説明

湿度センサおよび湿度測定装置

【課題】製造コストを抑制しつつ、感湿素子との間に静電気による放電が発生するのを防止することのできる湿度センサおよび湿度測定装置を提供する。
【解決手段】測定環境の雰囲気の湿度を検出する感湿素子と、感湿素子を囲み、通気性と導電性とを有する網42と、感湿素子にそれぞれ接続され、一方が接地された一対の電極と、一方の電極と接続し、導電性を有する接続部材29と、を備え、接続部材29の接触部29aは網42と接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、湿度センサおよび湿度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の湿度測定装置として、感湿素子を加熱することにより、測定環境の雰囲気の影響によって劣化した感湿素子の性能を回復させ、長時間安定して湿度を測定できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−172776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、感湿素子との間に静電気による放電が発生すると、感湿素子が破壊されてしまうおそれがあるため、感湿素子には静電気による放電を防止するための静電気対策が必要であった。
【0005】
この問題を解決するために、従来の湿度センサでは、感湿素子を収容するケース(筐体)を金属製にして、当該ケース(筐体)を接地(アースまたはグランドに接続)していた。しかしながら、この場合、ケース全体を金属製にする必要があるため、製造コストが増加するととともに、湿度センサの重量も増加してしまうという不利益があった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、製造コストを抑制しつつ、感湿素子との間に静電気による放電が発生するのを防止することのできる湿度センサおよび湿度測定装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る湿度センサは、測定環境の雰囲気の湿度を検出する感湿素子と、感湿素子を囲み、通気性と導電性とを有する包囲部材と、感湿素子にそれぞれ接続され、一方が接地された一対の電極と、前述の一方の電極と接続し、導電性を有する接続部材と、を備え、接続部材の一部は包囲部材と接触している。
【0008】
かかる構成によれば、接地された一方の電極と接続し、導電性を有する接続部材の一部が、導電性を有する包囲部材と接触している。これにより、包囲部材が接続部材を介して接地(アースまたはグランドに接続)される。ここで、従来の湿度センサでは、センサキャップ部およびセンサボディ部の全体を金属などの導電性の材料で構成しており、センサボディ部を電位が0[V]の導線などに接続し、感湿素子を収容するセンサキャップ部をセンサボディ部に接続することにより、センサキャップ部を接地(アースまたはグランドに接続)するようにしていた。これに対し、本発明に係る湿度センサは、電位が0[V]の電極と接続し、一部が包囲部材に接触する導電性の接続部材を備えることにより、感湿素子を囲む包囲部材を接地(アースまたはグランドに接続)することができるので、他の部品をプラスチック(合成樹脂)などの軽量、かつ、安価な非導電性の材料で構成することが可能となる。
【0009】
好ましくは、包囲部材は、複数の孔が形成された金属製の部材である。
【0010】
かかる構成によれば、包囲部材は複数の孔が形成された金属製の部材である。これにより、通気性と導電性とを併せ持つ包囲部材を容易に実現することができる。
【0011】
好ましくは、少なくとも接続部材の前述の一部は弾性体である。
【0012】
かかる構成によれば、少なくとも接続部材の前述の一部が弾性体である。これにより、接続部材の他の部分が前述の電極に接続され、固定されている場合でも、接続部材の一部がその弾性力(弾力)によって容易に包囲部材に接触することができる。
【0013】
好ましくは、少なくとも接続部材の前述の一部は金属製のばねである。
【0014】
かかる構成によれば、少なくとも接続部材の前述の一部が金属製のばねである。これにより、弾力性(弾性)と導電性とを併せ持つ接続部材を容易に実現することができる。
【0015】
好ましくは、包囲部材の内側に、感湿素子を環状に囲む複数の柱状部材をさらに備える。
【0016】
かかる構成によれば、包囲部材の内側に設けられた複数の柱状部材が、感湿素子を環状に囲む。これにより、周囲部材が取り外されたときに、複数の柱状部材によって感湿素子が保護される。これにより、利用者(ユーザ)の指などが感湿素子に接触するのを防止することができ、感湿素子との間に人体からの静電気による放電が発生するのを防止することができる。人体からの静電気による放電を防止することができる。
