説明

渦流探傷装置

【課題】導体の周方向における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる渦流探傷装置を提供する。
【解決手段】渦流探傷装置は、検査対象である導体(200)の搬送路(250)に沿って同軸に且つ離間して配置された一対の検出コイル(L1A,L2A〜L1D,L2D)と、一対の検出コイル(L1A,L2A〜L1D,L2D)の各検出コイルによりブリッジの二辺が構成され、ブリッジの平衡が崩れたか否かを示す検出信号を出力する交流ブリッジ回路を含む検出部と、を備え、一対の検出コイル(L1A,L2A〜L1D,L2D)は、当該一対の検出コイルの搬送路(250)側を向く面における周方向の一部に配置される電磁遮蔽体(51〜54)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦流探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導体表面の欠陥を検査するために渦流探傷装置が用いられている。この渦流探傷装置は、例えば、一対の検出コイルをブリッジ接続した交流ブリッジ回路に交流信号を供給し、検出コイルと検査対象とを相対的に移動させて検査するものである。そして、渦流探傷装置は、検査対象である導体表面の傷等の欠陥が検出コイルを通過した場合、導体内に生じる渦電流が変化して一対の検出コイルの各検出コイルのインダクタンスに差が生じることにより欠陥を検出する。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2882856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、導体の周方向における欠陥の位置または長さを検出することが望まれている。
しかしながら、従来の渦流探傷装置においては、検出コイルと検査対象である導体とを相対的に移動させる搬送方向における欠陥の位置または長さについては検出できたが、導体の周方向における欠陥の位置または長さについては検出できなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、導体の周方向における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる渦流探傷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明は、検査対象である導体の搬送路に沿って同軸に且つ離間して配置された一対の検出コイルと、前記一対の検出コイルの各検出コイルによりブリッジの二辺が構成され、前記ブリッジの平衡が崩れたか否かを示す検出信号を出力する交流ブリッジ回路を含む検出部と、を備え、前記一対の検出コイルは、当該一対の検出コイルの前記搬送路側を向く面における周方向の一部に配置される電磁遮蔽体を有することを特徴とする渦流探傷装置である。
【0007】
また、本発明の渦流探傷装置は、前記検出部において、複数の前記交流ブリッジ回路、を備え、複数の前記交流ブリッジ回路は、搬送路方向の異なる位置に配置され、複数の前記交流ブリッジ回路それぞれの一対の検出コイルが有する前記電磁遮蔽体は、互いに周方向の異なる位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の渦流探傷装置は、前記検出部において、複数の前記交流ブリッジ回路それぞれの一対の検出コイルが有する前記電磁遮蔽体は、前記搬送路側を向く面の全周にわたって互いに周方向の異なる位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の渦流探傷装置は、前記検出部において、前記交流ブリッジ回路から出力された前記検出信号と、前記電磁遮蔽体が配置されている周方向の位置とに基づいて、前記検査対象の周方向における前記欠陥の位置を検出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の渦流探傷装置は、前記検出部において、前記交流ブリッジ回路から出力された前記検出信号と、前記電磁遮蔽体が配置されている周方向の位置とに基づいて、前記検査対象の周方向における前記欠陥の長さを検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の渦流探傷装置において、前記一対の検出コイルの各検出コイルには、互いに異なる位相の交流電流が供給されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の渦流探傷装置は、前記検出部において、前記一対の検出コイルである第1の検出コイルと第2の検出コイルとにより前記ブリッジの二辺が構成される前記交流ブリッジ回路に対して所定の周波数の交流電流を供給する電源部と、前記電源部から前記交流ブリッジ回路に供給された交流電流に対して、前記第2の検出コイルに供給する交流電流の位相を変更する第1の位相器と、前記交流ブリッジ回路の前記検出信