説明

測定システム

【課題】 エネルギの損失を抑制できる。
【解決手段】 テレメータシステムは、親機15および測定器16を含む。親機15は、ホストコンピュータ11や子機17との間で通信し、検針する時刻を記憶し、時刻を検出し、測定器16に、検針およびメータ情報の送信についての要求を表わす信号を送信し、受信された複数のメータ情報を記憶し、それらのメータ情報を測定器16以外の外部であるホストコンピュータ11に送信する。測定器16は、親機15の要求に応じて検針するメータ18と、メータ18が検針することにより得られたメータ情報を送信する子機17とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システムに関し、特に、ガスや水道などにおける検針に利用される測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスや水道などのメータ用に開発されたテレメータシステムにおいて、定時検針または周期検針を行なうためには、子機に対し、あらかじめ検針する時間を設定する必要がある。その設定の方法として、特許文献1には、次の方法が開示されている。
【0003】
第1のステップは、検針により得られた値を集中的に管理するホストコンピュータから親機のT−NCU(Terminal Network Control Unit)へ設定しようとする時間を表わす電文を無線により送信するステップである(なお、ホストコンピュータとT−NCUとの間は、公衆電話回線を介して接続されている)。
【0004】
第2のステップは、T−NCUから親機へ設定しようとする時間を表わす電文を送信するステップである。
【0005】
第3のステップは、親機から子機へ設定しようとする時間を表わす電文を無線により送信するステップである。
【0006】
図10を参照して、親機から子機へ送信される電文のフォーマットは、STX(Start-of-Text)エリア60と、宛先IDエリア62と、設定コマンドエリア64と、データエリア66と、ETX(End-of-Text)エリア68と、BCC(Block-Check-Character)エリア70とを含む。STXエリア60は、テキストデータが始まる旨の符号を含む。宛先IDエリア62は、電文の宛先となる子機のID(図10の場合「00000000000001」である)を含む。設定コマンドエリア64は、検針を実施する時刻を設定する旨のコマンドを含む。データエリア66は、設定される時刻などを含む。ETXエリア68は、テキストデータが終了する旨の符号を含む。BCCエリア70は、誤りをチェックするための符号を含む。
【0007】
データエリア66は、検針エリア72と、周期エリア74と、送信エリア76とを含む。検針エリア72は、検針を開始する月、日、および時を表わすデータを含む。12月10日05時に検針を行なわせたい場合、そのデータは「121005」と設定される。毎月10日05時に検針を行なわせたい場合、そのデータは「001005」と設定される。周期エリア74は、検針の周期を表わすデータを含む。たとえば、12月10日05時を起点として、6時間ごとに繰返して検針させたい場合、そのデータは「206」と設定される。7日毎に繰返して検針させたい場合、そのデータは「107」と設定される。第1桁が周期の単位(第1桁が「1」の場合、周期の単位は「日」である。第1桁が「2」の場合、周期の単位は「時間」である。)を表わす。第2桁および第3桁が周期の大きさを表わす。送信エリア76は、メータ情報(検針により測定された物理量の値を表わす情報)を親機に送信する月、日、および時を表わすデータを含む。12月11日06時00分に発信を行なわせたい場合、そのデータは「12110600」と設定される。毎月11日06時00分に発信を行なわせたい場合、そのデータは「00110600」と設定される。そのデータが「00000000」と設定され、かつ検針エリア72および周期エリア74にいずれも値が設定された(「0」以外の数字を含むデータが設定された)場合、検針された直後にメータ情報を送信する。
【0008】
第4のステップは、子機が、受信した電文に基づき、検針する時間を設定するステップである。子機は、子機自身が検出した時間と設定された時間とが一致した場合に、メータの検針を行なう。
【0009】
しかし、前述の特許文献1に開示されていた発明では、エネルギの損失が大きいという問題点がある。エネルギの損失が大きい理由は、検針の時刻を設定することやメータ情報を通信することに、多くのエネルギが費やされる点にある。
【0010】
