説明

温熱・磁気・加振治療器

【課題】 治療器本体の構造を簡素化してコストダウンを図り、厚みを薄くし、軽量化を図り、取り扱いを容易にし、また業務用としてだけでなく、一般家庭にも普及させられる温熱・磁気・加振治療器を提供する。
【解決手段】 板状鉄心7bの周囲に巻回された電磁コイル7aに交流電源を通電することにより発生する熱で温熱し、同時に発生する電磁力にて周辺に磁気を生じさせる温熱・磁気発生素子7を、温熱・磁気・加振治療器本体2の凹状部3a内に移動可能に遊嵌し、温熱・磁気発生素子7の一端側に所定間隔をあけて永久磁石体8を治療器本体2内に固定することにより、電磁コイル7aへの通電時に温熱・磁気発生素子7が永久磁石体8に対し離間・接近して振動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭用の100V交流電源で使用可能な温熱・磁気・加振治療器に関し、詳しくは、人体の患部などを温めると同時に、磁気を付与し、かつ振動を与えることができる治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の治療器としては、変動電磁界により振動を生ずる温熱・磁気・加振治療用素子を複数用いたもので、これらの治療用素子が電気的絶縁性及び耐熱性を有する強樹脂材料からなる上側部材と、電気的絶縁性及び耐熱性を有する樹脂材料からなり前記上側部材に結合されて筒状体を形成する下側部材と、前記上側部材及び下側部材の間に挟持されて固定されている固定磁性板と、一端部が前記上側部材及び下側部材の間に挟持されて固定され、他端部が前記固定磁性板の端部に対し厚さ方向において若干ずれて位置する自由端とされている振動磁性板と、前記筒状体の外周囲に多数回捲回された電磁コイルとを備えた温熱・磁気・加振治療器が提案され、かつ実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この治療器によれば、電源への接続や電源スイッチのオン等により電磁コイルに電流が流されると、その電流の通過によって電磁コイルが発熱し、温度を上昇させるとともに、筒状体の外周に捲回された電磁コイルが励磁コイルとして作用して、筒状体の長手方向の軸線を軸心とする磁束を生成し、周囲に磁気を発生する。また、それとともに、振動磁性板は、一端部が固定され他端部が自由端である片持ち支持状態であり、他端部が厚さ方向において固定磁性板の端部と厚さ方向に対し若干ずれて位置していることから、発生する変動電磁界によって、他端部が、振動磁性板自体の弾性によって、厚さ方向において振動し、その振動が筒状体を構成する上側部材及び下側部材に伝えられる。
【0004】
その他の先行技術として、上記のような治療器に対して加振(振動)作用を増巾するために、複数個の永久磁石板を可撓性の平板上にならべて固着することにより前記治療器上に重ねて使用可能に構成したシート状の振動増巾器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−28251号公報
【特許文献2】実開平6−7752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の治療器は、上下一対の半円弧状筒状部材を突き合わせた筒状体内に振動磁性板と固定磁性板とを内装し、筒状体の周囲に電磁コイルを巻回した複数個の温熱・磁気・加振治療用素子を直列に接続し、可撓性の布製カバー内に連続的に並べて固定することによりシート状に構成されている。このため、凹凸のあるシート状で、凹部と凸部の厚みの差異が大きく、したがって、腰部や肩部の下などに敷いて使用する場合には、「ごつごつ」した感触を受ける。これに加えて、上記した振動増幅器を治療器の上に重ねて使用する場合には、治療器全体の厚みがさらに増すことから、その感触は一層強くなる。また、治療器全体の重量も増えるために、取り扱い上も不便である。