説明

測定装置および鉄道車両

【課題】着脱を容易とすると共に測定精度を確保することができる測定装置および鉄道車両を提供すること。
【解決手段】測定装置5は軸箱4のレールR側の面にセンサー固定部材8a及び第4固定部材8bによって固定され、測定装置5の箱部材21及び蓋部材22の形状は、平面視において、一対のセンサー固定部材8aを結んで形成される仮想直線L1と、その仮想直線L1に直交すると共に一対のセンサー固定部材8aの中間点を通る仮想直線L2との両直線に対して対称に構成されている。また、センサー部材9は、仮想直線L1上に配設されている。よって、箱部材21及び蓋部材22の共振を抑えて、後述するセンサー部材9の測定精度を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および鉄道車両に関し、特に、着脱を容易とすると共に測定精度を確保することができる測定装置および鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レールの状態が鉄道車両の安定性および乗客の乗り心地へ大きく寄与することが知られており、レールの状態を良好に保つことが車両の安定性および乗客の乗り心地を保つ上で必要とされていた。そのため、レールの状態を知る必要があり、車輪を軸支する軸箱に加速度センサーを取付けて軸箱の加速度を測定することで、レールの状態を測定する技術が開示されている(特許文献1)。
【0003】
この技術では、複数の営業車両の軸箱に加速度センサーを取付けて加速度を測定することで、それら営業車両が走行する毎にレールの状態を測定することができる。そのため、営業車が走行していない時間にのみ走行が可能な測定専用車両にてレールの状態を測定するよりも、レールに異常が発生した場合には、早期にその異常を発見することができる。
【0004】
一方、営業車両は、整備のために数両ずつ入れ替えるので、加速度センサーが取り付けられた営業車両を整備する場合に、取り付けられた加速度センサーを取り外して、運行される営業車両に付け替える必要がある。そのため、加速度センサーの着脱性が重要とされる。他方、測定専用車両は、加速度センサー取り外す必要がないので、測定精度を重要視して取り付け位置を決めることができる。
【0005】
ここで、鉄道車両の軸箱は、スプリングを介して構体の重量を支えるので、強度を確保するために軸箱の下側が張り出している。また、軸箱は、構造上の理由から車軸を中心として揺動(車両の左右方向への円弧運動)する構造とされている。
【0006】
そのため、加速度センサーを軸箱の下面側に取り付けると上面側に取り付ける場合に比べて車軸から加速度センサーまでの距離が遠くなるので加速度センサーに作用する遠心力が大きくなる。よって、加速度センサーが測定する遠心力が大きくなるので、上面側に取り付ける場合に比べて測定精度が悪化する。
【0007】
また、軸箱の下面側は、構造上の理由から上面側に比べて剛性が低く共振などの不要な振動が発生し易い。そのため、加速度センサーを下面側に取り付けると共振などの不要な振動を測定するので、上面側に取り付ける場合に比べて測定精度が悪化する。
【0008】
よって、測定専用車両では、測定精度を確保するために遠心力の影響を受け難く且つ共振などの不要な振動が発生し難い上面側に加速度センサーを取り付けていた。
【特許文献1】特開平8−184426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の鉄道車両では、軸箱の上側に加速度センサーを取付けると、軸箱の横側は、スプリングと車輪とで囲まれているので、スプリングと車輪とが加速度センサーの着脱の邪魔となり、加速度センサーの着脱が困難となるという問題点があった。また、軸箱の下側に加速度センサーを取付けると、測定精度を確保することが困難となるという問題点があった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、着脱を容易とすると共に測定精度を確保することができる測定装置および鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために請求項1記載の測定装置は、車輪が軸箱に軸支された鉄道車両に使用され、軸箱の加速度を測定することで、車輪が転動するレールの状態を検出するものであって、凹部を有する箱部材および凹部の開口側に配設され凹部を閉封することで凹部との間に空間を形成する蓋部材を備えると共に平面視において所定の仮想直線である第1仮想直線およびその第1仮想直線に対して直交する仮想直線である第2仮想直線のそれぞれに対して対称に構成される箱体と、空間に収容され軸箱の加速度を測定するセンサー部材と、箱体を軸箱のレール側に固定する第1固定部材および第2固定部材とを備え、
箱体が軸箱のレール側に固定された状態では、平面視において、第1固定部材および第2固定部材が第1仮想直線上に配設され、第1固定部材と第2固定部材との中間位置が第2仮想直線上に重なり合うと共に、センサー部材が第1仮想直線上であって且つ第2仮想直線上に配設される。
【0012】
請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、箱体は、センサー部材と蓋部材との間、及び、センサー部材と箱部材との間に配設される弾性部材を備え、箱部材の開口側に蓋部材が密着された状態において弾性部材によってセンサー部材が保持されている。
【0013】
請求項3記載の測定装置は、請求項2記載の測定装置において、箱体は、略平板状に構成されるスペーサー部材を備え、スペーサー部材を蓋部材と箱部材との間に挟み込み、箱部材の凹部と蓋部材と間隔を調整することで、弾性部材の予圧縮量を調整する。
【0014】
請求項4記載の測定装置は、請求項3記載の測定装置において、箱体は、蓋部材、箱部材およびスペーサー部材を固定する第3固定部材を備えている。
【0015】
請求項5記載の測定装置は、請求項1から4のいずれかに記載の測定装置において、センサー部材へ電力を供給する電力線が固定される電力線保持部材と、その電力線保持部材を軸箱に固定する第4固定部材とを備え、電力線保持部材が箱体と別部材として構成されている。
【0016】
