説明

混合蛍光体、蛍光体ペースト組成物及び真空紫外線励起発光素子

【課題】146nm及び173nmのVUV励起における発光効率が、従来の2価金属珪酸塩蛍光体よりも高く、寿命がバリウム・マグネシウムアルミン酸塩蛍光体よりも優れた蛍光体、蛍光体ペースト組成物並びにVUV励起発光素子を提供する。
【解決手段】(i)式(Ca1-x-uEux1u)O・a(Mg1-vZnv)O・bSiO2・cLa23・wM2(但し、M1はBa及び/又はSr、M2はY,Ce,In及びBiの中の1種、0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦0.025、0.002≦x≦0.1、0≦u+v+w≦0.4)で表される珪酸塩蛍光体、及び(ii)式(M31-yEuy)O・d(M41-zMnz)O・eAl23(但し、M3は、Ba,Sr及びCaの中の1種以上、M4はMg及び/又はZn、0<d<2、4.5<e<5.5、0.01≦y≦0.5、0≦z<1)で表されるアルミン酸塩蛍光体を含有する蛍光体混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長が200nm以下の真空紫外線(VUV)による励起によって青色に発光する混合蛍光体、またこの混合蛍光体を含有する蛍光体ペースト組成物及びこれを用いた蛍光膜を具備した真空紫外線励起発光素子(VUV励起発光素子)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスキャナーの読みとり用光源等に使われる希ガスランプやプラズマディスプレイパネル(PDP)等に代表されるように、Ar、Xe、He、Ne、Xe−Ne等の希ガスをガラス等によって形成された外囲器中に封入し、その希ガスの放電によって放射されるVUVにより外囲器内部のVUV用蛍光体からなる蛍光膜を励起して発光させる構造のVUV励起発光素子の開発が盛んに行われている。
【0003】
VUV励起発光素子の代表例である希ガスランプは、ガラス製の細管内にXe、Xe−Ne等の希ガスが封入されていて、その管の内壁面には、VUVにより励起されると発光するVUV用蛍光体からなる蛍光膜が形成されている。この希ガスランプの電極間に電気エネルギーを印加すると、該ガラス細管内に希ガス放電が起こり、その時放射されるVUVにより管の内壁面に形成されている蛍光膜が励起されて可視光を発する。
【0004】
また、VUV励起発光素子の他の代表例であるPDPは、原理的には前記のVUV励起の希ガスランプを更に小さくし、異なる3色の希ガスランプをストライプ状、もしくはマトリックス状に並べたものと考えることが出来る。つまり、狭い放電空間(セル)がストライプ状、もしくはマトリックス状に配置されたものである。各セルには電極が設けられ、各セルの内部にはVUV用蛍光体からなる蛍光膜が形成されている。各セル内にはXe、Xe−Ne等の希ガスが封入されて、セル内の電極から電気エネルギーを印加すると、セル内に希ガス放電が起こってVUVが放射され、このVUVによりセル内の蛍光膜が励起されて可視光を発し、この発光によって画像が表示される。フルカラーPDPの場合、VUV励起により赤、青、緑に発光する蛍光体をストライプ状もしくはマトリックス状に塗り分けることにより、フルカラーの表示を行うことが出来る。
【0005】
そして、これらのVUV励起発光素子用の蛍光体としては(Y,Gd)BO3:Eu等の赤色発光蛍光体、LaPO4:Ce,Tb、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn等の緑色発光蛍光体、BaMgAl1017:Eu等の青色発光蛍光体等が所望の発光色に応じてそれぞれ単独もしくは混合して用いられている(非特許文献1等参照)。
【0006】
これらVUV励起発光素子用の蛍光体の中、青色成分として主として実用されている蛍光体はBaMgAl1017:Euの組成をもった、通称BAMと略称されているアルミン酸塩蛍光体である。このBAM蛍光体はVUVを照射して励起した時の発光輝度が高く、また青色としての色純度が良好であるものの、VUV励起発光素子の蛍光膜の製造時におけるベーキング工程での輝度劣化(ベーキング劣化)が大きいことと、VUV励起発光素子を駆動させVUVに長時間晒らされた際の輝度の経時劣化(VUV劣化)が大きいといった欠点を有している。
【0007】
これに対して、製造工程におけるベーキング劣化が小さく、かつVUV劣化も小さい青色蛍光体として、組成式がCaMgSi26:Euで表され、通称CMSと略称されている2価金属の珪酸塩蛍光体が報告されている(非特許文献2参照)が、この蛍光体は、Xe共鳴線(147nm)励起の発光効率がBAMに比較して低い問題があった。この問題の解決法として、Ca、Mg、Siを構成金属元素として含む珪酸塩を母体結晶とし、Euで付活された2価金属珪酸塩蛍光体において該蛍光体の組成中にLaを含有させることにより146nm励起の刺激和(輝度/y値)が向上することが、特許文献1に記載されている。
しかし、前記、CMSや特許文献1に記載の蛍光体は、Xeエキサイマーの発光(中心波長173nm)により励起したときの発光輝度がBAMに比較して、かなり低いという問題があった。
【0008】
近年、プラズマディスプレイは、その紫外線発光効率を上げるためにXe分圧が高くなる方向にあり、Xe分圧が高くなるとエキサイマー発光の共鳴線に対する比率が高くなるので、BAMに比較して寿命の良い珪酸塩蛍光体を使うと発光効率が低下してしまう問題があった。
