減圧下において創傷を治療するための装置
減圧下において創傷を治療するための装置が開示されている。この装置は、創傷の周りを密閉するように配置されて創傷を覆うシーリングフィルムと、減圧源と、創傷の上であってシーリングフィルムの下の空間を減圧源に接続するチューブ(3)とを備えている。チューブの内部は、疎水性材料からなる第1のストランド(8)と、有孔の親水性材料からなり、チューブの長さの少なくとも一部に亘って長手方向に延在する第2のストランド(9)とを備える。これら材料ストランドは、可撓性材料からなるチューブ外被部材(10)の中に封入されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧下において創傷を治療するための装置に関し、この装置は、創傷の周りを密閉するように配置されて創傷を覆うように意図されたシーリングフィルムと、減圧源と、創傷の上であってシーリングフィルムの下の空間を減圧源に接続するように配置されたチューブとを備えている。
【背景技術】
【0002】
細菌に感染した創傷、糖尿病創、褥瘡、又は深手の創傷のような回復が遅い創傷の治療のための多くの方法が従前から知られている。
【0003】
例えば外科創傷又は他の滲出性創傷の減圧による排膿は標準的な治療であり、数十年にわたって使用されてきている。この目的のための手動の吸引ポンプの例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献2は、有孔の発泡材料、好ましくはポリウレタンフォームからなる、弾性的に圧縮可能な本体の形態のポンプを開示しており、この本体は又、創傷から排出された流体のための容器としても作用する。このポンプは、48時間以上にわたって15〜80mmHgの減圧状態を維持する能力を有するとされている。穿孔された排出部は、創傷のポケット部中に配置されることを意図されているとともに、チューブによってポンプに接続されている。同様の装置が特許文献3に開示されており、この明細書には、減圧が創傷流体を排出するだけでなく、一緒に創傷の端部を吸引して組織の増殖と創傷の治癒とを刺激することを特に記述している。したがって、特許文献2及び3は、創傷の真空治療が創傷の治癒を刺激するということを記述している。真空治療、減圧状態における治療、及び負圧下における治療という用語は、文献中において互換的に使用されている。この明細書中においてこれら用語が使用される場合には、通常の大気圧以下の圧力における治療が常に意味されているということが指摘されるべきである。
【0005】
また、重度の創傷は、洗浄流体の供給とそれに続く吸引との組み合わせによって治療されてきた。このような装置の例が特許文献4及び特許文献5に開示されている。
【0006】
負圧下における、すなわち通常の大気圧以下の圧力下における創傷の連続的治療及び間欠的治療の両方の効果の広範な研究がロシアの研究機関において80年代に行われていた。ここでは、回復が遅い創傷が、真空治療によって既存の治療法に比べて実質的に迅速に治癒するということが立証された。また、減圧状態における治療が著しい抗菌効果を生じさせるということが、とりわけ示された。前記ロシアの研究機関の研究は、ロシアの医療雑誌Vestnik Khirurgii中の記事に記載されている。前記雑誌からの記事は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、及び非特許文献4、及び非特許文献5である。
【0007】
非特許文献6のChariker氏他による記事には、真空治療が肉芽組織の増殖と、従来の治療では回復が非常に遅い創傷の縮小とを改善することが記述されている。
【0008】
また、創傷の真空治療が、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8に開示されている。
【0009】
創傷の真空治療を開示している出願の例として、特許文献9及び特許文献10を引用することができる。
【0010】
創傷の真空治療のための既知の装置は、全ての面において満足できるわけではない。基本的な問題は、これら装置は創傷のすぐ前において嵩が高いことであり、このことは、創傷がそのすぐ前にある嵩が高い部分によって望ましくない負荷応力に晒され得る結果となる場合があり、これは患者にとって痛みを伴うものである場合があるとともに、創傷の治癒プロセスを妨害する場合がある、ということである。非常に重要な問題は、創傷ポケットを圧力源に接続している比較的硬いチューブである。このチューブは、扱い難く嵩が高く、摩擦を引き起こし、不運な場合には患者に褥瘡を生じさせる場合もある。患者がどこに創傷を有しているかによっては、圧力源又は創傷に近い中間流体の収容容器を配置することが不可能であって、代わりに、例えば患者の足からちょうど腰の上までなど、比較的長いチューブを使用することが必要である場合も多く、このことは横になっている若しくは座っている患者に摩擦を生じる場合もある。既存のチューブによるさらなる問題は、チューブと創傷の上に配置されたシール用フィルムとの間の接続において満足のいく気密性を達成するのが難しいということである。
【0011】
何らかの理由によって減圧が弱まると、既知の装置においては、チューブと創傷ポケットとの間の接続に逆止弁が無い限り、創傷ポケットから既に吸引されていた浸出液が逆に輸送されて創傷を汚染するという危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3742952号明細書
【特許文献2】米国特許第3572340号明細書
【特許文献3】米国特許第525166号明細書
【特許文献4】米国特許第5385494号明細書
【特許文献5】米国特許第4382441号明細書
【特許文献6】米国特許4969880号明細書
【特許文献7】米国特許5645081号明細書
【特許文献8】米国特許5636643号明細書
【特許文献9】米国特許第6855135号明細書
【特許文献10】国際公開第2006/025848号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2006/075950号パンフレット
【特許文献12】欧州特許第0261167号明細書
【特許文献13】欧州特許第0855921号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kostiuchenok et al, September 1986, pages 18−21
【非特許文献2】Davydov et al, September 1986, pages 66−70
【非特許文献3】Usupov et al, April 1987, pages 42−45
【非特許文献4】Davydov et al, October 1988, pages 48−52. 5
【非特許文献5】Davydov et al, February 1991 , pages 132−135
【非特許文献6】The journal Contemporary Surgery, issue 34, June 1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の結果として、上述の問題は解消された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る装置は、チューブの内側が、疎水性を有し、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第1のストランドを備えること、チューブの内側がその長さの少なくとも一部に亘って、親水性を有し、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第2のストランドを備えること、及びこれら材料ストランドが、可撓性材料からなるチューブ外被部材の中に封入されていること、を特徴としている。
【0016】
この種のチューブは非常に柔らかく、使用者にとって心地よく、本質的に任意の構成に構成することができる。既存のチューブと比較した基本的な利点は、本発明によるチューブは、万一何らかの理由によってシステムの減圧が中断したとしても、吸引された流体を創傷ポケットに戻らせることがないということである。このような場合には、吸引された流体はチューブ中の親水性ストランドによって吸収される。
【0017】
図示された1つの実施形態によれば、本発明は、第1の材料ストランドが疎水性を有する有孔の発泡材料によって構成されていること、及び第2の材料ストランドが親水性の有孔の発泡材料によって構成されていること、を特徴としている。
【0018】
図示された1つの実施形態によれば、本発明は、前記第1及び第2のストランドが重ねられて配置され、長方形の断面を有していることを、さらに特徴としている。
【0019】
1つの実施形態によれば本発明は、減圧源が、創傷から吸引された液体のための流体収容要素としてもまた作用することを意図されており、この目的のために、弾性的に回復力に富む有孔の発泡材料と、一方向弁とを備え、この一方向弁は、前記要素が圧縮された際に、前記要素からの空気の流出を可能にするように配置されている、ことを特徴としている。
【0020】
1つの実施形態によれば本発明は、前記流体収容要素がチューブの折り畳まれた、又は巻かれた一部によって構成されていることを特徴としている。
【0021】
1つの実施形態によれば本発明は、チューブ及び/又は流体収容要素が超吸収性材料を含むことを特徴としている。
【0022】
本発明の1つの実施形態は、チューブ外被部材の一方の端部が、チューブの端部をシール用フィルムの外側に、このフィルムに開けられた所定の孔のすぐ前において固定するための固定部材を備えており、この孔は、装置が使用される際に、創傷の上の空間上に配置されていること、及び前記端部がこの孔との接続のための開口部を有していること、を特徴としている。
【0023】
本発明の1つの実施形態は、前記固定部材がプラスティックフィルムからなるタブを備え、このタブはその周囲に配置された固定手段を備え、この固定手段は、前記形成された孔の周りにおいてシール用フィルムの外側への密閉接続を意図されていることを特徴としている。
【0024】
1つの実施形態によれば、本発明は、装置が疎水性の有孔発泡材料のような疎水性の有孔材料片を備え、この材料片は創傷の形状に構成されるとともに、シール用フィルムの下における創傷に配置されることを意図されていることを特徴としている。
【0025】
1つの実施形態によれば、本発明は活性炭が前記有孔材料片中に配置されていることを特徴としている。
【0026】
疎水性の有孔材料片を備える1つの実施形態によれば、本発明は、親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体を備え、この吸収性本体は創傷の形状に構成されるとともに、シール用フィルムと前記疎水性の有孔材料片との間において創傷に配置されることを意図されていることを特徴としている。この吸収性本体は、追加的な吸収物保存部として作用し、万一何らかの理由によって減圧が中断されたとしても、大量の浸出液を処理することができる。
【0027】
疎水性の有孔材料片を備えるいくらか変形された実施形態によれば、本発明は、装置が、親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性パッドを備え、この吸収性パッドは、シール用フィルムと前記プラスティックタブとの間においてシール用フィルムに形成された孔の上に配置されることを特徴としている。
【0028】
1つの実施形態によれば、本発明は、装置が電気ポンプを組み込んでいることを特徴としている。
【0029】
1つの実施形態によれば、本発明は、このポンプが電池式の圧電ポンプによって構成されていることを特徴としている。
【0030】
1つの実施形態によれば、本発明は、このポンプが前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴としている。
【0031】
図示された形さらなる実施形態によれば、本発明は、装置が手動ポンプを組み込んでいることを特徴としている。
【0032】
1つの実施形態によれば、本発明は、前記手動ポンプが前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴としている。
【0033】
別の1つの実施形態によれば、本発明は、装置が離隔された有孔隔壁(opening diaphragm)を組み込んでおり、この隔壁はシール用フィルムの外側への固定のための固定手段を備えているとともに、創傷の上のシール用フィルムに固定されるように意図されていること、有孔隔壁がカニューレによって貫通可能な材料によって構成されており、この材料はカニューレの除去に続いてシールを自己回復し、よって洗浄流体及び/又は創傷治癒刺激剤を前記開口隔壁を介して添加できること、を特徴としている。
【0034】
さらなる実施形態によれば、本発明は、装置が、例えば不織布、プラスティック、又は発泡材料などからなる、中央開口部を有する薄い疎水性シートを備え、このシートはシール用フィルムの下において創傷の上及び周りに配置されることを意図されていること、及びこの薄いシートは柔らかく、可撓性を有し、大気圧によって患者の創傷の回りの皮膚に密閉接触するように押し付けられるように意図されていること、を特徴としている。
【0035】
