説明

温水暖房システム

【課題】温水暖房用の熱源機を用いた簡易な構成により、該熱源機の作動による暖房運転のランニングコストの増加を抑制した温水暖房システムを提供する。
【解決手段】貯湯制御手段51は、暖房スイッチ25aにより暖房運転の開始が指示されたときに、第1温度センサ35の検出温度Th1が低温判定温度Tjよりも低いか否かを判断する。そして、第1温度センサ35の検出温度Th1が低温判定温度Tj以上であるときは、目標出湯温度を温水設定温度Tsとして貯湯加熱制御を開始し、第1温度センサ35の検出温度Th1が低温判定温度Tjよりも低いときには、目標出湯温度をバーナ12の燃焼停止温度(Ts+5℃)よりも高い補助加熱停止温度(Ts+6℃)として、貯湯加熱制御を開始し、その後、第1温度センサ35の検出温度Th1が補助加熱停止温度以上となったときに、目標出湯温度を温水設定温度Tsに変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプにより加熱された温水を温水暖房端末に供給する温水暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒートポンプにより加熱した温水を温水暖房端末に供給する温水暖房システムにおいて、ヒートポンプによる加熱能力の一時的な不足を補うために、補助熱源機を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された温水暖房システムにおいては、ヒートポンプと補助熱源機の作動を一括して制御する制御手段が設けられており、この制御手段は、暖房運転の実行時に、温水暖房端末に供給する温水の検出温度が目標温度よりも所定温度以上低い状態が、所定時間以上継続したときに、補助熱源機を作動させ、検出温度が目標温度よりも所定温度以上高くなったときに、補助熱源機を停止させている。
【0004】
そして、これにより、補助熱源機を作動させる期間を短くして暖房運転のランニングコストの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−132610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒートポンプにより加熱した温水を出湯するユニットと補助熱源機を組合わせて温水暖房システムを構成する場合に、温水暖房機能を備えた市販の熱源機を補助熱源機として用いることにより、温水暖房システムの構成及び部品調達を容易にすることが考えられる。
【0007】
しかし、市販の熱源機における暖房運転は、一般に、所定の温水設定温度(例えば60℃)に基づいて加熱開始温度(例えば55℃)及び加熱停止温度(例えば65℃)が設定され、出湯温度が加熱開始温度以下になったときに加熱手段(バーナ等)を作動させると共に、出湯温度が加熱停止温度以上になったときに加熱手段の作動を停止して行われている。一方、ヒートポンプによる温水暖房端末への温水の加熱制御は、出湯される温水の温度が温水設定温度となるように、ヒートポンプにより加熱維持された貯湯タンクからの加熱量を調節して行われる。
【0008】
そのため、温水暖房機能を備えた市販の熱源機とヒートポンプによる加熱ユニットを単純に組合わせて温水暖房システムを構成した場合には、以下の不都合がある。すなわち、暖房運転時に、温水暖房端末が接続された暖房温水循環路内の温水の温度が加熱開始温度以下であって熱源機が加熱を開始したときに、ヒートポンプにより加熱された温水の温度が温水設定温度以上になっても、加熱停止温度(温水設定温度+α)以上になるまでは熱源機は加熱を継続する。
【0009】
そのため、実際には、ランニングコストが熱源機よりも低いヒートポンプでの加熱のみによって、目標温度の温水を温水暖房端末に供給することが可能であるにも拘わらず、熱源機が加熱を継続して、暖房運転のランニングコストが高くなってしまうという不都合がある。
【0010】
そこで、本発明は、温水暖房機能を有する熱源機を用いた簡易な構成により、該熱源機の作動による暖房運転のランニングコストの増加を抑制した温水暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、温水暖房端末に接続された暖房温水循環路と、前記暖房温水循環路内の湯水を循環させる暖房循環ポンプと、貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を所定温度に加熱維持するヒートポンプと、前記貯湯タンクに接続された貯湯循環路と、前記貯湯タンク内の湯水を前記貯湯循環路を介して循環させるタンク循環ポンプと、前記暖房温水循環路及び前記貯湯循環路に接続され、前記貯湯循環路を循環する湯水との熱交換により前記暖房温水循環路を循環する湯水を加熱する第1熱交換器と、前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される湯水の温度を検出する第1温度センサと、前記温水暖房端末の暖房運転の開始を指示する暖房開始指示手段と、前記暖房開始指示手段により、前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が目標出湯温度となるように、前記タンク循環ポンプを作動させる貯湯加熱制御を実行する貯湯制御手段とを備えた温水暖房システムに関する。
【0012】
そして、第1発明は、前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が所定の温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、前記貯湯制御手段は、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が、前記温水設定温度から前記燃焼開始温度までの範囲内の低温判定温度よりも低いか否かを判断し、前記第1温度センサの検出温度が前記低温判定温度以上であるときは、前記目標出湯温度を前記温水設定温度として前記貯湯加熱制御を開始し、前記第1温度センサの検出温度が前記低温判定温度よりも低いときには、前記目標出湯温度を前記燃焼停止温度よりも高い補助加熱停止温度として、前記貯湯加熱制御を開始し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上となったときに、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に変更することを特徴とする。