請求項6記載の測定装置は、請求項1から5のいずれかに記載の測定装置において、センサー部材は、軸箱の加速度を測定する第1センサー部材と、その第1センサーより小型に構成される第2センサー部材とを備え、平面視において、第1センサー部材が第1仮想直線上および第2仮想直線上に配設され、第2センサーが第1仮想直線上に配設されることで第1仮想直線に対して対称に配接されている。
【0017】
請求項7記載の鉄道車両は、請求項1から6のいずれかに記載の測定装置が取り付けられる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の測定装置によれば、レール上を車輪が転動されることで、軸箱が加振され、その加振された軸箱の加速度がセンサー部材によって測定される。ここで、従来の測定装置は、箱体が軸箱のレール側の面に固定されるので、作業者がレールと軸箱との間の空間を箱体の着脱作業に利用することができ、箱体の着脱を容易とすることができるという効果がある一方で、固定位置が軸箱から離れるので測定精度が悪くなるという不具合がある。
【0019】
これに対し、本発明では、箱体およびセンサー部材が第1仮想直線および第2仮想直線に対して対称とされている。よって、箱体の共振を抑えて測定装置の測定精度を確保することができるので、着脱を容易とすること及び測定精度を確保することを両立することができる。即ち、着脱を容易とすると共に測定精度を確保することができるという効果がある。
【0020】
請求項2記載の測定装置によれば、請求項1記載の測定装置の奏する効果に加え、弾性部材によって、センサー部材が保持されているので、軸箱からセンサー部材に伝わる低周波(約100Hz以下)の加速度を弾性部材の弾性力により減衰させることができる。即ち、低周波(約100Hz以下)の加速度は、レールの状態を測定する上でのノイズ(不要な信号)であるので、そのノイズを減衰させることで、S(信号)/N(ノイズ)比を向上させて、測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0021】
また、蓋部材と箱部材との間で弾性部材が予圧縮されるので、弾性部材の弾性力が蓋部材および箱部材に押圧力として作用する。そのため、蓋部材および箱部材の振れを抑えて、蓋部材および箱部材の共振を抑制することができる。よって、測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0022】
また、蓋部材とセンサー部材との間および箱部材とセンサー部材との間に弾性部材が配設されることで、センサー部材を固定することができる。よって、別の部材を用いてセンサー部材を箱体の内部に固定する場合に比べて、その別の部材を箱体の内部に収容する必要がない分、箱体を小型化することができるという効果がある。
【0023】
また、蓋部材と箱部材との間で弾性部材を予圧縮しているので、弾性部材の弾性力により軸箱からセンサー部材に伝達される振動の強さを減衰することができる。よって、センサー部材の破損を防止することができるという効果がある。
【0024】
また、弾性部材をゴム(絶縁性を有するもの)にて構成した場合には、電気的なノイズを遮断することができるので、S(信号)/N(ノイズ)比を向上させて、測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0025】
請求項3記載の測定装置によれば、請求項2記載の測定装置の奏する効果に加え、箱部材と蓋部材との間にスペーサー部材を配設することで、箱部材の凹部とその凹部に対面する蓋部材の側面との距離を調整して弾性部材の予圧縮量を調整することができるので、箱部材および蓋部材の寸法公差による弾性部材の予圧縮量のばらつきを調整することができる。
【0026】
よって、複数の測定装置の間の予圧縮量のばらつきを抑えることができる。したがって、複数の測定装置の共振の発生度合い(低周波の抑制)を一様に保つことができるので、測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0027】
また、箱部材の凹部とその凹部に対面する蓋部材の側面との距離を調整して弾性部材の予圧縮量を調整することができるので、取り付けられる車両ごとに弾性部材の予圧縮量の設定を変更することができる。
【0028】
例えば、営業車両には、さまざまな車両形態(客室のみの車両、トイレがある車両、駆動モータが搭載された車両など、)がある。そのため、車両形態によって測定装置に伝達される振動の周波数(設備機器からの振動周波数や、構体の共振周波数)が異なる。これらの振動は、レールの状態を示す振動ではなくノイズに分類されるものである。
【0029】
これに対し、本発明では、取り付けられる車両ごとに弾性部材の予圧縮量の設定を変更することができるので、弾性部材によって減衰される周波数を変更して、車体から伝達される振動(ノイズ)を的確に減衰させることができる。よって、S(信号)/N(ノイズ)比を向上させて、測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0030】
例えば、箱部材の凹部とその凹部に対面する蓋部材の側面との距離をボルトの螺進量で調整する構成とした場合には、箱部材の凹部とその凹部に対面する蓋部材の側面との距離を無段階に調整が可能である反面、螺進量を作業者が調整しなければならず、調整作業に手間が掛かるという不具合が生じる。
【0031】
これに対し、本発明では、箱部材と蓋部材との間にスペーサー部材を挟み込むことで箱部材の凹部とその凹部に対面する蓋部材の側面との距離を調整するので、スペーサー部材の厚みや枚数によってその距離を段階的に調整することができる。よって、調整作業を容易とすることができるという効果がある。
【0032】
請求項4記載の測定装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置の奏する効果に加え、箱体は、蓋部材および箱部材を締結する第3固定部材を備えているので、蓋部材と箱部材とを箱体へと組み上げる作業と、箱体を軸箱へ取り付ける作業とを別々に行うことができる。
【0033】
ここで、本発明では、軸箱に取り付けられることなく、弾性部材の予圧縮量を調整することができるので、作業者は、弾性部材の予圧縮量を調整することに集中することができる。その結果、弾性部材の予圧縮量の調整作業を確実に行うことができるという効果がある。
