説明

温度制御装置

【課題】本体装置(画像形成装置)の非稼動時に被加熱体(感光ドラム)の温度制御で消費される電力の削減を図る。
【解決手段】画像形成装置の稼動中には、トライアック905および通電制御手段(サーモパイル式温度センサ902、受け回路903、制御回路904)を使用して感光ドラム14の温度を制御し、これによって、所要の温度制御精度を確保する。一方、画像形成装置の非稼動時には、サーマルリードスイッチ906を使って感光ドラム14の温度を制御し、これによって、非稼動時の画像形成装置における電力消費を減少させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置に関し、特に、加熱手段によって加熱される被加熱体の温度を制御する温度制御装置に関する。
【0002】
この温度制御装置は、例えば画像形成装置における感光体の温度制御を行う。
【背景技術】
【0003】
電子写真技術を用いた従来の画像形成装置では、コロナ放電を用いて感光体表面を帯電させ、その後に露光、現像の過程を経ることで感光体表面に画像を形成することが行われており、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等に広く使用されている。しかし、これらの電子写真方式の画像形成装置においては、感光体の表面にオゾン生成物が付着し、とくに高湿時において画像流れ(画像がぼける現象)が生ずることが知られている。有機感光体(OPC)のように比較的表面の磨耗しやすい感光体の場合は、表面に形成されたオゾン生成物等が研磨手段等によって磨耗除去されやすいが、あまり研磨効果を高めると、感光体としての機能が低下し、感光体の寿命が短くなってしまう。一方、アモルファスシリコン感光体のように非常に硬く、表面に形成されたオゾン生成物等が磨耗除去されにくいものもある。
【0004】
ところで、感光体内部または近傍に感光体用ヒータを配置し、感光体表面の温度を概略35℃〜45℃程度に制御することが行なわれている。この感光体の温度制御は、様々な目的で行なわれているが、主要目的は、上記の高湿時に発生する画像流れの防止である。すなわち、コロナ帯電器内で発生したオゾンが感光体表面を化学的に変質させて親水基等が感光体表面に形成される。これによって、感光体表面が吸湿しやすくなり、高湿時に表面電位の横流れといった電子写真として致命的な現象が引き起こされる。そこで、上記温度制御を行い、感光体表面から水分を除去するようにして、画像流れが防止される。また、オゾンにより生成されたNOx等の物質が感光体表面に付着し、これが同様に吸湿性を高めるため、同様に上記温度制御を行い、水分を除去するようにする。
【0005】
つぎに、感光体表面の温度を概略35℃〜45℃程度に制御する場合における従来の感光体温度制御装置について説明する。
【0006】
図7は、従来の感光体温度制御装置の第1の構成例を示す図である。
【0007】
この第1の構成例では、感光体ドラム201の内周面に加熱源としてのヒータ202を配置するとともに、ヒータ202の内部に温度検出手段としてのサーミスタ203を配置する。ヒータドライバ204は、サーミスタ203からの出力信号によりヒータ202の温度を制御する。サーミスタ203はヒータ202の内部に配置され、ヒータ202の温度を直接検出する。ヒータドライバ204も感光体ドラム201の内側に配置される。
【0008】
図8は、従来の感光体温度制御装置の第2の構成例を示す図である。
【0009】
この第2の構成例では、加熱源としてのヒータ212を感光体ドラム211の内周面に配置するとともに、温度検出手段としてのサーミスタ213を、感光体ドラム211の外側の表面近傍に配置する。サーミスタ213は、感光体ドラム211の表面の対流熱を検知する。ヒータドライバ214は、サーミスタ213からの出力信号によりヒータ212の温度を制御する。ヒータドライバ214も感光体ドラム211の外側に配置される。
【0010】
この第2の構成例では、感光体表面の温度を検出するので、画像形成装置の動作に伴う感光体表面温度の変動を即座に検知して加熱源(ヒータ)を制御できるという利点がある。こうした非接触の温度検出手段として、上記の第2の構成例における対流熱を検知する非接触のサーミスタ213の他に、感光体表面から放射される赤外線量を検知して温度を検出する赤外線検知方式の温度センサを使用することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
図9は、赤外線検知方式の従来の温度センサの第1の構成例を示す図である。この温度センサはサーモパイル式温度センサである。
【0012】