【0013】
第1発明によれば、前記暖房開始指示手段により、前記温水暖房端末の暖房運転の開始指示がなされると、前記貯湯制御手段による前記貯湯加熱制御と、前記補助熱源機の前記燃焼制御手段による前記燃焼加熱制御とが実行される。
【0014】
そして、前記貯湯制御手段は、前記暖房開始指示手段による暖房運転の開始指示がなされたときに、前記第1温度センサの検出温度が、前記温水設定温度から前記燃焼開始温度までの範囲内の前記低温判定温度よりも低いときには、前記目標出湯温度を前記燃焼停止温度よりも高い前記補助加熱停止温度として、前記貯湯加熱制御を開始する。このように、前記目標出湯温度を前記燃焼停止温度よりも高い前記補助加熱停止温度として、前記貯湯加熱制御を開始することにより、前記貯湯加熱制御による前記第1熱交換器での加熱量を増加させて、前記第1熱交換器からの出湯温度を前記温水設定温度まで速やかに上昇させることができる。
【0015】
また、前記燃焼加熱制御は、温水暖房機能を有する熱源機における一般的な温水の加熱制御方式であり、前記第2熱交換器を流通して前記温水暖房端末に供給される温水の温度が、前記温水設定温度よりも低い前記燃焼開始温度以下になったときに前記バーナを燃焼させて、前記第2熱交換器から出湯される温水の温度が前記温水設定温度よりも高い前記燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返すことによって、前記温水端末装置に供給される温水の温度を前記温水設定温度付近に維持している。
【0016】
そして、前記貯湯制御手段は、前記暖房開始指示手段による暖房運転の開始指示がなされたときに、前記第1温度センサの検出温度が、前記温水設定温度から前記燃焼開始温度までの範囲内の前記低温判定温度よりも低いときには、前記目標出湯温度を前記燃焼停止温度よりも高い前記補助加熱停止温度として、前記貯湯加熱制御を開始する。これにより、前記第2温度センサの検出温度が前記燃焼開始温度以下であって、前記補助熱源機のバーナの燃焼が開始されたときに、前記第1熱交換器から前記第2熱交換器に供給される温水の温度を、前記燃焼停止温度よりも高くして、前記補助熱源機のバーナの燃焼を停止させることができる。
【0017】
そのため、前記補助熱源機のバーナが燃焼した状態で、前記第1熱交換器から前記第2熱交換器に供給される温水が前記燃焼停止温度よりも低い温度に維持されて、前記バーナが燃焼を継続し、暖房運転におけるランニングコストが増大することを抑制することができる。そして、前記補助熱源機については、前記燃焼加熱制御を実行する機能を有する一般的な熱源機を仕様変更等を行うことなく用いた簡易な構成による温水暖房システムを構成することができる。
【0018】
また、第1発明において、前記貯湯制御手段は、前記温水設定温度を前記目標出湯温度として前記貯湯加熱制御を実行しているときに、前記第1温度センサの検出温度が前記燃焼開始温度以下になったときには、前記目標出湯温度を前記補助加熱停止温度に変更し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上になったときに、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に戻すことを特徴とする(第2発明)。
【0019】
第2発明によれば、前記温水暖房端末の能力変更等により、前記第1熱交換器から前記第2熱交換器に供給される温水の温度が前記燃焼開始温度以下になって、前記補助熱源機のバーナの燃焼が開始されたときに、前記補助加熱停止温度を前記目標出湯温度とした前記貯湯加熱制御により、前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度が前記補助加熱停止温度以上となる。そして、これにより、前記バーナの燃焼を停止させて、暖房運転のランニングコストの増大を抑制することができる。
【0020】
次に、第3発明は、前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が所定の温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、前記貯湯制御手段は、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記貯湯加熱制御を開始し、前記温水設定温度を前記目標出湯温度として前記貯湯加熱制御を実行しているときに、前記第1温度センサの検出温度が前記燃焼開始温度以下となったときには、前記目標出湯温度を前記温水設定温度から前記燃焼停止温度よりも高い補助加熱停止温度に変更し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上になった時に、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に戻すことを特徴とする。
【0021】
第3発明によれば、前記温水設定温度を前記目標出湯温度として前記貯湯加熱制御が実行されているときに、前記温水暖房端末の能力変更等により、前記第1熱交換器から前記第2熱交換器に供給される温水の温度が前記低温判定温度よりも低くなって、前記補助熱源機のバーナが燃焼を開始したときには、前記貯湯制御手段は、前記目標出湯温度を前記補助加熱停止温度に変更する。この目標出湯温度の変更により、前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度が前記補助加熱停止温度以上まで上昇するため、前記バーナの燃焼を停止させて、暖房運転のランニングコストの増大を抑制することができる。
【0022】
次に、第4発明は、前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、前記貯湯制御手段は、前記貯湯加熱制御の実行中に、前記第1温度センサの検出温度が、前記燃焼開始温度よりも低い温度から前記温水設定温度以上に移行したときに、前記補助熱源機に対して前記バーナの燃焼停止を指示し、前記補助熱源機の前記燃焼制御手段は、前記貯湯制御手段からの前記バーナの燃焼停止の指示に応じて、前記バーナの燃焼を停止することを特徴とする。
