説明

混焼エンジン

【課題】 ガス供給源のガス圧が低くなっても、一定のガス流量を維持して、混焼エンジンを安定的に運転できるようにするとともに、発電機負荷の遮断によりエンジンスピードが大きくオーバーシュートするのを防止する。
【解決手段】 軽油等を燃焼室に噴射供給するとともに、吸気配管に燃料ガスを供給して燃焼させる混焼エンジンの吸気配管4の途中に、ベンチュリ効果により燃料ガスを吸気配管4内に供給するミキサー12を設け、かつ、燃料ガスの供給源とミキサー12との間にゼロガバナ8を設けて、燃料ガスを、ゼロガバナ8により大気圧と同じ圧力にしてから、ミキサー12のベンチュリ効果により吸気配管4内に導入する。さらに、燃料ガスの供給路に電磁弁9を設け、発電機2の負荷電流が遮断された時、電磁弁9を閉じることにより燃料ガスの供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽油等を主燃料とするディーゼルエンジンの吸気配管から副生水素等の燃料ガスを供給し、主燃料と燃料ガスを燃焼させて駆動する混焼エンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディーゼルエンジンの燃料として副生水素のような燃料ガスを用い、その投入量を増加させて高出力化するためには、燃料ガスを主燃料とした専焼エンジンが考えられるが、この場合、エンジンの圧縮比を燃料ガスの熱量に見合ったレベルまで下げ、点火プラグを追加する等の大幅なエンジン改造を必要とするため、汎用ディーゼルエンジンや既設エンジンに適用することは困難である。また、燃料ガスを高圧で噴射することから、燃料ガス供給源の圧力が低い場合は、必要な圧力レベルまで昇圧するための設備が必要となる。
【0003】
また、エンジンの仕様変更をより少なくして効率的に燃料ガスを燃焼させる方法として、軽油等の液体燃料を主燃料とするディーゼルエンジンをそのまま生かして、吸気側あるいは気筒内に高圧噴射する混焼エンジンが考えられる。しかし、この場合も、燃料ガス供給源の圧力が低い場合は、必要な圧力レベルまで昇圧するための設備が必要となり、さらに、燃料ガスを高圧で供給するため、逆火やノッキング等の問題が起こりやすく、制御が困難である。
【0004】
そのような問題がある中、例えば、特許文献1では、ディーゼルエンジンの吸気配管にバイオガスの供給管を、流量調節弁を介して接続し、該流量調節弁の開度を一定にし、軽油の供給量を調節することにより、エンジンの回転数を一定に制御することが提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、ディーゼルエンジンの給気管に低カロリー燃料の導入管を、レギュレータ及び流量調節弁(A/Fバルブ)を介して接続し、軽油の供給量は固定で、前記レギュレータ及び流量調節弁により低カロリー燃料の供給量を制御することにより、機関の失火や性能悪化を防止しながらエンジンを運転できるようにすることが提案されている。
【0006】
なお、副生水素は、製鉄所のコークス炉ガス精製水素,苛性ソーダ工場の塩電解水素,製油所等で副生物として発生する水素等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−309979号公報
【特許文献2】特開2004−278423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されるような混焼エンジンでは、バイオガスの供給管と吸気配管との間に、流量調節弁が設けられており、また、特許文献2に示されるような混焼エンジンでは、流量調節弁の手前にレギュレータが設けられていて、バイオガスの流量が調整されるようになっている。
【0009】
しかしながら、特許文献1,2のものに用いられているレギュレータや流量調節弁は、ある程度以上のガス圧力があれば、多少の圧力変動があっても、ガス圧力やガス流量を一定範囲に維持できるが、ガス供給源のガス圧が低くなりすぎると、一定のガス圧やガス流量を維持できなくなる。そのため、特許文献1,2に示されるような混焼エンジンでは、ガス供給源のガス圧が変動して所定値以下になると、安定的なガス供給ができなくなるという問題点があった。
【0010】
