説明

温水循環システム

【課題】バーナON/OFF制御による温調を行うことにより、使用可能期間が短くなることを抑制した温水循環システムを提供する。
【解決手段】温水端末3から温水循環路4に戻る温水の温度Ts2が所定温度範囲となるように、ガス元弁61cと第1能力開閉弁61a及び第2能力切替弁61bとを開閉してガスバーナ21を断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御と、比例弁7により燃料ガスの供給流量を変更してガスバーナ21を継続的に燃焼させるバーナ火力制御とを、選択的に実行する燃焼制御部11と、ガス元弁61cの累積開閉回数が所定の判定回数以上となったときに、バーナON/OFF制御の実行を禁止するバーナON/OFF制御禁止部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱した温水を温水端末に供給して放熱させる温水循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス熱源機と、このガス熱源機と温水端末とを連通した温水循環路と、温水循環路内の温水を循環させるポンプとを備えて、ガス熱源機により加熱された温水を温水端末に供給して放熱させる温水循環システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたガス熱源機においては、温水循環路の途中に設けられた熱交換器をガスバーナで加熱することによって、温水循環路内の温水を加熱する。そして、暖房運転時には、ガス熱源機から温水循環路に出湯される湯の温度が目標温度範囲となるように、ガスバーナの燃焼量を調節している。
【0004】
特許文献1に記載されたガス熱源機のガスバーナは、加熱能力が異なる2個のバーナユニット(大バーナユニット、小バーナユニット)により構成され、燃焼させるバーナユニットの個数により、ガスバーナの有効燃焼範囲を3段階(大バーナユニットと小バーナユニットを共に燃焼させる大の段階、大バーナユニットのみを燃焼させる中の段階、小バーナユニットのみを燃焼させる小の段階)に切替えている。
【0005】
そして、大・中・小の各段階で、熱交換器の熱効率が最良となる燃焼量で、所定周期でのガスバーナ(大バーナユニット及び小バーナユニット)の燃焼時間と消火時間との比を変更するバーナON/OFF制御を行っている。ここで、小の段階でバーナON/OFF制御を行うことで、ガスバーナの燃焼量の低燃焼側の制御範囲を拡大することができる。
【0006】
また、特許文献1に記載されたガス熱源機のガスバーナは、各バーナユニットへの燃焼用空気の供給を共通のファンにより一括して行っている。そのため、中及び小の段階では、消火状態にあるバーナユニット側にも燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気が燃焼中のバーナの燃焼排ガスと混合される。その結果、熱交換器を経由して流通する燃焼排ガスの温度が低下して熱交換器の熱効率が低下する。
【0007】
そこで、特許文献1に記載されたガス熱源機では、大・中・小の各段階でのバーナON/OFF制御を大→中→小の優先順位で行うことにより、大・中・小の各段階でガスバーナを常時燃焼させる比例制御により温調を行う場合よりも、熱交換器の熱効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−285625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したバーナON/OFF制御を実行する場合、バーナに連通したガス供給管に設けられた開閉弁を開閉して、バーナを燃焼状態と消火状態に切替えるため、開閉弁にはバーナON/OFF制御による頻繁な開閉に対応した耐久性が求められる。
【0010】
そのため、バーナON/OFF制御を行わずに、バーナの火力を変更して熱源機から供給する温水の温度を制御する場合に比べて、温水循環システムの使用可能期間が短くなってしまう、という不都合があった。