号として出力される、前記第1の検出コイルのインダクタンスの変化に応じて出力される第1の出力信号と前記第2の検出コイルのインダクタンスの変化に応じて出力される第2の出力信号との内、前記第1の出力信号の位相を変更する第2の位相器と、を備え、前記第1の位相器の位相の変更量と前記第2の位相器の位相の変更量とが同じ変更量であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、検査対象である導体の周方向における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】渦流探傷装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による渦流探傷装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】検出コイルに配置される電磁遮蔽体の構成の一例を示す模式図である。
【図4】交流ブリッジ回路により検出された出力の位相を説明するための図である。
【図5】本実施形態の交流ブリッジ回路の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図6】インナープローブ型の渦流探傷装置のプローブ10Aの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に用いられる渦流探傷装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
まず、図1を用いて、渦流探傷装置が検査対象である導体200の傷、異物等による欠陥を検出する方法についての概要を説明する。
【0016】
検査対象である導体200の搬送路250に沿って同軸に且つ離間して一対の検出コイルが配置されている。例えば、一対の検出コイルL1,L2は、検査対象である導体200の搬送路250に沿って、この導体200と一定の間隔を有して非接触且つ同軸に配置されている。また、一対の検出コイルL1,L2は、搬送路250に沿って同軸に且つ搬送路250に沿った方向に離間して配置されている。検出コイルL1,L2が交流ブリッジ回路3のブリッジの二辺として結線され、抗抵R1,R2がブリッジの他方の二辺として結線されている。交流電源31から交流ブリッジ回路3に交流電流が供給され、検出コイルL1,L2に交流電流が流れると、電磁誘導によって導体200に渦電流(誘導電流)が生じる。
【0017】
そして、検出コイルL1,L2の中を通過している導体200に欠陥がない場合は、検出コイルL1と抵抗R1との接続点に接続されている端子K1と、検出コイルL2と抵抗R2との接続点に接続されている端子K2間との出力信号がゼロバランスとなるように調整されている。一方、検出コイルL1,L2の中を導体200の欠陥が通過した場合、導体200に生じる渦電流が変化し、検出コイルL1,L2のインダクタンスが相対変化して差が生じ、交流ブリッジ回路3のブリッジの平衡が崩れて端子K1,K2間の出力信号に差が生じる。よって、渦流探傷装置は、端子K1,K2間の出力信号、すなわちブリッジの平衡が崩れたか否かを示す検出信号に基づいて導体200の傷、異物等の欠陥を検出する。
【0018】
なお、検出コイルL1,L2は、図1に示す矢印の向きのように、生じる磁界の向きが逆相となるように差動接続されている。一般的に、磁界の向きが同相となるように和動接続されるよりも、差動接続される方が好ましいことが知られている。例えば、差動接続の場合は、検出コイルL1,L2の内部で導体200が偏心する、または、導体200の組成が変化する、等により検出コイルL1,L2にノイズ信号が生じたとしても、これらのノイズ信号が互いに相殺しあい、出力信号のノイズ成分を低減してSN比を高めることが可能である。なお、本実施形態においては、差動接続である場合を例としているが、和動接続である場合としても同様に適応できる。なお、図1の検出コイルL1と検出コイルL2との接続点はGND(グランド)に接続されて接地される構成としてもよい。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態による渦流探傷装置100の構成を示す概略ブロック図である。図2に示す渦流探傷装置100は、図1に示す一対の検出コイルL1,L2を有する交流ブリッジ回路3と同様な回路として符号A、符号B、符号C、及び、符号Dに示す4つの交流ブリッジ回路3A〜3Dを備えている例である。以下、符号A、符号B、符号C、及び、符号Dに示す4つの交流ブリッジ回路3A〜3Dを、それぞれ第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dとする。
【0020】
渦流探傷装置100は、検出部10、制御部20、及び電源部30を備えている。