1つの実施形態によれば、本発明は、チューブの内側が少なくとも1つのダイヤフラム弁を有し、この弁は創傷から減圧源に向かう方向への流れのみを許容するように配置されていることを特徴としている。創傷ポケットへ戻る漏れに対する追加的な防護がこれによって達成される。
【0036】
1つの実施形態によれば、本発明は、前記疎水性の有効材料片の、使用中に創傷表面に対して配置される側に、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルの有孔コーティングが施されることを特徴としている。
【0037】
幾分変形された1つの実施形態によれば、本発明は、装置が弾性を有するメッシュを組み込んでおり、このメッシュは柔らかく、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルによってコーティングされていること、及びこのメッシュが創傷の大きさに切断され、次いで創傷の表面に配置されることを意図されていること、を特徴としている。
【0038】
1つの実施形態によれば、本発明は、シール用フィルム及びチューブが一体に予備成形されたユニットに形成されていることを特徴としている。1つの実施形態によれば、活性炭がチューブ中に配置されている。
【0039】
別の1つの実施形態によれば、活性炭は流体収容要素中に配置されている。
【0040】
1つの実施形態によれば、前記チューブは、シリコーンチューブによって減圧源に接続されている。
【0041】
本発明は、添付の図面を参照しつつ、より詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による装置の実施形態の図である。
【図2】本発明による装置の一部を形成するチューブの第1の実施形態の側面図である。
【図3】図2におけるIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図2におけるIV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明による装置の一部を形成するシール用フィルムの実施形態の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VIに沿った断面図である。
【図7】関連する固定部材を有する、本発明による装置の一部を形成するチューブの第2の実施形態の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】図7のIX−IXに沿った断面図である。
【図10】図7によるチューブの下面図である。
【図11】関連する固定部材を有する、本発明による装置の一部を形成するチューブの第3の実施形態の平面図である。
【図12】図11のXII−XIIに沿った断面図である。
【図13】本発明によるチューブへの浸出液の通路を示す図である。
【図14】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第1の実施形態の図である。
【図15】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第2の実施形態の図である。
【図16】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第3の実施形態の図である。
【図17】本発明による装置の一部を形成するチューブの第4の実施形態の図である。
【図18】創傷の適用位置にある、本発明による装置の1つの実施形態の断面図である。
【図19】図18の断面図に対応する、幾分変形された実施形態による装置の断面図である。
【図20】図18及び19の断面図に対応する、チューブの固定前のさらなる実施形態による装置の断面図である。
【図21】本発明による装置の一部を形成するチューブの第5の実施形態の断面図である
【図22】外側に貫通部材を取り付けられたシール用フィルムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1においては、患者はふくらはぎに創傷を追っている。図1に係る装置は、疎水性を有する有孔の発泡材料のような、疎水性を有する有孔材料片1を備えている。この材料片は、創傷の大きさに切断されて創傷ポケットに充填される。シール用フィルム2が創傷の上に密閉状態に配置されて使用者の皮膚に固定される。
【0044】
シール用フィルムの外側のシール用フィルムに形成された孔の上に固定された固定部材4を有するチューブ3が、創傷ポケット中の空間を減圧源5に接続している。また、この減圧源は創傷から吸引された流体のための流体収容要素として作用するように意図されている。減圧源は、弾性的に圧縮可能な構成からなっている。手動の圧縮の際には、空気が一方向弁(図示されず)の形状の排出バルブを通じて外部環境に押し出される。更なる一方向弁(図示されず)がチューブ3に、又はチューブから減圧源への間に固定されている。好適な代替案は、一方向弁を創傷に隣接して配置することである。このことは、チューブ中の滲出流体柱が創傷に向かって逆方向に吸引されるのを妨げる。この代替案においては、流体収容要素へのチューブの接合部に逆止弁を追加的に嵌め込むことが好都合である場合がある。チューブのみ又は流体収容要素のみの交換がこれによって可能になる。この要素は、体液を収集するのに使用される種類の既存のバッグによって構成することができる。前記一方向弁及び前記逆止弁は、創傷ポケットから減圧源への流れのみを可能にする。
【0045】
減圧源の圧縮に続いて、減圧源は膨張することができ、これによって減圧が減圧源および創傷ポケットにおいて生成される。本発明に係る装置は、回復が遅い創傷に適用されることを意図されている。創傷の治療は、連続的又は間欠的減圧によって実現することができる。
【0046】
治療時間は創傷の状況と治療中の治癒プロセスとに依存する。図1に示す実施形態においては、電気ポンプもまた含まれており、この電気ポンプは減圧源を補完するため、及び創傷ポケット中の予め決められた減圧レベルを維持するために設けられている。1つの実施形態においては、ポンプは電池式圧電ポンプ6によって構成することができる。
【0047】
代替的に、ポンプ効果は壁面吸入部によって達成することができ、この壁面吸入部は病院に永久的に取り付けられている。
【0048】
手動ポンプの例はAstra Tech.社のBellovac(登録商標)である。
【0049】
代替的な実施形態によれば、減圧源及び創傷ポケットにおける減圧は電気ポンプによって全面的に生成される。電気ポンプ6は、図1に示すように、減圧源に取り外し自在に接続されている。
【0050】
1つの好都合な実施形態によれば、減圧源5、チューブ3、創傷ポケットを充填する材料片1、及びシール用フィルム2は、使い捨て材料によって構成され、創傷の手当てに関連して廃棄される。図1に示す装置は手動ポンプ7によって補完することができ、この手動ポンプは電気ポンプに対する補完として使用することができる。装置が患者に固定された後、手動ポンプが好都合に使用されて減圧源及び創傷ポケットの中の減圧を迅速に生成し、その後に手動ポンプが取り外されて電気ポンプに置換される。
【0051】
図2〜4には、チューブの第1の実施形態がより詳細に示されている。チューブの内側は、疎水性の有効発泡材料からなる第1のストランド8と親水性の有孔の発泡材料からなる第2のストランド9とから構成されている。示された実施形態においては、チューブ外被部材は柔らかい弾性を有するプラスティックからなる2つのプラスティックフィルムから構成されており、これらプラスティックフィルムは、図3に示すように、チューブの端部に沿って接続されて外被部材を形成し、この外被部材はストランド8、9の周りに延び、その全体が符号10によって示されている。チューブの一端において、プラスティックフィルムは、固定部材4の形成のための拡径部を有している。拡径部の1つのプラスティックタブ11は中央開口部12を有し、この開口部12は、チューブが使用される際に、シール用フィルムに形成された孔のちょうど前に配置されるように意図されている。プラスティックタブの下側には、シール用フィルムに形成された孔の周りにおける、シール用フィルムの外側への接続のための接着剤13を備えている。前記接着剤は好都合にシリコーン接着剤によって構成されており、良好な密閉性を付与するとともに固定部材における漏れを防止する。シリコーン接着剤による1つの利点は、万一、固定部材がシール用フィルム上に間違って終端したとしても、固定部材を容易に取り外し、シール用フィルムに再度取り付けることができるということである。
【0052】
代替的に、アクリレートのような他の感圧接着剤を使用することができる。
【0053】
記載された種類のチューブは柔らかく、かつ曲げやすく、細い構成とすることができる。柔らかいチューブは患者にとって快適であり、負荷応力が上昇した場合においても患者の皮膚に擦過傷を生じさせない。チューブは、例えば、強度を増すため、及び/又は快適さを高めるために、必要に応じてストッキングのような外被部材の中に封入することができる。
【0054】
チューブ及び場合によっては収集容器もまた、チューブ及び収集容器を使用者の皮膚に固定するために、その外側にシリコーンのような接着剤を備えることができる。吸引本体又はその種のもののような別のタイプの固定部材がもちろん想到可能である。
【0055】
チューブが疎水性のストランドと親水性のストランドとの両方を含むことが必要不可欠である。疎水性のストランド8は、創傷から排出された流体を収集するために、創傷ポケットから容器5へ流体を迅速に輸送できることを意図されている。親水性のストランド9は、流体を吸収することを意図されている。これは、万一何らかの理由によって減圧が中断された場合に特に重要である。親水性のストランドは、チューブの中の流体を吸収し、この流体が創傷ポケットへ逆流するのを防止し、創傷ポケットを汚染しないようにする。圧縮された状態、例えば負圧下においては、親水性のストランドは少なくとも約5g/gの吸収能を有し、一方、大気圧においては少なくとも約20g/gの吸収能を有している。
【0056】
疎水性という用語が、疎水性のストランドに対する接触角が少なくとも90度でなければならないということ、すなわち疎水性と親水性との境界がこの接触角の大きさであるということを意味する必要は無い。重要なのは、創傷流体を疎水性のストランド中において容易に輸送することができ、親水性のストランドが疎水性のストランドから流体を吸収する能力を有しているということである。
【0057】
チューブの前記第2のストランドとしての使用のための好適な親水性の発泡材料の例は、0.10〜1.25mm、好ましくは0.25〜0.75mmの、例えば0.50mmの直径の空孔サイズを有するPURフォームである。この種のポリウレタンフォームは、例えば、米国マサチューセッツ州レキシントンにあるHampshire Chemical CorporationのHypol(登録商標)である。ビスコースフォーム、親水化されたシリコーンフォーム等のような他の吸収性発泡材料も、チューブの親水性発泡材料として使用可能である。
【0058】
チューブの前記第1のストランドとしての使用のための疎水性の発泡材料の例は、0.10〜2.00mm、好ましくは0.50〜1.25mmの、例えば1.0mmの直径の空孔サイズを有する、例えばRecitelからの疎水性PURフォームである。また、疎水性発泡材料は発泡材料によって構成することができ、この材料は、最初は親水性を有しており、シリコーンのような疎水性成分に浸漬されて、疎水性の特性を与えられる。
【0059】
シール用フィルム2は、薄く、柔軟で、かつ可撓性を有するプラスティックフィルムによって構成され、このフィルムを使用者の創傷の周りの皮膚に固定するために、好都合にはシリコーンの接着剤14によってコーティングされている。皮膚とプラスティックフィルムとの間の漏れに対する良好な密閉の特性を達成するためのシリコーン接着剤に対する好適な特性は、特許文献11に記載されている。好適なシリコーン接着剤の例は、Wackerの#SR45554である。
【0060】
フィルムは、その取り扱いを容易にするために、補強端部15を設けられ、この補強端部は、創傷の周りへのシール用フィルムの固定に関連して引き剥がされる。図5には、フィルムに形成された孔16が示されており、この孔は、フィルムが使用される際に創傷の上、例えば創傷の上の中央部に配置される。孔は必ずしも創傷の真上である必要は無い。創傷が部分的に孔によってオーバーラップされて、創傷からの浸出液が吸引されて除去されれば十分である。
【0061】
図7〜10に係る実施形態においては、図2〜4に係る実施形態における同様の部分に対応する構成要素は同一の参照符号をふられている。固定部材4において、疎水性コーティング及び親水性コーティングの両方は拡幅された楕円形状部8’、9’をそれぞれ有している。チューブの細長い部分は、その自由端に排出弁(図示されず)を備えている。チューブの疎水性発泡材料及び親水性発泡材料は、ともに拡幅部分及び細長部分にあり、圧縮可能かつ弾性的に回復自在な構成である。ここに示されている図示された実施形態においては、チューブは、チューブと流体収容容器として作用することを意図されているとともに、減圧の生成のためのポンプとして作用することも意図されている。
【0062】
