説明

混練機及びこれを用いた混練方法

【課題】混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練でき、混練機の製作コスト及び装置構成の増大を防止できる開放型の混練機及びこれを用いた混練方法を提供する。
【解決手段】混練槽1内の底部に並列に配置されるロータ3,4とを備えた開放型の混練機100で、ロータ3,4を互いに異なる回転速度で回転させる回転手段を備え、混練槽1の内壁面10が、ロータ3,4の回転軌跡に沿った円弧形状の円弧部1a,1bを有し、混練槽1の混練姿勢におけるロータ3,4の回転軸芯3a,4a周りで、当該回転軸芯3a,4aを含む水平方向から円弧部の上端部までの円弧部角度について、ロータ3,4のうち回転速度の速いロータ3が配置される側の円弧部角度αに対して、回転速度の遅いロータ4が配置される側の円弧部角度βが大きくなるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練機及びこれを用いた混練方法に関し、特に、ゴム、樹脂、シリコン材料等の比較的低粘性で弾性の小さい材料を混練するのに適した開放型の混練機及びこれを用いた混練方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、混練槽に収容された混練材料を混練する混練機としては、例えば、加圧型の混練機と開放型の混練機とが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
加圧型の混練機は、混練材料が収容された混練槽内の上方から加圧手段により当該混練材料に積極的に外圧を加えた状態で、混練槽の底部に配置されたロータを回転させて混練を行う混練機である。この加圧型の混練機は、加圧下で混練できるため比較的高粘性で弾性の高い材料を効率よく混練することができる。しかし、加圧手段を上下動させる駆動機構が必要となるとともに、この駆動機構があるために混練槽内を密閉し真空状態や減圧状態として用いる場合には別途大掛かりな密閉機構を採用する必要があり、製作コストや装置構成が増大するという問題があった。
【0004】
これに対し、開放型の混練機は、混練槽に収容された混練材料の上方を開放した状態で、すなわち、混練材料を加圧手段により積極的に加圧することなく、混練槽の底部に配置されたロータを回転させて当該混練材料の混練を行う混練機である。この開放型の混練機では、上記駆動機構が必要なく、また、真空状態等で用いる場合でも混練槽の上部開口を密閉蓋により密閉するのみでよく、製作コストや装置構成の増大を防止できるという利点がある。
上記開放型の混練機は、直接混練材料を加圧せずに混練を行うため、比較的低粘性で弾性の小さい材料を混練する際に用いられることが多く、例えば、図7に示すように、混練材料を収容する混練槽51と、混練槽51の底部に並列に設けられた一対のロータ52,53とを備えて構成される。そして、図7(a)に示すように、混練槽51内に収容された混練材料を混練する際には、混練槽51の開口部54を鉛直上方に向けて混練材料の混練を行う混練姿勢において、ロータ52,53(ロータ翼55,56)を相互に異なる回転方向に(例えば、ロータ52を時計回り、ロータ53を反時計回りに)回転させる。次に、図7(b)に示すように、混練が完了すると、混練槽51をロータ52の回転軸芯52aを姿勢変更用の回転軸として反転させた反転姿勢で、混練が完了した混練材料を混練槽51内から外部に排出するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−124941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記開放型の混練機では、加圧型の混練機のように混練材料を加圧下で混練するものではないため、混練初期のように混練材料の流動性が悪い状態では当該混練材料をロータ52,53のロータ翼55,56に充分に噛み込ませることができず、これらロータ52,53の上部(ロータ翼55,56の回転軌跡よりも上部)に混練材料が滞留して、混練に時間が掛かるという問題がある。
また、混練材料が混練されるに連れて、ロータ翼55,56により当該混練材料が混練槽51の内壁面に沿って上方に跳ね上げられ、ロータ翼55,56が届かない内壁面の垂直部57に付着し易く、この付着した混練材料は混練が不十分となり易いという問題がある(図7(a)参照)。
なお、このような開放型の混練機において、密閉蓋により混練槽51内の密閉状態を確保しながら、混練材料の一部を押圧することができる押圧部材(図示せず)を当該混練槽51内の側壁面に沿って上下方向に摺動可能に設けることも考えられる。しかし、このような押圧部材を設けた場合、製作コストが増大するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の混練機の有する問題点に鑑み、混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練できるとともに、混練機の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる開放型の混練機及びこれを用いた混練方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る開放型の混練機は、内部に混練材料を収容する混練槽と、前記混練槽内の底部に並列に配置され前記混練材料を混練する一対のロータとを備えた開放型の混練機であって、