【0011】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、バーナON/OFF制御による温調を行うことにより、使用可能期間が短くなることを抑制した温水循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、ガスバーナと、前記ガスバーナに接続されたガス供給管に設けられて、該ガス供給管を開閉するガス開閉弁と、前記ガス供給管に設けられて、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給流量を変更するガス量変更弁と、前記ガスバーナにより加熱される熱交換器と、前記熱交換器と温水端末とを連通する温水循環路と、前記熱交換器により加熱された温水を前記温水循環路を介して前記温水端末に送出すると共に、前記温水端末で放熱した温水を前記熱交換器に戻す循環ポンプと、前記温水循環路から前記温水端末に供給される温水の温度、又は前記温水端末から前記温水循環路に戻る温水の温度が所定温度範囲となるように、前記開閉弁を開閉して前記ガスバーナを断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御と、前記ガス量変更弁により燃料ガスの供給流量を変更して前記ガスバーナを連続的に燃焼させるバーナ火力制御とを、選択的に実行する燃焼制御部とを備えた温水循環システムに関する。
【0013】
そして、第1発明は、前記ガス開閉弁の開閉回数を累積し、該開閉回数の累積値が所定の判定回数以上となったときに、前記バーナON/OFF制御の実行を禁止するバーナON/OFF制御禁止部を備えたことを特徴とする。
【0014】
第1発明によれば、前記ガス開閉弁の開閉回数の累積値が前記判定回数以上となったときに、前記バーナON/OFF制御禁止部により、前記バーナON/OFF制御が禁止される。そして、以後は前記バーナ火力制御のみが実行されて、前記バーナON/OFF制御に伴う前記開閉弁の累積開閉回数の増加が回避される。そのため、バーナON/OFF制御を継続することにより前記開閉弁の累積開閉回数が耐用回数を超えるまでの期間が短くなって、温水循環システムの使用可能期間が短くなることを抑制することができる。
【0015】
また、第1発明において、前記温水循環システムへの通電時間を累積し、該通電時間の累積値が所定時間以下であるときは、前記判定回数を第1判定回数に設定し、該作動時間の累積値が該所定時間を越えたときには、前記判定回数を、該第1判定回数よりも多く、且つ、該通電時間の累積値が長くなるに従って増加させた第2判定回数に設定する判定回数設定部を備えたことを特徴とする(第2発明)。
【0016】
第2発明によれば、前記温水循環システムへの通電時間が短く、且つ、前記開閉弁の累積開閉回数が多いときは、前記バーナが頻繁にON/OFF制御されている可能性がある。そこで、前記判定回数設定部により、温水循環システムへの累積通電時間に応じた前記判定回数を設定することによって、前記開閉弁の累積開閉回数の増加を抑えて、温水循環システムの使用可能期間を確保することができる。
【0017】
次に、第3発明は、前記バーナON/OFF制御による前記ガスバーナの燃焼時間を累積し、該燃焼時間の累積値が所定の判定燃焼時間以上となったときに、前記バーナON/OFF制御の実行を禁止するバーナON/OFF制御禁止部を備えたことを特徴とする。
【0018】
第3発明によれば、前記バーナON/OFF制御による前記ガスバーナの燃焼時間の累積値が前記判定燃焼時間以上となった場合は、前記開閉弁の累積開閉回数が多くなっていると想定される。そして、このまま前記バーナON/OFF制御による前記ガスバーナの燃焼を継続すると、温水循環システムが想定する使用可能期間が満了する前に、前記開閉弁の累積開閉回数が耐用回数に達するおそれがある。そこで、この場合には、前記バーナON/OFF制御を禁止することによって、前記開閉弁の累積開閉回数の増加を抑えて、温水循環システムの使用可能期間が短くなることを抑制することができる。
【0019】
また、第3発明において、前記温水循環システムへの通電時間を累積し、該通電時間の累積値が所定時間以下であるときは、前記判定燃焼時間を第1判定燃焼時間に設定し、該通電時間の累積値が該所定時間を超えたときには、前記判定燃焼時間を、該第1判定燃焼時間よりも短く、且つ、該通電時間の累積値が長くなるに従って増加させた第2判定燃焼時間に設定する判定燃焼時間設定部を備えたことを特徴とする(第4発明)。
【0020】