【0034】
また、予圧縮量の調整が完了した箱体を軸箱に取付けることができるので、作業者は、箱体の軸箱への取付け作業に集中することができる。よって、取付け作業を確実に行うことができるという効果がある。即ち、作業を分けることにより、作業者が行う作業の確実性を向上させることができるという効果がある。
【0035】
また、予圧縮量の調整作業と箱体の軸箱への取付け作業とを別に行うことができるので、複数の箱体の予圧縮量の調整作業をまとめて一箇所で行うことができる。よって、予圧縮量の調整作業の効率の向上を図ることができるという効果がある。
【0036】
請求項5記載の測定装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の測定装置の奏する効果に加え、センサー部材へ電力を供給する電力線が固定される電力線保持部材と、その電力線保持部材を軸箱に固定する第4固定部材とを備え、電力線保持部材が箱体と別部材として構成されているので、測定装置の測定精度を確保することができるという効果がある。
【0037】
例えば、電力線を固定する場合には、電力線固定用の部位を箱体に形成する必要がある。多くの場合、電力線固定用の部位は、箱体の重量増加を抑えるために長尺状に構成される。そのため、電力線固定用の部位が共振し易くなる。よって、電力線固定用の部位の共振が箱体に伝達されて、測定装置の測定精度が悪化するという不具合がある。
【0038】
これに対し、本発明では、箱体と別部材である電力線保持部材にて電力線を固定するので、電力線の振れによって発生した振動が箱体に伝達されることを抑えて、箱体の共振の発生を低減することができる。よって、測定精度を確保することができるという効果がある。
【0039】
請求項6記載の測定装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の測定装置の奏する効果に加え、第1センサー部材および第2センサー部材が第1仮想直線上に配設されることで第1仮想直線に対して対称に配設されるので、共振を抑えて測定精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0040】
請求項7記載の鉄道車両によれば、請求項1から6のいずれかに記載の測定装置と同等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、測定装置5が取り付けられた鉄道車両100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における測定装置5が取り付けられた鉄道車両100の側面図である。
【0042】
鉄道車両100は、旅客を移送するための客車であり、図1に示すように、旅客を収容する構体10と、その構体10を支持する複数(本実施の形態では2個)の台車1とを備えている。その台車1には、測定装置5(図2参照)が取り付けられている。
【0043】
次に、図2及び図3を参照して、台車1の構成について説明する。図2は、軸箱4に取り付けられた測定装置5の側面図であり、図3は、図2の矢印III方向から見た測定装置5の底面図である。
【0044】
台車1は、レールR上を転動して、構体10(図1参照)を移動させるためのものであり、図2に示すように、レールRの上を転動する車輪3と、その車輪3を軸支すると共にスプリング2を介して構体10の重量を支持する軸箱4とを備えている。
【0045】
軸箱4は、図2に示すように、側面視(図2紙面垂直方向視)において、略Tの字の上下を入れ替えた形状に構成され、レールRの長手方向(図2左右方向)に張り出した部位に一対のスプリング2が当接されている。また、スプリング2が当接される側の反対側(図2下側)からは、一対の補強部4aが立設されている。なお、補強部4aは、軸箱4の強度を補強する補強部材である。
【0046】
また、補強部4aのレールR側(図2下側)の面には、図示しない一対のめねじが形成されている。それらめねじはレールRの長手方向(図2左右方向図および図3左右方向)に沿って配設されており、後述するセンサー固定部材8aおよび第4固定部材8bが螺合されることで測定装置5が一対の補強部4aに取り付けられる。
【0047】
例えば、軸箱4の上側(図2上側)で且つ車輪3の裏側(図2紙面手前側)に測定装置5が取り付けられた場合には、車輪3の上側部分(図2上側部分)の横側にスプリング2が配設されるので、スプリング2が邪魔をして測定装置5の着脱が困難となるという不具合がある。
【0048】
これに対し、第1実施の形態では、測定装置5が軸箱4のレール側(図2下側)に配設されるので、車輪3の下側部分(図2下側部分)の横側にスプリング2が配設されていない分、作業者の作業スペースを確保することができるので、作業者が測定装置5を容易に着脱することができる。
【0049】
なお、補強部4aのレールR側(図2下側)の面に形成されるめねじは、排障器を取り付けるために使用されるものであり、排障器を取り付けない鉄道車両では、使用されないものである。
【0050】
そのため、測定装置5を取り付けるためだけにめねじを形成する場合に比べて、めねじの加工数を削減することができる。よって、台車1の加工コストを削減して、測定装置5が取り付けられた鉄道車両100の製造コストを削減することができる。
【0051】
また、軸箱4の内部は、車輪3の車軸を支持するベアリングなどを潤滑するために潤滑油で満たされており、図3に示すように、それら補強部4aの間には潤滑油を排出する孔が形成され、その孔は、ドレンボルトBで塞がれている。
【0052】
測定装置5は、車輪3を介してレールRの状態を測定するために、軸箱4の加速度を測定する装置であり、図3に示すように、測定部材6と、電力線保持部材7と、センサー固定部材8aと、第4固定部材8bと、センサー部材9(図4参照)とを主に備えている。
【0053】
測定部材6は、軸箱4の加速度を測定する部材であり、図3に示すように、車輪3側(図3下側)の補強部4aへ後述するセンサー固定部材8aによって固定されている。
【0054】
電力線保持部材7は、後述する電力線35の振動を抑えるための部材であり、図3に示すように、測定部材6が固定される補強部4a(図3上側)と対向して配設される補強部4a(図3下側)に、後述する第4固定部材8bによって固定されている。
