述した特徴的な構造を備えていることにより、混合、粉砕、微粒子化すべき物質が混合されている流体が前記流体物流路に上流側から圧入されると、当該流体はバランスを崩すことなく、スムーズに前記流体物流路を流動し、どちらか一方の構造物における2個の小室から、他方の構造物における1個の小室に流入する際に圧縮される方向への強い力を受け(この現象を「包圧」という)、一方、どちらか一方の構造物における1個の小室から、他方の構造物における2個の小室に流入する際に、バランスよく、均等、かつ効果的に拡散(この現象を「爆散」という)する。
そして、前記の特徴的な構造を備えていることにより、この包圧の際に受ける強い圧力と、爆散によって小さくなる圧力との間の差が極めて大きくなり、しかも、これが連続的に繰り返されるので、きわめて効果的、かつ、効率よく、混合、粉砕、微粒子化を行うことができるのである。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置におけるこの微粒子化は、粉砕、微粒子化する対象物を真球状の微粒子にできるものである。
しかも、前述した形態で流体物流路が形成されているだけで十分であり、第一、第二の構造物の一側面の全面(全域)に亘って小室を配備する必要はなく、第一、第二の構造物の一側面において、その上流側に位置する側から、下流側に位置する側に向かって、小室が、1個、1個、2個の順で配置されていれば良いので、製造が容易で、なおかつ、製造コストを低く抑えることも可能になる。
なお前述した本発明の混合・粉砕微粒子化装置において、前記第一の構造物及び第二の構造物に備えられている複数個の小室は、上流側から下流側に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものであって、当該1個の小室は、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有する形態に代えて、小室が、上流側から下流側に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものでありさえすれば、それぞれの形状、構造に特に限定をつけないようにすることもできる。
混合・粉砕・微粒子化すべき物質をほぼ均一な粒径を有する微粒子へと混合・粉砕・微粒子化する場合には、前述したように、小室の形状、構造は、前記1個の小室4、5(第1図(a))、33、34(第1図(b))等が、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線37に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室3a、3b(第1図(a))〜35a、35b(第1図(b))等は当該小室4、5、33、34等の中心線37に対して線対称に配置されていると共に、当該小室4、5、33、34等の中心線37に対して対称な形状、構造を有することが望ましい。
しかし、小室の形状、構造をこのように限定しなくても、複数個の小室の配置形式を第一の構造物、第二の構造物とも、上流側から下流側に向けて1個、1個、2個の順とし、流体物流路が、一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室、というパターンで連続するものでありさえすれば、処理後の粒径の大きさが不均一であっても、混合・粉砕・微粒子化すべき物質を粒径0.5ミクロン〜8ミクロン程度の微粒子にすることが十分可能である。
本発明の他の混合・粉砕微粒子化装置は、同じく、前面が開口している小室を一側面の上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向けて複数個備えている第一の構造物と第二の構造物とが、それぞれの前記小室の前面開口を互いに対向させて密着配置されることによって、第一の構造物の小室から第二の構造物の小室、第二の構造物の小室から第一の構造物の小室へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて流体物流路が形成されているものである。
そして、前記複数個の小室は、上流側から下流側に向かって、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものであり、当該1個の小室は、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有するものである。
更に、流体物流路が連続する形態は、第8図(a)を用いて説明すると、どちらか一方の構造物の上流側に位置する1個の小室60から、対向する他方の構造物の上流側に位置する1個の小室70へ、続いて、当該対向する他方の構造物における当該1個の小室70から、前記一方の構造物における前記1個の小室60より下流側に位置する次位の2個の小室61a、61bへ、続いて、当該一方の構造物における当該次位の2個の小室61a、61bから、前記対向する他方の構造物における前記1個の小室70より下流側に位置する次位の2個の小室71a、71bへ、続いて、当該他方の構造物における当該次位の2個の小室71a、71bから、前記一方の構造物における前記次位の2個の小室61a、61bより下流側に位置する次位の1個の小室62へと連続して形成されるものである。すなわち、流体物流路が、一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室、というパターンで連続するものである。
この第8図(a)図示の、流体物流路が、一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室、というパターンで連続するものである場合には、前述した第一の発明である1、2、1、1、2、1、1、2、1、1、2、1、1、2、1、1、2の個数の順で小室の空間が連続されて流体物流路が形成されている場合に比較して、包圧、爆散現象が穏やかに起こるので、微粒子の粒径を小さくできる効率に劣るが、より小さな圧力で処理対象物たる物質が混合されている流体を装置内に圧送するだけで混合・粉砕・微粒子化処理を行えるので有利である。
なお、この場合、対向する小室と小室との間に形成される流体物流路の横断面積(第8図(b)中、斜線部81、82、83、84、85、86、87、88)は流体物流路の総てにおいて同一であることが、処理対象物たる物質が混合されている流体をバランスよく流動させ、より均一な粒径を有する微粒子に微粒子化する上で望ましい。
なお、前述した本発明のいずれの混合・粉砕微粒子化装置においても、その上流側に位置する入り口部に接続している流体物流入管が、上流側から当該入り口部までの間に気体注入部を備えている構造にすることができる。この場合、前記流体物流入管の流体物流動部に連続している気体注入部の流体物流動部は、前記流体物流入管における流体物流動部の内径より小さな内径を有していると共に、当該気体注入部の流体物流動部の内径より小さい内径を有する気体注入管が当該気体注入部の流体物流動部に接続されている構造にすることが望ましい。
前述したいずれの本発明の混合・粉砕微粒子化装置においても、流体物流路中における流体物の複雑な流動の過程で、局所的に圧力の高い部分と圧力の低い部分とが生じる。この結果、局所的に圧力の低下した部分で、流体物中に無数の微小な気泡が発生するキャビテーション現象が生じる。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置によれば、このキャビテーション現象によって発生した無数の微小な気泡がはじける際に生じる強い衝撃波によって、流体物中に混入している混合・粉砕微粒子化処理の対象物が強い圧力を受け、粉砕、微粒子化が促進されている。
混合・粉砕微粒子化装置の入り口部に接続している流体物流入管に配備されている気体注入部から所望の気体を注入することにより、前記のキャビテーション現象をより効果的、より大規模に発生させることができる。そして、これによって、流体物中に混入している混合・粉砕微粒子化処理の対象物の粉砕、微粒子化をより一層促進することができる。
