説明

測距システム

【課題】光源の強度や環境光に依存しない信頼性の高い距離情報を取得することができる測距システムを提供する。
【解決手段】照射装置と固体撮像装置と演算部とを備える測距システムであって、前記固体撮像装置は、第1照射タイミングで照射された照射光の反射光を第1受光期間で受光し、第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた光電子数とを用いて前記測距対象までの距離を算出し、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、前記第3受光期間は前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が一定となる時間である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距センサとして機能する固体撮像装置を有する測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イメージセンサの応用例として、測距対象への距離を非接触に測定する測距方法として、タイム・オブ・フライト(TOF)法を用いたものが知られている。TOF法を用いる場合においては、光電変換素子が受光した光電子(負電荷)を振り分けた後、該振り分けた光電子を読み出す技術が知られている。下記非特許文献1及び2には、パルス光の照射と照射停止を同じ長さ(発光素子の駆動デューティが50%)で繰り返すと共に、パルス光の照射と照射停止に同期させて受光を行い、発生した光電子を2方向に振り分けることが記載されている。この2方向に振り分けられた光電子を用いて測距対象までの距離を計測する。また、下記特許文献1には、光電変換素子が受光した光電子を4方向に振り分けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−32425号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】宮川良平、金出武雄「CCD−Based Range−Finding Sensor」、IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 44, NO. 10、1997年10月、p.1648〜1652
【非特許文献2】宮川良平、金出武雄、ITE Technical Vol.19、No.65、PP37−41(Nov.1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1及び2、上記特許文献1に記載の技術では、環境光及びパルス光の反射光を受光することにより得られた光電子から、測距対象までの距離を計測するので、測距精度は、光源の発光強度や環境光に依存してしまう。
【0006】
そこで本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、光源の強度や環境光に依存しない信頼性の高い距離情報を取得することができる測距システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、測距システムであって、測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、を備え、前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、前記第3受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が一定となる時間であることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、測距システムであって、測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、を備え、前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、前記第3受光期間は、前記反射光が前記固体撮像装置に到達しない時間であることを特徴とする。
【0009】
前記演算部は、前記第1受光期間で得られた前記光電子数と、前記第2受光期間で得られた前記光電子数とから、前記反射光の強度を求め、前記第1受光期間又は前記第2受光期間で得られた前記光電子数と、前記第3受光期間で得られた前記光電子数と、該求めた前記反射光の強度とから、前記照射光を照射してから、前記反射光が前記固体撮像装置に到達するまでの時間を示す時間情報を求めることで、前記測距対象までの距離を算出する。
【0010】
前記照射装置が照射する照明光は、パルス光であり、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記反射光が前記固体撮像装置に到達してから前記所定時間経過後のタイミングを含む期間である。
【0011】
前記照射装置は、交互に前記第1照射タイミングと前記第2照射タイミングとで前記照射光を照射し、前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、所定の周期で到来し、前記第2照射タイミングは、前記第1照射タイミングと位相が半周期と一定時間ずれており、前記第2受光期間は、前記第1受光期間と位相が半周期ずれている。
【0012】
前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とは、予め決められた測距検知範囲に基づいて決められている。
【0013】
予め決められた前記測距検知範囲を複数有し、複数の前記測距検知範囲に対応して、前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とが複数決められている。
【0014】
前記複数の測距検知範囲の前記第1照射タイミング、及び、前記第2照射タイミングは、互いに一定時間の2倍だけ位相がずれており、前記複数の測距検知範囲の前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、互いに位相がずれていない。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、を備え、前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、前記第3受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が一定となる時間であるので、照射光の強度や環境光に依存しない信頼性の高い距離情報を得ることができる。
【0016】
本願発明によれば、測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、を備え、前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、前記第3受光期間は、前記反射光が前記固体撮像装置に到達しない時間であるので、照射光の強度や環境光に依存しない信頼性の高い距離情報を得ることができる。
【0017】
前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とは、予め決められた測距検知範囲に基づいて決められており、複数の前記測距検知範囲に対応して、前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とが複数決められているので、測距検知範囲を拡大することができる。
【0018】
前記複数の測距検知範囲の前記第1照射タイミング、及び、前記第2照射タイミングは、互いに一定時間の2倍だけ位相がずれており、前記複数の測距検知範囲の前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、互いに位相がずれていないので、照射タイミングを一定時間だけずらしていくだけで、測距検知範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかる固体撮像装置を有する測距システムの概略構成を示す図である。