固定部材において、外被部材は可撓性を有する柔らかいプラスティックフィルム11’を備え、図7〜10から理解することができるように、発泡材料より大きな範囲を有している。このプラスティックフィルムは下側を接着剤13’、好都合には、上述のWackerからの接着剤のようなシリコーンからなる接着剤によってコーティングされている。プラスティックフィルムは中央開口部12を備え、この中央開口部の周りには多数の小穴12’が設けられている。これら小穴は、万一固定部材の開口部が誤って形成された孔16の直前にて終端した場合でも、流体が下層のシール用フィルム2に形成された孔16から流れることを可能にするように配置されている。また、チューブ中の減圧の作用の結果、小穴12’はプラスティックフィルムを下層のシール用フィルム2に対して、シール構造を形成するようにきつく吸引させる。
【0063】
図7〜10に示す図示された実施形態は、その使用に関して非常に柔軟である。これは、図5に示す種類の個別のシール用フィルムとの組み合わせによって、また電気ポンプとの組み合わせによって使用することができる。代替的に、プラスティックフィルム11’がシール用フィルムとして作用することができ、図7〜10による装置は、場合によっては創傷ポケットに配置された疎水性の発泡材料から成る材料片との組み合わせによって、回復が遅く、湿潤性の小さい創傷の減圧治療のための完全なユニットとして作用することができる。また、図7〜10に係る装置は、上述した種の電池式の電気ポンプを組み込むことができる。代替的には、手動のべローズポンプ又は壁取り付け式吸引装置からの減圧を使用することができる。図8及び図9から理解できるように、チューブの拡幅された部分中の親水性コーティング9’は、開口部12に隣接して配置されている。このことの1つの利点は、万一減圧が何らかの理由によって中断した場合に、親水性材料中に吸収された滲出物が、この親水性コーティング中に保持され、よって、創傷ポケットの既に吸引された流体による汚染が防止されるということである。開口部に隣接した親水性コーティングは、原則的には一方向弁としての役目を果たす。流体は、チューブの中が減圧状態である場合には、この開口部を通じて前方へ疎水性コーティングへと流れることができる。反対に、親水性コーティング中の流体は、創傷ポケット中の疎水性発泡材料へ戻ることは無い。
【0064】
図11及び図12に示す実施形態は全ての観点において原則的には図7〜10に係る実施形態のように機能し、よって、動作は詳細には記載されない。図11及び図12に係る実施形態においては、図7〜10に係る実施形態における同様の部品に対応する構成要素は同一の参照符号を備えている。本質的な違いは、固定部材におけるチューブの拡幅部分の構成である。図11から最もよく理解できるように、固定部材上において多孔性発泡材料のコーティングは、患者の曲線状の体表面、例えば間接部への固定部材の固定を容易にする形状をとっている。
【0065】
図13には、本発明による装置の一部分を形成する発泡材料のチューブの変形態様が示されている。図13においては、創傷ポケットからの創傷滲出物の流体収容部として作用するチューブへの経路が、矢印によって示されている。チューブの固定部材4においては、チューブの内側は疎水性の発泡材料8のみを組み込んでおり、一方でその他のチューブは疎水性コーティング8及び親水性コーティング9を有している。図に示されているように、ポンプ6は流体収容部として作用するチューブに接続することができる。滲出物は疎水性コーティング8を通じて迅速に輸送されて、親水性コーティング9によって徐々に吸引される。親水性コーティングは疎水性コーティングに比べ流体輸送能力に劣るが、流体を吸収し保持する能力を有している。親水性コーティングは疎水性コーティングより高い流体との相性を有し、親水性コーティング中に吸収された流体は疎水性コーティングに戻ることは無い。万一減圧が何らかの理由で中断した場合には、親水性コーティング中に吸収された流体は保持される。また、疎水性コーティングに比べてその高い流体との相性の結果として、親水性コーティングは、減圧が中断した場合に、疎水性コーティングから流体を吸収し続ける。また、親水性コーティングが創傷流体を吸収する能力を有するという事実とは別に、親水性コーティングは一方向バルブとして作用し、疎水性コーティング中の創傷流体が創傷ポケットへ逆輸送されるのを防止している。このことは、患者の脚の下部領域及び足の創傷においては特に重要であり、この創傷のタイプは糖尿病を患っている患者に共通している。このような創傷においては、流体の収容部として作用する部分は、患者が立っている場合又は座っている場合には患者の高い位置に配置されており、疎水性コーティングの流体柱に蓄積された流体には、親水性コーティングの存在無しに、創傷流体を創傷ポケットに戻るように駆動する場合のある圧力がかかる。吸収性の親水性発泡材料コーティングの吸収力は、このコーティング中に例えばCMCの粒子などの高度に吸収性を有する物質を配置することによって実質的に高めることができる。膨張するとともに親水性コーティング材料中の孔から流体を吸引する、長期間に亘ってチューブ中の減圧を維持させる高度に吸収性を有する粒子の能力は、補助的な電気ポンプが装置の一部を形成しないか、又は一体のポンプが万一何らかの理由によって機能を中断した場合に、不可欠である。
【0066】
好適な高度に吸収性を有する材料の例は、Technical Absorbentsによって生産されている商標Oasis 505の粉体である。
【0067】
本発明に係る装置の一部分を形成するチューブは、流体の迅速な輸送のためにチューブの全長に沿って疎水性コーティングを好都合に有している。反対に、親水性コーティングは、チューブの一部のみに沿って、又は1つ以上の別々の部分に沿って配置することができる。
【0068】
図1に示すように、装置は別個の流体収容部を組み込むことができ、この流体収容部にチューブが接続されている。図14及び図15には2つの実施形態が示され、これら実施形態においては流体収容部が、チューブ3の長い部分が巻き上げられるか又は畳まれることによって形成されている。チューブの端部は排出弁3’を備えている。巻かれるか又は畳まれた部分は、弾性外被部材50中に封止されている。また、巻かれるか又は畳まれた部分によって形成された収容部は、圧力源としても作用している。収容部は手動で圧縮され、封止されていた空気は排出弁を通じてポンプで排気される。チューブ中の弾性的に圧縮可能な発泡材料が続いて膨張する際に、収容部はその本来の形状に復帰し、減圧がチューブ中に生成される。
【0069】
図14及び図15に係る実施形態は、必要に応じて、すなわち患者の傷の場所がどこか、及びどこに流体収容容器を配置するのが適切かによって、任意のチューブ長さを延ばすことができるように配置することができる。チューブには、CMCのような吸収すると膨張する高度に吸収性を有する材料を好都合に配置することができる。この材料はチューブの全体に沿って配置するか、又は1つ以上の部分に沿って配置することができる。好都合には、高度に吸収性を有する材料の濃度は、流体収容部の、巻かれているか又は畳まれたチューブの端部に向かって高くすることができる。チューブの端部という用語は、排出弁3’が配置されている端部を意味している。チューブの端部における高度に吸収性の材料、すなわちいわゆる超吸収性材料の高い濃度は、チューブ中の流体の輸送を容易にするため、及びチューブの吸収性の、チューブの全長に沿った最適な使用のために好適である場合がある。
【0070】
図16においては、減圧源として作用する流体収容部の変形態を示している。チューブ3は収容部5に、この収容部の外被部材50の開口部51を介して接続されている。収容部中の流体吸収材料は、有孔発泡材料の多くの別々の層によって構成され、隣接する層同士は干渉プラスティックフィルムによって離間されており、この干渉プラスティックフィルムは、チューブ3から排出弁52に向かう方向への層から層への流体の透過のための開口部を備えている。図16においては、収容部を通じた流体の輸送の経路が矢印によって示されている。したがって、図16による、互いに重ねられて配置された、収容部における発泡材料の複数の層は、図15に示す畳まれたチューブと本質的に同様の機能を果たしている。好都合には、層それぞれは疎水性の発泡材料の長手方向のコーティングを有し、全ての層を通じた排出弁の方向への効果的な流体の輸送を可能とし、すなわちこれによって全ての層の吸収能力が使用される。また、前記複数の層は、その少なくとも一部に親水性の発泡材料のコーティングを組み込んでいる。したがって、発泡材料のコーティングは、流体の輸送及び流体の吸収に関して本質的にチューブ3のように機能する。また、これら複数の層は、高度に吸収性の材料を組み込んでいる。排出弁に隣接している層における、高度に吸収性を有する材料、いわゆる超吸収性材料の高い濃度は、これら複数の層を通じた流体の輸送を容易化するため、及び全ての層の吸収能力の最適な使用のために好適である場合がある。
【0071】
図17はチューブ3の代替的な態様を示している。チューブは、楕円形状又は円形状を有し、開繊された疎水性の発泡材料の中央ストランド8と、環状の断面からなるとともに有効な親水性発泡材料から成る外側コーティングとを備えている。この図に係るチューブは、例えば可撓性を有するプラスティックフィルムの形状の液密な外被部材を備えている。
【0072】
図18に示す実施形態は、創傷ポケット20に配置されているとともに疎水性の有孔の発泡材料、例えばポリウレタンフォームからなる材料片1を組み込んでいる。この材料片は創傷の形状に切断される。この形態は、損傷のポケットに配置されているとともに親水性で有孔の発泡材料から成る吸収性本体21をさらに組み込んでいる。図5及び図6に関連して記述された種類のシール用フィルム2は、創傷の直前に形成された孔16を有して、好都合にはシリコーン等の接着剤14によって創傷の上に配置され、よって患者の皮膚に対して創傷の周りを緊密に密閉している。チューブ3の固定部材4は、形成された孔の周りでシール用フィルムの外側に対して密閉状態に配置されている。固定部材4及び関連するチューブは、図2〜4に係る実施形態に関連して上述された種類からなる。減圧のさらなる効能は、創傷の周りにある皮膚もまた減圧から利益を得るということである。浮腫、汗などは、減圧によって吸引される。
【0073】
本発明に係る装置のチューブ形成部分の基本的な利点は、創傷部分の周りに形成される突出部分を有することなく、シール用フィルムの外側の上面側に容易に接続できることである。固定部材4の固定表面が滑らかであることによって、また図18に示すようにシール用フィルム2の滑らかな表面に固定が行われることによって、チューブとシール用フィルムとの間の非常に良好な接続が容易に得られ、気体又は流体の漏れの危険が排除される。シリコーン接着剤の使用は、漏れ耐性をさらに向上させる。この目的に対して好適なシリコーンの例創傷の真空治療のために従来使用されている装置において、基本的な問題は、シール用フィルムの下の創傷ポケット中の空間に既存のチューブを接続することであった。これら既存の装置においては、チューブはまず創傷ポケット中の吸収本体に接続され、その後にチューブの一部分の上にシール用フィルムを配置することによってシールを形成することが試みられていた。したがって、チューブの回りに固定し、密閉することは厄介であって時間がかかり、漏れを避けるためには相当な正確さが必要であった。
【0074】
材料片1は事実上創傷ポケットを充填することを意図されている。発泡材料片1が疎水性を有し、よって創傷の表面からの滲出物が発泡材料片の上及び中に残存せず、代わりに輸送されて除去されることは非常に大きな利点である。親水性を有する吸収本体21は、創傷ポケット中、かつシール用フィルムに形成された孔の下の疎水性材料片1の上面に配置される。減圧が実施されている際には、滲出物は創傷から疎水性材料片1及び親水性吸収本体の両方を介して流体収容要素へ輸送される。減圧が何らかの理由によって中断された場合には、親水性吸収本体は障壁として作用し、既に吸引された滲出物が輸送されて創傷へ戻るのを防止する。したがって、親水性吸収本体は一方向弁として作用する。減圧が中断した場合には、親水性吸収本体は、親水性吸収本体が流体によって飽和するちょうどそのときまで疎水性材料片から流体をさらに吸引し続ける。
【0075】
疎水性材料片及び/又は親水性吸収本体には、創傷中において生成される場合のある悪臭の除去のために活性炭を配置することができる。代替的に、活性炭はチューブ及び/又は創傷流体の収集のための容器の中に配置することができる。
【0076】
図19に示す実施形態は、流体の吸収及び輸送に関して図18に係る実施形態と概ね同様に機能する。1つの相違点は親水性吸収本体21がシール用フィルムの上面に形成された孔16の直前において配置されたことである。図19に係る実施形態においては、吸収本体21は効果的な一方向弁を形成し、万一減圧が何らかの理由によって中断した場合に、また、シール用フィルム内の疎水性材料片1から流体を吸引する。図18及び図19から理解されるように、疎水性コーティング8及び親水性コーティング9はチューブの中においてその場所を変えることができる。
【0077】
このことは、チューブが使用される場合に、コーティングが患者に隣接して位置付けられるということが、チューブの作用にとって重要ではないということを示すために行われてきた。
【0078】
もちろん、このことは図示されたチューブの別の実施形態に対しても適用される。親水性コーティングが一方向弁として作用し、万一減圧が何らかの理由によって中断されたとしても流体が創傷ポケットに戻らないようにすることが望まれる場合には、チューブの一部分、すなわち少なくともシール要フィルムの開口部の少なくとも直前の部分が患者に隣接する親水性コーティングを有することがもちろん大きな利点である。
