説明

減圧による創傷閉鎖および治療システムおよび方法

外傷に閉鎖力を生成し、任意に減圧を体腔か組織部位に提供する減圧創傷閉鎖システムが示されている。減圧下に置かれた場合、密閉収縮性部材が閉鎖力を生成する。ある例示的なシステムは、第1の取付部材および第2の取付部材と、第1の取付部材と第2の取付部材に連結された密閉収縮性部材を具えており、減圧が密閉収縮性部材に供給されたときに、第1の取付部材と第2の取付部材の間に閉鎖力が生じる。他のシステムおよび方法も示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、米国特許法119条(e)項の下で、2008年10月29日出願の米国仮特許出願第61/109,410号、名称「Reduced−Pressure,Wound−Closure System and Method(減圧での創傷閉鎖システムおよび方法)」、2008年10月29日出願の米国仮特許出願第61/109,486号、名称「Reduced−Pressure,Abdominal Treatment System and Method(減圧での腹部治療システムおよび方法)」、2008年10月29日出願の米国仮特許出願第61/109,390号、名称「Open−Cavity,Reduced−Pressure Wound Dressing and System(開空洞の減圧創傷ドレッシングおよびシステム)」および2008年10月29日出願の米国仮特許出願第61/109,448号、名称「Reduced−Pressure,Deep−Tissue Closure System and Method(減圧での深部組織閉鎖システムおよび方法)」の利益を主張するものである。これら総ての仮出願は、総ての目的のため参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に治療システムに関し、より具体的には、減圧での創傷閉鎖および治療システムおよび方法に関するものである。
【0003】
創傷の原因または組織の損傷領域が、外傷、外科であろうと他の原因であろうと、創傷の適切な治療は予後にとって重要である。創傷が腹膜腔や更に一般に腹腔といった再入を必要とする位置を含む場合、固有の方法が存在する。外科または外傷が腹腔を含む場合の多くは、より優れて簡単な治療を可能にし、腹膜炎、腹部コンパートメント症候群(ACS)、および創傷と臓器の最終的な回復を阻害しうる感染症などへの対処に効果がある再入を容易にする創傷管理システムを確立する。このような治療を提供するには、空洞部から不要な流体を除去する、筋膜や他の組織の接近を助ける、あるいは最終的に表皮の高さで創傷自体に閉鎖力を与えるのを助けるのが望ましいことがある。別途指示がない限り、本書で使用する「または」は相互排他性を必要としない。
【0004】
現在、表皮の腹腔口は、皮膚を保持して引っ張ることが可能な縫合糸、ステイプル、クリップ、および他の機械的デバイスを用いて閉鎖することがある。このようなデバイスは、創傷を穿刺することが多くあり、あるいは他の創傷を引き起こすことがある。酷い浮腫が起きた場合、多くの圧力が閉鎖デバイスにかけられることがあり、この圧力が悪影響を与えうる。例えば、浮腫により圧力が増加した場合、縫合糸が破れることがある。
【0005】
腹腔への再入を可能にする全体的なシステムに関して、数多くの技術が開発されてきた。手法の1つが空洞内にタオルを配置し、次いで止血鉗子のようなクリップを使用して、タオルの上の皮膚を閉鎖するものである。単純且つ素早い一方で、その結果は次善と見なされる。他の手法は、いわゆる「ボゴタバッグ(Bogota bag)」である。この手法では、障壁を提供するため、開いた腹部を覆うように所定の位置でバッグが縫合される。「バックパック(vac pack)」と称されることがある更に他の手法は、創傷内にタオルを詰め、次いで腹部内にドレインを配置して、ドレープで腹部を覆う。最終的に、減圧手法が使用されてきた。このような手法は、テキサス州サンアントニオのKCI Licensing社に譲渡された、Hunt等による米国特許第7,381,859号に示されている。米国特許第7,381,859号は、総ての目的のために参照により本書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
既存の創傷閉鎖デバイスおよび減圧治療システムが有する問題は、本書に記載された実施例のシステム、装置、および方法によって対処される。一実施例によると、患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムは、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材と、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材とを具える。この第1の取付部材は、第2の取付部材と間隔をあけて配置される。減圧創傷閉鎖システムはさらに、第1の取付部材と第2の取付部材に連結され、減圧下に置かれた場合に収縮するよう機能する密閉収縮性部材を具える。この減圧創傷閉鎖システムは、減圧が密閉収縮性部材に供給されたときに、第1の取付部材と第2の取付部材の間に閉鎖力が生じるように機能する。
【0007】
他の実施例によると、患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムは、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材と、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材とを具える。この第1の取付部材は、第2の取付部材と間隔をあけて配置される。減圧創傷閉鎖システムはさらに、第1の取付部材と第2の取付部材に連結された外周壁を具える。この減圧創傷閉鎖システムはさらに、外周壁の少なくとも一部分に連結され、減圧下に置かれた場合に収縮するよう機能する密閉収縮性部材を具える。減圧源が密閉収縮性部材に流体連結されており、減圧を密閉収縮性部材に送達するように機能する。減圧源によって減圧が密閉収縮性部材に供給されると閉鎖力が生じる。
【0008】
他の実施例によると、患者の外傷に閉鎖力を提供し、減圧を組織部位に送達する、減圧による創傷閉鎖および治療システムは、創傷閉鎖サブシステムと減圧治療サブシステムを具える。
【0009】