また、発電機から大きな負荷に給電中に、負荷側の事情により負荷が遮断されたとき、エンジンスピードが急激に増加してオーバーシュートするおそれがある。それに対して、軽油だけを燃料とする通常のディーゼルエンジンでは、ガバナにより、瞬時に軽油の供給を絞ってエンジンスピードが大きくオーバーシュートするのを防ぐことができる。しかし、特許文献1,2に示されるような混焼エンジンでは、大きな負荷が遮断されたとき、軽油の供給はガバナの作用によって絞れても、ガス燃料側にはそのような対策が施されていないため、制御が間に合わず、エンジンスピードが大きくオーバーシュートして、過周波数,過電圧に陥り、商用電源との連系を行わない単独運転の場合は、負荷設備に損傷を与えるおそれがあるという問題点もあった。
【0011】
本発明は、そのような問題点に鑑み、逆火やノッキングが起こりにくく、ガス供給源のガス圧が低くなっても、一定のガス流量を維持して、混焼エンジンを安定的に運転できるようにするとともに、エンジンを改造することなく、負荷遮断によるエンジンスピードが大きくオーバーシュートするのを防止できる予混合式(燃料ガスを予め吸気の中に混合してから燃焼室に供給する方式)の混焼エンジンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、ディーゼルエンジンの吸気配管に燃料ガスを供給して燃焼させる混焼エンジンであって、前記吸気配管の途中に設けられ、ベンチュリ効果により燃料ガスを吸気配管の中に供給するミキサーと、前記燃料ガスの供給源と前記ミキサーとの間に設けられたゼロガバナと、前記ミキサーと前記ゼロガバナとの間に設けられ、燃料ガスの供給量を調整する燃料弁とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、発電機を駆動する請求項1に記載の混焼エンジンであって、前記発電機の負荷量と前記燃料ガスの種類とに対応させてガス供給量を設定し、発電機の負荷量と、設定されたガス供給量とに基づいて、前記燃料弁の開度を調整して燃料ガスの供給量を制御することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、発電機を駆動する請求項1又は2に記載の混焼エンジンであって、前記燃料ガスの供給路に電磁弁を設け、前記発電機の負荷量が急減した時、前記電磁弁を閉じることにより前記燃料ガスの供給を遮断するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の発明において、前記発電機の負荷量が、第1の設定値まで減少した時に計時を開始し、その後、所定時間以内に、前記第1の設定値より低い第2の設定値まで低下した時、前記燃料ガスの供給を遮断するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1にかかる発明においては、吸気配管の途中に、ベンチュリ効果により燃料ガスを吸気配管の中に供給するミキサーを設け、燃料ガスの供給源とミキサーとの間にゼロガバナを設けた。その結果、ガス供給源のガス圧が低くなっても、ゼロガバナにより、供給するガス圧を大気圧と同じ圧力で一定に保持し、そのようにして調整した低い圧力の燃料ガスでも、ミキサーのベンチュリ効果により吸気配管内に吸い込むことにより、燃料ガスを安定的に供給できるようになる。
【0017】
また、請求項2にかかる発明においては、発電機を駆動する請求項1に記載の混焼エンジンにおいて、発電機の負荷量と燃料ガスの種類とに対応させてガス供給量を設定し、発電機の負荷量と、設定されたガス供給量とに基づいて、燃料ガスの供給量を制御するようにした。その結果、LPG,CNG,バイオガス,副生水素等の燃料ガスの種類と負荷量に応じて、燃料ガスの供給量を最適な量に制御することができ、燃料ガス供給量の割合を大幅に増加させることができる。
【0018】
また、請求項3にかかる発明においては、発電機を駆動する請求項1又は2に記載の混焼エンジンにおいて、燃料ガスの供給路に電磁弁を設け、発電機の負荷量が急減した時、電磁弁を閉じることにより燃料ガスの供給を遮断するようにした。その結果、負荷が遮断されたときにエンジンスピードが大きくオーバーシュートするのを防止できる。
【0019】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる混焼エンジンにおいて、発電機の負荷量が、第1の設定値まで減少した時に計時を開始し、その後、所定時間以内に、第1の設定値より低い第2の設定値まで低下した時、燃料ガスの供給を遮断するようにした。その結果、負荷電流の低下スピードが所定以上あるか否かにより、負荷遮断とエンジンスピードが大きくオーバーシュートしない範囲での負荷低下とを判別して、負荷遮断のときだけ燃料ガスの供給を遮断するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る混焼エンジンのシステム概略構成図である。
