説明

温度差発電装置

【課題】高い発電効率を実現することが可能な温度差発電装置を提供する。
【解決手段】温度差発電装置1Aは、ヒートポンプ作動流体を圧縮する圧縮機31と、蒸発器12とタービン13Aとの間に設けられ、圧縮機31で圧縮されたヒートポンプ作動流体と蒸発器12で気化した発電作動流体とを熱交換することによって、発電作動流体を過熱してタービン13Aへ排出する過熱器32と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体を膨張させる膨張弁33と、膨張弁33から排出されたヒートポンプ作動流体と蒸発器32から排出された熱源流体とを熱交換することによって、ヒートポンプ作動流体を加熱して圧縮機31へ排出する熱回収器34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクル、カリーナサイクル、ウエハラサイクル等といった外燃機関の理論サイクルを用いた温度差発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出量削減、省エネの重要性が増してきている昨今、地下から汲み出した地熱水、各種工場から排出される温排水を熱源として用いた温度差発電や、海洋表層における比較的高温の温海水と海洋深層における比較的低温の冷海水との温度差を用いた温度差発電が行われるようになってきている。
特許文献1には、外燃機関の理論サイクルの一種であるランキンサイクルの熱効率を向上した、いわゆるカリーナサイクルを用いた温度差発電装置が記載されている。また、特許文献2には、カリーナサイクルの熱効率をさらに向上した、いわゆるウエハラサイクルを用いた温度差発電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−200607号公報
【特許文献2】特開平7−91361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の温度差発電装置は、熱源から供給される流体と発電作動流体とを蒸発器にて熱交換することによって発電作動流体を気化し、気化した発電作動流体がタービンを駆動することによって発電するようになっているが、蒸発器から排出されてタービンへ供給される発電作動流体の温度・圧力・エンタルピは、熱源から供給される流体の温度によって決まる。例えば、熱源から供給される流体の温度が25〜200℃の中低温である場合には、タービンへ供給される発電作動流体のエンタルピは小さく、タービン駆動前後での熱落差は小さくなるため、発電効率が低くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記した問題に鑑みて創案されたものであり、高い発電効率を実現することが可能な温度差発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の温度差発電装置は、熱源から供給される熱源流体と発電作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を気化する蒸発器と、前記蒸発器に前記発電作動流体を供給するポンプと、前記蒸発器で気化した前記発電作動流体によって駆動するタービンと、前記タービンの駆動によって発電を行う発電機と、前記タービンから排出された前記発電作動流体を凝縮して前記ポンプへ排出する凝縮器と、を備える温度差発電装置であって、ヒートポンプ作動流体を圧縮する圧縮機と、前記蒸発器と前記タービンとの間に設けられ、前記圧縮機で圧縮された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器で気化した前記発電作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を過熱して前記タービンへ排出する過熱器と、前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体を膨張させる膨張弁と、前記膨張弁から排出された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器から排出された前記熱源流体とを熱交換することによって、前記ヒートポンプ作動流体を加熱して前記圧縮機へ排出する熱回収器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によると、蒸発器で発電作動流体に与えることができなかった熱を、熱回収器でヒートポンプ作動流体に回収し、過熱器において発電作動流体に与えるので、タービン入口における発電作動流体のエンタルピを増大させ、発電効率を高めることができる。
【0008】
また、前記温度差発電装置は、前記ポンプと前記蒸発器との間に設けられ、前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器へ供給される前記発電作動流体とを熱交換することによって、前記ヒートポンプ作動流体を加熱して前記蒸発器へ排出する再生器をさらに備える構成であってもよい。
【0009】
かかる構成によると、再生器で予め加熱された発電作動流体を蒸発器へ供給するので、熱源から供給される熱源流体の流量を低減したり、より低温の熱源流体を用いたりすることができる。また、蒸発器12を小型化することができる。
【0010】
また、前記温度差発電装置は、前記タービンとして、直列に組まれた二つのタービンを備えるとともに、前記発電機として、前記二つのタービンにそれぞれ対応して設けられた二つの発電機を備え、前記凝縮器は、下流側の前記タービンと流体流通可能に接続されており、上流側の前記タービンから排出された前記発電作動流体と前記凝縮器で凝縮された前記発電作動流体とを熱交換し、熱交換されたこれらの前記発電作動流体を前記ポンプへ排出する加熱器と、上流側の前記タービンから排出された前記発電作動流体と前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を加熱して下流側の前記タービンへ排出する再熱器と、をさらに備える構成であってもよい。
【0011】
かかる構成によると、再熱器で再加熱された発電作動流体を下流側のタービンへ供給するので、下流側の発電機における発電効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度差発電装置において高い発電効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第五の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第六の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第七の実施形態に係る温度差発電装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。各図において、各構成を繋ぐ実線は、各流体が流通するパイプである。
【0015】
<第一の実施形態>
