説明

清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置

【課題】被清掃体の端部に対する清掃性能を向上させる。
【解決手段】回転される軸部104と、軸部104に固定され、被清掃体23に接触して被清掃体23を清掃する弾性層107と、弾性層107の軸部104の軸方向端部から軸方向外側に向けて突出された被押さえ部107Bと、軸部104の軸方向端部に設けられ、被押さえ部107Bを軸部104との間で押さえる押さえ部材108と、押さえ部材108によって被押さえ部107Bが押さえられることで、弾性層107の端部107Aの幅方向中央部に形成された切込部107Eが開かれて形成され、被清掃体23の端部に接触して被清掃体23の端部を清掃する清掃部107Fと、を有する清掃体102とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電ロールの軸線方向に延び、その帯電ロールの外周面に当接する螺旋状の弾性部材でクリーニング手段を構成してなる、帯電ロールのクリーニング装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、被清掃体の端部に対する清掃性能を向上できる清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の清掃体は、回転される軸部と、前記軸部に固定され、被清掃体に接触して該被清掃体を清掃する弾性層と、前記弾性層の前記軸部の軸方向端部から該軸方向外側に向けて突出された被押さえ部と、前記軸部の軸方向端部に設けられ、前記被押さえ部を前記軸部との間で押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材によって前記被押さえ部が押さえられることで、前記弾性層の前記端部の幅方向中央部に形成された切込部が開かれて形成され、前記被清掃体の端部に接触して該被清掃体の端部を清掃する清掃部と、を有することを特徴としている。
【0006】
また、本発明に係る請求項2に記載の清掃体は、回転される軸部と、前記軸部に固定され、被清掃体に接触して該被清掃体を清掃する弾性層と、前記弾性層の前記軸部の軸方向端部で、かつ該弾性層の幅方向の一部から該軸方向外側に向けて突出された被押さえ部と、前記軸部の軸方向端部に設けられ、前記被押さえ部を前記軸部との間で押さえる押さえ部材と、前記被押さえ部が突出された前記弾性層の前記端部の幅方向中央部に形成され、前記押さえ部材が前記被押さえ部を押さえることによって開かれる切込部と、を有することを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に記載の清掃体は、請求項1又は請求項2に記載の清掃体において、前記弾性層が、前記軸部に螺旋状に巻き付けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に記載の清掃体は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の清掃体において、前記弾性層が、接着層によって前記軸部に接着されており、前記切込部が、前記接着層に形成されていないことを特徴としている。
【0009】
また、請求項5に記載の清掃体は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の清掃体において、前記切込部が、前記弾性層の延びる方向と略平行に形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る請求項6に記載の清掃装置は、回転する被清掃体に接触して従動回転しつつ前記被清掃体を清掃する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の清掃体と、前記押さえ部材を回転可能に支持する支持部材と、を有することを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る請求項7に記載の帯電装置は、請求項6に記載の清掃装置と、回転する前記被清掃体としての帯電体と、を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る請求項8に記載の組立体は、請求項6に記載の清掃装置と、被帯電体と、前記被帯電体を帯電させ、回転する前記被清掃体としての帯電体と、が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る請求項9に記載の画像形成装置は、請求項6に記載の清掃装置と、画像を保持可能な像保持体と、前記像保持体を帯電させ、回転する前記被清掃体としての帯電体と、前記帯電体によって帯電した前記像保持体を露光し、静電潜像を形成する露光装置と、前記露光装置によって前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、弾性層の端部に、被清掃体の端部を清掃する清掃部が切込部によって形成されていない構成に比べて、被清掃体