検出部10は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dを備えている。第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dは、検出コイルL1A,L2A、検出コイルL1B,L2B、検出コイルL1C,L2C、及び検出コイルL1D,L2Dをそれぞれ一対の検出コイルとして有するそれぞれに対応する交流ブリッジ回路3A〜3Dを有している。また、それぞれ対となる検出コイルL1A,L2A〜検出コイルL1D,L2Dは、検査対象である導体200の搬送路250に沿って同軸に且つ離間して配置されている。なお、導体200は、例えば銅線、鉄線、または鋼線等の円柱状の金属材である。
【0021】
また、検出部10は、欠陥検出部11を備えており、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dから出力されるそれぞれの検出信号が入力される。そして、欠陥検出部11は、入力された検出信号に基づいて、検査対象である導体200の表面に欠陥があるか否かを検出する。
【0022】
また、欠陥検出部11は、導体200の周方向(例えば、円柱状の導体200の円周方向)における欠陥の位置または長さを検出する。この円周方向における欠陥の位置または長さは、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dがそれぞれ有する電磁遮蔽体の位置に基づいて欠陥検出部11が検出するものであり、図3を用いて後述する。
【0023】
制御部20は、渦流探傷装置100が備えている各部を制御する。例えば、検出部10の検出結果を表示部(不図示)に表示する制御、または外部に接続された表示装置やプリンター等に出力する制御をする。電源部30は、例えば、商用交流電源から入力された電力を、渦流探傷装置100が備えている各部を駆動するための電圧または電流に変換して供給する。
【0024】
次に、本実施形態の渦流探傷装置100が、導体200の円周方向における欠陥の位置または長さを検出する処理について、図3を用いて説明する。
図3は、検出コイルに配置される電磁遮蔽体の構成の一例を示す模式図である。渦流探傷装置100の一対の検出コイルそれぞれは、搬送路250側を向く面の円周方向(すなわち、一対の検出コイルの内側の円周方向)の一部に配置されている電磁遮蔽体をそれぞれ有している。また、これらの電磁遮蔽体は、それぞれの検出コイルの搬送路250方向の幅に対応した長さ(例えば、検出コイルL1A,L2Aの幅の長さと同じ長さ)を有している。
【0025】
図3(a)は、搬送路250方向に沿った断面に対する透視図であって、導体200、電磁遮蔽体51〜54、絶縁体61,62、及び検出コイルL1A,L2A〜L1D,L2Dの構成を示す模式図である。また、図3(b)は、搬送路250方向に直交する断面における、導体200、電磁遮蔽体51〜54、及び絶縁体61,62の構成を示す模式図である。ここで、図3(b)においては、図3(a)に示す検出コイルL1A,L2A〜L1D,L2Dの図示を省略している。
【0026】
例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dの有する一対の検出コイルそれぞれは、絶縁体61と及び絶縁体62との間に挾持されて互いに円周方向の異なる位置に配置されている電磁遮蔽体51〜54を、それぞれ一対の検出コイルの内側に有している。電磁遮蔽体51〜54は、例えば、銅箔シートであり、電磁界を遮蔽する作用を持つ材料により構成されるものである。
【0027】
そして、一対の検出コイルそれぞれに配置されている電磁遮蔽体51〜54は、一対の検出コイルの内側の全周にわたって互いに円周方向の異なる位置に配置されている。例えば、第1の検出回路Aには、中心角が0°〜90°となる円周方向の区間にわたって、検出コイルL1A,L2Aの搬送路250方向の幅に対応した長さ(例えば、検出コイルL1A,L2Aの幅の長さと同じ長さ)の電磁遮蔽体51が配置されている。第2の検出回路Bには、中心角が90°〜180°となる円周方向の区間にわたって、検出コイルL1B,L2Bの搬送路250方向の幅に対応した長さ(例えば、検出コイルL1B,L2Bの幅の長さと同じ長さ)の電磁遮蔽体52が配置されている。第3の検出回路Cには、中心角が180°〜270°となる円周方向の区間にわたって、検出コイルL1C,L2Cの搬送路250方向の幅に対応した長さ(例えば、検出コイルL1C,L2Cの幅の長さと同じ長さ)の電磁遮蔽体53が配置されている。第4の検出回路Dには、中心角が270°〜360°(0°)となる円周方向の区間にわたって、検出コイルL1D,L2Dの搬送路250方向の幅に対応した長さ(例えば、検出コイルL1D,L2Dの幅の長さと同じ長さ)の電磁遮蔽体54が配置されている。
【0028】