この温度センサ220は、2種類の異種金属もしくは半導体を多数直列に接続したサーモパイル素子221を使用する。サーモパイル素子221は冷接点と温接点とを備え、冷接点と温接点との温度差に相当する信号を出力する。ここで、サーモパイル素子221の冷接点を、基準となる熱容量の大きなヒートシンク222に当接させ、温接点を、熱容量が小さな部材である赤外線吸収部材223に当接させる。感光体表面から放出された赤外線はレンズ224を通して赤外線吸収部材223に集光される。なお、レンズ224の代わりにフィルタを用い、特定の赤外線波長のみが赤外線吸収部材223に吸収されるようにしてもよい。
【0013】
ヒートシンク222内にはサーミスタ225が配置され、サーミスタ225は、ヒートシンク222の絶対温度(=冷接点の絶対温度)を検出して、該温度に応じた信号を演算回路226に出力する。一方、演算回路226には、サーモパイル素子221から冷接点と温接点との温度差に相当する信号が入力され、演算回路226は、感光体表面の絶対温度を算出して出力する。
【0014】
図10は、赤外線検知方式の従来の温度センサの第2の構成例を示す図である。この温度センサはサーミスタ式非接触温度センサである。
【0015】
この温度センサは、アルミ等の熱伝導性の高い材料から成るケース1006で構成され、該ケース1006の一面に開口部1007が設けられる。開口部1007を閉塞するように、ケース1006の内部にフィルム1008が設けられる。このフィルム1008は、感光ドラムから放射される赤外光を吸収する樹脂製で耐熱性の高いフィルム部材で構成される。
【0016】
フィルム1008のケース1006内面側には、フィルム1008の温度を検知するためのサーミスタ素子1009が接着剤等で密着して固定される。このサーミスタ素子1009の近傍には、ケース1006内の雰囲気温度を測定するためのサーミスタ素子1010が配設される。後述するように、サーミスタ素子1009は赤外線検出用であり、サーミスタ素子1010は温度補償用である。
【0017】
サーミスタ素子1009,1010にはそれぞれリード線1011の各一方端が接続され、リード線1011の各他方端は、ケース1006に設けたソケット(図示せず)にそれぞれ接続され、サーミスタ素子1009,1010からの各出力信号が外部に取り出されるようになっている。
【0018】
図11は、図10に示すサーミスタ素子1009,1010を用いた温度検出回路を示す図である。
【0019】
温度補償用サーミスタ素子1010と赤外線検出用サーミスタ素子1009とは、抵抗R1,R2とともにブリッジ回路を構成する。ブリッジ回路の出力は、端子A,B間から取り出され、端子A,B間に発生する電位差が、上記温度センサに入力された赤外線の絶対量に相当する値を表す。
【0020】
すなわち、ケース1006の開口部1007に取り付けたフィルム1008に感光ドラムから赤外線が入射すると、フィルム1008に赤外線が吸収されてフィルム1008の温度が赤外線量に応じて上昇する。
【0021】
そして、フィルム1008の温度は、フィルム1008裏面に密着固定された赤外線検出用サーミスタ素子1009に伝導してサーミスタ素子1009の抵抗変化として検出される。赤外線検出用サーミスタ素子1009の抵抗は、サーミスタ素子1009が設置された場所の環境温度の影響を受けている。そのため、温度補償用サーミスタ素子1010を用いてこの環境温度を検出し、ブリッジ回路が、その検出値を用いてその影響を排除している。
【0022】
なお、ケース1006をアルミ等の熱伝導性の高い材料で構成するのは、環境温度の変化に対する温度補償用サーミスタ素子1010の追従性を向上させるためである。
【特許文献1】特開平06−194222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記従来の感光体温度制御装置や温度センサにおいて、これらに用いられるサーミスタや赤外線検知方式の温度センサは、温度検出精度が高いものの、これらを使用して温度制御を行うためには、DC電源を必要とする。
【0024】
ところで、感光ドラムの温度制御は、その画像形成装置の稼動中だけでなく、非稼動時にも行われる必要であるが、近年の省エネルギーに対する要求の高まりから、非稼動時の消費電力の削減が求められている。そうした非稼動時の消費電力を削減するために、1つ障害となるのがDC電源や該DC電源で動作する感光体温度制御装置や温度センサであった。すなわち、DC電源は商用交流電源から変換して生成されるものであり、変換に無駄な電力が消費されてしまう。また、DC電源で動作する感光体温度制御装置や温度センサでの電力消費も非稼動時になくせるものならばなくしたいという要請もあった。しかし一方で、DC電源や感光体温度制御装置や温度センサは、感光ドラムの温度制御には欠かすことができないという事情もあった。