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、治療器本体の構造を簡素化してコストダウンを図り、厚みを薄くし、軽量化を図り、取り扱いを容易にし、また業務用としてだけでなく、一般家庭にも普及させられる温熱・磁気・加振治療器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の温熱・磁気・加振治療器は、板状鉄心の周囲に巻回された電磁コイルに交流電源を通電することにより発生する熱で温熱し、同時に発生する電磁力にて周辺に磁気を生じさせる温熱・磁気発生素子を、温熱・磁気・加振治療器本体の凹状部内に移動可能に遊嵌し、前記温熱・磁気発生素子の一端側に所定間隔をあけて永久磁石体を前記治療器本体内に固定することにより、前記電磁コイルへの通電時に前記温熱・磁気発生素子が前記永久磁石体に対し離間・接近して振動する構成としたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成を有する本発明の温熱・磁気・加振治療器によれば、交流電源への接続により電磁コイルに電流が流されると、その電流の導通によって電磁コイルが発熱し、温度が上昇して温熱作用を発揮するとともに、板状鉄心の周囲に捲回された電磁コイルが励磁コイルとして作用し、板状鉄心の長手方向の軸線を軸心とする磁束を生成し、周囲に磁気を発生する。一方、板状鉄心の長手方向の端部に励磁される磁極は、交流電源により一定の周期(50乃至60サイクル)でN極とS極に変化するため、前記板状鉄心の端部に対向配置されている永久磁石の固定磁極(N極またはS極)に対し反発したり吸着されたりすることによって板状鉄心を主体とする温熱・磁気発生素子は凹状部内で往復動、つまり振動する。
【0009】
請求項2に記載のように、長方形状の前記治療器本体の幅方向の中間位置に、複数個の前記永久磁石体を長さ方向に間隔をあけて配置し、各永久磁石体を中心に相対向して一対の前記温熱・磁気発生素子を配置することができる。
【0010】
このようにすることで、長手方向に一定間隔で並んで配置された各永久磁石を中心に直交する方向において対向する温熱・磁気発生素子が振動すると同時に、発熱して温熱作用を発揮し、また温熱・磁気発生素子による電磁気作用と永久磁石による磁気作用とで磁力を発生させる。
【0011】
請求項3に記載のように、前記温熱・磁気発生素子および前記永久磁石体を収納可能な複数の凹状部を、耐熱性軟質樹脂材料により真空成型にて成形し、前記温熱・磁気発生素子および前記永久磁石体を対応する各凹状部内に収納した状態で、シート状耐熱性軟質樹脂材料を前記各凹状部の開口側に高周波溶着して前記開口部を閉塞し、前記治療器本体を防滴構造にすることが好ましい。
【0012】
このように構成することで、前記凹状部を設計通りの寸法(大きさ)に正確に形成、つまり寸法精度の高い製造が可能になるから、温熱・磁気発生素子を収納する凹状部の場合、温熱・磁気発生素子とこの素子を遊嵌する凹状部の長手方向における内壁面との間隙が一定となり、各凹状部内における温熱・磁気発生素子の振動幅(振動の大きさ)がほぼ一定となる。一方、永久磁石体を収納する凹状部は永久磁石体とほぼ等しく(わずかに大きく)形成することで、静止状態に保持あるいは微振動させられる。また軟質樹脂材料を用いて前記温熱・磁気発生素子や前記永久磁石体を収納する凹状部を形成するので、治療器全体の厚みを薄くでき、温熱・磁気発生素子などの構造も簡単で小型軽量化できることから、取り扱いが容易なうえに、使用に際して体のどのような部位に当接させても、従来のような「ごつごつ」感がなく、嵩張らないから、使用時に違和感がない。
【0013】
請求項4に記載のように、前記耐熱性軟質樹脂材料に厚さ1mm以下の電気的絶縁性および耐熱性を有する塩化ビニールシートを使用することができる。この場合、通常は布製の袋などに収納して使用することで、塩化ビニールシートの摩耗や損傷を防止でき、長期使用が可能になる。また、治療器本体の軽量化およびコストダウン化を図れる。
【0014】
請求項5に記載のように、前記温熱・磁気発生素子の全ての電磁コイルを直列に接続することができる。
【0015】
請求項6に記載のように、前記温熱・磁気発生素子の少なくとも一つにサーミスタを装着し、このサーミスタにより前記温熱・磁気発生素子の電磁コイルに通電される交流電源からの電流を制御する制御器を設けることができる。
【0016】
このように構成すれば、サーミスタが電磁コイルの温度を検知して電流の通過量を制限するので、治療器からの発熱量をほぼ一定に保って過熱を防止する。
【0017】