なお、前記の気体注入部において、流体物流入管の流体物流動部に連続している気体注入部の流体物流動部が、流体物流入管における流体物流動部の内径より小さな内径を有している構造にするのは、気体注入部の流体物流動部における圧力を、流体物流入管の流体物流動部における圧力より低くするためである。なお、このように、気体注入部の流体物流動部は、流体物流入管における流体物流動部の内径より小さな内径になっているので、気体注入部の流体物流動部を流動する流体物の流速は、流体物流入管の流体物流動部を流動している流体物の流速より速くなっている。
そして、気体注入管の内径が、気体注入部の流体物流動部の内径より小さくなっていることにより、エジェクター現象が生じ、気体は、気体注入管から気体注入部の流体物流動部内に微小な気泡となって効率よく注入される。これによって、前述したキャビテーション現象をより効果的、より大規模に発生させることに貢献できる。
以上説明したように本発明の混合・粉砕微粒子化装置と方法によれば、以下に述べるような優れた作用効果が得られる。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置中に形成されている流体物流路によれば、ここを流動する混合・微粒子化処理を施すべき物質には、加圧による圧縮と瞬時の爆発的な解放、圧縮と分散・解放、流路内での乱流の生起、抱圧力及び解放圧の付加という作用が、連続的に加えられ、被微粒子化材の応力分解ができ、微粒子の生成及び造粒を得る効果を奏する。すなわち、いわゆる散逸理論によって説明されるところにより、極めて優れた、混合、粉砕、微粒子化が行われる。
特に、微粒子化においては、繊維状物質をも真球状の微粒子にまで、微粒子化することができる。
前面開口の小室が複数個配備されている第一、第二の構造物、半円柱体、円筒体、蓋体、等の本発明の混合・粉砕微粒子化装置を構成する部材を、炭素と銅、炭素とアルミ、炭素とマグネシュウム、炭素とタングステン、炭素と酸化チタン等の多種多様な金属複合材料や、セラミックス及びトルマリン等の鉱物材料、等によって形成することにより、触媒効果が得られる
本発明の混合・粉砕微粒子化装置を構成する前面開口の小室が配備されている第一の構造物、第二の構造物を、樹脂又は合成樹脂の成型品とすれば、前面開口の小室を精度よく製造することができる。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置を構成する第一、第二の構造物、半円柱体、円筒体の外周に、磁力を発生する磁石等のN極及びS極をそれぞれ複数対向させて配備すれば、混合・粉砕微粒子化処理すべき流動物を、磁力によって再分子化することができ、より混合力が高められ、また、微粒子化を促進できる。
また、本発明の混合・粉砕微粒子化装置を構成する半円柱体、円筒体内への、流体物流路を形成するための構造物の取り付け、取り外しは、半円柱体を二分割し、半円柱に設けられている凹部に前記構造物を嵌合固定する、あるいは取り外すようにして行うことができる。そこで、組み立て、分解、メンテナンスが極めて容易である。また、一側面に複数個の小室が配備、形成されている第一の構造物2、第二の構造物22が、それぞれ、半円柱体40a、40bと一体的に成形されているように放電加工によって、直接、半円柱体40a、40bと第一の構造物2、第二の構造物22との一体物を製造することによって、組み立て性よく、高精度に流体物流路、混合・粉砕微粒子化装置を製造することもできる。
このように、流体物流路を形成する構造物の取り付け、取り外しを簡単に行うことができるので、それぞれ材質が異なる構造物を用いて流体物流路を形成することができ、混合、微粒子化する物質に対して最適の混合処理、微粒子化処理を行うことができる。
例えば、混合処理、微粒子化処理を行う物質の特性、流体流に含まれているその割合、等に応じて、流体物流路を形成するための構造体に備えられている前面開口の小室の大きさ、数、形状を替えたり、その材質を替えることにより、混合・粉砕微粒子化する物質に対して最適の混合処理、微粒子化処理を行うことができる。
また、産業廃棄物を粉砕し、流体化したものを、圧力をかけて純酸素の気体と一緒に本発明の装置の流体物流路内に注入すると、各小室を流通する際に受ける分散、衝突、渦流の繰り返し作用により、混合・微粒子化する物質における結合された分子同士を分解し、無害化することができる。
また、本発明の混合・粉砕微粒子化装置における半円柱体、円筒体、流体物流路を形成するための構造体などを、熱導伝性の素材、例えば、銅、アルミ及びカーボン等により成形することで、熱交換器として使用可能となり、混合・微粒子化と、熱交換を同時に行える効果を奏する。
微粒子化すべき物質が混合されている流体を、本発明の混合・粉砕微粒子化装置の流体物流路に圧入すれば、当該流体は、互いに対向している前面開口の小室同士によって形成されている流体物流路を通り、この過程で、一つの小室から二つの小室へ、また、二つの小室から一つの小室へ繰り返し流入及び流出し、そのたびごとに、瞬時開放による爆発的解放圧と、強い圧縮とを繰り返し受ける。これによって、微粒子化すべき物質を超微粒子化及び分子化することができる。
また、本発明の混合・粉砕微粒子化装置を、微粒子化すべき物質の臨界条件下、超臨界条件下で用いることにより、産業廃棄物、例えば、環境汚染物質等の難分解性物質であるダイオキシン類等を、分解し、無害化処理することができる。すなわち、このような使用方法にすることによって、被分解物質と溶媒との混合、更に、被分解物質の超微粒子化、分子化を促進させ、かつ、反応分解を促進させ、優れた分解処理を可能にできる。この際に、更に、超音波照射手段、電磁波照射手段、赤外線及び遠赤外線照射手段、レーザ照射手段、プラズマ発生手段、等を組み合わせて使用することにより、被分解物質の超微粒子化、分子化を一層促進させ、かつ、反応分解を一層促進させ、一層進んだ分解処理を可能にできる。
また、本発明の混合・粉砕微粒子化装置を、臨界条件下、超臨界条件下で用いることにより、加工食品の原料や、薬品の原料を連続処理し、各原料の酵素、胞子の失活処理、殺菌処理、脱臭処理を効率よく、安全に、かつ、連続的に行うことができる。また、化学物質の化学反応を制御し、化学物質の生成、分解、等の処理を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置に採用される第一の構造物において小室が配備されている面を表す平面図、第1図(b)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置に採用される第二の構造物において小室が配備されている面を表す平面図、第1図(c)は第1図(a)、(b)図示の第一、第二の構造物が小室の開口している側を互いに対向させて密着配置され流体物流路が形成された際の小室の配置状態を説明する平面図。
第2図(a)は第一、第二の構造物を密着配置して流体物流路を形成する一つの実施形態を入り口部側から見た図、第2図(b)は第2図(a)図示の第一、第二の構造物が密着配置された状態を入り口部側から見た図、第2図(c)は第一、第二の構造物を密着配置して流体物流路を形成する他の実施形態を入り口部側から見た図。
第3図は本発明の混合・粉砕微粒子化装置の一実施形態を表す斜視図。
第4図(a)は本発明の他の混合・粉砕微粒子化装置における流体物流路を説明する図であって、第1図(c)に対応する状態を表す図、第4図(b)は第4図(a)の状態を側面から説明する図。
第5図(a)は本発明の他の混合・粉砕微粒子化装置における流体物流路を説明する図であって、第1図(c)に対応する状態を表す図、(第5図b)は第5図(a)の状態を側面から説明する図。
第6図(a)は、本発明の他の混合・粉砕微粒子化装置における流体物流路を説明する図であって、第1図(c)に対応する状態を表す図、第6図(b)は第6図(a)の状態を側面から説明する図。