他の実施例によると、患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムの製造方法は、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材を形成するステップと、外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材を形成するステップを具える。減圧創傷閉鎖システムの製造方法はさらに、減圧下に置かれた場合に収縮するよう機能しうる密閉収縮性部材を形成し、この密閉収縮性部材を第1の取付部材と第2の取付部材に連結するステップを含む。
【0010】
他の実施例によると、患者の外傷に閉鎖力を提供する方法は、第1の取付部材を外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付けるステップと、第2の取付部材を外傷の縁部に隣接する患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付けるステップとを具える。この第1の取付部材は、第2の取付部材と間隔をあけて配置される。閉鎖力を提供する方法はさらに、密閉収縮性部材を提供し、当該密閉収縮性部材を第1の取付部材と第2の取付部材に流体連結するステップを具える。この密閉収縮性部材は、減圧下に置かれた場合に収縮するよう機能する。閉鎖力を提供する方法はさらに、減圧を密閉収縮性部材に供給するステップを具えており、それにより第1の取付部材と第2の取付部材の間に閉鎖力が生じる。
【0011】
実施例の他の目的、特徴、および利点は、以下の図面、詳述を参照すると明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、ブロック図として示す部分を有する、減圧による創傷閉鎖および治療システムの実施例の概略図である。
【図2】図2は、図1の減圧による創傷閉鎖および治療システムの一部の概略的な断面図である。
【図3A】図3Aは、減圧創傷閉鎖システムの一部の実施例の概略的な透視図である。
【図3B】図3Bは、非収縮位置を示す図3Aの実施例の概略的な平面図である。
【図3C】図3Cは、収縮位置を示す図3Aの実施例の概略的な平面図である。
【図4A】図4Aは、減圧コネクタの概略的な透視図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの減圧コネクタの立面図である。
【図5A】図5Aは、減圧による創傷閉鎖および治療システムの他の実施例の一部の概略的な断面図である。
【図5B】図5Bは、減圧による創傷閉鎖および治療システムの他の実施例の一部の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施例の詳述では、その一部を構成する添付の図面について説明がなされている。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であり、本発明の精神または範囲を超えることなく、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本書に記載した実施形態を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の特定の情報を説明から省略することがある。従って、以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0014】
図1および図2について、最初に図1を参照すると、減圧による創傷閉鎖および治療システム100の実施例が示されている。この減圧による創傷閉鎖および治療システム100は、減圧治療サブシステム102と創傷閉鎖サブシステム104を具えていてもよい。この減圧治療サブシステム102を用いて、減圧で組織部位106を治療することができる。組織部位106は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯、または他の組織を含む、人間、動物または他の生物の身体組織であってもよい。組織部位106は腹腔110などの体腔内であってもよく、表皮108の創傷を含む様々な組織の層を含むことがある。減圧治療サブシステム102での治療は、腹水または滲出液などの流体を除去し、減圧を送達するか、保護障壁を設けるステップを具えてもよい。
【0015】
この実施例では、減圧による創傷閉鎖および治療システム100は、腹腔110および創傷縁部112を有する外傷111という状況で示されている。脂肪組織、筋肉、筋膜等といった他の皮下組織114も開放している。腹腔110は、表面または支持を形成する腹腔内容物116と共に図示されている。
【0016】
減圧による創傷閉鎖および治療システム100の減圧治療サブシステム102は、減圧を組織部位106や腹腔110に送達するのに役立つ。減圧治療サブシステム102は腹腔110内に配置されるマニホールド118を具え、腹腔110内に減圧を分配し、流体を受け取る。このマニホールド118は非接着膜122にマニホールド部材120か第2のマニホールドを具えるか、それらと連結していてもよい。非接着膜122は、第1の面上の開口部124と、第2の内向きの(または組織に面する)面上の開口部126を有する。開口部124および126は、矢印128に示すような流体の流れを促進する。開口部124および126は、矩形の開口、円形の開口、多角形、スリット(細長いスリット)等といった任意の形状をとることができる。非接着膜122は、ポリウレタンフィルムのような柔軟なフィルム、ドレープ材、または任意の非接着性材料から形成することができる。
【0017】
減圧治療サブシステム102によって減圧を腹腔110や組織部位106に適用し、滲出液、腹水、または他の液体、細菌、フィブリン、死細胞、毒素、残留血液等の除去を促進するように補助することができる。減圧を特定の状況に用いて、更なる組織の成長を刺激することもできる。組織部位106における創傷の場合では、肉芽組織の成長および滲出液や細菌の除去は、創傷の回復を促進させる効果がある。非創傷または非欠損組織の場合では、減圧を用いて、採取して別の組織部位に移植することができる組織の成長を促してもよい。他の状況では、流体の除去が減圧を適用する主な理由である場合もある。
【0018】
本書で使用する「減圧」は一般に、組織部位106の周囲圧力よりも低い圧力を意味する。殆どの場合、減圧は患者がいる大気圧よりも低いであろう。代替的には、減圧は組織部位106の静水圧よりも低い場合がある。指示がない限り、本書に記載する圧力の数値はゲージ圧である。