一方、希ガス放電によりプラズマ暴露されることによる輝度の低下を解決する方法として、特許文献2には、Ca0.9215Sr0.0485Eu0.03MgSi/Ba0.9Eu0.1MgAl1017が50/50になるように混合した蛍光体は、空気中500℃で熱処理し更に13.2Paの5体積%Xe−95%Neの雰囲気中で50Wのプラズマに15分間暴露した後の輝度が、混合していない成分2種の蛍光体を同じ処理した後の輝度より高いと記載されている。しかしながら、本文献には、熱処理、プラズマ暴露前の混合蛍光体の特性については一切記載されておらず、これら特性に関する知見はいまだ得られていなかった。
【0009】
【特許文献1】特開2003−277749号公報
【特許文献2】特開2003−313549号公報
【非特許文献1】電子材料誌、工業調査会社発行、1997年12月号
【非特許文献2】Proceedings of The 8th International Display Workshops 2001 pp.1115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような状況に鑑みてなされたもので、146nm及び173nm励起における効率が、従来知られていたCMSよりも高く、寿命がBAMよりも優れた蛍光体、蛍光体ペースト組成物並びにVUV励起発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、かかる状況下、前記課題を解決すべく種々の蛍光体や、複数の蛍光体を混合して混合蛍光体とした場合のVUV励起下での発光輝度やその他の諸特性について鋭意検討を重ねた結果、Laを含有する特定組成の珪酸塩蛍光体と特定組成のアルミン酸塩蛍光体を混合して混合蛍光体とすることにより、特に146nm及び173nmのVUVで励起した際の発光効率が、その混合比率から期待される効率よりも大きく改善されることを見いだし、この蛍光体を用いた蛍光体ペースト組成物により蛍光膜を形成すると青色成分の輝度が改善されたVUV励起発光素子となることを見出し本発明に至った。
本発明の前記目的は以下のような構成とすることによって達成される。
【0012】
(1)(i)一般式(Ca1−x−yEux)O・a(Mg1−vZnvO)・bSiO・cLa・wM(但し、上記式中MはBaおよびSrの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2はY,Ce,InおよびBiの中の少なくとも1種の金属元素を表し、a、b、c、x、u、vおよびwは、それぞれ0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦0.025、0.002≦x≦0.1および0≦u+v+w≦0.4なる条件を満たす数を表す。)で表されるLaを含有した珪酸塩蛍光体、及び
(ii)一般式が、(M31-yEuy)O・d(M41-zMnz)O・eAl23(但し、上記式中、M3は、Ba,SrおよびCaの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M4はMgおよびZnの中の少なくとも1種の金属元素を表し、d、e、yおよびzは、それぞれ0<d<2、4.5<e<5.5、0.01≦y≦0.5および0≦z<1なる条件を満たす数を表す。)で表されるアルミン酸塩蛍光体を必須成分として含有することを特徴とする蛍光体混合物
【0013】
(2)上記、cおよびxが、それぞれ0.0001≦c≦0.015および0.003≦x≦0.03なる条件を満たす数であることを特徴とする前記(1)に記載の蛍光体混合物。
(3)前記珪酸塩蛍光体と前記アルミン酸塩蛍光体との混合重量比(珪酸塩蛍光体/アルミン酸塩蛍光体)が、5/95〜95/5の範囲にあることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の蛍光体混合物。
【0014】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体混合物を含有することを特徴とする蛍光膜。
(5)バインダーを溶解した溶媒中に前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体混合物を分散させてなることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。
(6)蛍光膜が形成された外囲器内に封入されている希ガスの放電によって放射される真空紫外線により該蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、上記蛍光膜が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体混合物により形成されていることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記の構成を採用することにより、特に146nm及び173nmのVUV励起下において、構成成分の1つである珪酸塩蛍光体としてLaを含有しない珪酸塩蛍光体を用いた従来のものよりも発光輝度が高く、VUV劣化の小さな蛍光体混合物および蛍光体ペースト組成物を提供することができ、これをVUV励起発光素子の蛍光膜に適用することによって青色成分の発光効率が改善されたVUV励起発光素子の提供を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蛍光体混合物を構成する成分である、珪酸塩蛍光体(第一の成分)を製造するには、化学量論的に(Ca1-x-u