説明

温感化粧料

【課題】 均一に充分な熱量を付与できる温感付与化粧料を提供する。
【解決手段】 破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用することを特徴とする、化粧料を提供する。前記酸反応性粉体としては、シリコーン処理酸化マグネシウムが好ましく、前記の酸としては、クエン酸が好ましく、酸を含有する水性組成物において、pHが3〜5に調整ておくことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、温感化粧料に好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
温感化粧料は、化粧料の延展時に皮膚に冷感刺激を与えないことから、施術による心地よさへの到達を促進させる作用が存し、エステティックのパックや施術媒体として、近頃多用されるようになっている。この様な温感化粧料としては、多価アルコールの水和熱を利用したものと、酸化マグネシウム等の酸反応性粉体と酸の水溶液と反応させ、発生する反応熱を利用するものとが存する。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3,特許文献4を参照)多価アルコールの水和を利用したものは、温度コントロールが容易であるが、発生する熱量に限りがあり、酸反応性粉体と酸との反応熱を利用するものは、発生熱量は充分であるが、粉体と液体の反応であるため、熱分布の均一性に未だ改良の余地が存した。即ち、均一に充分な熱量を付与できる温感付与化粧料の開発が望まれていたと言える。
【0003】
一方、支持体に化粧料を含浸させて、しかる後に適用箇所に貼付する化粧料は既に知られており、包装形態に於いて、化粧料と支持体を組み合わせて包装させる技術も知られている。(例えば、特許文献5を参照)用時に混合して用いる化粧料についても知られている。(例えば、特許文献6、特許文献7を参照)しかしながら、破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用するは、全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−131413号公報
【特許文献2】特開2003−081765号公報
【特許文献3】特開2001−019606号公報
【特許文献4】特開2004−175673号公報
【特許文献5】特開2000−70035号公報
【特許文献6】特開2003−54576号公報
【特許文献7】特開2003−206216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、均一に充分な熱量を付与できる温感付与化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、均一に充分な熱量を付与できる温感付与化粧料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用する化粧料が、この様な特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用することを特徴とする、化粧料。
(2)前記酸反応性粉体として、シリコーン処理酸化マグネシウムを含有することを特徴とする、(1)に記載の化粧料。
(3)酸としてクエン酸を含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)酸を含有する水性組成物において、pHが3〜5に調整されていることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の化粧料。
(5)更に、酸反応性粉体とともに、水和熱発生粉体を含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧料。
(6)前記水和熱発生粉体が、ゼオライトであることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の化粧料。
(7)皮膚上への適用に於いて、支持体に含浸させて、しかる後該含浸支持体を皮膚上に貼付して行うことを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の化粧料。
(8)前記支持体が、不織布であることを特徴とする、(7)に記載の化粧料。
(9)前記支持体が、全顔を覆うものであることを特徴とする、(7)又は(8)に記載の化粧料。
(10)エステティック用のパック料であることを特徴とする、(1)〜(9)何れか1項に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、この様な状況下為されたものであり、均一に充分な熱量を付与できる温感付与化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の化粧料は、破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用することを特徴とする。
【0009】
ここで、破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アルミニウムなどの金属の薄膜の1層乃至は2層以上を積層したフィルムのような、応力に応じて形状を自由に変えうる材料であって、実質的に水を通過させない水密性の性質を有する材料を袋状などの内包性包装体に加工した包装形態に於いて、化粧料などの内容物を保持する内包性部分に内包性部分を独立させる仕切を有し、該仕切によって、それぞれの独立した部分の被充填物が、互いに混じり合わない構造であって、該仕切の強度が、外部包装形態を構成する薄膜より低く、外部包装形態に圧力を負荷することにより、仕切が破壊され、仕切によって隔てられていた被充填物が混合可能の状態になる構造の包装形態を意味する。前記可変形性水密包装形態としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アルミニウムなどの金属の薄膜を2層以上積層した、所謂ラミネート・フィルムを用いることが好ましい。又、仕切は前記外層包装形態よりも、強度の低いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の1層乃至は2層以上を積層した薄膜を用いたり、外層包装形態の内包壁を、内部充填物が互いに混合しない程度の強度であって、外層包装形態の強度より低い強度で融着させて構成させることなどが好ましく例示できる。この様な仕切によって生ずる、内容物を保持する独立した収納部位であるセルの数は特に限定されない。これは、1つの仕切があれば、2つのセルが必然的に生ずるが、2つのセルが存在すれば、独立させるべき、酸反応性粉体を含有する組成物と、酸を含有する水性組成物とを、互いに混合しない状態で独立して充填、保持させることが出来るからである。これに付加的にセルの数を増やし、独立させる組成物の種類を増やすことも出来るが、セルの数が多くなると、使用時に破壊すべき仕切の数が増えるので、仕切1つで、2つのセルを有する形態が好ましく例示できる。
