説明

湯沸し器及びその温度検知具の組み付け方法

【課題】温度検知具を容器本体に固着するためのスペースを極力小さくし、しかも、温度検知具を容器本体に対して確実に固着することのできる湯沸し器及びその温度検知具の組み付け方法を提供する。
【解決手段】上方が開口し、内部に貯留部を有する容器本体と、容器本体の上方開口部を開閉する蓋体と、貯留部の蒸気を外部に放出するために蓋体の内部に設けられる蒸気通路と、蒸気通路からの蒸気の温度を検知するために容器本体に固定される温度検知具13と、容器本体に固着される把手2とを備えている湯沸し器で、温度検知具13を保持する保持部材23の一端側が、螺着具24により容器本体に固着されるとともに、温度検知具13を挟んで螺着具24と反対側において、保持部材23の他端側が、把手2に設けられた押し付け部材2aにより容器本体に押し付けられて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方が開口し、内部に貯留部を有する容器本体と、その容器本体の上方開口部を開閉する蓋体と、前記貯留部の蒸気を外部に放出するために前記蓋体の内部に設けられる蒸気通路と、その蒸気通路からの蒸気の温度を検知するために前記容器本体に固定される温度検知具と、前記容器本体に固着される把手とを備えている湯沸し器及びその温度検知具の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような湯沸し器としては、電気ケトルや電気ポット等があり、従来、蒸気の温度を検知するための温度検知具は、その温度検知具を保持する保持部材の少なくとも両端側、つまり、温度検知具を中心として保持部材の少なくとも両端側が、複数本のボルトやビス等の螺着具により容器本体に固着されていた(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平8−1706号公報
【特許文献2】特開平9−271445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1及び2に記載の従来技術では、温度検知具を中心として保持部材の少なくとも両端側が複数本の螺着具により容器本体に固着されていたので、温度検知具を中心として、その両端側に螺着具のためのスペースを確保する必要があった。
温度検知具は、蓋体の内部に設けられる蒸気通路からの蒸気の温度を検知するものであるから、当然、容器本体の上方開口部近くに固着する必要がある。特に、把手を備えた湯沸し器では、その把手の上部を容器本体の上方開口部近くに固着することもあり、温度検知具の周りはスペース的にあまり余裕のない部位なので、温度検知具の両端側に螺着具のためのスペースを要することには問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、温度検知具を容器本体に固着するためのスペースを極力小さくし、しかも、温度検知具を容器本体に対して確実に固着することのできる湯沸し器を提供すると共に、その温度検知具の組み付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る湯沸し器は、上方が開口し、内部に貯留部を有する容器本体と、その容器本体の上方開口部を開閉する蓋体と、前記貯留部の蒸気を外部に放出するために前記蓋体の内部に設けられる蒸気通路と、その蒸気通路からの蒸気の温度を検知するために前記容器本体に固定される温度検知具と、前記容器本体に固着される把手とを備えている湯沸し器であって、
その特徴構成は、前記温度検知具を保持する保持部材の一端側が、螺着具により前記容器本体に固着されるとともに、前記温度検知具を挟んで前記螺着具と反対側において、前記保持部材の他端側が、前記把手に設けられた押し付け部材により前記容器本体に押し付けられて固定されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、温度検知具を保持する保持部材の一端側が、螺着具により容器本体に固着されるので、温度検知具の両端側が螺着具により固着されていた従来技術に比して、温度検知具を容器本体に固着する螺着具のためのスペースを温度検知具の一端側のみとすることができる。そのため、保持部材の一端側を単一の螺着具により容器本体に固着することも可能となり、その場合には、螺着具のためのスペースを小さくすることができる。