【0079】
図19に示す実施形態においては、弾性メッシュ30は、例えばシリコーンゲルなどの弾性疎水性ゲルの中に封止されており、創傷に対して直に配置されている。疎水性ゲルは、網細工中にワイヤを封止しており、これらワイヤは全体として網細工によって形成された貫通孔を有している。弾性メッシュ30の好適な例は特許文献12に開示されている。また、この刊行物にはこの目的に好適なシリコーンゲル、すなわち商標Dow Corning Q7−2218のもとでDow Corningによって販売されているゲルが与えられている。
【0080】
図20に示す実施形態は薄く柔らかい疎水性プラスティックフィルム22を組み込んでおり、このフィルムは中央孔23を備えている。プラスティックフィルム22は創傷ポケットを覆うとともにこの創傷ポケットの周りの皮膚の一部を覆うように配置されている。疎水性を有し、薄く柔らかいフィルムは、創傷の端部を保護し、創傷ポケットへの、又創傷ポケットからのガスの漏れに対する確実性を増加させている。大気圧Patmは、創傷ポケット中の減圧Puより高く、創傷の周囲の皮膚をきつく吸引し、シール用フィルム2の接着剤14が何らかの理由で十分に気密で無い場合に良好なシールを提供している。
【0081】
代替的に、プラスティックフィルム22は、不織織物又は発泡剤のような別の材料からなる薄く柔らかい疎水性シートによって置き換えることができる。
【0082】
図21に示すチューブ3の実施形態においては、可撓性のあるプラスティックフィルムからなるダイアフラム弁24の形状の一方向弁がどのようにチューブの内側に嵌合しているかが図的に示されている。前記プラスティックフィルムはチューブの外被材に部分25に沿って接続されており、部分26は外被材に対して自由に動くことができる。したがって、流体は、矢印Sの方向にのみ流れることが可能とされており、輸送はプラスティックフィルムの接着されていない部分26の下において実現されている。逆に、流れが矢印Tの方向にある場合には、部分26がチューブの外被材に対して密閉状態に押圧されているので、矢印Tの方向における流体流れはダイアフラム弁によって妨げられる。
【0083】
図22には、本発明による装置が貫入部材27によって補完されている実施形態が示されている。この貫入部材は、創傷ポケットの上でシール用フィルムに接着剤によって接続されている。この貫入部材は、創傷の洗浄用の洗浄流体の追加、又は創傷治癒刺激剤の追加の必要がある場合に、好都合に離間されてシール用フィルムに固定される。貫入部材はカニューラによるコーティング貫通可能な材料によって構成されており、この材料はカニューラが引き抜かれた際には自己シールする。
【0084】
本発明による装置は上述の実施形態に限定されず、多くの変形態様が添付の請求項の技術範囲の中で可能である。
【0085】
例えば、図19による実施形態においては、メッシュ30は、シリコーンゲルのような弾性疎水性ゲルのコーティングによって置き換えることができる。疎水性発泡材料への適用に関しては、このコーティングは発泡材料の穴の中に少しだけ貫入し、創傷流体が発泡材料の穴の中に流れる孔を形成するように形成することができる。このようなコーティングを有する発泡材料は、特許文献13に開示されている。
【0086】
代替的に、発泡材料は疎水性ゲルの層によってコーティングすることができ、この層は、コーティング後に孔を開けられて創傷流体のための管路を形成する。
【0087】
上述の図示された実施形態においては、有孔の発泡材料は親水性及び疎水性の材料ストランドとして特定されていた。勿論、別の親水性及び疎水性の材料が請求項の技術的範囲内において想到可能である。最も重要な点は、材料ストランドが柔らかく弾性を有することである。
【0088】
例えば、セルロースファイバ、織物ファイバ、熱可塑性ファイバ、又はこれらファイバの混合物のような異なる種類のファイバを使用して、この目的に好適な特性、すなわちチューブの中が減圧状態にあるか又は大気圧にある場合に、疎水性ストランドに対する好適な流体輸送能力及び親水性ストランドの好適な流体保持能力の特性を有する親水性又は疎水性材料ストランドを作り出すことができる。
【0089】
チューブ3の断面は、上述され図示された実施形態にけるように構成する必要は無く、多くの変形態様が想到可能である。例えば、多くの親水性材料ストランドと多くの疎水性材料ストランドとを組み込むことができる。また、チューブは、疎水性シートと、この疎水性シートの頂面上に配置された親水性シートとによって形成することができ、これらシートは親水性コーティングと疎水性コーティングとの多層構造を有するロールに巻かれている。
【0090】
また、本発明は、上述の柔らかいチューブが、例えば収容容器に取り付けられた弁において収集容器に結合される前に既存のシリコーンチューブに合併する形態を備えている。この領域においては、患者の快適性は明らかに、こすれ易い硬いチューブに関するほどには重大ではない。
【符号の説明】
【0091】
1・・・有孔材料片
2・・・シール用フィルム
3・・・チューブ
4・・・固定部材
5・・・減圧源
6・・・電気ポンプ
7・・・手動ポンプ
8・・・第1のストランド
9・・・第2のストランド
10・・・チューブ外被部材
11・・・タブ
12・・・開口部
16・・・孔
21・・・吸収性本体
22・・・疎水性シート
23・・・中央開口部
24・・・ダイヤフラム弁
27・・・有孔隔壁
30・・・メッシュ
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧下において創傷を治療するための装置に関し、この装置は、創傷の周りを密閉するように配置されて創傷を覆うように意図されたシーリングフィルムと、減圧源と、創傷の上であってシーリングフィルムの下の空間を減圧源に接続するように配置されたチューブとを備えている。
【背景技術】
【0002】
細菌に感染した創傷、糖尿病創、褥瘡、又は深手の創傷のような回復が遅い創傷の治療のための多くの方法が従前から知られている。
【0003】
例えば外科創傷又は他の滲出性創傷の減圧による排膿は標準的な治療であり、数十年にわたって使用されてきている。この目的のための手動の吸引ポンプの例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献2は、有孔の発泡材料、好ましくはポリウレタンフォームからなる、弾性的に圧縮可能な本体の形態のポンプを開示しており、この本体は又、創傷から排出された流体のための容器としても作用する。このポンプは、48時間以上にわたって15〜80mmHgの減圧状態を維持する能力を有するとされている。穿孔された排出部は、創傷のポケット部中に配置されることを意図されているとともに、チューブによってポンプに接続されている。同様の装置が特許文献3に開示されており、この明細書には、減圧が創傷流体を排出するだけでなく、一緒に創傷の端部を吸引して組織の増殖と創傷の治癒とを刺激することを特に記述している。したがって、特許文献2及び3は、創傷の真空治療が創傷の治癒を刺激するということを記述している。真空治療、減圧状態における治療、及び負圧下における治療という用語は、文献中において互換的に使用されている。この明細書中においてこれら用語が使用される場合には、通常の大気圧以下の圧力における治療が常に意味されているということが指摘されるべきである。
【0005】
また、重度の創傷は、洗浄流体の供給とそれに続く吸引との組み合わせによって治療されてきた。このような装置の例が特許文献4及び特許文献5に開示されている。
【0006】
負圧下における、すなわち通常の大気圧以下の圧力下における創傷の連続的治療及び間欠的治療の両方の効果の広範な研究がロシアの研究機関において80年代に行われていた。ここでは、回復が遅い創傷が、真空治療によって既存の治療法に比べて実質的に迅速に治癒するということが立証された。また、減圧状態における治療が著しい抗菌効果を生じさせるということが、とりわけ示された。前記ロシアの研究機関の研究は、ロシアの医療雑誌Vestnik Khirurgii中の記事に記載されている。前記雑誌からの記事は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、及び非特許文献4、及び非特許文献5である。
【0007】
非特許文献6のChariker氏他による記事には、真空治療が肉芽組織の増殖と、従来の治療では回復が非常に遅い創傷の縮小とを改善することが記述されている。
【0008】
また、創傷の真空治療が、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8に開示されている。
【0009】
創傷の真空治療を開示している出願の例として、特許文献9及び特許文献10を引用することができる。
【0010】
創傷の真空治療のための既知の装置は、全ての面において満足できるわけではない。基本的な問題は、これら装置は創傷のすぐ前において嵩が高いことであり、このことは、創傷がそのすぐ前にある嵩が高い部分によって望ましくない負荷応力に晒され得る結果となる場合があり、これは患者にとって痛みを伴うものである場合があるとともに、創傷の治癒プロセスを妨害する場合がある、ということである。非常に重要な問題は、創傷ポケットを圧力源に接続している比較的硬いチューブである。このチューブは、扱い難く嵩が高く、摩擦を引き起こし、不運な場合には患者に褥瘡を生じさせる場合もある。患者がどこに創傷を有しているかによっては、圧力源又は創傷に近い中間流体の収容容器を配置することが不可能であって、代わりに、例えば患者の足からちょうど腰の上までなど、比較的長いチューブを使用することが必要である場合も多く、このことは横になっている若しくは座っている患者に摩擦を生じる場合もある。既存のチューブによるさらなる問題は、チューブと創傷の上に配置されたシール用フィルムとの間の接続において満足のいく気密性を達成するのが難しいということである。
【0011】
何らかの理由によって減圧が弱まると、既知の装置においては、チューブと創傷ポケットとの間の接続に逆止弁が無い限り、創傷ポケットから既に吸引されていた浸出液が逆に輸送されて創傷を汚染するという危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3742952号明細書
【特許文献2】米国特許第3572340号明細書
【特許文献3】米国特許第525166号明細書
【特許文献4】米国特許第5385494号明細書
【特許文献5】米国特許第4382441号明細書
【特許文献6】米国特許4969880号明細書
【特許文献7】米国特許5645081号明細書
【特許文献8】米国特許5636643号明細書
【特許文献9】米国特許第6855135号明細書
【特許文献10】国際公開第2006/025848号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2006/075950号パンフレット
【特許文献12】欧州特許第0261167号明細書
【特許文献13】欧州特許第0855921号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kostiuchenok et al, September 1986, pages 18−21
【非特許文献2】Davydov et al, September 1986, pages 66−70
【非特許文献3】Usupov et al, April 1987, pages 42−45
【非特許文献4】Davydov et al, October 1988, pages 48−52. 5
【非特許文献5】Davydov et al, February 1991 , pages 132−135
【非特許文献6】The journal Contemporary Surgery, issue 34, June 1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の結果として、上述の問題は解消された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る装置は、チューブの内側が、疎水性を有し、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第1のストランドを備えること、チューブの内側がその長さの少なくとも一部に亘って、親水性を有し、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第2のストランドを備えること、及びこれら材料ストランドが、可撓性材料からなるチューブ外被部材の中に封入されていること、を特徴としている。
【0016】
この種のチューブは非常に柔らかく、使用者にとって心地よく、本質的に任意の構成に構成することができる。既存のチューブと比較した基本的な利点は、本発明によるチューブは、万一何らかの理由によってシステムの減圧が中断したとしても、吸引された流体を創傷ポケットに戻らせることがないということである。このような場合には、吸引された流体はチューブ中の親水性ストランドによって吸収される。
【0017】
図示された1つの実施形態によれば、本発明は、第1の材料ストランドが疎水性を有する有孔の発泡材料によって構成されていること、及び第2の材料ストランドが親水性の有孔の発泡材料によって構成されていること、を特徴としている。
【0018】