【0025】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、本体装置(画像形成装置)の非稼動時に被加熱体(感光ドラム)の温度制御で消費される電力の削減を図った温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、加熱手段によって加熱される被加熱体の温度を制御する温度制御装置において、前記被加熱体が搭載された本体装置の電源スイッチのオン/オフに基づいて稼動/非稼動し、交流電源を基に直流電源を生成する直流電源生成手段と、前記交流電源が供給されたとき、前記被加熱体の温度を検出し、該検出された温度に応じて前記加熱手段に前記交流電源からの通電/非通電を行う第1の通電手段と、前記交流電源が供給されたとき、前記加熱手段に前記交流電源からの通電/非通電を行う第2の通電手段と、前記直流電源生成手段から供給される直流電源により動作する通電制御手段であって、前記被加熱体の温度を検出し、該検出された温度に応じて前記第2の通電手段の通電/非通電を制御する通電制御手段と、前記直流電源生成手段からの直流電源の供給に応じて動作する切替手段であって、該直流電源が供給されているときは、前記第2の通電手段に対して前記交流電源を供給し、前記直流電源が供給されていないときは、前記第1の通電手段に対して前記交流電源を供給する切替手段とを有することを特徴とする温度制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、本体装置の稼動中には、第2の通電手段および通電制御手段を使用して被加熱体の温度を制御し、これによって、所要の温度制御精度を確保し、一方、本体装置の非稼動時には、第1の通電手段を使って被加熱体の温度を制御し、これによって、非稼動時の本体装置における電力消費を減少させることを可能にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態に係る温度制御装置を搭載した画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0030】
画像形成装置1では、原稿自動送り装置2が原稿(図示せず)を原稿台ガラス3上に搬送する。原稿は、原稿台ガラス3上に載置された際に、例えばハロゲンランプ等にて構成される原稿照明ランプ4によって照明され、これによって原稿画像の読取が行われる。
【0031】
原稿照明ランプ4は、原稿からの反射光の軌道を変更するための走査ミラー5、6、7と共に、光学走査ユニット(図示せず)に保持される。光学走査ユニットは紙面と平行方向(図1における左右方向)へ往復運動を行い、これによって、原稿の全画像データが原稿照明ランプ4にて露光走査される。原稿からの反射光は、走査ミラー5、6、7を介して、光信号を電気信号に変換するためのCCDユニット8へ導かれる。
【0032】
CCDユニット8は、例えばCCD(Charge Coupled Device)等から構成される撮像素子9と、反射光を撮像素子9に結像するための結像レンズ10と、撮像素子9を駆動するCCDドライバ11とを備える。CCDユニット8では、反射光像に応じた、例えば8ビットのデジタルデータを、コントローラ部12に出力する。
【0033】
また画像形成装置1は、感光ドラム14と、前露光ランプ15と、一次帯電器16と、レーザユニット17と、現像器18とを備える。
【0034】
感光ドラム14は、円筒状または円柱状の潜像担持体である。前露光ランプ15は、感光ドラム14の外周面を除電して次なる画像形成に備える除電装置である。一次帯電器16は、感光ドラム14の外周面を所定電位分布にコロナ帯電により帯電せしめて潜像形成に備えるための帯電器である。レーザユニット17は、例えば半導体レーザ等により構成され、一次帯電器16の帯電処理を受けた感光ドラム14の外周面を、コントローラ部12から入力された画像データに基づき露光する。これによって、与えられた画像データに応じた静電潜像を感光ドラム14の外周面上に形成する。現像器18は、感光ドラム14の外周面上に形成された静電潜像に対して現像剤(トナー)を付与してトナー像を現像する現像手段である。
【0035】
さらに、感光ドラム14の周囲には、転写前帯電器19と、転写帯電器20と、分離帯電器21と、クリーナ22とが設けられる。
【0036】
転写前帯電器19は、転写前に、感光ドラム14の外周面上に形成されたトナー像に対して高圧を付与する。転写帯電器20は、例えばコロナ放電等にてトナー像を記録紙Pへと転写する。分離帯電器21は、転写処理の終了した記録紙Pを感光ドラム14の外周面から分離する。クリーナ22は、転写終了後に感光ドラム14の外周面上に残留した現像剤を除去して回収する。