まず、本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置について、図1を参照して説明する。図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aは、ランキンサイクルを用いた装置であって、ランキンサイクル回路の構成要素として、ポンプ11Aと、蒸発器12と、タービン13Aと、発電機14Aと、凝縮器15と、タンク16Aと、を備えるとともに、ヒートポンプ回路の構成要素として、圧縮機31と、過熱器32と、膨張弁33と、熱回収器34と、を備える。
【0016】
≪ランキンサイクル回路≫
ポンプ11Aは、ランキンサイクル回路内の発電作動流体(例えば、低沸点媒体であるアンモニア、ペンタン等)の流れを発生するものであって、発電作動流体を蒸発器12へ供給する。
【0017】
すなわち、ポンプ11Aの下流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されている。
【0018】
蒸発器12は、加熱用の熱源H1から供給された中低温(25〜200℃。好ましくは、70〜200℃。)の熱源流体(例えば、工場から排出された排気ガス等)と、ポンプ11Aから供給された発電作動流体と、を熱交換することによって、発電作動流体を加熱して気化する熱交換器である。熱交換後、熱源流体は、熱回収器34へ排出され、気化した発電作動流体は、過熱器32を介してタービン13Aへ排出される。
【0019】
すなわち、蒸発器12は、熱源流体が流通する流路と、発電作動流体が流通する流路と、を備えており、熱源流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して熱源H1に流体流通可能に接続されており、熱源流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して熱回収器34に流体流通可能に接続されている。また、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してポンプ11Aに流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されている。
【0020】
タービン13Aは、蒸発器12から排出された発電作動流体(気化済み)によって回転駆動する翼状体である。タービン13Aを回転駆動させた発電作動流体は、凝縮器15へ排出される。
【0021】
すなわち、タービン13Aの上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、タービン13Aの下流側端部は、パイプを介して凝縮器15に流体流通可能に接続されている。
【0022】
発電機14Aは、タービン13Aに連結されており、タービンの回転によって発電を行う装置である。
【0023】
凝縮器15は、タービン13Aから排出された発電作動流体と、冷却用の熱源H2から供給される冷却用流体(例えば、海水、冷却塔水等)と、を熱交換することによって、発電作動流体を冷却して凝縮する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、タンク16Aへ排出される。
【0024】
すなわち、凝縮器15は、冷却用流体が流通する流路と、発電作動流体が流通する流路と、を備えており、冷却用流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して熱源H2に流体流通可能に接続されており、冷却用流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して外部装置に流体流通可能に接続されている。また、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してタービン13Aに流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介してタンク16Aに流体流通可能に接続されている。
【0025】
タンク16Aには、凝縮器15から排出された発電作動流体が一時貯留される。タンク16A内の発電作動流体は、ポンプ11Aの駆動によって汲み出され、再度蒸発器12へ供給される。
【0026】
すなわち、タンク16Aの上流側端部は、パイプを介して凝縮器15に流体流通可能に接続されており、タンク16Aの下流側端部は、パイプを介してポンプ11Aに流体流通可能に接続されている。
【0027】
≪ヒートポンプ回路≫
圧縮機31は、ヒートポンプ回路内のヒートポンプ作動流体(例えば、アンモニア、二酸化炭素等)の流れを発生するものであって、ヒートポンプ作動流体を圧縮し、蒸発器12で気化した発電作動流体よりも高温にして過熱器32へ供給する。
【0028】
すなわち、圧縮機31の下流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されている。
【0029】
過熱器32は、圧縮機31から供給されるヒートポンプ作動流体と、蒸発器12から排出された発電作動流体と、を熱交換することよって、蒸発器12で気化した発電作動流体をさらに過熱する熱交換器である。熱交換後、ヒートポンプ作動流体は、膨張弁33へ排出され、発電作動流体は、タービン13Aへ排出される。
【0030】
すなわち、過熱器32は、ヒートポンプ作動流体が流通する流路と、発電作動流体が流通する流路と、を備えており、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して圧縮機31に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されている。また、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介してタービン13Aに流体流通可能に接続されている。
【0031】
膨張弁33は、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体を減圧して膨張(体積増加)させる弁である。膨張後、ヒートポンプ作動流体は、熱回収器34へ排出される。
【0032】
すなわち、膨張弁33の上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、膨張弁33の下流側端部は、パイプを介して熱回収器34に流体流通可能に接続されている。
【0033】
熱回収器34は、蒸発器12から排出された熱源流体と、膨張弁33から排出されたヒートポンプ作動流体と、を熱交換することによって、ヒートポンプ作動流体を加熱するとともに熱源流体を冷却する熱交換器である。熱交換後、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31へ排出され、熱源流体は、外部へ排出される。
【0034】