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、弾性層の端部に形成された切込部が開かれない構成に比べて、被清掃体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、弾性層が、軸部に螺旋状に巻き付けられていない構成に比べて、清掃部を容易に形成することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、切込部が、接着層にまで形成されている構成に比べて、軸部に接着された弾性層をその軸部から剥がれ難くできる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、切込部が、弾性層の延びる方向と略平行に形成されていない構成に比べて、弾性層の断裂を抑制又は防止することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、弾性層の端部に、被清掃体の端部を清掃する清掃部が切込部によって形成されていない構成に比べて、被清掃体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、弾性層の端部に、帯電体の端部を清掃する清掃部が切込部によって形成されていない構成に比べて、帯電体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、弾性層の端部に、帯電体の端部を清掃する清掃部が切込部によって形成されていない構成に比べて、帯電体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、弾性層の端部に、帯電体の端部を清掃する清掃部が切込部によって形成されていない構成に比べて、帯電体の端部に対する清掃性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置の構成を示す概略図
【図2】清掃装置の構成を示す概略図
【図3】清掃体の構成を示す概略図
【図4】清掃材の端部に連設された突起部及び切込部の形状を示す平面図
【図5】清掃材の端部に連設された突起部及び切込部の形状を示す平面図
【図6】清掃材の端部の構成を示す断面図
【図7】爪部を備えた押さえ部材の構成を示す斜視図
【図8】清掃体の一端部の構成を示す概略図
【図9】清掃体の一端部の構成を示す断面図
【図10】(A)本実施形態に係る清掃体の一端部における形状を示す概略図、(B)比較例に係る清掃体の一端部における形状を示す概略図
【図11】清掃体における軸部の軸方向に沿った断面の一部を示す模式図
【図12】清掃体の清掃動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を基に詳細に説明する。なお、図1において、矢印UPを画像形成装置10の上方向とする。まず、画像形成装置10の構成を説明する。図1で示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行う画像処理部12が設けられている。
【0025】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっており、この処理された階調データを受け取って、レーザー光LBによる画像露光を行う露光装置14が、装置本体10A内の略中央に設けられている。
【0026】
また、露光装置14の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に間隔をおいて配置されている。なお、以下において、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合には、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。
【0027】
これらの4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、全て同様に構成されており、回転駆動される円筒状の被帯電体の一例としての像保持体18と、像保持体18の外周面を帯電する帯電装置20と、帯電装置20によって帯電された像保持体18の外周面に、露光装置14の画像露光によって形成された静電潜像を、各色のトナーで現像してトナー画像として可視化する現像装置22と、像保持体18の外周面を清掃する清掃部材24と、を含んで構成されている。
【0028】
像保持体18は、形成される画像を保持可能に構成されており、具体的には、感光体で構成されている。帯電装置20は、像保持体18の外周面を帯電する帯電体の一例としての帯電ロール23と、帯電ロール23を清掃する清掃装置100と、を備えて構成されている。
【0029】
帯電ロール23は、像保持体18の外周面に接触して回転し、像保持体18の外周面を帯電するようになっている。なお、帯電ロール23は、清掃装置100よって清掃される被清掃体の一例でもある。また、清掃装置100の具体的な構成については、後で詳述する。
【0030】