【0017】
本発明に係る湿度測定装置は、前述の湿度センサを備える。
【0018】
かかる構成によれば、湿度測定装置が本発明に係る湿度センサを備える。これにより、従来の湿度測定装置と比較して製造コストおよび重量を抑制しつつ、感湿素子との間に静電気による放電が発生するのを防止することができるとともに、感湿素子における放射ノイズおよび伝導ノイズの影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る湿度センサによれば、電位が0[V]の電極と接続し、一部が包囲部材に接触する導電性の接続部材を備えることにより、感湿素子を囲む包囲部材を接地(アースまたはグランドに接続)することができるので、他の部品をプラスチック(合成樹脂)などの軽量、かつ、安価な非導電性の材料で構成することが可能となる。これにより、従来の湿度センサと比較して製造コストおよび重量を抑制しつつ、感湿素子との間に静電気による放電が発生するのを防止することができる。また、接地(アースまたはグランドに接続)された包囲部材が感湿素子を囲んでいるので、感湿素子において放射ノイズおよび伝導ノイズの影響を低減することができる。
【0020】
また、本発明に係る湿度測定装置によれば、従来の湿度測定装置と比較して製造コストおよび重量を抑制しつつ、感湿素子との間に静電気による放電が発生するのを防止することができるとともに、感湿素子における放射ノイズおよび伝導ノイズの影響を低減することができる。これにより、安価、かつ、軽量で、静電気による故障および検出信号のノイズが少ない信頼性の高い湿度測定装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る湿度センサの構成を説明する斜視図である。
【図2】図1に示したセンサヘッド部の脱着の様子を説明する斜視図である。
【図3】図2に示したセンサヘッド部の正面図である。
【図4】図2に示したセンサヘッド部の右側側面図である。
【図5】図2に示したセンサヘッド部の背面である。
【図6】図2に示したセンサヘッド部20の底面図である。
【図7】図2に示したセンサヘッド部20の後方斜視図である。
【図8】図7に示したIV−IV線矢視方向断面図である。
【図9】図1に示したセンサキャップ部の構成を説明する斜視図である。
【図10】図9に示した網の装着の様子を説明する右側側面図である。
【図11】図9に示した網の装着の様子を説明する右側側面図である。
【図12】図9に示した網42の他の例を示す側面図である。
【図13】図9に示した網42の他の例を示す側面図である。
【図14】図9に示した網42の他の例を示す側面図である。
【図15】図9に示した網42の他の例を示す側面図である。
【図16】図7および図8に示した接続部材の他の例を示す斜視図である。
【図17】図7および図8に示した接続部材の他の例を示す斜視図である。
【図18】図7および図8に示した接続部材の他の例を示す斜視図である。
【図19】図7および図8に示した接続部材の他の例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る湿度測定装置を説明する正面図である。
【図21】図20に示したII線矢視方向上面図である。
【図22】図20に示したIII線矢視方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0023】
<湿度センサ>
図1乃至図19は、本発明に係る湿度センサの一実施形態を示すためのものである。図1は、本発明に係る湿度センサ10の構成を説明する斜視図である。図1に示すように、湿度センサ10は、センサヘッド部20と、センサボディ部30と、センサキャップ部40と、を備える。センサキャップ部40は、センサボディ部30の上部に形成されたコネクタ部31に脱着自在に装着され、センサキャップ部40をセンサボディ部30に装着すると、センサヘッド部20はセンサキャップ部40の内部に収容される。
【0024】
図2は、図1に示したセンサヘッド部20の脱着の様子を説明する斜視図である。図2に示すように、センサヘッド部20の下部の台座部21は、センサボディ部30のコネクタ部31に嵌合可能に形成されており、センサヘッド部20はセンサボディ部30に脱着自在に装着される。
【0025】
