説明

混合即湯システム

【課題】混合即湯システムにおいて、湯水を無駄にすることなく中温の混合湯を即湯すると共に、使用状態に関わらず、混合給湯口から常に設定温度以下で給湯する。
【解決手段】混合即湯システム1において、混合返湯経路(矢印B)の途中から分岐して混合返湯管8中の湯水を混合給湯管6に戻す戻し経路(矢印C)を備え、戻し経路中に、返湯管90の湯と給水管71から分岐された給水分岐管74の水を混合する第1混合弁91を備える。この第1混合弁91の開度を調整することにより混合弁入水管92を流れる湯水を所定温度以下にする。このため、混合即湯システム1では、中温の混合湯を即湯すると共に、使用状態に関わらず、混合給湯口60から常に設定温度以下の湯水を給湯できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中温の混合湯を直ちに出湯できる混合即湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からヒートポンプによって水を沸かし、貯湯タンクに貯めた湯をカランや食洗機等の湯使用端末に供給する給湯システムがある。このヒートポンプは、加圧機によって高圧力をCO冷媒などの自然冷媒にかけることで自然冷媒を高温にして、その熱で湯を沸かすものであり、大気熱を利用できるため、より効率的に湯を沸かし、またCO排出量も抑えることができる。
【0003】
そして、湯水を無駄にすることなく中温の混合湯を直ぐに出湯することができる混合即湯システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。図7に示すように、この混合即湯システム100では、混合返湯管181が、貯湯タンク120に接続されずに混合弁入水管165に接続される。
【0004】
そして、返湯ポンプ182が駆動されると、混合湯管168の湯の一部は、図中の矢印Dの経路に沿って混合返湯管181と混合弁入水管165とを介して混合弁166に返湯される。混合湯管168中の湯の残りは、図中の矢印Eの経路に沿って混合返湯管181、混合弁入水管165、給水管171を介して貯湯タンク120の下層部に返湯される。また、高温出湯管161又は中温出湯管162を通って三方弁163、混合弁入湯管164を介して混合弁166に返湯される。制御部104は、温度センサ169が検出する混合湯の湯温が設定温度になるように、混合弁入湯管164からの湯と混合弁入水管165からの給水の混合割合を混合弁166によって調整している。
【0005】
また、図8に示す混合即湯システム100では、混合返湯管181を介して、高温給湯管105及び混合給湯管106から使用されてなかった湯が貯湯タンク120の中層部に返湯される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2009−266957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の混合即湯システム100においては、混合即湯時の混合返湯管181を流れる戻り湯の温度が高くなり、混合弁166の水側である混合弁入水管165から設定温度以上の湯水が供給される場合がある。その場合、混合給湯口167から設定温度以下での給湯ができなくなる虞がある。また、混合即湯時において、貯湯タンク120には、混合即湯に利用できる温度より低い中温水が増加し、混合給湯口167において湯切れが発生するという問題もある。
【0008】
さらに、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式により湯の沸き上げ処理を行う場合、沸き上げ前の水の温度はできるだけ低い方がヒートポンプの加熱効率の低下を防止でき、経済的である。