第7図は本発明の他の混合・粉砕微粒子化装置における流体物流路を説明する図であって、第1図(c)に対応する状態を表す図。
第8図(a)は本発明の更に他の混合・粉砕微粒子化装置における流体物流路を説明する図であって、第1図(c)に対応する状態を表す図、第8図(b)は第8図(a)において対向する小室によって形成される流体物流路横断面積を説明する図。
第9図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置を用いて混合・粉砕微粒子化処理を行う前の炭素粉末(1200℃処理炭)についての電子顕微鏡写真、第9図(b)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置を用いて混合・粉砕微粒子化処理を行う前の炭素粉末(2800℃処理炭)についての電子顕微鏡写真。
第10図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置によって5分間処理を行った後の1200℃処理炭の電子顕微鏡写真、第10図(b)は第10図(a)の倍率を拡大した電子顕微鏡写真。
第11図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置によって5分間処理を行った後の2800℃処理炭の電子顕微鏡写真、第11図(b)は第11図(a)の倍率を拡大した電子顕微鏡写真。
第12図は本発明の混合・粉砕微粒子化装置が大豆を超微粒子化する装置として用いられる際の一実施形態を説明する正面図。
第13図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置を用いた微粒子化方法が採用されている混合・粉砕微粒子化の一実施形態を説明するブロック図、第13図(b)は他の実施形態を説明するブロック図、第13図(c)は更に他の実施形態を説明するブロック図。
第14図は本発明の混合・粉砕微粒子化装置を用い、連続超臨界処理によって廃プラスチック、バージンプラスチックの微粒子化処理を行う実施形態を説明するブロック図。
第15図は、本発明の混合・粉砕微粒子化装置に備えられている気体注入部を説明する一部を省略した断面図。
【符号の説明】
1:混合・粉砕微粒子化装置
2:第一の構造物
22:第二の構造物
3a、3b、4、5、6a、6b、7、8、9a、9b、10、11、12a、12b、13、14:小室
24、25、26a、26b、27、28、29a、29b、30、31、32a、32b、33、34、35a、35b:小室
51:ガイドピン孔
52:ガイドピン
40a、40b:半円柱体
55:円筒体
56a:入り口部
56b:排出部
57a、57b:蓋体
100:混合・粉砕微粒子化装置
102:圧力ポンプ
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
第1図(a)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置に採用される第一の構造物2の、前面開口の複数の小室3a、3b、〜、14が配備されている面を表す平面図である。第1図(b)は本発明の混合・粉砕微粒子化装置に採用される第二の構造物22の、前面開口の複数の小室24、〜、35a、35bが配備されている面を表す平面図である。
第一の構造物2に備えられている複数の小室は、第1図(a)中、符号4、5、6a、6b、7、8、9a、9b、10、11、12a、12bで示すように、上流側(第1図(a)中、右側)から下流側(第1図(a)中、左側)に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものである。
第1図(a)図示の形態では、第1図(a)中、上流側(第1図(a)中、右側)から下流側(第1図(a)中、左側)に向かって、最初に2個の小室3a、3bが配備され、引き続いて1個の小室4、1個の小室5と順に配備され、下流側(第1図(a)中、左側)は、1個の小室13、1個の小室14が、2個の小室12a、12bに引き続いて順に配備されている。
本発明でいうところの第一、第二の構造物に備えられている複数の小室が、上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるとは、第1図(a)図示のような形態の他に、第1図(a)中、1個の小室4、5に引き続いて、2個の小室6a、6bが順番に配置される形式、第1図(a)中、2個の小室3a、3bに引き続いて、1個の小室4、5が順番に配置される形式、第1図(a)中、1個の小室5に引き続いて、2個の小室6a、6b、引き続いて、1個の小室7が順番に配置される形式、そして、上流側(第1図(a)中、右側)から下流側(第1図(a)中、左側)に向かって、これらの形式が種々組み合わされ、繰り返される形式を総て含むものである。
第1図(b)図示の形態では、第1図(b)中、上流側(第1図(b)中、右側)から下流側(第1図(b)中、左側)に向かって、最初に1個の小室24、1個の小室25、引き続いて2個の小室26a、26bと順に配備され、下流側(第1図(b)中、左側)は、2個の小室35a、35bが、1個の小室33、1個の小室34に引き続いて順に配備されている。
第一の構造物2においても、第二の構造物22においても、1個の小室4、5、7、8、10、11、13、14、24、25、27、28、30、31、33、34は、その中心を第一、第二の構造物2、22の上流側から下流側へ通る当該小室4、等の中心線37に対して対称な形状、構造を有している。また、2個の小室3aと3b、6aと6b、9aと9b、12aと12b、26aと26b、29aと29b、32aと32b、35aと35bとは、小室4、等の中心線37に対して線対称に配置されていると共に、当該小室4、等の中心線37に対して対称な形状、構造を有している。
第1図(a)〜(c)図示の形態では、小室3a、3b、4、等は、いずれも、五角形状の同一の形状、構造を有している。
第1図(a)、第1図(b)中、符号16a、36aで示されている部分は、混合、粉砕、微粒子化処理を受ける流体が流入してくる流入口である。また、符号16b、36bで示されている部分は、混合、粉砕、微粒子化処理を受けた流体が排出されていく排出口である。
この、第一の構造物2と、第二の構造物22の、それぞれの一側面に配備されている複数の小室3a、3b、〜、14、24、〜、35a〜35bの前面開口を第2図図示のように(第一の構造物2は小室の開口している側を第2図中、下側に向け、第二の構造物22は小室の開口している側を第2図中、上側に向けて)互いに対向させ、矢示53a、53b方向から両構造物を密着させる。ついで、両側から矢示54a、54bのように半円柱体40a、40bで挟み込んで、第一の構造物2と、第二の構造物22とが密着配置されている状態で挟持し、当該半円柱体40a、40bの外径に対応する内径を有する中空の円筒体55で第3図図示のようにこの半円柱体40a、40bの外側を覆う。次に、入り口部56a、排出部56bをそれぞれ形成する蓋体57a、57bをそれぞれ前記円筒体55の入り口部側(内部で、流体物流路の流入口16a、36aが面している側)、排出部側(内部で、流体物流路の排出口16b、36bが面している側)に取り付けて、本発明の混合・粉砕微粒子化装置とすることができる。
第2図図示の形態では、第一の構造物2と第二の構造物22とが、一側面に設けられている小室の開口している側を互いに対向させて密着配置されて形成した流体物流路が入り口側(上流側)から排出側(下流側)に向かって1本のみ形成されているが、所望に応じて、同様に、前面開口の複数の小室の開口側を互いに対向させて密着配置される他の第一の構造物と第二の構造物との組み合わせを複数段積層することにより、入り口側(上流側)から排出側(下流側)に向かって流体物流路が複数本並列されて形成される構成にすることもできる。
第1図(a)、(b)図示の第一、第二の構造物2、22を第2図図示のように、複数個の小室の開口を互いに対向させて密着配置し、流体物流路を形成した場合の各小室の配置関係を第2図中、上側から見た状態を示したものが第1図(c)である。