図示された1つの実施形態によれば、本発明は、前記第1及び第2のストランドが重ねられて配置され、長方形の断面を有していることを、さらに特徴としている。
【0019】
1つの実施形態によれば本発明は、減圧源が、創傷から吸引された液体のための流体収容要素としてもまた作用することを意図されており、この目的のために、弾性的に回復力に富む有孔の発泡材料と、一方向弁とを備え、この一方向弁は、前記要素が圧縮された際に、前記要素からの空気の流出を可能にするように配置されている、ことを特徴としている。
【0020】
1つの実施形態によれば本発明は、前記流体収容要素がチューブの折り畳まれた、又は巻かれた一部によって構成されていることを特徴としている。
【0021】
1つの実施形態によれば本発明は、チューブ及び/又は流体収容要素が超吸収性材料を含むことを特徴としている。
【0022】
本発明の1つの実施形態は、チューブ外被部材の一方の端部が、チューブの端部をシール用フィルムの外側に、このフィルムに開けられた所定の孔のすぐ前において固定するための固定部材を備えており、この孔は、装置が使用される際に、創傷の上の空間上に配置されていること、及び前記端部がこの孔との接続のための開口部を有していること、を特徴としている。
【0023】
本発明の1つの実施形態は、前記固定部材がプラスティックフィルムからなるタブを備え、このタブはその周囲に配置された固定手段を備え、この固定手段は、前記形成された孔の周りにおいてシール用フィルムの外側への密閉接続を意図されていることを特徴としている。
【0024】
1つの実施形態によれば、本発明は、装置が疎水性の有孔発泡材料のような疎水性の有孔材料片を備え、この材料片は創傷の形状に構成されるとともに、シール用フィルムの下における創傷に配置されることを意図されていることを特徴としている。
【0025】
1つの実施形態によれば、本発明は活性炭が前記有孔材料片中に配置されていることを特徴としている。
【0026】
疎水性の有孔材料片を備える1つの実施形態によれば、本発明は、親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体を備え、この吸収性本体は創傷の形状に構成されるとともに、シール用フィルムと前記疎水性の有孔材料片との間において創傷に配置されることを意図されていることを特徴としている。この吸収性本体は、追加的な吸収物保存部として作用し、万一何らかの理由によって減圧が中断されたとしても、大量の浸出液を処理することができる。
【0027】
疎水性の有孔材料片を備えるいくらか変形された実施形態によれば、本発明は、装置が、親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性パッドを備え、この吸収性パッドは、シール用フィルムと前記プラスティックタブとの間においてシール用フィルムに形成された孔の上に配置されることを特徴としている。
【0028】
1つの実施形態によれば、本発明は、装置が電気ポンプを組み込んでいることを特徴としている。
【0029】
1つの実施形態によれば、本発明は、このポンプが電池式の圧電ポンプによって構成されていることを特徴としている。
【0030】
1つの実施形態によれば、本発明は、このポンプが前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴としている。
【0031】
図示された形さらなる実施形態によれば、本発明は、装置が手動ポンプを組み込んでいることを特徴としている。
【0032】
1つの実施形態によれば、本発明は、前記手動ポンプが前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴としている。
【0033】
別の1つの実施形態によれば、本発明は、装置が離隔された有孔隔壁(opening diaphragm)を組み込んでおり、この隔壁はシール用フィルムの外側への固定のための固定手段を備えているとともに、創傷の上のシール用フィルムに固定されるように意図されていること、有孔隔壁がカニューレによって貫通可能な材料によって構成されており、この材料はカニューレの除去に続いてシールを自己回復し、よって洗浄流体及び/又は創傷治癒刺激剤を前記開口隔壁を介して添加できること、を特徴としている。
【0034】
さらなる実施形態によれば、本発明は、装置が、例えば不織布、プラスティック、又は発泡材料などからなる、中央開口部を有する薄い疎水性シートを備え、このシートはシール用フィルムの下において創傷の上及び周りに配置されることを意図されていること、及びこの薄いシートは柔らかく、可撓性を有し、大気圧によって患者の創傷の回りの皮膚に密閉接触するように押し付けられるように意図されていること、を特徴としている。
【0035】
1つの実施形態によれば、本発明は、チューブの内側が少なくとも1つのダイヤフラム弁を有し、この弁は創傷から減圧源に向かう方向への流れのみを許容するように配置されていることを特徴としている。創傷ポケットへ戻る漏れに対する追加的な防護がこれによって達成される。
【0036】
1つの実施形態によれば、本発明は、前記疎水性の有効材料片の、使用中に創傷表面に対して配置される側に、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルの有孔コーティングが施されることを特徴としている。
【0037】
幾分変形された1つの実施形態によれば、本発明は、装置が弾性を有するメッシュを組み込んでおり、このメッシュは柔らかく、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルによってコーティングされていること、及びこのメッシュが創傷の大きさに切断され、次いで創傷の表面に配置されることを意図されていること、を特徴としている。
【0038】
1つの実施形態によれば、本発明は、シール用フィルム及びチューブが一体に予備成形されたユニットに形成されていることを特徴としている。1つの実施形態によれば、活性炭がチューブ中に配置されている。
【0039】
別の1つの実施形態によれば、活性炭は流体収容要素中に配置されている。
【0040】
1つの実施形態によれば、前記チューブは、シリコーンチューブによって減圧源に接続されている。
【0041】
本発明は、添付の図面を参照しつつ、より詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による装置の実施形態の図である。
【図2】本発明による装置の一部を形成するチューブの第1の実施形態の側面図である。
【図3】図2におけるIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図2におけるIV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明による装置の一部を形成するシール用フィルムの実施形態の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VIに沿った断面図である。
【図7】関連する固定部材を有する、本発明による装置の一部を形成するチューブの第2の実施形態の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】図7のIX−IXに沿った断面図である。
【図10】図7によるチューブの下面図である。
【図11】関連する固定部材を有する、本発明による装置の一部を形成するチューブの第3の実施形態の平面図である。
【図12】図11のXII−XIIに沿った断面図である。
【図13】本発明によるチューブへの浸出液の通路を示す図である。
【図14】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第1の実施形態の図である。
【図15】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第2の実施形態の図である。
【図16】本発明による装置の一部を形成する流体収容要素の第3の実施形態の図である。
【図17】本発明による装置の一部を形成するチューブの第4の実施形態の図である。
【図18】創傷の適用位置にある、本発明による装置の1つの実施形態の断面図である。
【図19】図18の断面図に対応する、幾分変形された実施形態による装置の断面図である。
【図20】図18及び19の断面図に対応する、チューブの固定前のさらなる実施形態による装置の断面図である。
【図21】本発明による装置の一部を形成するチューブの第5の実施形態の断面図である
【図22】外側に貫通部材を取り付けられたシール用フィルムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1においては、患者はふくらはぎに創傷を追っている。図1に係る装置は、疎水性を有する有孔の発泡材料のような、疎水性を有する有孔材料片1を備えている。この材料片は、創傷の大きさに切断されて創傷ポケットに充填される。シール用フィルム2が創傷の上に密閉状態に配置されて使用者の皮膚に固定される。
【0044】
シール用フィルムの外側のシール用フィルムに形成された孔の上に固定された固定部材4を有するチューブ3が、創傷ポケット中の空間を減圧源5に接続している。また、この減圧源は創傷から吸引された流体のための流体収容要素として作用するように意図されている。減圧源は、弾性的に圧縮可能な構成からなっている。手動の圧縮の際には、空気が一方向弁(図示されず)の形状の排出バルブを通じて外部環境に押し出される。更なる一方向弁(図示されず)がチューブ3に、又はチューブから減圧源への間に固定されている。好適な代替案は、一方向弁を創傷に隣接して配置することである。このことは、チューブ中の滲出流体柱が創傷に向かって逆方向に吸引されるのを妨げる。この代替案においては、流体収容要素へのチューブの接合部に逆止弁を追加的に嵌め込むことが好都合である場合がある。チューブのみ又は流体収容要素のみの交換がこれによって可能になる。この要素は、体液を収集するのに使用される種類の既存のバッグによって構成することができる。前記一方向弁及び前記逆止弁は、創傷ポケットから減圧源への流れのみを可能にする。
【0045】
減圧源の圧縮に続いて、減圧源は膨張することができ、これによって減圧が減圧源および創傷ポケットにおいて生成される。本発明に係る装置は、回復が遅い創傷に適用されることを意図されている。創傷の治療は、連続的又は間欠的減圧によって実現することができる。
【0046】
治療時間は創傷の状況と治療中の治癒プロセスとに依存する。図1に示す実施形態においては、電気ポンプもまた含まれており、この電気ポンプは減圧源を補完するため、及び創傷ポケット中の予め決められた減圧レベルを維持するために設けられている。1つの実施形態においては、ポンプは電池式圧電ポンプ6によって構成することができる。
【0047】
代替的に、ポンプ効果は壁面吸入部によって達成することができ、この壁面吸入部は病院に永久的に取り付けられている。
【0048】
手動ポンプの例はAstra Tech.社のBellovac(登録商標)である。
【0049】
代替的な実施形態によれば、減圧源及び創傷ポケットにおける減圧は電気ポンプによって全面的に生成される。電気ポンプ6は、図1に示すように、減圧源に取り外し自在に接続されている。
【0050】
1つの好都合な実施形態によれば、減圧源5、チューブ3、創傷ポケットを充填する材料片1、及びシール用フィルム2は、使い捨て材料によって構成され、創傷の手当てに関連して廃棄される。図1に示す装置は手動ポンプ7によって補完することができ、この手動ポンプは電気ポンプに対する補完として使用することができる。装置が患者に固定された後、手動ポンプが好都合に使用されて減圧源及び創傷ポケットの中の減圧を迅速に生成し、その後に手動ポンプが取り外されて電気ポンプに置換される。
【0051】
図2〜4には、チューブの第1の実施形態がより詳細に示されている。チューブの内側は、疎水性の有効発泡材料からなる第1のストランド8と親水性の有孔の発泡材料からなる第2のストランド9とから構成されている。示された実施形態においては、チューブ外被部材は柔らかい弾性を有するプラスティックからなる2つのプラスティックフィルムから構成されており、これらプラスティックフィルムは、図3に示すように、チューブの端部に沿って接続されて外被部材を形成し、この外被部材はストランド8、9の周りに延び、その全体が符号10によって示されている。チューブの一端において、プラスティックフィルムは、固定部材4の形成のための拡径部を有している。拡径部の1つのプラスティックタブ11は中央開口部12を有し、この開口部12は、チューブが使用される際に、シール用フィルムに形成された孔のちょうど前に配置されるように意図されている。プラスティックタブの下側には、シール用フィルムに形成された孔の周りにおける、シール用フィルムの外側への接続のための接着剤13を備えている。前記接着剤は好都合にシリコーン接着剤によって構成されており、良好な密閉性を付与するとともに固定部材における漏れを防止する。シリコーン接着剤による1つの利点は、万一、固定部材がシール用フィルム上に間違って終端したとしても、固定部材を容易に取り外し、シール用フィルムに再度取り付けることができるということである。
【0052】
代替的に、アクリレートのような他の感圧接着剤を使用することができる。
【0053】