【0055】
例えば、電力線保持部材7を省略した場合には、後述する電力線35が車両の振動や走行風などによって振動する。そこで、その振動が測定部材6に伝達されると測定部材6の測定精度が悪化するという不具合が生じる。これに対し、第1実施の形態では、軸箱4に固定される電力線保持部材7が後述する電力線35を固定しているので、電力線35の振動を低減させることができる。
【0056】
また、例えば、電力線保持部材7を省略して、測定部材6に後述する電力線35を固定した場合には、電力線35の振動が測定部材6に伝達され測定部材6の測定精度が悪化するという不具合がある。
【0057】
これに対し、第1実施の形態では、測定部材6と別の部材である電力線保持部材7で後述する電力線35を固定しているので、電力線35の振動が測定部材6に伝達されることを防止して測定部材6の測定精度を確保することができる。
【0058】
センサー固定部材8aは、補強部4aに形成されるめねじに螺合されて測定部材6を軸箱4に固定する部材であり、図3に示すように、一対のセンサー固定部材8aは、それぞれレールRの長手方向(図2左右方向図および2(b)左右方向)に沿って配設されている。
【0059】
第4固定部材8bは、補強部4aに形成されるめねじに螺合されて電力線保持部材7を軸箱4に固定する部材であり、図3に示すように、一対の第4固定部材8bは、それぞれレールRの長手方向(図2左右方向図および2(b)左右方向)に沿って配設されている。
【0060】
次いで、図4を参照して、測定部材6の詳細構成について説明する。図4(a)は、測定部材6の断面図であり、図4(b)は、図4(a)のIIIb−IIIb線における測定部材6の断面図である。
【0061】
なお、理解を容易とするために、センサー固定部材8aの頭部と、サーボ型センサー31と、上下歪型センサー32と、左右歪型センサー33とは側面を示しており、蓋絶縁座23と、第1絶縁座24と、第2絶縁座25とのハッチングを省略して図示している。
【0062】
測定部材6は、上述したように、軸箱4の加速度を測定するものであり、図4(a)に示すように、箱体20と、蓋絶縁座23と、第1絶縁座24と、第2絶縁座25と、スペーサー部材26と、一対の弾性部材27と、第3固定部材8cとを備えている。
【0063】
箱体20は、後述するセンサー部材9を収容する部材であり、図4(a)に示すように、箱部材21と蓋部材22とを備えている。箱部材21は、図4(a)に示すように、平面視において略長方形の略箱型に構成されると共にその中央部分に凹部21aが凹設された断面ハット形状に構成されている。その凹部21aの両側には、一対の貫通孔21bが貫通形成され、それら一対の貫通孔21bには、一対のセンサー固定部材8aがそれぞれ挿通されている。
【0064】
蓋部材22は、平面視において箱部材21と同形状の長方形の略平板状に構成されると共に、図4(a)に示すように、蓋部材22の長手方向(図4(a)左右方向)の両側にそれぞれ貫通孔22bが形成されている。それら貫通孔22bのピッチは、一対の貫通孔21bのピッチと同一とされている。それら貫通孔22bには、センサー固定部材8aがそれぞれ挿入されている。
【0065】
また、図4(a)に示すように、凹部21aと、その凹部21aに対面する蓋部材22の側面(図4(a)下側面)との間には、空間Sが形成されており、その空間S内に後述するセンサー部材9が収容されている。
【0066】
また、箱部材21及び蓋部材22の形状は、平面視(図4(b)紙面垂直方向視)において、一対のセンサー固定部材8aを結んで形成される仮想直線L1と、その仮想直線L1に直交すると共に一対のセンサー固定部材8aの中間点を通る仮想直線L2との両直線に対して対称に構成されている。よって、箱部材21及び蓋部材22の共振を抑えて、後述するセンサー部材9の測定精度を確保することができる。
【0067】
第3固定部材8cは、箱部材21と蓋部材22とを互いに固定する部材であり、図4(a)に示すように、蓋部材22に形成される貫通孔に挿通され、箱部材21に形成されるめねじに螺合されることで、箱部材21と蓋部材22とを締結する。よって、蓋部材22と箱部材21とを箱体20へ組み上げる作業と、箱体20を軸箱4へ取り付ける作業とを別々に行うことができる。
【0068】
ここで、第1実施の形態では、箱体20の組み上げ時にスペーサー部材26を蓋部材22と箱部材21との間に挟み込むことで、弾性部材27の予圧縮量を調整する。即ち、箱体20を軸箱4に取り付けなくても、箱体20を組み上げて、弾性部材27の予圧縮量を調整することができる。
【0069】
よって、作業者は、箱体20を軸箱4に取り付ける作業を並行して行うことなく、弾性部材27の予圧縮量を調整する作業を行うことができるので、弾性部材27の予圧縮量を調整することに集中することができる。その結果、弾性部材27の予圧縮量の調整作業を確実に行うことができる。
【0070】
また、予圧縮量の調整が完了した箱体20を軸箱4に取付けることができる。よって、作業者は、弾性部材27の予圧縮量を調整する作業を並行して行うことなく、箱体20の軸箱4への取付け作業を行うことができるので、箱体20の軸箱4への取付け作業に集中することができる。その結果、取付け作業を確実に行うことができる。即ち、作業を分けることにより、作業者が行う作業の確実性を向上させることができる。
【0071】
また、予圧縮量の調整作業と、箱体20の軸箱4への取付け作業とを別に行うことができるので、複数の箱体20の予圧縮量の調整作業をまとめて一箇所で行うことができる。よって、予圧縮量の調整作業の効率の向上を図ることができる。
【0072】
上述したように、箱部材21と蓋部材22とは、第3固定部材8cが箱部材21のめねじに螺合されることで蓋部材22が箱部材21に締結される。そのため、箱部材21の貫通孔21bが形成される部位を省略して、センサー固定部材8aが蓋部材22のみを固定する構成とすることも可能である。この場合、箱部材21の貫通孔21bが形成される部位を省略した分、箱部材21の軽量化を図ることができる。
【0073】
しかしながら、箱部材21を第3固定部材8cのみで固定するため、箱部材21と蓋部材22とで構成される箱体20の剛性が低下して、共振周波数が低周波側に移行するという不具合がある。
【0074】