Eux1u)O・a(Mg1-vZnv)O・bSiO2・cLa23・wM2(但し、上記式中M1はBaおよびSrの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2はY,Ce,InおよびBiの中の少なくとも1種の金属元素を表し、a、b、c、x、u、vおよびwは、それぞれ0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦0.025、0.002≦x≦0.1および0≦u+v+w≦0.4なる条件を満たす数を表す。)となる割合で、蛍光体を構成するCa、Mg、Si、La、Eu、ZnおよびM1、M2で表される各金属の酸化物、または高温で酸化物に変わり得る炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等の上記各金属の化合物を混合し、アルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して、還元性雰囲気で、1000〜1400℃の温度で2〜40時間かけて1回以上焼成し、この焼成物に分散、水洗、乾燥、篩等の蛍光体製造時に通常行われる後処理を行うことによって製造することが出来る。なお前記蛍光体原料混合物中には更に結晶成長を促進させるためにフッ化物、塩化物等のフラックスを添加しておいてから焼成しても良い。
【0017】
前記第一の成分である珪酸塩蛍光体の母体結晶の組成を表すa値及びb値はそれぞれ発光輝度の点で0.9≦a≦1.1及び1.9≦b≦2.2の範囲にあるのが好ましく、蛍光体の結晶性の点から、a=1及びb=2であることが特に好ましい。このa値およびb値の上記各範囲からのずれが大きいと結晶性の不完全な蛍光体や異相が副生され、発光輝度が低下する原因となるので好ましくない。
また、珪酸塩蛍光体に含有させるLaの量を表すc値は、0<c≦0.025の範囲にあるのが好ましく、特に0.0001≦c≦0.015の範囲とするのが特に好ましい。0.0001以下であると本発明の効果(蛍光体混合物とした時の発光効率を向上させる効果)ができず、また、0.015を越えるとLa添加による輝度上昇の効果よりも、異相や欠陥の生成、および母体の電荷のずれによる輝度低下が大きくなってしまうのでともに好ましくない。
【0018】
Euの付活量を表すx値に関しては、発光輝度の点で0.002≦x≦0.1なる範囲となる組成が好ましく、特に0.003≦x≦0.05の範囲とするのがより好ましい。このx値が0.1を越えると上記組成とは異なった異相を形成して蛍光体の輝度を低下させ、また0.002よりも低いと発光中心の量が不足し得られる蛍光体の発光強度が低くなるため好ましくない。
また、金属元素M1、Znおよび金属元素M2の総含有量(u+v+w)が0.4より多いとM1、ZnおよびM2を全く含有しない蛍光体よりも発光輝度が低下するので好ましくない。従って、金属元素M1、Znおよび金属元素M2の総量は0≦(u+v+w)≦0.4の範囲を満たす数であるのが好ましい。
【0019】
本発明の蛍光体混合物の中、アルミン酸塩蛍光体(第二の成分)を製造するには、化学量論的に、(M31-yEuy)O・d(M41-zMnz)O・eAl23(但し、上記式中、M3は、Ba,SrおよびCaの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M4はMgおよびZnの中の少なくとも1種の金属元素を表し、d、e、yおよびzは、それぞれ0<d<2、4.5<e<5.5、0.01≦y≦0.5および0≦z<1なる条件を満たす数を表す。)となる割合で、蛍光体を構成するEu、Mn、AlおよびM3、M4で表される各金属の酸化物、または高温で酸化物に変わり得る炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等の上記各金属の化合物を混合し、アルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して、還元性雰囲気で、1200〜1600℃の温度で2〜40時間かけて1回以上焼成し、この焼成物に分散、水洗、乾燥、篩等の蛍光体製造時に通常行われる後処理を行うことによって製造することが出来る。なお蛍光体原料混合物中には更にフッ化物等のフラックスを添加しておいてから焼成しても良い。
【0020】
前記第二の成分であるアルミン酸塩蛍光体の組成に関しては、発光輝度の点で母体結晶の組成を表すd値及びe値はそれぞれ0<d<2及び4.5<e<5.5の範囲にあるのが好ましく、蛍光体の結晶性の点から、d=1及びe=5であることが特に好ましい。このd値およびe値の上記各範囲からのずれが大きいと結晶性の不完全な蛍光体や異相が副生され、発光輝度が低下する原因となるので好ましくない。Euの付活量を表すy値に関しては、発光輝度の点で0.01≦y≦0.5なる範囲となる組成が好ましく、特に0.03≦y≦0.3の範囲とするのがより好ましい。このy値が0.5を越えると濃度消光により輝度を低下させ、また0.03よりも低いと発光中心の量が不足し得られる蛍光体の発光強度が低くなるため好ましくない。Mnの量を表すz値に関しては、発光輝度や発光色等の点で0≦z<1の範囲の値であるのが好ましく、z値が大きくなるにつれ蛍光体の発光色は青色から緑色へと変化するため、ディスプレイ用青色蛍光体としてはz=0であることが好ましい。