記載された種類のチューブは柔らかく、かつ曲げやすく、細い構成とすることができる。柔らかいチューブは患者にとって快適であり、負荷応力が上昇した場合においても患者の皮膚に擦過傷を生じさせない。チューブは、例えば、強度を増すため、及び/又は快適さを高めるために、必要に応じてストッキングのような外被部材の中に封入することができる。
【0054】
チューブ及び場合によっては収集容器もまた、チューブ及び収集容器を使用者の皮膚に固定するために、その外側にシリコーンのような接着剤を備えることができる。吸引本体又はその種のもののような別のタイプの固定部材がもちろん想到可能である。
【0055】
チューブが疎水性のストランドと親水性のストランドとの両方を含むことが必要不可欠である。疎水性のストランド8は、創傷から排出された流体を収集するために、創傷ポケットから容器5へ流体を迅速に輸送できることを意図されている。親水性のストランド9は、流体を吸収することを意図されている。これは、万一何らかの理由によって減圧が中断された場合に特に重要である。親水性のストランドは、チューブの中の流体を吸収し、この流体が創傷ポケットへ逆流するのを防止し、創傷ポケットを汚染しないようにする。圧縮された状態、例えば負圧下においては、親水性のストランドは少なくとも約5g/gの吸収能を有し、一方、大気圧においては少なくとも約20g/gの吸収能を有している。
【0056】
疎水性という用語が、疎水性のストランドに対する接触角が少なくとも90度でなければならないということ、すなわち疎水性と親水性との境界がこの接触角の大きさであるということを意味する必要は無い。重要なのは、創傷流体を疎水性のストランド中において容易に輸送することができ、親水性のストランドが疎水性のストランドから流体を吸収する能力を有しているということである。
【0057】
チューブの前記第2のストランドとしての使用のための好適な親水性の発泡材料の例は、0.10〜1.25mm、好ましくは0.25〜0.75mmの、例えば0.50mmの直径の空孔サイズを有するPURフォームである。この種のポリウレタンフォームは、例えば、米国マサチューセッツ州レキシントンにあるHampshire Chemical CorporationのHypol(登録商標)である。ビスコースフォーム、親水化されたシリコーンフォーム等のような他の吸収性発泡材料も、チューブの親水性発泡材料として使用可能である。
【0058】
チューブの前記第1のストランドとしての使用のための疎水性の発泡材料の例は、0.10〜2.00mm、好ましくは0.50〜1.25mmの、例えば1.0mmの直径の空孔サイズを有する、例えばRecitelからの疎水性PURフォームである。また、疎水性発泡材料は発泡材料によって構成することができ、この材料は、最初は親水性を有しており、シリコーンのような疎水性成分に浸漬されて、疎水性の特性を与えられる。
【0059】
シール用フィルム2は、薄く、柔軟で、かつ可撓性を有するプラスティックフィルムによって構成され、このフィルムを使用者の創傷の周りの皮膚に固定するために、好都合にはシリコーンの接着剤14によってコーティングされている。皮膚とプラスティックフィルムとの間の漏れに対する良好な密閉の特性を達成するためのシリコーン接着剤に対する好適な特性は、特許文献11に記載されている。好適なシリコーン接着剤の例は、Wackerの#SR45554である。
【0060】
フィルムは、その取り扱いを容易にするために、補強端部15を設けられ、この補強端部は、創傷の周りへのシール用フィルムの固定に関連して引き剥がされる。図5には、フィルムに形成された孔16が示されており、この孔は、フィルムが使用される際に創傷の上、例えば創傷の上の中央部に配置される。孔は必ずしも創傷の真上である必要は無い。創傷が部分的に孔によってオーバーラップされて、創傷からの浸出液が吸引されて除去されれば十分である。
【0061】
図7〜10に係る実施形態においては、図2〜4に係る実施形態における同様の部分に対応する構成要素は同一の参照符号をふられている。固定部材4において、疎水性コーティング及び親水性コーティングの両方は拡幅された楕円形状部8’、9’をそれぞれ有している。チューブの細長い部分は、その自由端に排出弁(図示されず)を備えている。チューブの疎水性発泡材料及び親水性発泡材料は、ともに拡幅部分及び細長部分にあり、圧縮可能かつ弾性的に回復自在な構成である。ここに示されている図示された実施形態においては、チューブは、チューブと流体収容容器として作用することを意図されているとともに、減圧の生成のためのポンプとして作用することも意図されている。
【0062】
固定部材において、外被部材は可撓性を有する柔らかいプラスティックフィルム11’を備え、図7〜10から理解することができるように、発泡材料より大きな範囲を有している。このプラスティックフィルムは下側を接着剤13’、好都合には、上述のWackerからの接着剤のようなシリコーンからなる接着剤によってコーティングされている。プラスティックフィルムは中央開口部12を備え、この中央開口部の周りには多数の小穴12’が設けられている。これら小穴は、万一固定部材の開口部が誤って形成された孔16の直前にて終端した場合でも、流体が下層のシール用フィルム2に形成された孔16から流れることを可能にするように配置されている。また、チューブ中の減圧の作用の結果、小穴12’はプラスティックフィルムを下層のシール用フィルム2に対して、シール構造を形成するようにきつく吸引させる。
【0063】
図7〜10に示す図示された実施形態は、その使用に関して非常に柔軟である。これは、図5に示す種類の個別のシール用フィルムとの組み合わせによって、また電気ポンプとの組み合わせによって使用することができる。代替的に、プラスティックフィルム11’がシール用フィルムとして作用することができ、図7〜10による装置は、場合によっては創傷ポケットに配置された疎水性の発泡材料から成る材料片との組み合わせによって、回復が遅く、湿潤性の小さい創傷の減圧治療のための完全なユニットとして作用することができる。また、図7〜10に係る装置は、上述した種の電池式の電気ポンプを組み込むことができる。代替的には、手動のべローズポンプ又は壁取り付け式吸引装置からの減圧を使用することができる。図8及び図9から理解できるように、チューブの拡幅された部分中の親水性コーティング9’は、開口部12に隣接して配置されている。このことの1つの利点は、万一減圧が何らかの理由によって中断した場合に、親水性材料中に吸収された滲出物が、この親水性コーティング中に保持され、よって、創傷ポケットの既に吸引された流体による汚染が防止されるということである。開口部に隣接した親水性コーティングは、原則的には一方向弁としての役目を果たす。流体は、チューブの中が減圧状態である場合には、この開口部を通じて前方へ疎水性コーティングへと流れることができる。反対に、親水性コーティング中の流体は、創傷ポケット中の疎水性発泡材料へ戻ることは無い。
【0064】
図11及び図12に示す実施形態は全ての観点において原則的には図7〜10に係る実施形態のように機能し、よって、動作は詳細には記載されない。図11及び図12に係る実施形態においては、図7〜10に係る実施形態における同様の部品に対応する構成要素は同一の参照符号を備えている。本質的な違いは、固定部材におけるチューブの拡幅部分の構成である。図11から最もよく理解できるように、固定部材上において多孔性発泡材料のコーティングは、患者の曲線状の体表面、例えば間接部への固定部材の固定を容易にする形状をとっている。
【0065】
図13には、本発明による装置の一部分を形成する発泡材料のチューブの変形態様が示されている。図13においては、創傷ポケットからの創傷滲出物の流体収容部として作用するチューブへの経路が、矢印によって示されている。チューブの固定部材4においては、チューブの内側は疎水性の発泡材料8のみを組み込んでおり、一方でその他のチューブは疎水性コーティング8及び親水性コーティング9を有している。図に示されているように、ポンプ6は流体収容部として作用するチューブに接続することができる。滲出物は疎水性コーティング8を通じて迅速に輸送されて、親水性コーティング9によって徐々に吸引される。親水性コーティングは疎水性コーティングに比べ流体輸送能力に劣るが、流体を吸収し保持する能力を有している。親水性コーティングは疎水性コーティングより高い流体との相性を有し、親水性コーティング中に吸収された流体は疎水性コーティングに戻ることは無い。万一減圧が何らかの理由で中断した場合には、親水性コーティング中に吸収された流体は保持される。また、疎水性コーティングに比べてその高い流体との相性の結果として、親水性コーティングは、減圧が中断した場合に、疎水性コーティングから流体を吸収し続ける。また、親水性コーティングが創傷流体を吸収する能力を有するという事実とは別に、親水性コーティングは一方向バルブとして作用し、疎水性コーティング中の創傷流体が創傷ポケットへ逆輸送されるのを防止している。このことは、患者の脚の下部領域及び足の創傷においては特に重要であり、この創傷のタイプは糖尿病を患っている患者に共通している。このような創傷においては、流体の収容部として作用する部分は、患者が立っている場合又は座っている場合には患者の高い位置に配置されており、疎水性コーティングの流体柱に蓄積された流体には、親水性コーティングの存在無しに、創傷流体を創傷ポケットに戻るように駆動する場合のある圧力がかかる。吸収性の親水性発泡材料コーティングの吸収力は、このコーティング中に例えばCMCの粒子などの高度に吸収性を有する物質を配置することによって実質的に高めることができる。膨張するとともに親水性コーティング材料中の孔から流体を吸引する、長期間に亘ってチューブ中の減圧を維持させる高度に吸収性を有する粒子の能力は、補助的な電気ポンプが装置の一部を形成しないか、又は一体のポンプが万一何らかの理由によって機能を中断した場合に、不可欠である。
【0066】
好適な高度に吸収性を有する材料の例は、Technical Absorbentsによって生産されている商標Oasis 505の粉体である。
【0067】
本発明に係る装置の一部分を形成するチューブは、流体の迅速な輸送のためにチューブの全長に沿って疎水性コーティングを好都合に有している。反対に、親水性コーティングは、チューブの一部のみに沿って、又は1つ以上の別々の部分に沿って配置することができる。
【0068】
図1に示すように、装置は別個の流体収容部を組み込むことができ、この流体収容部にチューブが接続されている。図14及び図15には2つの実施形態が示され、これら実施形態においては流体収容部が、チューブ3の長い部分が巻き上げられるか又は畳まれることによって形成されている。チューブの端部は排出弁3’を備えている。巻かれるか又は畳まれた部分は、弾性外被部材50中に封止されている。また、巻かれるか又は畳まれた部分によって形成された収容部は、圧力源としても作用している。収容部は手動で圧縮され、封止されていた空気は排出弁を通じてポンプで排気される。チューブ中の弾性的に圧縮可能な発泡材料が続いて膨張する際に、収容部はその本来の形状に復帰し、減圧がチューブ中に生成される。
【0069】
図14及び図15に係る実施形態は、必要に応じて、すなわち患者の傷の場所がどこか、及びどこに流体収容容器を配置するのが適切かによって、任意のチューブ長さを延ばすことができるように配置することができる。チューブには、CMCのような吸収すると膨張する高度に吸収性を有する材料を好都合に配置することができる。この材料はチューブの全体に沿って配置するか、又は1つ以上の部分に沿って配置することができる。好都合には、高度に吸収性を有する材料の濃度は、流体収容部の、巻かれているか又は畳まれたチューブの端部に向かって高くすることができる。チューブの端部という用語は、排出弁3’が配置されている端部を意味している。チューブの端部における高度に吸収性の材料、すなわちいわゆる超吸収性材料の高い濃度は、チューブ中の流体の輸送を容易にするため、及びチューブの吸収性の、チューブの全長に沿った最適な使用のために好適である場合がある。
【0070】
図16においては、減圧源として作用する流体収容部の変形態を示している。チューブ3は収容部5に、この収容部の外被部材50の開口部51を介して接続されている。収容部中の流体吸収材料は、有孔発泡材料の多くの別々の層によって構成され、隣接する層同士は干渉プラスティックフィルムによって離間されており、この干渉プラスティックフィルムは、チューブ3から排出弁52に向かう方向への層から層への流体の透過のための開口部を備えている。図16においては、収容部を通じた流体の輸送の経路が矢印によって示されている。したがって、図16による、互いに重ねられて配置された、収容部における発泡材料の複数の層は、図15に示す畳まれたチューブと本質的に同様の機能を果たしている。好都合には、層それぞれは疎水性の発泡材料の長手方向のコーティングを有し、全ての層を通じた排出弁の方向への効果的な流体の輸送を可能とし、すなわちこれによって全ての層の吸収能力が使用される。また、前記複数の層は、その少なくとも一部に親水性の発泡材料のコーティングを組み込んでいる。したがって、発泡材料のコーティングは、流体の輸送及び流体の吸収に関して本質的にチューブ3のように機能する。また、これら複数の層は、高度に吸収性の材料を組み込んでいる。排出弁に隣接している層における、高度に吸収性を有する材料、いわゆる超吸収性材料の高い濃度は、これら複数の層を通じた流体の輸送を容易化するため、及び全ての層の吸収能力の最適な使用のために好適である場合がある。