上記従来の混合即湯システム100では、即湯時に、返湯が貯湯タンク120の下部に中温水として滞留してしまい、ヒートポンプ103の沸き上げ効率を低下させてしまうという問題もある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、湯水を無駄にすることなく中温の混合湯を直ぐに出湯(即湯)すると共に、使用状態に関わらず、混合給湯口から常に設定温度以下で給湯できる混合即湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、貯湯タンクの高温湯を給湯する高温給湯管と、前記貯湯タンクの高温湯又は中温湯と給水管からの水とを混合した混合湯を混合給湯口から給湯する混合給湯管と、前記混合給湯口から即湯するために前記混合給湯管中の湯を前記貯湯タンクに戻す混合返湯管とを備えた混合即湯システムにおいて、前記混合返湯管の経路の途中から分岐して該混合返湯管中の湯を前記混合給湯管に戻す戻し経路を備え、この戻し経路は、該経路中に、前記混合返湯管中の湯と前記給水管から分岐された給水分岐管の水を混合する第1混合弁を備え、この第1混合弁の開度調整により前記混合給湯管に所定温度以下の湯水が供給されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
この混合即湯システムにおいて、前記混合給湯管の経路は、前記高温給湯管から分岐した高温出湯管と、前記貯湯タンクの中温湯を出湯する中温出湯管と、前記高温出湯管と中温出湯管とを接続する第1三方弁と、前記第1三方弁からの湯を送出する混合弁入湯管と、前記混合弁入湯管からの湯と前記戻し経路を構成する混合弁入水管からの水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁による混合湯を前記混合給湯口から出湯する混合湯管と、を有し、前記戻し経路は、前記混合返湯管の途中から分岐して前記第1混合弁に接続される返湯管と、前記第1混合弁と前記第2混合弁とを接続する前記混合弁入水管とを有し、前記混合給湯口から給湯される湯温に対応した信号に基づいて前記第1混合弁の弁開度を調整する制御部を備えることが好ましい。
【0012】
この混合即湯システムにおいて、前記混合弁入水管に温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサからの検出値に基づいて前記第1混合弁の弁開度を調整し、前記混合弁入水管を流れる湯水の温度を所定温度以下に設定することが好ましい。
【0013】
この混合即湯システムにおいて、前記中温出湯管中に設けられ、該管中の湯の一部を分岐するための第2三方弁と、前記第2三方弁により分岐された中温出湯管中の湯を前記返湯管に送る分岐返湯中温管と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る混合即湯システムよれば、混合返湯管中の湯を混合給湯管に戻す戻し経路中に備えた混合弁の開度調整により、混合給湯管に所定温度以下の湯水を供給する。このため、中温の混合湯を即湯すると共に、使用状態に関わらず、混合給湯口から常に設定温度以下の湯水を給湯できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る混合即湯システムの構成図である。
【図2】同上混合即湯システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図3】同上実施の形態1の第1の変形例に係る混合即湯システムの構成図である。
【図4】同上混合即湯システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る混合即湯システムの構成図である。
【図6】同上混合即湯システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】従来の混合即湯システムの構成図である。
【図8】従来の別の混合即湯システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る混合即湯システムについて図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る混合即湯システムについて、図1を参照して説明する。混合即湯システム1は、給水と加熱された湯を貯留する貯湯タンク2と、貯湯タンク2の水を加熱するヒートポンプ3と、ヒートポンプ3や弁の開閉動作を制御する制御部4とを備える。この混合即湯システム1の配管は、貯湯タンク2の高温湯を給湯する高温給湯管5と、混合湯を給湯する混合給湯管6と、即湯のために混合給湯管6の湯を貯湯タンク2などに戻す混合返湯管8と、混合返湯管8の湯を混合給湯管6に戻す戻し管9とを備えている。なお、高温湯は概ね75℃以上の湯であり、混合湯は概ね35〜45℃の湯である。