図3は図2に示したセンサヘッド部20の正面図であり、図4は図2に示したセンサヘッド部20の右側側面図であり、図5は図2に示したセンサヘッド部20の背面図であり、図6は図2に示したセンサヘッド部20の底面図であり、図7は図2に示したセンサヘッド部20の後方斜視図であり、図8は図7に示したIV−IV線矢視方向断面図である。図1乃至図8に示すように、台座部21の上面には、測定環境の雰囲気の相対湿度を検出する感湿素子22と、感湿素子22を加熱するヒータ23と、が設けられている。
【0026】
感湿素子22は、例えば湿度に応じて静電容量が変化する容量式(容量変化型)の感湿素子である。感湿素子22は、感湿層を間に挟み込んだ表面電極層と裏面電極層とを備えている。表面電極層および裏面電極層のそれぞれには、図5に示すように、一対のリードピン24a,24bが接続されている。一対のリードピン24a,24bは、感湿素子22に所定の電圧を印加している。
【0027】
なお、感湿素子22は、容量式(容量変化型)の感湿素子に限定されず、湿度に応じて電気抵抗が変化する抵抗式(抵抗変化型)の感湿素子であってもよく、その方式を問わない。また、感湿層の材料は、例えば高分子化合物やセラミックなどであってよく、その材料を問わない。
【0028】
ヒータ23は、感湿素子22の一方の面(図1および図2において手前の面)に貼り付けられたヒータ取付部23aの上に、固着されている。図3に示すように、ヒータ23には一対のリードピン25a,25bが接続されている。また、ヒータ23は、測定環境の雰囲気の温度を検出する温度センサを兼ねている。すなわち、ヒータ23は、例えば測温抵抗体であり、感湿素子22の加熱を行っていないときは、雰囲気の温度に応じた信号(温度検出信号)を出力する温度センサとして機能する。
【0029】
なお、ヒータ23が温度センサを兼ねる場合に限定されず、センサヘッド部20は、ヒータと温度センサとをそれぞれ備えるように構成することが可能である。
【0030】
図2および図8に示すように、台座部21の上面には、一対のリードピン24a,24bおよび一対のリードピン25a,25bをそれぞれ挿入するための4つの挿入孔26が形成されている。挿入孔26に挿入された一対のリードピン24a,24bおよび一対のリードピン25a,25bは、図6に示すように、台座部11を貫通して底面から突出している。
【0031】
図2、図3、および図6に示すように、台座部21の外周には、底面側を切り欠いた位置決めガイド部21aが形成されている。また、図2に示すように、コネクタ部31の外周には、位置決めガイド部31aが突設されている。センサヘッド部20の台座部21をセンサボディ部30のコネクタ部31に嵌合する際に、コネクタ部31の位置決めガイド部31aが台座部21の位置決めガイド21aを案内する(導く)。
【0032】
本実施形態では、台座部21の位置決めガイド21aを切欠形状に成形し、コネクタ部31の位置決めガイド部31aを凸形状に成形したが、これに限定されない。逆に、台座部21の位置決めガイド21aを凸形状に成形し、コネクタ部31の位置決めガイド部31aを切欠形状に成形してもよい。
【0033】
図2に示すように、コネクタ部31の上面には、図6に示す一対のリードピン24a,24bおよび一対のリードピン25a,25bをそれぞれ挿入するための4つの挿入孔32が形成されている。挿入孔32のそれぞれの内部には、センサボディ部30の底面側に引き出されたケーブルC1に接続する導線(図示省略)が設けられている。センサヘッド部20の台座部21をセンサボディ部30のコネクタ部31に嵌合すると、台座部11の底面から突出している一対のリードピン24a,24bおよび一対のリードピン25a,25bのそれぞれは、挿入孔32に挿入され、挿入孔32の内部の導線に接続される。これにより、感湿素子22およびヒータ23とケーブルC1とが電気的に接続される。
【0034】
また、このとき、感湿素子22に接続される一対のリードピン24a,24bのうち、一方のリードピン24aは電位が0[V]の導線に接続されており、他方のリードピン24bは感湿素子22から湿度に応じた電圧の信号(湿度検出信号)が出力される導線に接続されている。これにより、リードピン24aは接地(アースまたはグランドに接続)されて接地電極として機能し、他方のリードピン24bは検出信号が出力される検出電極として機能する。
【0035】
また、図8に示すように、台座部21の底面側のコネクタ部31と嵌合する部分には、O(オー)リング27が固定されている。これにより、台座部21とコネクタ部31とを嵌合したときに、外気が遮断される。
【0036】