請求項7に記載のように、前記制御器を介して発光素子に通電し、通電時に同発光素子が点灯するようにすることができる。
【0018】
このようにすれば、通電時に発光素子が点灯するので、通電状態(温熱・磁気発生素子が動作中)であることが容易に確認できる。
【0019】
請求項8に記載のように、前記治療器本体の一側部内に交流電源に一端が接続される導子コードの他端部側を挿入し、前記一側部内において前記温熱・磁気発生素子の電磁コイルに通電するための接続端子と前記発光素子とに前記導子コードを接続し、前記発光素子の発光部から導光材料を前記治療器本体の外方へ導いて前記導光材料の発光部を露出させることができる。
【0020】
このようにすれば、前記シート状耐熱性軟質樹脂材料(請求項3)を前記各凹状部の開口側に高周波溶着して開口部を閉塞する際に、前記治療器本体の一側部における導子コードの挿入部および導光材料の取り出し部を同時に閉塞できるので、治療器本体の防水構造を簡単にかつ安価に達成し得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の温熱・磁気・加振治療器には、次のような優れた効果がある。すなわち、体の患部に当てたり敷いたりして使用する治療器本体を構成する温熱・磁気発生素子などの部材の構造を簡単にして軽量化を図れるとともに、治療器本体の厚みを薄く(例えば、10mm前後に)でき、しかも本体を構成するケースを耐熱性の軟質樹脂で形成することにより接触時の「ごつごつ」感をなくし感触を良好にできる。また、コストダウン化が図れ、耐久性も向上して長期間安定した使用が可能になる。さらに、取り扱いが容易で、持ち運びも便利で、家庭用100V交流電源で使用できるために、業務用としてだけでなく、一般家庭にも普及させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の温熱・磁気・加振治療器について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の温熱・磁気・加振治療器の実施例を示す平面図、図2(a)は図1のa−a線断面図、図2(b)は図1のb−b線断面図、図3は図1の本発明の温熱・磁気・加振治療器のブロック図である。図4は図1の本発明の温熱・磁気・加振治療器本体の真空成形用金型の凹状部側を示す平面図、図5(a)は図4の真空成形用金型を示す正面図、図5(b)は図4のb−b線断面図である。
【0024】
図1・図2に示すように、本発明の温熱・磁気・加振治療器1の治療器本体2は、耐熱性塩化ビニールを用いて真空成形された収納ケース3を備えている。治療器本体2は、図3に示すように家庭用100V交流電源の通電時に点灯するLED(発光ダイオード)6および導子コード部4と、4隅の角部を円弧状に形成した略長方形の板状鉄心7bの外周面上に電磁コイル7a(図2(b)参照)を何重にも多数巻回した温熱・磁気発生素子7と永久磁石体8とを備えている。また、治療器本体2は、別体のコントローラ(制御器)5(図1・図3参照)に導子コード4aにより接続されている。そして、コントローラ5には、導子コード4aの他端の接続プラグ4dを接続するプラグ受け52および電源スイッチ(図示せず)のほかに、交流電源のコンセントに接続可能な二股プラグ51を先端に備えた導子コード(図示せず)50の基端が接続されている。
【0025】
永久磁石体8は温熱・磁気発生素子7の幅方向の長さに比べて長手方向の長さが短い長方形状の板体からなり、3個の永久磁石体8が治療器本体2の幅方向の中間位置に横長方向に一定間隔をあけて並べて配置されている。一方、温熱・磁気発生素子7は永久磁石体8を中心にして挟むように一定間隔をあけて縦長方向に一対ずつ配置されている。
【0026】
導子コード部4は、治療器本体2の長手方向の一側方寄りに幅方向に沿って設けられており、治療器本体2の一側部において、ほぼ幅方向全長にわたり後述する凹状部3cを形成し、この凹状部3c内に収納して密封されている。つまり、凹状部3c内に導子コード4aを挿入するとともにLED6を配置し、LED6の発光部位に光ファイバーなどの導光部材10の内端面を突き合わせ、導光部材10の他端側の発光部10aを導子コード4aに沿って外方へ取り出し、露出させている。このため、本例では導子コード4aの半円形状の取り出し孔部23e(図4参照)と平行に半円形状の、導光部材10の取り出し孔部23d(図4参照)を舌片状部23'(図4参照)に設けている。