【0018】
貯湯タンク2は、ヒートポンプ3に配管72を介して給水すると共に、高性能な断熱材を用いてヒートポンプ3で加熱された湯を保温しながら貯留する機能を有する。貯湯タンク2の側壁には、上部から下部にかけて、複数の温度センサ21を有しており、その内の1つである温度センサ21aは、中層部(中温部)の温度を検出する。貯湯タンク2の下層部は、給水を行なう給水管71に接続されている。
【0019】
ヒートポンプ3は、加熱した湯を貯湯タンク2に送るポンプ31を有している。ヒートポンプ3は、貯湯タンク2の上層部と配管73を介して接続されており、加熱した湯を貯湯タンク2の上層部に供給する。貯湯タンク2の下層部は、配管72を介してヒートポンプ3と接続されており、貯湯タンク2の下層の水がヒートポンプ3で加熱される。
【0020】
制御部4は、ヒートポンプ3を制御すると共に、温度センサ21が検出した温度などの情報に基づいて弁開度を調整するための制御信号を第1三方弁63,82及び第2混合弁65,91に送信する機能を有する。第1三方弁63,82及び第2混合弁65,91は、当該制御信号に基づいて自動的に弁開度を変更する。
【0021】
貯湯タンク2の上層部は、高温給湯管5を介して高温給湯口50と接続されており、高温給湯管5には管中の湯温を検出する温度センサ52が設けられている。また、高温給湯管5の高温給湯口50付近から、高温給湯管5中の湯を貯湯タンク2に返湯するための高温返湯管53が分岐しており、高温返湯管53は第3三方弁82に接続される。
【0022】
次に、本混合即湯システム1における配管の主な経路に関して図面を参照しながら説明する。混合即湯システム1は、混合給湯管6を含む混合給湯経路(矢印Aに対応)、即湯のための混合返湯管8を含む混合返湯経路(矢印B)、及び戻し管9を含む戻し経路(矢印C)を備える。
【0023】
混合給湯経路(矢印A)は、貯湯タンク2の高温湯又は中温湯、及び混合弁入水管92からの湯水を混合した混合湯を混合給湯口60から給湯するための経路である。具体的には、混合給湯経路は、貯湯タンク2の高温湯を出湯する高温出湯管61と、貯湯タンク2の中温湯を出湯する中温出湯管62と、高温出湯管61と中温出湯管61とを接続する第1三方弁63と、第1三方弁63に接続され送湯する混合弁入湯管64と、混合弁入湯管64からの湯と混合弁入水管92からの水とを混合する第2混合弁65と、第2混合弁65による混合湯を混合給湯口60から出湯する混合湯管66とを有している。
【0024】
混合返湯経路(矢印B)は、混合給湯口60から即湯するために混合給湯管6の湯を貯湯タンク2に戻すための経路である。混合湯管66には管中の湯温を検出する温度センサ69が設けられ、混合湯管66の混合給湯口60付近から、混合湯管66中の湯を貯湯タンク2に返湯するための混合返湯管81が分岐している。混合返湯経路は、この混合返湯管81、混合返湯管81の途中に設けられた第3三方弁82、管内の湯水を流す即湯ポンプ83、停止時に管内の湯水の逆流を防止する逆止弁84、返湯管90の途中で分岐され貯湯タンク2の中温層に接続される分岐返湯中温管85を有している。
【0025】
戻し経路(矢印C)は、混合返湯管8の経路の途中から分岐して混合返湯管8中の湯水を混合給湯管6に戻す経路である。この戻し経路は、該経路中に、混合返湯管8中の湯と給水管71から分岐された給水分岐管74の水を混合する第1混合弁91を備える。制御部4は、温度センサ69で検知される湯温に基づいて、第1混合弁91における返湯管90側と給水分岐管74側との弁開度を調整することで、第1混合弁91及び第2混合弁65を接続する混合弁入水管92を流れる湯水の温度を所定温度以下に制御する。この結果、混合弁入水管92を介して混合給湯管6には常に所定温度以下の湯水が給湯される。
【0026】
次に、本実施の形態1に係る混合即湯システム1の混合即湯制御の動作について図2を参照して説明する。
【0027】
最初、混合即湯の開始時には、第3三方弁82を混合返湯管81側に開き、即湯ポンプ83を稼動させて湯を循環させる必要がある。従って、制御部4は、第3三方弁82に制御信号を送信し、第3三方弁82の開きを混合返湯管8の方に切り替え(S21)、混合給湯管6内の冷めた湯が入れ替わる分だけ即湯ポンプ83を稼動する。