【0019】
マニホールド118およびマニホールド部材120は腹腔110に配置され、組織部位106に、あるいはその近くに配置することができる。一般に、マニホールド部材120を含む非接着膜122は、特に腹腔内容物116に近接して組織部位106と接して配置される。マニホールド118は非接着膜122と隣接して配置される。マニホールド118およびマニホールド部材120は、多くの形状をとることができる。本書で使用する用語「マニホールド」は一般に、組織部位106のような組織部位に減圧を適用する、流体を分配する、あるいはそこから流体を除去するのを補助すべく設けられた物体または構造を意味する。マニホールド118およびマニホールド部材120は一般に、マニホールド118およびマニホールド部材120に近接する領域に流体を分配したり、そこから流体を除去するのを向上させるべく相互に接続された、複数のフローチャネルまたは通路を具えている。マニホールド118およびマニホールド部材120は、組織と接触して配置することが可能であり、減圧を分配する生体適合性材料から形成することができる。マニホルドの例は、限定はしないが、フローチャネル、開放セル発泡体のようなセル状発泡体、多孔質組織の堆積、およびフローチャネルを含むか含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体を形成するように配置された構造要素を有するデバイスを含みうる。
【0020】
マニホールド118およびマニホールド部材120は多孔質であってもよく、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、または特定の生物学的用途に適する任意の他の材料から作ることができる。一実施形態では、マニホールド118およびマニホールド部材120は、フローチャネルとして機能する複数の相互接続されたセルまたは孔を含む多孔質発泡体から作られる。この多孔質発泡体は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts社で製造されているGranuFoam(登録商標)材料のような、ポリウレタンの開放セル、網状発泡体であってもよい。他の実施形態は、特定の場所に「閉鎖セル」を含み、直接的な流れを助長してもよい。幾つかの状態では、マニホールド118、マニホールド部材120、および非接着膜122を利用して、薬物、抗菌物質、成長要素、および他の溶液といった流体を組織部位106に分配することができる。吸収物質、毛細管物質、疎水性物質および親水性物質などの他の層を、マニホールド118またはマニホールド部材120の一部として含んでもよい。
【0021】
シール部材132は表皮108の外傷111の上に配置され、特に、創傷縁部112と重なって空気シールを設けるように作られる。従って、シール部材132はマニホールド118および非接着膜122の上にシールを設ける。このシール部材132は、組織部位106におけるマニホールド118と非接着膜122を固定するために用いられるカバーであってもよい。シール部材132は不透過性または半透過性であってもよく、マニホールド118の上にシール部材132を設置した後に、シール部材132は組織部位106に減圧を維持することができる。シール部材132は、対象とする組織部位に望ましい不透過性または透過性特性を有するシリコーンベースの化合物、アクリル、ヒドロゲルかヒドロゲル形成材料、または任意の他の生体適合性材料から形成された、柔軟なオーバードレープまたはフィルムであってもよい。
【0022】
シール部材132はさらに、シール部材132を患者の表皮108に固定する取付デバイス136を具えることがある。この取付デバイス136は様々な形状をとることができ、例えば、シールテープを利用する、あるいは接着剤134をシール部材132の外周またはシール部材132の任意の部分に沿って配置し、空気シールを設けることができる。接着剤134は、予め適用したり、利用時に除去される取り外し可能な部材(図示せず)で覆われていてもよい。
【0023】
ポート140、またはコネクタのような第1の減圧インタフェース138を利用して、第1の減圧送達導管142からマニホールド118に減圧を送達することができる。第1の減圧インタフェース138はさらに、マニホールド118から減圧送達導管142に任意の滲出液、腹水、または他の流体を送達することができる。マニホールド118における減圧が、矢印144に示す方向に且つ第1の減圧送達導管142へと流体を引き寄せる。第1の減圧インタフェース138によって、マニホールド118から第1の減圧送達導管142への流体の通過が可能となる。例えば、マニホールド部材120を利用して組織部位106から収集された流体は、第1の減圧インタフェース138を介して第1の減圧送達導管142に入ることができる。他の実施形態では、減圧治療サブシステム102は第1の減圧インタフェース138を除外することができ、第1の減圧送達導管142をシール部材132やマニホールド118内に直接挿入してもよい。第1の減圧送達導管142は、医療用導管、複数管腔部材、チューブ、または減圧を送達する任意の他の手段であってもよい。
【0024】
減圧サブシステム148を用いて、第1の減圧送達導管142に送達する減圧を供給することができる。この減圧サブシステム148は、減圧を供給導管152に送達する第1の減圧ユニット、または減圧源150を具えていてもよく、この供給導管152が減圧を三方弁154に送達する。減圧の一部は第2の減圧送達導管156を通って三方弁154を出ることができる。減圧の他の部分は、減圧導管158を通って三方弁154を出ることができる。減圧導管158には、例えば減圧導管158内の減圧の調整について三方弁154にフィードバックを与えることができる減圧フィードバックユニット160など、如何なる数のデバイスを配置することができる。減圧導管158は減圧をキャニスタ162に送達し、このキャニスタ162は組織部位106からキャニスタ162に送達された流体を保持するように機能する。キャニスタ162を通りすぎた減圧は、第1の減圧送達導管142に送達される。第1の減圧送達導管142は、第2の減圧、または治療減圧を送達しているということができる。第2の減圧、または治療減圧は、減圧サブシステム148によって、組織部位106における減圧治療の利用に望ましい圧力および状態にされる。
【0025】