その第1特徴構成は、前記一対のロータを互いに異なる回転速度で回転させる回転手段を備え、
前記混練槽の内壁面が、前記ロータの回転軌跡に沿った円弧形状の円弧部を有し、前記混練槽の開口部を鉛直上方に向けて前記混練材料の混練を行う混練姿勢において、前記ロータの回転軸芯周りで当該回転軸芯を含む水平方向から前記円弧部の上端部までの角度である円弧部角度について、前記一対のロータのうち回転速度の速いロータが配置される側の円弧部角度に対して、回転速度の遅いロータが配置される側の円弧部角度が大きくなるように形成された点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、混練材料を加圧手段により積極的に加圧しない開放型の混練機において、回転手段により混練槽内の底部に設けられた一対のロータの回転速度を異なる回転速度で回転させるとともに、この回転速度の相違に対応するように混練槽内の底部付近の両円弧部における円弧形状が適切に形成されているので、混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練できるとともに、混練機の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる。
すなわち、上記一対のロータを異なる回転速度で回転させると、混練槽内に収容された混練材料は回転速度の速いロータから回転速度の遅いロータへ押し込まれ循環流が生じ易くなり、流動性を向上させることができる。
加えて、回転速度の速いロータが配置される側の混練槽の内壁面における円弧部角度に対して、回転速度の遅いロータが配置される側の混練槽の内壁面における円弧部角度が大きくなるように、混練槽内の底部付近における両円弧部の円弧形状が形成されている。したがって、混練材料はロータと混練槽の内壁面における円弧部との間で剪断力を付与され混練が進行する。そのため円弧部の長さを長くして、剪断力が付与される距離を長く(面積を大きく)することにより混練効率を向上させることができる。一方で、混練初期においては混練材料の流動性が悪いため、上述の循環流が生じにくく、混練材料は回転速度の遅いロータの上部に盛り上がった状態で滞留しやすい。この様な場合でも回転速度が遅いロータが配置される側における円弧部の長さを長くすることにより、回転速度の遅いロータから速いロータへ混練材料を案内することができ、混練材料が回転速度の遅いロータの上部に滞留することを抑制して流動性を向上させることができる。
さらに混練の進行に伴い、ロータの回転により混練材料が混練槽の内壁面における垂直部に跳ね上げられて当該垂直部に付着したりすることが考えられ、特に回転速度の遅いロータでの跳ね上げの勢いが弱く、より付着しやすい。この場合に、回転速度の遅いロータ側に残留する混練材料の混練不良が発生することがあるが、このような問題も、上記のように回転速度が遅いロータが配置される側における内壁面の円弧部の長さが長く形成されているので、当該回転速度の遅いロータによる混練材料の跳ね上げがこのロータの上部における内壁面の円弧部により妨げられ、結果、回転速度の遅いロータが配置される側の内壁面における垂直部に付着する混練材料が確実に減少し、混練不良の発生を防止することができる。
ここで、上記円弧部角度とは、混練槽の開口部を鉛直上方に向けて混練材料の混練を行う混練姿勢において、ロータの回転軸芯周りで、当該回転軸芯を含む水平方向(内壁面の円弧部における基端部)から円弧形状に形成された円弧部の上端部までの角度であり、一対のロータの回転軸芯それぞれについて定義される。例えば、図3に示すように、一対のロータ3,4の回転軸芯3a、4aについて、それぞれ第1円弧部角度α、第2円弧部角度βとして定義される。この第1円弧部角度αは、例えば、ロータ3の回転軸芯3aに直角な断面で、この回転軸芯3aを中心として、この回転軸芯3aを含む水平方向(内壁面10の第1円弧部1aにおける第1基端部A1)から第1円弧部1aの第1上端部B1までの角度としても定義できる。第2円弧部角度βは、例えば、ロータ4の回転軸芯4aに直角な断面で、この回転軸芯4aを中心として、この回転軸芯4aを含む水平方向(内壁面10の第2円弧部1bにおける第2基端部A2)から第2円弧部1bの第2上端部B2までの角度としても定義できる。
さらに、上記混練機は、混練材料に加圧手段により積極的に加圧する構成ではないため、加圧手段の駆動装置を設ける必要が無い開放型の混練機であり、しかも、開放型の混練機内において積極的に混練材料を押圧する押圧部材等を設ける必要が無いため、製造コストの低減及び装置構成のコンパクト化を図ることができる。
よって、混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練できるとともに、混練機の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる。
【0010】