各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、装置本体10Aに着脱可能に構成されており、装置本体10Aに一体に着脱可能に組み立てられた組立体として機能するようになっている。なお、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、ユニット化せずに、例えば、共通の支持フレームに支持し、装置本体10Aに対して着脱されない構成にしてもよい。
【0031】
また、露光装置14には、4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kに共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザーが設けられており、これらの半導体レーザーからレーザー光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射されるようになっている。
【0032】
なお、半導体レーザーから出射されたレーザー光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザー光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から照射されるようになっている。
【0033】
また、この露光装置14は、その周囲が直方体状の筐体28によって密閉されている。そして、筐体28の上部には、4本のレーザー光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に向けて透過させる透光部材30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
【0034】
一方、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方には、一次転写ユニット21が設けられている。この一次転写ユニット21は、無端状の中間転写ベルト32と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、回転駆動して中間転写ベルト32を図1で示す矢印方向に周回させる駆動ロール40と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール36と、中間転写ベルト32の外周面を清掃する清掃部材38と、中間転写ベルト32を挟んで像保持体18Y、18M、18C、18Kの反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kと、を含んで構成されている。
【0035】
そして、この4つの一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kによって、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、中間転写ベルト32上に、多重転写される構成となっている。
【0036】
また、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール40の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト32により、駆動ロール40と二次転写ロール42との間の二次転写位置へ搬送され、搬送経路56に沿って搬送されて来た記録媒体Pに二次転写されるようになっている。
【0037】
更に、二次転写ロール42に対して記録媒体Pの搬送方向下流側(以下、単に「下流側」と言う場合がある)には、記録媒体Pに転写されたトナー画像を、熱及び圧力により、その記録媒体Pに定着する定着装置44が設けられている。そして、定着装置44の下流側には、トナー画像が定着された記録媒体Pを、画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
【0038】
一方、画像形成装置10の装置本体10A内の下側には、記録媒体Pが収容される収容部50が設けられており、この収容部50に収容された記録媒体Pを搬送経路56へ送り出す送出ロール52が設けられている。そして、この送出ロール52の下流側には、記録媒体Pを1枚ずつ分離して搬送する分離ロール54が設けられている。
【0039】
また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合わせロール58が設けられている。これにより、収容部50から送り出された記録媒体Pは、位置合わせロール58により、予め定められたタイミングで中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接触する二次転写位置へ搬送されるようになっている。
【0040】
また、排出ロール46の隣りには、定着装置44によって片面にトナー画像が定着された記録媒体Pを、排出ロール46によって排出部48に排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。両面用搬送経路62に沿って搬送される記録媒体Pは、表裏が反転された状態で、位置合わせロール58へ再度搬送され、今度は、記録媒体Pの裏面にトナー画像が転写・定着されて、排出部48上に排出されるようになっている。
