説明

清掃用粘着テープロール及びロール式清掃具

【課題】レール引き現象を発生し難く、実用性に優れた清掃用粘着テープロール及びロール式清掃具を提供すること。
【解決手段】本発明の清掃用粘着テープロール1は、基材2の一面2aに粘着部3を有する多数枚の粘着テープTnが切り取り線5を介して一方向に連続して繋がっている長尺の帯状テープ4を、粘着部3を外側に向けて巻回してなる。切り取り線5及びその近傍に切り取り線5に沿って、実質的に粘着性を有していない非粘着部7が存しており、該非粘着部7の該切り取り線5から巻回方向Rに延出している部分の延出長さL1が1〜10mmである。隣接する切り取り線5,5の間隔が、巻回方向Rの周長にして360°を超えている。最外層の粘着テープT1における粘着部3が、該最外層に隣接する下層において、該粘着テープT1の巻回方向Rの後端T1bから前端に向けて延出しており、その延出部31の後端T1bからの延出長さが10〜20mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローリング等に押し付け、埃や髪の毛等のゴミを粘着させる清掃用粘着テープロール及びそれを用いたロール式清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺帯状の粘着テープがその粘着面を外側にして巻回された粘着テープロールを回転させ、フローリングやカーペット等を清掃するロール式清掃具が知られている。この種の粘着テープロールは、ある程度使用すると粘着面にゴミが付着して粘着力が弱くなるため、そのような場合には、そのロール最外層の汚れた粘着テープを一巻き分剥がして、新たに下層の粘着面を露出させる必要がある。この粘着テープの剥離作業を容易にするため、粘着テープロールには、粘着テープの巻回方向と交差する方向に延びるミシン目状等の切り取り線が、該巻回方向に所定間隔を置いて複数本設けられている。
【0003】
また、この種の粘着テープロールの課題の一つとして、いわゆるレール引き現象の防止がある。レール引き現象は、被清掃面上で粘着テープロールをその巻回方向とは逆方向(巻き剥がし方向)に回転させたときに、粘着テープがロール最外層の切り取り端部を起点として被清掃面に帯状に貼り付く現象であり、発生しないことが望まれる現象である。レール引き現象の防止技術に関しては種々提案がなされている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0004】
特許文献1には、粘着テープの隣接する切り取り線の間隔を、巻回方向の周長にして360°未満とし、ロール最外層の露出されている粘着面の一部に、次層の粘着面を含ませる技術が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、次層の粘着テープにおける切り取り端部にゴミが付着し、その部分の粘着力が弱まるため、最外層の粘着テープを剥がして次層の粘着テープを使用する場合、その巻回方向と反対方向に回転させても、次層の切り取り端部が被清掃面に付着しにくくなっているため、該切り取り端部が被清掃面からめくられることはなく、レール引き現象が発生しないとされている。
【0005】
また特許文献2には、各切り取り線の巻芯方向寄りの位置に粘着性を持たない非粘着部を設ける技術が記載されている。この非粘着部は、粘着テープの一部を切り起こして形成された切起し片を、該粘着テープの粘着面側に向けて折り曲げ、その粘着面同士を貼り合わせて形成されている。また特許文献3には、粘着テープとは別部材の強靭なフィルム基材を、該粘着テープの幅方向に沿ってその粘着面上の切り取り線の近傍に帯状に設ける技術が記載されている。特許文献2及び3に記載の技術は、何れも、粘着面の切り取り線の近傍に非粘着面を重ねることによってレール引き現象の発生を防止している。
【0006】
また特許文献4には、粘着テープの粘着面に、該粘着面とは反対側に位置する他面に対する剥離手段を設ける技術が記載されている。特許文献4に記載の技術によれば、レール引き現象が防止されると共に、ロール状に巻回される粘着テープに要求される粘着性と剥離性とのバランスが良好になるとされている。
【0007】
また従来、機能の異なる複数の清掃具を一体的に組み付けた複合式清掃具が知られており、前述したロール式清掃具をその一つとして備えたものがある。例えば特許文献5には、粘着テープロールが電気掃除機の吸引パイプに取り付けられており、該粘着テープロールが該電気掃除機による清掃に伴って被清掃面上を転動するようになされている清掃用具が記載されている。また特許文献6には、柄の先端にヘッドフレームを介して複数の清掃手段が回転自在に取り付けられ、これらの清掃手段が使用位置と非使用位置とに選択的に変移可能になされた複合式清掃具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−218726号公報
【特許文献2】特開2002−355209号公報
【特許文献3】特開2006−304912号公報
【特許文献4】特開2007−117534号公報
【特許文献5】特許第3667858号公報