本発明に係る開放型の混練機の第2特徴構成は、前記混練槽が、前記一対のロータの何れか一方の回転軸芯を姿勢変更用の回転軸として反転可能に構成され、前記回転速度の速いロータが配置される側の前記円弧部が、前記混練槽が反転した反転姿勢で下方側となるように配置されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、混練が完了した場合等に混練槽を反転させた反転姿勢で、当該混練槽に形成された開口部から混練材料を外部に排出できる。さらに、当該反転姿勢で、回転速度の速いロータが配置される側の混練槽の円弧部、すなわち、円弧部角度が小さい側の円弧部が鉛直方向で下側となるので、混練槽内の内壁面を円弧形状に形成した場合であっても、当該円弧部角度が小さい側の内壁面に沿って混練材料が排出され易くなり、当該混練材料の残留をできるだけ無くすことができる。また、円弧部角度が大きいと清掃時に死角となりやすいが、混練材料の排出を考慮して反転姿勢で鉛直方向で下側となる側の円弧部角度を小さくする方が好ましい。
【0012】
本発明に係る開放型の混練機の第3特徴構成は、前記一対のロータの回転軸芯が上下方向でずれた位置に配置され、前記回転速度の遅いロータの回転軸芯が前記回転速度の速いロータの回転軸芯より上側に配置されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、一対のロータの回転軸芯のうち回転速度の遅いロータよりも、回転速度の速いロータが下側に配置されるので、混練効率の高い回転速度の速いロータに混練対象の混練材料を確実に集めることができ、混練効率をより一層向上することができる。例えば、回転速度の遅い側のロータの上部に盛り上がった状態で混練材料が滞留している場合であっても、当該混練材料が重力の影響により下方側の回転速度の速いロータ側に良好に案内されてより迅速に混練を行うことが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る混練方法の第1特徴手段は、上記第1から第3特徴構成の何れか一つの開放型の混練機を用いて、前記混練姿勢において前記混練槽に前記混練材料を収容した後、前記円弧部角度の小さい側に配置されるロータの回転速度を、前記円弧部角度の大きい側に配置されるロータの回転速度より速くして、前記混練材料を混練する点にある。
【0015】
上記特徴手段によれば、上記第1から第3特徴構成で示した作用効果と同様の作用効果を得ながら、混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る開放型の混練機の実施形態を、図面に基づいて説明する。まず、開放型の混練機の基本構成について説明する。
図1(a)から(c)は、本発明に係る開放型の混練機の概略構成及び混練材料の混練方法を示す概念図、図2(a)は、混練槽のロータの回転軸芯周りの側方断面図、図2(b)は、(a)のIIb矢視方向における混練槽の正面部分断面図を示す。また、図3(a)は、混練槽の混練姿勢での側方断面図、図3(b)は、混練槽の反転姿勢での側方断面図である。
【0017】
図1、図2に示すように、開放型の混練機100は、内部に混練材料Wを収容する混練槽1と、混練槽1を支持可能なフレーム(図示せず)を備えた混練機本体2と、混練槽1内の底部に並列に配置され混練材料Wを混練する一対の第1ロータ3及び第2ロータ4と、混練槽1の鉛直上方に形成された開口部5を密閉閉鎖する密閉蓋6と、第1ロータ3及び第2ロータ4を互いに異なる回転速度で回転させることが可能な回転手段9とを備えて構成されている。
この開放型の混練機100は、混練槽1に収容された混練材料Wの上方を開放した状態で、すなわち、混練材料Wを加圧手段により積極的に加圧することなく、混練材料Wの混練を行う混練機である。なお、この混練材料Wとしては、ゴム、樹脂、シリコン材料等の比較的低粘性で弾性の小さい材料を例示することができるが、混練材料Wを積極的に加圧せずに混練を行う場合であっても十分に混練が可能な材料であれば特に制限されるものではない。
【0018】
そして、詳細は後述するが、図1に示すように、開放型の混練機100を用いて混練材料Wを混練する場合には、密閉蓋6を開いて混練槽1内に混練材料Wを投入し(図1(a)参照)、密閉蓋6を閉じた状態で混練槽1に収容された混練材料Wを第1ロータ3及び第2ロータ4を回転させることにより混練するように構成されている(図1(b)参照)。そして、混練が完了すると、混練槽1を第1ロータ3の回転軸芯3aを姿勢変更用の回転軸として反転(揺動回転)させ、混練が完了した混練材料Wを混練槽1内から外部に排出するように構成されている(図1(c)参照)。
【0019】
図2(a)に示すように、混練槽1は、詳細は後述するが、側面からみた縦断面(側方断面)形状で概略有底筒状であり、鉛直上方側に開口部5を形成するように構成されている。この開口部5から混練材料Wの投入・排出が可能である。そして、混練槽1の底部には、後述する第1ロータ3及び第2ロータ4が、それぞれの回転軸芯3a及び回転軸芯4a同士が並列する形態で配置されている。
【0020】
混練機本体2は、混練槽1を支持可能なフレーム(図示せず)を備え、当該混練槽1を、開口部5を鉛直上方に向けて混練材料Wの混練を行う混練姿勢に姿勢保持可能で(図1(a)、(b)参照)、当該混練姿勢から第1ロータ3の回転軸芯3aを姿勢変更用の回転軸として反転(揺動回転)した状態の反転姿勢に揺動させ、この反転姿勢で姿勢保持可能に(図1(c)参照)構成されている。また、混練機本体2は、後述する密閉蓋6を揺動軸Hで揺動回転させて開閉させることが可能な揺動機構(図示せず)を備える。