図2乃至図7に示すように、台座部21の上面には、さらに、2つの保護柱28aと、2つのガイド柱28bとが突設されている。保護柱28aおよびガイド柱28bは、感湿素子22を環状に囲むように配置されている。また、保護柱28aおよびガイド柱28bは、台座部21と一体に成形されている。さらに、保護柱28aおよびガイド柱28bの上端は、感湿素子22の上端よりも高い位置まで突出しており、感湿素子22の上端を保護している。さらに、図2及び図7に示すように、ガイド柱28bの内側面には、溝状の感湿素子保持部28cが形成されており、感湿素子22を両側端から保持している。なお、保護柱28aおよびガイド柱28bのそれぞれの個数は、2つに限定されず、3つ以上の複数個を設けるようにしてもよい。
【0037】
図4、図5、図7、および図8に示すように、台座部21の上面には、接続部材29が設置されている。接続部材29は、例えば、りん青銅などの金属製の板状のばねである。図8に示すように、接続部材29の一端側(図8において奥側)は、挿入孔26においてはんだなどでリードピン24aと接続されている。また、接続部材29は、挿入孔26からセンサヘッド部20の背面方向(図7および図8において手前方向)に延在しており、台座部21の上面の外周縁で下方に屈曲されている。接続部材29の他端側(図7および図8において手前側)には、当該外周縁よりわずかに突起した接触部29aを有している。
【0038】
図9は、図1に示したセンサキャップ部40の構成を説明する斜視図である。図9に示すように、センサキャップ部40は、ケース(筐体)41と、網42とを備える。ケース41は、底面が開口した円筒形状を有しており、上部外周面には、内部と連通する4つの窓41aが形成されている。網42は、複数の孔が形成された円筒形状を有しており、金属などの導電性を有する材料で構成されている。網42は、図9においてブロック矢印で示すように、ケース41の底面の開口端から挿入されると、図1に示したように、窓41aを形作る枠およびケース41の上面に内接して固定される。これにより、網42に形成された複数の孔およびケース41の窓41aを介して網42の内側と外側と連通するので、センサキャップ部40は外部の気体が内部に流通可能な通気性を有する。
【0039】
図10および図11は、図9に示した網42の装着の様子を説明する右側側面図である。センサキャップ部40がセンサボディ部30のコネクタ部31に装着されると、図10において矢印で示すように、センサキャップ部40の網42は、センサヘッド部20の台座部21に装着される。図11に示すように、センサキャップ部40の網42がセンサヘッド部20の台座部21に装着されたときに、網42は、保護柱28aおよびガイド柱28bの周り、すなわち、感湿素子22の周りを囲むように配置される。また、保護柱28aおよびガイド柱28bは網42の内側に配置される。これにより、網42が取り外されたときに、複数の保護柱28aおよびガイド柱28bによって感湿素子22が保護される。
【0040】
また、このとき、接続部材29の接触部29aは、網42の内側に接触している。これにより、センサキャップ部40の網42が接続部材29を介して接地(アースまたはグランドに接続)される。
【0041】
ここで、従来の湿度センサでは、センサキャップ部およびセンサボディ部の全体を金属などの導電性の材料で構成しており、センサボディ部を電位が0[V]の導線などに接続し、感湿素子を収容するセンサキャップ部をセンサボディ部に接続することにより、センサキャップ部を接地(アースまたはグランドに接続)するようにしていた。これに対し、湿度センサ10A,10Bは、電位が0[V]のリードピン24aと接続し、接触部29aが網42に接触する導電性の接続部材29を備えることにより、感湿素子22を囲む網42を接地(アースまたはグランドに接続)することができるので、センサボディ部30、台座部21、ケース41などの他の部品を、プラスチック(合成樹脂)などの軽量、かつ、安価な非導電性の材料で構成することが可能となる。
【0042】
図12乃至図15は、図9に示した網42の他の例を示す側面図である。センサキャップ部40の網42は、図9に示した場合に限定されない。接続部材29の接触部29aと接触し、通気性を確保できる限り、他の網であってもよい。例えば、図12に示すように、網42Aに形成される複数の孔の大きさは、それぞれ異なっている。また、図13に示すように、網42Bに形成される複数の孔の形状は、矩形であり、他の形状であってもよい。また、図14に示すように、網42Cに形成される複数の孔は、網目状(メッシュ状)に密に(細かく)形成されている。さらに、図15に示すように、網42Dに形成される複数の孔は、接続部材29の接触部29aとの接触を考慮して、接触部29aの接触位置に孔が形成されないように、粗い密度で形成されている。