これに対し、第1実施の形態では、箱部材21と蓋部材22とをセンサー固定部材8aによって共締めする構成であるので、箱体20の剛性を向上させて、共振周波数を高周波側に移行させることができる。よって低周波(約500Hz以下)の共振度合いの低減を図ることができる。
【0075】
蓋絶縁座23は、主に台車1を介して流れてくる電流を蓋部材22に対して遮断するものであり、図4(a)に示すように、薄板状に構成されると共に補強部4aと蓋部材22との間に配設されている。
【0076】
第1絶縁座24及び第2絶縁座25は、主に蓋部材22を介して流れてくる電流を後述する上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33に流れ込まないように遮断するものであり、図4(a)に示すように、薄板状に構成されると共に蓋部材22と後述する上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33の間にそれぞれ配設されている。
【0077】
スペーサー部材26は、後述する弾性部材27の予圧縮量を調整する部材であり、図4(a)に示すように、平板状に構成されると共に箱部材21と蓋部材22との間に配設されている。
【0078】
そのため、箱部材21および蓋部材22の寸法公差による弾性部材27の予圧縮量のばらつきを調整することができる。よって、複数の測定装置5の間の予圧縮量のばらつきを抑えることができる。
【0079】
その結果、複数の測定装置5の共振の発生度合い(低周波の抑制)を一様に保つことができるので、測定装置5が取り付けられた複数の台車1を備えた鉄道車両100の測定精度の向上を図ることができる。また、後述する弾性部材27の予圧縮量をスペーサー部材26の重ねる枚数を変化させることで調整をするので、調整作業を容易とすることができる。
【0080】
一対の弾性部材27は、後述するサーボ型センサー31を保持する部材であり、図4(a)に示すように、ゴム状弾性体から構成されており、一方の弾性部材27は、凹部21aの中央(仮想直線L1と仮想直線L2との交点)に配設され、他方の弾性部材27は、凹部21aの中央に対面した蓋部材22の側面上に配設されている。それら弾性部材27の間に後述するサーボ型センサー31が狭持される。
【0081】
上述したように、弾性部材27によって、後述するサーボ型センサー31が保持されているので、弾性部材27の弾性力により軸箱4からサーボ型センサー31に伝わる低周波(約100Hz以下)の加速度を減衰させることができる。
【0082】
即ち、低周波(約100Hz以下)の加速度は、レールの状態を測定する上でのノイズ(不要な信号)であるので、そのノイズを減衰させることで、S(信号)/N(ノイズ)比を向上させて、測定精度の向上を図ることができる。
【0083】
また、箱部材21と蓋部材22との間で弾性部材27を予圧縮するので、蓋部材22および箱部材21の振れを抑えて、蓋部材22および箱部材21の共振を抑制することができる。よって、測定部材6の測定精度の向上を図ることができる。
【0084】
また、箱部材21と蓋部材22との間で弾性部材27を予圧縮することで後述するサーボ型センサー31が固定されるので、別の部材を用いてサーボ型センサー31を箱体20の内部に固定する場合に比べて、別の部材を箱体20の内部に収容する必要がない分、箱体20を小型化することができる。
【0085】
また、箱部材21と蓋部材22との間で弾性部材27を予圧縮しているので、弾性部材27の弾性力により軸箱4から後述するサーボ型センサー31に伝達される加速度の減衰させることができる。よって、サーボ型センサー31の破損を防止することができる。
【0086】
また、弾性部材27をウレタンゴムにて構成した場合には、電気的なノイズを遮断することができるので、S(信号)/N(ノイズ)比を向上させて、測定精度の向上を図ることができる。なお、弾性部材27は、天然ゴムにて構成することが好ましい。この場合、さらに、ノイズの遮断性を向上させることができる。
【0087】
また、弾性部材27のゴム硬度を70°から100°までの設定するのが好ましい。この場合、低周波(約500Hz以下)の共振を減衰させることができる。さらには、90°±5°の設定とすることが好ましい。この場合、低周波(約500Hz以下)の共振を更に減衰させることができる。
【0088】
また、一対の弾性部材27は、図4(a)に示すように、後述するサーボ型センサー31を挟んだ状態で、箱部材21と蓋部材22とに挟まれて圧縮される。よって、上述したスペーサー部材26を箱部材21と蓋部材22との間に挟みこむことで、弾性部材27の予圧縮量を調整することができる。
【0089】
センサー部材9は、図4(a)及び図4(b)に示すように、サーボ型センサー31と、上下歪型センサー32と、左右歪型センサー33と、電力線35とを備えている。サーボ型センサー31は、鉄道車両100(図1参照)の上下方向(図4(a)上下方向)の加速度を測定する加速度センサーであり、図4(a)に示すように、弾性部材27に狭持されて、凹部21aの中央(仮想直線L1と仮想直線L2との交点)に配設されている。
【0090】
即ち、第1実施の形態では、鉄道車両100の上下方向(図4(a)上下方向)の加速度を測定するセンサーを2個(サーボ型センサー31及び上下歪型センサー32)備えているので、それぞれの出力信号を比較することで、異常な出力信号を判別することができる。よって、センサー故障の判断を行うことができる。
【0091】
また、サーボ型センサー31及び上下歪型センサー32のそれぞれの出力信号を互いに比較するので、記録装置(図示せず)に出力信号を時系列データとして記録した場合には、サーボ型センサー31または上下歪型センサー32のどちら側のセンサーにどの時点から異常が発生したのかを判断することができる。
【0092】
よって、異常が発生した側のセンサーの出力信号であって異常が発生した後の出力信号をレールRの状態を解析することに使用しないことで、測定装置の測定精度の向上を図ることができる。
【0093】
また、サーボ型センサー31は高精度の加速度測定をするために、測定できる加速度の分解能が小さいものを使用している。そのため、分解能が小さい分、加速度の測定レンジが狭い(軸箱4が発生する加速度が±50Gほどであるのに対し±15Gの測定範囲)。
【0094】