【図2】固体撮像装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一部を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図3のV−V線矢視一部断面図である。
【図6】光電変換素子、第1転送部、光電子保持部、及び第2転送部による光電子の移動状態を示すポテンシャル図の一例であり、図6Aは、光電変換素子によって光電子が発生しているときのポテンシャル図を示すものであり、図6B、Cは、光電変換素子が発生した光電子を光電子保持部に転送するときのポテンシャル図を示すものであり、図6Dは、光電子保持部114で光電子を保持しているときのポテンシャル図であり、図6Eは、光電子保持部が保持した光電子を浮遊拡散層に転送するときのポテンシャル図を示すものである。
【図7】光電変換素子、第1転送部、光電子保持部、及び第2転送部による光電子の移動状態を示すポテンシャル図の他の例である。
【図8】図3に示す受光装置の回路構成の一例を示す図である。
【図9】図8に示す受光装置を用いて図3に示す単位画素を構成したときの回路図である。
【図10】図8の単位画素の回路構成と別の例を示す図である。
【図11】本実施の形態の距離計測における照射光の照射タイミング、及び、固体撮像装置の受光タイミングを示す図である。
【図12】単位画素の駆動動作を示すタイムチャートである。
【図13】第1受光期間で得られる面積S1(反射光成分の光電子数)と第2受光期間で得られる面積S2(反射光成分の光電子数)の説明図である。
【図14】発光部の構成を示す図である。
【図15】FETのドレイン−ソース間の電圧と、ドレイン電流との関係を示す図である。
【図16】変形例1の距離計測における照射光の照射タイミング、及び、固体撮像装置の受光タイミングを示す図である。
【図17】変形例2における照射装置が照射する照射光の第1照射タイミング及び第2照射タイミングの一例を示す図である。
【図18】変形例2における照射装置が照射する照射光の第1照射タイミング及び第2照射タイミングの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る単位画素及び該単位画素を有する固体撮像装置並びに該単位画素を有する測距システムについて、好適な実施の形態を掲げて添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1は、実施の形態にかかる固体撮像装置を有する測距システム10の概略構成を示す図である。図1に示すように、測距システム10は、照射装置12、撮像部14、演算部16、制御部18、及び電源20を備える。
【0022】
電源20は、測距システム10の各部に所定の電源電圧を供給するものであり、図1においては、簡単のため、電源20から各装置への電源線の表示を省略する。
【0023】
照射装置12は、測距対象Wに対してパルス光Lpを照射するものであり、照射装置12は、制御部18の制御下で、パルス光Lpを出力する発光部24を有する。発光部24は、コンデンサと発光素子を有し、コンデンサが保持した電荷が発光ダイオードに供給されることで光を発光する。なお、制御部18、および演算装置16は、固体撮像素子上に形成してもよい。
【0024】
発光部24は、赤外光を発光する。例えば、波長が870ナノメートル(nm)の赤外光を100ワット(W)の出力で照射可能である。発光部24は、パルス光Lpを100(ナノ秒)の出力時間(パルス幅)で出力する。
【0025】
なお、発光部24は、リニアアレイ状の複数の発光点を有していてもよく、あるいは、マトリックス状に並べられた複数の発光点を有するものであってもよい。発光素子としてレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
【0026】
この測距システム10では、照射装置12から照射されたパルス光Lpが測距対象Wで反射し、撮像部14に入射する。なお、説明の便宜のため、照射装置12から測距対象Wまでのパルス光Lpを照射光Leと、測距対象Wから撮像部14までのパルス光Lpを反射光Lrと呼ぶ。
【0027】
撮像部14は、レンズ26と、固体撮像装置28とを有する。レンズ26を透過した反射光Lr及び環境光Lsは、固体撮像装置28に集光され、固体撮像装置28によって受光される。固体撮像装置28は、照射装置12が照射するパルス光Lp及び環境光Lsに対して感度を有する。演算部16は、固体撮像装置28が受光期間で取り込んだ光電子数の情報に基づいて測距対象Wまでの距離を算出する。
【0028】
図2は、固体撮像装置28の構成を示す図である。固体撮像装置28は、マトリックス状に単位画素30が配置された画素アレイ32と、画素駆動回路(受光装置100駆動部)34と、サンプルホールド回路36と、水平選択回路38と、出力バッファ40と、A/D変換器42とを有する。
【0029】
電源20は、画素アレイ32に対して正の電源電圧Vddを印加するとともに、リセット電圧Vrefを印加する。画素駆動回路34は、ゲート駆動回路44と、垂直選択回路46を有し、ゲート駆動回路44は、各種ゲート駆動信号を出力することにより画素アレイ32の各単位画素30の光電子の発生(蓄積)、保持、転送、及び排出等を行う。垂直選択回路46は、マルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する行に対して選択的に、該単位画素30が保持した光電子に対応する電圧信号(画素信号)を出力させる。水平選択回路38は、別のマルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する列を選択する。読み出された画素信号は、サンプルホールド回路36に一端保持された後、水平選択回路38を介して出力される。そして、出力バッファ40及びA/D変換器42を介して演算部16に出力される。
【0030】
図3は、図2に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一例を示す平面図である。単位画素30は、複数の受光装置100を有する。本実施の形態では、単位画素30は、4つの受光装置100を有し、行列状に配置されている。
【0031】
受光装置100は、光電変換素子104と、3つの光電子振分部106と、1つの光電子排出部108を有する。3つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向に対称的に1つずつ設けられ、光電変換素子104の上側、又は下側に1つ設けられている。また、光電子振分部106は、光電変換素子104の下側、又は上側に設けられ、光電子振分部106が設けられていない側に設けられる。単位画素30の上側2つの受光装置100は、光電変換素子104の上側に光電子振分部106が設けられ、下側に光電子排出部108が設けられる。単位画素30の下側2つの受光装置100は、光電変換素子104の下側に光電子振分部106が設けられ、上側に光電子排出部108が設けられる。このような構成を有することで、互いに上下方向で隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている拡散層142を共有する。また、互いに水平方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有している。
【0032】
図4及び図5は、図3に示す受光装置100の断面図であり、詳しくは、図4は、図3のIV−IV線矢視断面図であり、図5は、図3のV−V線矢視一部断面図である。
【0033】
単位画素30は、行列状に配置された4つの受光装置100を有する。受光装置100は、p型(第1導電型)半導体基板102上に形成された光電変換素子104と、4つの光電子振分部106と、2つの光電子排出部108とを有する。光電変換素子104は、p型(第1導電型)半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、フォトゲート110と呼ぶ)110を有するフォトゲート110構造を有している。光電変換素子104は、光を検知して、光電子(負電荷)を発生する(検知した光を光電子に変換する)フォトダイオードである。フォトゲート110には、光電変換素子104を駆動するためのゲート駆動信号Saがゲート駆動回路44から入力される。