【0037】
すなわち、複数枚の記録紙Pを例えばサイズごとに分類して収納する給紙ユニット23、24、25のいずれかから、記録紙Pが、タイミング調整を行うレジストローラ26を経て、感光ドラム14と転写帯電器20との間の転写領域に搬送される。転写領域に達した記録紙Pに対して、転写帯電器20のコロナ放電等により、感光ドラム14の外周面上のトナー像が転写される。その後、記録紙Pは、分離帯電器21により感光ドラム14の外周面から分離される。
【0038】
一方、転写処理の終了した感光ドラム14は、外周面上に残留した現像剤をクリーナ22により除去され、次の画像形成に備える。
【0039】
更に、画像形成装置1は、熱供給及び圧力付与により定着処理を行う定着器27と、上記転写領域にてトナー像を転写された記録紙Pを定着器27へと搬送する搬送ベルト28と、フラッパ29と、中間トレイ30と、ステイプルソータ31または製本装置(グルーバインダ)32とを備えている。
【0040】
フラッパ29は、コントロール部12の制御に従い、定着器27にて定着処理された記録紙Pを中間トレイ30またはステイプルソータ31(グルーバインダ32が備えられているときはグルーバインダ32)に送出するための選別器である。
【0041】
中間トレイ30は、搬送ローラ33、34、35、36を介して搬送されてきた記録紙Pを、同一面上に複数の画像を形成するモード、所謂、多重転写モードが実行されている場合には、表裏反転せずに再搬送ローラ37へと搬送する。一方、同一の記録紙Pの両面に画像を形成するモード、所謂、両面複写モードが実行されている場合には、表裏反転して再搬送ローラ37へと搬送するようになっている。
【0042】
再搬送ローラ37は、中間トレイ30から搬送されてきた記録紙Pをレジストローラ26へと搬送するようになっており、これによって、レジストローラ26に達した記録紙Pは、再度転写領域へと搬送されて転写処理が行われる。
【0043】
ステイプルソータ31は、複数枚の記録紙Pに対して同一画像を連続して形成するモード、所謂、連続複写モードが実行されているときなどに、定着処理後の複数枚の記録紙Pをビン31Aの各々に1枚ずつ仕分けする装置である。ステイプルソータ31が画像形成装置1に備えられている場合には、ステイプル部31Bが、コントローラ部12の制御に基づきステイプルの実行を行う。
【0044】
一方、グルーバインダ32は、定着処理の為された複数枚の記録紙Pを製本する装置であり、グルーバインダ32が画像形成装置1に備えられた場合には、バインダ部32Aが、コントロール部12の制御に基づき、定着処理の為された複数枚の記録紙Pより成る紙束に背表紙を糊付けして製本し、スタッカー32Bに貯える。
【0045】
図2は、コントローラ部12の内部構成を示すブロック図である。
【0046】
コントローラ部12は、画像形成装置1全体の制御を行なうとともに、ユーザによる操作パネル13の操作入力に従って、CCDユニット8から入力された画像データに対して画像処理を行う装置である。コントローラ部12は、CPU38と、ROM39と、RAM40と、I/Oポート41と、画像処理部42とを有している。
【0047】
CPU38は、画像形成装置1全体の制御を主として担う。ROM39は、画像形成装置1全体の制御手順を示す制御プログラムを記憶する。RAM40は、入力データの記憶や作業記憶領域の提供を行う。I/Oポート41は、画像形成装置1を構成する各種入出力装置とコントローラ部12との間のインターフェース処理を行う。画像処理部42は、ユーザの操作パネル13に対する操作入力に基づき、CCDユニット8から入力された画像データを画像処理する。
【0048】
コントローラ部12の有するCPU38のアドレスバス(図示せず)及びデータバス(図示せず)は、バスドライバ・アドレスデコーダ回路43を介してROM39、RAM40、I/Oポート41及び画像処理部42と接続される。
【0049】
I/Oポート41には、操作パネル13と、モータ類44と、電磁クラッチ類45と、電磁ソレノイド類46と、紙検知センサ類47と、トナー残量検知センサ48と、高圧ユニット51と、ビーム検知センサ52とが接続される。
【0050】
モータ類44、電磁クラッチ類45及び電磁ソレノイド類46は、画像形成装置1に備えられた光学走査ユニットなどを駆動する。紙検知センサ類47は、例えば上記転写領域へ搬送された記録紙Pを検知するためのセンサである。トナー残量検知センサ48は、現像器18のトナーの収容量を検知するためのセンサである。高圧ユニット51は、一次帯電器16、転写前帯電器19、転写帯電器20及び分離帯電器21へ高圧を出力する。ビーム検知センサ52は、感光ドラム14の外周面の非画像領域に設けられ、レーザユニット17から照射されたレーザビームLaを受光して検知するセンサである。