【0023】
第4発明によれば、上述した第1発明及び第3発明と同様に、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始指示がなされると、前記貯湯制御手段による前記貯湯加熱制御と、前記補助熱源機の前記燃焼制御手段による前記燃焼加熱制御とが実行される。また、前記補助熱源機は、温水暖房機能を有する熱源機における一般的な温水の加熱制御方式である前記燃焼加熱制御を実行するものである。
【0024】
そして、前記第1温度センサの検出温度が、前記燃焼開始温度よりも低い温度から前記温水設定温度以上に移行したときに、前記貯湯制御手段は、前記補助熱源機に対してバーナの燃焼停止を指示して前記バーナの燃焼を停止させる。
【0025】
そのため、前記補助熱源機のバーナが燃焼した状態で、前記第1熱交換器から前記第2熱交換器に供給される温水が前記燃焼停止温度よりも低い温度に維持されて、前記バーナが燃焼を継続し、暖房運転におけるランニングコストが増大することを抑制することができる。そして、前記補助熱源機については、前記燃焼加熱制御を実行する一般的な温水暖房用の熱源機を、前記貯湯制御手段からの前記バーナの燃焼停止の指示に応じて前記バーナの燃焼を停止するという構成を追加するだけで流用することができるため、簡易な構成による温水暖房システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の温水暖房システムの構成図。
【図2】第1実施形態及び第2実施形態の熱源機の作動フローチャート。
【図3】第1実施形態のタンクユニットの作動フローチャート。
【図4】第2実施形態のタンクユニットの作動フローチャート。
【図5】第3実施形態の熱源機の作動フローチャート。
【図6】第3実施形態のタンクユニットの作動フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の温水暖房システムは、瞬間加熱式の熱源機10(本発明の補助熱源機に相当する)と、タンクユニット30と、ヒートポンプユニット60とにより構成されている。
【0028】
ヒートポンプユニット60は、圧縮機71、凝縮器72、減圧器73、及び蒸発器74を、冷媒循環路75で接続して構成されたヒートポンプ70を備えている。凝縮器72は、貯湯タンク31の上部及び下部に接続されたタンク循環路64と接続され、冷媒循環路75内の冷媒とタンク循環路64内の湯水とを熱交換させることによって、タンク循環路64内の湯水を加熱する。
【0029】
タンク循環路64には、貯湯タンク31に貯められた湯水をタンク循環路64内に循環させるための加熱循環ポンプ65が設けられている。そして、マイクロコンピュータ等により構成された電子ユニットであるヒートポンプコントローラ80から出力される制御信号によって、ヒートポンプ70と加熱循環ポンプ65の作動が制御される。
【0030】
ヒートポンプコントローラ80は、タンクコントローラ50と通信可能に接続されている。そして、ヒートポンプコントローラ80は、タンクコントローラ50から、貯湯タンク31内の湯水を所定温度に維持するための貯湯加熱指示信号を受信したときに、加熱循環ポンプ65とヒートポンプ70を作動させて貯湯タンク31内の湯水を加熱することにより、貯湯タンク31内の湯水を所定温度に維持する処理を開始する。また、ヒートポンプコントローラ80は、貯湯加熱指示信号により指示される回転速度で圧縮機71を作動させることにより、凝縮機72での温水の加熱量を調節する。
【0031】
次に、タンクユニット30は、貯湯タンク31と、貯湯タンク31の上部及び下部に接続された貯湯循環路32と、貯湯タンク31に貯められた湯水を貯湯循環路32内に循環させるためのタンク循環ポンプ33と、貯湯循環路32に設けられた第1熱交換器34とを備えている。
【0032】
第1熱交換器34は、熱源機10及び温水暖房端末90が接続された暖房温水循環路1に連通し、貯湯循環路32内の湯水と暖房温水循環路1内の湯水とを熱交換させることによって、暖房温水循環路1内の湯水を加熱する。
【0033】
暖房温水循環路1には、第1熱交換器34から暖房温水循環路1への出湯温度を検出する第1温度センサ35が設けられている。そして、第1温度センサ35の温度検出信号が、マイクロコンピュータ等により構成された電子ユニットであるタンクコントローラ50に入力され、タンクコントローラ50から出力される制御信号によって、タンク循環ポンプ33の作動が制御される。
【0034】
タンクコントローラ50に備えられたマイクロコンピュータ(図示しない)に、タンクユニット30の制御用プログラムを実行させることによって、このマイクロコンピュータが、貯湯制御手段51として機能する。貯湯制御手段51は、温水暖房端末90(温風暖房機、床暖房機等)に暖房温水循環路1を介して温水を供給することにより、温水暖房端末90から放熱させる暖房運転を実行しているときに、第1温度センサ35の検出温度Th1(第1熱交換器34から暖房温水循環路1への出湯温度)が、目標出湯温度となるように、ヒートポンプユニット60を作動させて、貯湯タンク31内の湯水を加熱する。
【0035】
次に、熱源機10は、温水暖房機能を有する熱源機として単独で市販されている汎用品である。熱源機10は、第1熱交換器34の下流側で暖房温水循環路1に接続された第2熱交換器11と、熱交換器11を加熱するバーナ12と、第2熱交換器11から暖房温水循環路1への出湯温度を検出する第2温度センサ13と、暖房温水循環路1内の湯水を循環させる暖房循環ポンプ14とを備えている。
【0036】
そして、マイクロコンピュータ等により構成された電子ユニットである熱源機コントローラ20に、第2温度センサ13の温度検出信号が入力され、熱源機コントローラ20から出力される制御信号によって、バーナ12と暖房循環ポンプ14の作動が制御される。
【0037】