【0034】
光電子振分部106は、第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116、及び浮遊拡散層118を有する。第1転送部112は、光電変換素子104に発生した光電子を光電子保持部114に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第1転送ゲート)120を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第1転送ゲート120には、ゲート駆動回路44から第1転送部112を駆動させるためのゲート駆動信号Sbが入力される。光電子保持部114は、光電変換素子104に対して第1転動部112を挟んで反対側に配置され、光電変換素子104が発生した光電子を一時的に保持するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(保持ゲート)122を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。保持ゲート122には、ゲート駆動回路44から光電子保持部114を駆動させるためのゲート駆動信号Scが入力される。
【0035】
第2転送部116は、第1転送部112に対して光電子保持部114の反対側に配置され、光電子保持部114が保持した光電子を転送するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第2転送ゲート)124を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第2転送ゲート124には、ゲート駆動回路44から第2転送部116を駆動させるためのゲート駆動信号Sdが入力される。浮遊拡散層118(FD;フローティングディフュージョン)118は、光電子保持部114に対して第2転送部116を挟んで反対側に配置され、光電子保持部114から転送されてくる光電子を取り込み、電圧に変換させるためのものであり、p型半導体基板102上にn型(第2導電型)不純物が形成されたものである。
【0036】
図4に示すように、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118の電位を基準電位にリセットするリセット用トランジスタ126が接続されている。リセット用トランジスタ126のソースは浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加され、ゲートには、ゲート駆動回路44からリセット信号Rが供給される。ハイのリセット信号Rがリセット用トランジスタ126のゲートに供給されると、リセット用トランジスタがオンとなり、浮遊拡散層118の電位が基準電位にリセットされる。
【0037】
また、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118が保持した光電子に応じた電圧信号を読み出すための信号読出用トランジスタ130が接続される。信号読出用トランジスタ130には、該信号読出用トランジスタ130によって読み出された電圧信号を信号読出線132に出力するかを選択するための選択用トランジスタ134が接続されている。信号読出用トランジスタ130のドレインは、電源20からの電源電圧Vddが印加され、ゲートには、浮遊拡散層118に接続され、ソースは、選択用トランジスタ134のドレインに接続される。選択用トランジスタ134に垂直選択回路46からハイの選択信号Ssが供給されると、選択用トランジスタ134がオンになり、浮遊拡散層118が保持した光電子に対応する電圧が信号読出線132から読み出される。選択用トランジスタ134のソースは、信号読出線132が接続されている。
【0038】
光電子排出部108は、第3転送部140と、拡散層142とを有する。第3転送部140は、光電変換素子104が発生した光電子を拡散層142に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第3転送ゲート)144を有するMOSダイオード構造を有している(図5参照)。
【0039】
拡散層142は、光電変換素子104に対して第3転送部140を挟んで反対側に配置され、拡散層142には、電源20からの電源電圧Vddが印加されている。ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力されると、光電変換素子104が発生した光電子は、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
【0040】
図6は、光電変換素子104、第1転送部112、光電子保持部114、及び第2転送部116による光電子の移動状態を示すポテンシャル図である。
【0041】
図6Aは、光電変換素子104によって光電子が発生しているときのポテンシャル図を示すものであり、図6B、Cは、光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に転送するときのポテンシャル図を示すものであり、図6Dは、光電子保持部114で光電子を保持しているときのポテンシャル図であり、図6Eは、光電子保持部114が保持した光電子を浮遊拡散層118に転送するときのポテンシャル図を示すものである。
【0042】
図6Aに示すように、フォトゲート110にハイ(High)のゲート駆動信号Saを入力することで、光電変換素子104にポテンシャル位置は下がり、発生した光電子eが光電変換素子104に溜まっていく。そして、図6Bに示すように、第1転送ゲート120にハイのゲート駆動信号Sbを入力することで、光電変換素子104が発生した光電子eは光電子保持部114に転送される。なお、このとき、保持ゲート122にハイのゲート駆動信号Scが入力されている。さらに、フォトゲート110にロー(Low)のゲート駆動信号Saを入力することで、光電変換素子104のポテンシャル位置が上がって(図6C参照)、光電変換素子104に発生した光電子eは、光電子保持部114に転送され、その後、第1転送ゲート120にローのゲート駆動信号Sbを入力して、図6Dに示すように光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に保持させる。この図6A〜図6Cの状態を繰り返すことで、複数回の受光期間に光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に保持させることができる。なお、受光期間とは、受光した光に応じて光電子を発生して蓄積する期間(蓄積期間)のことをいう。
【0043】
その後、図6Eに示すように、第2転送ゲート124にハイのゲート駆動信号Sdを入力することで、第2転送部116のポテンシャル位置が下がり、保持ゲート122にローのゲート駆動信号Scを入力することで、光電子保持部114のポテンシャル位置が上がるとともに、光電子保持部114が保持した光電子eが浮遊拡散層118に転送される。
【0044】
なお、図7に示すように、受光中も第1転送ゲート120にハイのゲート駆動信号Sbを入力することで、受光及び光電変換素子104で発生した光電子の転送を同時に行ってもよい。
【0045】
図8は、受光装置100の回路構成の一例を示す図である。受光装置100の光電変換素子104が保持した光電子は、転送経路146a、146b、146cを介して光電子振分部106a、106b、106cの浮遊拡散層118に転送される。転送経路146a、146b、146cは、図3及び図4で示した光電子振分部106a、106b、106cの第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116により構成される。光電子振分部106a、106b、106cの浮遊拡散層118には、1つのリセット用トランジスタ126のソースが接続されるとともに、1つの信号読出用トランジスタ130のゲートが接続される。
【0046】