【0043】
なお、これらの網42,42A,42B,42C,42Dのいずれも、複数の孔が形成された金属製の部材であることが好ましい。これにより、通気性と導電性とを併せ持つ網42,42A,42B,42C,42Dを容易に実現することができる。
【0044】
図16乃至図19は、図7および図8に示した接続部材29の他の例を示す斜視図である。接続部材29は、図4、図5、図7、および図8に示した場合に限定されない。センサヘッド部の網42,42A,42B,42C,42Dと接触し、導電性を確保できる限り、他の接続部材であってもよい。例えば、図16に示すように、接続部材29Aは、横板のばねであり、一端側(図16において手前側)の先端に突出した接触部29aを有している。また、図17に示すように、接続部材29Bは、一端側(図17において手前側)をねじった縦板のばねであり、一端部の側面が接触部29aになっている。また、図18に示すように、接続部材29Cは、一端側(図18において手前側)に棒状のばねを有しており、当該棒状のばねの先端面が接触部29aになっている。さらに、図19に示すように、接続部材29Dは、一端側(図19において手前側)にコイル状(螺旋状)のばねを有しており、当該螺旋状のばねの先端が接触部29aになっている。
【0045】
なお、これらの接続部材29,29A,29B,29C,29Dのいずれも、少なくとも接続部材29の一部が弾性体であることが好ましい。これにより、接続部材29,29A,29B,29C,29Dの他の部分がリードピン24aに接続され、固定されている場合でも、接続部材29の一部がその弾性力(弾力)によって容易に網42に接触することができる。
【0046】
また、これらの接続部材29,29A,29B,29C,29Dのいずれも、少なくとも接続部材29,29A,29B,29C,29Dの一部が金属製のばねであることがさらに好ましい。これにより、弾力性(弾性)と導電性とを併せ持つ接続部材29,29A,29B,29C,29Dを容易に実現することができる。
【0047】
このように、本実施形態における湿度センサ10によれば、接地されたリードピン24aと接続し、導電性を有する接続部材29,29A,29B,29C,29Dの接触部29aが、導電性を有する網42,42A,42B,42C,42Dと接触している。これにより、センサキャップ部40の網42,42A,42B,42C,42Dが接続部材29,29A,29B,29C,29Dを介して接地(アースまたはグランドに接続)される。ここで、従来の湿度センサでは、センサキャップ部およびセンサボディ部の全体を金属などの導電性の材料で構成しており、センサボディ部を電位が0[V]の導線などに接続し、感湿素子を収容するセンサキャップ部をセンサボディ部に接続することにより、センサキャップ部を接地(アースまたはグランドに接続)するようにしていた。これに対し、湿度センサ10は、電位が0[V]のリードピン24aと接続し、接触部29aが網42,42A,42B,42C,42Dに接触する導電性の接続部材29,29A,29B,29C,29Dを備えることにより、感湿素子22を囲む網42,42A,42B,42C,42Dを接地(アースまたはグランドに接続)することができるので、センサボディ部30、台座部21、ケース41などの他の部品を、プラスチック(合成樹脂)などの軽量、かつ、安価な非導電性の材料で構成することが可能となる。これにより、従来の湿度センサと比較して製造コストおよび重量を抑制しつつ、感湿素子22との間に静電気による放電が発生するのを防止することができる。また、接地(アースまたはグランドに接続)された網42が感湿素子22を囲んでいるので、感湿素子22において放射ノイズおよび伝導ノイズの影響を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態における湿度センサ10によれば、センサキャップ部40の網42,42A,42B,42C,42Dは複数の孔が形成された金属製の部材である。これにより、通気性と導電性とを併せ持つ網42,42A,42B,42C,42Dを容易に実現することができる。
【0049】
また、本実施形態における湿度センサ10によれば、少なくとも接続部材29,29A,29B,29C,29Dの一部が弾性体である。これにより、接続部材29,29A,29B,29C,29Dの他の部分がリードピン24aに接続され、固定されている場合でも、接続部材29,29A,29B,29C,29Dの一部がその弾性力(弾力)によって容易に網42,42A,42B,42C,42Dに接触することができる。
【0050】