代表的なデバイス166などの幾つかの異なるデバイスを第1の減圧送達導管142の中間部164に追加することができる。第1の減圧送達導管142に送達される減圧は、通常は−50mmHg乃至−500mmHgの範囲、より一般的には−100mmHg乃至−300mmHgの範囲で選択される。このデバイス166は、圧力フィードバック装置、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、温度監視システム等であってもよい。これらのデバイスの幾つかは他の部分と一体的に形成することができ、例えば、キャニスタ162は、液体が出るのを防ぐ疎水性フィルタなどの1以上のフィルタを具えてもよい。
【0026】
減圧による創傷閉鎖および治療システム100で使用する減圧を生じさせる多くの方法がある。図示された実施例では、第1の減圧ユニット150は、創傷閉鎖および減圧治療の両方の用途に使用されている。代替的な実施形態では、第2の減圧送達導管156用の供給源として第1の減圧ユニット150を使用し、減圧導管158に減圧を送達する(破線に示す)第2の減圧ユニット151を有するのが望ましい場合もある。
【0027】
減圧による創傷閉鎖および治療システム100の態様のように、閉鎖力を外傷111に与える効果があるのが望ましく、特に閉鎖力を創傷縁部112の間に適用するのが望ましい。図1および図2に示すように、創傷閉鎖サブシステム104はこの目的のために用いることができる。創傷閉鎖サブシステム104は矢印170に示す閉鎖力を生じさせる。この閉鎖力は患者の表皮108に伝達され、創傷縁部112を互いの方へと押しつける。創傷閉鎖サブシステム104は、任意の外傷を閉鎖する独立型のシステムであってもよく、あるいは減圧による創傷閉鎖および治療システム100などの大型のシステムの一部として使用することもできる。
【0028】
創傷閉鎖サブシステム104は第1の取付部材172および第2の取付部材184などの複数の取付部材を具えることができ、これらは外傷111の創傷縁部112の周囲やその近くに配置される。第1の取付部材172は、第1のベース部材174と第1の壁部材176を有する。第1のベース部材174は、第1の面178と第2の内向きの(患者に面する)面180を有している。第1のベース部材174および第1の壁部材176は様々な材料から作ることができるが、材料は多少の柔軟性を与えるものが好ましく、例えば、第1の取付部材172は、ポリプロピレン、または硬質シリコーン等から作られた第1のベース部材174および第1の壁部材176で形成されてもよい。第1の接着剤182か他の取付デバイスを第1のベース部材174の第2の内向きの(患者に面する)面180に適用すると、患者の表皮108の一部分に直接的に、あるいはポリウレタンのフィルムまたは他のシール部材132が表皮108上に最初に配置された場合には間接的に、第1のベース部材174を脱着可能に取り付けることが可能となる。接着剤182に加えて、セメント、ステープル、または縫合糸、あるいは他の侵襲性か非侵襲性の手法を用いて、第1のベース部材174を無傷の表皮組織に取り付けることもできる。第1の取付部材172は表皮108の上部またはシール部材132の上部に直接適用することができ、これにより、第1の取付部材172に加わる如何なる力も直接的、あるいは間接的に表皮108に伝達される。取付部材172を表皮108に適用するステップについては、シール部材132の上部への適用を含むものとみなすべきである。
【0029】
表皮の創傷などの外傷111を隔てた第1の取付部材172のほぼ向かい側は、第2の取付部材184である。第2の取付部材184は第1の取付部材172と類似している。創傷閉鎖サブシステム104は2つの取付部材172、184のみ示しているが、他の取付部材を外傷111の周囲に間隔をあけて散在させることもできる。2つの取付部材172、184を密閉収縮性部材188と組み合わせると、矢印170に示す閉鎖力を生じさせることができるが、追加の取付部材によって異なる形状の外傷111にわたって放射状に力を生じさせることは可能である。
【0030】
取付部材172などの1以上の取付部材は、第2の減圧送達導管156から減圧を受ける減圧インタフェースを有している。例えば、図2に明確に示すように、第1の取付部材172は第2の減圧インタフェース183を具えてもよい。第2の減圧インタフェース183を通って送達される減圧を利用して、閉鎖力を生じさせる。
【0031】
創傷閉鎖サブシステム104は密閉収縮性部材188を具え、閉鎖力を生じさせる。この密閉収縮性部材188は、収縮性マニホールド材、またはマニホールド118と同じ種類の材料の部材から形成することができる。代替的に、マニホールド118または空気圧デバイスに使用される材料よりも開口部または孔が少ない収縮性マニホールド材を使用することが望ましい場合もある。更に、(図1に示す向きに対して)垂直方向にあまり収縮せず、(図1に示す向きに対して)水平、または横方向の面により収縮する材料を有するものが望ましい場合もある。密閉収縮性部材188は、第1の面190と、第2の内向きの(患者に面する)面192を有している。この密閉収縮性部材188はさらに、外周縁部194を有している。密閉収縮性部材188は、第1の面190に適用される第1のシール部材196(図2)と、密閉収縮性部材188の第2の内向きの面192に適用される第2のシール部材198とを有し、外周縁部194をシールすることによって密閉することができる。
【0032】
密閉収縮性部材188の外周縁部194は、外周シール部材200で密閉することができる。代替的にまたは更に、第1の壁部材176を外周シール部材として利用して外周縁部194を密閉するか、他の密閉材の部分を利用してもよい。同様に、第2の内向きの面192は、シール部材132か患者の表皮108と接して配置することによって密閉することができる。密閉収縮性部材188はさらに、気体不透過性の材料で覆うことにより密閉することができる。密閉収縮性部材188は、ポリウレタンフィルムまたはシリコーンから形成されうる第1および第2のシール部材196、198で密閉することができる。第1および第2のシール部材196、198は超音波溶接、またはRF溶接されてもよく、あるいはその端部を連結して外周縁部194を覆うこともできる。減圧が密閉収縮性部材188に供給されると、密閉収縮性部材188が収縮して矢印170に示す閉鎖力が生じる。
【0033】