図3(c)は、円柱状である導体200を平面に展開した図であり、導体200の円周方向の各区間と電磁遮蔽体51〜54の位置との対応を示す図である。この図に示すように、第1の検出回路Aは、導体200の中心角が0°〜90°となる円周方向の区間においては、電磁遮蔽体51があることにより電磁誘導が生じないため、導体200に欠陥があったとしても欠陥を検出しない。同様に、第2の検出回路Bは導体200の中心角が90°〜180°となる円周方向の区間、第3の検出回路Cは導体200の中心角が180°〜270°となる円周方向の区間、第4の検出回路Dは導体200の中心角が270°〜360°(0°)となる円周方向の区間においては、導体200に欠陥があったとしても欠陥を検出しない。このように、それぞれの検出回路が、導体200の円周方向における異なる区間において導体200に欠陥があったとしても欠陥を検出しない区間がある。これを利用して、欠陥検出部11は、導体200の円周方向における欠陥の位置または長さを検出する。
【0029】
例えば、図3(c)に示す傷(欠陥)211は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、及び第4の検出回路Dにおいては検出されるが、第3の検出回路Cにおいては検出されない。よって、欠陥検出部11は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dから出力される検出信号それぞれに基づいて、傷(欠陥)211を検出するとともに、傷(欠陥)211が導体200の中心角が180°〜270°となる円周方向の区間の位置にあることを検出することができる。
【0030】
また、図3(c)に示す傷(欠陥)212は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dの全てにおいて検出される。よって、欠陥検出部11は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dから出力される検出信号それぞれに基づいて、傷(欠陥)212を検出するとともに、傷(欠陥)212が導体200の円周方向の4つの区間全ての位置にある、すなわち、導体200の全周にわったて発生している長さの傷(欠陥)であることを検出することができる。
【0031】
以上のように、渦流探傷装置100は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dから出力された検出信号に基づいて、検査対象である導体200の表面に欠陥があるか否かを検出するとともに、当該検出信号と電磁遮蔽体51〜54が配置されている位置とに基づいて、導体200の円周方向における欠陥の位置を検出することができる。また、渦流探傷装置100は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dから出力された検出信号に基づいて、検査対象である導体200の表面に欠陥があるか否かを検出するとともに、当該検出信号と電磁遮蔽体51〜54が配置されている位置とに基づいて、導体200の円周方向における欠陥の長さ(例えば、欠陥が全周にわたって生じているか否か)を検出することができる。よって、渦流探傷装置100は、検査対象である導体200円周方向(周方向)における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる。
【0032】
なお、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dの搬送路250方向の位置が互いに異なることにより、導体200の欠陥がそれぞれの検出回路を通過する時刻が互いに異なる。そのため、それぞれの検出回路が同じ欠陥を検出する際の時刻も互いに異なることになる。よって、それぞれの検出回路において検出される時刻の差が欠陥の位置に影響しないように(同じ欠陥は同じ欠陥として検出されるように)、例えば、制御部20は、導体200の走行速度が所定の速度より遅い場合には、検出しないようにする。この所定の速度は、上述の検出される時刻の差に応じた欠陥の位置の差が許容誤差となるような速度であって、検出コイルの大きさ、各検出回路(検出コイル)の間隔、及び検出対象となる欠陥の大きさ等により設定される速度である。
また、制御部20は、検出部10において導体200の搬送路250方向の相対位置が検出できるように、導体200の走行開始タイミングや走行速度等を検出部10に出力してもよい。これにより、検出部10は、制御部20から入力された導体200の走行開始タイミングや走行速度等に基づいて、それぞれの検出回路を通過する時刻の差により生じる欠陥の位置の差を補正してもよい。
【0033】
次に、本実施形態において、一対の検出コイルの各検出コイルに供給される交流電源の位相を互いに異なる位相とする場合の構成について、図4及び図5を用いて説明する。なお、ここでは、第1の検出回路A(検出コイルL1A,L2Aを有する交流ブリッジ回路3A)を例として説明するが、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dの構成も同様である。
【0034】