たとえば、検針や送信の時刻は、複数の子機がそれぞれ設定したり監視したりしなくてはならない。子機に繋がっているメータが複数台あると、設定や監視に費やされるエネルギは大きくなる。時刻を監視する場合、子機は、通常のモードより消費電力が高くなるモードで動作するためである。監視を必要とする機会が増えれば増えるほど、エネルギはより多く費やされる。
【特許文献1】特開2000−224324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、エネルギの損失を抑制できる測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面にしたがうと、測定システムは、親機および測定器を含む測定システムである。親機は、外部との間で通信するための通信手段と、物理量を測定する時刻を記憶するための第1の記憶手段と、時刻を検出するための検出手段と、検出手段が検出した時刻が、第1の記憶手段が記憶した時刻以降のいずれかである場合、測定器に、物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を送信するように、通信手段を制御するための第1の制御手段と、通信手段が受信した物理量の値を表わす量情報を記憶するための第2の記憶手段と、量情報を測定器以外の外部に送信するように、通信手段を制御するための第2の制御手段とを含む。測定器は、親機との間で通信するための通信手段と、通信手段が物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を受信すると、要求に応じて物理量を測定するための測定手段と、測定手段が測定した物理量の値を送信するように、通信手段を制御するための制御手段とを含む。
【0013】
すなわち、親機の第1の制御手段は、検出手段が検出した時刻が、第1の記憶手段が記憶した時刻以降のいずれかである場合、測定器に、物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を送信させる。測定器の測定手段は、物理量の測定および送信についての要求を表わす信号が受信されると、要求に応じて物理量を測定する。測定器の制御手段は、測定手段が測定した物理量の値を送信させる。親機の第2の記憶手段は、物理量の値を表わす量情報を記憶する。親機の第2の制御手段は、量情報を測定器以外の外部に送信させる。これにより、物理量を測定する時間は、親機の第1の制御手段により制御されることとなる。その結果、エネルギの損失を抑制できる測定システムを提供することができる。
【0014】
また、上述の測定システムは、複数の測定器を含むことが望ましい。第1の記憶手段が記憶する時刻は、複数の測定器が複数のグループごとに物理量を測定する時刻を含むことが望ましい。
【0015】
すなわち、物理量を測定する時間は、親機の第1の制御手段により複数のグループごとに制御されることとなる。その結果、エネルギの損失をより抑制できる測定システムを提供することができる。
【0016】
また、上述の測定システムは、複数の測定器を含むことが望ましい。第1の制御手段は、複数の測定器に、物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を同時に送信するように、通信手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0017】
すなわち、親機の第1の制御手段は、検出手段が検出した時刻が、第1の記憶手段が記憶した時刻以降のいずれかである場合、複数の測定器に、物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を同時に送信させる。これにより、物理量を測定する時間の制御に費やされるエネルギとその制御に費やされる時間との損失が抑制される。その結果、エネルギの損失に加えて時間の損失を抑制できる測定システムを提供することができる。
【0018】
また、上述の測定システムは、複数の測定器を含むことが望ましい。第1の制御手段は、複数の測定器に、送信の時刻を指定した物理量の測定および送信についての同じ内容の要求を表わす信号を、同時に送信するように、通信手段を制御するための手段を含むことが望ましい。複数の測定器の制御手段は、親機が送信した信号が表わす送信の時刻に物理量の値を送信するように、通信手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0019】
すなわち、親機の第1の制御手段は、複数の測定器に、送信の時刻を指定した物理量の測定および送信についての同じ内容の要求を表わす信号を、同時に送信させる。これにより、物理量を測定する時間の制御に費やされるエネルギとその制御に費やされる時間との損失が抑制される。その結果、エネルギの損失および時間の損失を抑制できる測定システムを提供することができる。