【0071】
図17はチューブ3の代替的な態様を示している。チューブは、楕円形状又は円形状を有し、開繊された疎水性の発泡材料の中央ストランド8と、環状の断面からなるとともに有効な親水性発泡材料から成る外側コーティングとを備えている。この図に係るチューブは、例えば可撓性を有するプラスティックフィルムの形状の液密な外被部材を備えている。
【0072】
図18に示す実施形態は、創傷ポケット20に配置されているとともに疎水性の有孔の発泡材料、例えばポリウレタンフォームからなる材料片1を組み込んでいる。この材料片は創傷の形状に切断される。この形態は、損傷のポケットに配置されているとともに親水性で有孔の発泡材料から成る吸収性本体21をさらに組み込んでいる。図5及び図6に関連して記述された種類のシール用フィルム2は、創傷の直前に形成された孔16を有して、好都合にはシリコーン等の接着剤14によって創傷の上に配置され、よって患者の皮膚に対して創傷の周りを緊密に密閉している。チューブ3の固定部材4は、形成された孔の周りでシール用フィルムの外側に対して密閉状態に配置されている。固定部材4及び関連するチューブは、図2〜4に係る実施形態に関連して上述された種類からなる。減圧のさらなる効能は、創傷の周りにある皮膚もまた減圧から利益を得るということである。浮腫、汗などは、減圧によって吸引される。
【0073】
本発明に係る装置のチューブ形成部分の基本的な利点は、創傷部分の周りに形成される突出部分を有することなく、シール用フィルムの外側の上面側に容易に接続できることである。固定部材4の固定表面が滑らかであることによって、また図18に示すようにシール用フィルム2の滑らかな表面に固定が行われることによって、チューブとシール用フィルムとの間の非常に良好な接続が容易に得られ、気体又は流体の漏れの危険が排除される。シリコーン接着剤の使用は、漏れ耐性をさらに向上させる。この目的に対して好適なシリコーンの例創傷の真空治療のために従来使用されている装置において、基本的な問題は、シール用フィルムの下の創傷ポケット中の空間に既存のチューブを接続することであった。これら既存の装置においては、チューブはまず創傷ポケット中の吸収本体に接続され、その後にチューブの一部分の上にシール用フィルムを配置することによってシールを形成することが試みられていた。したがって、チューブの回りに固定し、密閉することは厄介であって時間がかかり、漏れを避けるためには相当な正確さが必要であった。
【0074】
材料片1は事実上創傷ポケットを充填することを意図されている。発泡材料片1が疎水性を有し、よって創傷の表面からの滲出物が発泡材料片の上及び中に残存せず、代わりに輸送されて除去されることは非常に大きな利点である。親水性を有する吸収本体21は、創傷ポケット中、かつシール用フィルムに形成された孔の下の疎水性材料片1の上面に配置される。減圧が実施されている際には、滲出物は創傷から疎水性材料片1及び親水性吸収本体の両方を介して流体収容要素へ輸送される。減圧が何らかの理由によって中断された場合には、親水性吸収本体は障壁として作用し、既に吸引された滲出物が輸送されて創傷へ戻るのを防止する。したがって、親水性吸収本体は一方向弁として作用する。減圧が中断した場合には、親水性吸収本体は、親水性吸収本体が流体によって飽和するちょうどそのときまで疎水性材料片から流体をさらに吸引し続ける。
【0075】
疎水性材料片及び/又は親水性吸収本体には、創傷中において生成される場合のある悪臭の除去のために活性炭を配置することができる。代替的に、活性炭はチューブ及び/又は創傷流体の収集のための容器の中に配置することができる。
【0076】
図19に示す実施形態は、流体の吸収及び輸送に関して図18に係る実施形態と概ね同様に機能する。1つの相違点は親水性吸収本体21がシール用フィルムの上面に形成された孔16の直前において配置されたことである。図19に係る実施形態においては、吸収本体21は効果的な一方向弁を形成し、万一減圧が何らかの理由によって中断した場合に、また、シール用フィルム内の疎水性材料片1から流体を吸引する。図18及び図19から理解されるように、疎水性コーティング8及び親水性コーティング9はチューブの中においてその場所を変えることができる。
【0077】
このことは、チューブが使用される場合に、コーティングが患者に隣接して位置付けられるということが、チューブの作用にとって重要ではないということを示すために行われてきた。
【0078】
もちろん、このことは図示されたチューブの別の実施形態に対しても適用される。親水性コーティングが一方向弁として作用し、万一減圧が何らかの理由によって中断されたとしても流体が創傷ポケットに戻らないようにすることが望まれる場合には、チューブの一部分、すなわち少なくともシール要フィルムの開口部の少なくとも直前の部分が患者に隣接する親水性コーティングを有することがもちろん大きな利点である。
【0079】
図19に示す実施形態においては、弾性メッシュ30は、例えばシリコーンゲルなどの弾性疎水性ゲルの中に封止されており、創傷に対して直に配置されている。疎水性ゲルは、網細工中にワイヤを封止しており、これらワイヤは全体として網細工によって形成された貫通孔を有している。弾性メッシュ30の好適な例は特許文献12に開示されている。また、この刊行物にはこの目的に好適なシリコーンゲル、すなわち商標Dow Corning Q7−2218のもとでDow Corningによって販売されているゲルが与えられている。
【0080】
図20に示す実施形態は薄く柔らかい疎水性プラスティックフィルム22を組み込んでおり、このフィルムは中央孔23を備えている。プラスティックフィルム22は創傷ポケットを覆うとともにこの創傷ポケットの周りの皮膚の一部を覆うように配置されている。疎水性を有し、薄く柔らかいフィルムは、創傷の端部を保護し、創傷ポケットへの、又創傷ポケットからのガスの漏れに対する確実性を増加させている。大気圧Patmは、創傷ポケット中の減圧Puより高く、創傷の周囲の皮膚をきつく吸引し、シール用フィルム2の接着剤14が何らかの理由で十分に気密で無い場合に良好なシールを提供している。
【0081】
代替的に、プラスティックフィルム22は、不織織物又は発泡剤のような別の材料からなる薄く柔らかい疎水性シートによって置き換えることができる。
【0082】
図21に示すチューブ3の実施形態においては、可撓性のあるプラスティックフィルムからなるダイアフラム弁24の形状の一方向弁がどのようにチューブの内側に嵌合しているかが図的に示されている。前記プラスティックフィルムはチューブの外被材に部分25に沿って接続されており、部分26は外被材に対して自由に動くことができる。したがって、流体は、矢印Sの方向にのみ流れることが可能とされており、輸送はプラスティックフィルムの接着されていない部分26の下において実現されている。逆に、流れが矢印Tの方向にある場合には、部分26がチューブの外被材に対して密閉状態に押圧されているので、矢印Tの方向における流体流れはダイアフラム弁によって妨げられる。
【0083】
図22には、本発明による装置が貫入部材27によって補完されている実施形態が示されている。この貫入部材は、創傷ポケットの上でシール用フィルムに接着剤によって接続されている。この貫入部材は、創傷の洗浄用の洗浄流体の追加、又は創傷治癒刺激剤の追加の必要がある場合に、好都合に離間されてシール用フィルムに固定される。貫入部材はカニューラによるコーティング貫通可能な材料によって構成されており、この材料はカニューラが引き抜かれた際には自己シールする。
【0084】
本発明による装置は上述の実施形態に限定されず、多くの変形態様が添付の請求項の技術範囲の中で可能である。
【0085】
例えば、図19による実施形態においては、メッシュ30は、シリコーンゲルのような弾性疎水性ゲルのコーティングによって置き換えることができる。疎水性発泡材料への適用に関しては、このコーティングは発泡材料の穴の中に少しだけ貫入し、創傷流体が発泡材料の穴の中に流れる孔を形成するように形成することができる。このようなコーティングを有する発泡材料は、特許文献13に開示されている。
【0086】
代替的に、発泡材料は疎水性ゲルの層によってコーティングすることができ、この層は、コーティング後に孔を開けられて創傷流体のための管路を形成する。
【0087】
上述の図示された実施形態においては、有孔の発泡材料は親水性及び疎水性の材料ストランドとして特定されていた。勿論、別の親水性及び疎水性の材料が請求項の技術的範囲内において想到可能である。最も重要な点は、材料ストランドが柔らかく弾性を有することである。
【0088】
例えば、セルロースファイバ、織物ファイバ、熱可塑性ファイバ、又はこれらファイバの混合物のような異なる種類のファイバを使用して、この目的に好適な特性、すなわちチューブの中が減圧状態にあるか又は大気圧にある場合に、疎水性ストランドに対する好適な流体輸送能力及び親水性ストランドの好適な流体保持能力の特性を有する親水性又は疎水性材料ストランドを作り出すことができる。
【0089】
チューブ3の断面は、上述され図示された実施形態にけるように構成する必要は無く、多くの変形態様が想到可能である。例えば、多くの親水性材料ストランドと多くの疎水性材料ストランドとを組み込むことができる。また、チューブは、疎水性シートと、この疎水性シートの頂面上に配置された親水性シートとによって形成することができ、これらシートは親水性コーティングと疎水性コーティングとの多層構造を有するロールに巻かれている。
【0090】
また、本発明は、上述の柔らかいチューブが、例えば収容容器に取り付けられた弁において収集容器に結合される前に既存のシリコーンチューブに合併する形態を備えている。この領域においては、患者の快適性は明らかに、こすれ易い硬いチューブに関するほどには重大ではない。
【符号の説明】
【0091】
1・・・有孔材料片
2・・・シール用フィルム
3・・・チューブ
4・・・固定部材
5・・・減圧源
6・・・電気ポンプ
7・・・手動ポンプ
8・・・第1のストランド
9・・・第2のストランド
10・・・チューブ外被部材
11・・・タブ
12・・・開口部
16・・・孔
21・・・吸収性本体
22・・・疎水性シート
23・・・中央開口部
24・・・ダイヤフラム弁
27・・・有孔隔壁
30・・・メッシュ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の周りに密閉状態に配置されるとともに前記創傷を覆うことを意図されたシール用フィルム(2)と、
減圧源(5)と、
前記創傷の上であって前記シール用フィルムの下の空間を前記減圧源に接続するように構成されたチューブ(3)と、
を備える減圧によって創傷を治療するための装置であって、
前記チューブの内側が、少なくとも前記チューブの長さの1部に亘って疎水性を有する、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第1のストランド(8)を備え、前記チューブの内側が前記チューブの長さの少なくとも一部に亘って、親水性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第2のストランド(9)を有し、前記第1及び第2の材料ストランドが、可撓性材料からなるチューブ外被部材(10)の中に封入されていることを特徴とする、減圧によって創傷を治療するための装置。
【請求項2】
前記第1の材料ストランド(8)は、疎水性を有する有孔の発泡材料によって構成され、前記第2の材料ストランド(9)は、親水性の有孔の発泡材料によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のストランド(8、9)は、重ねられて配置されているとともに、長方形の断面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記減圧源(5)は、前記創傷から吸引された流体のための流体収容要素としてもまた作用することを意図されており、この目的のために、弾性的に回復力に富む有孔の発泡材料と、一方向弁とを備え、該一方向弁は、前記要素が圧縮された際に、前記要素からの空気の流出を可能にするように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記流体収容要素は、前記チューブ(3)の折り畳まれた、又は巻かれた部分によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記チューブ(3)及び/又は前記流体収容要素は、超吸収性材料を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
チューブ外被部材(10)の一方の端部は、前記チューブの端部をシール用フィルム(2)の外側に、前記シール用フィルムに開けられた所定の孔(16)の直前において固定するための固定部材(4)を備え、前記孔は、前記装置が使用される場合に、前記創傷の上の空間上に配置され、前記端部は前記孔(16)との接続のための開口部(12)を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記固定部材は、プラスティックフィルムからなるタブを備え、該タブは周囲に配置された固定手段を備え、この固定手段は、前記形成された孔の周りにおいて前記シール用フィルムの外側への密閉接続を意図されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、疎水性の有孔発泡材料のような疎水性の有孔材料片(1)を備え、該材料片は前記創傷の形状に構成されるとともに、前記シール用フィルム(2)の下において前記創傷に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