また、熱源機コントローラ20には、リモコンケーブル26を介して、熱源機10を遠隔操作するためのリモコン25が接続されている。リモコン25には、温水暖房端末90の暖房運転の開始と停止を指示する暖房スイッチ25a(本発明の暖房開始指示手段の機能を含む)が備えられている。リモコン25は、使用者による暖房スイッチ25aの操作に応じて、暖房運転の開始を指示する信号(温水暖房端末90が暖房運転を停止しているとき)、又は暖房運転の停止を指示する信号(温水暖房端末90が暖房運転中であるとき)を、リモコンケーブル26を介して熱源機10に送信する。
【0038】
熱源機コントローラ20に備えられたマイクロコンピュータに、熱源機10の制御用プログラムを実行させることによって、このマイクロコンピュータが、温水暖房端末90の暖房運転を実行するために、バーナ12及び暖房循環ポンプ14の作動を制御する燃焼制御手段21として機能する。
【0039】
リモコン25は、リモコンケーブル27を介してタンクコントローラ50とも接続されている。そして、貯湯制御手段51は、リモコン25と熱源機コントローラ20間で送受信される信号を傍受することにより、リモコン25から熱源機コントローラ20に対して、暖房運転の開始を指示する信号(暖房開始信号)及び暖房運転の停止を指示する信号(暖房停止信号)が送信されたことを認識する。
【0040】
次に、リモコン25の暖房スイッチ25aが操作されたときの、熱源機コントローラ20の燃焼制御手段21、及びタンクコントローラ50の貯湯制御手段51による処理について、図2及び図3を参照して第1実施形態について説明し、図2及び図4を参照して第2実施形態について説明し、図5及び図6を参照して第3実施形態について説明する。
【0041】
[第1実施形態]
図2は熱源機コントローラ20の燃焼制御手段21による処理のフローチャートである。燃焼制御手段21は、熱源機10への電源供給が開始されて熱源機コントローラ20が起動すると、図2のフローチャートによる処理を実行する。
【0042】
燃焼制御手段21は、STEP1でリモコンケーブル27を介して暖房開始信号を受信したときにSTEP2に進み、第2熱交換器11の出湯温度Th2(第2温度センサ13の検出温度)が、温水設定温度Ts(例えば、60℃)よりも低いか否かを判断する。
【0043】
そして、第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度Tsよりも低いときはSTEP3に進み、第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度Ts以上であるときにはSTEP6に分岐する。
【0044】
STEP3〜STEP6,STEP10〜STEP11,STEP20は、「燃焼加熱制御」の処理であり、燃焼制御手段21は、STEP3でバーナ12に点火してバーナ12の燃焼を開始する。なお、初期段階であるSTEP2において、第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度Ts−5℃よりも低いときに、STEP3に進んでバーナ12の燃焼を開始するようにしてもよい。
【0045】
続くSTEP4とSTEP10からなるループで、燃焼制御部21は、STEP4で第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度Ts+5℃(本発明の燃焼停止温度に相当する)よりも高いか否かを判断し、また、STEP10でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断する。
【0046】
そして、STEP4で、第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度+5℃よりも高くなったときは、STEP5に進み、燃焼制御部21は、バーナ12を消火してSTEP6に進む。また、STEP10で、リモコン25から暖房停止信号を受信したときには、STEP11に進み、燃焼制御部21は、バーナ12を消火してSTEP7に進み、処理を終了する。
【0047】
STEP6とSTEP20からなるループでは、燃焼制御手段21は、STEP6で、リモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断し、また、STEP20で、第2熱交換器11からの出湯温度Th2が温水設定温度Ts−5℃(本発明の燃焼開始温度に相当する)以下であるか否かを判断する。
【0048】
そして、STEP6で、リモコン25から暖房停止信号を受信したときはSTEP7に進み、燃焼制御手段21は処理を終了する。また、STEP20で、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts−5℃以下になったときに、STEP3に分岐して、バーナ12の燃焼を開始する。
【0049】
以上説明した「燃焼加熱制御」により、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts−5℃以下になったときに、バーナ12に点火されてバーナ12による第2熱交換器11の加熱が開始され、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts+5℃以上となったときに、バーナ12が消火されてバーナ12による第2熱交換器11の加熱が停止する処理が実行される。そして、温水暖房端末90に供給される温水の温度が、温水設定温度Ts−5℃から温水設定温度Ts+5℃までの範囲内に維持される。
【0050】
また、図3は、タンクコントローラ50の貯湯制御手段51による処理のフローチャートである。貯湯制御手段51は、タンクユニット30への電源供給が開始されてタンクコントローラ50が起動すると、図3のフローチャートによる処理を実行する。
【0051】
貯湯制御手段51は、STEP30で、リモコンケーブル27を介してリモコン25から暖房開始信号を受信したときにSTEP31に進み、第1熱交換器34の出湯温度Th1(第1温度センサ35の検出温度)が、低温判定温度Tj1よりも低いか否かを判断する。
【0052】
ここで、低温判定温度Tj1は、燃焼開始温度(温水設定温度Ts−5℃)から温水設定温度Tsまでの範囲内で設定すればよい(燃焼開始温度Ts−5℃≦低温判定温度Tj≦温水設定温度Ts)。第1実施形態では、低温判定温度Tj1が温水設定温度Tsに設定されているが、例えば、燃焼開始温度Ts−5℃を低温判定温度Tj1に設定してもよい。