【0010】
セルの1つに充填、内包される酸反応性粉体を含有する組成物において、該組成物を構成する酸反応性粉体としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが例示できる。特に好ましいものは、酸化マグネシウムである。これらは、そのまま使用することも出来るし、シリコーン処理、シリル化処理、金属石鹸被覆処理、リン脂質被覆処理、アシル化アミノ酸塩被覆処理などの表面処理を行って含有させることも出来る。好ましいものは、表面処理を行って含有させる形態であり、前記表面処理としては、シリコーン処理が好ましく例示でき、好ましいシリコーン処理としては、例えば、0.5〜10質量%のハイドロジェンメチルポリシロキサンを、所望により溶剤で希釈し、被覆した後、200〜400℃で1〜72時間焼き付けた、所謂シリコーン処理が好ましく例示できる。この様な処理を行うことにより、反応を緩和に進めることが出来、以て、エステティックなどの化粧処置に好ましい温度を長時間持続させることが出来る。かかる酸反応性粉体は、唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。特に好ましいのは、前記シリコーン処理を行った酸化マグネシウムを含有する形態である。酸反応性粉体が前記シリコーン処理を施した酸化マグネシウムからなることが特に好ましい。本発明の化粧料に於ける、シリコーン処理を施したマグネシウムの好ましい含有量は、使用時の混合形態の化粧料組成物全量に対して、1〜15質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。本発明の化粧料に於ける、かかる酸反応性粉体の好ましい含有量は、使用時の混合形態の化粧料組成物全量に対して、1〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%である。これはかかる酸反応性粉体が少なすぎると、発生する熱量が不充分な場合が存し、多すぎると、温度が高くなりすぎたり、温度分布が不均一になったりする場合が存するためである。
【0011】
セルの1つに充填、内包される酸を含有する水性組成物において、これを構成する酸としては、水溶性で固体のものが好ましく、中でも固体の有機酸が特に好ましい。具体的には、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、酒石酸などが好ましく例示でき、クエン酸が特に好ましい。これは、通常の鉱酸を用いると、反応速度が速くなりすぎて温度が高くなりすぎる場合が存するからである。かかる酸は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。又、反応速度を調整する意味で、組成物のpHを4〜5に緩衝しておくことも好ましい。緩衝の方法としては、緩衝塩を加える方法と、酸を多めに加えて、これをアルカリ部分的に中和しておく方法が存し、後者の方がpHを調整しやすい点で好ましい。本発明の化粧料に於けるかかる酸の好ましい含有量は、総量で、使用時の混合形態での化粧料組成物全量に対して、5〜20質量%であり、より好ましくは10〜18質量%である。又、これに緩衝の目的で加えるアルカリは、水酸化カリウム換算で2〜5質量%であることが好ましい。本発明の化粧料を構成する、セルの1つに充填、内包される酸を含有する水性組成物は、この様な酸を水を主成分とする担体に溶解した形態であることが好ましい。
【0012】
本発明の化粧料に於いては、前記の成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらは、セルの1つに充填、内包される酸反応性粉体を含有する組成物、セルの1つに充填、内包される酸を含有する水性組成物乃至はそれ以外のセルに内包される組成物に含有させることが出来る。これらのセルに内包させる組成物は、前記の必須成分乃至は任意成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0013】
かくして得られた化粧料は、使用時に、外層包装形態に圧力を負荷し、以て仕切を破壊し、しかる後、仕切によって互いに独立収納されていた組成物を混合せしめ、得られた混合物が均一になったのを確かめた上で、外層包装形態より取り出し、使用される。この様な過程で混合されることにより、使用時の混合物は、従来の2成分混合型の温感化粧料のように、粉体成分と液体成分の混合比がばらついたり、混合の途中で液体成分が手のひらなどがこぼれてロスしたりすることがないので、均一で、且つ、再現性の良い混合物になるため、適正な温度が確保できる。かかる使用形態の化粧料組成物は、直接皮膚に適用することも出来るし、パック化粧料などの場合には、例えば、不織布のような支持体上に延展し、しかる後に、皮膚上に貼付して適用することができる。また、皮膚上にあらかじめ支持体を貼付し、該支持体上に化粧料組成物を円転して用いることもできる。特に好ましい形態は、支持体を介して皮膚上に貼付し、投与する形態であり、不織布のような支持体上に延展し、しかる後に、皮膚上に貼付して適用することが、特に好ましい。
【0014】
以下に、実施例をあげて、本発明について、さらに詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
以下に示す処方に従って、化粧料組成物1、化粧料組成物2を作成し、図1に示す袋状包装形態のA部分に化粧料組成物1を充填し、開口部1をシームし、B部分に化粧料蘇生物2を充填し、開口部2をシームし、更に、全顔の形状の不織布をセットし、化粧料1を得た。開口部1、2のシームは、10Kg/cmの応力でも変化がないようにシームを行った。A部分とB部分の隔壁は融着によって形成してあり、2〜3Kg/cmの応力で破壊されるように形成されている。
【0016】
(化粧料組成物1)
以下に示す、処方成分をヘンシェルミキサーにて混合し、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕して、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物1を得た。
シリコーン処理*酸化マグネシウム 6 質量%
ゼオライト 1 質量%
*3%ハイドロジェンメチルポリシロキサン3%焼き付け処理
【0017】
(化粧料組成物2)
以下に示す、処方に従って、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物2を作成した。即ち、処方成分を室温で攪拌混合し、化粧料組成物2を得た。このもののpHは4.5であった。
1,3−ブタンジオール 3 質量%
クエン酸 15 質量%
メチルパラベン 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
10%水酸化カリウム水溶液 38 質量%