【0051】
図3は、画像処理部42の内部構成を示すブロック図である。
【0052】
画像処理部42にあっては、先ず、CCDユニット8より送られたデジタル画像信号に対して、シェーディング回路53が画素間のバラツキを補正し、変倍回路54が変倍処理を行う。すなわち、記録紙Pに画像を形成するモードが縮小コピーモードである場合には、画像データの間引き処理を行い、一方、拡大コピーモードの場合には、画像データの補間処理を行う。なお、シェーディング回路53からはエラー信号がI/Oポート41に対して出力される。
【0053】
変倍回路54から出力された画像データに対しては、エッジ強調回路55により、例えば5×5画素のウインドウで2次微分を行う等の方法で、画像のエッジが強調される。
【0054】
エッジ強調回路55にてエッジ強調された画像データは輝度データであり、レーザユニット17に画像データを出力するためには、これを濃度データに変換する必要がある。また、中間濃度等の画像の階調表現を記録紙Pに行うモードにも応じるために、γ変換回路56がテーブルサーチにより、輝度データから濃度データへの変換を行う。その後、2値化回路57により濃度データの2値化を行い、合成回路58に出力する。
【0055】
合成回路58は、2値化回路57から入力された画像データと、例えばDRAM等により構成される画像用のメモリ59に格納された画像データとを合成して、PWM回路60へ出力する。なお、メモリ制御部61は、メモリ59に対するリードライト制御を行う。
【0056】
PWM回路60は、合成回路58から入力された画像データに基づき、ユーザによる操作パネル13への操作入力に基づき設定された画像形成のモードに応じたパルス幅変調を行い、レーザユニット17へ出力する。
【0057】
図4は、操作パネル13の構成を示す平面図である。
【0058】
操作パネル13は、ユーザが手動操作にて入力した内容をコントローラ部12に伝えたり、ユーザに対して情報表示を行ったりするための装置である。操作パネル13から入力される操作内容としては、転写及び定着に関する動作モードの設定、画像形成が行われるシート状の転写材としての記録紙Pの枚数、記録紙Pに形成される画像の濃度等がある。
【0059】
操作パネル13は、タッチパネルで構成される表示部63と、テンキー64と、スタートキー65と、リセットキー66と、ストップキー67と、クリアキー68と、#キー69と、IDキー70と、余熱キー71と、割り込みキー72と、電源表示ランプ73と、電源スイッチ74とを有している。
【0060】
表示部63は、ユーザへ通知すべき情報がメッセージ等にて表示可能となっている。テンキー64は、ユーザがコピー枚数等を入力するためのキーである。
【0061】
スタートキー65は、画像形成装置1に画像形成の開始を指示するためのキーであり、リセットキー66は、モード等の設定を初期設定に戻すためのキーである。
【0062】
ストップキー67は、画像形成装置1の全動作を中断させるためのキーであり、クリアキー68は、テンキー64にて入力されたコピー枚数等を初期設定値に戻すためのキーである。
【0063】
#キー69は、画像形成装置1に付属するオプションにて使用するためのキーであり、IDキー70は、特定のユーザのみが操作できるようにする機能、所謂、ID機能を設定するためのキーである。
【0064】
余熱キー71は、余熱モードの設定を行うためのキーであり、割り込みキー72は、複写動作中に割り込んで別の画像形成を行わせるためのキーである。電源表示ランプ73は、画像形成装置1への通電が為されていないことを「光」にて知らせるものである。
【0065】
電源スイッチ74は、画像形成装置1のオン/オフをユーザが操作するためのスイッチである。
【0066】
図5は、レーザユニット17の構成を示す斜視図である。
【0067】
レーザユニット17は、コントローラ部12によって生成された画像データを光ビームに変換し、この光ビームを感光ドラム14上に走査露光して画像データに対応した潜像を形成するための装置である。
【0068】
レーザユニット17は、レーザ発光部101と、ポリゴンミラー102と、ポリゴンミラー102を回転させるためのポリゴンモータ103と、結像レンズ104と、反射ミラー105と、ビーム検知センサ52にレーザ発光部101からのレーザ光を入射させるためのBD反射ミラー107とを有している。反射ミラー105で反射されたレーザ光は感光ドラム14を露光走査し、感光ドラム14に潜像を形成する。
【0069】
レーザ発光部101は、80μm間隔で2つの発光部(Aレーザ、Bレーザ)をもつ半導体レーザであり、感光ドラム14上で2本のレーザ光の走査線間隔が所定の値となるように傾けて配置されている。