上下歪型センサー32は、鉄道車両100(図1参照)の上下方向(図4(a)上下方向)の加速度を測定する加速度センサーであり、図4(b)に示すように、平面視において仮想直線L1上で且つサーボ型センサー31の一端側(図4(a)左側)に配設されている。
【0095】
また、上下歪型センサー32は、サーボ型センサー31に比べて加速度の分解能が荒いので、その分、上下歪型センサー32の測定レンジがサーボ型センサー31の測定レンジに比べて広い(軸箱4が発生する加速度が±50Gほどであるのに対し±100Gの測定範囲)。
【0096】
左右歪型センサー33は、鉄道車両100の左右方向(図4(a)左右方向)の加速度を測定する加速度センサーであり、図4(b)に示すように、平面視において仮想直線L1上で且つサーボ型センサー31の他端側(図4(a)右側)に配設されている。
【0097】
なお、上下歪型センサー32と左右歪型センサー33は、同一種類の加速度センサーの取り付け向きを違えたものであり、且つサーボ型センサー31からの配設距離が同一とされている。また、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33は、検出方式がサーボ型センサー31と異なるので、測定の精度がサーボ型センサー31より劣るがサーボ型センサー31より小型に構成されている。
【0098】
即ち、サーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33の配設位置は、図4(b)に示すように、平面視(図4(b)紙面垂直方向視)において、一対のセンサー固定部材8aを結んで形成される仮想直線L1と、その仮想直線L1に直交すると共に一対のセンサー固定部材8aの中間点を通る仮想直線L2との両直線に対して対称に構成されている。よって、箱部材21及び蓋部材22の共振を抑えて、サーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33の測定精度を確保することができる。
【0099】
なお、サーボ型センサー31の両側にサーボ型センサー31よりも小型の上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33を配設したので、一対のセンサー固定部材8aの間に、サーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33を直線的に配設することができる。
【0100】
さらに、上下歪型センサー32と左右歪型センサー33とは同一の重量であるので、重量的にも仮想直線L2に対して対照に構成されている。よって、箱部材21及び蓋部材22の共振を抑えて、サーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33の測定精度を確保することができる。
【0101】
上述したように、サーボ型センサー31は、加速度の測定レンジが狭く(軸箱4が発生する加速度が±50Gほどであるのに対し±15Gの測定範囲)設定されており、±15Gから外れた加速度は、サーボ型センサー31では測定精度が確保されないという不具合がある。
【0102】
これに対し、第1実施の形態では、測定レンジがサーボ型センサー31に比べて広い上下歪型センサー32を備えているので、加速度が±15Gの領域ではサーボ型センサー31を使用して高精度に測定することができると共に、加速度が±15Gから外れた領域では測定レンジ±100Gまで広げることができる。
【0103】
また、左右歪型センサー33と上下歪型センサー32とは仮想直線L2を挟んで対称な位置に配設されているので、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33の仮想直線L2に対する配置を対照としたまま、鉄道車両100(図1参照)の左右方向(図4(b)上下方向)の加速度を測定することができる。
【0104】
即ち、同一種類のセンサーが向きを違えて配設されているので、箱体20の共振を押さえて測定装置5の測定精度を確保しつつ鉄道車両100(図1参照)の上下方向(図4(b)紙面垂直方向)と異なる方向である左右方向(図4(b)上下方向)の加速度を測定することができる。
【0105】
よって、鉄道車両100(図1参照)の左右方向(図4(b)上下方向)の測定結果と上下方向(図4(b)紙面垂直方向)の測定結果とを対比させることで、上下方向の加速度の測定結果が異常値であるかどうかの判断を高精度におこなうことができる。
【0106】
電力線35は、サーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33へ電力を供給すると共に加速度の測定結果である電気信号を記録装置に伝達する部材であり、台車1側(図2上側)に延設されている。
【0107】
次いで、図5を参照して、第2実施の形態について説明する。図5(a)は、第2実施の形態における軸箱4に取り付けられた測定装置205の側面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から見た第2実施の形態における測定装置205の底面図である。なお、図5(b)は、第1実施の形態における図3に対応する。
【0108】
第1実施の形態では、電力線保持部材7が第4固定部材8bにて車輪3側(図3下側)に位置する補強部4aに対向する補強部4aへ固定される場合を説明したが(図3参照)、第2実施の形態では、軸箱4のカバー204bを固定している第4固定部材208bにて電力線保持部材207が固定されている。
【0109】
図5(a)に示すように、第2実施の形態の測定装置205は、測定部材6と、電力線保持部材207とを備えている。測定部材6は、図5(b)に示すように、車輪3側(図6(b)上側)に位置する補強部4aに対向する補強部4aへセンサー固定部材8aにて固定されており、電力線保持部材207は、図5(a)に示すように、軸箱4のカバー204bを固定している第4固定部材208bにてカバー204bと共締めされて固定されている。
【0110】
そのため、第1実施の形態では、電力線保持部材7を固定するための第4固定部材8bが必要であるが、第2実施の形態では、カバー204bを固定している第4固定部材208bにてカバー204bと電力線保持部材207とを共締めにて固定するので、第4固定部材8bを省略することができる。よって、第4固定部材8bを省略することができる分、測定装置5の軽量化を図ることができる。