【0053】
そして、第1熱交換器34の出湯温度Th1が低温判定温度Tj1よりも低いときはSTEP32に進み、貯湯制御手段51は、温水設定温度Ts+6℃(本発明の補助加熱停止温度に相当する)を目標出湯温度とする。続くSTEP33で、貯湯制御手段34は、第1熱交換器34の出湯温度Th1が目標出湯温度となるように、必要に応じてヒートポンプユニット60を作動させると共に、タンク循環ポンプ33を作動させて、暖房温水循環回路1内の湯水を加熱する「貯湯加熱制御」を開始する。
【0054】
一方、第1熱交換器34の出湯温度Th1が低温判定温度Tj1以上であるときにはSTEP40に分岐し、貯湯制御手段51は、温水設定温度Tsを目標出湯温度とし、続くSTEP41で「貯湯加熱制御」を開始して、STEP36に進む。
【0055】
STEP34とSTEP50からなるループで、貯湯制御手段51は、STEP34で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts+6℃以上であるか否かを判断し、また、STEP50でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断する。
【0056】
そして、STEP34で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts+6℃以上になったときはSTEP35に進み、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Tsに変更してSTEP36に進む。また、STEP50でリモコン25から暖房停止信号を受信したときには、STEP37に進み、貯湯制御手段51は、「貯湯加熱制御」を終了し、STEP38に進んで処理を終了する。
【0057】
STEP36とSTEP60からなるループでは、貯湯制御手段51は、STEP36でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断し、また、STEP60で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低いか否かを判断する。
【0058】
そして、STEP36でリモコン25から暖房停止信号を受信したときにSTEP37に進む。また、STEP60で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低いときには、STEP61に進み、貯湯制御手段51は、温水設定温度Ts+6℃を目標出湯温度TsにしてSTEP34に戻る。
【0059】
以上説明した図3のフローチャートによる処理によって、貯湯制御手段51は、基本的には温水設定温度Tsを目標出湯温度として「貯湯加熱制御」を実行することにより、第1熱交換器34の出湯温度Th1を温水設定温度Ts付近に維持する。
【0060】
そして、暖房開始信号を受信したときに、第1熱交換器34の出湯温度Th1が低温判定温度Tjよりも低いときには、STEP32で、貯湯制御手段51は、温水設定温度Ts+6℃に設定して「貯湯加熱制御」を開始する。このように、目標出湯温度を温水設定温度よりも高くして「貯湯加熱制御」を開始することにより、第1熱交換器34での加熱量を増大させて、温水暖房端末90に温水設定温度Tsの温水が供給されるまでの時間を短縮することができる。
【0061】
また、温水暖房端末90の暖房能力設定の変更等により、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低くなって、熱源機10のバーナ12が燃焼を開始したときには、STEP60,61により、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃に変更して「貯湯加熱制御」を実行する。
【0062】
ここで、STEP60,61による目標出湯温度の変更を行わずに、目標出湯温度を温水設定温度Tsのままにすると、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsに達した後は、ヒートポンプユニット60は第1熱交換器34の出湯温度Th1をさらに上昇させるための加熱は行わない。
【0063】
そのため、上述した図2のフローチャートのSTEP4の条件(温水設定温度Ts+5℃≦第2熱交換器11の出湯温度Th2)が満たされるまで、バーナ12のみによって、第2熱交換器11からの出湯温度Th2を上昇させるための加熱が行なわれる。そのため、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts+5℃まで上昇せず、あるいは上昇するまでの時間が長くなって、バーナ12の燃焼時間が長くなり、暖房運転のランニングコストが増大する。
【0064】
これは、暖房開始信号を受信したときに、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低いときには、STEP31,32により、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃とする処理を行わなかったときにも、同様である。
【0065】
そこで、図3のSTEP31,32、及びSTEP60,61により、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃として「貯湯加熱制御」を実行することによって、第1熱交換器34における湯水の加熱量を増大させ、これにより、第2熱交換器11の出湯温度Th2を速やかに温水設定温度Ts+5℃まで上昇させて、バーナ12を消火させることができる。
【0066】
そのため、バーナ12の燃焼時間を短縮させて、暖房運転のランニングコストの増大を抑制することができる。
【0067】
[第2実施形態]
第2実施形態のハード構成は、第1実施形態と同様であり、熱源機コントローラ20による処理も図2に示したフローチャートによる。
【0068】
図4は、第2実施形態におけるタンクコントローラ50の貯湯制御手段51による処理のフローチャートである。貯湯制御手段51は、タンクユニット30への電源供給が開始されてタンクコントローラ50が起動すると、図4のフローチャートによる処理を実行する。