密閉収縮性部材188には、第1の減圧インタフェース138の伸長部分202を受けるべく、密閉収縮性部材188の一部に穴部201を形成してもよい。この伸長部分202は、密閉収縮性部材188を通ってマニホールド118内に延在することができる。代替的な実施形態では、第2の減圧インタフェース183および第2の減圧送達導管156は除くことができ、第1の減圧インタフェース138の一部が密閉収縮性部材188に流体連結される。従って、この代替的な実施形態では、1つの減圧源と導管を閉鎖力の提供と減圧治療の双方に使用することができる。これと同じことが、図5Aおよび図5Bの実施例に当てはまる。
【0034】
手術時、マニホールド材を腹腔内容物116上に最初に適用することで、減圧による創傷閉鎖および治療システム100を腹腔110などの体腔に使用することができる。例えば、非接着膜122を有するマニホールド部材120を腹腔内容物116上に配置してもよく、マニホールド118は非接着膜122と隣接して位置する。外傷111の創傷縁部112が可能な範囲で寄せ集められ、次いでシール部材132が表皮108上に配置され、外傷111の上に空気シールを提供する。第1の取付部材172は、創傷縁部112周辺の患者の表皮108(あるいは、図示のようなシール部材132上)に第1の接着剤182を用いて適用することができる。同様に、第2の取付部材184は反対側の創傷縁部112周辺に適用することができる。第1および第2の取付部材172および184が表皮108に適用される前、あるいはその後の何れかで、密閉収縮性部材188が第1および第2の取付部材172および184に連結される。この連結は、接着剤189および191、セメント、ボンド等を使用するといった、幾つもの異なる方法で行うことができる。第1の減圧インタフェース138は減圧ポート140であってもよく、伸長部分202がマニホールド118内に達するように適用することができる。第1の減圧送達導管142は第1の減圧インタフェース138に流体連結され、第1の減圧ユニット150(または任意の第2の減圧ユニット151)に流体連結することができる。第2の減圧送達導管156は、第2の減圧インタフェース183に流体連結することができる。
【0035】
減圧による創傷閉鎖および治療システム100は、第1の減圧ユニット150が三方弁154を介して減圧を送達して、この三方弁154が、減圧導管158を介して第1の減圧送達導管142に送達される第2の減圧または治療減圧、および第2の減圧送達導管156に送達される第1の減圧または閉鎖減圧を調整するように稼動する。第1の減圧送達導管142を通って送達される治療減圧はマニホールド118で得られ、矢印144および128で示すように流体を引き寄せ、腹腔110内に減圧を分配する。同時に、閉鎖減圧は第2の減圧送達導管156を通って密閉収縮性部材188に送達され、矢印170に示す閉鎖力を発生させながら密閉収縮性部材188を収縮し、第1および第2の取付部材172および184を互いの方へと引き寄せ、それによって創傷縁部112を引き寄せる。
【0036】
図3A乃至図3Cをここで参照すると、外傷に閉鎖力を提供する減圧閉鎖デバイス300が示されている。減圧閉鎖デバイス300は、図1の減圧による創傷閉鎖および治療システム100のような減圧による創傷閉鎖および治療システムの一部として、あるいは独立型のデバイスとして使用することができる。減圧閉鎖デバイス300は、複数の取付部材、すなわち第1の取付部材302、第2の取付部材304、第3の取付部材306、および第4取付部材308を有している。各取付部材302、304、306、308は、取付部材を患者の表皮(またはシール部材)に脱着可能に取り付ける取付デバイスを有している。例えば、第1の取付部材302は、第1の取付部材302を患者の表皮に取り付ける接着剤310を具えており、同様に、第3の取付部材306は接着剤312を有している。図示されてはいないが、第2および第4の取付部材もまた、取付部材を患者の表皮に固定する接着剤のようなデバイスを有している。非侵襲の手段が一般に好ましいと見なされるが、縫合糸、ステープル、または他の侵襲性の機械的手段を用いて取付部材302、304、306、および308を固定することもできる。更に、セメント、ボンド等といった他の非侵襲の取付デバイスを用いてもよい。
【0037】
複数の取付部材に連結された壁部314は、収縮性部材316、または収縮材料が中に配置される内部空間を有する外周壁を形成している。密閉収縮性部材316は、少なくとも各取付部材302、304、306、308に隣接する地点で壁部314に取り付けられる。壁部314は、ポリプロピレン、硬質シリコーン、または密閉収縮性部材316が収縮した場合に壁部314が湾曲可能な他の半硬質材料で作ることができる。この壁部314は、成形、鋳造または他の技術を用いて形成することができる。密閉収縮性部材316は、図1の密閉収縮性部材188と同じ種類の材料で作ることができる。密閉収縮性部材316は密閉する必要があり、フィルム、層、またはドレープで密閉することができる。密閉収縮性部材316のフィルムまたは他の材料は、第1の面、または(図示の向きに対して)上面318に適用することができる。密閉収縮性部材316はさらに、外周縁部を覆う壁部314、底部にシールを設けるシール部材(例えば、図1のシール部材132)、上面318に位置するフィルムまたはドレープで少なくとも部分的に密閉されてもよい。密封材を上面318に噴霧して、シールを形成することもできる。密閉収縮性部材316は単に、収縮性部材316周囲に膜を形成するように溶着しているポリウレタンフィルムに覆われていてもよい。穴部320は密閉収縮性部材316を貫通して形成することができる。穴部320によって、減圧閉鎖デバイス300の下部の図1のマニホールド118のようなマニホールドに延在する、減圧インタフェースの一部を配置することができる。穴部320は図1の穴部201と類似しており、これは所望の使用法に応じて任意である。減圧導管322は、減圧を密閉収縮性部材316内に送達する。これは、減圧導管322を密閉収縮性部材316の任意の部分の中に直接加えることによって実現するが、壁部314の一部に形成されたポートなどの減圧インタフェース324を利用しても実現することができる。
【0038】
手術時、取付部材302、304、306、および308が外傷周囲に配置され、表皮(またはシール部材)に脱着可能に取り付けられる。取付部材302および304などの対向する取付部材は外傷の反対側となる。従って、例えば、第1の取付部材302および第4の取付部材308はそれぞれ、異なる間隔で創傷の片側に脱着可能に固定され、取付部材304および306はそれぞれ、創傷の反対側に配置することができる。減圧閉鎖デバイス300が設置されるとき、減圧閉鎖デバイス300は最初は非収縮位置にある。一旦設置されると、減圧が減圧導管322に供給され、密閉収縮性部材316が収縮して、外側の壁部314の少なくとも一部分を互いの方へと引き寄せ、次に取付部材302および304などの間に伝達される閉鎖力を生じさせる。従って、閉鎖力が生じ、取付部材302、304、306、および308を通って表皮に伝達される。図3Bは非収縮位置の減圧閉鎖デバイス300を示しており、図3Cは収縮位置の減圧閉鎖デバイス300を示している。