活性炭が前記有孔材料片(1)中に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体(21)を備え、該吸収性本体は前記創傷の形状に構成されるとともに、前記シール用フィルム(2)と前記疎水性の有孔材料片(1)との間において前記創傷に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体(21)を備え、該吸収性本体(21)は、前記シール用フィルム(2)と前記プラスティックタブ(11)との間において前記シール用フィルム(2)に形成された孔の上に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項13】
電気ポンプ(6)を組み込んでいることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ポンプ(6)が電池式の圧電ポンプによって構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプ(6)は、前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
手動ポンプ(7)を組み込んでいることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記手動ポンプは、前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は別個の有孔隔壁(27)を組み込んでおり、該有孔隔壁は前記シール用フィルム(2)の外側への固定のための固定手段を備えているとともに、前記創傷の上の前記シール用フィルムに固定されるように意図されており、前記有孔隔壁は、カニューレによって貫通可能な材料によって構成され、該材料はカニューレの除去に続いてシールを自己回復し、よって洗浄流体及び/又は創傷治癒刺激剤を前記開口隔壁を介して添加できることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、例えば不織布、プラスティック、又は発泡材料などからなる、中央開口部(23)を備えた薄い疎水性シート(22)を備え、該シートは、前記シール用フィルム(2)の下において前記創傷の上及び周りに配置されることを意図されており、前記薄いシート(22)は柔らかく、可撓性を有し、大気圧によって患者の前記創傷の回りの皮膚に密閉接触するように押し付けられるように意図されていることを特徴とする請求項1〜18に記載のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記チューブ(3)の内側は、少なくとも1つのダイヤフラム弁(24)を有し、該弁は前記創傷から離間して前記減圧源に向かう方向への流れのみを許容するように配置されていることを特徴とする請求項1〜19に記載の装置。
【請求項21】
前記疎水性の有効材料片(1)は、使用中に前記創傷表面に対して配置される側に、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルの有孔コーティングがコーティングされていることを特徴とする請求項9〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は、弾性を有するメッシュ(30)を組み込んでおり、該メッシュはシリコーンゲルのような柔らかく、弾性を有する疎水性ゲルによってコーティングされ、前記メッシュは前記創傷の大きさに切断され、次いで前記創傷表面に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記シール用フィルム(2)及び前記チューブ(3)は一体に予備成形されたユニットに形成されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
活性炭が前記流体収容要素中に配置されていることを特徴とする請求項4〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記チューブ(3)は、シリコーンチューブによって減圧源に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
創傷の周りに密閉状態に配置されるとともに前記創傷を覆うことを意図されたシール用フィルム(2)と、
減圧源(5)と、
前記創傷の上であって前記シール用フィルムの下の空間を前記減圧源に接続するように構成されたチューブ(3)と、
を備える減圧によって創傷を治療するための装置であって、
前記チューブの内側が、少なくとも前記チューブの長さの1部に亘って疎水性を有する、柔らかい、弾性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第1のストランド(8)を備え、前記チューブの内側が前記チューブの長さの少なくとも一部に亘って、親水性を有する材料からなる、少なくとも1つの長手方向の第2のストランド(9)を有し、前記第1及び第2の材料ストランドが、可撓性材料からなるチューブ外被部材(10)の中に封入されていることを特徴とする、減圧によって創傷を治療するための装置。
【請求項2】
前記第1の材料ストランド(8)は、疎水性を有する有孔の発泡材料によって構成され、前記第2の材料ストランド(9)は、親水性の有孔の発泡材料によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のストランド(8、9)は、重ねられて配置されているとともに、長方形の断面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記減圧源(5)は、前記創傷から吸引された流体のための流体収容要素としてもまた作用することを意図されており、この目的のために、弾性的に回復力に富む有孔の発泡材料と、一方向弁とを備え、該一方向弁は、前記要素が圧縮された際に、前記要素からの空気の流出を可能にするように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記流体収容要素は、前記チューブ(3)の折り畳まれた、又は巻かれた部分によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記チューブ(3)及び/又は前記流体収容要素は、超吸収性材料を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
チューブ外被部材(10)の一方の端部は、前記チューブの端部をシール用フィルム(2)の外側に、前記シール用フィルムに開けられた所定の孔(16)の直前において固定するための固定部材(4)を備え、前記孔は、前記装置が使用される場合に、前記創傷の上の空間上に配置され、前記端部は前記孔(16)との接続のための開口部(12)を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記固定部材は、プラスティックフィルムからなるタブを備え、該タブは周囲に配置された固定手段を備え、この固定手段は、前記形成された孔の周りにおいて前記シール用フィルムの外側への密閉接続を意図されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、疎水性の有孔発泡材料のような疎水性の有孔材料片(1)を備え、該材料片は前記創傷の形状に構成されるとともに、前記シール用フィルム(2)の下において前記創傷に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
活性炭が前記有孔材料片(1)中に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体(21)を備え、該吸収性本体は前記創傷の形状に構成されるとともに、前記シール用フィルム(2)と前記疎水性の有孔材料片(1)との間において前記創傷に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
親水性の有孔発泡材料のような親水性の有孔材料からなる吸収性本体(21)を備え、該吸収性本体(21)は、前記シール用フィルム(2)と前記プラスティックタブ(11)との間において前記シール用フィルム(2)に形成された孔の上に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項13】
電気ポンプ(6)を組み込んでいることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ポンプ(6)が電池式の圧電ポンプによって構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプ(6)は、前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
手動ポンプ(7)を組み込んでいることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記手動ポンプは、前記流体吸収要素に取り外し自在に接続できるように配置されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は別個の有孔隔壁(27)を組み込んでおり、該有孔隔壁は前記シール用フィルム(2)の外側への固定のための固定手段を備えているとともに、前記創傷の上の前記シール用フィルムに固定されるように意図されており、前記有孔隔壁は、カニューレによって貫通可能な材料によって構成され、該材料はカニューレの除去に続いてシールを自己回復し、よって洗浄流体及び/又は創傷治癒刺激剤を前記開口隔壁を介して添加できることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、例えば不織布、プラスティック、又は発泡材料などからなる、中央開口部(23)を備えた薄い疎水性シート(22)を備え、該シートは、前記シール用フィルム(2)の下において前記創傷の上及び周りに配置されることを意図されており、前記薄いシート(22)は柔らかく、可撓性を有し、大気圧によって患者の前記創傷の回りの皮膚に密閉接触するように押し付けられるように意図されていることを特徴とする請求項1〜18に記載のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記チューブ(3)の内側は、少なくとも1つのダイヤフラム弁(24)を有し、該弁は前記創傷から離間して前記減圧源に向かう方向への流れのみを許容するように配置されていることを特徴とする請求項1〜19に記載の装置。
【請求項21】
前記疎水性の有効材料片(1)は、使用中に前記創傷表面に対して配置される側に、シリコーンゲルのような弾性を有する疎水性ゲルの有孔コーティングがコーティングされていることを特徴とする請求項9〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は、弾性を有するメッシュ(30)を組み込んでおり、該メッシュはシリコーンゲルのような柔らかく、弾性を有する疎水性ゲルによってコーティングされ、前記メッシュは前記創傷の大きさに切断され、次いで前記創傷表面に配置されることを意図されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記シール用フィルム(2)及び前記チューブ(3)は一体に予備成形されたユニットに形成されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
活性炭が前記流体収容要素中に配置されていることを特徴とする請求項4〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記チューブ(3)は、シリコーンチューブによって減圧源に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2010−531200(P2010−531200A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514694(P2010−514694)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050749
【国際公開番号】WO2009/002260
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(507226709)メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050749
【国際公開番号】WO2009/002260
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(507226709)メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー (30)
【Fターム(参考)】
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