【特許文献6】特開平10−323320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜4に記載の技術は、レール引き現象の防止に一定の効果はあるものの、ゴミ捕捉性能等の、清掃具に要求される他の特性とのバランスの点では課題が残る。特許文献1に記載の技術は、ロール最外層の汚れた粘着テープを剥がして新しい粘着面を露出させたときに既に、その巻回方向の後端部にゴミが付着しており、使用者に不快な印象を与えるおそれがある。また、特許文献4に記載の技術のように粘着面に剥離手段を設けると、粘着面と被清掃面との接触が悪くなり、ゴミ捕捉性能が低下するおそれがある。
【0010】
また、特許文献2及び3に記載の技術のように切り取り線の近傍に非粘着部を設けた場合、ロール最外層の粘着テープを切り取り線で引き剥がしたときに、その引き剥がしでできたロール側の切り取り端部がロールの曲率により浮き上がると共に該切り取り端部の下層の非粘着部が剥がれ、これにより該切り取り端部がめくれてしまう。このように粘着テープロールの切り取り端部がめくれた状態で、該ロールを被清掃面に押し付けて巻回方向と反対方向に回転させてしまうと、レール引き現象が発生する。
【0011】
また、複合式清掃具に関し、特許文献5に記載の技術は、粘着テープロールの粘着面が常時被清掃面と接触しているため、粘着テープの交換サイクルが早く交換作業が煩雑である。また特許文献6に記載の技術は、複数の清掃手段が取り付けられたヘッドフレームを180°回転させて任意の清掃手段を使用位置に変移させるため、清掃手段の交換作業(ヘッドフレームの回転作業)の簡便性の点で良好とは言い難い。
【0012】
従って本発明の目的は、レール引き現象を発生し難く、実用性に優れた清掃用粘着テープロール及びロール式清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基材の一面に粘着部を有する粘着テープを多数枚備え且つ多数枚の該粘着テープが一方向に連続して繋がって形成されている長尺の帯状テープが、各該粘着部を外側に向けて該一方向に巻回されていると共に、該帯状テープにおける隣接する該粘着テープ間に、巻回方向と交差する方向に延びる切り取り線が形成されている清掃用粘着テープロールであって、前記帯状テープにおける前記切り取り線を含むその近傍に該切り取り線に沿って、実質的に粘着性を有していない非粘着部が存しており、該非粘着部の該切り取り線から巻回方向に延出している部分の延出長さが1〜10mmであり、隣接する前記切り取り線の間隔が、巻回方向の周長にして360°を超えており、前記粘着テープロールの最外層の前記粘着テープにおける前記粘着部が、該最外層に隣接する下層において、該最外層の粘着テープの巻回方向の後端から前端に向けて延出しており、その延出部の該後端からの延出長さが10〜20mmである清掃用粘着テープロールを提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0014】
また本発明は、前記粘着テープロールを保持するローラ部、把持部、及び該ローラ部と該把持部とを連結するアーム部材を備えたロール式清掃具を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の清掃用粘着テープロール及びロール式清掃具は、レール引き現象を発生し難く、高いゴミ捕捉性能を有し、実用性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の清掃用粘着テープロールの一実施形態から粘着テープを一部巻き出した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す清掃用粘着テープロールの要部の側面図である。
【図3】図3は、図1のI−I線断面を模式的に示した断面図である。
【図4】図4は、本発明の清掃用粘着テープロールにおける基材の剥離処理面を模式的に示した平面図である。
【図5】図5は、本発明のロール式清掃具の一実施形態から清掃用粘着テープロールを外した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示すロール式清掃具を他の清掃具に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明のロール式清掃具における取付手段の他の実施形態の断面図(他の清掃具の柄の挿通方向の断面図)である。
【図8】図8は、本発明の範囲外の清掃用粘着テープロールの図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の清掃用粘着テープロールについて、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の清掃用粘着テープロールの一実施形態から粘着テープを一部巻き出した状態を示す斜視図、図2は、図1に示す清掃用粘着テープロールの要部の側面図、図3は、図1のI−I線断面を模式的に示した断面図である。
【0018】