【0021】
第1ロータ3は、図2及び図3に示すように、回転軸芯3a周りで回転可能なロータに所定の回転軌跡(図3(a)の一点鎖線)を描いて回転可能なロータ翼31を備えて構成されている。同様に、第2ロータ4は、回転軸芯4a周りで回転可能なロータに所定の回転軌跡(図3(a)の一点鎖線)を描いて回転可能なロータ翼41を備えて構成されている。これら第1ロータ3及び第2ロータ4は、図2(a)及び図3(a)に示すように、混練槽1の底部に、それぞれの回転軸芯3a及び4aが並列して、同一の水平面上で平行となるように配置されている。また、これら第1ロータ3及び第2ロータ4は、図2(b)に示すように、正面からみた部分断面(正面部分断面)でこれら第1,第2ロータ3,4の軸端側における混練槽1の槽側壁部1eを貫通するように配置されている。
さらに、これら第1ロータ3及び第2ロータ4は、後述する回転手段9により異なる回転速度で回転可能に構成されており、図2(a)及び図3(a)で矢示するように、第1ロータ3が時計回りに速い回転速度で回転し、第2ロータ4が反時計周りに遅い速度で回転するように構成されている。
【0022】
密閉蓋6は、概略逆皿形状に形成され、混練槽1の開口部5を鉛直上方から閉鎖して密閉できるように構成されている。密閉蓋6の上部には、のぞき窓7が形成され、密閉した混練槽1の内部を観察することが可能に構成されている。なお、こののぞき窓7を開閉可能に構成することにより、混練槽1の内部に混練材料Wを投入するための材料投入口として用いることもできる。このようにすることで、密閉蓋6を開閉しなくても混練槽1の内部に混練材料Wを簡便に投入することができる。また、密閉蓋6の上部の中央部分には、真空ポンプ(図示せず)の配管を接続可能な接続部8が設けられ、当該真空ポンプにより混練槽1の内部の圧力を減圧状態、真空状態にすることが可能に構成されている。そして、この密閉蓋6は、図1に示すように、混練機本体2に設けられた揺動機構(図示せず)により、揺動軸Hで揺動回転して開閉することが可能に構成されている。
【0023】
回転手段9は、第1ロータ3及び第2ロータ4を異なる回転速度で回転させることが可能に構成されているが、本実施形態では、回転手段9は、モータ(図示せず)の回転駆動力を、異なるギア比のギア(図示せず)を介して第1ロータ3及び第2ロータ4に伝達し、これら第1ロータ3及び第2ロータ4を異なる回転速度で回転させることが可能なギア機構により構成されている。なお、このギア機構は、ギア比を変更することが可能な変速部を備え、この変速部により第1ロータ3及び第2ロータ4の回転速度を夫々変更可能に構成することもできる。
【0024】
次に、本発明に係る開放型の混練機100の特徴構成について説明する。
混練槽1は、図3(a)に示すように、混練姿勢で有底筒状に形成され鉛直上方に開口部5が形成されるが、第1ロータ3及び第2ロータ4の配置される底部付近の形状が特徴的に形成されている。すなわち、混練槽1の内壁面10が、混練槽1の底部付近において第1ロータ3及び第2ロータ4のロータ翼31,41の回転軌跡に沿った円弧形状に形成された円弧部(第1円弧部1a,第2円弧部1b)と、この円弧部より上方の垂直部(第1垂直部1c,第2垂直部1d)とを備えるように形成されている。
【0025】
具体的には、図3(a)に示すように、混練槽1の内壁面10のうち第1ロータ3が配置される底部付近の形状が、当該第1ロータ3のロータ翼31の回転軌跡に沿った円弧形状の第1円弧部1aとして形成されている。この第1円弧部1aのうち、第1ロータ3の回転軸芯3a周りで、当該回転軸芯3aを含む水平方向(当該水平方向の水平線と第1円弧部1aとが交わる第1円弧部1aにおける第1基端部A1)から第1円弧部1aの第1上端部B1までの角度が第1円弧部角度αとなるように形成されている。なお、この第1円弧部角度αは、例えば、ロータ3の回転軸芯3aに直角な断面で、この回転軸芯3aを中心として、この回転軸芯3aを含む水平方向(当該水平方向の水平線と第1円弧部1aとが交わる第1円弧部1aにおける第1基端部A1)から円弧状に形成された第1円弧部1aの第1上端部B1までの角度としても定義できる。
【0026】
また、図3(a)に示すように、混練槽1の内壁面10のうち第2ロータ4が配置される底部付近の形状が、当該第2ロータ4のロータ翼41の回転軌跡に沿った円弧形状の第2円弧部1bとして形成されている。この第2円弧部1bのうち、第2ロータ4の回転軸芯4a周りで、当該回転軸芯4aを含む水平方向(当該水平方向の水平線と第2円弧部1bとが交わる第2円弧部1bにおける第2基端部A2)から第2円弧部1bの第2上端部B2までの角度が第2円弧部角度βとなるように形成されている。なお、第2円弧部角度βは、例えば、ロータ4の回転軸芯4aに直角な断面で、この回転軸芯4aを中心として、この回転軸芯4aを含む水平方向(当該水平方向の水平線と第2円弧部1bとが交わる第2円弧部1bにおける第2基端部A2)から円弧状に形成された第2円弧部1bの第2上端部B2までの角度としても定義できる。
【0027】