【図2】燃料弁とミキサーの構造図である。
【図3】負荷電流と燃料弁開度の関係を示す図である。
【図4】発電機の負荷量が急減したときの制御を説明するための図である。
【図5】本発明の混焼エンジンにおけるガス供給制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例では、燃料ガスとして副生水素を用いるものとして説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係る混焼エンジンのシステム概略構成図である。図1において、1はディーゼルエンジン、2はディーゼルエンジン1によって駆動される発電機、3はエアクリーナ、4は吸気配管、5は排気配管、6は軽油噴射ノズル、7はレギュレータ、8はゼロガバナ、9は電磁弁、10は消炎フィルタ、11は燃料弁、12はミキサー、13は圧力センサ、14は電磁弁9や燃料弁11を制御するためのコントローラである。
【0023】
ディーゼルエンジン1は、軽油噴射ノズル6によって燃焼室内に噴射される軽油と、ミキサー12によって吸気の中に混入される副生水素とを燃料として運転され、発電機2を駆動する。発電機2は、ディーゼルエンジン1によって駆動されて3相交流を出力し、遮断器CBを介して各種負荷に電力を供給する。
【0024】
副生水素は、ガス供給源(図示せず)からレギュレータ7,ゼロガバナ8,電磁弁9,消炎フィルタ10,燃料弁11,ミキサー12を介して吸気配管4の中に導入される。レギュレータ7は、ガス供給源から受ける副生水素の圧力を、所定の範囲内になるように、例えば1MPa程度まで減圧してゼロガバナ8に与える。ゼロガバナ8は、一次側の圧力変化及び流量変化に関係なく二次側のガス圧力を大気圧付近に保つ機能を有するもので、ガス供給源の圧力変動を吸収するため、一旦大気圧と同じ圧力に落とすために設けている。このゼロガバナ8としては、汎用品として製造販売されている公知のものを用いることができる。
【0025】
電磁弁9は、発電機2の負荷が遮断したとき、ディーゼルエンジン1の過大なオーバーシュートを防ぐために、コントローラ14の制御により副生水素を遮断するためのものある。また、消炎フィルタ10は、波形金属リボンを渦巻き状に巻回して、断面がハニカム状になるように形成された消炎エレメントにより火炎の伝播を阻止するようにしたものであり、ここでは、副生水素の供給路中に設けて、ディーゼルエンジン1の燃焼室から生ガスを伝わってガス供給源に火が移るのを防ぐようにしている。この消炎フィルタ10としては、汎用品として製造販売されている公知のものを用いることができる。
【0026】
燃料弁11は、図2に示すように、先端が円錐状に形成された弁本体15を、ステッピングモータ16により移動させて副生水素の投入量を制御する。ステッピングモータ16は、コントローラ14により制御され、弁本体15の全閉から全開まで、1ステップずつ多段階(例えば、140段階)に駆動できる。また、個々の弁は、弁本体15の先端の角度を変えることで流量が調整でき、角度を鈍角にすると1ステップ毎の流量変化が小さくなり、角度を鋭角にすると、1ステップ毎の流量変化が大きくなる。
【0027】
弁本体15の動作速度は、例えば、0.01sec/ステップとする。遅ければ遅いほど制御の安定性が増すが、レスポンスが遅くなるのでこの程度の動作速度が選定される。また、エンジン出力の容量が大きくなるに従ってガス投入量も多くなるが、必要なガス投入量に対して燃料弁11が1個では不足する場合は、図2に示すように4個、あるいはそれ以外の2,3,5,・・・個と並列に増やしていくことが可能である。
【0028】
ミキサー12は、ベンチュリ効果により副生水素を吸気配管4内に供給するものであり、図2に示すように、エアクリーナ3とディーゼルエンジン1をつなぐ吸気配管4の途中に接続し、燃料弁11から送られる副生水素を吸気配管4内に導入する。このように、本発明は、吸気負圧を利用して燃料ガスを吸気配管4内に導入する方法を採用しているため、ディーゼルエンジン1がノンターボであれ、ターボ付であれ適用可能である。
【0029】