各浮遊拡散層118に、光電子振分部106a、106b、106cの各光電子保持部114が保持した光電子が転送される前に、リセット用トランジスタ126がオンになることによって各浮遊拡散層118が基準電位にリセットされ、そのときの各浮遊拡散層118の電圧(以下、黒レベル)が読み出される。その後、光電子振分部106a、106b、106cの光電子保持部114が保持した光電子が順次浮遊拡散層118に転送される。各浮遊拡散層118に転送された光電子が順次信号読出用トランジスタ130によって電圧信号(信号レベル)に変換されて、選択用トランジスタ134を介して信号読出線132から読み出される。
【0047】
詳しくは、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。
【0048】
このように、受光装置100の光電子振分部106a、106b、106cの光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、同一の信号読出線132から読み出されることになる。なお、図8では、光電子排出部108の図示を省略している。
【0049】
図9は、図8に示す受光装置100を用いて図3に示す単位画素30を構成したときの回路図である。単位画素30は、4つの受光装置100を有し、受光装置100は、図3で示したように、1つの光電変換素子104と、4つの光電子振分部106a、106b、106cと、2つの光電子排出部108とを有する。全受光装置100の光電子振分部106a、106b、106cの各浮遊拡散層118は、リセット用トランジスタ126のソース、及び、信号読出用トランジスタ130のゲートに接続されている。
【0050】
リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106cの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算(加算)した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
【0051】
次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106cの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
【0052】
最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106cの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106cの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106cの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。このように、単位画素30の受光装置100の光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、全て同一の信号読出線132から読み出される。
【0053】
また、図9に示すように、右上の受光装置100の光電子振分部106c、左上の受光装置100の光電子振分部106bとは互いに浮遊拡散層118を共有しており、右下の受光装置100の光電子振分部106bと、左下の受光装置100の光電子振分106cとは互いに浮遊拡散層118を共有している。
【0054】
なお、図10に示すように受光装置100は、2つの信号読出線132a、132bを有してもよい。この場合は、例えば、光電子振分部106a、106bの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132aから、光電子振分部106cの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132bからそれぞれ読み出される。図10に示す受光装置100では、リセット用トランジスタ126a、126b、126cのソースが光電子振分部106a、106b、106cの浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加される。また、リセット用トランジスタ126a、126b、126cのゲートには、リセット信号R1、R2、R3が供給される。また、光電子振分部106a、106b、106cの浮遊拡散層118には、信号読出用トランジスタ130a、130b、130cのゲートが接続されており、選択用トランジスタ134a、134b、134cのゲートには、選択信号Ss1、Ss2、Ss3が供給される。要は、信号読出線132が受光装置100の複数の浮遊拡散層118に接続されていればよい。このように、図10に示す受光装置100を用いて、光電子保持部114が保持している光電子を独立した信号読出用トランジスタ130を介して読み出してもよい。
【0055】
以上のように、上記実施の形態においては、単位画素30の受光装置100は、光電変換素子104に発生した光電子を転送するための第1転送部112と、光電子を一時的に保持する光電子保持部114と、光電子保持部114が保持した光電子を転送するための第2転送部116と、転送された光電子を保持して該転送された光電子を電圧に変換させるための浮遊拡散層118とを含む光電子振分部106とを有するので、光電変換素子が発生した光電子を複数方向に振り分けて読み出すことができるとともに、リセットノイズを正確に除去することができる。
【0056】
つまり、光電子振分部106によって振り分けられた光電変換素子104に発生した光電子は、該光電子振分部106の光電子保持部114に保持されるので、光電子保持部114が保持した光電子を読み出したい場合は、該光電子振分部106の浮遊拡散層118の電位をリセットした後、黒レベルが読み出される。その後、該光電子保持部114が保持した光電子を該浮遊拡散層118に転送して光電子に応じた電圧信号を読み出せばよいので、浮遊拡散層118の電位のリセットタイミングと、読み出しタイミングとのズレを最小限に抑えることができる。したがって、正確な黒レベルを得ることができ、リセットノイズを正確に除去することができる。
【0057】
単位画素30は、複数の受光装置100を有するので、受光期間における光電子数を多く取得できる。また、単位画素30の複数の前記受光装置100は、少なくとも、複数の受光装置100の浮遊拡散層118の一部を互いに共有しているので、単位画素30が小さくなり、チップ面積が小さくなるのでコストが下がるとともに、単位画素30を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0058】
単位画素30は、行列状に配置された4つの前記受光装置100を有し、受光装置100は、光電子振分部106を3つ有し、3つの光電子振分部106は、光電変換素子104に対して水平方向に対称的に1つずつ設けられるとともに、光電変換素子104の上側、又は下側に1つ設けられており、互いに水平方向に隣り合う受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有しているので、単位画素30が小さくなり、チップ面積が小さくなるのでコストが下がるとともに、単位画素30を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0059】
単位画素30が1次元又は2次元に配列された画素アレイ32を有する固体撮像装置28は、複数の浮遊拡散層118の電位を読み出すための信号読出用トランジスタ130と信号読出用トランジスタ130を介して信号を読み出す信号読出線132とを備え、単位画素30の浮遊拡散層118の各々の電位は1つの信号読出用トランジスタ130を介して読み出されるので、信号読み出し回路の共通化が可能となり、読み出し回路の製造バラツキに起因する出力バラツキを抑制することができるとともに、固体撮像装置28を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0060】
次に、本実施の形態の測距方法について説明する。図11は、本実施の形態の距離計測における照射光Leの照射タイミング、及び、固体撮像装置28の受光タイミングを示す図である。照射装置12は、交互に第1照射タイミングと第2照射タイミングで照射光Leを所定時間照射する。つまり、第1照射タイミングと第2照射タイミングとにおける照射時間は同一時間である。第2照射タイミングは、第1照射タイミングと位相が半周期と一定時間(Δt)ずれている。図11において照射光Leは、発光強度が一定となる期間を有する。第1照射タイミング及び第2照射タイミングは所定の周期で到来する。