さらに、図3(a)に示すように、混練槽1の内壁面10のうち、第1円弧部1aよりも上部、すなわち、第1上端部B1よりも上部には、垂直に形成された第1垂直部1cが形成されている。また、混練槽1の内壁面10のうち、第2円弧部1bよりも上部、すなわち、第2上端部B2よりも上部には、垂直に形成された第2垂直部1dが形成されている。
【0028】
したがって、第1ロータ3のロータ翼31及び第2ロータ4のロータ翼41が、混練槽1の円弧部である第1円弧部1a及び第2円弧部1bとの関係、特に、第1円弧部1aのうち第1円弧部角度αの円弧部及び第2円弧部1bのうち第2円弧部角度βの円弧部との関係でも混練材料Wに剪断力を付与することができ、混練材料Wの混練を効率よく行うことが可能に構成されている。なお、従来の開放型の混練機においては、図7に示すように、混練槽51の内壁面の垂直部57には混練材料Wを混練する円弧形状の円弧部が存在せず、本願に係る第1円弧部角度α及び第2円弧部角度βに相当する円弧部角度γは共に0度であり、混練槽51において、第1ロータ52の回転軸芯52a及び第2ロータ53の回転軸芯53aを含む水平方向の水平線と混練槽51の内壁面の垂直部57とが交わる箇所から下方の内壁面においてのみ、剪断力を付与することが可能に構成されていた。
【0029】
加えて、本願では、図3(a)に示すように、混練槽1においては、第2ロータ4側である第2円弧部1bにおける第2円弧部角度βは、第1ロータ3側である第1円弧部1aにおける第1円弧部角度αよりも大きくなるように形成されている。例えば、図3(a)における第1円弧部角度αは30度、第2円弧部角度βは60度に設定されている。そして、回転手段9により、円弧部角度の小さい側に配置される第1ロータ3の回転速度が、円弧部角度の大きい側に配置される第2ロータ4の回転速度より速くなるように設定されている。なお、各ロータの回転方向は、図3(a)に示すように、第1ロータ3が時計周り方向、第2ロータ4が反時計周り方向となるように、互いに異なる方向に回転するように設定されている。
【0030】
したがって、混練槽1の内壁面10における第1円弧部1a及び第2円弧部1bの長さを長くして、第1ロータ3及び第2ロータ4において剪断力を付与可能な距離をできるだけ長く(面積を大きく)することにより、従来よりも一層、混練効率を向上させることができる。一方で、混練初期においては混練材料Wの流動性が悪いため、混練材料Wは回転速度の遅い第2ロータ4の上部に盛り上がった状態で滞留しやすい。この様な場合でも回転速度が遅い第2ロータ4が配置される側における第2円弧部1bの長さを第1円弧部1aの長さより長くすることにより、回転速度の遅い第2ロータ4から速い第1ロータ3へ混練材料Wを案内することができ、混練材料Wが回転速度の遅い第2ロータ4の上部に滞留することを抑制して流動性を向上させることができる。さらに混練の進行に伴い、第1ロータ3及び第2ロータ4の回転により混練材料Wが混練槽1の内壁面10における第1垂直部1c及び第2垂直部1dに跳ね上げられて当該第1垂直部1c及び第2垂直部1dに付着することが考えられ、特に回転速度の遅い第2ロータ4での跳ね上げの勢いが弱く、より付着しやすい。この場合に、回転速度の遅い第2ロータ4側での混練材料Wの混練不良が発生することがあるが、このような問題も、回転速度が遅い第2ロータ4が配置される側における混練槽1の第2円弧部1bの長さが長く形成されているので、当該回転速度の遅い第2ロータ4による混練材料Wの跳ね上げがこの第2ロータ4の上部における第2円弧部1bにより妨げられ、結果、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2垂直部1dに付着する混練材料Wが確実に減少し、混練不良の発生を防止することができる。加えて、上記混練機100は、混練材料Wに加圧手段により積極的に加圧する構成ではないため、加圧手段の駆動装置を設ける必要が無い開放型の混練機100であり、しかも、開放型の混練機100内において積極的に混練材料Wを押圧する押圧部材等を設ける必要が無いため、製造コストの低減及び装置構成のコンパクト化を図ることができる。
よって、混練槽1内に収容された混練材料Wを効率よく混練できるとともに、混練機100の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる。
【0031】
また、図3(b)に示すように、混練槽1は、上述のとおり、第1ロータ3の回転軸芯3aを姿勢変更用の回転軸として反転(揺動回転)して反転姿勢となり、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部1aが反転姿勢において下方側となるように形成されている。すなわち、反転姿勢において、円弧部角度が小さい(第1円弧部角度α)側の第1円弧部1aが下方側となるように形成されている。したがって、混練槽1の底部付近を、第1円弧部1aにおいて第1円弧部角度αの部分、及び第2円弧部1bにおいて第2円弧部角度βの部分まで、円弧形状とした場合であっても、当該円弧部角度が小さい側の第1円弧部1aに沿って混練材料Wが排出され易くなり、当該混練材料Wの残留をできるだけ無くすことができる。また、円弧部角度が大きいと清掃時に死角となりやすいが、混練材料の排出を考慮して反転姿勢で鉛直方向で下側となる側の第1円弧部角度αを小さくする方が好ましい。