【0070】
次に、感光ドラム14の表面温度を所定温度に保持するための温度制御装置を説明する。
【0071】
図6は、感光ドラム14用の温度制御装置の構成を示すブロック図である。
【0072】
図6において、感光ドラム14の内部にヒータ901が設置される。ヒータ901の温度を一定に保持するための温度制御装置にはAC電源908およびAC/DC電源909(商用交流電源を直流電源に変換したもの)が設置される。ヒータ901にはAC電源908が供給されるが、その供給経路としては、サーマルリードスイッチ906を経由する経路と、トライアック905を経由する経路との2つがある。それらの2つの経路のうちの一方を選択するためにリレー907が使用される。リレー907はAC/DC電源909によって駆動され、AC/DC電源909がオンされて電力がリレー907に供給されたときだけ端子T2側に接続され、AC/DC電源909がオフされて電力が供給されないときは端子T1側に接続される。リレー907の端子T1にサーマルリードスイッチ906が接続され、端子T2にトライアック905が接続される。AC/DC電源909は、画像形成装置1に対する電源供給をオン/オフするための電源スイッチ74がオンであるときオンとなり、電源スイッチ74がオフであるときオフとなる。
【0073】
電源スイッチ74に対するユーザによるオフ操作によりAC/DC電源909がオフされた場合、リレー907が端子T1側に接続される。これによってサーマルリードスイッチ906にAC電源908が供給され、サーマルリードスイッチ906は、感光ドラム14の温度を検知して、該温度が所定温度となるように、ヒータ901へのAC電源供給のオン/オフ制御を行う。
【0074】
一方、AC/DC電源909は、リレー907の他、サーモパイル式温度センサ902と、受け回路903と、制御回路904とに接続される。サーモパイル式温度センサ902は、図9に示す赤外線検知方式の従来の温度センサと同じ構成であるとする。
【0075】
電源スイッチ74に対するユーザによるオン操作によりAC/DC電源909がオンされた場合、リレー907が端子T2側に接続される。そして、感光ドラム14に対向して配置されたサーモパイル式温度センサ902が、感光ドラム14の表面の温度を検知し、出力信号を受け回路903を介して制御回路904に送る。制御回路904では、サーモパイル式温度センサ902からの出力信号が示す温度が所定温度に達しているか否か判定して所定温度以下であれば、スイッチ手段であるトライアック905に通電を指示する。トライアック905は該指示に従い、AC電源908からヒータ901へ電力を供給し、感光ドラム14表面の温度を上昇させる。所定温度よりも高ければ、トライアック905に通電停止を指示し、トライアック905は、AC電源908からヒータ901へ電力供給を停止し、感光ドラム14表面の温度を下降させる。こうして、感光ドラム14表面の温度を所定温度に保持する。
【0076】
このように、電源スイッチ74がオフされて、画像形成装置1が非稼動状態にある時は、AC/DC電源909がオフされて、リレー907によりサーマルリードスイッチ906が選択される。サーマルリードスイッチ906による、感光ドラム14表面の温度制御の精度はサーモパイル式温度センサ902に比べて低いものの、画像形成装置1の非稼動時には感光ドラム14表面の温度制御の精度が高くなくてもよいので、問題はない。むしろ、画像形成装置1の非稼動時にAC/DC電源909がオフされているので、画像形成装置1の非稼動時における無駄な電力消費がない。
【0077】
これに対し、電源スイッチ74がオンされて、画像形成装置1が稼動状態になった時は、AC/DC電源909がオンされて、リレー907によりサーモパイル式温度センサ902を用いた温度制御が行われる。サーモパイル式温度センサ902を用いた温度制御は、サーマルリードスイッチ906を用いた温度制御よりも、特に温度検出精度において優れ、感光ドラム14表面の温度を高精度に保持することが可能となる。
【0078】
〔他の実施の形態〕
上記の実施の形態では、DC電源で動作する温度検出手段としてサーモパイル式温度センサ902を使用しているが、これに代わって、感光ドラム14からの対流熱を検知する非接触サーミスタやサーミスタ式非接触温度センサを使用するようにしてもよい。また、上記の実施の形態では、画像形成装置の非稼動時に感光ドラム14の温度制御を行う手段としてサーマルリードスイッチ906を使用したが、これに代わって、サーモスイッチを使用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態に係る温度制御装置を搭載した画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】コントローラ部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】操作パネルの構成を示す平面図である。