すなわち、熱回収器34は、熱源流体が流通する流路と、ヒートポンプ作動流体が流通する流路と、を備えており、熱源流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されており、熱源流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して外部装置に流体流通可能に接続されている。また、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して圧縮機31に流体流通可能に接続されている。
【0035】
本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→蒸発器12→過熱器32→タービン13A→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にランキンサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0036】
圧縮機31の圧縮効率が70%、タービン13A及び発電機14Aの発電効率が10%の場合には、ヒートポンプ回路の成績係数を14.3(=1÷0.7÷0.1)以上とする必要があり、この場合には、過熱器32へ供給されるヒートポンプ作動流体の温度を41℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を20℃、とすることによって温度差発電装置1Aを作動させることができる。
【0037】
なお、本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aは、発電作動流体としてアンモニアを用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を85.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を110.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を80.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を75.0℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を105.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のランキンサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で203.0の発電効率を得ることができる。
また、本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aは、発電作動流体としてアンモニアを用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を85.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を120.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を82.6℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を75.0℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を115.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のランキンサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で230.9の発電効率を得ることができる。
【0038】
本発明の第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aは、蒸発器12で発電作動流体に与えることができなかった熱を、熱回収器34でヒートポンプ作動流体に回収し、過熱器32において発電作動流体に与えるので、タービン13A入口における発電作動流体のエンタルピを増大させ、発電効率を高めることができる。
【0039】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置について、第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aとの相違点を中心に、図2を参照して説明する。図2に示すように、本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置1Bは、ランキンサイクルを用いた装置であって、ヒートポンプ回路の構成要素として、再生器35をさらに備える。
【0040】
再生器35は、ポンプ11Aから排出された発電作動流体と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体と、を熱交換することによって、発電作動流体を加熱する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、蒸発器12へ排出され、ヒートポンプ作動流体は、膨張弁33へ排出される。
【0041】
すなわち、再生器35は、発電作動流体が流通する流路と、ヒートポンプ作動流体が流通する流路と、を備えており、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してポンプ11Aに流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されている。また、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されている。
【0042】
本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置1Bにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器35→蒸発器12→過熱器32→タービン13A→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にランキンサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→再生器35→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0043】