そして、温度検知具を保持する保持部材の他端側が、温度検知具を挟んで螺着具と反対側において、把手に設けられた押し付け部材により容器本体に押し付けられて固定されるので、温度検知具を保持する保持部材は、その一端側が螺着具により容器本体に固着されて他端側が押し付け部材により容器本体に押し付けられて固定されることになり、その結果、保持部材の一端側のみを螺着具により固着する構成であるにもかかわらず、容器本体に対して温度検知具を確実に固着することができる。
【0008】
本発明に係る湯沸し器の更なる特徴構成は、前記容器本体に対して前記保持部材の固定位置を確定するための位置決め用突起が、前記容器本体から突設されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、保持部材の固定位置を確定するための位置決め用突起が、容器本体から突設されているので、保持部材により保持される温度検知具は、容器本体に対して所定の固定位置に確実に固定される。
したがって、蓋体の内部に設けられる蒸気通路との相対位置関係も所望どおりとなり、蒸気通路からの蒸気の温度を確実に検知することができる。
【0010】
本発明に係る湯沸し器の更なる特徴構成は、前記容器本体における上方開口部の周縁が、上方ほど外側に延出する傾斜周縁部に構成され、前記蓋体を閉じた状態で前記蒸気通路に連通する検知用開口部が、前記傾斜周縁部に形成されて、その検知用開口部に前記温度検知具が臨むように構成され、前記蓋体を閉じた状態で前記検知用開口部の周部を密閉するパッキンが、前記蓋体に設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、容器本体における上方開口部の周縁が、上方ほど外側に延出する傾斜周縁部に構成されているので、その上方開口部に対する蓋体の開閉、特に蓋体により上方開口部を閉じる際、上方開口部周縁の傾斜周縁部が蓋体をガイドすることになり、蓋体による上方開口部の閉じ操作を容易、確実に行うことができる。
そして、蓋体を閉じた状態で蒸気通路に連通する検知用開口部が、その傾斜周縁部に形成されているのであるが、蓋体を閉じた状態で検知用開口部の周部を密閉するパッキンが蓋体に設けられているので、蓋体を閉じてさえすれば、蓋体に設けられたパッキンは、傾斜周縁部に対して適切な圧力で押圧される。その結果、傾斜周縁部に形成される検知用開口部の周部は、パッキンによって適切な圧力で密閉され、蒸気通路からの蒸気が検知用開口部から外部へ漏出することが防止される。
【0012】
本発明に係る湯沸し器の更なる特徴構成は、前記パッキンの前記容器本体側の面が、前記蓋体を閉じた状態で前記傾斜周縁部に沿う傾斜密閉面を備えている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、検知用開口部の周部を密閉するパッキンの容器本体側の面が、蓋体を閉じた状態で傾斜周縁部に沿う傾斜密閉面を備えているので、検知用開口部の周部は、その全周にわたってほぼ均一な圧力で密閉され、パッキンによる検知用開口部周部の密閉がより確実なものとなり、検知用開口部からの蒸気の漏出がより一層確実に防止される。
【0014】
本発明に係る湯沸し器に固定される温度検知具の組み付け方法の特徴構成は、前記温度検知具を保持する状態で前記保持部材の一端側を螺着具により前記容器本体に固着し、その後、前記把手を前記容器本体に固着することによって、その把手に設けられた前記押し付け部材により前記保持部材の他端側を前記容器本体に押し付けて固定する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、温度検知具を保持する状態で保持部材の一端側を螺着具により容器本体に固着し、その後、把手を容器本体に固着するので、換言すると、把手を固着する前に螺着具による保持部材の固着作業を行うので、螺着具による保持部材の固着作業を把手に邪魔されることなく容易に行うことができる。