第1図(a)、(b)、(c)図示の形態では、各小室3a、3b、4、5、〜24、25、26a、26b〜35a、35bの開口の形状は五角形である。
第4図(a)は、第一の構造物2、第二の構造物22に配備されている各小室の形状が楕円形である場合における第1図(c)に対応する図である。第4図(b)は、第4図(a)を側面から説明する図である。第4図(a)、第4図(b)中、第1図(a)〜(c)で説明した部分に対応する部分には同一の符号をつけてある。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置において、第一の構造物2の小室3a、3b、4等から、第二の構造物22の小室24、25、26a、26b、等へ、また、その逆(第二の構造物22の小室から第一の構造物2の小室へ)へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて形成される流体物通路を、混合、粉砕、微粒子化処理される流体が流動していく状態を、第4図(a)、第4図(b)を用いて説明する。
流入口16a、36aから流体物通路内に圧送されてきた混合、粉砕、微粒子化処理されるべき流体は、第4図(a)、第4図(b)図示のように、どちらか一方の構造物(第4図(a)、第4図(b)図示の場合は、第二の構造物22)の上流側に位置する1個の小室24から、対向する他方の構造物2の上流側に位置する2個の小室3b、3aに、矢示41a、41bで示すように流入する。
ついで、構造物2における当該2個の小室3b、3aから、前記一方の構造物22における前記1個の小室24より下流側に位置する次位の1個の小室25に、矢示42a、42bで示すように流入する。
次に、当該一方の構造物22における当該次位の1個の小室25から、前記対向する他方の構造物2における前記2個の小室3b、3aより下流側に位置する次位の1個の小室4に、矢示43で示すように流入する。
つぎに、当該他方の構造物2における当該次位の1個の小室4から、前記一方の構造物22における前記次位の1個の小室25より下流側に位置する次位の2個の小室26a、26bに、矢示44a、44bで示すように流入する。
ついで、当該一方の構造物22における当該次位の2個の小室26a、26bから、前記他方の構造物2における前記次位の1個の小室4より下流側に位置する次々位の1個の小室5に、矢示45a、45bで示すように流入する。
次に、当該他方の構造物2における前記次々位の1個の小室5から、前記一方の構造物22における前記次位の2個の小室26a、26bより下流側に位置する次々位の1個の小室27に、矢示46で示すように流入する。
ここで、本発明の混合・粉砕微粒子化装置においては、前述したように、第一の構造物2においても、第二の構造物22においても、1個の小室4、5、〜、33、34は、その中心を第一、第二の構造物2、22の上流側から下流側へ通る当該小室4、等の中心線37に対して対称な形状、構造を有し、2個の小室3aと3b、〜、35aと35bとは、小室4、等の中心線37に対して線対称に配置されていると共に、当該小室4、等の中心線37に対して対称な形状、構造を有している。
そこで、構造物22の小室24から構造物2の小室3b、3aへ矢示41a、41bのように流体が分岐して流れ込んでいく際の流体が流れ込む角度、距離、等の条件は、矢示41a方向も、41b方向も同一となる。
また、構造物2の小室3b、3aから構造物22の小室25へ矢示42a、42bのように流体が合流して流れ込んでいく際の流体が流れ込む角度、距離、等の条件は、矢示42a方向も、42b方向も同一となる。
この結果、流体物流路のどこにおいても、流体がバランスよく流れ、一方の構造物の2個の小室から他方の構造物の1個の小室に流体が流れ込んでいく包圧の際に流体が受ける強い圧力と、一方の構造物の1個の小室から他方の構造物の2個の小室に流体が流れ込んでいく爆散の際の解放、拡散によって流体から圧力が解き放たれ、より低い圧力になるときとの圧力の差が非常に大きくなり、流体に混合されている物質の粉砕、微粒子化を極めて効率よく行い、真球状への微粒子化を効果的に行うことができる。
また、発明者の実験によれば、各構造物における小室の配置を、上流側から下流側に向けて1個、1個、2個の順とし、混合、粉砕、微粒子化処理される物質が混合されている流体が、前記のように構成されている流体物流路中を、一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における2個の小室→一方の構造物における1個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における2個の小室→他方の構造物における1個の小室→一方の構造物における1個の小室と、1、1、2の関係の繰り返しで一方の構造物の小室から他方の構造物の小室への移動が行われると、比較的低い圧力で処理すべき流体を本発明の混合・粉砕微粒子化装置の流体物流路に圧入するだけで、スムーズに、処理すべき流体を通過させ、前述した配置形式により粉砕、微粒子化を簡易に実現することができた。
なお、本発明においては、前記のように、上流から下流に向けて、1、1、2の順で配置される流体物流路は、小室の大きさ、粉砕、微粒子化すべき対象物にもよるが、少なくとも1、1、2の順での流路が2回以上繰り返されるように形成することが望ましい。少なくとも2回は繰り返されなければ、混合、粉砕、微粒子化の目的が十分達成されず、その一方、あまりに多くの回数繰り返されるようにすると、混合・粉砕微粒子化装置の上流側から下流側までの長さが大きくなってしまい、製造、取り扱いに支障をきたすので、1機の混合・粉砕微粒子化装置の流体物流路を一回通過した流体を循環して、再度、当該混合・粉砕微粒子化装置の流体物流路を通過させて粉砕、微粒子化を行う作業性、等も考慮し、1、1、2の順での流路が少なくとも2回以上繰り返されるように形成することが望ましい。
第1図(a)、(b)、(c)図示の形態は、1、1、2の順での流路が4回繰り返されているものである。
第5図(a)は、第一の構造物2、第二の構造物22に配備されている各小室の形状が正方形状である場合における第1図(c)に対応する図である。第5図(b)は、第5図(a)を側面から説明する図である。第6図(a)は、第一の構造物2、第二の構造物22に配備されている各小室の形状が八角形である場合における第1図(c)に対応する図である。第6図(b)は、第6図(a)を側面から説明する図である。第7図は、第一の構造物2に配備されている小室中、符号6a、6b、8で表されている部分の小室の形状が六角形で、その他の第一の構造物2に配備されている小室、第二の構造物22に配備されている各小室の形状が円形である場合における第1図(c)に対応する図である。第5図(a)、第5図(b)、第6図(a)、第6図(b)、第7図中、第1図(a)〜(c)で説明した部分に対応する部分には同一の符号をつけてそれらの説明を省略する。
第7図の実施形態においては、複数の小室の中に円形のものと六角形形状のものとが混在しているが、小室27、28等の中心を通る中心線37に対して、符号6a、6bで示される小室同士、符号29b、29aで示される小室同士、等が互いに対称な形状、構造とされていて、各1個の小室27、28等も、中心線37に対して線対称な形状、構造になっていさえすれば、第7図図示のように、異なる形状、構造の小室が配備されている形態にすることもできる。