ミキサー12に内蔵されるベンチュリ部は、エンジン出力及び燃料ガスの種類などに応じて、最適な径φを選択する。その際、径φを絞るほど副生水素を吸い込みやすくなるが、径φを絞りすぎると、ディーゼルエンジン1の吸気負圧が高くなって、燃焼室に送られる酸素濃度が下がるので、異常燃焼や異常振動などが発生しない安全な範囲に制限される。
【0030】
このようなミキサー12を吸気配管4の途中に設け、副生水素の供給源とミキサー12との間にゼロガバナ8を設けて、ガス供給源のガス圧が低くなっても、ゼロガバナ8により、ガス圧を大気圧と同じ圧力で一定に保持し、ミキサー12のベンチュリ効果により吸気配管4内に吸い込むようにしたので、副生水素のガス流量を一定に制御でき、副生水素の供給割合を大幅(例えば、7割程度)に増加させても、逆火やノッキング等を生じさせることなく、エンジンを安定的に運転することができる。
【0031】
圧力センサ13は、エアクリーナ3の下流側に設けられ、吸気配管4内の圧力を検出し、コントローラ14に出力する。そして、エアクリーナ3が目詰まりしてその下流側が所定値(例えば、6.22kPa)以下まで低下したときに、コントローラ14は、電磁弁9を閉じて副生水素を遮断し、副生水素が吸気配管4内に過大に導入されないようにする。
【0032】
コントローラ14は、変流器CTによって負荷電流を検出し、ディーゼルエンジン1の運転中に負荷が遮断された時は、ディーゼルエンジン1の過大なオーバーシュートを防ぐため、電磁弁9を閉じて副生水素を遮断する。また、発電機2の負荷量に応じて、最適なステップを演算して燃料弁11を制御する。なお、発電機2の負荷量は、本来は、発電機2から出力される電力で判定すべきであるが、本実施例では、簡単化のため、負荷電流を検出することで、負荷量を判定することとした。
【0033】
コントローラ14には、図3に示すような、負荷電流と燃料弁開度との関係を、燃料ガスの種類毎に示すデータが、複数登録されている。図3において、A,B,C,Dは燃料ガスの種類別の登録データを示しており、このようなデータを発電機2の容量に対応させて登録している。この負荷電流と燃料弁開度との関係は、必ずしも直線的ではない。そして、最小単位の間隔毎の負荷電流に対応させて燃料弁開度を細かく登録してもよいし、屈折点のデータのみを登録して、それらの中間部分は計算によって求めるようにしてもよい。
【0034】
コントローラ14は、変流器CTによって負荷電流を検出し、上記登録されたデータに基づいて、検出した負荷電流に対応する燃料弁開度を求め、その燃料弁開度に対応するステッピングモータ16のステップを演算して、燃料弁11を制御する。
【0035】
また、前述したように、コントローラ14は、ディーゼルエンジン1の運転中に負荷が遮断されて、負荷電流が急激に低下した時は、発電機が無負荷になったものと判断し、電磁弁9を閉じて副生水素を遮断する。その際、発電機の負荷電流が、第1の設定値まで減少した時に計時を開始し、その後、所定時間以内に、前記第1の設定値より低い第2の設定値まで低下した時に発電機が無負荷になったものと判断する。
【0036】
図4は、発電機の負荷量が急減したときの制御を説明するための図である。発電機2が負荷電流Iで運転している際に、負荷電流が低下して第1の設定値であるIになった時、計時を開始する。そして、所定の時間(例えば、0.3秒)以内に、第2の設定値であるI以下になった時、発電機が無負荷になったものと判定する。なお、上記第1の設定値Iとしては、例えば、定格電流の75%,第2の設定値Iとしては、定格電流の25%の値を設定すればよい。
【0037】
そのようにすれば、ディーゼルエンジン1の過大なオーバーシュートが発生しないような速度で負荷電流が低下しているときは燃料ガスの供給を遮断せず、ディーゼルエンジン1が過大なオーバーシュートをするおそれがある、負荷電流の低下スピードが所定以上のときだけ、負荷遮断と判別して、燃料ガスの供給を遮断することができる。
【0038】
次に、コントローラ14のガス供給量制御の動作を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、変流器CTによって検出される負荷電流の大きさに基づいて、発電機2が負荷運転中であるか否かを判別する(ステップS1)。例えば、負荷電流が定格電流の5%以上あれば、負荷運転中であると判定する。
【0039】
ステップS1で負荷運転中であったら、確認のため、T秒(例えば、3秒)が経過したか否か判別し(ステップS2)、T秒経過したら、電磁弁9を開いて副生水素を供給する(ステップS3)。