第1の検出回路Aにより検出される出力には、交流電源を使用しているため電流変化と位相変化が現れる。また、検出される出力には、コイルを用いて検出しているため、コイルのインダクタンスの変化に応じた変化量の電流変化値と位相変化値が現れる。また、第1の検出回路Aは、導体200に欠陥があると、その欠陥に応じた電流変化値と位相変化値を検出するが、電磁遮蔽体51のガタ等による影響に応じたノイズ信号の電流変化値と位相変化値も同様に検出する。
【0035】
図4は、第1の検出回路A(交流ブリッジ回路3A)により検出された出力の位相を説明するための図である。この図は、第1の検出回路Aにより検出されたノイズ成分Nと欠陥信号成分SとをX−Y軸上に示すリサージュ波形である。この図に示すように、第1の検出回路Aにおいて、電磁遮蔽体51のガタ等による影響で生じるノイズ成分Nと導体200の欠陥により生じる欠陥信号成分Sとは、同位相の信号となる。また、電磁遮蔽体51のガタ等による影響で生じるノイズ成分Nと導体200の欠陥により生じる欠陥信号成分Sとは、供給される交流電流の周波数に応じた同じ周波数の信号となる。よって、第1の検出回路Aにより検出されたノイズ成分Nと欠陥信号成分Sとの判別が困難であり検出精度が低下する場合がある。そのため、第1の検出回路Aは、検出コイルL1A,L2Aに供給される交流電流の位相を互いに異なる位相とすることにより、欠陥信号成分Sの位相を角度θずらした欠陥信号成分S’として検出する。これにより、第1の検出回路Aにより検出されたノイズ成分Nと欠陥信号成分S’とを分離して判別できるようにする。
【0036】
なお、この欠陥信号成分Sの位相をずらすための位相の変更量である角度θは、検出された信号のノイズ成分Nと欠陥信号成分Sとを分離するためにノイズ成分Nの位相から欠陥信号成分Sの位相をずらす量として予め設定された変更量である。例えば、角度θは、−20°に設定されている。
【0037】
図5は、本実施形態の交流ブリッジ回路の構成の一例を示す概略ブロック図である。この図を用いて、第1の検出回路Aにおいて位相をずらして欠陥を検出する回路の構成について説明する。ここで、図5の検出コイルL1A,L2Aは、図1の検出コイルL1,L2と対応しており、図5の抵抗R1A,R2Aは、図1の抵抗R1,R2と対応している。また、図1において、交流電源31から交流ブリッジ回路3に交流電流を供給する構成としているが、図5においては、交流電源31に代えて発振器31Aを用いる構成としている。
【0038】
第1の検出回路A(交流ブリッジ回路3A)は、一対の検出コイルL1A(第1の検出コイル)と検出コイルL2A(第2の検出コイル)とがブリッジの二辺として結線され、抗抵R1A,R2Aがブリッジの他方の二辺として結線されている平衡回路(ブリッジ回路)を有している。そして、検出コイルL1A, L2Aは、生じる磁界が互いに逆相となるように差動接続されている。発振器31Aは、一定の周波数のsin波の発振信号(交流電流)を発生して、増幅器32と位相器33とに交流電流として供給する。増幅器32の出力端子は抵抗R1Aの一端に接続されており、抵抗R1Aの他端は検出コイルL1Aの一端に接続されている。増幅器32は、発振器31Aから供給された交流電流を増幅して、抵抗R1Aを介して検出コイルL1Aに供給する。
【0039】
位相器33(第1の位相器)は、発振器31Aから供給された交流電流に対して、検出コイルL2Aに供給する交流電流の位相を変更する。例えば、位相器33は、発振器31Aから供給された交流電流の位相の角度を変更可能であるとともに、増幅器の機能も有している。位相器33の出力端子は抵抗R2Aの一端に接続されており、抵抗R2Aの他端は検出コイルL2Aの一端に接続されている。位相器33は、供給された交流電流の位相を変更し且つ増幅した交流電流を、抵抗R2Aを介して検出コイルL2Aに供給する。
【0040】
また、抵抗R1Aと検出コイルL1Aとの接続点は、位相器34(第2の位相器)を介して差動増幅器38の一方の入力端子に接続されている。抵抗R2Aと検出コイルL2Aとの接続点は、差動増幅器38の他方の入力端子に接続されている。
なお、検出コイルL1Aと検出コイルL2Aとの接続点は、発振器31AのGND(グランド)に接続されている。
【0041】
位相器34は、位相器33と同様に、入力された信号の位相の角度を変更可能であり、検出コイルL1Aのインダクタンスの変化に応じて出力される第1の出力信号35(抵抗R1Aと検出コイルL1Aとの接続点の出力信号)と検出コイルL2Aのインダクタンスの変化に応じて出力される第2の出力信号36(抵抗R2Aと検出コイルL2Aとの接続点の出力信号)との内、第1の出力信号35の位相を変更する。ここで、第1の出力信号35は図1の端子K1の出力信号に対応しており、第2の出力信号36は図1の端子K2の出力信号に対応している。
【0042】
なお、位相器33の位相の変更量と位相器34の位相の変更量とが同じ変更量になるように設定されている。位相器33及び位相器34の位相の変更量は、図4に示す角度θに対応するものであり、ノイズ成分Nと欠陥信号成分S’とを分離して判別できるようにするための位相の変更量(例えば、「角度θ=−20°」の位相の変更量)である。
【0043】