【0020】
また、上述の送信の時刻を指定した物理量の測定および送信についての要求は、複数の測定器ごとに異なる送信の時刻を指定した要求であることが望ましい。
【0021】
すなわち、親機の第1の制御手段は、複数の測定器に、複数の測定器ごとに異なる送信の時刻を指定した同じ内容の要求を表わす信号を、同時に送信させる。これにより、エネルギおよび時間の損失がより抑制される。その結果、エネルギの損失および時間の損失をより抑制できる測定システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る測定システムは、時間やエネルギの損失を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
図1を参照して、本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、ホストコンピュータ11と、ホストコンピュータ11に接続されるセンタT−NCU(以下、「センタ」と略す)12と、電話回線13を通じてセンタ12と通信するT−NCU14と、T−NCU14に接続される親機15と、測定器16と(本実施の形態において、親機15および測定器16を「測定システム」と総称する)を含む。ホストコンピュータ11は、メータ情報を集計する。センタ12およびT−NCU14は、電話回線13を通じてホストコンピュータ11と親機15との通信を仲介する。親機15は、ガスや水道などの検針により得られた物理量(本実施の形態の場合、消費されたガスや水の体積)および検針に必要な情報を通信する。測定器16は、検針により物理量を測定し、親機15に送信する。本実施の形態の無線テレメータシステムは、測定器16を64台含む(図1に示す測定器16はそれらの一部である)こととする。
【0025】
測定器16は、親機15との間でメータ情報を通信する子機17と、検針により物理量を測定するメータ18とを含む。
【0026】
図2を参照して、親機15は、T−NCUインターフェイス21と、不揮発メモリ22と、CPU(Central Processing Unit)23と、アンテナ24と、アンテナ24に接続される通信ユニット25と、ROM(Read Only Memory)26と、RAM(Random Ac-cess memory)27と、電池28とを含む。T−NCUインターフェイス21は、外部(本実施の形態の場合T−NCU14)との間で通信する。不揮発メモリ22は、検針(すなわち物理量の測定)に関する情報を記憶する。CPU23は、情報を処理する。CPU23は、時刻を検出する回路でもある。本実施の形態の場合、CPU23は、時刻を検出する回路を内蔵することにより、この機能を実現する。アンテナ24は、外部に電波を出力したり、外部からの電波を受付けたりする。通信ユニット25は、無線で通信するための信号を変換する。アンテナ24および通信ユニット25は、外部(本実施の形態の場合子機17)との間で無線により通信する装置である。ROM26は、本実施の形態に係る親機15を実現するためのプログラムを記憶する。RAM27は、CPU23が情報を処理するためのデータを一時的に記憶する。電池28は、CPU23などに図示しない配線を通じて電力を供給する。
【0027】
不揮発メモリ22は、第1領域および第2領域を含む。不揮発メモリ22の第1領域は、検針を実施する(すなわち物理量を測定する)時刻を記憶する。不揮発メモリ22の第2領域は、アンテナ24および通信ユニット25が受信した物理量の値を表わす量情報の一種として、複数のメータ情報を記憶する。図3を参照して、不揮発メモリ22の第1領域は、ブロック(1)と、ブロック(2)と、ブロック(3)と、ブロック(4)とを含む。ブロック(1)は、1台目から32台目までの子機17の検針の条件を表わす情報を記憶する。ブロック(2)は、33台目から64台目までの子機17の検針の条件を表わす情報を記憶する。本実施の形態の場合、ブロック(3)およびブロック(4)には条件が未だ設定されていないことを表わす情報を記憶する。本実施の形態の場合、ブロック(1)およびブロック(2)が記憶する情報は、17桁の数値により表わされる。1桁目および2桁目は、検針を開始する月(年月日のうちの「月」)を表わす。3桁目および4桁目は、検針を開始する日(年月日のうちの「日」)を表わす。5桁目および6桁目は、検針を開始する「時」(時間の単位としての「時」)を表わす。7桁目は、周期の単位(7桁目が「1」の場合、周期の単位は「日」である。