なお、第1図、第4図、第5図、第6図、第7図図示の実施形態では、第一の構造物2、第二の構造物22の上流側から下流側に向けて、1個、1個、2個、1個、1個、2個、の順で配置される小室は、いずれも、各1個の小室はその中心線37に対して線対称な形状、構造であり、各2個の小室は、前記中心線37に対して互いに線対称に配置され、かつ、中心線37に対して互いに線対称な形状、構造になっているが、各小室の形状、構造、配置をこのように限定せず、ともかく、上流側から下流側に向けて第一、第二の構造物2、22とも、1個、1個、2個、1個、1個、2個、の順で小室が配置され、一方の構造物22における1個の小室24→他方の構造物2における2個の小室3b、3a→一方の構造物22における1個の小室25→他方の構造物2における1個の小室4→一方の構造物22における2個の小室26a、26b→他方の構造物2における1個の小室5→一方の構造物22における1個の小室27→他方の構造物2における2個の小室6b、6a→一方の構造物22における1個の小室28、と流体物流路が形成されていくようにすることもできる。
このようにすれば、混合・粉砕・微粒子化処理を受けて微粒子化された物質が、いずれも、ほぼ均一な粒径を有するようにすることが、第1図、第4図、第5図、第6図、第7図図示の実施形態の場合に比べて難しくなるが、粒径を均一に揃えることを特に要求されず、かえって、不均一な粒径のものが混在するように微粒子化した方がよい場合にはこのような形態にすることもできる。
第8図(a)は、この発明の他の実施形態における第1図(c)に対応する図である。第8図(a)中、第1図(a)〜(c)で説明した部分に対応する部分には同一の符号をつけてある。
第8図(a)図示の実施形態では、第一の構造物2には、上流側から、1個の小室60、2個の小室61a、61b、1個の小室62、2個の小室63a、63b、1個の小室64、2個の小室65a、65b、1個の小室66が順に配備され、第二の構造物22には、上流側から、1個の小室70、2個の小室71a、71b、1個の小室72、2個の小室73a、73b、1個の小室74、2個の小室75a、75b、1個の小室76が順に配備されている。
第8図(a)図示のように、1個の小室60、62、64、66、70、72、74、76は、その中心を第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線37に対して対称な形状、構造を有し、2個の小室61aと61b、63aと63b、65aと65b、71aと71b、73aと73b、75aと75bは、前記中心線37に対して線対称に配置されていると共に、中心線37に対して対称な形状、構造になっている。
この第8図(a)図示の実施形態では、第一の構造物2と第二の構造物22とを小室の開口している前面側を互いに対向させて密着配置して形成した流体物流路は、1個の小室60→1個の小室70→2個の小室61a、61b→2個の小室71a、71b→1個の小室62→1個の小室72→2個の小室63a、63b→2個の小室73a、73b→1個の小室64→1個の小室74→2個の小室65a、65b→2個の小室75a、75b→1個の小室66→1個の小室76と連通するようになる。
すなわち、前述した第1図〜第7図の実施形態のように、1個、1個、2個の順で第一、第二の構造物に小室が配置され、1個の小室→1個の小室→2個の小室→1個の小室→1個の小室→2個の小室→1個の小室→1個の小室と流体物流路が連通するのではなく、第8図(a)図示の実施形態では、1個の小室→1個の小室→2個の小室→2個の小室→1個の小室→1個の小室→2個の小室→2個の小室→1個の小室→1個の小室→2個の小室→2個の小室→1個の小室→1個の小室→2個の小室→2個の小室と流体物流路が連通する。
この第8図(a)図示の実施形態の流体物流路を有する本発明の混合・粉砕微粒子化装置の場合、前述した包圧、爆散現象が穏やかに起きる点を除けば、他の、作用、効果は、第1図〜第7図の実施形態の場合と同様である。
なお、第8図(a)図示の実施形態の流体物流路を有する本発明の混合・粉砕微粒子化装置の場合、第8図(b)図示のように、対向する小室同士の部分で形成される流体物流路の横断面積(符号81、82、83、84、85、86、87、88で示されている)は、流体物流路の総てにおいて同一であることがバランのよい流動を実現し、微粒子化されたいずれの微粒子ともほほ均一な粒径を有する微粒子にする上で望ましい。
なお、第8図(a)、第8図(b)図示の実施形態では、小室の形状は横断面正六角形としているが、前述した条件を満たす限り、横断面円形、等、種々の形状とすることができる。
第1図〜第7図図示の実施形態においても、小室の横断面形状は図示のものに限定されれず、前述した条件を満たす限り、正三角形形状、等、種々の形状を採用可能である。
第15図は、混合・粉砕微粒子化装置の入り口部56a(第3図)に接続している流体物流入管111が、上流側(第3図、第15図中右側)から入り口部56aまでの間に気体注入部112を備えている形態の本発明の混合・粉砕微粒子化装置を説明するものである。
流体物流入管111の流体物流動部114に連続している気体注入部112の流体物流動部113の内径r1は、流体物流入管111における流体物流動部114の内径Rより小くなっている。
この気体注入部112の流体物流動部113には、気体注入管115が接続されている。気体注入管115の内径r2は、気体注入部112の流体物流動部113の内径r1より小さくなっている。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置においては前述した流体物流路中における流体物の複雑な流動の過程で、局所的に圧力の高い部分と圧力の低い部分とが生じる。この結果、局所的に圧力の低下した部分で、流体物中に無数の微小な気泡が発生するキャビテーション現象が生じる。
本発明の混合・粉砕微粒子化装置では、このキャビテーション現象によって発生した無数の微小な気泡がはじける際に生じる強い衝撃波によって、流体物中に混入している混合・粉砕微粒子化処理の対象物が強い衝撃を受け、粉砕、微粒子化が促進されている。
第15図図示のように、混合・粉砕微粒子化装置の入り口部に接続している流体物流入管111に配備されている気体注入部112から気体を注入することにより、前記のキャビテーション現象をより効果的、より大規模に発生させることができる。そして、これによって、流体物中に混入している混合・粉砕微粒子化処理の対象物の粉砕、微粒子化をより一層促進することができる。
前記のように、流体物流入管111の流体物流動部114に連続している気体注入部112の流体物流動部113の内径r1が、流体物流入管111における流体物流動部114の内径Rより小くなっているので、流体物流動部113における圧力は、流体物流動部114における圧力より低くなっている。また、気体注入部112の流体物流動部113を流動する流体物の流速は、流体物流入管111の流体物流動部114を流動している流体物の流速より速くなっている。
そして、気体注入管115の内径r2が、気体注入部112の流体物流動部113の内径r1より小さくなっていることにより、エジェクター現象が生じる。
このエジェクター現象によって、気体注入管115からの気体は効率よく微小な気泡となって流体物流動部113内に注入される。すなわち、流体物流入管111中を矢印114のように流動してきた流体物中に、気体注入部112で無数の微小な気泡が注入され、この無数の微小な気泡が注入された流体物が、矢印114のように流動して、入り口部56aから本発明の混合・粉砕微粒子化装置の中に流動していく。
なお、ここで、前述したように、流体物流動部113における圧力が低くなっていること、流体物流動部113を流動する流体物の流速が速くなっていることにより、前記のエジェクター現象がより一層効果的に発生し、より微小な気泡が効率よく流体物中に注入される。
そこで、これらによって、前述したキャビテーション現象をより効果的、より大規模に発生させることが可能になる。
なお、流体物流動部114の内径R、流体物流動部113の内径r1、気体注入管115の内径r2は、前述したエジェクター現象をより効果的に発生させるために、R>r1>r2の関係を満たしている必要がある。そして、R、r1、r2の大きさは、この関係を満たしている下で、流体物の粘度など、流体物の特性に応じて、最も効果的にエジェクター現象が生じるよう適宜に定めることができる。