【0061】
固体撮像装置28の受光装置100は、第1受光期間〜第3受光期間で、光電変換素子104に入射した反射光Lrを受光する(光電変換素子104に入射した反射光Lrに応じた光電子数を発生する)。第1受光期間及び第3受光期間の受光タイミングは、第1照射タイミングに対して予め決められた受光期間であり、第2受光期間の受光タイミングは、第2照射タイミングに対して予め決められた受光期間である。第1受光期間〜第3受光期間の長さは時間Tで同じであり、第1受光期間〜第3受光期間は、照射装置12が照射光Leを照射する前記所定時間以下の時間である。第1受光期間〜第3受光期間は、前記所定の周期で到来する。第2受光期間は、第1受光期間と位相が半周期ずれており、第3受光期間は、固体撮像装置28に到達する第1照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間である。第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第3受光期間とは、測距検知範囲に基づいて決められている。測距検知範囲とは、距離を計測することができる距離範囲(例えば、5m先から20m先までの範囲)のことである。
【0062】
光は、1nsec(ナノセック)で、30cm進むので、往復を考慮して片道で15cmとなる。したがって、受光期間が100nsecの場合はは、15(cm)×100(nsec)の測距検知範囲となるが、前記一定時間(Δt)の設定によって、Δt(nsec)×15(cm)だけ測距検知範囲は短くなる。このように、測距検知範囲にしたがって、受光期間とΔtの設定値が決定され、制御部18によって設定される。
【0063】
第1受光期間及び第2受光期間は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少してから反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するまでの時間(反射光Lrの立ち下がり期間)を含む。なお、照射光Leが完全な矩形波のパルス光の場合は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少するタイミングと、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングとは同時になるので、第1受光期間及び第2受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達してから所定時間経過後のタイミングを含む期間であり、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングを含む期間である。
【0064】
前記照射装置12の照射時間(前記所定時間)は、例えば、第1受光期間と、第3受光期間と、第1受光期間と第3受光期間との間の未発光期間の和以上の期間に設定さている。このように設定することで、[第1受光期間−Δt]×光速/2、で導出される距離が測距検知範囲となる。さらに詳しくは、照射光Leの発光時間の終了タイミングと第1受光期間とを一定期間オーバーラップさせる設定にする場合は、オーバーラップさせた期間だけ、測距検知範囲は短くなる。
【0065】
図12は、単位画素30の駆動動作を示すタイムチャートである。図12に示すように、1枚の輝度画像を撮像する1フレーム期間は、露光期間と読出期間を有し、露光期間は、光電変換素子104に露光を行わせ、読出期間は、露光期間によって得られた光電子を信号読出線132から読み出すための期間である。
【0066】
露光期間は、光電変換素子104のフォトゲート110にゲート駆動信号Saを供給することで、光電変換素子104に入射光量に応じた光電子を発生させる期間である。露光期間に照射装置12が発光信号を発光部24に供給することで発光部24を駆動させ、照射光Leを測距対象Wに照射するとともに、フォトゲート110にゲート駆動信号Saを供給して、光電変換素子104に受光を行わせる。
【0067】
照射装置12は、第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射光Leを照射するように発光部24を駆動させ、ゲート駆動回路44は、第1受光期間〜第3受光期間で受光するようにゲート駆動信号Saをフォトゲート110に供給する。1フレーム期間の露光期間中に、第1照射タイミング及び第2照射タイミングでの照射、及び、第1受光期間〜第3受光期間での受光が所定回数(例えば、100回)繰り返し行われ、受光期間中に発生した光電子が光電子振分部106a、106b、106cによって光電子保持部114に転送される。
【0068】
例えば、第1受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qaは、光電子振分部106aの光電子保持部114に転送され、第2受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qbは、光電子振分部106bの光電子保持部114に転送され、第3受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qcは、光電子振分部106cの光電子保持部114に転送される。この光電子振分部106a、106b、106cの駆動は、上述したようにゲート駆動回路44から送られてくるゲート駆動信号によって行われる。
【0069】
そして、受光期間が終了し、読出期間に入ると、光電子振分部106a、106b、106cの光電子保持部114が保持した光電子が、信号読出線132から順次読み出される。
【0070】
なお、前記第1受光期間〜第3受光期間以外の期間に、前記光電変換素子104に入射した光により発生した光電子は、ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力され、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
【0071】
演算部16は、信号読出線132を介して読み出された各画素の光電子振分部106aの光電子保持部114が保持した光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持した光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持した光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとを用いて、測距対象Wまでの距離を算出する。
【0072】
詳しくは、演算部16は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbとから、反射光Lrの強度Iを求め、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQa又は第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcと、該求めた反射光Lrの強度とから、照射光Leを照射してから、反射光Lrが固体撮像装置28(単位画素30、受光装置100)に到達するまでの時間を示す時間情報ΔTを求めることで、測距対象Wまでの距離を算出する。なお、反射光Lrの立ち下がり期間を受光する受光期間においては、受光開始タイミングが反射光Lrの固体撮像装置28への入射タイミングに対してより遅いほうが得られる光電子数が少なくなるので、電圧信号VQaは、電圧信号VQbにより低い値となる。つまり、第2受光期間は、第1受光期間に比べ、受光開始タイミングが入射タイミングに対して前記一定時間(Δt)だけ早いからである。
【0073】
反射光Lrの強度Iは、数式1に示す関係式から求めることができる。
I≡(VQb−VQa)/Δt ・・・数式1
【0074】