【0028】
次に、制御部4は、温度センサ21aにおいて検出される貯湯タンク2の中層部の温度T1が、T1≧Tmw+5(℃)を満たすか否かを判定する(S22)。ここで、Tmw(℃)は混合給湯に使用される混合設定温度(例えば35℃)であり、例えばリモコンを用いてユーザ設定される。なお、上記T1≧Tmw+5(℃)における+5(℃)は仮値であり、その他の数値でも構わない。
【0029】
そして、制御部4は、温度センサ69で検出された温度が上記条件を満たさない場合には(S22でNo)、第1三方弁63を高温出湯管61側に切り替える(S23)。一方、制御部4は、上記条件を満たす場合には(S22でYes)、第1三方弁63を中温出湯管62側に切り替える(S24)。この調整により、貯湯タンク2の中層部の温度が混合設定温度Tmw+5(℃)より高い場合には、第1三方弁63を中温出湯管62側に開くことで貯湯タンク2の中層部の湯を混合弁63の高温水として供給することができる。また、貯湯タンク2の中層部の温度が混合設定温度Tmw+5(℃)より低い場合には、第1三方弁63を高温出湯管61側に開くことで貯湯タンク2の上層部の湯を混合弁63の高温水として供給することができる。
【0030】
次に、制御部4は、第2混合弁65を設定温度Tmw(℃)で循環するように混合弁入湯管64及び混合弁入水管92の弁開度を制御する(S25)。また、制御部4は、混合弁入水管92を流れる湯水を低温水であるTmw−10(℃)となるように給水分岐管74及び返湯管90に接続する第1混合弁91の弁開度を調整する(S26)。すなわち、混合返湯管8を通して戻ってきた湯は、第1混合弁91において給水分岐管74を介して混合弁入水管92に設定温度Tmw(℃)から一定温度低い温度(Tmw−10(℃))になる水が供給される。また、残りの湯量は分岐返湯中温管85を通して貯湯タンク2の中層部(中温部)に返湯される。なお、フロー内のTmw−10(℃)における10(℃)は仮値であり、その他の温度を設定することも可能となる。
【0031】
そして、制御部4は、即湯ポンプ83を駆動して(S27)、混合給湯管6の湯の置換を行う。また、制御部4は、混合給湯管6の湯の置換が完了したか否かを確認し(S28)、完了している場合には(S28でYes)、即湯ポンプ83を停止して(S29)、混合給湯口60からの出湯(即湯)を開始することが可能となる(S30)。
【0032】
以上の説明のように、混合即湯システム1の混合返湯管8の経路には、混合返湯管8の途中から分岐して混合給湯管6に湯水を戻す戻し経路を含み、この戻し経路には、混合返湯経路中の湯と給水分岐管74の水を混合する第1混合弁91を備える。制御部4は、第1混合弁91の開度を調整することで即湯の際の混合弁入水管92における戻り湯温を常に所定温度以下に設定できる。このため、混合即湯時に、混合返湯管8からの戻り湯温が高い場合にも混合弁入水管92の湯水の温度上昇を抑制し、混合給湯口60からの給湯温度が設定値以上に上昇することを防止し、安全性を高めることができる。
【0033】
(第1の変形例)
本実施の形態1の第1の変形例について、図3及び図4を参照して説明する。本変形例では、図3に示すように、上記実施の形態1に係る混合即湯システム1に、さらに混合弁入水管92の途中に温度センサ93を備えたものである。
【0034】
本変形例に係る混合即湯システム1の動作に関して図4を参照して説明する。なお、図4において、図2におけるのと同じ処理フローには同様の番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
本変形例では、混合給湯管6の湯の置換処理が完了したか否かを確認し(S28)、混合給湯管6の湯の置換が完了していない場合(S28でNo)、制御部4は、温度センサ93の温度T2がT2≦Tmw−10(℃)を満たすか否かを確認する(S31)。そして、この条件を満たさない場合には(S31でNo)、第1混合弁91を用いて混合弁入水管92に入湯する湯の温度の補正制御を行う(S32)。すなわち、制御部4は、混合弁入水管92に設けられた温度センサ93において検出される温度T2に基づいて第1混合弁91の弁開度をフィードバック制御できる。