なお、第15図中において、矢印117方向から注入される気体は、図示してはいないが、圧力系、流量調節弁などを介在させることにより、その流量、注入圧力を調整することができる。
ただし、前述したように、流体物流動部113における圧力が低くなっていること、流体物流動部113を流動する流体物の流速が速くなっていることにより、エジェクター現象が効果的に発生するので、特に高い注入圧力にしなくても、簡単に、気体を注入することができる。
本発明が提案する混合・粉砕微粒子化方法は、混合・粉砕微粒子化処理を行う対象物を、水、液体状の二酸化炭素、等々の液体(流動体)に混合し、所定の圧力(例えば、1〜50MPa)で、前述した本発明の混合・粉砕微粒子化装置の入り口部から排出部側に向けて圧入することにより、所望の粒径範囲の微粒子に粉砕、微粒子化するものである。
本発明が提案する他の混合・粉砕微粒子化方法は、前記の混合・粉砕微粒子化方法において、更に、前記所定の圧力(例えば、1〜50MPa)で本発明の混合・粉砕微粒子化装置の入り口部に流入していく前記液体(流動体)に対して、気体を注入し、より好ましくは、微小な気泡をの形態で気体を注入し、この気体が注入された前記液体(流動体)を前述した本発明の混合・粉砕微粒子化装置の入り口部から排出部側に向けて圧入することにより、所望の粒径範囲の微粒子に粉砕、微粒子化するものである。
本発明が提案する前述したいずれの混合・粉砕微粒子化方法においても、混合・粉砕微粒子化処理を行う対象物について、粉砕処理、粉末化処理、等の前処理を行った後、水、液体状の二酸化炭素、等々の液体(流動体)に混合して本発明の混合・粉砕微粒子化装置内に圧送することが望ましい。さらには、当該液体(流動体)に気体を注入して、より好ましくは、微小な気泡をの形態で気体を注入して、本発明の混合・粉砕微粒子化装置内に圧送することが望ましい。
また、所望の粒径範囲の微粒子に粉砕、微粒子化できるまで、排出部から排出された処理済みの流動体を、入り口部側に戻して、再度、圧入・圧送する処理を繰り返す循環処理を行うこともできる。
【実施例1】
SUS404を用い、第1図(a)、(b)図示の第一、第二の構造物2、22を準備した。
第一、第二の構造物2、22は、いずれも半円柱体であり、大きさは、幅(第1図(a)中、上下方向の大きさ)が44mm、長さ(第1図(a)中、左右方向の大きさ)が109.5mmである。
第1図(a)中、符号51、51で表している部分は、直径4mm、深さ4mmのガイドピン孔であり、第1図(b)中、符号52、52で表している部分は、直径4mm、高さ4mmのガイドピンである
第一、第二の構造体2、22を第2図(a)図示のように、小室の開口している側を互いに対向させて密着配置して流体物流路を形成する際の、位置合わせ用にこれらのガイドピン孔51、ガイドピン52が備えられている。
小室3a、3b、4、5、〜、33、34、35a、35bはいずれも一辺の大きさが5mmの正五角形とし、その深さを4mmとした。
この、第一の構造物2と、第二の構造物22の、それぞれの一側面に配備されている複数の小室3a、3b、〜、14、24、〜、35a〜35bの前面開口を第2図(a)図示のように(第一の構造物2は小室の開口している側を第2図(a)中、右側に向け、第二の構造物22は小室の開口している側を第2図(a)中、左側に向けて)互いに対向させ、矢示53a、53b方向から両構造物を密着させて、一つの円柱体55(第3図)とする。
次に、入り口部56a、排出部56bをそれぞれ形成するSUS440製の蓋体57a、57bをそれぞれ円筒体55の入り口部側(内部で、流体物流路の流入口16a、36aが面している側)、排出部側(内部で、流体物流路の排出口16ba、36bが面している側)に取り付ける。
こうして、第一の構造物2と第二の構造物22とが、小室の開口している側を互いに対向させて密着配置され、内部に流体物流路が形成されている本発明の混合・粉砕微粒子化装置1を準備する。
このように第一の構造物2、第二の構造物22をいずれも半円柱体とし、両者を、小室の開口している側を互いに対向させて密着配置して本発明の混合・粉砕微粒子化装置1とした場合には、流体物流路は、半円柱体の第一の構造物2と、半円柱体の第二の構造物22との当接部にしか形成されない。
これに代えて、第2図(c)図示のような形態にすることもできる。
第2図(c)図示のような形態では、第一、第二の構造物2、22は、それぞれ、第1図(a)、(b)図示の形態の小室を備えているが、両者とも板体であって、その大きさは、幅(第1図(a)中、上下方向の大きさ)が44mm、長さ(第1図(a)中、左右方向の大きさ)が109.5mm、第2図(c)の上下方向で示す厚さが11.5mmである。
この、第一の構造物2と、第二の構造物22の、それぞれの一側面に配備されている複数の小室3a、3b、〜、14、24、〜、35a〜35bの前面開口を第2図(c)図示のように(第一の構造物2は小室の開口している側を第2図(c)中、下側に向け、第二の構造物22は小室の開口している側を第2図(c)中、上側に向けて)互いに対向させ、矢示53a、53b方向から両構造物を密着させる。
次に、半円柱体40a、40bの外径に対応するの内径を有する中空の円筒体55(SUS440製で長さは109.5mm)で、第3図図示のようにこの半円柱体40a、40bの外側を覆う。
次に、入り口部56a、排出部56bをそれぞれ形成するSUS440製の蓋体57a、57bをそれぞれ円筒体55の入り口部側(内部で、流体物流路の流入口16a、36aが面している側)、排出部側(内部で、流体物流路の排出口16ba、36bが面している側)に取り付ける。このようにして、本発明の混合・粉砕微粒子化装置とすることもできる。
(実験例1)
第2図(a)、(b)を用いて説明した実施例1の混合・粉砕微粒子化装置1を用い、以下のように本発明の混合・粉砕微粒子化方法を実施する実験を行った。
大豆2.0Kgを乾式粉砕機にて粉砕し(乾式粉砕繊維:繊維長さ:10〜200μm程度)、これを水10リットルに混合したものを、圧力ポンプを用いて、20MPaの圧力で、混合・粉砕微粒子化装置1内に矢示59aのように送り込み、流体物流路内を通過して排出口58bから矢示59bのように排出させ、これを、再度、圧力ポンプを用いて20MPaの圧力で混合・粉砕微粒子化装置1内に矢示59aのように送り込む循環処理を行い、1分経過後、3分経過後、5分経過後に大豆繊維を採取して光学電子顕微鏡にて大豆繊維の状況を観察した。
大豆を乾式粉砕機にて粉砕したもの(乾式粉砕繊維:繊維長さ:10〜200μm程度)を水に混合すると、水分を含んで繊維が2.5倍〜3倍程度に膨張し、これを電子顕微鏡で観察すると、大きさの異なる繊維状の大豆繊維が無数に観察できた。
循環処理開始後1分経過した時点では、大豆繊維はまだ多少見られたが、大豆の微粒子が、数多くみられるようになった。
循環処理開始後3分経過した時点では、大豆繊維はほとんど観察できなくなり、ほぼ大豆の微粒子のみという状態になっていた。
循環処理開始後5分経過した時点では、繊維状の大豆繊維はなくなり、真球状の大豆の微粒子(粒径:0.5ミクロン〜8ミクロン)のみが観察できた。
繊維質粉体を流体と混合し、攪拌、分散、破壊、等、種々の処理を施しても、ほぼ真球状に微粒子化することは従来できなかった。しかし本発明の混合・粉砕微粒子化装置1によれば、この実験のように、繊維質材を真球に近い状態に微粒子化することができた。
(実験例2)
第2図(a)、(b)を用いて説明した実施例1の混合・粉砕微粒子化装置1を用い、以下のように本発明の混合・粉砕微粒子化方法を実施する実験を行った。
粒径200ミクロン以下に調製した炭素粉末(1200℃処理炭と2800℃処理炭)を純水に混合し、圧力ポンプを用いて、30MPaの圧力で、混合・粉砕微粒子化装置1内に矢示59aのように送り込み、流体物流路内を通過して排出口58bから矢示59bのように排出されたものを、再度、圧力ポンプを用いて30MPaの圧力で混合・粉砕微粒子化装置1内に矢示59aのように送り込む循環処理(1分間あたり約20リットルの炭素粉末混合水が混合・粉砕微粒子化装置1を通過する。)を行い、5分経過後に光学電子顕微鏡にて炭素粉末の様態を観察した。