【0032】
次に、開放型の混練機100を用いて混練材料Wの混練を行う混練方法について説明する。
図1に示すように、開放型の混練機100を用いて混練材料Wを混練する場合には、混練姿勢において密閉蓋6を開いて混練槽1内に混練材料Wを投入し(図1(a)参照)、密閉蓋6を閉じた状態で混練槽1に収容された混練材料Wを第1ロータ3及び第2ロータ4を回転させる(図1(b)参照)。この際、図3(a)に示すように、円弧部角度の小さい(第1円弧部角度α)側に配置される第1ロータ3の回転速度が、円弧部角度の大きい(第2円弧部角度β)側に配置される第2ロータ4の回転速度より速くなるようにギア機構のギア比が設定されている。そして、混練が完了すると、図3(b)に示すように、混練槽1を第1ロータ3の回転軸芯3aを姿勢変更用の回転軸として反転(揺動回転)させ、円弧部角度の小さい(第1円弧部角度α)側に配置される第1円弧部1aが下方側となる反転姿勢で、混練が完了した混練材料Wを混練槽1内から外部に排出する(図1(c)参照)。
よって、上記実施形態において説明してきたように、混練槽1内に収容された混練材料Wを効率よく混練できるとともに、加圧型の混練機と比較、或いは開放型の混練機において押圧部材を設けた場合と比較して、混練機100の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる。しかも、混練材料Wの排出時において当該混練材料Wが混練槽1の内壁面10に残留することを良好に防止することができるとともに、混練槽1内の清掃時における清掃性を向上させることができる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、混練槽1自体の底部付近の内壁面10を円弧形状の円弧部(第1円弧部1a,第2円弧部1b)として形成し、この円弧部を、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部1aにおける第1円弧部角度αを30度、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部1bにおける第2円弧部角度βを60度に形成した。しかし、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部角度αに対して、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部角度βが大きくなるように形成されていれば、上記角度に制限されるわけではない。例えば、図4に示すように、第1円弧部11aの第1円弧部角度αが0度、第2円弧部11bの第2円弧部角度βが90度となるように形成することもできる。
この第1円弧部角度αと第2円弧部角度βとは、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部角度αに対して、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部角度βが大きくなるように形成されていれば、それぞれ0度から90度の範囲で適切な角度に設定することが可能である。例えば、第1円弧部角度α及び第2円弧部角度βの角度は、α<βの条件下で、0度<α+β≦180度程度、より好ましくは、0度<α+β≦90度程度の範囲で適切に設定することができる。
なお、混練材料Wをより効率よく混練するためには、例えば図3、4に示すように、第1ロータ3のロータ翼31の回転軌跡及び第2ロータ4のロータ翼41の回転軌跡が、側面から見た断面(側方断面)で一点で接するように、これら両ロータ3,4を並列で平行に配置した状態で、かつ、各ロータ翼31,41の直径を同一に形成して、第1円弧部角度α及び第2円弧部角度βの角度を、特にα+β=90度とすることがより好ましい。このように形成することで、回転速度の速い第1ロータ3側から回転速度の遅い第2ロータ4側に混練材料Wの受け渡しが確実に促進されるとともに、第2ロータ4側では混練槽1内の底部に形成された第2円弧部11bを比較的長くしてより長く剪断力を付与することで第2ロータ4側における混練を促進でき、さらには、このように混練を促進できる構造にもかかわらず、混練槽1の開口部5の開口幅を充分に確保して混練材料Wの投入及び排出を容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0034】