【0111】
また、電力線35は、スプリング2側(図5(a)上側)に延設されて構体10内部に配設される記録装置(図示せず)に接続される(図2参照)。そのため、電力線35は、測定部材6よりもスプリング2側に取り付けられた部材で保持される方がその部材の大きさを小さく押さえることができる。
【0112】
よって、カバー204bよりスプリング2から離間した位置に配設される補強部4aに電力線35を固定するための部材を配設するよりも、カバー204bに電力線35を固定するための部材を配設した方がその部材を小型化することができる。
【0113】
ここで、第2実施の形態では、カバー204bを固定している第4固定部材208bにてカバー204bと電力線保持部材207とを共締めにて固定するので、第1実施の形態の電力線保持部材7に比べて、電力線保持部材207を小型化することができる。よって、小型化された分、測定装置5の軽量化を図ることができる。
【0114】
次いで、図6を参照して、第3実施の形態について説明する。図6(a)は、第3実施の形態における軸箱4に取り付けられた測定装置305の側面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から見た第3実施の形態における測定装置305の底面図である。なお、図6(b)は、第1実施の形態における図3に対応する。
【0115】
第1実施の形態では、電力線35を保持するための電力線保持部材7とその電力線保持部材7を固定するための第4固定部材8bとを備える場合を説明したが、第3実施の形態では、箱体320の蓋部材322にて電力線35を保持する構成とした。
【0116】
図6(b)に示すように、測定部材305は、蓋部材322が電力線35を保持している。よって、電力線保持部材7と第4固定部材8bとが省略されるので、その分、測定装置5の軽量化を図ることができる。
【0117】
次いで、図7(a)を参照して、第4実施の形態について説明する。図7(a)は、第4実施の形態における測定装置405の底面図であり、第1実施の形態における図3に対応する。
【0118】
第1実施の形態では、測定部材6が一対の補強部4aの内の一方の補強部4aへセンサー固定部材8aによって固定され、電力線保持部材7が他方の補強部4aへセンサー固定部材8aによって固定されている場合を説明したが、第4実施の形態では、測定部材406が一対の補強部4aの両方にセンサー固定部材8aを介して固定される構成とした。
【0119】
測定部材406の箱体420は、貫通孔(図示せず)を4個備えており、図7(a)に示すように、それら貫通孔にセンサー固定部材8aが挿通され一対の補強部4aに固定される。よって、箱体420の剛性を向上させることができるので、箱体420の共振を抑えて、後述するセンサー部材9の測定精度を確保することができる。
【0120】
また、箱体420は、略平面視矩形上に構成されると共に仮想直線L401に対して対称な形状に構成されている。よって、箱体420の共振を抑えて、後述するセンサー部材9の測定精度を確保することができる。
【0121】
なお、仮想直線L401は、一方の補強部4aに測定部材406を固定する2個のセンサー固定部材8aと、他方の補強部4aに測定部材406を固定する2個のセンサー固定部材8aとから均等な距離で且つ、一方の補強部4aに測定部材406を固定する2個のセンサー固定部材8aを結んだ方向(図7(a)左右方向)と平行に配設されている。
【0122】
箱体420の空間S(図示せず)に収容されるセンサー部材9は、仮想直線L401上に配設されている。よって、仮想直線L401に対して対称に配設される。よって、箱体420の共振を抑えて、後述するセンサー部材9の測定精度を確保することができる。
【0123】
次いで、図7(b)を参照して、第5実施の形態について説明する。図7(b)は、第5実施の形態における測定装置505の底面図であり、第4実施の形態における図7(a)(第1実施の形態における図3)に対応する。
【0124】
第4実施の形態では、箱体420が略平面視矩形上に構成されると共に仮想直線L401に対して対称な形状に構成され場合を説明したが、第5実施の形態では、箱体520が平面視コの字形状に構成される。
【0125】
この場合、ドレンボルトBの真下に平面視コの字形状に構成された箱体520のくぼみ部分を配設することで、ドレンボルトBへの工具の挿入通路、ドレンボルトBの着脱通路およびオイルの排出流路を確保することができる。よって、箱体520を取り付けた状態のまま、オイルの交換をおこなうことができる。
【0126】
次いで、図7(c)を参照して、第6実施の形態について説明する。図7(c)は、第6実施の形態における測定装置605の底面図であり、第4実施の形態における図7(a)(第1実施の形態における図3)に対応する。
【0127】
第4実施の形態では、箱体420が略平面視矩形上に構成されると共に仮想直線L401に対して対称な形状に構成され場合を説明したが、第6実施の形態では、箱体520が平面視外形矩形のリング形状に構成される。
【0128】
この場合、ドレンボルトBの真下に平面視外形矩形のリング形状に構成された箱体520の穴の部分を配設することで、ドレンボルトBへの工具の挿入通路、ドレンボルトBの着脱通路およびオイルの排出流路を確保することができる。よって、箱体520を取り付けた状態のまま、オイルの交換をおこなうことができる。
【0129】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0130】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0131】
また、上記各実施の形態の箱部材21を削りだしにて形成しても良い。例えば、箱部材21を板金にて形成した場合には、素材が変形される分、箱部材21の剛性が低下する。これに対し、削りだしにて箱部材21を形成すると素材を変形させないので、箱部材21の剛性を高めることができる。よって、箱体20の共振周波数を高周波側に移行させることができる。その結果、測定装置5の測定精度の向上を図ることができる。
【0132】