なお、本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置1Bは、発電作動流体としてアンモニアを用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を85.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を110.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を80.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を75.0℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を105.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のランキンサイクルを用いた発電装置の発電効率を100として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で203.0の発電効率を得ることができる。
また、本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置1Bは、発電作動流体としてアンモニアを用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を85.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を120.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を82.6℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を75.0℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を115.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のランキンサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で230.7の発電効率を得ることができる。
【0044】
本発明の第二の実施形態に係る温度差発電装置1Bは、再生器35で予め加熱された発電作動流体を蒸発器12へ供給するので、熱源H1から供給される熱源流体の流量を低減したり、より低温の熱源流体を用いたりすることができる。また、蒸発器12を小型化することができる。
【0045】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置について、第一の実施形態に係る温度差発電装置1Aとの相違点を中心に、図3を参照して説明する。図3に示すように、本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cは、カリーナサイクルを用いた装置であって、カリーナサイクル回路の構成要素として、気液分離器17と、再生器18と、減圧弁19と、吸収器20と、をさらに備える。すなわち、ランキンサイクル回路にこれらの構成要素を追加したものが、カリーナサイクル回路である。
【0046】
気液分離器17は、蒸発器12から排出された発電作動流体を、気体と液体とに分離するものである。分離後、気体(発電作動流体)は、過熱器32へ排出され、液体(発電作動流体)は、再生器18へ排出される。
【0047】
すなわち、気液分離器17の上流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されており、気液分離器17の下流側端部は、パイプを介して過熱器32及び再生器18に流体流通可能に接続されている。
【0048】
再生器18は、ポンプ11Aから排出された発電作動流体と、気液分離器17から排出された液体(発電作動流体)と、を熱交換することによって、発電作動流体を加熱する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、蒸発器12へ排出され、液体(発電作動流体)は、減圧弁19へ排出される。
【0049】
すなわち、再生器18は、発電作動流体が流通する流路と、液体(発電作動流体)が流通する流路と、を備えており、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してポンプ11Aに流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されている。また、液体(発電作動流体)用の流路の上流側端部は、パイプを介して気液分離器17に流体流通可能に接続されており、液体(発電作動流体)用の流路の下流側端部は、パイプを介して減圧弁19に流体流通可能に接続されている。
【0050】
減圧弁19は、再生器18から排出された液体を減圧する弁である。減圧後、液体(発電作動流体)は、吸収器20へ排出される。
【0051】
すなわち、減圧弁19の上流側端部は、パイプを介して再生器18に流体流通可能に接続されており、減圧弁19の下流側端部は、パイプを介して吸収器20に流体流通可能に接続されている。
【0052】
吸収器20は、減圧弁19から排出された液体(発電作動流体)をタービン13Aから排出された発電作動流体に吸収するものである。吸収後、発電作動流体は、凝縮器15へ排出される。
【0053】
すなわち、吸収器20の上流側端部は、パイプを介してタービン13A及び減圧弁19に流体流通可能に接続されており、吸収器20の下流側端部は、パイプを介して凝縮器15に流体流通可能に接続されている。
【0054】
本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13A→吸収器20→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、又は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→再生器18→減圧弁19→吸収器20→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にカリーナサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0055】
なお、本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cは、発電作動流体としてアンモニアと水との混合物を用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を28.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を60.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を40.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を25.6℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を55.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のカリーナサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で176.0の発電効率を得ることができる。