第4発明によれば、前記判定燃焼時間設定部により、温水循環システムへの累積通電時間に応じた前記判定燃焼時間を設定することによって、前記開閉弁の累積開閉回数の増加を抑えて、温水循環システムの使用可能期間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】温水循環システムの構成図。
【図2】図1に示したコントローラの構成図。
【図3】燃焼制御部の第1実施形態の作動フローチャート。
【図4】バーナON/OFF制御域の説明図。
【図5】燃料制御部の第2実施形態の作動フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の温水循環システム1は、ガス熱源機2、温水暖房端末3(本発明の温水端末に相当する)、ガス熱源機2と温水暖房端末3とを連通する温水循環路4、及び、温水循環システム1の全体的な作動を制御するコントローラ10とを備えている。
【0023】
ガス熱源機2には、大・小二つの燃焼面を形成する大バーナユニット21a及び小バーナユニット21bからなるガスバーナ21、ガスバーナ21に点火するための点火電極31、点火電極31に高電圧を印加して火花放電を生じさせるイグナイタ30、ガスバーナ21の燃焼炎を検出するフレームロッド32、ガスバーナ21により加熱される熱交換器22、ガスバーナ21に燃焼用空気を供給するファン23、及び、ファン23により燃焼用空気を取り込むと共にガスバーナ21の燃焼排ガスを排気する給排気管24が備えられている。
【0024】
温水循環システム1は、ガスバーナ21の燃焼排ガスにより熱交換器22内を流通する温水を加熱し、この温水を温水暖房端末3に供給して放熱させることにより、温水暖房端末3の周囲を暖房する。
【0025】
温水循環路4には、熱交換器22により加熱された温水を温水暖房端末3に送出すると共に、温水暖房端末3で放熱した温水を熱交換器22に戻す循環ポンプ4aと、ガス熱源機2から温水循環路4に出湯される温水の温度を検出する往き温度センサ4bと、温水暖房端末3からガス熱源機2に戻る温水の温度を検出する戻り温度センサ4cとが備えられている。
【0026】
ガス供給路61から分岐してガスバーナ21と接続されたガス分岐路61a,61bには、大バーナユニット21a,小バーナユニット21bへの燃料ガスの供給/遮断を個別に切替える第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62bが設けられている。また、ガス供給路61には、大バーナユニット21a,小バーナユニット21bへの燃料ガスの供給/遮断を一括して切替えるガス元弁61cと、大バーナユニット21a,小バーナユニット21bへの燃料ガスの供給流量を変更する比例弁7とが設けられている。
【0027】
なお、ガス元弁61cは本発明の開閉弁に相当する。また、比例弁7は本発明のガス量変更弁に相当する。また、第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62bは、本発明の開閉弁及びガス量変更弁に相当する。
【0028】
また、コントローラ10には、リモコン5が接続されており、使用者は、リモコン5に設けられたスイッチを操作して、温水暖房端末3の暖房運転の開始/停止や暖房能力の設定を行なう。
【0029】
次に、図2を参照して、コントローラ10は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子ユニットであり、CPUに温水循環システム1の制御用プログラムを実行させることによって、コントローラ10は、熱交換器22により加熱した温水を温水暖房端末3に供給する暖房運転を行なう燃焼制御部11、バーナON/OFF制御の禁止を判断するための判定回数を設定する判定回数設定部12、バーナON/OFF制御の禁止を判断するための判定燃焼時間を設定する判定燃焼時間設定部13、及び、判定回数又は判定燃焼時間に基づいてバーナON/OFF制御の禁止を判断するバーナON/OFF制御禁止部14として機能する。
【0030】
コントローラ10には、往き温度センサ4bの温度検出信号と、戻り温度センサ4cの温度検出信号と、フレームロッド32の炎検出信号とが入力される。また、コントローラ10から出力される制御信号によって、循環ポンプ4a、ファン23、イグナイタ30を介した点火電極31、比例弁7、ガス元弁61c、第1能力切替弁62a、及び、第2能力切替弁62bの作動が制御される。
【0031】