第2受光期間は、第1受光期間に比べ、一定時間(Δt)だけ反射光Lrを多く受光するので、第2受光期間により得られる光電子数Qbは、第1受光期間により得られる光電子数QaよりΔt×I分だけ光電子数が多くなる。したがって、光電子数Qb=光電子数Qa+ΔI×Iとなり、この式から上記した数式1を導くことができる。なお、光電子数Qb、Qaは、電圧信号VQb、VQaに等価することができる。
【0075】
光電変換素子104が発生する光電子数のうち、反射光Lrによって生じる光電子数は、入射する反射光Lrの強度と、反射光Lrの入射時間の積に比例するので、反射光Lrによって発生する光電子数は、入射する反射光Lrの強度と入射時間とを積算した面積で表すことができる。したがって、第1受光期間で得られた反射光Lr成分の光電子数Qraは、図11に示す面積S1で表すことができ、第2受光期間で得られた反射光Lr成分の光電子数Qrbは、図11に示す面積S2で表すことができる。
【0076】
図13は、第1受光期間で得られる面積S1(光電子数Qra)と第2受光期間で得られる面積S2(光電子数Qrb)の説明図である。面積S1は、面積(光電子数)Aと面積(光電子数)Cとからなり、面積Aは、反射光Lrの強度Iと時間情報ΔTとを乗算したものである。したがって、面積S1は、S1=I×ΔT+C、の関係式で表すことができる。面積Cは、照射光Leを照射する照射装置12の特性(照射光Leの強度Iを含む)と光電変換素子104の特性に依存する。なお、時間情報ΔTは、照射光Leを照射してから反射光Lrが固体撮像装置28(単位画素30、受光装置100)に到達するまでの時間を示す情報である。なお、照射光Leが完全な矩形波のパルス光の場合は、面積Cは0となる。
【0077】
面積S2は、面積(光電子数)Bと面積(光電子数)Cとからなり、面積Bは、反射光Lrの強度Iと時間情報ΔTとを乗算したものと、反射光Lrの強度IとΔtとを乗算したものとを加算したものである。つまり、面積Bは、I×ΔT+I×Δtとで表すことができる。面積S2は、面積S1に比べ、Δtだけ多く反射光Lrを受光しているので、Δt×I分の光電子数だけ多く得られる。したがって、面積S2は、S2=I×ΔT+I×Δt+Cで表すことができる。なお、第3受光期間で得られた反射光Lr成分の光電子数Qcは、Qc=I×T、で表すことができる。
【0078】
光電子数Qrcと光電子数Qraとから、数式2に示す関係式が成り立つ。
(Qrc−Qra)/I=[(I×T)−(I×ΔT+C)]/I=T−(ΔT+C/I) ・・・数式2
【0079】
光電子数Qrcと光電子数Qrbとから、数式3に示す関係式が成り立つ。
(Qrc−Qrb)/I=[(I×T)−(I×ΔT+I×Δt+C)]/I=T−(ΔT+Δt+C/I) ・・・数式3
【0080】
面積Cは、反射光Lrの強度に比例するので、C/Iは、強度に依存しない定数とみなすことができ、測定することで予めC/Iを知ることができる。
【0081】
(Qrc−Qra)は、(Qc−Qa)に置き換えることができ、Qc、Qaは、VQc、VQaに等価することができるので、ΔTは、数式2を用いて、
ΔT=T−(VQc−VQa)/I−C/I ・・・数式4
で表すことができる。(Qrc−Qra)を(Qc−Qa)に置き換えることができる理由としては、第3受光期間で得られた光電子数Qcは、反射光Lr成分の光電子数Qrcと、環境光Ls成分の光電子数との合算であり、第1受光期間で得られた光電子数Qaは、反射光Lr成分の光電子数Qraと、環境光Ls成分の光電子数との合算であり、第1受光期間と第3受光期間の長さは共に時間Tであることから、光電子数Qcから光電子数Qaを減算すると、環境光Ls成分は除去され、結果的に、(Qc−Qa)=(Qrc−Qra)となるからである。
【0082】
(Qrc−Qrb)は、(Qc−Qb)に置き換えることができ、Qc、Qbは、VQc、VQbに等価することができるので、ΔTは、数式3を用いて、
ΔT=T−Δt−(VQc−VQb)/I−C/I ・・・数式5
で表すことできる。(Qrc−Qrb)を(Qc−Qb)に置き換えることができる理由としては、第3受光期間で得られた光電子数Qcは、反射光Lr成分の光電子数Qrcと、環境光Ls成分の光電子数との合算であり、第2受光期間で得られた光電子数Qbは、反射光Lr成分の光電子数Qrbと、環境光Ls成分の光電子数との合算であり、第2受光期間と第3受光期間の長さは共に時間Tであることから、光電子数Qcから光電子数Qbを減算すると、環境光Ls成分は除去され、結果的に、(Qc−Qb)=(Qrc−Qrb)となるからである。
【0083】
したがって、演算部16は、数式4を用いて、第3受光期間の時間Tと、予め記憶された定数C/Iと、電圧信号VQc、VQaとから時間情報ΔTを算出することができる。また、演算部16は、数式5を用いて、第3受光期間の時間Tと、予め記憶された定数C/Iと、Δtと、電圧信号VQc、VQbとから時間情報ΔTを算出することができる。演算部16は、数式4と数式5のどちらか一方を用いて時間情報ΔTを算出しても良いが、数式4及び数式5を用いて時間情報ΔTを算出し、該算出した2つの時間情報ΔTの平均を取ることによってより正確な時間情報ΔTを求めることができる。なお、数式4及び数式5の発光強度Iは、数式1を用いて導くことができる。
【0084】
なお、第3受光期間は、第1照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間としたが、第2照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間であってもよい。この場合は、第3受光期間は、第2照射タイミングに対して予め決められた受光期間であってもよい。
【0085】
ここで、固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離が遠いほど、反射光Lrの固体撮像装置28への入射タイミングが遅くなり、その分時間情報ΔTは長くなり、逆に固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離が近いほど、反射光Lrの固体撮像装置28への入射タイミングが早くなり、その分時間情報ΔTは短くなる。したがって、演算部16は、時間情報ΔTを求めることによって、測距対象Wまでの距離を求めることができる。なお、演算部16は、初期値として固体撮像装置28から一定距離離れた基準測距対象に対して照射光Leを照射し、その反射光Lrを受光することで算出した時間情報ΔTを基準時間情報ΔTsとして記憶しておき、測距対象Wからの反射光Lrを受光して求めた時間情報ΔTと、基準時間情報ΔTsと、前記一定距離とから測距対象Wまでの距離を求めてもよい。詳しくは、求めた時間情報ΔTと基準時間情報ΔTsとの差から基準測距対象から測距対象Wまでの距離を求め、該求めた距離と前記一定距離とから固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離を求めてもよい。
【0086】
このように、入射した反射光Lrに応じた光電子に応じた電圧信号のみを用いて、測距対象Wの距離を求めることができるので、照射光Leの強度や環境光Lsに依存しない信頼性の高い距離情報を得ることができる。
【0087】
なお、測距精度を確保するために、照射装置12は、発光強度が一定となる期間を有する照射光Leを照射する必要があるが(図11参照)、発光部24のコンデンサの電圧は、放電とともにその電位が低下するので、発光素子の発光強度も低下してしまう。したがって、本実施の形態では、図14に示すように、発光部24に、コンデンサ160と発光素子162の他にFET(電界効果トランジスタ)164をさらに備えさせることで、発光強度が一定となる期間を有する照射光Leを照射させるというものである。発光素子162は、コンデンサ160とFET164の間に介装され、FET164のソースは発光素子162に、ドレインはコンデンサ160に接続されている。
【0088】
図15は、FET164のドレイン−ソース間の電圧と、ドレイン電流との関係を示す図であり、FET164の特性を示す。図15に示すように、ドレイン−ソース間の電圧がある一定値以上になると、ドレイン−ソース間の電圧にかかわらず、ドレイン電流は略一定の値となる。したがって、図14に示すコンデンサ160の放電によってコンデンサ160の電圧が低下した場合であっても、発光素子162に流れる電流(ドレイン電流)が一定となるようにドレイン−ソース間の電圧が低下するので、発光素子162にかかる電圧は略一定となり、発光素子162の発光強度を一定に保つことができる。照射装置12は、FET164のゲートにハイの発光信号を印加させることで、発光部24に光を発光させる。