7桁目が「2」の場合、周期の単位は「時間」である。)を表わす。8桁目および9桁目は、周期の大きさを表わす。10桁目および11桁目は、メータ情報の送信を開始する月(年月日のうちの「月」)を表わす。12桁目および13桁目は、メータ情報の送信を開始する日(年月日のうちの「日」)を表わす。14桁目および15桁目は、メータ情報の送信を開始する「時」(時間の単位としての「時」)を表わす。16桁目および17桁目は、メータ情報の送信を開始する「分」(時間の単位としての「分」)を表わす。本実施の形態において、ブロック(1)が記憶する情報の場合、検針された直後にメータ情報を送信することを表わす。10桁目から17桁目までのデータがいずれも「0」と設定され、かつその前の桁に値が設定されている(「0」以外の数字を含むデータが設定されている)ためである。これにより、不揮発メモリ22の第1領域が記憶する時刻は、複数の測定器16が複数のグループごとに物理量を測定する時刻を含むこととなる。
【0028】
図4を参照して、本実施の形態に係る子機17を実現するコンピュータは、RAM27と、電池28と、メータインターフェイス29と、アンテナ30と、通信ユニット31と、CPU32と、ROM33と、不揮発メモリ34とを含む。メータインターフェイス29は、メータ18との間の通信を仲介する。アンテナ30は、アンテナ24とは異なる動作により、親機15に電波を出力したり、親機15からの電波を受付けたりする。通信ユニット31は、通信ユニット25とは異なる動作により、通信するための信号を変換する。アンテナ30および通信ユニット31は、親機15との間で無線により通信する装置である。CPU32は、CPU23とは異なる動作により情報を処理する。CPU32は、CPU23とは異なる動作により時刻を検出する回路でもある。CPU32は、予め定められた時間(どのように時間が定められるかは後述する)が経過したことを検出するタイマでもある。本実施の形態の場合、CPU32は、時刻を検出する回路および時間が経過したことを検出する回路を内蔵することにより、これらの機能を実現する。ROM33は、本実施の形態に係る子機17を実現するためのプログラムを記憶する。不揮発メモリ34は、メータ情報などを記憶する。なお、その他のハードウェア構成については前述の親機15に係るハードウェア構成と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0029】
図5を参照して、親機15で実行されるプログラムは、メータ情報の通信に関し、以下のような制御構造を有する。
【0030】
ステップ100(以下、ステップをSと略す。)にて、ホストコンピュータ11は、センタ12、電話回線13、およびT−NCU14を介して、親機15に設定コマンドを送信する。図6を参照して、センタ12が親機15に送信する設定コマンドのフォーマットは、STXエリア60と、宛先IDエリア62と、設定コマンドエリア64と、検針データエリア80と、ETXエリア68と、BCCエリア70とを含む。検針データエリア80は、検針の条件を表わす情報を含む。本実施の形態の場合、検針データエリア80が記憶する情報は、17桁の数値により表わされる。1桁目および2桁目は、検針を開始する月(年月日のうちの「月」)を表わす。3桁目および4桁目は、検針を開始する日(年月日のうちの「日」)を表わす。5桁目および6桁目は、検針を開始する「時」(時間の単位としての「時」)を表わす。7桁目は、周期の単位(7桁目が「1」の場合、周期の単位は「日」である。7桁目が「2」の場合、周期の単位は「時間」である。)を表わす。8桁目および9桁目は、周期の大きさを表わす。10桁目および11桁目は、メータ情報の送信を開始する月(年月日のうちの「月」)を表わす。12桁目および13桁目は、メータ情報の送信を開始する日(年月日のうちの「日」)を表わす。14桁目および15桁目は、メータ情報の送信を開始する「時」(時間の単位としての「時」)を表わす。16桁目および17桁目は、メータ情報の送信を開始する「分」(時間の単位としての「分」)を表わす。本実施の形態において、ブロック(1)が記憶する情報の場合、検針された直後にメータ情報を送信することを表わす。10桁目から17桁目までのデータがいずれも「0」と設定され、かつその前の桁に値が設定されている(「0」以外の数字を含むデータが設定されている)ためである。なお、この他のエリアについては、前述した図10に係る電文のフォーマットと同様である。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。親機15のCPU23は、検針データエリア80が含む情報を不揮発メモリ22に記憶させる。