本実施形態の粘着テープロール1は、図1及び図2に示すように、基材2の一面2aに粘着部3を有する粘着テープTnを多数枚(3枚以上)備え且つ多数枚の粘着テープTnが一方向(図1の左右方向)に連続して繋がって形成されている長尺の帯状テープ4が、各粘着部3を外側に向けて該一方向に巻回されていると共に、帯状テープ4における隣接する粘着テープTn,Tn間に、帯状テープ4の巻回方向Rと交差する方向に延びる切り取り線5が形成されている。尚、本明細書及び図面において、粘着テープを示す符号Tnにおけるnは、多数枚の粘着テープの通し番号を意味し、帯状テープ4の巻回方向Rの最後端部の粘着テープ(即ち粘着テープロール1の最外層の粘着テープ)を1番としてT1とし、該粘着テープT1から巻回方向Rの前端側に向かって(該最外層から巻芯6に向かって)T2,T3・・・としている(図1及び図2参照)。
【0019】
本実施形態の粘着テープロール1は、円筒状の中空の巻芯6上に帯状テープ4が巻回されて構成されている、いわゆるレコード巻きのものである。巻芯6の内径は、好ましくは12.7〜38.1mm、更に好ましくは25.4〜38.1mmである。また、巻芯6の軸線方向の長さ(粘着テープロール1の軸線方向の長さ)は、好ましくは50〜160mm、更に好ましくは50〜80mmである。
【0020】
帯状テープ4を構成する多数枚の粘着テープTnは、それぞれ、その基材2における粘着部3が形成されている一面2aが粘着面となっており、該一面2aと反対側に位置する基材2の他面2bには、後述するように粘着部3に対する剥離処理が施されており、粘着部は形成されていない。つまり、粘着テープTnは片面にのみ粘着部を有する片面粘着テープである。
【0021】
粘着部3は、基材2の所定部位に粘着剤が塗布されて形成されている。粘着剤としては、当該技術分野において用いられているものを特に制限無く用いることができ、例えば、ホットメルト系粘着剤、溶剤系粘着剤、水系粘着剤等を用いることができる。ホットメルト系粘着剤としては、スチレン系やオレフィン系の粘着剤等が挙げられる。溶剤系粘着剤としては、スチレン系、オレフィン系、アクリル系の粘着剤等が挙げられる。水系粘着剤としてはアクリル系の粘着剤等が挙げられる。粘着部3における粘着剤の塗布量は、好ましくは10〜40g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2である。
【0022】
帯状テープ4は、多数枚の粘着テープTnが、その粘着面2aを同じ側に向けて、切り取り線5を介して連続して繋がった粘着テープ連続体であり、帯状テープ4における1枚の粘着テープTnの巻回方向Rの前端及び後端は、それぞれ切り取り線5に一致している。切り取り線5は、巻回方向Rと直交する方向(即ち帯状テープ4あるいは粘着テープTnの幅方向)Xと平行な直線であり、帯状テープ4(粘着テープTn)の全幅に亘っている。切り取り線5は、ミシン目状に形成された複数の切れ目から形成されており、該複数の切れ目は、帯状テープ4の幅方向Xに所定間隔を置いて一列に並んでいる。
【0023】
1枚の粘着テープTnの巻回方向Rの長さ(隣接する切り取り線5,5間の間隔)及び粘着テープTnの巻回方向Rと直交する方向Xの長さ(幅)は、それぞれ、巻芯6のサイズ、粘着テープロール1の具体的な用途等を考慮して適宜設定することができる。帯状テープ4を構成する多数枚の粘着テープTnそれぞれの巻回方向Rの長さは、通常、1ピッチ毎に若干異なる。
【0024】
図1に示すように、帯状テープ4における各切り取り線5を含むその近傍には該切り取り線5に沿って、実質的に粘着性を有していない非粘着部7が存している。即ち、基材2の一面2aにおいては、粘着部3と非粘着部7とが巻回方向Rに交互に配置されている。非粘着部7は平面視して矩形形状を有し、帯状テープ4(粘着テープTn)の全幅に亘っており、切り取り線5は、該非粘着部7の巻回方向Rの略中央に位置している。ここで、実質的に粘着性を有していないとは、当該部分が、粘着性を全く有していない場合のみならず、若干の粘着性を有しているものの、ゴミ捕捉性能が不十分で清掃用途には実質的に使用できない場合を含む。
【0025】
非粘着部7の切り取り線5から巻回方向Rに延出している部分(延出部)の長さL1(図1参照)は1〜10mmであり、好ましくは3〜10mmである。各切り取り線5の周辺部に位置する非粘着部7の長さL1が斯かる範囲にあることにより、切り取り線5で帯状テープ4を切り取ったときにできる該帯状テープ4の切り取り端部、即ち帯状テープ4の巻回方向Rの後端部の粘着面2aに非粘着部7が存するようになり、これにより粘着テープロール1を被清掃面に押し付けて巻回方向Rとは逆方向(巻き剥がし方向)に転がしても、その最外層の切り取り端部が被清掃面に固着してめくられる現象が発生し難く、レール引き現象(粘着テープが切り取り端部を起点として被清掃面に帯状に貼り付く現象)が効果的に防止される。長さL1が1mm未満では、被清掃面に粘着テープが固着してしまいレール引きの防止効果に乏しく、10mmを越えると、清掃時のゴミ補足性能が低下するおそれがある。
【0026】
本実施形態における基材2の一面2aには、前述した非粘着部7以外の他の非粘着部が形成されている。即ち、基材の一面2aには、各切り取り線5を含むその近傍の該切り取り線5に沿った非粘着部7に加えて、各粘着テープTnの幅方向X(巻回方向Rと直交する方向)の両端部にも、実質的に粘着性を有していない非粘着部8が形成されている。つまり、粘着部3は非粘着部7,8に包囲されている。非粘着部8の幅方向Xの長さL2(図1参照)は、好ましくは0〜10mm、更に好ましくは2〜7mmである。
【0027】