【0021】
本発明の蛍光体混合物は、上記のようにして製造された第一の成分であるLaを含有した珪酸塩蛍光体と、第二の成分であるアルミン酸塩蛍光体とをV形混合機などを用いて混合することにより製造される。
第一の成分であるLaを含有した珪酸塩蛍光体と、第二の成分であるアルミン酸塩蛍光体の混合重量比(珪酸塩蛍光体/アルミン酸塩蛍光体)は、5/95〜95/5の範囲にあることが好ましい。この前記蛍光体の混合重量比が5/95より小さい場合はVUV劣化が大きくなり、95/5より大きい場合は得られる蛍光体混合物の発光輝度が低くなりともに好ましくない。
本発明の蛍光体混合物においては、第一の成分である珪酸塩蛍光体として、例えば前記特許文献2に記載のような、Laを含有しない従来の珪酸塩蛍光体とアルミン酸塩蛍光体からなる蛍光体混合物と比較して、特に146nm及び173nm励起における発光効率が、蛍光体混合物を構成する各蛍光体それぞれの発光効率とその混合比率から期待(予測)される発光効率、よりも大きく改善されることがわかった。
なお本発明において、効率Aの蛍光体と効率Bの蛍光体とをa:bの割合で混合してなる場合、その蛍光体混合物から期待(想定)される発光効率は、{(aA+bB)/(a+b)}なる式から演算して求めた。
また、本発明の蛍光体混合物は、その目的、用途に応じて第一の成分である珪酸塩蛍光体と第二の成分であるアルミン酸塩蛍光体に加えて、さらにそれ以外の組成の蛍光体を加えて用いても良い。
【0022】
また、本発明の蛍光体ペースト組成物は、バインダー樹脂が溶解した溶媒中に本発明の蛍光体混合物を加えて十分に混練りして溶媒の量を調節することにより使用用途に応じて適当な粘度のペースト状にすることによって得ることができる。このとき蛍光体は予め混合した物を溶媒に添加しても良いし、第一の成分であるLaを含有した珪酸塩蛍光体と、第二の成分であるアルミン酸塩蛍光体を別々に添加しても良い。
本発明の蛍光体ペースト組成物を製造する際のバインダー樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂等が使用され、また、ペーストの粘度調整のために使用される溶媒としては水、酢酸ブチル、ブチルカルビトール、テルピネオール等の溶媒が使用される。
【0023】
本発明のVUV励起発光素子は、ガラスなどの透光性を有する素材からなる外囲器内の所定の場所に本発明の蛍光体ペースト組成物を塗布し乾燥した後、ベーキングして蛍光膜を形成することによって前記本発明の蛍光体混合物からなる蛍光膜を形成する以外は従来のVUV励起発光素子と同様にして製造される。
【実施例】
【0024】
次に実施例により本発明を説明する。なお、青色蛍光体の輝度はその発光色(CIE表色系による色度座標のy値)に比例して大きく変化するので、発光色のy値の異なる青色発光蛍光体間での発光効率を比較する簡便な方法として、発光色を色度座標(x,y)で表したときのy値で輝度を割った(輝度/y)値(以下、「刺激和」と呼ぶ)で比較することが一般に行われる。以後、蛍光体混合物及びその各構成成分である蛍光体の発光効率の比較はこの刺激和値によって行うことにする。
【0025】
〔比較例1〕
1)蛍光体混合物
組成式が(Ca0.99Eu0.01)O・MgO・2SiO2である珪酸塩蛍光体[A0](第一の成分)と、組成式が(Ba0.9Eu0.1)O・MgO・5Al23であるアルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)とを重量比で50:50(50/50)の割合で混合し、篩がけを行い比較例1の蛍光体混合物を得た。
この比較例1の蛍光体混合物の粉末を、直径12mm、深さ1mmの円柱状の窪みを持ったセルに充填し、その上をガラス板で押し詰めして平らな粉末の蛍光面を作成し、この蛍光面に146nmのVUVを照射して発光させた時の輝度と発光色を測定し、得られた刺激和値(この刺激和値を「146nm粉体刺激和値」と呼び、本明細書ではこの値を以下、〔S1146と略記することにする)を100とした。
【0026】
これとは別に、珪酸塩蛍光体[A0](第一の成分)とアルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)の各単体の146nm粉体刺激和値(〔S1146)を同様にしてそれぞれ測定し、これらの各〔S1146値から、珪酸塩蛍光体[A0](第一の成分)とアルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)を50:50の重量比で混合した場合に予測される146nm粉体刺激和値(この刺激和値を「146nm粉体刺激和予測値」と呼び、本明細書ではこの値を以下、〔SR1146と略記することにする)を下記に示す計算により算出した。