【0041】
以上のような構成の画像形成装置10では、次のようにして記録媒体Pに画像が形成される。まず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力され、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザー光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電装置20(帯電ロール23)によって帯電された像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。
【0042】
像保持体18上に形成された静電潜像は、現像装置22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0043】
そして、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方に渡って配置された一次転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト32上に多重転写される。
【0044】
更に、周回する中間転写ベルト32上に多重転写された各色のトナー画像は、収容部50から送出ロール52、分離ロール54、位置合わせロール58によって搬送経路56を搬送されて来た記録媒体Pに、二次転写ロール42によって二次転写される。
【0045】
そして、トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置44へと搬送され、そのトナー画像が定着装置44によって定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
【0046】
なお、記録媒体Pの両面に画像を形成する場合には、定着装置44によって片面にトナー画像が定着された記録媒体Pを、排出ロール46によって排出部48に排出せずに、その搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へ搬送する。
【0047】
そして、両面用搬送経路62に沿って記録媒体Pを搬送することで、その記録媒体Pの表裏を反転し、表裏反転された記録媒体Pが再度位置合わせロール58へ搬送される。これにより、今度は、記録媒体Pの裏面にトナー画像が転写・定着され、トナー画像が転写・定着された記録媒体Pは、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
【0048】
次に、本実施形態に係る清掃装置100について詳細に説明する。図2、図3で示すように、この清掃装置100は、被清掃体の一例としての帯電ロール23を清掃する清掃体102を備えている。清掃体102は、帯電ロール23の軸方向に沿って配置された軸部104と、軸部104の外周面に螺旋状に巻き付けられて接着により固定された清掃材106と、を備えている。
【0049】
軸部104は、帯電ロール23の軸方向に沿って延びるように、金属材料で成形されており、その両端部を除いて円柱状に形成されている。清掃材106は、図4で示すように、帯状(細長い略平行四辺形状)に形成されるとともに弾性変形可能な弾性層107と、表面全体に弾性層107が接着されるとともに裏面が軸部104に接着される接着層105(図6参照)と、を有している。
【0050】
接着層105は、例えば接着剤、両面テープなどの接着材によって構成されており、清掃材106は、その接着層105によって、軸部104の外周面に、その軸方向一端部から他端部に亘って貼付(固定)されるようになっている。なお、接着層105は単層の接着層であっても、複数層の接着層であってもよい。また、接着層105を複数層の接着層で構成する場合には、その接着層同士の間に導電層、非導電層、半導電層、断熱層、伝熱層などの非接着層を介在させてもよい。
【0051】
弾性層107は、例えば発泡ポリウレタン樹脂(スポンジ)等によって構成されており、図4で示すように、その長手方向両端部107Aには、それぞれ軸部104に巻き付けられたときに、その軸方向外側へ向かって突出する被押さえ部の一例としての突起部107Bが一体に連設されている。なお、以下の説明において、端部107Aに突起部107Bは含まれないものとする。
【0052】
この突起部107Bは、後述する押さえ部材108によって押さえられる(押さえ部材108と軸部104との間に挟まれる)部分であり、その押さえ部材108によって押さえられる領域が必要最小限となるように、弾性層107の幅方向の一部から、例えば細長い三角形状に突出されている。
【0053】
すなわち、この突起部107Bは、図4で示すように、清掃材106(弾性層107)の一端部側(図示の左側)では、軸部104の回転方向(矢印Fで示す)下流側に連設され、清掃材106(弾性層107)の他端部側(図示の右側)では、軸部104の回転方向上流側に連設されている。つまり、図4で示す清掃材106(弾性層107)は、点対称形状に形成されている。