第9図(a)は、混合・粉砕微粒子化装置1内に圧送する前(炭素粉末を純水に混合する時)の1200℃処理炭粉末の電子顕微鏡写真である。第9図(b)は、混合・粉砕微粒子化装置1内に圧送する前(炭素粉末を純水に混合する時)の2800℃処理炭粉末の電子顕微鏡写真である。
第10図(a)、(b)は、1200℃処理炭粉末について循環処理を5分間行った後の炭素粉末の電子顕微鏡写真である。
第11図(a)、(b)は、2800℃処理炭粉末について循環処理を5分間行った後の炭素粉末の電子顕微鏡写真である。
本願発明の混合・粉砕微粒子化装置1を用いて本発明の混合・粉砕微粒子化方法による混合・粉砕微粒子化処理が行われた炭素は、真球状の微粒子になっていた。
【実施例2】
第12図は前記の実施例1で説明した本発明の混合・粉砕微粒子化装置が大豆を超微粒子化する装置に採用されている場合の一実施例を示す全体構成図である。大豆を超微粒子とする混合・粉砕微粒子化装置100(実施例1で説明した本発明の混合・粉砕微粒子化装置である。)は、これに取り付けられている車輪101によって移動可能となっている。混合・粉砕微粒子化装置100内下部に圧力ポンプ102を動作可能とする動力モーター103が設置されており、また、インバーター107が取り付けられている。混合・粉砕微粒子化装置100の上部には大豆を投入するホッパー104が取り付けられており、混合・粉砕微粒子化装置100の排出口105の近傍に設置されているのは、超微粒子化された大豆超微粒子粒を回収する回収容器106である。
大豆が混合されている流体がホッパー104に投入されると、これは、配管を通り、圧力ポンプ102により適宜の圧力を受けて、混合・粉砕微粒子化装置100の流入口(図示せず)に流入する。そして、実施例1の第1図(a)〜(c)で説明した流体物流路中を、第4図で説明したように流動する。この時、各小室等に圧送された大豆は、連続的に強い圧力による強い圧縮(包圧)と、瞬時解放(爆散)という作用を受け、大豆が自ら爆発する内外放圧力により破壊され続け、超微粒子化され、排出口105から回収容器106に排出される。大豆が混合されている流体が第4図で説明したように、流体物流路中を流動する際に受ける連統的な強い圧力による強い圧縮(包圧)と、瞬時解放(爆散)という作用によって、大豆が自ら爆発する内外放圧力により破壊され続け、超微粒子化される現象は、いわゆる散逸理論によって説明されるものである。
【実施例3】
第15図は、混合・粉砕微粒子化装置の入り口部56a(第3図)に接続している流体物流入管111が、上流側(第3図、第15図中右側)から入り口部56aまでの間に気体注入部112を備えている形態の本発明の混合・粉砕微粒子化装置を説明するものである。
流体物流入管111の流体物流動部114に連続している気体注入部112の流体物流動部113の内径r1は、流体物流入管111における流体物流動部114の内径Rより小くなっている。
この気体注入部112の流体物流動部113には、気体注入管115が接続されている。気体注入管115の内径r2は、気体注入部112の流体物流動部113の内径r1より小さくなっている。
気体注入部112において、矢印117方向から送られてきた空気を、混合・粉砕微粒子化処理の対象物が混入されている流体物中に注入するものである。
注入する気体は、空気のみに限られず、溶媒等として使用可能な種々の気体を注入することができる。
【実施例4】
第13図(a)〜(c)は、前記の実施例1で説明した本発明の混合・粉砕微粒子化装置による本発明の微粒子化方法が実施されるプロセスが採用される種々の実施形態を説明するブロック図である。
第13図(a)は、本発明に係る混合・粉砕微粒子化装置による湿式微粉砕の一実施例の概略を説明するブロック図である。原料を粗粒粉砕する粗粒粉砕機に投入し、粗粒粉砕された原料をポンプにて加熱器へと圧送し、本発明の装置の流体物流路における作用によって前記の粗粒粉砕されている原料を微粒子化させ、所望する微粒子径として、容器内に貯蔵しするものである。本発明の装置と容器との間にフィルター等を設けフィルターを通過しない微粒子はリターン配管によって再度粗粒粉砕機に戻され、同様の工程において超微粒子とし、容器内へと貯蔵され次工程(加工ライン)へと運ばれる。
第13図(b)は本装置と超音波及び電磁波及びレーザー光装置、プラズマ発生装置を複合し二酸化炭素による連続超臨界処理を含む反応処理装置とした一実施例の概略を説明するブロック図である。
予め粗粒粉砕された原料と、抽出溶媒、例えば、二酸化炭素を、圧送ポンプ及び乾式ポンプを介して混合して混合物とし、加圧ポンプ、加熱器により、その混合物の超臨界条件下となる圧力及び温度にする。そして、本発明の装置を構成する筒状体内に圧送し、当該筒状体内にて超臨界条件下にある混合物を超微粒子化しつつ、連続的に超臨界処理する。次いで、このように処理されたものを、引き続いて、超音波、電磁波、レーザ光、プラズマ等により反応させ、あるいは分解するものである。
これによって得られた製品は、回収容器へと回収され、液化された抽出溶媒は圧力制御弁(図示せず)によりガス化されリサイクルされる。
第13図(c)は本装置と高周波及び超音波及びレーザー光装置、プラズマ発生装置を複合し種々の溶媒による連続超臨界処理を含む反応処理装置とした一実施例の概略を説明するブロック図である。液体の抽出溶媒と被分解物質を圧送ポンプにより混合し、加熱ポンプにて被分解物質の超臨界条件下まで加圧及び加熱し、本発明の装置を構成する筒状体内に圧送する。そして、当該筒状体内にて超臨界条件下にある混合物を超微粒子化しつつ、連続的に超臨界処理する。次いで、このように処理されたものを、引き続いて、超音波、電磁波、レーザ光、プラズマ等により反応させ、あるいは分解するものである。これらの一連の処理によって、分子間の衝突及び分解等が連続的に発生し化学反応が促進される。分解された生成物は冷却器、気液分離器により気体と液体へと分離され、気体は無害化され、液体の抽出溶媒はリターン配管によってリサイクルされるものである。
なお、第13図(a)〜(c)のいずれの形態においても、図示していないが図中の本装置(本願発明に係る混合・粉砕微粒子化装置)の直前に、第15図で説明した気体注入部を設け、エジェクター現象を利用して、気体の微小な気泡を無数に、効率よく流体物中に注入することにより、本装置内を流動していく流体物中においてキャビテーション現象を効果的にかつ大規模に生起させ、混合、粉砕、微粒子化を一層効率よく行うことができる。
【実施例5】
第14図は、第2図(a)、(b)を用いて説明した実施例1の混合・粉砕微粒子化装置による本発明の微粒子化方法が実施されるプロセスが採用される他の実施形態を説明するブロック図である。
予め粉砕されている廃プラスチックと、抽出溶媒、酸化反応、加水分解で使用される二酸化炭素とを、圧送ポンプ及び加圧ポンプにより、本発明の装置を構成する筒状体の入口開口に向けて圧送すると共に、ヒーター等の加熱体により混合・粉砕微粒子化装置1の円筒体55を加熱する。ここで、加える圧力、温度は、二酸化炭素の超臨界条件である圧力7.38MPa以上、温度31℃以上としておく。
こうして、予め粉砕されている廃プラスチックが混入されていて、超臨界条件下におかれている流体が、本発明の装置を構成する筒状体の入口開口から、前述した流体物流路を通って、排出口58bに向けて圧送される。
これによって、本発明の装置を構成する筒状体内において、廃プラスチックが粉砕微粒子化されつつ、連続的に超臨界処理される。
処理されて排出口から排出された処理物は、冷却装置及び減圧装置により、気体と、プラスチックのパウダー物とに分離される。分離された、パウダー物は回収容器に回収され、気体はリターンされて再利用される。
なお、この実施例においては、二酸化炭素を、抽出溶媒、酸化反応、加水分解で使用するようにしていたが、処理対象物について、粉砕微粒子化処理を行いつつ臨界処理、超臨界処理を行う際に使用し得る抽出溶媒であれば、二酸化炭素以外を使用することが可能である。