すなわち、前記の146nm粉体刺激和予測値(〔SR1146)は、前記で求めた珪酸塩蛍光体[A0](第一の成分)単体の146nm粉体刺激和値(〔S1A0146)、アルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)単体の146nm粉体刺激和値(〔S1B0146)、及びこれら両蛍光体の混合比から、〔SR1146={50〔S1A0146+50〔S1B0146/(50+50)}なる式を演算することにより算出した。
次いで、先に求めた比較例1の蛍光体混合物の前記146nm粉体刺激和値(〔S1146)と146nm粉体刺激和予測値(〔SR1146)との割合の百分率{(〔S1146/〔SR1146)×100}を算出したところ、99%となり、比較例1の蛍光体混合物の「146nm粉体刺激和値」は、混合前の各蛍光体から予測されるものより低くなった。
【0027】
2)蛍光体ペースト組成物
次に、得られた比較例1の蛍光体混合物30重量%と、バインダー樹脂と溶媒の混合物70重量%を混練りして、比較例1の蛍光体ペースト組成物を製造し、このペースト組成物をガラス板に500μmの厚みで塗布して、120℃で乾燥した後、空気中において460℃でベーキング処理を施してガラス板上に蛍光膜を形成し、比較例1の蛍光膜とした。この蛍光膜に146nmのVUVを照射して発光させた時の輝度と発光色を測定し、得られた刺激和値(この刺激和値を「146nmペーストベーク後刺激和値」と呼び、本明細書ではこの値を以下、〔S2146と略記することにする)を100とした。
これとは別に、比較例1の蛍光体混合物粉体の場合と同様に、珪酸塩蛍光体[A0]単体から得た蛍光体ペースト組成物と、アルミン酸塩蛍光体[B0]単体から得た蛍光体ペースト組成物からなる蛍光膜をそれぞれ作製し、珪酸塩蛍光体[A0]単体から得た蛍光膜の146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2A0146)、及びアルミン酸塩蛍光体[B0]単体から得た蛍光体ペースト組成物からなる蛍光膜の146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2B0146)を測定し、それらの各〔S2146値から、期待される146nmペーストベーク後刺激和値(この刺激和値を「146nmペーストベーク後刺激和予測値」と呼び、本明細書ではこの値を以下、〔SR2146と略記することにする)を、前記の蛍光体の場合に順じて、〔SR2146={50〔S2A0146+50〔S2B0146/(50+50)}なる式を演算することにより算出した。
【0028】
次いで、先に求めた比較例1の蛍光体ペースト組成物の前記146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)と、前記の146nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2146)の割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を求めたところ99%となり、比較例1の蛍光体ペースト組成物の146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)は、混合前の各蛍光体単体から得た各蛍光体ペースト組成物から期待されるものより低くなることがわかった。
【0029】
3)希ガスランプ
前記の比較例1の蛍光体ペースト組成物により蛍光膜を形成したガラス板を、ガラス細管中に挿入して細管の両端を封じてから管内を一旦排気した後、Ne(95%)+Xe(5%)の混合ガスを23kPa封入し、管の両端に電極を設けて比較例1の希ガスランプを製造した。この比較例1の希ガスランプの電極に通電して、ランプを点灯させて蛍光膜を発光させた時の輝度と発光色を測定し、得られた刺激和値(これを「ランプ刺激和値」と呼び、本明細書ではこの値を以下、〔S3〕と略記することにする)を100とした。
【0030】
〔実施例1〕
第一の成分である珪酸塩蛍光体として、組成式が(Ca0.99Eu0.01)O・MgO・2SiO2である珪酸塩蛍光体[A0]に代えて、組成式が(Ca0.99Eu0.01)O・MgO・2SiO2・0.001La23である珪酸塩蛍光体[A1]を用いた以外は比較例1の蛍光体混合物と同様にして実施例1の蛍光体混合物を得た。
また、実施例1の蛍光体混合物を用いた以外は比較例1と同様にして実施例1の蛍光体ペースト組成物、及び希ガスランプを製造した。
【0031】
次に比較例1と同様にして、得られた実施例1の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値(〔S3〕)を求めたところ、それぞれ107、106及び103となり、いずれもLaを含有しない珪酸塩蛍光体[A0]を構成成分の1つとして使用した比較例1の蛍光体、蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプの値よりも高かった。
【0032】
また、実施例1の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出したところ、その値は、それぞれ100%及び101%となり、実施例1の蛍光体混合物の「146nm粉体刺激和値」及び「146nmペーストベーク後刺激和値」は混合前の構成成分の各蛍光体単体から期待されるものと同等かやや高かった。
【0033】