そして、その後、把手を容器本体に固着することにより、把手に設けられた押し付け部材が保持部材の他端側を容器本体に押し付けて、保持部材を容器本体に固定することになるので、温度検知具の組み付け作業を容易、確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電気ケトルの外観を示す斜視図
【図2】ケトル本体が電源プレートから持ち上げられた状態での電気ケトルの斜視図
【図3】蓋体が開けられた状態での電気ケトルの斜視図
【図4】電気ケトルの縦断側面図
【図5】蓋体が閉じられた状態での温度検知具の固定構造部分を示す縦断側面図
【図6】蓋体が開けられた状態での温度検知具の固定構造部分を示す縦断側面図
【図7】温度検知具の組み付け固定手順を示す要部の斜視図
【図8】温度検知具の組み付け固定手順を示す要部の斜視図
【図9】温度検知具の組み付け固定手順を示す要部の斜視図
【図10】温度検知具の組み付け固定手順を示す要部の斜視図
【図11】温度検知具の固定完了状態を示す要部の一部切欠き平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による湯沸し器及び湯沸し器に固定される温度検知具の組み付け方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
湯沸し器の一例である電気ケトルは、図1〜図4に示すように、電源プレートPとその電源プレートPに載置自在なケトル本体Kとを備えている。
ケトル本体Kの内部には、湯水を貯留する貯留部1が設けられ、ケトル本体Kの外周部には、ケトル本体Kを持ち上げるための把手2が設けられ、ケトル本体Kの外周部の上部側には、貯留部1内の湯水を注ぐ注ぎ口3が設けられていて、把手2と注ぎ口3が、ケトル本体Kの上部の中心に対して互いに反対側に振り分けて設けられている。
ケトル本体Kは、内部に貯留部1を有して上方が開口した概ね有底円筒状の容器本体100と、その容器本体100の上方開口部を開閉する概ね円盤状の蓋体200とを備えて構成され、容器本体100の外周部に把手2が固着されている。
【0018】
ケトル本体Kには、貯留部1内の湯水を加熱する電気ヒータ4が備えられ、外部から供給される電力を電気ヒータ4に供給する受電機構5が底面の中央部に位置する状態で備えられ、操作盤6が側周面の下部に位置する状態で備えられている。その操作盤6には、図示は省略するが、電気ヒータ4への通電の開始及び停止を指令する運転スイッチ等が備えられている。
それに対し、電源プレートPには、電源コード(図示省略)を通して供給される電力を外部に出力する給電機構7が上面の中央部に位置する状態で備えられ、ケトル本体Kを電源プレートPに載置した給電姿勢において、受電機構5と給電機構7とが導通状態に接続されて、給電機構7から受電機構5を介して電気ヒータ4に給電されて、貯留部1内の湯水が加熱されるように構成される。そして、把手2を把持してケトル本体Kを持ち上げて傾けることにより、貯留部1内の湯水を注ぎ口3から注ぐことになる。
【0019】
ケトル本体Kの蓋体200には、蓋体200を容器本体100の開口部を閉じる閉じ位置に保持する一対のフック部材8、注ぎ口3からの貯留部1内の湯水の流出を許容するか否かに切り換えるための弁操作具9、及び、貯留部1で発生する蒸気を放出するための蒸気口10等が設けられている。
容器本体100は、有底円筒状の外郭部材11の上方開口部に周縁部材12を嵌め込むと共に、その周縁部材12に有底円筒状の貯留部1を吊り下げ支持して構成され、更に、中空状の把手2が周縁部材12と外郭部材11とに跨って固着されている。
周縁部材12の上方周縁、換言すると、容器本体100における上方開口部の周縁は、図5及び図6に拡大して示すように、上方ほど外側に延出する傾斜周縁部12aに構成され、その傾斜周縁部12aに近接して把手2の上端部が固着されると共に、蒸気通路20、21(詳細は後述する)を通して貯留部1から導かれる蒸気の温度を検知する温度検知具13が、その傾斜周縁部12aに固定されている。
そして、図示は省略するが、外郭部材11の底部と貯留部1の底部との間の空間に制御部が設けられ、その制御部が、操作盤6からの指令や温度検知具13の検出情報に基づいて電気ヒータ4への通電の制御等を行うように構成されている。