エチドロン酸 0.05質量%
キサンタンガム 0.1質量%
水 36.45質量%
【0018】
<試験例1>
化粧料1について、その発熱特性を評価した。即ち、化粧料1に手で圧力をかけて仕切を破壊し、包装形態を良く手で揉んで混合し、これを顔型の不織布シート上に、速やかに、且つ、一様に延展し、不織布の非延展側が顔に接触するように貼付し、温感パックを行った。(使用形態1)又、同様に混合し、支持体に延展することなく、直接皮膚上に塗布した形態でも温感パックを行った。(使用形態2)更に、比較例1として、化粧料組成物1と、化粧料組成物2とを、使用直前に手のひらの上で混練りし、これを顔型の不織布シート上に、速やかに、且つ、一様に延展し、不織布の非延展側が顔に接触するように貼付し、温感パックを行った。(使用形態1)化粧料1と同様に、支持体に延展することなく、直接皮膚上に塗布した形態でも温感パックを行った。(使用形態2)これらの温感パック行為において、パック実施後5分に熱電対を用いて、パック部位の10カ所の温度を測定し、その標準偏差を求めた。結果を、表1に示す。これより、本発明の化粧料が温度均一化作用に優れることが判る。
【0019】
【表1】

【実施例2】
【0020】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、化粧料2を作成した。化粧料2に於ける、化粧料組成物3のpHは3.1であった。試験例1の使用形態1での温度は51.3±10.4℃であった。これより、酸を含有する組成物に於いては、pHを4〜5に調整しておくことが好ましい。
【0021】
(化粧料組成物1)
以下に示す、処方成分をヘンシェルミキサーにて混合し、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕して、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物1を得た。
シリコーン処理*酸化マグネシウム 6 質量%
ゼオライト 1 質量%
*3%ハイドロジェンメチルポリシロキサン3%焼き付け処理
【0022】
(化粧料組成物3)
以下に示す、処方に従って、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物2を作成した。即ち、処方成分を室温で攪拌混合し、化粧料組成物2を得た。このもののpHは3.1であった。
1,3−ブタンジオール 3 質量%
クエン酸 15 質量%
メチルパラベン 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
10%水酸化カリウム水溶液 18 質量%
エチドロン酸 0.05質量%
キサンタンガム 0.1質量%
水 56.45質量%
【実施例3】
【0023】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、化粧料3を作成した。試験例1の使用形態1での温度は47.7±8.6℃であった。この化粧料では、その温度は、混合直後は50℃を上回り、その後、速やかに低下し、温度の維持の点で化粧料1には及ばなかった。これより、酸反応性の粉体には表面処理を施した方が好ましいことが判る。
【0024】
(化粧料組成物4)
以下に示す、処方成分をヘンシェルミキサーにて混合し、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕して、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物1を得た。
酸化マグネシウム 6 質量%
ゼオライト 1 質量%
【0025】
(化粧料組成物2)
以下に示す、処方に従って、本発明の化粧料を構成する化粧料組成物2を作成した。即ち、処方成分を室温で攪拌混合し、化粧料組成物2を得た。このもののpHは4.5であった。
1,3−ブタンジオール 3 質量%
クエン酸 15 質量%
メチルパラベン 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
10%水酸化カリウム水溶液 38 質量%
エチドロン酸 0.05質量%
キサンタンガム 0.1質量%
水 36.45質量%
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、エステティックの温感パックに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の化粧料1の包装形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破壊可能な仕切壁で、内部が二つ以上のセルに仕切られた、可変形性水密包装形態に包装されてなる化粧料であって、構成するセルの一つに酸反応性粉体を含有する組成物が充填され、それとは異なるセルに酸を含有する水性組成物が充填され、使用時にセルの仕切壁を全て破壊し、可変形性水密包装形態内に充填された全ての組成物を混合し、該混合物を皮膚上に適用することを特徴とする、化粧料。
【請求項2】
前記酸反応性粉体として、シリコーン処理酸化マグネシウムを含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
酸としてクエン酸を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
酸を含有する水性組成物において、pHが3〜5に調整されていることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
更に、酸反応性粉体とともに、水和熱発生粉体を含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記水和熱発生粉体が、ゼオライトであることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の化粧料。
【請求項7】
皮膚上への適用に於いて、支持体に含浸させて、しかる後該含浸支持体を皮膚上に貼付して行うことを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記支持体が、不織布であることを特徴とする、請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
前記支持体が、全顔を覆うものであることを特徴とする、請求項7又は8に記載の化粧料。
【請求項10】
エステティック用のパック料であることを特徴とする、請求項1〜9何れか1項に記載の化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2006−137721(P2006−137721A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330027(P2004−330027)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】