【0054】
なお、清掃材106(弾性層107)は、図5で示す形状とする方が望ましい。すなわち、清掃材106(弾性層107)の他端部側(図示の右側)における突起部107Bを、軸部104の回転方向下流側に連設する方が望ましい。この場合、突起部107Bは、清掃材106(弾性層107)の一端部側及び他端部側において、共に軸部104の回転方向下流側に連設されることになるので、帯電ロール23に対する清掃時に、その端部107Aが軸部104から剥がれ難くなる利点がある。
【0055】
また、図4〜図6で示すように、清掃材106(弾性層107)の端部107Aの幅方向中央部には、その端部107Aの縁部から清掃材106(弾性層107)の延びる方向にほぼ沿って(延びる方向と略平行に)、予め決められた長さ(例えば、後述する爪部108Eの突出高さの2倍程度)の切込部107Eが形成されている。この切込部107Eは、後述する押さえ部材108が突起部107Bを押さえることで開かれるようになっている。
【0056】
そして、この切込部107Eは、弾性層107の延びる方向(長手方向)にほぼ沿って形成されていることから、その長さの設定に自由度があり、例えば弾性層107の延びる方向に対して傾斜する方向に形成されている場合に比べて、切込部107Eの終端部分への応力集中が緩和され、弾性層107の端部107Aにおける断裂(千切れ)が抑制又は防止される利点がある。
【0057】
また、図示しないが、切込部107Eの終端部分に円形状の穴部を形成すれば、切込部107Eに沿って弾性層107が切断されるのが防止されるので望ましい。更に、この切込部107Eは、図6で示すように、弾性層107にのみ形成され、接着層105には形成されないようになっている。これにより、軸部104から端部107Aが剥がれ難くなる構成である。
【0058】
何れにしても、弾性層107(清掃材106)の端部107Aで、かつ、その幅方向の一部に突起部107Bを連設し、その突起部107Bのみを押さえ部材108によって押さえる構成になっていると、その突起部107Bが連設されている端部107Aは、押さえ部材108によって押さえられることがなく(覆われることがなく)、外部に露出される。そして、切込部107Eが開かれる。
【0059】
したがって、図4、図5、図8〜図10で示すように、軸部104の周方向に沿う清掃部の一例としての第1稜線部107Cと、その周方向に交差する方向に沿う清掃部の一例としての第2稜線部107Dと、が押さえ部材108の縁部(後述する爪部108Eを含む)に達する端部107Aに形成され、かつ、切込部107Eの縁部(特に突起部107Bが連設されていない側の縁部)に清掃部の一例としての第3稜線部107Fが、第2稜線部107Dと略平行に形成される。
【0060】
こうして形成された第1稜線部107C、第2稜線部107D、第3稜線部107Fにより、弾性層107の厚さ(特に突起部107Bが連設されている側を除く弾性層の厚さ)、即ち後述する突出部106Aの高さが、端から端まで同じ高さに安定して形成され、帯電ロール23の軸方向両端部に対する清掃性能が向上される構成である。
【0061】
つまり、清掃材106は、図11で示すように、軸部104の軸方向Tに沿った断面において、4辺(曲線を含む)で囲まれた四角形状とされており、軸部104の軸方向Tにおける両端部に、径方向外側(図11における矢印R方向)へ向けて突出する突出部106Aを有している。この突出部106Aは、例えば清掃材106に対して張力を付与することにより、清掃材106の外周面(図11における上面)の軸方向Tにおける中央部106Bとの間に外径差を生じさせることで形成される。
【0062】
なお、清掃材106は、その巻き方向と直交する方向(図2における矢印Z方向)に沿った断面においても、同様に、4辺(曲線を含む)で囲まれた四角形状とされており、その軸方向Tにおける両端部に、径方向外側(図11における矢印R方向)へ向けて突出する突出部106Aを有している。そして、この清掃体102では、清掃材106の突出部106Aを含む外周面(図11における上面)が帯電ロール23に接触して、軸部104が従動回転するようになっている。
【0063】
したがって、その清掃材106の外周面が、帯電ロール23の外周面を払拭するとともに、清掃材106の突出部106Aが異物を掻き取ることにより、その異物が帯電ロール23の外周面から除去される。そして、帯電ロール23の軸方向両端部においても、第1稜線部107C、第2稜線部107D(突出部106A)、第3稜線部107F(突出部106A)によって、その帯電ロール23の軸方向両端部の外周面に残されている異物が掻き取られて除去される。
【0064】
一方、図7〜図9で示すように、軸部104の軸方向両端部には、弾性層107の端部107Aに連設された突起部107Bを、それぞれ軸部104との間で挟み込む(突起部107Bが軸部104から剥がれないように押さえる)円筒状の押さえ部材108が設けられている。
【0065】