差動増幅器38は、位相器34を介して入力された第1の出力信号35と、第2の出力信号36との差分を抽出して増幅した検出信号を端子39に出力する。つまり、差動増幅器38は、検出コイルL1Aのインダクタンスの変化に応じた出力と検出コイルL2Aのインダクタンスの変化に応じた出力との差分を抽出する。例えば、検出コイルL1A,L2Aの中を通過している導体200に欠陥がない場合、検出コイルL1Aのインダクタンスの変化に応じた出力と検出コイルL2Aのインダクタンスの変化に応じた出力とがゼロバランス(平衡)となり、差動増幅器38は、差分がない平衡状態であることを示す検出信号を出力する。一方、検出コイルL1A,L2Aの中を導体200の欠陥が通過した場合、検出コイルL1Aのインダクタンスの変化に応じた出力と検出コイルL2Aのインダクタンスの変化に応じた出力とに差が生じて、差動増幅器38は、その差分を抽出して平衡が崩れたことを示す検出信号を出力する。
そして、差動増幅器38から端子39に出力された検出信号は、欠陥検出部11に供給される。
【0044】
このように、第1の検出回路Aは、検出コイルL1Aに供給される交流電流に対して、検出コイルL2Aに供給する交流電流の位相をずらすことにより、検出されたノイズ成分Nと欠陥信号成分S’とを分離して適切に判別することができる。よって、第1の検出回路Aは、導体200の欠陥を精度よく検出することができる。また、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dも第1の検出回路Aも同様の構成とすることにより、導体200の欠陥を精度よく検出することができる。これにより、欠陥検出部11は、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dそれぞれにおいて検出された結果に基づいて、導体200の欠陥を検出するとともに、導体200の円周方向(周方向)における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の渦流探傷装置100は、導体200の欠陥を検出するとともに、導体200の欠陥の位置または長さを適切に検出することができる。例えば、渦流探傷装置100は、導体200の円周方向(周方向)における欠陥の位置を検出することができる。また、渦流探傷装置100は、導体200の円周方向(周方向)における欠陥の長さ(例えば、欠陥が全周にわたって生じているか否か)を検出することができる。なお、渦流探傷装置100は、導体200の欠陥の搬送路250方向における欠陥の位置または長さを、導体200の走行開始タイミングや走行速度等に基づいて検出することができる。
【0046】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、上記実施形態において、検査対象である導体200を検出コイルの中に貫通させて導体200の外周面の欠陥を検出する渦流探傷装置100(貫通型の渦流探傷装置)の構成について説明したが、渦流探傷装置100は、管状の導体の内面の欠陥を検出するインナープローブ型(挿入型)の構成であってもよい。
図6にインナープローブ型(挿入型)の渦流探傷装置のプローブ10Aの一例を示す。この図において図3の各部に対応する部分には同一の符号を付けている。管状の導体200Aの中に挿入されているプローブ10Aは、検出コイルL1A,L2A〜L1D,L2Dの搬送路250A側を向く面、すなわち、導体200Aの管の内側を向く面(検出コイルの外側を向く面)に電磁遮蔽体51〜54が配置されて構成されることにより、上述の実施形態と同様に、導体200Aの内面の周方向における欠陥の位置または長さを適切に検出することができる。
【0047】
また、検査対象は、円柱状または管状の導体に限らず、例えば四角柱状の導体等であってもよい。渦流探傷装置100は、検査対象の形状に応じて、検査対象と検出コイルとの間に電磁遮蔽体が配置される構成とすることにより、様々な形状の導体の周方向における欠陥の位置または長さを適切に検出することが可能である。また、検出コイルの巻き形状も円形に限られるものではなく、四角形等他の巻き形状であってもよい。
【0048】
なお、従来、分割型の検出コイルを有する渦流探傷装置があるが、これは、検査対象の全周にわたって複数の(例えば、4つの)検出コイルが並べて配置されているものである。この分割型の検出コイルの場合では、コイルが配置される位置の制約から隣り合う検出コイルの間隔が広くなるため、周方向の分割された区間の境界付近における検出精度が低下してしまう。これに対して、本実施形態の渦流探傷装置100は、周方向の区間毎に銅箔シート等による電磁遮蔽体を配置する構成のため、分割型においてコイルが配置される際に必要な間隔が不要であり、周方向の分割された境界付近の検出精度をよくすることができる。
【0049】