(2)上記実施形態においては、混練槽1自体の底部付近の内壁面10を円弧形状の円弧部(第1円弧部1a,第2円弧部1b)として形成し、この円弧部を、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部1aにおける第1円弧部角度αを30度、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部1bにおける第2円弧部角度を60度に形成した。しかし、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部角度αに対して、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部角度が大きくなるように形成されていれば、上記混練槽1自体の内壁面10を上記各角度の第1円弧部1a,第2円弧部1bに形成する構成に制限されるわけではない。例えば、図5に示すように、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の混練槽1自体の内壁面10で形成される円弧形状の円弧部を第1円弧部12aとし、この第1円弧部12aにおける円弧部角度をα度(図5では、30度)、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の混練槽1自体の内壁面10で形成される円弧形状の円弧部を第2円弧部12bとし、この第2円弧部12bにおける円弧部角度をβ度(図5では、30度)となるように形成する。そして、底面がロータ翼41の回転軌跡に沿う形状に形成された円弧形成部材20を混練槽1の第2垂直部12dに固定した状態で取り付け、上記混練槽1自体の内壁面10で形成された第2円弧部12bを当該円弧形成部材20の底面に形成された円弧形状部分により延長する。すなわち、混練槽1自体の内壁面10で形成された第2円弧部12bの第2円弧部角度β(A2からB2までの角度)に、円弧形成部材20の底面の円弧部角度(B2からB2´までの角度、図5では、30度)を加えた角度を第2円弧部角度β´(上記実施形態における第2円弧部角度βに相当、図5では、60度)とすることもできる。これにより、混練槽1の底部付近において回転速度の遅い第2ロータ4が設けられる側の第2円弧部1bを比較的長くし、第2ロータ4により、より長く剪断力を付与して混練を促進することができる。なお、円弧形成部材20は、例えば、接着剤等により混練槽1の側壁面12bに隙間がない状態で密着固定されているので、積極的に混練材料Wを加圧しないように構成されている。
【0035】
(3)上記実施形態においては、混練槽1自体の底部付近に並列配置される第1ロータ3及び第2ロータ4を、混練姿勢においてそれぞれの回転軸芯3a,4aが同一の水平面上に並行に配置されるように構成した。しかし、回転速度の遅い第2ロータ4において混練材料Wの混練を効率よく行うことができる構成であれば、上記構成に制限されるわけではない。例えば、図6に示すように、一対の第1ロータ3の回転軸芯3a及び第2ロータ4の回転軸芯4aを上下方向でずれた位置に配置し、回転速度の遅い第2ロータ4の回転軸芯4aが、回転速度の速い第1ロータ3の回転軸芯3aより距離Xだけ上側に配置された構成とすることもできる。なお、図6では、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部13aにおける第1円弧部角度αが小さく、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部13bにおける第2円弧部角度βが大きくなるように混練槽1の底部付近の形状が形成されている。そして、この場合には、図6に示すように、第1ロータ3のロータ翼31及び第2ロータ4のロータ翼41の直径がLとなるように形成した場合に、側面からみた断面(側方断面)で各ロータ翼31,41の回転軌跡が接する状態で、α<β、かつ、0≦X/L(=sinθ)≦0.7(0≦θ≦45°)程度、より好ましくは、α<β、かつ、0≦X/L(=sinθ)≦0.5(0≦θ≦30°)程度とすることが、混練材料Wを効率よく混練するために好ましい混練槽1の形状である。例えば、図6では、側面からみた断面(側方断面)で各ロータ翼31,41の回転軌跡が接する状態で、第1円弧部角度αが30度、第2円弧部角度βが60度であり、X/L=0.5,θ=30°となっている。なお、図6において、θは、第1ロータ3の回転軸芯3a周りで、当該回転軸芯3aを含む水平方向から第2ロータ4の回転軸芯4aまでの角度である。
これにより、回転速度の遅い第2ロータ4よりも、回転速度の速い第1ロータ3が下側に配置されるので、混練効率の高い回転速度の速い第1ロータ3に混練対象の混練材料Wを確実に集めることができ、混練効率をより一層向上することができる。例えば、回転速度の遅い側の第2ロータ4の上部に盛り上がった状態で混練材料Wが滞留している場合であっても、当該混練材料Wが重力の影響により下方側の回転速度の速い第1ロータ側3に良好に案内されてより迅速に混練を行うことが可能となる。
【0036】
(4)上記実施形態においては、回転速度の遅い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部1bにおける第2円弧部角度βを、回転速度の速い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部1aにおける第1円弧部角度αより大きくなるように形成した。しかし、第1ロータ3の回転速度が第2ロータ4の回転速度よりも遅くなるように設定して、回転速度の遅い第1ロータ3が配置される側の第1円弧部1aの第1円弧部角度αに対して、回転速度の速い第2ロータ4が配置される側の第2円弧部1bの第2円弧部角度βが小さくなるように混練槽1を形成することもできる。
【0037】
(5)上記実施形態においては、混練槽1の開口部5を密閉する密閉蓋6を設けたが、混練中における混練材料Wの飛散等の問題や混練槽1内を密閉する必要等がなければ、この密閉蓋6を備えずに開放型の混練機100を構成することもできる。