押さえ部材108の内周面には、その軸方向内側から外側に向かって順に、軸部104の外周面との間に隙間を形成する円筒部108Aと、軸部104が挿入されることによって保持される保持部108Bとが一体に形成されている。すなわち、保持部108Bには、軸部104が挿入される挿入孔108Dが形成されている。
【0066】
なお、軸部104の保持部108Bに挿入される両端部及び挿入孔108Dは、例えばDカット等の回転止めがなされる断面形状とされており、挿入孔108Dに軸部104の両端部が挿入されることで、保持部108Bが軸部104に保持されるとともに、押さえ部材108が、軸部104と一体に回転するようになっている。
【0067】
また、図示の保持部108Bは、その端面108Cが、軸部104の端面104Aと同一面上をなす位置で、その軸部104に保持されるようになっているが、軸部104の端面104Aが、保持部108Bの端面108Cよりも軸方向内側(図における右側)に位置するようになっていてもよい。
【0068】
円筒部108Aは、軸部104の周方向に沿って形成されており、その軸方向内側から外側に向かって順に、第1内径部109Aと、第1内径部109Aよりも内径が小さい第2内径部109Bと、を有している。このように、第1内径部109Aと第2内径部109Bとの内径が異なることにより、第1内径部109Aと第2内径部109Bとの間で段差が形成されるようになっている。
【0069】
第2内径部109Bは、弾性層107の突起部107B及びそれを若干巻き込んだ接着層105を軸部104の外周面との間に挟み込み、その軸部104の外周面との間で接着層105及び突起部107Bを圧縮して押さえるようになっている。
【0070】
また、第1内径部109Aは、弾性層107の突起部107B及び接着層105を軸部104の外周面との間に挟み込み、その軸部104の外周面との間で突起部107B及び接着層105を圧縮して押さえるようになっている。このように、第1内径部109A及び第2内径部109Bは、軸部104との間で突起部107B及び接着層105を押さえる押さえ部として機能する。
【0071】
なお、本実施形態では、第2内径部109Bが、突起部107Bを若干巻き込んだ接着層105を軸部104の外周面との間に挟み込むと説明したが、これに限らず、例えば、押さえ部材108の軸部104への装着時に、接着層105が押し剥がされて蛇腹状になった突起部107Bなどを、第2内径部109Bと軸部104の外周面との間に挟み込むようにしてもよい。
【0072】
何れにしても、清掃材106を接着層105によって軸部104に一旦接着し、次いで、軸部104の端部を保持部108Bの挿入孔108Dに挿入して、押さえ部材108を軸部104に装着することにより、保持部108Bの挿入孔108Dの縁部によって、接着層105が押し剥がされ、その接着層105が第2内径部109Bの内周面に接着される。これにより、清掃材106の両端部が、更に軸部104から剥がれ難くなる構成である。
【0073】
また、図7で示すように、この押さえ部材108の縁部には、第1内径部109Aと連続して、軸部104の軸方向内側に向かって突出する突出部の一例としての爪部108Eが、周方向に等間隔に3つ形成されている。この爪部108Eは、略正三角形状に形成されており、押さえ部材108の軸部104への装着時に、弾性層107の端部107Aにおける端面に突き刺さり、切込部107Eが開いた状態を維持するように構成されている。
【0074】
したがって、弾性層107の端部107A、特に第2稜線部107D及び第3稜線部107Fは、爪部108Eによって支持されて外部から覆われることがなく、第1稜線部107Cは、爪部108E同士の間から外部へ露出される。これによっても、第1稜線部107C、第2稜線部107D、第3稜線部107Fの形状が確保される(帯電ロール23の外周面に接触させられる)構成である。
【0075】
なお、本実施形態で言う「突き刺さる」とは、端部107Aの端面に穴を空けることだけではなく、端部107Aの端面を押して弾性変形させることも含む。また、この爪部108Eが端部107Aの端面に突き刺さることにより、清掃材106の両端部が、更に軸部104から剥がれ難くなる利点もある。
【0076】
また、清掃装置100は、図2で示すように、各押さえ部材108を回転可能に支持する一対の支持部材110を備えている。詳細には、この支持部材110は、それぞれ軸部104の軸方向内側が開放され、その軸方向外側が側壁110Aにて閉塞された略円筒状の胴体部110Bを備えている。そして、各押さえ部材108は、胴体部110Bの内壁を滑りながら、その内壁の周方向へ軸部104と一体に回転可能とされている。
【0077】
また、一対の支持部材110は、それぞれ両側の側板112に形成された固定部114に固定されている。なお、本実施形態に係る帯電ロール23は、その軸方向端部が支持部材110によって回転可能に支持され、像保持体18は、その軸方向端部が側板112によって回転可能に支持されている。
【0078】
以上のような構成の清掃装置において、次に、その作用について説明する。中間転写ベルト32に転写されずに像保持体18の外周面に残留した現像剤等の異物は、清掃部材24によって像保持体18から除去される。