【0036】
従って、本変形例では、混合弁入水管92から第2混合弁65への給水温度を常に設定値以下に安定させ、その結果、第2混合弁65での温調性能を向上させ、第2混合弁65から混合湯管66を流れる湯水の温度を安定化できる。
【0037】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る混合即湯システムの実施の形態2に関して図5及び図6を参照して説明する。なお、上記実施の形態1に係る混合即湯システム1と同様の構成には同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
上述した実施の形態1に係る即湯システム1では、混合即湯を行うと、分岐返湯中温管85から貯湯タンク2側に戻される中温湯が増え、貯湯タンク2に中温水が増加する虞がある。そして、この中温水は、混合給湯口60からの給湯温度よりも低い温度になるため即湯時の給湯には利用できない。また、貯湯タンク2内の水温が高いとヒートポンプサイクルを用いた加熱方式による沸き上げ時の加熱効率(成績係数)に反し、ヒートポンプ3の沸き上げ効率が低下するデメリットが生じる。特に、貯湯タンク2の残湯がある状態でヒートポンプ3での沸き上げを開始した場合、残湯が中温水として貯湯タンク2の下部に滞留し、ますます加熱効率を低下させるという問題もある。
【0039】
この問題を解決するため、混合即湯システム1では、中温出湯管62中に設けられ、中温出湯管62中の湯の一部を分岐するための第2三方弁100と、第2三方弁100により分岐された中温出湯管62中の湯を返湯管90に送る分岐返湯中温管101と、分岐返湯中温管101内の湯水の逆流を防止する逆止弁102とを備える。すなわち、中温出湯管62に返湯管90側にバイパスする経路を設置する。
【0040】
次に、本実施の形態2に係る混合即湯システム1の混合即湯制御の動作について図6を参照して説明する。最初に、制御部4は、温度センサ21aにおいて検出される温度T1がT1≧Tmw+5(℃)を満たすか否かを判定する(S22)。
【0041】
この条件を満たさない場合には(S22でNo)、貯湯タンク2の中央部の温度が混合設定温度より低くなっている。このため、制御部4は、第1三方弁63を高温出湯管61側に開き(S23)、貯湯タンク2の上部の湯を第2混合弁65の高温水として供給する。また、制御部4は、第2三方弁100の弁方向を分岐返湯中温管101側に切り替える(S61)。この場合、給水管71から貯湯タンク2の底部へ水を供給し、また、貯湯タンク2側部に設けられた分岐返湯中温管101を経由して第1混合弁91の高温側である返湯管90に湯を通水する。そして、第1混合弁91を用いて返湯管90の湯及び給水分岐管74の水を混合し、混合弁入水管92を通して混合設定温度から一定温度(例えば10℃)低い湯を第2混合弁65の低温側に供給する。
【0042】
一方、上記条件を満たす場合には(S22でYes)、貯湯タンク2の中央部の温度が混合設定温度より高くなっている。このため、制御部4は、第1三方弁63を中温出湯管62側に開き(S24)、貯湯タンク2の中央部の湯を第2混合弁65の高温水として供給するため、第2三方弁100を第1三方弁63側に切り替える(S62)。
【0043】
次に、制御部4は、混合弁入水管92を流れる湯水を低温水であるTmw−10(℃)となるように給水分岐管74及び返湯管90に接続する第1混合弁91の弁開度を調整する(S63)。そして、制御部4は、第2混合弁65を温度Tmw(℃)で循環するように混合弁入湯管64及び混合弁入水管92の弁開度を制御する(S64)。ここで、制御部4は、混合給湯があるか否かを判定する(S65)。なお、以下のS31,S32の処理は、上記変形例の場合と同様となる。
【0044】
以上のように、本混合即湯システム1では、混合給湯口60からの混合給湯時に利用できない混合給湯温度以下の中温水を、分岐返湯中温管101を介して第1混合弁91に接続する返湯管90の湯水側に利用することができ、中温水の有効利用を図れる。また、第2三方弁100が分岐返湯中温管101側に接続されている時、第2混合弁65の混合弁入水管92を介した水側への供給温度を高くできるため、混合給湯に必要な高温側の熱量を低減でき、高温水の湯切れ防止を図ることができる。