【0020】
蓋体200は、概ね、蓋本体部材14と、その蓋本体部材14の上方の蓋カバー15と、蓋本体部材14の下方の内蓋板16と、その内蓋板16の外周部のシール材17とを一体的に組み付けて構成されている。
容器本体100の周縁部材12には、注ぎ口3の下方部分を構成する溝状部12mが形成され(図3参照)、蓋体200の蓋本体部材14には、注ぎ口3の上方部分を構成する庇部14eが設けられている。
そして、周縁部材12の溝状部12mの上方を蓋本体部材14の庇部14eが覆う状態となる蓋体装着時の相対位置関係で、蓋体200を容器本体100の上方開口部に装着すると、周縁部材12の溝状部12mと蓋本体部材14の庇部14eにより、筒状の注ぎ口3が形成されることになる。
【0021】
蓋体200を構成する内蓋板16には、図4に示すように、複数の孔16hが形成され、蓋体200における蓋本体部材14と内蓋板16との間には、内蓋板16に形成された複数の孔16hを通して容器本体100の貯留部1に連通する容器連通空間18が形成されている。
そして、蓋本体部材14には、図4において注ぎ口3内に破線矢印にて示すように、基端が容器連通空間18に臨んで注ぎ口3内に延びる注ぎ用通路19、及び、基端が容器連通空間18に臨んで先端が蓋体200の上面部にまで延びる蒸気放出用の蒸気通路20が形成され、その蒸気放出用の蒸気通路20の先端開口部が蒸気口10として機能する。
その蓋本体部材14には、図4において蒸気通路20内等に破線矢印にて示すように、蒸気放出用の蒸気通路20から分岐する温度検知用の蒸気通路21が形成され、図5に示すように、その温度検知用の蒸気通路21は、その先端が、蓋体200が容器本体100に装着された状態で、蓋本体部材14の側周部において、傾斜周縁部12aに形成された検知用開口部12bに連通するように構成されて、その検知用開口部12bに臨むように温度検知具13が設けられている。
【0022】
この温度検知具13の固定構造及び組み付け方法について詳述すると、図5、図6、及び、図11に固定状態を示し、図7〜図10に組み付け固定手順を示すように、温度検知具13は、有底円筒状のフランジ付きのキャップ22が被せられた状態で、保持部材23の中央に形成された温度検知具保持用の円形孔23aに内嵌されて保持部材23により保持され、その保持部材23の一端側には、固着用孔23bが形成されている。つまり、保持部材23は、図8〜図11にも示すように、円形孔23aを有する円形の板部分23c、固着用孔23bを有するほぼ矩形の板部分23d、及び、両板部分23c、23dを連結する連結板部分23eを備えて一体的に構成され、その円形孔23aに温度検知具13が内嵌保持されるように構成されている。
他方、容器本体100の周縁部材12の外径側には、雌ねじ部を有する円柱状の雌ねじ部材12cが一体的に突設されると共に、保持部材23の固定位置を確定するための複数の位置決め用突起12dが一体的に突設されている。
【0023】
そして、保持部材23の一端側に形成された固着用孔23bに単一の螺着具としてのボルト(又はビス)24を挿通して雌ねじ部材12cの雌ねじ部に螺合することにより、容器本体100の周縁部材12における傾斜周縁部12aとキャップ22のフランジとの間に外側パッキン25を挟み込んだ状態で、保持部材23の一端側が周縁部材12の傾斜周縁部12aに固着されている。
その保持部材23の他端側、つまり、温度検知具13を挟んでボルト24と反対側の端部は、把手2の上部に一体的に設けられた断面L字状の押し付け部材2a(図10、図11参照)により容器本体100の傾斜周縁部12aに押し付けられ、その結果、温度検知具13は、保持部材23を介して検知用開口部12bに臨む状態で固定されている。
【0024】