【0038】
(6)上記実施形態においては、回転手段9として、モータ(図示せず)の回転駆動力を、異なるギア比のギア(図示せず)を介して第1ロータ3及び第2ロータ4に伝達し、これら第1ロータ3及び第2ロータ4を異なる回転速度で回転させることが可能なギア機構を採用した。しかし、第1ロータ3及び第2ロータ4を異なる回転速度で回転させることが可能であれば、特にこの構成に限定されるものではない。例えば、回転手段9を、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、記憶部等からなり、当該CPUにより所定のプログラムを実行して情報を処理することができる公知の情報処理手段(制御手段)で構成して混練機本体2内に設け、第1ロータ3及び第2ロータ4が回転する際の回転速度(回転方向を含む)を制御する制御指令を当該各ロータ3,4を駆動するモータ(図示せず)に出力して、これらロータ3,4を異なる回転速度で回転させる構成とすることもできる。
【0039】
以上、本発明の開放型の混練機について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の開放型の混練機は、混練槽内に収容された混練材料を効率よく混練できるとともに、混練機の製作コスト及び装置構成の増大を防止することができる開放型の混練機として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る開放型の混練機の概略構成及び混練材料の混練方法を示す概念図
【図2】(a)は、混練槽のロータの回転軸芯周りの側方断面図、(b)は、(a)のIIb矢視方向における混練槽の正面部分断面図
【図3】(a)は、混練槽の混練姿勢での側方断面図、(b)は、混練槽の反転姿勢での側方断面図
【図4】(a)は、本発明の別実施形態に係る開放型の混練機における混練槽の混練姿勢での側方断面図、(b)は、混練槽の反転姿勢での側方断面図
【図5】(a)は、本発明の別実施形態に係る開放型の混練機における混練槽の混練姿勢での側方断面図、(b)は、混練槽の反転姿勢での側方断面図
【図6】(a)は、本発明の別実施形態に係る開放型の混練機における混練槽の混練姿勢での側方断面図、(b)は、混練槽の反転姿勢での側方断面図
【図7】従来の開放型の混練機の概略構成を示す概略図
【符号の説明】
【0042】
1 混練槽
1a 第1円弧部(円弧部)
1b 第2円弧部(円弧部)
1c 第1垂直部(垂直部)
1d 第2垂直部(垂直部)
3 第1ロータ
3a 第1ロータの回転軸芯
4 第2ロータ
4a 第2ロータの回転軸芯
5 開口部
9 回転手段
10 内壁面
100 開放型の混練機
A1,A2 ロータの回転軸芯周りで、この回転軸芯を含む水平方向の水平線と混練槽の内壁面との交点(内壁面の円弧部における基端部)
B1,B2 円弧部の上端部
W 混練材料
α 第1円弧部角度(円弧部角度)
β 第2円弧部角度(円弧部角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に混練材料を収容する混練槽と、前記混練槽内の底部に並列に配置され前記混練材料を混練する一対のロータとを備えた開放型の混練機であって、
前記一対のロータを互いに異なる回転速度で回転させる回転手段を備え、
前記混練槽の内壁面が、前記ロータの回転軌跡に沿った円弧形状の円弧部を有し、前記混練槽の開口部を鉛直上方に向けて前記混練材料の混練を行う混練姿勢において、前記ロータの回転軸芯周りで当該回転軸芯を含む水平方向から前記円弧部の上端部までの角度である円弧部角度について、前記一対のロータのうち回転速度の速いロータが配置される側の円弧部角度に対して、回転速度の遅いロータが配置される側の円弧部角度が大きくなるように形成された混練機。
【請求項2】
前記混練槽が、前記一対のロータの何れか一方の回転軸芯を姿勢変更用の回転軸として反転可能に構成され、前記回転速度の速いロータが配置される側の前記円弧部が、前記混練槽が反転した反転姿勢で下方側となるように配置されている請求項1に記載の混練機。
【請求項3】
前記一対のロータの回転軸芯が上下方向でずれた位置に配置され、前記回転速度の遅いロータの回転軸芯が前記回転速度の速いロータの回転軸芯より上側に配置されている請求項1又は2に記載の混練機。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の混練機を用いて、前記混練姿勢において前記混練槽に前記混練材料を収容した後、前記円弧部角度の小さい側に配置されるロータの回転速度を、前記円弧部角度の大きい側に配置されるロータの回転速度より速くして、前記混練材料を混練する混練方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−125661(P2010−125661A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301437(P2008−301437)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(595057720)株式会社モリヤマ (26)
【Fターム(参考)】