【0039】
ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、減圧コネクタ400の一実施例が図示されている。この減圧コネクタ400は、2つの異なる区画または領域を流体連結するように機能する。図4Aおよび図4Bの実施例では、減圧コネクタ400は第1の端部402と第2の端部404を有している。入口部分406は第2の端部404に形成される。この入口部分406は、逆円錐部のようなシール部材やマニホールドといった様々な材料を通って挿入を容易にするような形状であってもよい。第1の端部402には、流体の流れを促進させるように複数の溝408が位置していてもよい。フランジ部分410は、第1の端部402と第2の端部404の間に形成することができる。フランジ部分410は第1の面412と第2の面414を有している。代替的な実施形態では、第1の端部402はさらに、シール部材または他の材料を通って容易に侵入する形状や構成であってもよい。2つの異なる、減圧コネクタ400の例示的な用途を図5Aおよび図5Bに示している。
【0040】
図5Aを参照すると、減圧による創傷閉鎖および治療システム500の一部が図示されている。この減圧による創傷閉鎖および治療システム500は、図1の減圧による創傷閉鎖および治療システム100と多くの点で類似しており、概ね類似する部分を示すべく、参照番号は400となっている。マニホールド518は腹腔510などの体腔内に配置され、そこに減圧治療を提供する効果がある。マニホールド518は、皮下組織514および外傷511と隣接して図示されている。
【0041】
シール部材532は腹腔510および外傷511の上の患者の表皮508に配置されている。外傷511は創傷縁部512を有している。このシール部材532は、患者の表皮508で空気シールを形成するのに役立つ接着剤534を有している。シール部材532が適用されると、腹腔510の上に空気シールを形成する。
【0042】
創傷閉鎖デバイスまたはサブシステムの一部分571も図示されている。この部分571は、密閉収縮性部材588の一部を含んでいる。密閉収縮性部材588は、第1のシール部材596および第2のシール部材598によって、少なくとも部分的に密閉される。密閉収縮性部材588は、少なくとも特定の部分で患者の表皮508に取り付けられる。減圧が密閉収縮性部材588の内側に供給されると、密閉収縮性部材588は収縮し、その結果内方に引き寄せて、外傷511に伝わる閉鎖力が生じる。
【0043】
図5Aおよび図5Bの実施例では、減圧源によって減圧が減圧導管542に供給されている。減圧導管542は、伸長部分602を有する減圧インタフェース538に流体連結されている。図5Aの実施形態では、伸長部分602はシール部材532を通って、マニホールド518内に延在している。従って、減圧はマニホールド518に送達され、矢印544に示すように、伸長部分602の方へと流体を引き寄せる。この実施形態では、減圧コネクタ400が追加されている。減圧コネクタ400は、第1の端部402が密閉収縮性部材588の内側にあり、第2の端部404がマニホールド518内にある状態で配置されている。その結果、減圧コネクタ400は密閉収縮性部材588の内側とマニホールド518を流体連結している。従って、減圧は減圧インタフェース538から、マニホールド518に、そして密閉収縮性部材588の内側に送達される。減圧コネクタ400を通って送達された減圧が、矢印545に示すように密閉収縮性部材588内の流体を引き寄せる。
【0044】
減圧コネクタ400の第1の面412はシール部材532に接触し、第2の面414はマニホールド518と接触している。減圧コネクタ400は、様々な方法で配置することができる。例えば、図3Aおよび図5Aを参照すると、減圧コネクタ400は密閉収縮性部材316のセル325などのセル上に配置され、その上のシール部材を貫通して押しこまれる。入口部分406は、このような挿入を容易にする形状である。その上のシール部材は、挿入後に自己密閉するべきであるが、更なるシール部材の部分を挿入箇所の上に加えることもできる。挿入の際、第2の面414が(図示の向きに対して底部の)第2のシール部材598に接触し、入口部分406が密閉収縮性部材316から延在するまで、減圧コネクタ400が密閉収縮性部材316内に押し込まれる。ここで主に図5Aを参照すると、入口部分406は、シール部材532を通ってマニホールド518内に挿入することができる。前記のように、減圧コネクタ400を配置するために多くの手法を取ることができ、減圧コネクタ400は多くの異なる構成を取ることができるが、配置された減圧コネクタ400は、密閉収縮性部材588とマニホールド518の流体連結を機能的に提供する。
【0045】
ここで図5Bを参照すると、別の代替例が図示されている。図5Bの実施形態では、減圧インタフェース538の伸長部分602は密閉収縮性部材588内で終端しており、密閉収縮性部材588内に減圧を送達する。減圧コネクタ400は前述と同様の方法で配置されるが、ここでは減圧をマニホールド518に送達する。換言すると、流体は、マニホールド518を通り、減圧コネクタ400を介して密閉収縮性部材588の内側を通って減圧インタフェース538の伸長部分602に抜き取られ、次に減圧導管542を通る。
【0046】
本発明およびその利点はが特定の例示的、非限定的な実施形態の文中に開示されているが、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を越えることなく、様々な変更、代用、置換、および代替をすることができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムにおいて、当該減圧創傷閉鎖システムが:
前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材と;
前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材であって、前記第1の取付部材が前記第2の取付部材と間隔をあけて配置される第2の取付部材と;