この温度検知具13の組み付け固定に際しては、図7に示すように、キャップ22に外側パッキン25を外嵌した後、その外側パッキン25を外嵌したキャップ22を周縁部材12の傾斜周縁部12aに形成の検知用開口部12bに挿入するか、又は、検知用開口部12bの周りに外側パッキン25を配置した後、その外側パッキン25の外側から検知用開口部12bにキャップ22を挿入する。そして、図8に示すように、キャップ22内に温度検知具13を挿入した後、保持部材23の円形孔23aを温度検知具13に外嵌するか、又は、保持部材23の円形孔23a内に温度検知具13を挿入した後、その温度検知具13をキャップ22内に挿入する。いずれにせよ、保持部材23により温度検知具13を保持する状態にするのであり、その保持部材23は、複数の位置決め用突起12dによって傾斜周縁部12aに対する固定位置が確定される。
その後、図9に示すように、保持部材23の固着用孔23bにボルト24を挿通して雌ねじ部材12cの雌ねじ部に螺合し、その螺合操作の際、位置決め用突起12dによって保持部材23の共回りが防止され、温度検知具13は所定の位置に確実に固定される。そして、最後に、図10に示すように、把手2を容器本体100に固着するのであり、その把手2の固着によって、把手2に設けられた押し付け部材2aが、保持部材23の他端側を容器本体100に押し付けて固定する。
【0025】
そして、蓋体200の蓋本体部材14には、図5及び図6に示すように、傾斜周縁部12aに形成された検知用開口12bの周部を密閉する蓋側パッキン26が設けられ、蓋体200を閉じた状態で、検知用開口部12bの周部が、上述した外側パッキン25に加えて、蓋側パッキン26により内側からも密閉されるように構成されている。
その蓋側パッキン26は、蓋体200の蓋本体部材14に固定される本体部分26aと検知用開口部12bの周部に密接する中空のパッキン部26bを備えている。そのパッキン部26bの容器本体100側の面は、蓋体200を閉じた状態で周縁部材12の傾斜周縁部12aに沿う傾斜密閉面26cを備えている。
そして、蓋側パッキン26の本体部分26aとパッキン部26bには、貫通孔26dが形成されていて、蓋体200を閉じた状態で、その貫通孔26dが、温度検知用の蒸気通路21と傾斜周縁部12aの検知用開口部12bとを互いに連通させて、貯留部1からの蒸気を蒸気放出用と温度検知用の蒸気通路20、21を介して温度検知具13の温度検知部に導くように構成されている。
したがって、電気ヒータ4による加熱で貯留部1内の水が沸騰して蒸気が発生すると、その蒸気が蒸気放出用の蒸気通路20を通って蒸気口10から放出されると共に、温度検知用の蒸気通路21から蓋側パッキン26の貫通孔26dを通って検知用開口部12bに導かれて温度検知具13により温度検知される。そして、温度検知具13が蒸気の温度を検知すると、制御部が電気ヒータ4への通電を遮断するのである。
【0026】
その他、詳細な説明は省略するが、図4に示すように、蓋体200には、電気ケトルが転倒すると、蒸気放出用の蒸気通路20を閉じるように移動して、貯留部1内の湯水が蒸気口10等から漏出するのを防止する2個の錘体27が設けられている。
また、弁体28の上下動により注ぎ口3からの貯留部1内の湯水の流出を許容する開き状態と阻止する閉じ状態とに切り換え自在な弁機構Vも設けられ、弁操作具9を押し下げると、図外の連動機構を介して弁機構Vが開き、押し下げを解除すると、弁操作具9が弾性復帰して、弁機構Vが閉じるように構成されている。
このような構成からなる蓋体200は、容器本体100の上方開口部に載置して下方に押し下げることにより、一対のフック部材8が、容器本体100に設けられた凹部29(図3参照)に弾性的に嵌まり込んで、蓋体200が閉じ位置で容器本体100に保持され、一対のフック部材8を両側から挟む状態で把持して互いに近接させることにより、フック部材8が凹部29から外れて、そのまま蓋体200を持ち上げることで、容器本体100から取り外すことができるように構成されている。
【0027】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態では、容器本体100の周縁部材12に保持部材23の固定位置を確定するための位置決め用突起12dを突設した例を示したが、この位置決め用突起12dは必ずしも必要なものではなく、位置決め用突起12dをなくして実施することもでき、また、位置決め用突起12dを設ける場合、その位置決め用突起12dの個数については任意に設定することができる。
【0028】