【0031】
S102にて、親機15のCPU23は、現在の時刻を検出する。現在の時刻が検出されると、親機15のCPU23は、自らが検出した時刻と不揮発メモリ22が記憶した時刻(検針を開始する時刻)とを比較する。親機15のCPU23は、自らが検出した時刻が、不揮発メモリ22が記憶した時刻以降のいずれかである場合(本実施の形態においては、自らが検出した時刻が、不揮発メモリ22が記憶した時刻にあたる場合)、複数の測定器16に(本実施の形態の場合についてより具体的に説明すると、子機17に)、物理量の測定および送信についての同じ内容の要求を表わす信号を同時に送信するように、アンテナ24および通信ユニット25を制御する。これにより、親機15は、子機17に対して、一括して検針を要求することとなる。図7を参照して、上述した信号(検針を要求する信号)のフォーマットは、無線用ヘッダエリア50と、要求コマンドエリア52と、応答順IDエリア54とを含む。無線用ヘッダエリア50は、信号を通信するための符号を含む。要求コマンドエリア52は、検針を要求する旨のコマンドを含む。応答順IDエリア54は、子機17が応答する順序を表わす情報を含む。本実施の形態の場合、応答する順序を表わす情報は、子機17それぞれのID(本実施の形態の場合、64台の子機17のIDは、「00000000000001」、「00000000000002」、・・・「00000000000064」とする)を、応答する順に並べた情報である。
【0032】
S104にて、親機15は、子機17から、S102にて送信した電文が表わす順序でメータ情報を受信する。メータ情報が受信されると、親機15のCPU23は、受信されたメータ情報を、不揮発メモリ22の第2領域に、量情報の一部として記憶させる。
【0033】
S106にて、親機15のCPU23は、現在の時刻を検出する。現在の時刻が検出されると、親機15のCPU23は、自らが検出した時刻と不揮発メモリ22が記憶した時刻(メータ情報を送信する時刻)とを比較する。親機15のCPU23は、メータ情報を送信する時(自らが検出した時刻と不揮発メモリ22が記憶した時刻とが一致した時)に、センタ12に対し、電話回線13およびT−NCU14を介して発呼を要求する旨の信号を送信する。S108にて、親機15は、不揮発メモリ22の第2領域の情報を、量情報ごとに送信する。
【0034】
図8を参照して、子機17で実行されるプログラムは、メータ情報などの送信に関し、以下ような制御構造を有する。
【0035】
S110にて、子機17のアンテナ30は、親機15から検針を要求する旨の信号を受信する。受信された信号は、通信ユニット31により、CPU23が利用できる信号に変換される。
【0036】
S112にて、子機17のCPU32は、親機15からの信号が、自らに対して検針を要求する旨の信号か否かを判断する。本実施の形態の場合についてより具体的に説明すると、子機17のCPU32は、信号の応答順IDエリア54に子機17自身のIDが含まれているか否かを判断する。検針を要求する旨の信号と判断した場合(S112にてYES)、処理はS114へと移される。もしそうでないと(S112にてNO)、処理はS110へと移される。S114にて、子機17のCPU32は、メータインターフェイス29を介して、メータ18に対し、検針を要求する旨の信号を送信する。
【0037】
S116にて、アンテナ30および通信ユニット31が検針を要求する旨の信号を受信すると、メータ18は、その要求に応じて検針を実施する。子機17のCPU32は、メータインターフェイス29を介して、メータ18から検針により得た値を受信する。
【0038】
S118にて、複数の測定器16の子機17のCPU32は、定期的に自らが内蔵するタイマの値を参照する。あわせて、それらのCPU32は、タイマが「0」になった時(後述するように、この時は、親機15が送信した信号が表わす送信の時刻に相当する)にメータ18が測定したメータ情報を送信するように、アンテナ30および通信ユニット31を制御する。ここで、子機17のCPU32のタイマに設定される時間について説明する。本実施の形態の場合、この時間は、S110にて子機17が受信した電文における、子機17のIDの順序により表わされる。本実施の形態の場合、タイマに設定される時間の値は、子機17のIDの順序に係数を乗じ、かつ定数を加えた値に等しい。たとえばIDの順序が3番目で、係数が3(秒/番目)で、定数が20秒とすると、タイマに設定される時間は3(番目)×3(秒/番目)+20(秒)=29(秒)と定められる。親機15は、子機17に同時に信号を送信している。タイマ(上述したように、子機17のCPU32が内蔵する)は、その信号を受信すると同時に時間の計測を開始する。これにより、タイマが「0」になった時は、親機15が送信した信号が表わす送信の時刻に相当することとなる。また、親機15が送信した信号は、複数の測定器16ごとに異なる送信の時刻を指定した要求を表わすこととなる。