また、本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cは、発電作動流体としてアンモニアと水との混合物を用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を28.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を70℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を40.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を25.6℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を65.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のカリーナサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で194.1の発電効率を得ることができる。
【0056】
本発明の第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cは、再生器18で予め加熱された発電作動流体を蒸発器12へ供給するので、熱源H1から供給される熱源流体の流量を低減したり、より低温の熱源流体を用いたりすることができる。
【0057】
<第四の実施形態>
続いて、本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置について、第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cとの相違点を中心に、図4を参照して説明する。図4に示すように、本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置1Dは、カリーナサイクルを用いた装置であって、ヒートポンプ回路の構成要素として、再生器35をさらに備える。
【0058】
再生器35は、再生器18から排出された発電作動流体と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体と、を熱交換することによって、発電作動流体を加熱する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、蒸発器12へ排出され、ヒートポンプ作動流体は、膨張弁33へ排出される。
【0059】
すなわち、再生器35は、発電作動流体が流通する流路と、ヒートポンプ作動流体が流通する流路と、を備えており、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して再生器18に流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されている。また、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されている。
【0060】
本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置1Dにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器18→再生器35→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13A→吸収器20→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、又は、ポンプ11A→再生器18→再生器35→蒸発器12→気液分離器17→再生器18→減圧弁19→吸収器20→凝縮器15→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にカリーナサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→再生器35→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0061】
なお、本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置1Dは、発電作動流体としてアンモニアと水との混合物を用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を28.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を60.0℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を40.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を25.6℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を55.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のカリーナサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いても、最大で178.2の発電効率を得ることができる。
また、本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置1Dは、発電作動流体としてアンモニアと水との混合物を用いるとともにヒートポンプ作動流体としてアンモニアを用い、蒸発器12に供給される熱源流体の温度を28.0℃、過熱器32に供給されるヒートポンプ作動流体の温度を70℃、過熱器32から排出されるヒートポンプ作動流体の温度を40.0℃、過熱器32に供給される発電作動流体の温度を25.6℃、過熱器32から排出される発電作動流体の温度を65.0℃としたとき、(ヒートポンプ回路を有していない従来のカリーナサイクルを用いた発電装置の発電効率を100.0として換算したところ、)圧縮機31での使用電力を差し引いて、最大で196.2の発電効率を得ることができる。
【0062】
本発明の第四の実施形態に係る温度差発電装置1Dは、再生器35で予め加熱された発電作動流体を蒸発器12へ供給するので、熱源H1から供給される熱源流体の流量を低減したり、より低温の熱源流体を用いたりすることができる。また、蒸発器12を小型化することができる。
【0063】
<第五の実施形態>
続いて、本発明の第五の実施形態に係る温度差発電装置について、第三の実施形態に係る温度差発電装置1Cとの相違点を中心に、図5を参照して説明する。図5に示すように、本発明の第五の実施形態に係る温度差発電装置1Eは、ウエハラサイクルを用いた装置であって、ウエハラサイクル回路の構成要素として、タービン13Eと、発電機14Eと、タンク16Eと、ポンプ11Eと、加熱器21と、をさらに備える。すなわち、カリーナサイクル回路にこれらの構成要素を追加したものが、ウエハラサイクル回路である。
【0064】
タービン13Eは、タービン13Aよりも上流側に設けられており、過熱器32から排出された発電作動流体によって回転駆動する翼状体である。タービン13Eを回転駆動させた発電作動流体の一部は、下流側のタービン13Aへ排出され、他部は、加熱器21へ排出される。
【0065】
すなわち、タービン13Eの上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、タービン13Eの下流側端部は、パイプを介してタービン13A及び加熱器21に流体流通可能に接続されている。
【0066】
発電機14Eは、タービン13Eに連結されており、タービンの回転によって発電を行う装置である。
【0067】
タンク16Eには、凝縮器15から排出された発電作動流体が一時貯留される。
【0068】
すなわち、タンク16Eの上流側端部は、パイプを介して凝縮器15に流体流通可能に接続されており、タンク16Eの下流側端部は、パイプを介してポンプ11Eに流体流通可能に接続されている。
【0069】
ポンプ11Eは、ポンプ11Aとともにウエハラサイクル回路内の発電作動流体の流れを発生するものであって、タンク16E内の発電作動流体を汲み出して加熱器21へ供給する。
【0070】
すなわち、ポンプ11Eの上流側端部は、パイプを介してタンク16Eに流体流通可能に接続されており、ポンプ11Eの下流側端部は、パイプを介して加熱器21に流体流通可能に接続されている。
【0071】
加熱器21は、タービン13Eから排出された発電作動流体と、ポンプ16Eから排出された発電作動流体と、を熱交換することによって、これらの温度差を低減する熱交換器である。熱交換後、これらの発電作動流体は、ともにタンク16Aへ排出される。
【0072】
すなわち、加熱器21は、タービン13Eから排出された発電作動流体が流通する流路と、ポンプ11Eから排出された発電作動流体が流通する流路と、を備えており、タービン13Eから排出された発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してタービン13Eに流体流通可能に接続されており、タービン13Eから排出された発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介してタンク16Aに流体流通可能に接続されている。また、ポンプ11Eから排出された発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してポンプ11Eに流体流通可能に接続されており、ポンプ11Eから排出された発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介してタンク16Aに流体流通可能に接続されている。
【0073】
本発明の第五の実施形態に係る温度差発電装置1Eにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→タービン13A→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、又は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→再生器18→減圧弁19→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にウエハラサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0074】
本発明の第五の実施形態に係る温度差発電装置1Eは、タービン及び発電機を二組(上流側のタービン13E及び発電機14E、下流側のタービン13A及び発電機14A)設けたので、発電効率をさらに高めることができる。
【0075】
<第六の実施形態>
続いて、本発明の第六の実施形態に係る温度差発電装置について、第五の実施形態に係る温度差発電装置1Eとの相違点を中心に、図6を参照して説明する。図6に示すように、本発明の第六の実施形態に係る温度差発電装置1Fは、ウエハラサイクルを用いた装置であって、ヒートポンプ回路の構成要素として、再生器35をさらに備える。
【0076】
再生器35は、再生器18から排出された発電作動流体と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体と、を熱交換することによって、発電作動流体を加熱する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、蒸発器12へ排出され、ヒートポンプ作動流体は、膨張弁33へ排出される。
【0077】
すなわち、再生器35は、発電作動流体が流通する流路と、ヒートポンプ作動流体が流通する流路と、を備えており、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して再生器18に流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して蒸発器12に流体流通可能に接続されている。また、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されている。
【0078】
本発明の第六の実施形態に係る温度差発電装置1Fにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器18→再生器35→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→タービン13A→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、ポンプ11A→再生器18→再生器35→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、又は、ポンプ11A→再生器18→再生器35→蒸発器12→気液分離器17→再生器18→減圧弁19→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にウエハラサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→再生器35→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0079】
本発明の第六の実施形態に係る温度差発電装置1Fは、再生器35で予め加熱された発電作動流体を蒸発器12へ供給するので、熱源H1から供給される熱源流体の流量を低減したり、より低温の熱源流体を用いたりすることができる。また、蒸発器12を小型化することができる。
【0080】
<第七の実施形態>
続いて、本発明の第七の実施形態に係る温度差発電装置について、第五の実施形態に係る温度差発電装置1Eとの相違点を中心に、図7を参照して説明する。図7に示すように、本発明の第七の実施形態に係る温度差発電装置1Gは、ウエハラサイクルを用いた装置であって、ヒートポンプ回路の構成要素として、再熱器36をさらに備える。