なお、上記実施形態の電磁遮蔽体51〜54は、周方向の互いの位置をオーバーラップさせるような大きさまたは形状により、各検出コイルに配置されてもよい。これにより、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dは、それぞれに配置されている電磁遮蔽体51〜54の互いに間となる位置において、検出されないはずの欠陥が誤検出されてしまうことを低減することができる。なお、このオーバーラップ量を大きくしすぎると、電磁遮蔽体51〜54の互いに間となる位置において、検出されるべき欠陥が検出回路において検出されないことが生じる場合があるため、この電磁遮蔽体51〜54のオーバーラップ量は、検査対象の材料の種類や厚さ、または検出コイルにおいて生じる磁界の強さ等によって適切に設定されることが望ましい。具体的には、オーバーラップ量として、オーバーラップする角度が2°から15°が望ましい。
【0050】
また、一対の検出コイルに配置される電磁遮蔽体は、例えば、検査対象の全周に対して50%未満の周方向の区間の長さ(例えば、中心角が0°〜180°となる円周方向の区間の長さ未満の長さ)を遮蔽する大きさに制限され事が望ましい。これは、一対の検出コイルにおいて、50%以上の周方向の区間が遮蔽された場合、検出コイルの検出感度が低下する場合があるためである。
【0051】
なお、図2及び図3を用いて、渦流探傷装置100が検査対象の全周を4分割した区間毎に電磁遮蔽体をそれぞれ有する4つの検出回路(一対の検出コイルをそれぞれ有する4つの検出回路)を備える構成について説明したが、これに限られるものではない。例えば、渦流探傷装置100は、検査対象の全周を5分割、6分割、またはそれ以上の分割数により分割した区間毎に、電磁遮蔽体をそれぞれ有する分割数に対応した数の検出回路を備える構成としてもよい。この場合、渦流探傷装置100は、分割数を多くすることにより欠陥の位置をより詳細に検出することができる。また、渦流探傷装置100は、欠陥の位置をより詳細に検出する必要がない場合は、分割数を少なくして検出回路の数を減らすことにより簡略な構成としてもよい。
【0052】
また、渦流探傷装置100は、検査対象の全周にわたって互いに周方向の異なる位置に複数の検出回路のそれぞれが有する電磁遮蔽体が配置される構成とすることに限られるものではない。例えば、渦流探傷装置100は、検査対象の全周のうち一部の区間における欠陥の位置を検出する必要がある場合、当該一部の区間を分割した区間に複数の検出回路のそれぞれが有する電磁遮蔽体が配置される構成としてもよい。また、渦流探傷装置100は、検査対象の全周のうち一部の区間に対して欠陥があるか否かを検出する場合、当該一部の区間に電磁遮蔽体を有する検出回路と電磁遮蔽体を有さない検出回路とを備える構成としてもよい。
【0053】
また、渦流探傷装置100は、全周のうち一部の区間に電磁遮蔽体を有する1つの検出回路を備えている場合、検査対象と電磁遮蔽体との回転位置を相対的に回転させ、所定の回転位置毎に検出された結果に基づいて、検査対象の周方向における欠陥の位置または長さを検出してもよい。
【0054】
なお、上記実施形態において、電磁遮蔽体51〜54がそれぞれ一対の検出コイルの搬送路250方向における幅の長さと同じ長さである場合を例として説明したが、これに限られるものではない。電磁遮蔽体51〜54の搬送路250方向における幅の長さは、それぞれ一対の検出コイルの幅の長さよりも短い構成としても長い構成としてもよい。この電磁遮蔽体51〜54の搬送路250方向における幅の長さは、検査対象の材料の種類や厚さ、それぞれ一対の検出コイルの配置間隔、または、当該検出コイルにおいて生じる磁界の強さ等によって適切に設定されることが望ましい。
【0055】
また、電磁遮蔽体51〜54は、搬送路250方向における幅の長さがそれぞれ一対の検出コイルの各検出コイルの幅に対応した長さに分割された形状であってもよい。例えば、電磁遮蔽体51は、搬送路250方向の幅の長さが2つに分割された形状であり、分割されたそれぞれの電磁遮蔽体が検出コイルL1A,L2Aのそれぞれに対応した位置に配置されている構成であってもよい。
【0056】
なお、交流ブリッジ回路3A〜3Dにおけるブリッジ回路に交流電流を供給する交流電源として、交流電源31、または、発振器31A、増幅器32、若しくは位相器33が、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dそれぞれに備えられていてもよいし、第1の検出回路A、第2の検出回路B、第3の検出回路C、及び第4の検出回路Dそれぞれに交流電流を供給する1つまたは1組の交流電源が、検出部10に備えられていてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態において、渦流探傷装置100が一対の検出コイルの各検出コイルに供給される交流電源の位相を互いに異なる位相とすることにより、ノイズ成分と欠陥信号成分とを分離して判別できるようにする例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、渦流探傷装置100は、回転移相型の渦流探傷装置であってもよく、欠陥信号成分の位相を変更して検出することによりノイズ成分と欠陥信号成分とを分離して判別してもよい。なお、回転移相型の渦流探傷装置は、例えば、引用文献1に記載されている構成のものである。