【0039】
図9を参照して、以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る無線テレメータシステムの動作について説明する。図9は、本実施の形態に係る無線テレメータシステムの動作のシーケンス図である。
【0040】
ホストコンピュータ11は、センタ12、電話回線13、およびT−NCU14を介して親機15に設定コマンドを送信すると(S100)、親機15のCPU23は、検針を開始する時刻に、子機17に対して、一括して検針を要求する(S102)。
【0041】
検針が要求されると、子機17は、検針を要求する旨の信号を受信する(S110)。信号が受信されると、子機17は、親機15からの信号が、自らに対して検針を要求する旨の信号か否かを判断する(S112)。検針を要求する旨の信号と判断した場合(S112にいてYES)、子機17のCPU32は、メータインターフェイス29を介して、メータ18に対し、検針を要求する旨の信号を送信する(S114)。アンテナ30および通信ユニット31が検針を要求する旨の信号(物理量の測定および送信についての要求を表わす信号)を受信すると、メータ18は、その要求に応じて検針を実施する(すなわち物理量を測定する)。検針が実施されると、メータ18は子機17に対し検針により得た値を送信する。子機17のCPU32は、メータインターフェイス29を介して、メータ18から検針により得た値を受信する(S116)。値が受信されると、子機17のCPU32は、子機17ごとに定められた時間が経過した時、メータ情報を送信させる(S118)。これにより、CPU32は、メータ18が測定した物理量の値を送信するように、アンテナ30および通信ユニット31を制御することとなる。親機15は、子機17から、S102にて送信した電文が表わす順序でメータ情報を受信する。メータ情報が受信されると、親機15のCPU23は、受信されたメータ情報を、不揮発メモリ22の第2領域に、量情報の一部として記憶させる(S104)。メータ情報が記憶されると、親機15は、センタ12に対し、メータ情報を送信する時刻に、発呼を要求する旨の信号を送信する(S106)。信号が送信されると、センタ12は、親機15に対し、メータ情報の送信を要求する。メータ情報の送信が要求されると、親機15は、不揮発メモリ22の第2領域の情報を、量情報ごとに送信する(S108)。これにより、親機15のCPU23は、量情報を測定器16以外の外部に送信するように、T−NCU14を制御することとなる。
【0042】
以上のようにして、本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、親機が子機の検針の条件を一括して管理する。親機により条件が一括管理されるので、子機は検針の時刻などを管理する手間を省くことができる。手間が省かれるので、子機がそれぞれ消費するエネルギの損失は抑制される。また、本実施の形態に係る無線テレメータシステムは、子機ごとに定められた時期にメータ情報を通信する。子機ごとに定められた時期にメータ情報が通信されるので、子機から親機に対する発呼は不要となる。発呼が不要となるので、発呼によるエネルギの損失を抑制できる。子機ごとに定められた時期にメータ情報が通信されるので、通信の錯綜は抑制される。通信の錯綜が抑制されるので、通信のやり直しによる時間およびエネルギの損失が抑制される。また、センタは、親機からメータ情報を一括して受信する。メータ情報が一括して受信されるので、電話回線を占有する時間を抑制できる。その結果、時間やエネルギの損失を抑制できるテレメータシステムを提供することができる。