また、この実施例においては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの廃プラスチックを微粉末化する場合を説明したが、廃プラスチックに限らず、いわゆるバージン材や、合成樹脂についても、第14図で説明したのと同様の処理により、粉砕微粒子化しつつ、連続的に超臨界処理して、微粉末化することが可能である。
更に、この第14図図示の実施例においても、図示していないが図中の本装置(本願発明に係る混合・粉砕微粒子化装置)の直前に、第15図で説明した気体注入部を設け、エジェクター現象を利用して、気体の微小な気泡を無数に、効率よく流体物中に注入することにより、本装置内を流動していく流体物中においてキャビテーション現象を効果的にかつ大規模に生起させ、混合、粉砕、微粒子化を一層効率よく行うことができる。
従来、廃プラスチックや、いわゆるバージン材、合成樹脂などについては、ペレット状になっているこれらのものを冷凍した後、粉砕して粉末化していた。常温のペレット状のものから粉末化する技術がなかったためである。しかし、この冷凍には、非常に高いコストが必要であった。
本発明の装置を用いれば、このような冷凍処理を行う必要なしに、低コストで、粉砕微粒子化処理を行い、パウダー状にすることができる。
また、従来の湿式粉砕機を用いて粉砕微粒子化処理を行ってパウダー状のものを得る従来の方式の場合、混合・粉砕した被処理物を気体と処理物(パウダー状物)とに分離することが非常に難しかった。
しかるに、本発明の混合・粉砕微粒子化装置による本発明の微粒子化方法を実施して、第14図、第13図(b)、(c)図示のように処理を行えば、粉砕微粒子化しつつ、連続的に臨界処理、超臨界処理を行い、更に、連続的に、なおかつ容易に、気体と処理物(パウダー状物)とを分離することができる。
すなわち、本発明の混合・粉砕微粒子化装置は、いわば、乾式粉粒物を連続して湿式にて粉砕・微粒子化し、この湿式下で粉砕・微粒子化処理が行われた流体を大気圧下に噴霧するだけで、乾燥した微粒子状の粉体を連続して得ることができるものである。
粉粒物を乾式にて微粒子化処理しようとすれば、熱によって処理対象物たる粉粒物が変質してしまうおそれがあるが、本発明によれば、前述したように超臨界条件下で液体状態にある二酸化炭素中に粉砕・微粒子化すべき対象物を混合して微粒子化処理できるので、処理対象物たる粉粒物を変質させることなく微粒子化処理を行うことができる。


【図3】




【図7】





【図12】


【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口している小室を一側面の上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向けて複数個備えている第一の構造物と第二の構造物とが、それぞれの前記小室の前面開口を互いに対向させて密着配置されることによって、第一の構造物の小室から第二の構造物の小室、第二の構造物の小室から第一の構造物の小室へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて流体物流路が形成されている混合・粉砕微粒子化装置であって、
前記複数個の小室は、上流側から下流側に向かって、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものであり、
どちらか一方の構造物の上流側に位置する1個の小室から、対向する他方の構造物の上流側に位置する2個の小室、
当該対向する他方の構造物における当該2個の小室から、前記一方の構造物における前記1個の小室より下流側に位置する次位の1個の小室、
当該一方の構造物における当該次位の1個の小室から、前記対向する他方の構造物における前記2個の小室より下流側に位置する次位の1個の小室、
当該他方の構造物における当該次位の1個の小室から、前記一方の構造物における前記次位の1個の小室より下流側に位置する次位の2個の小室、
当該一方の構造物における当該次位の2個の小室から、前記他方の構造物における前記次位の1個の小室より下流側に位置する次々位の1個の小室、
当該他方の構造物における前記次々位の1個の小室から、前記一方の構造物における前記次位の2個の小室より下流側に位置する次々位の1個の小室
へと流体物流路が連続する
ことを特徴とする混合・粉砕微粒子化装置。
【請求項2】
前記第一の構造物、第二の構造物において、上流側から下流側に向かって、それぞれ、1個、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返される複数個の小室中、前記1個の小室は、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の混合・粉砕微粒子化装置。
【請求項3】
前面が開口している小室を一側面の上流側に位置する一端側から下流側に位置する他端側に向けて複数個備えている第一の構造物と第二の構造物とが、それぞれの前記小室の前面開口を互いに対向させて密着配置されることによって、第一の構造物の小室から第二の構造物の小室、第二の構造物の小室から第一の構造物の小室へと、上流側から下流側に向かって各小室の空間部が順次連通されて流体物流路が形成されている混合・粉砕微粒子化装置であって、
前記複数個の小室は、上流側から下流側に向かって、1個、2個の順で配置される形式が一回又は複数回繰り返されるものであり、当該1個の小室は、その中心を前記第一、第二の構造物の上流側から下流側へ通る当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、前記2個の小室は当該小室の中心線に対して線対称に配置されていると共に、当該小室の中心線に対して対称な形状、構造を有し、
どちらか一方の構造物の上流側に位置する1個の小室から、対向する他方の構造物の上流側に位置する1個の小室、
当該対向する他方の構造物における当該1個の小室から、前記一方の構造物における前記1個の小室より下流側に位置する次位の2個の小室、
当該一方の構造物における当該次位の2個の小室から、前記対向する他方の構造物における前記1個の小室より下流側に位置する次位の2個の小室、
当該他方の構造物における当該次位の2個の小室から、前記一方の構造物における前記次位の2個の小室より下流側に位置する次位の1個の小室、
へと流体物流路が連続する
ことを特徴とする混合・粉砕微粒子化装置。
【請求項4】
対向する小室と小室との間に形成される流体物流路の横断面積は流体物流路の総てにおいて同一であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の混合・粉砕微粒子化装置。
【請求項5】
混合・粉砕微粒子化装置の上流側に位置する入り口部に接続している流体物流入管は、上流側から当該入り口部までの間に気体注入部を備えており、前記流体物流入管の流体物流動部に連続している気体注入部の流体物流動部は、前記流体物流入管における流体物流動部の内径より小さな内径を有していると共に、当該気体注入部の流体物流動部に当該気体注入部の流体物流動部の内径より小さい内径を有する気体注入管が接続されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項記載の混合・粉砕微粒子化装置。

【国際公開番号】WO2004/045752
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【発行日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553153(P2004−553153)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014254
【国際出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【出願人】(502405527)
【Fターム(参考)】