また、コントローラ10は、リモコン5から出力される暖房スイッチ5bの操作信号等を入力すると共に、リモコン5に表示部5aの表示データを出力して温水循環システム1の運転状況等を表示部5aに表示させる。
【0032】
燃焼制御部11は、第1能力切替弁62aと第2能力切替弁62bを開閉して、ガスバーナ21の有効燃焼範囲(燃焼面の範囲)を大・中・小の3段階に切替える。即ち、燃焼制御部11は、第1能力切替弁62aと第2能力切替弁62bを共に開弁することで、大バーナユニット21aと小バーナユニット21bを共に燃焼させる有効燃焼範囲大の段階と、第1能力切替弁62aを開弁して第2能力切替弁62bを閉弁することで、大バーナユニット21aのみを燃焼させる有効燃焼範囲中の段階と、第1能力切替弁62aを閉弁して第2能力切替弁62bを開弁することで、小バーナユニット21bのみを燃焼させる有効燃焼範囲小の段階とを切替える。さらに、燃焼制御部11は、有効燃焼範囲大・中・小の各段階で、比例弁7の開度を変更することで、ガスバーナ21の火力を調節する。
【0033】
また、燃焼制御部11は、バーナON/OFF制御とバーナ火力制御のいずれかにより、暖房運転を実行する。バーナON/OFF制御では、燃焼制御部11は、ガスバーナ21の有効燃焼範囲を大(第1能力切替弁62aと第2能力切替弁62bを共に開弁)として、ガスバーナ21の燃焼と消火を切替える。
【0034】
具体的には、戻り温度センサ4cの検出温度Ts2がバーナ消火温度TOFF以上になったときに、ガス元弁61cと第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62cを閉弁してガスバーナ21を消火し、戻り温度センサ4cの検出温度Ts2がバーナ点火温度TON以下になったときに、ガス元弁61cと第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62cを開弁してガスバーナ21に点火する処理を繰り返して、温水暖房端末3から戻る温水の温度がTON〜TOFFの範囲に保たれるようにする。
【0035】
一方、バーナ火力制御では、燃焼制御部11は、戻り温度センサ4cの検出温度Ts2が所定温度範囲となるように、ガス元弁61を開弁してガスバーナ21を燃焼状態に維持し、第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62bの開閉によりガスバーナ21の有効燃焼範囲を切替えると共に比例弁7の開度を変更して、ガスバーナ21の火力を調節することにより、温水暖房端末3に供給される温水の温度が所定範囲内となるように制御する。
【0036】
次に、図3に示したフローチャートに従って、コントローラ10の燃焼制御部11、判定回数設定部12、及びバーナON/OFF制御禁止部14による暖房運転実行時の処理の第1実施形態について説明する。
【0037】
[第1実施形態]
図3のSTEP1で、リモコン5の暖房スイッチ5bが操作(暖房開始操作)されたことを、リモコン5から受信した操作信号から認識すると、燃焼制御部11は、STEP2に進んでガスバーナ21の点火処理を行う。具体的には、燃焼制御部11は、ファン23を作動させると共に、イグナイタ30から点火電極31に高電圧を印加して火花放電を生じさせた状態で、第1能力切替弁62a及び第2能力切替弁62bとガス元弁61cを開弁して、ガスバーナ21に点火する。
【0038】
続くSTEP3は、判定回数設定部12による処理である。判定回数設定部12は、バーナON/OFF制御の禁止を判断するための判定値である判定回数を、図4(a)に示したマップに従って設定する。
【0039】
図4(a)のマップは、縦軸を判定回数に設定し、横軸を温水循環システム1の使用開始時からの通電時間(コントローラ10への通電時間)の累積値(累積通電時間)に設定して、累積通電時間に対応する判定回数を決定するものである。図4(a)のマップにおいては、通電時間の累積値が26,280時間(3年間の使用に相当、本発明の所定時間に相当)に達するまでは、判定回数が28万回(本発明の第1判定回数に相当する)に設定され、26,280時間に達した後は、累積通電時間が長くなるに従って判定回数を漸増させている(本発明の第2判定回数に相当する)。
【0040】