(B)上記実施形態では、容器本体100における上方開口部の周縁を傾斜周縁部12aに構成した例を示したが、上方開口部の周縁を傾斜周縁部12aとせずに、例えば、鉛直方向に沿う周縁部にして実施することもでき、また、蓋側パッキン26についても、必ずしも傾斜密閉面26cを設ける必要はない。
そして、本発明は、先の実施形態で示した電気ケトルに限らず、例えば、電気ポットにおいても適用可能である。
【0029】
(C)上記実施形態では、押し付け部材2aを断面L字状の部材で構成した例を示したが、保持部材23の他端側、つまり、温度検知具13を挟んでボルト24と反対側の端部を容器本体100側へ押し付ける機能を有していればよく、したがって、押し付け部材2aの形状や構成については種々の改変が可能である。また、温度検知具13と保持部材23を別体に構成した例を示したが、温度検知具13と保持部材23を一体的に構成して実施することもできる。
更に、保持部材23の一端側を単一のボルト24により容器本体100に固着した例を示したが、保持部材23の一端側を複数本のボルト24により容器本体100に固着して実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上説明したように、温度検知具を容器本体に固着するためのスペースを極力小さくし、しかも、温度検知具を容器本体に対して確実に固着することのできる湯沸し器及びその温度検知具の組み付け方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 貯留部
2 把手
2a 押し付け部材
12a 傾斜周縁部
12b 検知用開口部
12d 位置決め用突起
13 温度検知具
20、21 蒸気通路
23 保持部材
24 ボルト(螺着具)
26 蓋側パッキン(パッキン)
26c 傾斜密閉面
100 容器本体
200 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、内部に貯留部を有する容器本体と、その容器本体の上方開口部を開閉する蓋体と、前記貯留部の蒸気を外部に放出するために前記蓋体の内部に設けられる蒸気通路と、その蒸気通路からの蒸気の温度を検知するために前記容器本体に固定される温度検知具と、前記容器本体に固着される把手とを備えている湯沸し器であって、
前記温度検知具を保持する保持部材の一端側が、螺着具により前記容器本体に固着されるとともに、前記温度検知具を挟んで前記螺着具と反対側において、前記保持部材の他端側が、前記把手に設けられた押し付け部材により前記容器本体に押し付けられて固定されている湯沸し器。
【請求項2】
前記容器本体に対して前記保持部材の固定位置を確定するための位置決め用突起が、前記容器本体から突設されている請求項1に記載の湯沸し器。
【請求項3】
前記容器本体における上方開口部の周縁が、上方ほど外側に延出する傾斜周縁部に構成され、前記蓋体を閉じた状態で前記蒸気通路に連通する検知用開口部が、前記傾斜周縁部に形成されて、その検知用開口部に前記温度検知具が臨むように構成され、前記蓋体を閉じた状態で前記検知用開口部の周部を密閉するパッキンが、前記蓋体に設けられている請求項1又は2に記載の湯沸し器。
【請求項4】
前記パッキンの前記容器本体側の面が、前記蓋体を閉じた状態で前記傾斜周縁部に沿う傾斜密閉面を備えている請求項3に記載の湯沸し器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の湯沸し器に固定される温度検知具の組み付け方法であって、
前記温度検知具を保持する状態で前記保持部材の一端側を螺着具により前記容器本体に固着し、その後、前記把手を前記容器本体に固着することによって、その把手に設けられた前記押し付け部材により前記保持部材の他端側を前記容器本体に押し付けて固定する温度検知具の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−239969(P2011−239969A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114890(P2010−114890)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】