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線テレメータシステムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る親機の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る親機の不揮発メモリが記憶する情報を表わす概念図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る子機の制御ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る親機のメータ情報の通信処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るセンタから親機への設定コマンドのフォーマットを表わす図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る親機から子機への信号のフォーマットを表わす図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るメータ情報などの通信処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る無線テレメータシステムの動作のシーケンス図である。
【図10】従来例に係る電文のフォーマットを表わす図である。
【符号の説明】
【0045】
11 ホストコンピュータ、12 センタ、13 電話回線、14 T−NCU、15 親機、16 測定器、17 子機、18 メータ、21 T−NCUインターフェイス、22,34 不揮発メモリ、23,32 CPU、24,30 アンテナ、25,31 通信ユニット、26,33 ROM、27 RAM、28 電池、29 メータインターフェイス、50 無線用ヘッダエリア、52 要求コマンドエリア、54 応答順IDエリア、60 STXエリア、62 宛先IDエリア、64 設定コマンドエリア、66 データエリア、68 ETXエリア、70 BCCエリア、72 検針エリア、74 周期エリア、76 送信エリア、80 検針データエリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機および測定器を含む測定システムであって、
前記親機は、
外部との間で通信するための通信手段と、
物理量を測定する時刻を記憶するための第1の記憶手段と、
時刻を検出するための検出手段と、
前記検出手段が検出した時刻が、前記第1の記憶手段が記憶した時刻以降のいずれかである場合、前記測定器に、前記物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を送信するように、前記通信手段を制御するための第1の制御手段と、
前記通信手段が受信した物理量の値を表わす量情報を記憶するための第2の記憶手段と、
前記量情報を前記測定器以外の外部に送信するように、前記通信手段を制御するための第2の制御手段とを含み、
前記測定器は、
前記親機との間で通信するための通信手段と、
前記通信手段が前記物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を受信すると、前記要求に応じて物理量を測定するための測定手段と、
前記測定手段が測定した物理量の値を送信するように、前記通信手段を制御するための制御手段とを含む、測定システム。
【請求項2】
前記測定システムは、複数の測定器を含み、
前記第1の記憶手段が記憶する時刻は、前記複数の測定器が複数のグループごとに物理量を測定する時刻を含む、請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記測定システムは、複数の測定器を含み、
前記第1の制御手段は、前記複数の測定器に、前記物理量の測定および送信についての要求を表わす信号を同時に送信するように、前記通信手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定システムは、複数の前記測定器を含み、
前記第1の制御手段は、前記複数の測定器に、送信の時刻を指定した前記物理量の測定および送信についての同じ内容の要求を表わす信号を、同時に送信するように、前記通信手段を制御するための手段を含み、
前記複数の測定器の制御手段は、前記親機が送信した信号が表わす送信の時刻に前記物理量の値を送信するように、前記通信手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の測定システム。
【請求項5】
前記送信の時刻を指定した物理量の測定および送信についての要求は、前記複数の測定器ごとに異なる送信の時刻を指定した要求である、請求項4に記載の測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−146548(P2006−146548A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335625(P2004−335625)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】