【図5】レーザユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】感光ドラム用の温度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の感光体温度制御装置の第1の構成例を示す図である。
【図8】従来の感光体温度制御装置の第2の構成例を示す図である。
【図9】赤外線検知方式の従来の温度センサの第1の構成例を示す図である。
【図10】赤外線検知方式の従来の温度センサの第2の構成例を示す図である。
【図11】図10に示すサーミスタ素子を用いた温度検出回路を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置(本体装置)
14 感光ドラム(被加熱体)
74 電源スイッチ
901 ヒータ(加熱手段)
902 サーモパイル式温度センサ(通電制御手段)
903 受け回路(通電制御手段)
904 制御回路(通電制御手段)
905 トライアック(第2の通電手段)
906 サーマルリードスイッチ(第1の通電手段)
907 リレー(切替手段)
908 AC電源(交流電源)
909 AC/DC電源(直流電源生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段によって加熱される被加熱体の温度を制御する温度制御装置において、
前記被加熱体が搭載された本体装置の電源スイッチのオン/オフに基づいて稼動/非稼動し、交流電源を基に直流電源を生成する直流電源生成手段と、
前記交流電源が供給されたとき、前記被加熱体の温度を検出し、該検出された温度に応じて前記加熱手段に前記交流電源からの通電/非通電を行う第1の通電手段と、
前記交流電源が供給されたとき、前記加熱手段に前記交流電源からの通電/非通電を行う第2の通電手段と、
前記直流電源生成手段から供給される直流電源により動作する通電制御手段であって、前記被加熱体の温度を検出し、該検出された温度に応じて前記第2の通電手段の通電/非通電を制御する通電制御手段と、
前記直流電源生成手段からの直流電源の供給に応じて動作する切替手段であって、該直流電源が供給されているときは、前記第2の通電手段に対して前記交流電源を供給し、前記直流電源が供給されていないときは、前記第1の通電手段に対して前記交流電源を供給する切替手段と
を有することを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記本体装置の電源スイッチのオン/オフに関係なく、前記交流電源を前記第1または第2の通電手段に対して供給することを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記本体装置は画像形成装置であり、前記被加熱体は感光体であることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記通電制御手段は、前記被加熱体の温度を検出するためにサーモパイル式温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記サーモパイル式温度センサは、サーモパイル素子とサーミスタとを含むことを特徴とする請求項4記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記通電制御手段は、前記被加熱体の温度を検出するためにサーミスタを備えることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記通電制御手段は、前記被加熱体の温度を検出するためにサーミスタ式非接触温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記第1の通電手段はサーマルリードスイッチであることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記第1の通電手段はサーモスイッチであることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−156179(P2007−156179A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352446(P2005−352446)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】