【0069】
貯湯制御手段51は、STEP70で、リモコンケーブル27を介してリモコン25から暖房開始信号を受信したときにSTEP71に進み、温水設定温度Tsを目標出湯温度として、STEP72で「貯湯加熱制御」を開始する。なお、STEP71において、目標出湯温度を温水設定温度Tsよりも高い温度に設定してもよい。
【0070】
続くSTEP73とSTEP80からなるループで、貯湯制御手段51は、STEP73で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃以下であるか否かを判断し、また、STEP80でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断する。
【0071】
そして、STEP73で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃以下であるときはSTEP73に進み、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃に変更してSTEP75に進む。また、STEP80でリモコン25から暖房停止信号を受信したときには、STEP76に進み、貯湯制御手段51は、「貯湯加熱制御」を終了し、STEP77に進んで処理を終了する。
【0072】
STEP75とSTEP90からなるループでは、STEP75でリモコン25から暖房停止信号を受信したときにSTEP76に進む。また、STEP90で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts+6℃以上であるときにSTEP91に進み、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Tsに戻してSTEP73に進む。
【0073】
以上説明した図4のフローチャートによる処理によって、貯湯制御手段51は、基本的には温水設定温度Tsを目標出湯温度として「貯湯加熱制御」を実行することにより、第1熱交換器34の出湯温度Th1を温水設定温度Ts付近に維持する。
【0074】
そして、温水暖房端末90の暖房能力設定の変更等により、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低くなって、熱源機10のバーナ12が燃焼を開始したときには、STEP73,74により、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃に変更して「貯湯加熱制御」を実行する。
【0075】
このように、目標出湯温度を温水設定温度Ts+6℃に変更することによって、第1熱交換器34における湯水の加熱量を増大させ、これにより、第2熱交換器11の出湯温度Th2を速やかに温水設定温度Ts+5℃まで上昇させて、バーナ12を消火させることができる。
【0076】
そのため、バーナ12の燃焼時間を短縮させて、暖房運転のランニングコストの増大を抑制することができる。
【0077】
[第3実施形態]
図1を参照して、第3実施形態では、熱源機10の熱源機コントローラ20と、タンクユニット30のタンクコントローラ50は、通信ケーブル53を介して通信する機能を備えている。その他のハード構成は、第1実施形態と同様である。
【0078】
図5は、熱源機コントローラ20の燃焼制御手段21による処理のフローチャートである。図5のフローチャートは、上述した図2のフローチャートのSTEP10〜STEP11を、STEP100〜STEP102に置き換えたものである。STEP100〜STEP102以外の処理は、図2と同一であるので説明を省略する。
【0079】
燃焼制御手段21は、STEP100で、リモコン25から暖房停止信号を受信したとき、又はタンクコントローラ50から、バーナ12の燃焼停止を指示する補助加熱停止信号を受信したときに、STEP101に進んでバーナ12を消火する。
【0080】
次のSTEP102で、燃焼制御手段21は、暖房停止信号の受信によりバーナ12を消火したときはSTEP7に進んで処理を終了し、補助加熱停止信号の受信によりバーナ12を消火したときにはSTEP6に分岐する。
【0081】
第3実施形態においても、上述した第1,第2実施形態と同様に、「燃焼加熱制御」により、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts−5℃以下になったときに、バーナ12に点火されてバーナ12による第2熱交換器11の加熱が開始され、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts+5℃以上となったときに、バーナ12が消火されてバーナ12による第2熱交換器11の加熱を停止する処理が実行される。そして、温水暖房端末90に供給される温水の温度が、温水設定温度Ts−5℃から温水設定温度Ts+5℃の範囲内に維持される。
【0082】
また、図6は、タンクコントローラ50の貯湯制御手段51による処理のフローチャートである。貯湯制御手段51は、タンクユニット30への電源供給が開始されてタンクコントローラ50が起動すると、図6のフローチャートによる処理を実行する。
【0083】
貯湯制御手段51は、STEP110で、リモコンケーブル27を介してリモコン25から暖房開始信号を受信したときにSTEP111に進み、目標出湯温度を温水設定温度Ts(固定温度)とした「貯湯加熱制御」を開始する。
【0084】
STEP112とSTEP120からなるループで、貯湯制御手段51は、STEP112で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃以下であるか否かを判断し、また、STEP120でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断する。
【0085】
そして、STEP112で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃以下になったときはSTEP113に進む。また、STEP120でリモコン25から暖房停止信号を受信したときにはSTEP114に進み、貯湯制御手段51は、ヒートポンプユニット60の作動を停止して「貯湯加熱制御」を終了し、STEP115に進んで処理を終了する。