【0089】
実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0090】
(変形例1)上記実施の形態では、第3受光期間は、第1照射タイミング又は第2照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間としたが、変形例1では、第3受光期間は、第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrが固体撮像装置28に到達しない時間、つまり、反射光Lrが固体撮像装置28に入射しない時間である。
【0091】
図16は、変形例1の距離計測における照射光Leの照射タイミング、及び、固体撮像装置28の受光タイミングを示す図である。図16に示すように、第3受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に入射しない時間であることが分かる。これにより、第3受光期間で得られる光電子Qcは、環境光Lsに応じた光電子となる。ここで、照射装置12の第1照射タイミング及び第2照射タイミングにおける照射時間(前記所定時間)は、受光期間第(第1受光期間又は第2受光期間)以上に設定されている。このように設定することで、[第1受光期間−Δt]×光速/2、で導出される距離が測距検知範囲となる。
【0092】
光電子数Qaは、反射光Lr成分の光電子数Qraと環境光Ls成分の光電子数とからなる。光電子数Qraは、上述したように、光電子数Qra=I×ΔT+Cで表すことができ、光電子数Qaの環境光Ls成分の光電子数は、光電子数Qcで表すことができる。光電子数Qbは、反射光Lr成分の光電子数Qrbと環境光Ls成分の光電子数とからなる。光電子数Qrbは、上述したように、光電子数Qrb=I×ΔT+I×Δt+Cで表すことができる。光電子数Qbの環境光Ls成分の光電子数は、光電子数Qcで表すことができる。ここで、第1受光期間〜第3受光期間の長さは時間Tで同一であることから、第1受光期間で得られた光電子数Qaの環境光Ls成分の光電子数と、第2受光期間で得られた光電子数Qbの環境光Ls成分の光電子数とは、第3受光期間で得られた光電子数Qcと同じになる。
【0093】
したがって、光電子数Qaと光電子数Qcとから、数式6に示す関係式が成り立ち、光電子数Qbと光電子数Qcとから、数式7に示す関係式が成り立つ。
(Qa−Qc)/I=[(I×ΔT+C)+Qc−Qc]/I=ΔT+C/I ・・・数式6
(Qb−Qc)/I=[(I×ΔT+I×Δt+C)+Qc−Qc]/I=ΔT+Δt+C/I ・・・数式7
Qa、Qcは、VQa、VQcに等価することができるので、ΔTは、数式6を用いて、
ΔT=(VQa−VQc)I−C/I ・・・数式8
で表すことができる。また、Qb、Qcは、VQb、VQcに等価することができるので、ΔTは、数式7を用いて、
ΔT=(VQb−VQc)/I−Δt−C/I ・・・数式9
で表すことができる。
【0094】
したがって、演算部16は、数式8を用いて、電圧信号VQa、VQcと、予め記憶された定数C/Iとから時間情報ΔTを算出することができる。また、演算部16は、数式9を用いて、電圧信号VQb、VQcと、Δtと、予め記憶された定数C/Iとから時間情報ΔTを算出することができる。演算部16は、数式8及び数式9を用いて時間情報ΔTを算出し、該算出した2つの時間情報ΔTの平均を取ることによってより正確な時間情報ΔTを求めることができる。なお、数式8及び数式9の発光強度Iは、数式1を用いて導くことができる。演算部16は、求めた時間情報ΔTから測距対象Wまでの距離を求める。
【0095】
このように、入射した反射光Lrに応じた光電子に応じた電圧信号のみを用いて、測距対象Wの距離を求めることができるので、照射光Leの強度や環境光Lsに依存しない信頼性の高い距離情報を得ることができる。
【0096】
(変形例2)上記実施の形態及び変形例1では、測距検知範囲を1つとし、該測距検知範囲に基づいて、第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第3受光期間とを決めるようにしたが、変形例2では、測距検知範囲を複数用意し、複数の第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第3受光期間とが複数の測距検知範囲に対応して決められている。例えば、測距検知範囲が1〜3まであり、第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第3受光期間とが測距検知範囲1〜3に対応してそれぞれ複数設けられている。これにより、距離を計測できる範囲を拡大することができる。
【0097】
ここで、複数の測距検知範囲1〜3の第1受光期間及び第2受光期間は、互いに位相がずれないようにし、複数の測距検知範囲1〜3の第1照射タイミング及び第2照射タイミングは、一定時間(Δt)の2倍分だけ位相がずれていくようにしてもよい。つまり、各測距検知範囲の第1受光期間は互いに同位相、各測距検知範囲の第2受光期間は互いに同位相であり、各測距検知範囲の第1照射タイミングは、一定時間(Δt)の2倍分だけ位相が遅れていき、各測距検知範囲の第2照射タイミングは、一定時間の2倍分だけ位相が遅れていく。
【0098】
図17は、変形例2における照射装置12が照射する照射光Leの第1照射タイミング及び第2照射タイミングの一例を示す図である。図17に示すように、測距検知範囲2の第1照射タイミングは、測距検知範囲1の第2照射タイミングより位相が2×Δt遅れており、測距検知範囲3の第1照射タイミングは、測距検知範囲2の第1照射タイミングより位相が2×Δt遅れている。また、測距検知範囲2の第2照射タイミングは、測距検知範囲1の第2照射タイミングより位相が2×Δt遅れており、測距検知範囲3の第2照射タイミングは、測距検知範囲2の第2照射タイミングより位相が2×Δt送られている。
【0099】
なお、各測距検知範囲1〜3の第2照射タイミングは、各測距検知範囲1〜3の第1照射タイミングをΔtだけ位相を遅らせたタイミングである。したがって、照射装置12は、照射光Leを照射する度に、照射タイミングをΔtだけずらしていけば、各測距検知範囲の第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射光Leを照射していることになり、測距検知範囲が複数ある場合であっても、照射タイミングの制御が簡単になる。
【0100】
また、各測距検知範囲の照射タイミングが他の測距検知範囲の照射タイミングと重複していてもよい。例えば、ある測距検知範囲の第1照射タイミングが、直前に照射した他の測距検知範囲の第2照射タイミングと重複していてもよく、該ある測距検知範囲の第2照射タイミングが、直後に照射する他の測距検知範囲の第1照射タイミングと重複していてもよい。
【0101】
図18は、変形例2における照射装置12が照射する照射光Leの第1照射タイミング及び第2照射タイミングの他の例を示す図である。図18に示すように、各照射タイミング(1回目〜6回目の照射タイミング)は、一定時間(Δt)ずつ位相がずれており、ある照射タイミングとその直前の照射タイミング又はその直後の照射タイミングとで、測距検知範囲が決められている。例えば、1回目の照射タイミングと2回目の照射タイミングとで測距検知範囲1が定められ、2回目の照射タイミングと3回目の照射タイミングとで測距検知範囲2が定められ、3回目の照射タイミングと4回目の照射タイミングとで測距検知範囲3が定められ、4回目の照射タイミングと5回目の照射タイミングとで測距検知範囲4が定められ、5回目の照射タイミングと6回目の照射タイミングとで測距検知範囲5が定められる。
【0102】