【0045】
さらに、貯湯タンク2内の中温水を中温出湯管62又は分岐返湯中温管101を介して利用することで沸上時の貯湯タンク2の水温上昇も抑えることができ、従ってヒートポンプ3の沸き上げ効率の低下を抑制できる。なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態1では、制御部4による第1混合弁91の開度調整のために、混合湯管66に設けた温度センサ69等により検知した湯温を用いたが、この例に限られない。例えば、任意の位置に設けた温度センサによる検出信号を用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 混合即湯システム
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプ
4 制御部
5 高温給湯管
6 混合給湯管
8 混合返湯管
9 戻し管
61 高温出湯管
62 中温出湯管
63 第1三方弁
65 第2混合弁
66 混合湯管
71 給水管
74 給水分岐管
81 混合返湯管
82 第3三方弁
83 即湯ポンプ
84 逆止弁
85 分岐返湯中温管
90 返湯管
91 第1混合弁
92 混合弁入水管
93 温度センサ
100 第2三方弁
101 分岐返湯中温管
102 逆止弁
A 混合給湯経路
B 混合返湯経路
C 戻し経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクの高温湯を給湯する高温給湯管と、前記貯湯タンクの高温湯又は中温湯と給水管からの水とを混合した混合湯を混合給湯口から給湯する混合給湯管と、前記混合給湯口から即湯するために前記混合給湯管中の湯を前記貯湯タンクに戻す混合返湯管とを備えた混合即湯システムにおいて、
前記混合返湯管の経路の途中から分岐して該混合返湯管中の湯を前記混合給湯管に戻す戻し経路を備え、
この戻し経路は、該経路中に、前記混合返湯管中の湯と前記給水管から分岐された給水分岐管の水を混合する第1混合弁を備え、この第1混合弁の開度調整により前記混合給湯管に所定温度以下の湯水が供給されるようにしたことを特徴とする混合即湯システム。
【請求項2】
前記混合給湯管の経路は、前記高温給湯管から分岐した高温出湯管と、前記貯湯タンクの中温湯を出湯する中温出湯管と、前記高温出湯管と中温出湯管とを接続する第1三方弁と、前記第1三方弁からの湯を送出する混合弁入湯管と、前記混合弁入湯管からの湯と前記戻し経路を構成する混合弁入水管からの水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁による混合湯を前記混合給湯口から出湯する混合湯管と、を有し、
前記戻し経路は、前記混合返湯管の途中から分岐して前記第1混合弁に接続される返湯管と、前記第1混合弁と前記第2混合弁とを接続する前記混合弁入水管とを有し、
前記混合給湯口から給湯される湯温に対応した信号に基づいて前記第1混合弁の弁開度を調整する制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の混合即湯システム。
【請求項3】
前記混合弁入水管に温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサからの検出値に基づいて前記第1混合弁の弁開度を調整し、前記混合弁入水管を流れる湯水の温度を所定温度以下に設定することを特徴とする請求項2記載の混合即湯システム。
【請求項4】
前記中温出湯管中に設けられ、該管中の湯の一部を分岐するための第2三方弁と、
前記第2三方弁により分岐された中温出湯管中の湯を前記返湯管に送る分岐返湯中温管と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の混合即湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220143(P2012−220143A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88603(P2011−88603)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】