そして、これにより、累積通電時間(温水循環システム1の使用期間に相当する)が、87,600時間(温水循環システム1の一般的な使用可能期間である10年間に相当)に達するまでに、ガス元弁61cの開閉回数が60万回(ガス元弁61cの耐久回数以下に設定された回数)を超えないように、バーナON/OFF制御からバーナ火力制御に切替えるようにしている。
【0041】
次のSTEP4はバーナON/OFF制御禁止部14による処理である。バーナON/OFF制御禁止部14は、ガス元弁61cの累積開閉回数が判定回数以上であるか否かを判断する。そして、ガス元弁61cの累積開閉回数が判定回数以上であったときは、バーナON/OFF制御を禁止してSTEP20に分岐し、燃焼制御部11はバーナ火力制御を行う。そして、STEP21でリモコン5の暖房スイッチ5bが操作(暖房停止操作)されるまで、燃焼制御部11は、STEP20でバーナ火力制御を継続する。
【0042】
一方、STEP4で、ガス元弁61cの累積開閉回数が判定回数未満であったときには、STEP5に進み、燃焼制御部11はバーナON/OFF制御を行う。なお、燃焼制御部11は、バーナON/OFF制御時及びガスバーナ21の点火,消火時におけるガス元弁61cの開閉回数を累積する。そして、バーナON/OFF制御禁止部14は、STEP4で、この累積開閉回数を判定回数と比較する。
【0043】
続くSTEP6でリモコン5の暖房スイッチ5bが操作(暖房停止操作)されるまで、STEP6からSTEP3に戻り、STEP4でガス元弁61cの累積開閉回数が判定回数以上となるまで、燃焼制御部11はバーナON/OFF制御を実行する。
【0044】
STEP6又はSTEP21で、リモコン5の暖房スイッチ5bが操作されたとき(暖房停止操作)はSTEP7に進み、燃焼制御部11はガス元弁61cを閉弁し、次のSTEP8で第1能力切替弁62aと第2能力切替弁62bを閉弁してSTEP9に進み、処理を終了する。
【0045】
図3に示したフローチャートの処理によれば、ガス元弁61cの累積開閉回数がある程度のレベルに達したときに、バーナON/OFF制御を禁止してバーナ火力制御に切替えることにより、温水循環システム1の一般的な使用可能期間が経過する前に、ガス元弁61cの累積開閉回数が耐用回数を超えてしまうことを回避することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、図5に示したフローチャートに従って、コントローラ10の燃焼制御部11、判定燃焼時間設定部12、及びバーナON/OFF制御禁止部14による暖房運転実行時の処理の第2実施形態について説明する。
【0047】
図5のSTEP30〜STEP31は図3のSTEP1〜STEP2と同様であり、また、図5のSTEP36〜STEP38は図3のSTEP7〜STEP9と同様であるので、ここでは説明を省略し、STEP32〜STEP35及びSTEP50〜STEP51の処理について説明する。
【0048】
STEP32は判定燃焼時間設定部13による処理である。判定燃焼時間設定部13は、バーナON/OFF制御からバーナ火力制御への切替の判定値である判定燃焼時間を、図4(b)に示したマップに従って設定する。
【0049】
図4(b)のマップは、縦軸を判定燃焼時間(h)に設定し、横軸を温水循環システム1の使用開始時からの通電時間(コントローラ10への通電時間)の累積値(累積通電時間)に設定して、累積通電時間に対応する判定燃焼時間を決定するものである。図4(b)のマップにおいては、通電時間の累積値が26,280時間(3年間の使用に相当、本発明の所定時間に相当)に達するまでは、判定燃焼時間が7,000時間(本発明の第1判定燃焼時間に相当する)に設定され、26,280時間に達した後は、累積通電時間が長くなるに従って判定燃焼時間を漸増させている(本発明の第2判定燃焼時間に相当する)。ここで、ガスバーナ21の累積燃焼時間が7,000時間以上となれば、暖房運転が頻繁に行なわれていると予想される。
【0050】
そして、これにより、コントローラ10の累積通電時間(温水循環システム1の使用期間に相当する)が、87,600時間(温水循環システム1の一般的な使用可能期間である10年間に相当)に達するまでに、バーナON/OFF制御によるガスバーナ21の累積燃焼時間が6,000時間(バーナON/OFF制御を行ったときに、ガス元弁61cの累積開閉回数が60万回(ガス元弁61cの耐用開閉回数以下に設定された回数)に達すると想定される時間)を超えないように、バーナON/OFF制御からバーナ火力制御に切替えるようにしている。