【0079】
ここで、現像剤の成分中で粒子径が比較的小さい外添剤等の異物は、清掃部材24をすり抜ける。そして、清掃部材24をすり抜けた外添剤等の異物は、帯電ロール23の外周面に付着する。
【0080】
帯電ロール23の外周面に付着した異物は、清掃材106の突出部106Aを含む外周面(図11における上面)が帯電ロール23に接触することで除去される。すなわち、その清掃材106の外周面が、帯電ロール23の外周面を払拭しつつ、その外周面に付着した異物を清掃材106の突出部106Aが掻き取る。
【0081】
詳細には、図12(A)、図12(B)で示すように、矢印J方向に回転する帯電ロール23に従動回転する清掃体102の清掃材106は、その突出部106Aが帯電ロール23の外周面に押されて清掃材106の高さ方向(図12(A)に示すG方向)及び幅方向(図12(A)に示すH方向)に弾性変形(弾性圧縮)する。
【0082】
これにより、帯電ロール23の外周面に付着した外添剤等の異物が、その突出部106Aに押されて凝集する。そして、図12(C)で示すように、凝集した外添剤等の異物は、突出部106Aの復元力により、密な状態からほぐされたり、帯電ロール23の外周面からはじかれたりする。
【0083】
ここで、本実施形態に係る清掃体102では、図9、図10(A)で示すように、突起部107Bのみが押さえ部材108によって押さえられている。そして、押さえ部材108は、その爪部108Eが、弾性層107の端部107Aにおける端面に突き刺さり、切込部107Eが開いた状態を維持するようにして、軸部104に装着されている。
【0084】
したがって、清掃材106の弾性層107において、突起部107Bが連設されている端部107Aが、押さえ部材108(爪部108Eも含む)で覆われることがなく、その端部107Aには、周方向の第1稜線部107Cと、周方向に交差する方向の第2稜線部107D(突出部106A)と、第2稜線部107Dと略平行な第3稜線部107F(突出部106A)と、が確保される。よって、帯電ロール23の軸方向両端部に対する清掃性能が向上される。
【0085】
つまり、図10(B)で示すように、弾性層107の端部107Aに、その幅方向全体に亘って形成された被押さえ部が、押さえ部材108の第1内径部109A又は爪部108Eによって押さえられている比較例に係る清掃体102では、弾性層107の端部107Aにおける稜線部(突出部106A)が、押さえ部材108の第1内径部109A又は爪部108Eによって覆われる。
【0086】
そのため、この比較例における端部107Aには稜線部(突出部106A)が確保されず、その端部107Aの形状は、端部107Aを変形させる圧力が軸部104の軸方向内側に行くに従って緩和されるような形状、即ち帯電ロール23の外周面との間に隙間Sが形成される形状となっている。
【0087】
よって、帯電ロール23の軸方向両端部に接触する弾性層107の領域が低減され、その軸方向両端部に対する清掃性能が低下する(清掃不良が発生する)。また、その清掃性能を確保するためには、弾性層107を軸方向に長く設けなくてはならず、画像形成装置10全体が、その軸方向に大きくなってしまう。
【0088】
しかしながら、本実施形態に係る清掃体102では、図10(A)で示すように、弾性層107の端部107Aを押さえ部材108によって押さえるのではなく、その端部107Aに連設された突起部107Bのみを押さえ部材108によって押さえているので、弾性層107の端部107Aにおける第1稜線部107C、第2稜線部107D(突出部106A)、第3稜線部107F(突出部106A)は、爪部108E同士の間から外部へ露出され、押さえ部材108(爪部108Eも含む)によって弾性変形させられることがない。
【0089】
しかも、押さえ部材108の爪部108Eは、弾性層107の端部107Aにおける端面に突き刺さり、切込部107Eが開いた状態を維持するような構成になっているため、弾性層107の端部107Aは、その爪部108Eによって支持される。したがって、外部へ露出される第1稜線部107C、第2稜線部107D、第3稜線部107Fが広く確保され、帯電ロール23の軸方向両端部に接触させる弾性層107の領域が広く確保される。
【0090】
つまり、突起部107Bが押さえ部材108で押さえられて、その突起部107Bが連設されている側の端部107Aが、たとえ弾性変形させられても、切込部107Eを境に、突起部107Bが連設されていない側の端部107Aの厚さにばらつきが少なくなり、上記比較例に係る清掃体102に比べて、画像形成装置10を大型化させることなく、その端部107Aを帯電ロール23の端部に良好に接触させられる。したがって、帯電ロール23の軸方向両端部を清掃する弾性層107の端部107Aにおいて、弾性層107の中央部分と同等の清掃性能が得られる。
【0091】