本実施形態においては、巻回方向Rに隣接する切り取り線5,5の間隔、即ち切り取り線5で切り取られる1枚の粘着テープTnの巻回方向Rに沿った長さは、図2に示すように巻回方向Rの周長にして360°を超えており、概ね380〜440°となっている。つまり、一方向に連続して繋がっている多数枚の粘着テープTnは、それぞれ、その巻回方向Rの後端部と前端部とが、該粘着テープTnの厚み方向において上下に重なるように(該後端部が上、該前端部が下となるように)巻回されており、粘着テープロール1の最外層は、1枚の粘着テープTn(図2では粘着テープT1)で形成されている。
【0028】
そして、図2に示すように、粘着テープロール1の最外層の粘着テープT1における粘着部3は、該最外層に隣接する下層において、該最外層の粘着テープT1の巻回方向Rの後端T1bから前端(即ち後端T1aと巻回方向Rに隣接する切り取り線5)に向けて延出しており、その延出部31の該後端T1bからの延出長さが10〜20mm、好ましくは10〜15mmである。即ち、粘着テープロール1の最外層の粘着テープT1における、巻回方向Rの後端T1bから10〜20mmに亘る部分(帯状テープ4の切り取り端部)が、該最外層に隣接する下層の粘着部3上に位置しており、該切り取り端部の他面2bの全面が、その下方に位置する粘着部3に固着している。
【0029】
このように、最外層の粘着テープT1の粘着部3における、後端T1bを起点とした延出部31の延出長さが、10〜20mmに設定されていることにより、レール引き現象の原因となる帯状テープ4の切り取り端部のめくれや浮きが効果的に防止され、延いてはレール引き現象が効果的に防止される。延出部31の後端T1bからの延出長さが10mm未満では、延出部31の切り取り端部に対する固着力が不十分となり、レール引き現象を防止できないおそれがある。また、延出部31の後端T1bからの延出長さが20mmを越えると、清掃に利用される粘着部3の量が少なくなるため好ましくない。粘着部3の延出部31は、最外層の粘着テープT1が清掃に用いられているときは、帯状テープ4の切り取り端部(最外層後端部)で被覆されていて露出しておらず、また粘着テープ交換時に粘着テープT1を切り取り線5で切り取ったときは、該粘着テープT1と共に切り取られてしまうため、清掃には一切使用されない部分である。
【0030】
図8には、本発明の範囲外の清掃用粘着テープロールの例として、巻回方向Rに隣接する切り取り線5,5の間隔(切り取り線5で切り取られる1枚の粘着テープTnの巻回方向Rに沿った長さ)が、巻回方向Rの周長にして360°以下のものが示されている。図8(a)は、前記間隔が360°の場合、図8(b)は、前記間隔が360°未満の場合である。前記間隔が360°の場合は、図8(a)に示すように、最外層の粘着テープT1の巻回方向Rの後端部(切り取り端部)35が、該最外層に隣接する下層の非粘着部7上に位置するため、該後端部35のめくれや浮きが発生しやすく、レール引き現象が発生しやすい。また、前記間隔が360°未満の場合は、図8(b)に示すように、最外層の粘着テープT1の次の粘着テープT2における粘着部3の一部3bが、該粘着テープT1で被覆されずに露出する場合があるが、この場合は、レール引き現象の防止に一定の効果はあるものの、最外層の汚れた粘着テープT1を剥がして新しい粘着テープT2の粘着部3を露出させたときに既に、その一部3bにゴミが付着しており、使用者に不快な印象を与えるおそれがある。
【0031】
基材2について更に説明すると、本実施形態においては、粘着テープTnを引き剥がしたときの基材剥離等の不都合を回避する観点から、基材2の一面(粘着面)2aと反対側に位置する他面2bに、粘着部3に対する剥離処理が施されている。他面2bは、粘着テープロール1においてその下層の粘着テープTnの粘着面2aが接触する面であり、上層の他面2bがその下層の粘着面2aに強固に固着していると、該他面2bを有する上層の粘着テープTnを引き剥がしたときに、その下層の粘着面2aによって該他面2bを構成する基材2が破壊されるおそれがある。
【0032】
より具体的には、本実施形態における基材2は、図3に示すように粘着部支持層21、中間層22及び剥離剤層23を順次積層してなり、粘着部支持層21の外面が基材2の一面(粘着面)2aを形成し、剥離剤層23の外面が他面2bを形成している。基材2(粘着部支持層21、中間層22及び剥離剤層23の積層体)の厚みは、好ましくは35〜80μm、更に好ましくは40〜70μmである。尚、図3は、粘着テープTnの幅方向Xに沿った断面を模式的に示した断面図であり、粘着テープTnを構成する各層の厚みは、必ずしも図3に記載されているようになっているわけではない。
【0033】
粘着部支持層21としては、粘着部3の形成材料である粘着剤が塗布可能なものが用いられ、例えば、上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、セミグラシン紙、パーチメント紙、クレーコート紙等の紙が用いられる。粘着部支持層21の厚みは、好ましくは30〜60μm、更に好ましくは40〜50μmである。
【0034】