【0086】
STEP113とSTEP130からなるループでは、貯湯制御手段51は、STEP113でリモコン25から暖房停止信号を受信したか否かを判断し、また、STEP130で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsよりも高くなっているか否かを判断する。
【0087】
そして、STEP113でリモコン25から暖房停止信号を受信したときはSTEP114に進む。また、STEP130で第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsよりも高くなっているときにはSTEP131に進み、貯湯制御手段51は、通信ケーブル53を介して熱源機コントローラ20に補助加熱停止信号を送信し、STEP112に戻る。
【0088】
以上説明した図6のフローチャートによる処理によって、貯湯制御手段51は、目標出湯温度を温水設定温度Tsとして「貯湯加熱制御」を実行することにより、第1熱交換器34の出湯温度Th1を温水設定温度Ts付近に維持する。
【0089】
そして、温水暖房端末90の暖房能力設定の変更等により、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低くなり、熱源機10のバーナ12に点火されて「燃焼加熱制御」が開始されたときに、貯湯制御手段51は、STEP130,STEP131により、熱源機コントローラ20に補助加熱停止信号を送信する。この補助加熱停止信号を受信した熱源機コントローラ20は、図5のSTEP101でバーナ12を消火する。
【0090】
ここで、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts−5℃よりも低くなって「燃焼加熱制御」が開始されたときに、図6のSTEP130,STEP131により、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts以上となったときに補助加熱停止信号を送信する処理を行わないと、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsに達してから、図5のSTEP4の条件(温水設定温度Ts+5℃≦第2熱交換器11の出湯温度Th2)が満たされるまで、バーナ12は燃焼を継続する。
【0091】
また、貯湯制御手段51は、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsとなるように「貯湯加熱制御」を行うため、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Tsに達した後は、第1熱交換器34の出湯温度Th1をさらに上昇させるための加熱は行わない。
【0092】
そのため、上述した図5のSTEP4の条件(温水設定温度+5℃≦第2熱交換器11の出湯温度Th2)が満たされるまで、バーナ12のみによって、第2熱交換器11からの出湯温度Th2を上昇させるための加熱が行われる。そのため、第2熱交換器11の出湯温度Th2が温水設定温度Ts+5℃まで上昇せず、あるいは上昇するまでの時間が長くなって、バーナ12の燃焼時間が長くなり、暖房運転のランニングコストが増大する。
【0093】
そこで、図6のSTEP130で、第1熱交換器34の出湯温度Th1が温水設定温度Ts以上となったときに、STEP131で熱源機コントローラ20に補助加熱停止信号を送信し、これにより、図5のSTEP101でバーナ12の燃焼を停止させることによって、バーナ12の燃焼時間を短縮させて、暖房運転のランニングコストの増大を抑制することができる。
【0094】
なお、本実施の形態では、本発明の補助熱源機として、温水暖房用の第2熱交換器11及びバーナ12を備えた熱源機10を示したが、給湯用の熱交換器及びバーナと、温水暖房用の熱交換器及びバーナとを備えた複合型の熱源機を用いてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…暖房温水循環路、10…補助熱源機、11…第2熱交換器、12…バーナ、13…第2温度センサ、14…暖房循環ポンプ、20…熱源機コントローラ、21…燃焼制御手段、25…リモコン、30…タンクユニット、31…貯湯タンク、32…貯湯循環路、34…第1熱交換器、35…第1温度センサ、50…タンクコントローラ、51…貯湯制御手段、60…ヒートポンプユニット、64…タンク循環路、70…ヒートポンプ、80…ヒートポンプコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水暖房端末に接続された暖房温水循環路と、
前記暖房温水循環路内の湯水を循環させる暖房循環ポンプと、
貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水を所定温度に加熱維持するヒートポンプと、
前記貯湯タンクに接続された貯湯循環路と、
前記貯湯タンク内の湯水を前記貯湯循環路を介して循環させるタンク循環ポンプと、
前記暖房温水循環路及び前記貯湯循環路に接続され、前記貯湯循環路を循環する湯水との熱交換により前記暖房温水循環路を循環する湯水を加熱する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される湯水の温度を検出する第1温度センサと、
前記温水暖房端末の暖房運転の開始を指示する暖房開始指示手段と、
前記暖房開始指示手段により、前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が目標出湯温度となるように、前記タンク循環ポンプを作動させる貯湯加熱制御を実行する貯湯制御手段と
を備えた温水暖房システムにおいて、
前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が所定の温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、
前記貯湯制御手段は、