【0027】
導子コード部4には、上記したとおりコントローラ5のプラグ受け52に接続可能な接続プラグ4dを備えた導子コード4aを含み、この導子コード4aは分岐されている。そして、一方の組の分岐導子コード4bの一端は、図1に示すように導子コード部4の右側に隣接する上下の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの一端にそれぞれ接続され、電磁コイル7aの他端が接続コード9を介して隣接する中央位置の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの一端に接続されている。
【0028】
中央位置の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの他端は接続コード9を介して隣接する右端の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの一端にそれぞれ接続されている。上下の右端の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの他端同士が接続コード9を介して接続されている。このようにして、本例では上下の全6個の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aが接続コード9を介して順にかつ一連に直列に接続されている。そして、下側の中央位置および右端の温熱・磁気発生素子7の各電磁コイル7a一端と接続コード9との間には、サーモスタット11がそれぞれ介設されている。なお、図1中の符号9bおよび符号9cは絶縁被覆付き接続端子である。
【0029】
また、上側左端の温熱・磁気発生素子7の一端部にサーミスタ12が取り付けられ、このサーミスタ12は一組の分岐導子コード4cにより導子コード部4を経由して、コントローラ5のプラグ受け52の一対の端子(9b)に接続されている。他方の分岐導子コード4cの一端はサーミスタ12に一端が接続され、この分岐導子コード4cの他端は、コントローラ5の他方の一対の端子(9c)に接続されている。さらに、下側で右端の温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの両端(両極)にLED6の一端が接続コード13により、他端が抵抗器6aを介設した接続コード13によりそれぞれ接続されており、温熱・磁気発生素子7の電磁コイル7aの両端(両極)に生ずる分圧低電位を利用することにより、LED6を発光させるための電力を得ている。
【0030】
そして後述するように、全ての構成部材を装填した状態で、各凹状部3a・3b・3cの開口側(下面)に別の塩ビシート3’を配置し、高周波溶着機により各凹状部3a・3b・3cの開口周縁部を相互に溶着し、防滴構造の治療器本体2を形成している。なお、凹状部3cの導子コード4aおよび導光部材10の取り出し口側は舌片状23’に張り出し、別の塩ビシート3’を貼り合わせて取り出し口を密封している。
【0031】
ところで、治療器本体2の収納ケース3は、上記したように耐熱性塩化ビニールのシートを用いて図4に示す金型21により真空成形されている。比較的厚め(例えば、1mm以下)の塩化ビニールシート(以下、塩ビシートという)が金型本体22と複数の凹状部23a・23bを備えた上型23との間に挿入され、金型本体22内のヒータ(図示せず)にて100℃以上(ただし130℃以下)に加熱される。こうして塩ビシートは軟化され、この軟化状態で各凹状部23a・23b・23cの内面に吸引される。この負圧吸引を行うために、各凹状部23a・23b・23cの周壁面には多数の吸引孔(図示せず)が穿設されている。各凹状部23a・23b・23cの内壁面に塩ビシートが吸着されると、ヒータによる加熱が中止され、今度は金型本体22から低温の水蒸気が塩ビシートに対し噴射され、塩ビシートは急速に冷却される。この結果、図1〜図2に示す複数の凹状部3a・3b・3cを備えた収納ケース3の片側(凹状部側)が成形される。
【0032】