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結され、減圧下で収縮するように機能しうる密閉収縮性部材と;を具えており、
減圧が前記密閉収縮性部材に供給されたときに、前記第1の取付部材と前記第2の取付部材の間に閉鎖力が生じることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧創傷閉鎖システムがさらに、前記第2の取付部材に連結された減圧インタフェースを具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項3】
請求項1に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、
前記第1の取付部材が、第1のベース部材と第1の接着剤を具えており;
前記第2の取付部材が、第2のベース部材と第2の接着剤を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項4】
請求項3に記載の減圧創傷閉鎖システムがさらに、前記第1のベース部材に連結された壁部材と、当該壁部材に連結された減圧インタフェースとを具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項5】
請求項1に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記密閉収縮性部材が:
第1の面と、第2の患者に面する面と、外周縁部を有する収縮性マニホールド材と;
当該収縮性マニホールド材の前記第1の面と隣接して配置される第1のシール部材と;
前記収縮性マニホールド材の前記第2の患者に面する面と隣接して配置される第2のシール部材と;
前記収縮性マニホールド材の前記外周縁部と接して配置される外周シール部材と;を具えており、
前記第1のシール部材、第2のシール部材、および外周シール部材が、前記収縮性マニホールド材を空気圧で密閉するように機能しうることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項6】
請求項5に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周シール部材が、第3のシール層を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項7】
請求項5に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周シール部材が、壁部を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項8】
請求項1に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記第1の取付部材が:
第1の面と、第2の内向きの面を有する第1のベース部材と;
当該第1のベース部材に連結された第1の壁部と;
前記第1のベース部材の前記第2の内向きの面に連結された第1の接着剤とを具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項9】
患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムにおいて、当該減圧創傷閉鎖システムが:
前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮に脱着可能に取り付ける複数の取付部材と;
当該複数の取付部材に連結される外周壁であって、前記外傷に近接して配置される外周壁と;
当該外周壁の少なくとも一部分に連結され、減圧下で収縮するように機能しうる密閉収縮性部材と;
当該密閉収縮性部材に流体連結され、減圧を前記密閉収縮性部材に送達するように機能しうる減圧源と;を具えており、
減圧が当該減圧源によって前記密閉収縮性部材に供給されると、閉鎖力が生じることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項10】
請求項9に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周壁が、ポリプロピレンを含むことを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項11】
請求項9に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周壁が、硬質のシリコーンを含むことを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項12】
請求項9に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記複数の取付部材の各取付部材が、第1のベース部材と第1の接着剤を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項13】
請求項9に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記密閉収縮性部材が:
第1の面と、第2の内向きの面と、外周縁部とを有する収縮性マニホールド材と;
当該収縮性マニホールド材の前記第1の面と隣接して配置される第1のシール部材と;
前記収縮性マニホールド材の前記第2の内向きの面と隣接して配置される第2のシール部材と;
前記収縮性マニホールド材の前記外周縁部と隣接して配置される外周シール部材と;を具えており、
前記第1のシール部材、第2のシール部材、および外周シール部材が、前記収縮性マニホールド材を空気圧で密閉するように機能しうることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項14】
請求項13に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周シール部材が、第3のシール部材を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項15】
請求項13に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記外周シール部材が、壁部を具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項16】