以上、本実施形態に係る清掃体102について、図面に示す実施例を基に説明したが、本実施形態に係る清掃体102は、図示の実施例に限定されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、保持部108Bの端面108Cから軸部104を突出させ、押さえ部材108ではなく、軸部104を軸受によって回転可能に支持する構成にしてもよい。なお、軸受は、転がり軸受であっても、滑り軸受であってもよい。
【0092】
また、弾性層107は、螺旋状に巻き付けられたものに限定されるものではなく、軸部104が挿入される円筒状に形成され、その軸方向端部に切込部107Eが形成されていれば、同様に適用が可能である。更に、図示の押さえ部材108は、軸部104の軸方向両端部に装着されているが、清掃体102の構成によっては、軸部104の軸方向一端部にだけ装着される構成であってもよい。つまり、この押さえ部材108は、軸部104の軸方向の少なくとも一端部に設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 画像形成装置
10A 装置本体
14 露光装置
16 画像形成ユニット(組立体の一例)
18 像保持体(被帯電体の一例)
20 帯電装置
23 帯電ロール(被清掃体/帯電体の一例)
22 現像装置
100 清掃装置
102 清掃体
104 軸部
105 接着層
106 清掃材
106A 突出部
107 弾性層
107A 端部
107B 突起部(被押さえ部の一例)
107C 第1稜線部(清掃部の一例)
107D 第2稜線部(清掃部の一例)
107E 切込部
107F 第3稜線部(清掃部の一例)
108 押さえ部材
108E 爪部(突出部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転される軸部と、
前記軸部に固定され、被清掃体に接触して該被清掃体を清掃する弾性層と、
前記弾性層の前記軸部の軸方向端部から該軸方向外側に向けて突出された被押さえ部と、
前記軸部の軸方向端部に設けられ、前記被押さえ部を前記軸部との間で押さえる押さえ部材と、
前記押さえ部材によって前記被押さえ部が押さえられることで、前記弾性層の前記端部の幅方向中央部に形成された切込部が開かれて形成され、前記被清掃体の端部に接触して該被清掃体の端部を清掃する清掃部と、
を有することを特徴とする清掃体。
【請求項2】
回転される軸部と、
前記軸部に固定され、被清掃体に接触して該被清掃体を清掃する弾性層と、
前記弾性層の前記軸部の軸方向端部で、かつ該弾性層の幅方向の一部から該軸方向外側に向けて突出された被押さえ部と、
前記軸部の軸方向端部に設けられ、前記被押さえ部を前記軸部との間で押さえる押さえ部材と、
前記被押さえ部が突出された前記弾性層の前記端部の幅方向中央部に形成され、前記押さえ部材が前記被押さえ部を押さえることによって開かれる切込部と、
を有することを特徴とする清掃体。
【請求項3】
前記弾性層は、前記軸部に螺旋状に巻き付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の清掃体。
【請求項4】
前記弾性層は、接着層によって前記軸部に接着されており、前記切込部は、前記接着層に形成されていないことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の清掃体。
【請求項5】
前記切込部は、前記弾性層の延びる方向と略平行に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の清掃体。
【請求項6】
回転する被清掃体に接触して従動回転しつつ前記被清掃体を清掃する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の清掃体と、
前記押さえ部材を回転可能に支持する支持部材と、
を有することを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
請求項6に記載の清掃装置と、
回転する前記被清掃体としての帯電体と、
を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
請求項6に記載の清掃装置と、
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させ、回転する前記被清掃体としての帯電体と、
が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられたことを特徴とする組立体。
【請求項9】
請求項6に記載の清掃装置と、
画像を保持可能な像保持体と、
前記像保持体を帯電させ、回転する前記被清掃体としての帯電体と、
前記帯電体によって帯電した前記像保持体を露光し、静電潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−68594(P2012−68594A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215629(P2010−215629)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】