なお、第1実施の形態の測定装置5および第2実施の形態の測定装置205は、電力線保持部材7,207が測定装置5,205と別の部材として構成されているので、第3実施の形態の測定装置305に比べて、電力線35の振動がサーボ型センサー31、上下歪型センサー32及び左右歪型センサー33に伝達されることを低減することができる。
【0133】
また、第1実施の形態の測定装置5および第2実施の形態の測定装置205は、一対の補強部4aの内の一方の補強部4aに締結されているので、一対の補強部4aの両方に締結される第4実施の形態の測定装置405、第5実施の形態の測定装置505、及び、第6実施の形態の測定装置605に比べて、共振を防ぐことができるので、測定精度を確保することができる。即ち、第1実施の形態の測定装置5および第2実施の形態の測定装置205が最も好ましい実施の形態である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1実施の形態における測定装置が取り付けられた鉄道車両の側面図である。
【図2】軸箱に取り付けられた測定装置の側面図である。
【図3】図2の矢印III方向から見た測定装置の底面図である。
【図4】(a)は、測定部材の断面図であり、(b)は、図4(a)のIIIb−IIIb線における測定部材の断面図である。
【図5】(a)は、第2実施の形態における軸箱に取り付けられた測定装置の側面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から見た第2実施の形態における測定装置の底面図である。
【図6】(a)は、第3実施の形態における軸箱に取り付けられた測定装置の側面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から見た第3実施の形態における測定装置の底面図である。
【図7】(a)は、第4実施の形態における測定装置の底面図であり、(b)は、第5実施の形態における測定装置の底面図であり、(c)は、第6実施の形態における測定装置の底面図である。
【符号の説明】
【0135】
100 鉄道車両(鉄道車両)
10 構体
3 車輪
4 軸箱
4a 補強部(軸箱の一部)
5,205,305,405,505,605 測定装置
6,406,506,606 測定部材
7 電力線保持部材
8 固定部材
8a センサー固定部材(第1固定部材または第2固定部材)
8b,208b 第4固定部材
8c 第3固定部材
20,220,320,420,520,620 箱体
21,321,421,521,621 箱部材
21a 凹部
22,322 蓋部材
27 弾性部材
9 センサー部材
31 サーボ型センサー(第1センサー部材)
32 上下歪型センサー(第2センサー部材の一部)
33 左右歪型センサー(第2センサー部材の一部)
35 電力線
R レール
S 空間
L1,L401 第1仮想直線
L2 第2仮想直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪が軸箱に軸支された鉄道車両に使用され、前記軸箱の加速度を測定することで、前記車輪が転動するレールの状態を検出する測定装置において、
凹部を有する箱部材および前記凹部の開口側に配設され前記凹部を閉封することで前記凹部との間に空間を形成する蓋部材を備えると共に平面視において所定の仮想直線である第1仮想直線およびその第1仮想直線に対して直交する仮想直線である第2仮想直線のそれぞれに対して対称に構成される箱体と、
前記空間に収容され前記軸箱の加速度を測定するセンサー部材と、
前記箱体を前記軸箱のレール側に固定する第1固定部材および第2固定部材とを備え、
前記箱体が前記軸箱の前記レール側に固定された状態では、前記平面視において、
前記第1固定部材および第2固定部材が前記第1仮想直線上に配設され、前記第1固定部材と第2固定部材との中間位置が前記第2仮想直線上に重なり合うと共に、前記センサー部材が前記第1仮想直線上であって且つ前記第2仮想直線上に配設されることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記箱体は、前記センサー部材と前記蓋部材との間、及び、前記センサー部材と前記箱部材との間に配設される弾性部材を備え、
前記箱部材の開口側に蓋部材が密着された状態において前記弾性部材によってセンサー部材が保持されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記箱体は、略平板状に構成されるスペーサー部材を備え、
前記スペーサー部材を前記蓋部材と箱部材との間に挟み込み、箱部材の凹部と蓋部材と間隔を調整することで、前記弾性部材の予圧縮量を調整することを特徴とする請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記箱体は、前記蓋部材、箱部材およびスペーサー部材を固定する第3固定部材を備えていることを特徴とする請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
前記センサー部材へ電力を供給する電力線が固定される電力線保持部材と、
その電力線保持部材を前記軸箱に固定する第4固定部材とを備え、
前記電力線保持部材が前記箱体と別部材として構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
センサー部材は、
前記軸箱の加速度を測定する第1センサー部材と、
その第1センサーより小型に構成される第2センサー部材とを備え、
前記平面視において、前記第1センサー部材が第1仮想直線上および第2仮想直線上に配設され、
前記第2センサーが前記第1仮想直線上に配設されることで前記第1仮想直線に対して対称に配接されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の測定装置が取り付けられた鉄道車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−32413(P2010−32413A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196099(P2008−196099)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】