そして、収納ケース3の各凹状部3a・3b・3cには、内部に収納される構成部品である、温熱・磁気発生素子7、永久磁石体8およびLED6ならびにその他の導子コード部4などを装填する。例えば、温熱・磁気発生素子7は長手方向に振動させる必要があるので、凹状部3aの長手方向において温熱・磁気発生素子7の端部と凹状部3aの内壁面とに隙間をあけて遊嵌する。一方、永久磁石体8は、本例の場合、微振動状態に保持するために、凹状部3bの短軸方向において内壁面に対し永久磁石体8の両端とほとんど隙間のない状態で嵌挿する。
【0033】
このようにして全ての構成部材を装填した状態で、各凹状部3a・3b・3cの開口側(下面)に別の塩ビシート3’を配置し、高周波溶着機(ウエルダー)により各凹状部3a・3b・3cの開口周縁部を相互に溶着し、収納ケース3が形成されれば、治療器本体2の組立が終了する。
【0034】
上記のようにして本発明の実施例に係る温熱・磁気・加振治療器1が構成されるが、以下、その動作について説明する。
【0035】
まず、コントローラ5の電源プラグ51を家庭用交流電源のコンセントに差し込んで電源スイッチをオンにし、温熱・磁気・加振治療器1に通電する。この状態で、電磁コイル3が発熱し、各温熱・磁気発生素子7,・・の温度が上昇するとともに、板状鉄心7bの外周面に多数捲回された電磁コイル3が励磁コイルとして作用して、板状鉄心7bの長手方向の軸線を軸心とする磁束を生成し、温熱・磁気・加振治療器1の周囲に磁気を発生する。同時に、永久磁石体8の端部と対向する板状鉄心7bの端部に磁極(N極/S極)が発生し、永久磁石体8に対し温熱・磁気発生素子7が吸引されたり反発したりして、凹状部3a内で往復動つまり振動する。このとき、永久磁石体8も凹状部3b内のわずかな間隙で微振動する。そして、これらの振動は治療器本体2に伝達されて全体を振動させることになる。
【0036】
よって、治療器本体2を例えば布製の外カバーに挿入した状態で腰や肩、首などの患部に当てれば、温熱および磁気作用によって血行を促進させる。本例の治療器本体2は厚みが10mm前後と非常に薄く、軽量で、しかも全体が軟質の塩ビシートで被覆されているので、患部に当てたときに「ごつごつ」感が全くなく、感触が良好な上に、患部の下に敷いて体重を掛けても「ごろごろ」せず、圧迫感もない。このため、治療器本体2を体の下に敷いて快適に長時間使用することができる。また、加振(振動)作用により、マッサージ効果があり、血行および新陳代謝を促進させ、肩こり、ひじ痛、ひざ関節痛、腰痛、冷え性等の疾患の治療効果を向上させる。
【0037】
特に、本例の治療器1は、耐熱性を有する塩ビシートを真空成形して治療器本体2の収納ケース3を構成しているので、成形が容易で、大量生産が可能になり、コストダウンが図れる。また、本治療器1は、通常は、腰等の患部に押し当てて使用されるが、例えば背骨や臀部の下に敷いたような場合であっても、内部の構成部材、例えば温熱・磁気発生素子7が変形して圧壊するおそれがない。そのうえ、塩ビシートは樹脂材料は、温熱伝導性に優れているため、外部への熱放射が良好で、治療器本体2内への蓄熱が少ない。
【0038】
以上に本発明の温熱・磁気・加振治療器1の実施例を説明したが、下記のように実施することができる。
・耐熱性軟質樹脂材料には、塩化ビニールの他、例えばポリオレフィン樹脂を使用することができる。
・上記実施例では、収納ケース3の凹状部を片面に設けたが、図6に示すように凹状部3a・3b・3cを両面3・3’に対称的に真空成形し、開口周縁部を突き合わせて高周波溶着により治療器本体2’を一体に形成することもできる。
・上記実施例では、永久磁石体8を中心に一対の対向する温熱・磁気発生素子7を3組設けたが、2組あるいは4組もしくは5組設けてもよい。
・LED6は通電時に点灯させるだけでなく、点滅させたり、コントローラ5の出力に応じて光量を変えるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の温熱・磁気・加振治療器の実施例を示す平面図である。
【図2】図2(a)は図1のa−a線断面図、図2(b)は図1のb−b線断面図である。
【図3】図3は図1の本発明の温熱・磁気・加振治療器のブロック図である。
【図4】図1の本発明の温熱・磁気・加振治療器本体の真空成形用金型の凹状部側を示す平面図である。