【0040】
そして、発電機2が負荷運転継続中であるか否かを判別し(ステップS4)、負荷運転が継続されていなかったら、確認のため、T秒が経過したか否か判別し(ステップS5)、T秒経過したら、電磁弁9を閉じて副生水素の供給を止める(ステップS6)。
【0041】
一方、ステップS4で、負荷運転が継続していたら、圧力センサ13の出力に基づいて、吸気配管4内の負圧が所定値(例えば、6.22kPa)まで低下したか否かを判別し(ステップS7)、所定値まで低下したら、エアクリーナ3が目詰まりしている可能性があるので、エアクリーナ3の点検を指示し(ステップS8)、ステップS6に移り、電磁弁9を閉じて副生水素の供給を止める。
【0042】
また、ステップS7で、負圧が所定値まで低下していなかったら、変流器CTの出力に基づいて、負荷電流がI以下になったかを判別し(ステップS9)、I以下になっていなければ、図3に示したような登録データに基づいて、検出された負荷電流に対応した燃料弁11の開度を演算する(ステップS10)。そして、演算した開度と現在の開度とを比較して、演算値が現在値より大きいか否かを判別し(ステップS11)、演算値が現在値より大きければ、ステッピングモータ16を制御して、演算値に対応する値になるように燃料弁11の開度を増加させる(ステップS12)。また、演算値が現在値より小さければ、ステッピングモータ16を制御して、演算値に対応する値になるように燃料弁11の開度を減少させる(ステップS13)。
【0043】
一方、ステップS9で、負荷電流がI以下になったら、タイマーをスタートさせて、t秒(例えば、0.3秒)が経過したか否かを判別し(ステップS14)、t秒経過したら、負荷電流がIより小さい値であるI以下になったか否かを判別し(ステップS15)、I以下になっていなければ、ステップS1に戻るが、I以下になっていたら、負荷が遮断されたことになるので、ステップS6に移り、電磁弁9を閉じて副生水素の供給を止める。
【0044】
本発明の混焼エンジンにおいては、このようにして燃料ガスの供給が制御される。
【符号の説明】
【0045】
1…ディーゼルエンジン
2…発電機
3…エアクリーナ
4…吸気配管
5…排気配管
6…軽油噴射ノズル
7…レギュレータ
8…ゼロガバナ
9…電磁弁
10…消炎フィルタ
11…燃料弁
12…ミキサー
13…圧力センサ
14…コントローラ
15…弁本体
16…ステッピングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンの吸気配管に燃料ガスを供給して燃焼させる混焼エンジンであって、
前記吸気配管の途中に設けられ、ベンチュリ効果により燃料ガスを吸気配管の中に供給するミキサーと、前記燃料ガスの供給源と前記ミキサーとの間に設けられたゼロガバナと、前記ミキサーと前記ゼロガバナとの間に設けられ、燃料ガスの供給量を調整する燃料弁とを備えたことを特徴とする混焼エンジン。
【請求項2】
発電機を駆動する請求項1に記載の混焼エンジンであって、
前記発電機の負荷量と前記燃料ガスの種類とに対応させてガス供給量を設定し、発電機の負荷量と、設定されたガス供給量とに基づいて、前記燃料弁の開度を調整して燃料ガスの供給量を制御することを特徴とする混焼エンジン。
【請求項3】
発電機を駆動する請求項1又は2に記載の混焼エンジンであって、
前記燃料ガスの供給路に電磁弁を設け、前記発電機の負荷量が急減した時、前記電磁弁を閉じることにより前記燃料ガスの供給を遮断するようにしたことを特徴とする混焼エンジン。
【請求項4】
前記発電機の負荷量が、第1の設定値まで減少した時に計時を開始し、その後、所定時間以内に、前記第1の設定値より低い第2の設定値まで低下した時、前記燃料ガスの供給を遮断するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の混焼エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−242653(P2010−242653A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93510(P2009−93510)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000109819)デンヨー株式会社 (88)
【Fターム(参考)】