中間層22は、主として剥離剤層23を形成する剥離剤の染み込みを防止するためのもので、剥離剤層23を設ける場合に併せて設けられる。中間層22は、各種樹脂を含んで構成されている。中間層22は、例えば、粘着部支持層21における粘着部3が設けられる面とは反対側の面に、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)等の樹脂を塗布する方法、あるいはポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂製シートを貼り合わせる方法等により形成することができる。中間層22の厚みは、好ましくは0〜20μm、更に好ましくは10〜20μmである。
【0035】
剥離剤層23は、被塗布面(中間層22の外面)に剥離剤が塗布されて形成されている。剥離剤としては、例えば、溶剤系あるいはエマルジョン系のポリエステル、ポリアクリレート等のシリコーン系剥離剤;オレフィン系、長鎖アルキル基含有ポリマー系、フッ素系剥離剤等の非シリコーン系剥離剤等を用いることができる。
【0036】
剥離剤層23の形成材料である剥離剤は、被塗布面の全面に均一に塗布(いわゆるベタ塗り)しても良く、あるいは被塗布面の一部に塗布(いわゆるパターン塗布)しても良い。図4には、剥離剤の塗布パターンの例が示されており、何れの塗布パターンにおいても、基材2の他面2b(粘着面2aとは反対側の面)に、粘着部3に対する剥離処理が施されている剥離部25と、実質的に剥離処理が施されていない非剥離部26とが存している。剥離処理が施されている部分における剥離剤の塗布量は、好ましくは0.1〜3g/m2、更に好ましくは0.1〜1g/m2である。また、実質的に剥離処理が施されていないとは、当該部分における剥離剤の塗布量が、好ましくは0.05g/m2以下、更に好ましくは0g/m2の場合を意味する。
【0037】
図4(a)に示す剥離剤の塗布パターンは、非剥離部26を筋状に配置したもので、巻回方向R(粘着テープTnの巻き剥がし方向)に延びる筋状の複数の非剥離部26が、該巻回方向Rと直交する方向X(切り取り線5の延びる方向)に所定間隔を置いて配置されており、隣接する非剥離部26,26間が剥離部25となっている。即ち、剥離部25と非剥離部26とが粘着テープTnの幅方向Xに交互に配置されている。図4(a)に示す塗布パターンにおいて、非剥離部26の幅W2は剥離部25の幅W1よりも小さくなっており、両者の比(W2/W1)は、好ましくは0.002〜1、更に好ましくは0.05〜0.2である。剥離部25の幅W1は、好ましくは5〜60mm、更に好ましくは5〜20mmであり、非剥離部26の幅W2は、好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.1〜1mmである。
【0038】
図4(b)に示す剥離剤の塗布パターンにおいては、剥離部25及び非剥離部26が、何れも巻回方向R(粘着テープTnの巻き剥がし方向)と交差する方向に延びる直線状に形成されている。図4(b)に示す塗布パターンにおける直線状の剥離部25及び非剥離部26は、何れも巻回方向Rと直交する方向Xに対して平行ではなく、斜行している。図4(b)に示す塗布パターンにおける剥離部25及び非剥離部26の幅は、図4(a)に示す塗布パターンにおけるものと同様にすることができる。
【0039】
図4(c)に示す剥離剤の塗布パターンは、非剥離部26を点状(ドット状)に配置したもので、多数の点状の非剥離部26が被剥離処理面(他面2b)の全面に均一に分散配置されており、該点状の被剥離部26の周辺部が剥離部25となっている。点状の非剥離部26の形状は、円形形状、四角形形状、六角形形状等とすることができる。
【0040】
図4(d)に示す剥離剤の塗布パターンは、非剥離部26を格子状(蜂の巣状)に配置したもので、非剥離部26は、多数の閉じた形状(六角形形状)が連続して繋がってなるパターンで配置されており、剥離部25は、非剥離部26によって形成された六角形形状の中に存している。非剥離部26によって形成される閉じた形状としては、六角形形状に制限されず、例えば、円形形状、四角形形状、六角形形状等とすることができる。閉じた形状の幅方向Xの長さW3は、好ましくは5〜60mm、更に好ましくは5〜10mmである。図4(d)に示す剥離剤の塗布パターンにおいて、非剥離部26の幅W2と剥離部25の幅W3との比(W2/W3)は、好ましくは0.002〜1、更に好ましくは0.05〜0.2である。
【0041】
剥離剤をパターン塗布する場合において、被剥離処理面(他面2b)における剥離部25と非剥離部26との面積比(被剥離処理面に存している非剥離部26の全面積/被剥離処理面に存している剥離部25の全面積)は、好ましくは0.05〜1、更に好ましくは0.05〜0.2である。
【0042】
本実施形態の粘着テープロール1は、常法通り、最外層の粘着テープT1の露出した粘着部3を被清掃面に接触させた状態で回転させて使用され、これにより被清掃面に存する埃や髪の毛等のゴミが該粘着部3に転写されて除去される。その際、粘着テープロール1を巻回方向Rとは逆方向(引き剥がし方向)に回転させても、前述したように、ロール最外層の粘着テープT1の巻回方向Rの後端部(帯状テープ4の切り取り端部)がその下層の粘着部3に固着しているため、テープのめくれや浮きを発生し難く、レール引き現象を発生し難い。ゴミの多量付着によってロール最外層の粘着部3の粘着力が低下した場合は、粘着テープT1を切り取り線5で切り剥がし、その下層の新たな粘着部3を露出させる。本実施形態においては、前述したように、粘着テープT1の基材2の他面2bに、その下層の粘着部3に対する剥離処理が施されている剥離部25と、実質的に剥離処理が施されていない非剥離部26とが存しているため、粘着テープT1を切り剥がしたときに、基材破壊を起こし難い。