さらに、実施例1の蛍光体混合物及び蛍光体蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は比較例1と同様にして、輝度と発光色を測定して求めた173nm粉体刺激和値(以下、〔S1173と略記する)、173nm粉体刺激和予測値(以下、〔SR1173と略記する)、173nmペーストベーク後刺激和値(以下、〔S2173と略記する)、及び173nmペーストベーク後刺激和予測値(以下、〔SR2173と略記する)を求めた。
次いで前記各値から、実施例1の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR1173)×100}を算出したところ、それぞれ123%及び122%となり、実施例1の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値および173nmペーストベーク後刺激和値は、混合前の各蛍光体単体から期待されるものよりも大幅に高かった。
【0034】
〔実施例2〕
珪酸塩蛍光体[A1](第一の成分)と、アルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)とを50:50(50/50)ではなく、10:90(10/90)の重量比で混合した以外は実施例1の蛍光体混合物と同様にして実施例2の蛍光体混合物を得た。
そして、得られた実施例2の蛍光体混合物を用いて、実施例2の蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプを製造した。
次に実施例1と同様にして実施例2の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値(〔S3〕)を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0035】
さらに、実施例1と同様にして実施例2の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0036】
また、実施例2の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は比較例1と同様にして、輝度と発光色を測定して得られた173nm粉体刺激和値(以下、〔S1173と略記する)、173nm粉体刺激和予測値(以下、〔SR1173と略記する)、173nmペーストベーク後刺激和値(以下、〔S2173と略記する)、173nmペーストベーク後刺激和予測値(以下、〔SR2173と略記する)を求めた。
次いで前記各値から、実施例2の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR1173)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0037】
〔実施例3〕
珪酸塩蛍光体[A1](第一の成分)と、アルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)とを50:50(50/50)ではなく、30:70(30/70)の重量比で混合した以外は実施例1の蛍光体混合物と同様にして実施例3の蛍光体混合物を得た。
そして、得られた実施例3の蛍光体混合物を用いて、実施例3の蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプを製造した。
次に実施例1と同様にして実施例3の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値(〔S3〕)を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0038】
さらに、実施例3の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0039】
また、実施例3の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は実施例1と同様にして、輝度と発光色を測定して173nm粉体刺激和値(〔S1173)、173nm粉体刺激和予測値(〔SR1173)、173nmペーストベーク後刺激和値(〔S2173)及び173nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2173)を求めた。
次いで前記各値から、実施例3の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR2173)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0040】
〔実施例4〕
珪酸塩蛍光体[A1](第一の成分)と、アルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)とを50:50(50/50)ではなく、30:70(30/70)の重量比で混合した以外は実施例1の蛍光体混合物と同様にして実施例4の蛍光体混合物を得た。
そして、得られた実施例4の蛍光体混合物を用いて、実施例4の蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプを製造した。