【0051】
次のSTEP33はバーナON/OFF制御禁止部14による処理である。バーナON/OFF制御禁止部14は、ガスバーナ21のON/OFF制御による累積燃焼時間が判定燃焼時間以上であるか否かを判断する。そして、ガスバーナ21のバーナON/OFF制御による累積燃焼時間が判定燃焼時間以上であったときは、バーナON/OFF制御を禁止してSTEP50に分岐し、燃焼制御部11はバーナ火力制御を行う。そして、STEP51でリモコン5の暖房スイッチ5bが操作(暖房停止操作)されるまで、燃焼制御部11は、STEP50でバーナ火力制御を行う。
【0052】
一方、STEP33で、ガスバーナ21のバーナON/OFF制御による累積燃焼時間が判定燃焼時間未満であったときには、STEP34に進み、燃焼制御部11はバーナON/OFF制御を行う。なお、燃焼制御部11は、バーナON/OFF制御によるガスバーナ21の燃焼時間を累積する。そして、バーナON/OFF制御禁止部14は、STEP33で、この累積燃焼時間を判定燃焼時間と比較する。
【0053】
図5に示したフローチャートによる処理によれば、バーナON/OFF制御によるガスバーナ21の累積燃焼時間がある程度のレベルに達したときに、バーナON/OFF制御を禁止してバーナ火力制御に切替えることにより、温水循環システムの一般的な使用可能期間が経過する前に、ガス元弁61cの累積開閉回数が耐用回数を超えてしまうことを抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、本発明の温水端末として温水暖房端末3を示したが、ガス熱源機2から供給される温水を熱源として利用する温水端末であれば、例えば、温水を熱源として衣類乾燥用の温風を生成する衣類乾燥機等の他の種類の温水端末であってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、ガスバーナ21を有効燃焼範囲大(全面燃焼)としてバーナON/OFF制御を実行したが、有効燃焼範囲中又は有効燃焼範囲小として、バーナON/OFF制御を実行してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、温水暖房専用のガス熱源機2を示したが、温水暖房用のバーナ及び熱交換器を有する暖房用加熱部と、給湯用のバーナ及び熱交換器を有する給湯用加熱部とを備えた複合タイプのガス熱源機であって、暖房用加熱部及び給湯用加熱部のガスバーナへの燃料ガスの供給と遮断を共通のガス元弁により切替えるものに対しても、本発明の適用が可能である。そして、この場合には、暖房用加熱部の暖房運転に伴うガス元弁の開閉回数と、給湯用加熱部の給湯運転に伴うガス元弁の開閉回数とを合算して、バーナON/OFF制御の禁止を判断するためのガス元弁の累積開閉回数を算出すればよい。
【0057】
また、本実施の形態において、燃焼制御部11は、戻り温度センサ4cの検出温度Ts2が所定範囲内(TON≦Ts2≦TOFF)となるように、ガスバーナ21を断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御を行ったが、往き温度センサ4bの検出温度Ts1が所定範囲内となるように、ガスバーナ21を断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御を行うようにしてもよい。
【0058】
また、本実施の形態においては、図4(a)に示したマップにより判定回数を決定し、また、図4(b)に示したマップにより判定燃焼時間を決定したが、累積通電時間を入力して判定回数又は判定燃焼時間を算出する算出式等を用いて、判定時間又は判定燃焼時間を決定するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態においては、大バーナユニット21a及び小バーナユニットユニット21bの2個のバーナユニットからなるガスバーナ21を備えたガス熱源機2を示したが、1個のバーナユニットからなるガスバーナ、及び3個以上のバーナユニットからなるガスバーナを備えたガス熱源機であっても、バーナON/OFF制御を行うガス熱源機であれば、本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