【0043】
本実施形態の粘着テープロール1は、フローリングやプラスチック材を用いた平坦な面、畳のような凹凸のある面、あるいはカーペットやじゅうたんのような柔軟な面の何れの清掃にも使用できるが、特に、フローリング、壁、家具等の硬質表面の清掃に好適である。フローリング等の硬質表面は、じゅうたん等に比して粘着テープの粘着部に対する固着力が強いため、粘着テープロールの切り取り端部のめくれが起こりやすく、レール引き現象が発生しやすいが、前述した構成を有する本実施形態の粘着テープロール1を硬質表面の清掃に使用しても、レール引き現象は発生し難い。
【0044】
本実施形態の粘着テープロール1は、例えば図5に示すような、略7字状の片持ち式のロール式清掃具50に装着して使用することができる。本実施形態のロール式清掃具50は、粘着テープロール1に加えて、該粘着テープロール1を保持するローラ部51と、把持部52と、該ローラ部51と該把持部52とを連結するアーム部材53とを備えている。粘着テープロール1は、その巻芯6に円筒状のローラ部51が着脱自在に挿通されて、アーム部材53により回転可能に保持される。
【0045】
アーム部材53は、金属製の円柱ロッドからなり、ローラ51内に挿通されて該ローラ51の回転軸として機能する回転軸53aと、該回転軸53aの一端から略直角に折り曲げられた第1折曲部53bと、該第1折曲部53bの一端から略直角に折り曲げられ且つ該回転軸53aと略平行な第2折曲部53cと、該第2折曲部53cと把持部52とを連結する棒状の連結部53dとを有している。第1折曲部53bは、少なくとも粘着テープロール1の最大巻径時の1/2以上の長さとされ、第2折曲げ部53cは、回転軸53aの略半分の長さとされている。把持部52は棒状に形成されており、その軸線が回転軸53aに対して略直交し、且つ該回転軸53aから離れる方向に向かって延びている。
【0046】
本実施形態のロール式清掃具50は、図6に示すように、柄71を備えた他の清掃具70の該柄71に対する取付手段54を備え、該取付手段54を介して該柄71に対して着脱自在になされている。取付手段54は、図5に示すように、棒状の把持部53の端部の側面に接合されており、他の清掃具70の柄71を保持する保持部55、及び該保持部55と該把持部53とを連結する連結部56を有している。
【0047】
保持部55は、中空の円筒状を有しており、その軸線が回転軸53aに対して略直交している。保持部55の中空部55aは、他の清掃具70における棒状の柄71が着脱自在に挿通可能になされている。本実施形態においては、中空部55aに柄71をそのグリップ74側の先端から挿通させたときに、図6に示すように保持部55がグリップ74の保持板72寄りの端部で係止するように、中空部55aの内径及び/又はグリップ74の外径が適宜調整されている。
【0048】
保持部55の軸線方向(柄71の挿通方向、ローラ51の軸線方向と直交する方向)の断面形状は、図5に示す如き円形形状に限定されず、例えば図7に示すように略C字状となっていても良い。図7に示す保持部55は、連結部56と対向する部分に、その全長に亘って清掃具70の外径と略同じ長さに切り欠かれた切り欠き部55bを有しており、該切り欠き部55bから清掃具70の柄71の脱着が可能になされている。
【0049】
保持部55の軸線方向の長さ(掃除具70の柄71の挿入方向の長さ)L5(図5参照)は、脱着操作及び清掃時の持ちやすさの観点から、好ましくは20〜100mm、更に好ましくは20〜50mmである。また、ロール式清掃具50の全長(棒状の把持部53の長手方向に沿った長さ)は、清掃時の操作性や見た目のよさの観点から、好ましくは80〜200mm、更に好ましくは100〜150mmである。
【0050】
図6に示すようにロール式清掃具50が取付手段54を介して清掃具70の柄71(グリップ74)に取り付けられたときに、その把持部52と柄71とのなす角度θは、0〜30°、特に10〜25°であることが、ロール式清掃具50を取り付けた状態で清掃具70を使用する場合に該清掃具50が清掃作業の妨げにならないようにする点から好ましい。前記角度θを斯かる範囲に設定することは、例えば、連結部56の把持部52からの高さを適宜調整することによりなされる。
【0051】
同様の観点から、図6に示すようにロール式清掃具50が取付手段54を介して清掃具70の柄71(グリップ74)に取り付けられたときに、その粘着テープロール1と把手71との間隔(両者が最も近接している位置における間隔)は、好ましくは0〜50mm、更に好ましくは5〜20mmである。前記間隔を斯かる範囲に設定することは、例えば、連結部56の把持部52からの高さや粘着テープロール1の外径を適宜調整することによりなされる。
【0052】
清掃具70について説明すると、清掃具70は、薄手の繊維布を被清掃面に押し付けて該繊維布でゴミを捕捉するもので、棒状の柄71と、該柄71に連接された保持板72と、該保持板72に付設された弾性体73とを備え、該弾性体73には図示しない前記繊維布が着脱自在に装着される。柄71は、清掃時に把持されるグリップ74と、該グリップ74に接続される3本の接続パイプ75とにより構成されている。柄71と保持板72とは自在継手76を介して連接されている。図示しない前記繊維布は、保持板72に設けられた放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部77によって固定されるようになされている。清掃具70は、本実施形態の粘着テープロール1と同様に、特にフローリング、壁、家具等の硬質表面の清掃に好適である。
【0053】
清掃具70のような、繊維布を被清掃面に押し付けて使用される清掃具としては、例えば本出願人の先の出願に係る実用新案登録第3022675号公報に記載のものを利用することができる。また、実用新案登録第2507300号公報に記載の清掃具を使用することもできる。
【0054】
清掃具70は、図6に示すように柄71にロール式清掃具50が取付手段54を介して取り付けられた状態で、常法に従って硬質表面等の被清掃面の清掃に使用される。そして、清掃具70の図示しない繊維布では捕捉しきれないゴミ(例えば微細な粒状のゴミ)があった場合には、ロール式清掃具50を柄71から取り外して常法に従って使用し、ロール式清掃具50でこのゴミを捕捉して清掃の仕上げを行う。このように、本実施形態のロール式清掃具50は取付手段54を備えていることによって、該清掃具50とはゴミ捕捉機能が異なる他の清掃具と組み合わせて使用することが可能であり、こうしたゴミ捕捉機能の異なる複数の清掃具の複合体により、ゴミ捕捉性能がより一層高まる。
【0055】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の清掃用粘着テープロールにおいて、切り取り線5は、当該切り取り線5において粘着テープTnの切り取りが容易に行えるようになっていれば良く、前記実施形態のようにミシン目状に形成された複数の切れ目から形成される形態に限定されず、例えば、基材2の厚みが他の部分に比して小さい薄肉部から形成されていても良い。該薄肉部は、巻き取り方向Rに沿った基材2の断面視において、例えばV字状などの形状とすることができる。また、基材2の一面2aにおいて、粘着テープTnの幅方向両端部に位置する非粘着部8は無くても良く、粘着部3は粘着テープTnの全幅に亘っていても良い。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0057】
〔実施例1〕
上質紙(丸住製紙株式会社製,厚み40μm、坪量40g/m2)にポリエチレンラミネート(厚み10μm)を行い、該ポリエチレンラミネート面の全面にシリコーン系剥離剤を塗布し剥離剤層を形成して基材を得た。剥離剤の塗布量は3g/m2とした。この基材の剥離剤塗布面と反対側の面に、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体系ホットメルト粘着剤を20g/m2の坪量で塗布して粘着面を形成し、片面粘着テープ(長尺帯状テープ)を得た。この粘着テープを、内径38.1mm及び軸線方向の長さ60mmの紙管にその粘着面が外側になるように巻回して、外径42mm、幅(巻回方向と直交する方向の長さ)60mmの粘着ロールテープを得た。
【0058】
こうして得られた実施例1の粘着テープロール1は、図1〜図3に示す如き、略同寸法の多数枚の粘着テープが切り取り線5を介して連続して繋がった粘着テープ連続体であり、1)隣接する切り取り線の間隔が巻回方向の周長にして390°、2)非粘着部の切り取り線から巻回方向に延出している部分(非粘着部延出部)の長さ(図1中符合L1で示す長さ)が1mm、3)粘着テープロールの最外層の粘着テープにおける粘着部の、該最外層の粘着テープの巻回方向の後端からの延出長さ(図2中符合31で示す部分の巻回方向の長さ)10mmであった。
【0059】
〔実施例2及び3並びに比較例1〜4〕
前記1)の隣接する切り取り線の間隔、前記2)の非粘着部延出部の長さ、及び前記3)の粘着部の延出長さをそれぞれ下記表1に示す如く変更した以外は実施例1と同様にして粘着ロールテープを得、これらを実施例2及び3並びに比較例1〜4のサンプルとした。
【0060】
〔実施例4及び5〕
剥離剤の塗布パターンを図4(d)に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着ロールテープを得、これを実施例4及び5のサンプルとした。
【0061】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた粘着テープロールについて、レール引き防止性、清掃性(ゴミ捕捉性)、粘着テープの剥離性、使用されない粘着テープ量をそれぞれ下記の方法により評価した。それらの結果を下記表1に示す。
【0062】
<レール引き防止性の評価方法>
粘着テープロールの粘着面をフローリングに押し付け、その状態で該粘着テープロールの巻回方向とは逆方向(引き剥がし方向)に該粘着テープロールを約1m回転させる。この操作を1サンプルにつき3回行い、3回ともレール引きが発生しなかった場合を○、3回のうち1回でもレール引きが発生した場合を×とした。更にこの操作を1サンプルにつき20回行い、1回もレール引きが発生しなかった場合を◎とした。
【0063】
<清掃性の評価方法>
ゴミとしてゴマ10粒、髪の毛10本及びパン粉0.1gをそれぞれフローリング上に配置し、粘着テープロールの粘着面を該フローリングに押し付け、その状態で該粘着テープロールを、これらのゴミの上を10回通過するように回転させた後、該フローリング上に残ったゴミの量(清掃後ゴミ量)を測定し、該清掃後ゴミ量が清掃前ゴミ量の1割未満(即ち清掃前にフローリング上に存在していたゴミの9割以上が粘着テープロールの粘着面に転写されていた)場合を○、該清掃後ゴミ量が清掃前ゴミ量の1割を超える場合を×とした。
【0064】
<粘着テープの剥離性の評価方法>
粘着テープロールの粘着面をフローリングに押し付け、その状態で該粘着テープロールの巻回方向とは逆方向(引き剥がし方向)に該粘着テープロールを約1m回転させた後、使用した粘着テープ(最外層の粘着テープ)を切り取り線で切り剥がす。この操作を1サンプルにつき3回行い、3回とも基材破壊(最外層の粘着テープを切り剥がしたときに、その下層の粘着テープに該最外層の基材が転写されている現象)が発生しなかった場合を○、3回のうち1回でも基材破壊が発生した場合を×とした。
【0065】
<使用されない粘着テープ量の評価方法>
非粘着部の延出長さが10mm以内であり且つ粘着部の延出長さが20mm以内の場合を○、非粘着部の延出長さが10mmを超え且つ粘着部の延出長さが20mmを超える場合を×とした。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の粘着テープロールは、何れも、レール引き防止性、清掃性及び粘着テープの剥離性に優れ、使用されない粘着テープ量が少なく、実用性に優れたものであることがわかる。これに対し、比較例1は、主として、前記3)の粘着部の延出長さが10mmに満たないため、レール引き防止性に劣る結果となった。また比較例2は、主として、前記2)の非粘着部延出部の長さが1mmに満たないため、レール引き防止性に劣る結果となった。また比較例3は、主として、前記2)の非粘着部延出部の長さが10mmを超えるため、ゴミ補足性能が低下して清掃性に劣る結果となり、また使用されない粘着テープ量についても改善の余地があった。また比較例4は、主として、前記2)の非粘着部延出部の長さが10mmを超え且つ前記3)の粘着部の延出長さが20mmを超えるため、清掃性に劣り且つ比較例3に比して使用されない粘着テープ量が多い結果となった。
【符号の説明】
【0068】
1 清掃用粘着テープロール
2 基材
2a 基材の一面(清掃面)
3 粘着部
4 帯状テープ
5 切り取り線
6 巻芯
7,8 非粘着部
21 粘着部支持層
22 中間層
23 剥離剤層
31 延出部
50 ロール式清掃具
51 ローラ部
52 把持部
53 アーム部材
54 取付手段
55 保持部
56 連結部
70 ロール式清掃具が取り付けられる他の清掃具
71 他の清掃具の柄
R 巻回方向
Tn 粘着テープ
T1 清掃用粘着テープロールの最外層の粘着テープ
T1b 最外層の粘着テープの巻回方向の後端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一面に粘着部を有する粘着テープを多数枚備え且つ多数枚の該粘着テープが一方向に連続して繋がって形成されている長尺の帯状テープが、各該粘着部を外側に向けて該一方向に巻回されていると共に、該帯状テープにおける隣接する該粘着テープ間に、巻回方向と交差する方向に延びる切り取り線が形成されている清掃用粘着テープロールであって、
前記帯状テープにおける前記切り取り線を含むその近傍に該切り取り線に沿って、実質的に粘着性を有していない非粘着部が存しており、該非粘着部の該切り取り線から巻回方向に延出している部分の延出長さが1〜10mmであり、
隣接する前記切り取り線の間隔が、巻回方向の周長にして360°を超えており、
前記粘着テープロールの最外層の前記粘着テープにおける前記粘着部が、該最外層に隣接する下層において、該最外層の粘着テープの巻回方向の後端から前端に向けて延出しており、その延出部の該後端からの延出長さが10〜20mmである清掃用粘着テープロール。
【請求項2】
前記基材の一面と反対側に位置する他面に、前記粘着部に対する剥離処理が施されている剥離部と、実質的に剥離処理が施されていない非剥離部とが存している請求項1記載の清掃用粘着テープロール。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粘着テープロールを保持するローラ部、把持部、及び該ローラ部と該把持部とを連結するアーム部材を備えたロール式清掃具。
【請求項4】
柄を備えた他の清掃具の該柄に対する取付手段を備え、該取付手段を介して該柄に対して着脱自在になされている請求項3記載のロール式清掃具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−259717(P2010−259717A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114718(P2009−114718)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】