前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が、前記温水設定温度から前記燃焼開始温度までの範囲内の低温判定温度よりも低いか否かを判断し、
前記第1温度センサの検出温度が前記低温判定温度以上であるときは、前記目標出湯温度を前記温水設定温度として前記貯湯加熱制御を開始し、
前記第1温度センサの検出温度が前記低温判定温度よりも低いときには、前記目標出湯温度を前記燃焼停止温度よりも高い補助加熱停止温度として、前記貯湯加熱制御を開始し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上となったときに、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に変更する
ことを特徴とする温水暖房システム。
【請求項2】
請求項1記載の温水暖房システムにおいて、
前記貯湯制御手段は、前記温水設定温度を前記目標出湯温度として前記貯湯加熱制御を実行しているときに、前記第1温度センサの検出温度が前記燃焼開始温度以下になったときには、前記目標出湯温度を前記補助加熱停止温度に変更し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上になったときに、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に戻すことを特徴とする温水暖房システム。
【請求項3】
温水暖房端末に接続された暖房温水循環路と、
前記暖房温水循環路内の湯水を循環させる暖房循環ポンプと、
貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水を所定温度に加熱維持するヒートポンプと、
前記貯湯タンクに接続された貯湯循環路と、
前記貯湯タンク内の湯水を前記貯湯循環路を介して循環させるタンク循環ポンプと、
前記暖房温水循環路及び前記貯湯循環路に接続され、前記貯湯循環路を循環する湯水との熱交換により前記暖房温水循環路を循環する湯水を加熱する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される湯水の温度を検出する第1温度センサと、
前記温水暖房端末の暖房運転の開始を指示する暖房開始指示手段と、
前記暖房開始指示手段により、前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が目標出湯温度となるように、前記タンク循環ポンプを作動させる貯湯加熱制御を実行する貯湯制御手段と
を備えた温水暖房システムにおいて、
前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が所定の温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、
前記貯湯制御手段は、
前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記貯湯加熱制御を開始し、
前記温水設定温度を前記目標出湯温度として前記貯湯加熱制御を実行しているときに、前記第1温度センサの検出温度が前記燃焼開始温度以下となったときには、前記目標出湯温度を前記温水設定温度から前記燃焼停止温度よりも高い補助加熱停止温度に変更し、その後、前記第1温度センサの検出温度が前記補助加熱停止温度以上になった時に、前記目標出湯温度を前記温水設定温度に戻す
ことを特徴とする温水暖房システム。
【請求項4】
温水暖房端末に接続された暖房温水循環路と、
前記暖房温水循環路内の湯水を循環させる暖房循環ポンプと、
貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水を所定温度に加熱維持するヒートポンプと、
前記貯湯タンクに接続された貯湯循環路と、
前記貯湯タンク内の湯水を前記貯湯循環路を介して循環させるタンク循環ポンプと、
前記暖房温水循環路及び前記貯湯循環路に接続され、前記貯湯循環路を循環する湯水との熱交換により前記暖房温水循環路を循環する湯水を加熱する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される湯水の温度を検出する第1温度センサと、
前記温水暖房端末の暖房運転の開始を指示する暖房開始指示手段と、
前記暖房開始指示手段により、前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第1温度センサの検出温度が所定の温水設定温度となるように、前記タンク循環ポンプを作動させる貯湯加熱制御を実行する貯湯制御手段と
を備えた温水暖房システムにおいて、
前記第1熱交換器の下流側で前記暖房温水循環路に接続された第2熱交換器と、該第2熱交換器を加熱するバーナと、該第2熱交換器から前記暖房温水循環路に供給される温水の温度を検出する第2温度センサと、前記暖房開始指示手段により前記温水暖房端末の暖房運転の開始が指示されたときに、前記第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも低い燃焼開始温度以下となったときに前記バーナを燃焼させ、該第2温度センサの検出温度が前記温水設定温度よりも高い燃焼停止温度以上となったときに前記バーナの燃焼を停止する処理を繰り返す暖房燃焼制御を実行する燃焼制御手段とを有する補助熱源機を備え、
前記貯湯制御手段は、前記貯湯加熱制御の実行中に、前記第1温度センサの検出温度が、前記燃焼開始温度よりも低い温度から前記温水設定温度以上に移行したときに、前記補助熱源機に対して前記バーナの燃焼停止を指示し、
前記補助熱源機の前記燃焼制御手段は、前記貯湯制御手段からの前記バーナの燃焼停止の指示に応じて、前記バーナの燃焼を停止する
ことを特徴とする温水暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−13336(P2012−13336A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151380(P2010−151380)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】