次に実施例1と同様にして実施例4の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値〔S3〕を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0041】
さらに、実施例4の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0042】
また、実施例4の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は比較例1と同様にして、輝度と発光色を測定して得られた173nm粉体刺激和値(〔S1173)、173nm粉体刺激和予測値(〔SR1173)、173nmペーストベーク後刺激和値(〔S2173)、及び173nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2173)を求めた。
次いで前記各値から、実施例4の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR2173)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
〔実施例5〕
珪酸塩蛍光体[A1](第一の成分)と、アルミン酸塩蛍光体[B0](第二の成分)とを50:50(50/50)ではなく、90:10(90/10)の重量比で混合した以外は実施例1の蛍光体混合物と同様にして実施例5の蛍光体混合物を得た。
そして、得られた実施例5の蛍光体混合物を用いて、実施例5の蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプを製造した。
次に実施例1と同様にして実施例5の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値〔S3〕を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0044】
さらに、実施例5の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
また、実施例5の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は実施例1と同様にして、輝度と発光色を測定して求めた173nm粉体刺激和値(〔S1173)、173nm粉体刺激和予測値(〔SR1173)、173nmペーストベーク後刺激和値(〔S2173)、及び173nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2173)を求めた。
次いで前記各値から、実施例5の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR2173)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
〔実施例6〕
第一の成分である珪酸塩蛍光体として、組成式が(Ca0.99Eu0.01)O・MgO・2SiO2・0.001La23である珪酸塩蛍光体[A1]に代えて、組成式が(Ca0.98Eu0.02)O・MgO・2SiO2・0.00025La23である珪酸塩蛍光体[A2]を用いた以外は実施例1の蛍光体混合物と同様にして実施例6の蛍光体混合物を得た。
そして、得られた実施例6の蛍光体混合物を用いて、実施例6の蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプを製造した。
次に比較例1と同様にして実施例6の蛍光体混合物、蛍光体ペースト組成物及び希ガスのそれぞれについて、その146nm粉体刺激和値(〔S1146)、146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及びランプ刺激和値〔S3〕を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0047】
さらに、実施例6の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nm粉体刺激和値と146nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}値、及び146nmペーストベーク後刺激和値と146nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
また、実施例6の蛍光体混合物及び蛍光体ペースト組成物について、146nmのVUVに代えて173nmのVUVを照射した以外は比較例1と同様にして、輝度と発光色を測定して得られた173nm粉体刺激和値(〔S1173)、173nm粉体刺激和予測値(〔SR1173)、173nmペーストベーク後刺激和値(〔S2173)、及び173nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2173)を求めた。
次いで前記各値から、実施例6の蛍光体混合物の173nm粉体刺激和値と173nm粉体刺激和予測値との割合{(〔S1173/〔SR1173)×100}及び173nmペーストベーク後刺激和値と173nmペーストベーク後刺激和予測値との割合{(〔S2173/〔SR2173)×100}を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0049】