…温水循環システム、2…ガス熱源機、3…温水暖房端末、4…温水循環路、4a…循環ポンプ、4b…往き温度センサ、4c…戻り温度センサ、5…リモコン、5a…(リモコンの)表示部、5b…暖房スイッチ、10…コントローラ、11…燃焼制御部、12…判定回数設定部、13…判定燃焼時間設定部、14…バーナON/OFF制御禁止部、21…ガスバーナ、21a…大バーナユニット、21b…小バーナユニット、22…熱交換器、32…フレームロッド、61c…ガス元弁、62a…第1能力切替弁、62b…第2能力切替弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナと、
前記ガスバーナに接続されたガス供給管に設けられて、該ガス供給管を開閉するガス開閉弁と、
前記ガス供給管に設けられて、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給流量を変更するガス量変更弁と、
前記ガスバーナにより加熱される熱交換器と、
前記熱交換器と温水端末とを連通する温水循環路と、
前記熱交換器により加熱された温水を前記温水循環路を介して前記温水端末に送出すると共に、前記温水端末で放熱した温水を前記熱交換器に戻す循環ポンプと、
前記温水循環路から前記温水端末に供給される温水の温度、又は前記温水端末から前記温水循環路に戻る温水の温度が所定温度範囲となるように、前記開閉弁を開閉して前記ガスバーナを断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御と、前記ガス量変更弁により燃料ガスの供給流量を変更して前記ガスバーナを連続的に燃焼させるバーナ火力制御とを、選択的に実行する燃焼制御部と
を備えた温水循環システムにおいて、
前記ガス開閉弁の開閉回数を累積し、該開閉回数の累積値が所定の判定回数以上となったときに、前記バーナON/OFF制御の実行を禁止するバーナON/OFF制御禁止部を備えたことを特徴とする温水循環システム。
【請求項2】
請求項1記載の温水循環システムにおいて、
前記温水循環システムへの通電時間を累積し、該通電時間の累積値が所定時間以下であるときは、前記判定回数を第1判定回数に設定し、該作動時間の累積値が該所定時間を越えたときには、前記判定回数を、該第1判定回数よりも多く、且つ、該通電時間の累積値が長くなるに従って増加させた第2判定回数に設定する判定回数設定部を備えたことを特徴とする温水循環システム。
【請求項3】
ガスバーナと、
前記ガスバーナに接続されたガス供給管に設けられて、該ガス供給管を開閉するガス開閉弁と、
前記ガス供給管に設けられて、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給流量を変更するガス量変更弁と、
前記ガスバーナにより加熱される熱交換器と、
前記熱交換器と温水端末とを連通する温水循環路と、
前記熱交換器により加熱された温水を前記温水循環路を介して前記温水端末に送出すると共に、前記温水端末で放熱した温水を前記熱交換器に戻す循環ポンプと、
前記温水循環路から前記温水端末に供給される温水の温度、又は前記温水端末から前記温水循環路に戻る温水の温度が所定温度範囲となるように、前記開閉弁を開閉して前記ガスバーナを断続的に燃焼させるバーナON/OFF制御と、前記ガス量変更弁により燃料ガスの供給流量を変更して前記ガスバーナを連続的に燃焼させるバーナ火力制御とを、選択的に実行する燃焼制御部と
を備えた温水循環システムにおいて、
前記バーナON/OFF制御による前記ガスバーナの燃焼時間を累積し、該燃焼時間の累積値が所定の判定燃焼時間以上となったときに、前記バーナON/OFF制御の実行を禁止するバーナON/OFF制御禁止部を備えたことを特徴とする温水循環システム。
【請求項4】
請求項3記載の温水循環システムにおいて、
前記温水循環システムへの通電時間を累積し、該通電時間の累積値が所定時間以下であるときは、前記判定燃焼時間を第1判定燃焼時間に設定し、該通電時間の累積値が該所定時間を超えたときには、前記判定燃焼時間を、該第1判定燃焼時間よりも短く、且つ、該通電時間の累積値が長くなるに従って増加させた第2判定燃焼時間に設定する判定燃焼時間設定部を備えたことを特徴とする温水循環システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate