説明

温度応動弁

【課題】 弁口のシール面と弁体との間に噛み込んだ異物を取除くことができる温度応動弁を提供する。
【解決手段】 入口1と出口2を有する本体3に蓋4をねじ結合して内部に弁室5を有する弁ケーシングを形成する。弁室5と出口2の間に弁口8を形成する。弁室5内に感温部材としてのバイメタル積層体26と弁体13を配置する。バイメタル積層体26の変形作用で弁体13を駆動して弁口8を開閉する。本体3に外部から進退操作可能に弁部材30をねじ結合する。弁部材30は弁口8を出口2側から開閉する。弁部材30の外部に突出する下部の下端面にドライバー等の工具の先端が嵌る切割32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被制御流体で加熱冷却され、その温度に応じて変形する感温部材により弁口を開閉する温度応動弁に関する。本発明の温度応動弁は所定温度以下の流体を系外に排出する場合に用いられ、特に所定温度以下の復水を自動的に排出する温調トラップとして用いる場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温度応動弁は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁室と出口を連通する弁口を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口の弁室側を開閉するものである。
【0003】
上記従来の温度応動弁においては、弁体が離着座して開閉する弁口のシール面と弁体との間に流体中のゴミやスケール等の異物を噛み込むと、弁体が弁口を完全シールする全閉位置に変位できず、排出すべきでない所定温度以上の流体を漏出してしまうという問題点があった。
【特許文献1】特許第2709533号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、弁口のシール面と弁体との間に噛み込んだ異物を取除くことができる温度応動弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁室と出口を連通する弁口を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口の弁室側を開閉するものにおいて、外部から進退操作して弁口を出口側から開閉する弁部材を弁口の出口側に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、弁部材を操作して弁口の出口側を閉じることにより、排出すべきでない所定温度以上の流体の漏出が防がれると共に、弁部材を操作して弁口の出口側を開けることにより、弁口のシール面の異物を取除くことができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の温度応動弁は、外部から進退操作して弁口を出口側から開閉する弁部材を弁口の出口側に設けたものである。そのため、弁口のシール面と弁体との間に噛み込んだ異物を取除く場合、弁部材を外部から操作して弁口の出口側を閉じることにより、排出すべきでない所定温度以上の流体の漏出が防がれると共に、放熱により弁室内の温度を低下させることができる。そのため、感温部材の変形作用で弁体が駆動されて弁口の弁室側が開けられる。その後弁部材を外部から操作して弁口の出口側を開けることにより、弁室内の所定温度以下の流体が弁口のシール面の異物を取除きながら一気に出口に排出される。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。入口1と出口2を有する本体3に蓋4をねじ結合して内部に弁室5を有する弁ケーシングを形成する。弁室5には入口1が通孔6を通して連通し、出口2が弁体嵌合孔7と弁口8と通孔9を通して連通する。弁体嵌合孔7と弁口8は本体3にねじ結合した弁座部材10に形成する。弁室5内に入口1から流入する流体の流れ方向を規制し、流体中の異物を捕捉するスクリーン11を配置する。弁口8に対向して弁軸12を配置する。弁軸12の下端には弁口8を開閉する円錐状の弁体13を一体に設ける。
【0009】
弁軸12の上端側は蓋4にOリング16を介して進退調節可能にねじ結合した調節棒17の弁軸嵌合孔18に変位自在に嵌合する。弁体嵌合孔7と弁口8と弁軸嵌合孔18は同一軸上に形成する。調節棒17の上部は蓋4から突出し、その上端面にドライバー等の工具の先端が嵌る切割19を設ける。調節棒17の突出部にはロックナット20を取付けて緩み止めを行い、キャップ21で覆う。弁軸12の中央部にばね受け24を固定し、断面ほぼU字状で中央孔と上端の外側に鍔部を設けた中間部材25を、中央孔を弁軸12に変位自在にばね受け24の下端面に当接させて嵌合する。弁軸12の周りで、調節棒17の下端面と中間部材25の鍔部の間に感温部材としてのバイメタル積層体26と平座金27を配置する。バイメタル積層体26はバイメタルディスクを湾曲方向を変えて組み合わせた2枚で一対とし、それを複数対重ねたものである。ばね受け24の上端面と平座金27の下端面の間にばね受け24を弁口8方向に付勢する弁体付勢ばね28を配置する。中間部材25の鍔部と弁室5の底壁の間に復帰ばね29を配置する。本体3に外部から進退操作可能に弁部材30をOリング31を介してねじ結合する。弁部材30は弁座部材10と同一軸上に本体3を貫通し、弁口8を出口2側から開閉する。弁部材30の外部に突出する下部の下端面にドライバー等の工具の先端が嵌る切割32を設ける。弁部材30の突出部にはロックナット33を取付けて緩み止めを行う。
【0010】
流体は入口1から通孔6とスクリーン11を通って弁室5に入り、バイメタル積層体26の周りを流れ、弁体嵌合孔7と弁口8から通孔9を通って出口2に流出する。バイメタル積層体26は周囲の流体の温度が上昇して高温に加熱されると、各バイメタルディスクが湾曲してその度合が大きくなり、平座金27と中間部材25を介して復帰ばね29を圧縮しながら積層方向に伸張する。これに伴い、中間部材25と弁軸12が弁口8方向に変位し、次第に弁口8の開度が小さくなり、終わりには弁体13が弁口8を閉じる。弁体13が弁口8を閉じた後、更に高温の流体が弁室5に流入すると、バイメタル積層体26は復帰ばね29と弁体付勢ばね28を圧縮しながら更に伸張する。このとき、中間部材25は弁口8方向に変位するが、弁軸12は変位しない。弁室5の流体の温度が低下すれば、バイメタル積層体26は湾曲力が小さくなり、復帰ばね29で中間部材25を介して押し戻される。これに伴い、中間部材25と弁軸12が弁口8から離れる方向に変位し、弁体13が弁口8を開き、弁室5の流体が出口2に排出される。
【0011】
排出すべき流体の温度を変更する場合、キャップ21を取外して調節棒17を回転させる。調節棒17をねじ込めば排出すべき流体の温度が低くなり、調節棒17をねじ上げれば排出すべき流体の温度が高くなる。また、弁口8のシール面と弁体13との間に噛み込んだ異物を取除く場合、弁部材30をねじ込んで弁口8の出口2側を閉じる。これにより、排出すべきでない所定温度以上の流体の漏出が防がれ、放熱により弁室5内の温度が低下し、弁体13が弁口8の弁室5側を開ける。その後弁部材30後退させて弁口8の出口2側を開けることにより、弁室5内の所定温度以下の流体が弁口8のシール面の異物を取除きながら一気に出口2に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の温度応動弁の断面図。
【符号の説明】
【0013】
1 入口
2 出口
3 本体
4 蓋
5 弁室
7 弁体嵌合孔
8 弁口
10 弁座部材
12 弁軸
13 弁体
17 調節棒
18 弁軸嵌合孔
26 バイメタル積層体
30 弁部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁室と出口を連通する弁口を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口の弁室側を開閉するものにおいて、外部から進退操作して弁口を出口側から開閉する弁部材を弁口の出口側に設けたことを特徴とする温度応動弁。


【図1】
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【公開番号】特開2007−162888(P2007−162888A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362406(P2005−362406)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】