【図5】図5(a)は図4の真空成形用金型を示す正面図、図5(b)は図4のb−b線断面図である。
【図6】本発明の温熱・磁気・加振治療器の他の実施例に係る治療器本体を示す、図2(a)に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 温熱・磁気・加振治療器
2 治療器本体
3 収納ケース
3a・3b・3c凹状部
3’塩化ビニールシート(軟質樹脂シート)
4 導子コード部
4a導子コード
4b・4c分岐導子コード
5 コントローラ(制御器)
6 LED(発光素子)
7 温熱・磁気発生素子
7a電磁コイル
7b板状鉄心
8 永久磁石体
9 接続コード
11 サーモスタット
12 サーミスタ
21 真空成形用金型
22 金型本体
23 上型
23a・23b・23c凹状部(金型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状鉄心の周囲に巻回された電磁コイルに交流電源を通電することにより発生する熱で温熱し、同時に発生する電磁力にて周辺に磁気を生じさせる温熱・磁気発生素子を、温熱・磁気・加振治療器本体の凹状部内に移動可能に遊嵌し、前記温熱・磁気発生素子の一端側に所定間隔をあけて永久磁石体を前記治療器本体内に固定することにより、前記電磁コイルへの通電時に前記温熱・磁気発生素子が前記永久磁石体に対し離間・接近して振動する構成としたことを特徴とする温熱・磁気・加振治療器。
【請求項2】
長方形状の前記治療器本体の幅方向の中間位置に、複数個の前記永久磁石体を長さ方向に間隔をあけて配置し、各永久磁石体を中心に相対向して一対の前記温熱・磁気発生素子を配置したことを特徴とする請求項1記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項3】
前記温熱・磁気発生素子および前記永久磁石体を収納可能な複数の凹状部を、耐熱性軟質樹脂材料により真空成型にて成形し、前記温熱・磁気発生素子および前記永久磁石体を対応する各凹状部内に収納した状態で、シート状耐熱性軟質樹脂材料を前記各凹状部の開口側に高周波溶着して前記開口部を閉塞し、前記治療器本体を防滴構造にしたことを特徴とする請求項2記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項4】
前記耐熱性軟質樹脂材料が厚さ1mm以下の電気的絶縁性および耐熱性を有する塩化ビニールシートからなることを特徴とする請求項3記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項5】
前記温熱・磁気発生素子の全ての電磁コイルを直列に接続したことを特徴とする請求項3または4記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項6】
前記温熱・磁気発生素子の少なくとも一つにサーミスタを装着し、このサーミスタにより前記温熱・磁気発生素子の電磁コイルに通電される交流電源からの電流を制御して前記温熱・磁気発生素子の発熱温度を所定の範囲内に規制する制御器を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項7】
前記制御器を介して発光素子に通電し、通電時に同発光素子が点灯するようにしたことを特徴とする請求項6記載の温熱・磁気・加振治療器。
【請求項8】
前記治療器本体の一側部内に交流電源に一端が接続される導子コードの他端部側を挿入し、前記一側部内において前記温熱・磁気発生素子の電磁コイルに通電するための接続端子と前記発光素子とに前記導子コードを接続し、前記発光素子の発光部から導光材料を前記治療器本体の外方へ導いて前記導光材料の発光部を露出させたことを特徴とする請求項7記載の温熱・磁気・加振治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−5821(P2009−5821A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169098(P2007−169098)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(592162863)株式会社チュウオー (3)
【Fターム(参考)】