2回目の照射タイミングは、測距検知範囲1からみれば第2照射タイミングとなるが、測距検知範囲2から見れば第1照射タイミングとなる。同様に、3回目の照射タイミングは、測距検知範囲2から見れば第2照射タイミングとなるが、測距検知範囲3から見れば第1照射タイミングとなる。4回目以降の照射タイミングも同様に、一方の測距検知範囲から見れば第2照射タイミングとなり、他方の測距検知範囲から見れば第1照射タイミングとなる。
【0103】
このように、各測距検知範囲の照射タイミングを重複させることで、照射タイミングの数を増やさなくても、距離を計測できる範囲を拡大することができ、測距精度を向上させることができる。
【0104】
なお、図17及び図18に示すタイミングは、図12に示す単位画素30の1フレーム期間内の露光期間における1周期の照射タイミングを記載したものであり、複数回受光と光電子の保持が繰り返された後に信号を読み出し、その後、位相が2×Δt遅れたタイミングで、次のフレームを取得する。
【0105】
(変形例3)上記実施の形態及び上記変形例1〜2では、単位画素30は4つの受光装置100を有するようにしたが、単位画素30は、2つ、3つ、5つ等の複数の受光装置100を有してもよく、受光装置100を1つのみ有してもよい。また、受光装置100は、3つの光電子振分部106を有するようにしたが、光電子振分部106を1つのみ有するようにしてもよい。単位画素30が1つの受光装置100のみを有し、該受光装置100が1つの光電子振分部106のみを有する場合は、それぞれ異なるフレームで取得してもよく、さらには、第1受光期間〜第3受光期間で、それぞれ受光する単位画素30を異ならせてもよい。例えば、第1受光期間で受光する単位画素30を第1画素と、第2受光期間で受光する単位画素30を第2画素と、第3受光期間で受光する単位画素30を第3画素とし、第1画素〜第3画素で得られた光電子数を用いて測距対象Wまでの距離を算出する。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0107】
10…測距システム 12…照射装置
14…撮像部 16…演算部
18…制御部 20…電源
22…第2電源 28…固体撮像装置
30…単位画素 32…画素アレイ
34…画素駆動回路 44…ゲート駆動回路
100…受光装置 102…p型半導体基板
104…光電変換素子 106…光電子振分部
108…光電子排出部 110…フォトゲート
112…第1転送部 114…光電子保持部
116…第2転送部 118…浮遊拡散層
120…第1転送ゲート 122…保持ゲート
124…第2転送ゲート 126…リセット用トランジスタ
130…信号読出用トランジスタ 132…信号読出線
134…選択用トランジスタ 140…第3転送部
142…拡散層 144…第3転送ゲート
160…コンデンサ 162…発光素子
164…FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、
前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、
を備え、
前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、
前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、
前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、
前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、
前記第3受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が一定となる時間である
ことを特徴とする測距システム。
【請求項2】
測距対象に対して発光強度が一定となる期間を有する照射光を照射する照射装置と、
前記照射装置が照射した前記照射光の反射光を、該反射光の照射タイミングに対して予め決められた受光期間で受光する固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の受光により得られた光電子数を用いて、被写体までの距離を計測する演算部と、
を備え、
前記照射装置は、第1照射タイミングと第2照射タイミングとで前記照射光を所定時間照射し、
前記固体撮像装置は、前記第1照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第1受光期間で受光し、前記第2照射タイミングで照射された前記照射光の前記反射光を第2受光期間でそれぞれ受光するとともに、前記第1照射タイミング又は前記第2照射タイミングに対して予め決められた第3受光期間で受光し、
前記演算部は、前記第1受光期間〜前記第3受光期間で得られた前記光電子数とを用いて、前記測距対象までの距離を算出し、
前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記固体撮像装置に到達する前記反射光の強度が減少してから該反射光の前記固体撮像装置への到達が終了するまでの時間を含み、且つ、前記所定時間以下の時間であり、
前記第3受光期間は、前記反射光が前記固体撮像装置に到達しない時間である
ことを特徴とする測距システム。
【請求項3】
請求光1又は2に記載の測距システムであって、
前記演算部は、前記第1受光期間で得られた前記光電子数と、前記第2受光期間で得られた前記光電子数とから、前記反射光の強度を求め、前記第1受光期間又は前記第2受光期間で得られた前記光電子数と、前記第3受光期間で得られた前記光電子数と、該求めた前記反射光の強度とから、前記照射光を照射してから、前記反射光が前記固体撮像装置に到達するまでの時間を示す時間情報を求めることで、前記測距対象までの距離を算出する
ことを特徴とする測距システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の測距システムであって、
前記照射装置が照射する照明光は、パルス光であり、
前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、前記反射光が前記固体撮像装置に到達してから前記所定時間経過後のタイミングを含む期間である
ことを特徴とする測距システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の測距システムであって、
前記照射装置は、交互に前記第1照射タイミングと前記第2照射タイミングとで前記照射光を照射し、
前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、所定の周期で到来し、
前記第2照射タイミングは、前記第1照射タイミングと位相が半周期と一定時間ずれており、
前記第2受光期間は、前記第1受光期間と位相が半周期ずれている
ことを特徴とする測距システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の測距システムであって、
前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とは、予め決められた測距検知範囲に基づいて決められている
ことを特徴とする測距システム。
【請求項7】
請求項6に記載の測距システムであって、
予め決められた前記測距検知範囲を複数有し、
複数の前記測距検知範囲に対応して、前記第1照射タイミング及び前記第2照射タイミングと、前記第1受光期間〜前記第3受光期間とが複数決められている
ことを特徴とする測距システム。
【請求項8】
請求項7に記載の測距システムであって、
前記複数の測距検知範囲の前記第1照射タイミング、及び、前記第2照射タイミングは、互いに一定時間の2倍だけ位相がずれており、
前記複数の測距検知範囲の前記第1受光期間及び前記第2受光期間は、互いに位相がずれていない
ことを特徴とする測距システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−215481(P2012−215481A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81326(P2011−81326)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】