表1に各実施例及び比較例の蛍光体混合物、蛍光体蛍光体ペースト組成物及び希ガスランプの組成、刺激和値等の特性を示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1からわかるように、各実施例の蛍光体混合物の146nm粉体刺激和値(〔S1146)、蛍光体ペースト組成物の146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)及び希ガスランプのランプ刺激和値(〔S3〕)は、構成成分の1つ(第一の蛍光体成分)としてLaを含有しない珪酸塩蛍光体を使用した従来のもの(比較例1)の値よりもいずれも高かった。
また、各実施例の蛍光体混合物、及び蛍光体ペースト組成物のいずれも、146nm粉体刺激和値(〔S1146)と各構成成分蛍光体単体から期待される146nm粉体刺激和予測値(〔SR1146)との割合{(〔S1146/〔SR1146)×100}、及び146nmペーストベーク後刺激和値(〔S2146)と146nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2146)との割合{(〔S2146/〔SR2146)×100}は100〜101%となり、その「146nm粉体刺激和値」と「146nmペーストベーク後刺激和値」は混合前の蛍光体から期待されるものと同等であった。
さらに、各実施例の蛍光体混合物、及び蛍光体ペースト組成物の173nm粉体刺激和値(〔S1173)と各構成成分蛍光体単体から期待される173nm粉体刺激和予測値(〔SR1173)との割合{(〔S1173/(〔SR1173)×100}、及び173nmペーストベーク後刺激和値(〔S173)と173nmペーストベーク後刺激和予測値(〔SR2173)との割合{(〔S173/〔SR2173)×100}は100%を大きく上まわる値となり、その「173nm粉体刺激和値」と「173nmペーストベーク後刺激和値」はいずれも混合前の蛍光体から期待されるものよりも大幅に高かった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一般式(Ca1-x-uEux1u)O・a(Mg1-vZnv)O・bSiO2・cLa23・wM2
(但し、上記式中M1はBaおよびSrの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2はY,Ce,InおよびBiの中の少なくとも1種の金属元素を表し、a、b、c、x、u、vおよびwは、それぞれ0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦0.025、0.002≦x≦0.1および0≦u+v+w≦0.4なる条件を満たす数を表す)
で表されるLaを含有した珪酸塩蛍光体、及び
(ii)一般式(M31-yEuy)O・d(M41-zMnz)O・eAl23
(但し、上記式中、M3は、Ba,SrおよびCaの中の少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M4はMgおよびZnの中の少なくとも1種の金属元素を表し、d、e、yおよびzは、それぞれ0<d<2、4.5<e<5.5、0.01≦y≦0.5および0≦z<1なる条件を満たす数を表す)
で表されるアルミン酸塩蛍光体
を必須成分として含有することを特徴とする蛍光体混合物。
【請求項2】
上記、cおよびxが、それぞれ0.0001≦c≦0.015および0.003≦x≦0.03なる条件を満たす数であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体混合物。
【請求項3】
前記珪酸塩蛍光体と前記アルミン酸塩蛍光体との混合重量比(珪酸塩蛍光体/アルミン酸塩蛍光体)が、5/95〜95/5の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体混合物。
【請求項4】
バインダーを溶解した溶媒中に請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体混合物を分散させてなることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。
【請求項5】
内部に蛍光膜が形成された透光性の外囲器内に封入されている希ガスの放電によって放射される真空紫外線により該蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、前記蛍光膜が請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体混合物により形成されていることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。


【公開番号】特開2007−99909(P2007−99909A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292080(P2005−292080)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(390019976)化成オプトニクス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】