請求項13に記載の減圧創傷閉鎖システムにおいて、前記複数の取付部材がそれぞれ:
第1の面と、第2の内向きの面を有する第1のベース部材と;
当該第1のベース部材に連結された第1の壁部と;
前記第1のベース部材の前記第2の内向きの面に連結された第1の接着剤とを具えることを特徴とする減圧創傷閉鎖システム。
【請求項17】
患者の外傷に閉鎖力を提供し、組織部位に減圧を送達する、減圧による創傷閉鎖および治療システムにおいて、当該減圧による創傷閉鎖および治療システムが:
創傷閉鎖サブシステムであって:
前記外傷の縁部と隣接する前記患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材と、
前記外傷の縁部と隣接する前記患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材であって、前記第1の取付部材が前記第2の取付部材と間隔をあけて配置される第2の取付部材と、
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結され、減圧下で収縮するように機能しうる密閉収縮性部材と、
第1の減圧を前記密閉収縮性部材に送達するように機能しうる閉鎖用の減圧源とを具えており、
前記第1の減圧が前記密閉収縮性部材に供給されると、前記第1の取付部材と前記第2の取付部材の間に閉鎖力が生じる創傷閉鎖サブシステムと、
減圧治療サブシステムであって:
前記組織部位と隣接して位置し、減圧を分配したり流体を受け取るように機能しうるマニホールドと、
前記患者の表皮に配置して、前記マニホールドの上に空気シールを形成するように機能しうるシール部材と、
第2の減圧を前記マニホールドに送達するように機能しうる治療用の減圧源とを具える減圧治療サブシステムとを具えることを特徴とする減圧による創傷閉鎖および治療システム。
【請求項18】
請求項17に記載の減圧による創傷閉鎖および治療システムにおいて、前記閉鎖用の減圧源が、前記治療用の減圧源を具えることを特徴とする減圧による創傷閉鎖および治療システム。
【請求項19】
請求項17に記載の減圧による創傷閉鎖および治療システムにおいて、前記閉鎖用の減圧源および前記治療用の減圧源が:
減圧ユニットと;
減圧インタフェースと;
前記減圧ユニットと前記減圧インタフェースを流体連結するように機能しうる減圧送達導管と;を具え、
前記減圧インタフェースは前記マニホールドと流体連結するように機能し;
前記密閉収縮性部材と前記マニホールドを流体連結するように機能しうる減圧コネクタを具えることを特徴とする減圧による創傷閉鎖および治療システム。
【請求項20】
請求項17に記載の減圧による創傷閉鎖および治療システムにおいて、前記閉鎖用の減圧源と前記治療用の減圧源が:
減圧ユニットと;
減圧インタフェースと;
前記減圧ユニットと前記減圧インタフェースを流体連結するように機能しうる減圧送達導管と;を具え、
前記減圧インタフェースは前記密閉収縮性部材と流体連結するように機能し;
前記密閉収縮性部材と前記マニホールドを流体連結するように機能しうる減圧コネクタを具えることを特徴とする減圧による創傷閉鎖および治療システム。
【請求項21】
請求項17に記載の減圧による創傷閉鎖および治療システムにおいて、前記第2の減圧が、−100mmHg乃至−350mmHgであることを特徴とする減圧による創傷閉鎖および治療システム。
【請求項22】
患者の外傷に閉鎖力を提供する減圧創傷閉鎖システムの製造方法において、当該方法が:
前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付ける第1の取付部材を形成するステップと;
前記外傷の縁部に近接する前記患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付ける第2の取付部材を形成するステップと;
減圧下で収縮するように機能しうる密閉収縮性部材を形成するステップと;
減圧インタフェースを形成するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の製造方法がさらに、前記密閉収縮性部材を前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の製造方法がさらに、前記減圧インタフェースを前記密閉収縮性部材に流体連結するステップを具えることを特徴とする製造方法。
【請求項25】
請求項22に記載の製造方法がさらに、外周壁を形成し、当該外周壁を前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の製造方法において、前記密閉収縮性部材を前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結するステップが、前記密閉収縮性部材を前記外周壁の少なくとも一部分に連結するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項27】
患者の外傷に閉鎖力を提供する方法において、当該方法が:
第1の取付部材を前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮の第1の部分に脱着可能に取り付けるステップと;
第2の取付部材を前記外傷の縁部に隣接する前記患者の表皮の第2の部分に脱着可能に取り付けるステップであって、前記第1の取付部材が前記第2の取付部材と間隔をあけて配置されるステップと;
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材に連結され、減圧下に置かれた場合に収縮するように機能しうる密閉収縮性部材を設けるステップと;
減圧を前記密閉収縮性部材に供給し、それにより前記第1の取付部材と前記第2の取付部材の間に閉鎖力を生じさせるステップとを具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2012−507351(P2012−507351A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534544(P2011−534544)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044264
【国際公開番号】WO2010/051071
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】