【0058】
なお、図2における欠陥検出部11は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、上述の欠陥検出部11の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0059】
また、図2における欠陥検出部11の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の欠陥検出部11の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0060】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0061】
3(3A〜3D)・・・交流ブリッジ回路、10・・・検出部、31・・・交流電源、31A・・・発振器、33・・・位相期(第1の位相器)、34・・・位相器(第2の位相器)、51〜54・・・電磁遮蔽体、100・・・渦流探傷装置、200・・・導体、250・・・搬送路、L1(L1A〜L1D),L2(L2A〜L2D)・・・検出コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である導体の搬送路に沿って同軸に且つ離間して配置された一対の検出コイルと、
前記一対の検出コイルの各検出コイルによりブリッジの二辺が構成され、前記ブリッジの平衡が崩れたか否かを示す検出信号を出力する交流ブリッジ回路を含む検出部と、
を備え、
前記一対の検出コイルは、当該一対の検出コイルの前記搬送路側を向く面における周方向の一部に配置される電磁遮蔽体を有する
ことを特徴とする渦流探傷装置。
【請求項2】
前記検出部は、
複数の前記交流ブリッジ回路、
を備え、
複数の前記交流ブリッジ回路は、搬送路方向の異なる位置に配置され、
複数の前記交流ブリッジ回路それぞれの一対の検出コイルが有する前記電磁遮蔽体は、
互いに周方向の異なる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の渦流探傷装置。
【請求項3】
複数の前記交流ブリッジ回路それぞれの一対の検出コイルが有する前記電磁遮蔽体は、
前記搬送路側を向く面の全周にわたって互いに周方向の異なる位置に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の渦流探傷装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記交流ブリッジ回路から出力された前記検出信号と、前記電磁遮蔽体が配置されている周方向の位置とに基づいて、前記検査対象の周方向における前記欠陥の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の渦流探傷装置。
【請求項5】
前記検出部は、
前記交流ブリッジ回路から出力された前記検出信号と、前記電磁遮蔽体が配置されている周方向の位置とに基づいて、前記検査対象の周方向における前記欠陥の長さを検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の渦流探傷装置。
【請求項6】
前記一対の検出コイルの各検出コイルには、互いに異なる位相の交流電流が供給される
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の渦流探傷装置。
【請求項7】
前記一対の検出コイルである第1の検出コイルと第2の検出コイルとにより前記ブリッジの二辺が構成される前記交流ブリッジ回路に対して所定の周波数の交流電流を供給する電源部と、
前記電源部から前記交流ブリッジ回路に供給された交流電流に対して、前記第2の検出コイルに供給する交流電流の位相を変更する第1の位相器と、
前記交流ブリッジ回路の前記検出信号として出力される、前記第1の検出コイルのインダクタンスの変化に応じて出力される第1の出力信号と前記第2の検出コイルのインダクタンスの変化に応じて出力される第2の出力信号との内、前記第1の出力信号の位相を変更する第2の位相器と、
を備え、
前記第1の位相器の位相の変更量と前記第2の位相器の位相の変更量とが同じ変更量である
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の渦流探傷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88345(P2013−88345A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230681(P2011−230681)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(591163719)株式会社日本エステック (1)
【Fターム(参考)】