【0081】
再熱器36は、上流側のタービン13Eから排出された発電作動流体と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体と、を熱交換することによって、発電作動流体を再加熱する熱交換器である。熱交換後、発電作動流体は、タービン14Eへ排出され、ヒートポンプ作動流体は、膨張弁33へ排出される。
【0082】
すなわち、再熱器36は、タービン13Eから排出された発電作動流体が流通する流路と、過熱器32から排出されたヒートポンプ作動流体が流通する流路と、を備えており、発電作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介してタービン13Eに流体流通可能に接続されており、発電作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介してタービン13Aに流体流通可能に接続されている。また、ヒートポンプ作動流体用の流路の上流側端部は、パイプを介して過熱器32に流体流通可能に接続されており、ヒートポンプ作動流体用の流路の下流側端部は、パイプを介して膨張弁33に流体流通可能に接続されている。
【0083】
本発明の第七の実施形態に係る温度差発電装置1Gにおいて、熱源H1から供給される熱源流体は、蒸発器12→熱回収器34の順に流れて外部へ排出される。また、熱源H2から供給される冷却用流体は、凝縮器15を流れて外部へ排出される。また、発電作動流体は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→再熱器36→タービン13A→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→過熱器32→タービン13E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順、又は、ポンプ11A→再生器18→蒸発器12→気液分離器17→再生器18→減圧弁19→吸収器20→凝縮器15→タンク16E→ポンプ11E→加熱器21→タンク16A→ポンプ11A→・・・の順にウエハラサイクル回路内を循環する。また、ヒートポンプ作動流体は、圧縮機31→過熱器32→再熱器36→膨張弁33→熱回収器34→圧縮機31→・・・の順にヒートポンプ回路内を循環する。
【0084】
本発明の第七の実施形態に係る温度差発電装置1Fは、再熱器36で再加熱された発電作動流体を下流側のタービン13Aへ供給するので、下流側の発電機14Aにおける発電効率を高めることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、第六の実施形態の温度差発電装置1Fに、第七の実施形態の温度差発電装置1Gにおける再熱器36を追加することができる。また、温度差発電装置1A〜1Gは、工場から排出された排気ガス、温排水等を熱源流体として用いる発電だけでなく、海洋表層における比較的高温の温海水を熱源流体として用いるとともに海洋深層における比較的低温の冷海水を冷却用流体として用いる海洋温度差発電、地下から汲み出した地熱、蒸気等を熱源流体として用いる地熱発電等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G 温度差発電装置
11A,11E ポンプ
12 蒸発器
13A,13E タービン
14A,14E 発電機
15 凝縮器
16A,16E タンク
17 気液分離器
18 再生器
19 減圧弁
20 吸収器
21 加熱器
31 圧縮機
32 過熱器
33 膨張弁
34 熱回収器
35 再生器
36 再熱器
H1,H2 熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源から供給される熱源流体と発電作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を気化する蒸発器と、
前記蒸発器に前記発電作動流体を供給するポンプと、
前記蒸発器で気化した前記発電作動流体によって駆動するタービンと、
前記タービンの駆動によって発電を行う発電機と、
前記タービンから排出された前記発電作動流体を凝縮して前記ポンプへ排出する凝縮器と、
を備える温度差発電装置であって、
ヒートポンプ作動流体を圧縮する圧縮機と、
前記蒸発器と前記タービンとの間に設けられ、前記圧縮機で圧縮された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器で気化した前記発電作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を過熱して前記タービンへ排出する過熱器と、
前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体を膨張させる膨張弁と、
前記膨張弁から排出された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器から排出された前記熱源流体とを熱交換することによって、前記ヒートポンプ作動流体を加熱して前記圧縮機へ排出する熱回収器と、
を備えることを特徴とする温度差発電装置。
【請求項2】
前記ポンプと前記蒸発器との間に設けられ、前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体と前記蒸発器へ供給される前記発電作動流体とを熱交換することによって、前記ヒートポンプ作動流体を加熱して前記蒸発器へ排出する再生器をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の温度差発電装置。
【請求項3】
前記タービンとして、直列に組まれた二つのタービンを備えるとともに、前記発電機として、前記二つのタービンにそれぞれ対応して設けられた二つの発電機を備え、
前記凝縮器は、下流側の前記タービンと流体流通可能に接続されており、
上流側の前記タービンから排出された前記発電作動流体と前記凝縮器で凝縮された前記発電作動流体とを熱交換し、熱交換されたこれらの前記発電作動流体を前記ポンプへ排出する加熱器と、
上流側の前記タービンから排出された前記発電作動流体と前記過熱器から排出された前記ヒートポンプ作動流体とを熱交換することによって、前記発電作動流体を加熱して下流側の前記タービンへ排出する再熱器と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温度差発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−208569(P2011−208569A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76886(P2010−76886)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】