また、本実施形態における湿度センサ10によれば、少なくとも接続部材29,29A,29B,29C,29Dの一部が金属製のばねである。これにより、弾力性(弾性)と導電性とを併せ持つ接続部材29,29A,29B,29C,29Dを容易に実現することができる。
【0051】
また、本実施形態における湿度センサ10によれば、網42,42A,42B,42C,42Dの内側に設けられた複数の保護柱28aおよびガイド柱28bが、感湿素子22を環状に囲む。これにより、網42,42A,42B,42C,42Dが取り外されたときに、複数の保護柱28aおよびガイド柱28bによって感湿素子22が保護される。これにより、利用者(ユーザ)の指などが感湿素子22に接触するのを防止することができ、感湿素子22との間に人体からの静電気による放電が発生するのを防止することができる。
【0052】
<湿度測定装置>
図20乃至図22は、本発明に係る湿度測定装置の一実施形態を示すためのものである。図20は、本発明に係る湿度測定装置100を説明する正面図である。図20に示すように、湿度測定装置100は、第1センサユニット110と、第2センサユニット120と、本体部130と、を備える。湿度測定装置100は測定環境の雰囲気中に設置される。
【0053】
第1センサユニット110は、測定環境の雰囲気における湿度を検出する。第1センサユニット110は、本体部130の一方側(図1において右側)に配置された固定部材F1によって本体部130に固定されている。また、第1センサユニット110は、複数の導線を束ねて被覆(シールド)したケーブルC1によって本体部130に接続されている。
【0054】
第2センサユニット120は、測定環境の雰囲気における湿度を検出する。第2センサユニット120は、本体部130の他方側(図1において左側)に配置された固定部材F2によって本体部130に固定されている。また、第2センサユニット120は、複数の導線を束ねて被覆(シールド)したケーブルC2によって本体部130に接続されている。
【0055】
本体部130は、略直方体形状を呈する筐体(ケース)を有しており、この筐体の上面の略中央には、表示部131と、発光部132と、入力部133と、が設けられている。
【0056】
表示部131は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイであり、測定結果や各種の情報を表示する。発光部132は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの発光体であり、測定結果に基づいて発光する。入力部133は、複数のキー(ボタン)を有し、ユーザ(利用者)が当該キーを操作することよって、各種の情報が入力される。
【0057】
本実施形態では、第1センサユニット110および第2センサユニット120は、固定部材F1,F2によって本体部130に固定される例を示したが、これに限定されない。第1センサユニット110および第2センサユニット120は、ケーブルC1,C2を介して本体部130に接続されていればよく、本体部130と分離した構成を採用することもできる。この場合、湿度測定装置100を測定環境の雰囲気中に設置しなくてもよく、第1センサユニット110および第2センサユニット120のみが測定環境の雰囲気中に配置されていればよい。
【0058】
図21は図20に示したII線矢視方向上面図であり、図22は図20に示したIII線矢視方向側面図である。図21に示すように、第1センサユニット110は、固定部材F1に接続されたケース111と、ケース111の内側に取り付けられた前述の湿度センサ10と、を備える。ケース111は、一方側(図21において右側)が開いたU字形状を有している。また、図22に示すように、ケース111は両端部に開口を有しており、湿度センサ10の一端部(図22において左端部)は、ケース111の開口を介してケーブルC1と接続している。
【0059】
図21に示すように、第2センサユニット110は、固定部材F2に接続されたケース121と、ケース121の内側に取り付けられた前述の湿度センサ10と、を備える。ケース121は、他方側(図2において左側)が開いたU字形状を有している。また、図示は省略するが、図22に示す第1センサユニット110の場合と同様に、ケース121は両端部に開口を有しており、湿度センサ10の一端部は、ケース121の開口を介してケーブルC2と接続している。
【0060】
このように、本実施形態における湿度測定装置100によれば、本発明に係る湿度センサ10を備える。これにより、従来の湿度測定装置と比較して製造コストおよび重量を抑制しつつ、感湿素子22との間に静電気による放電が発生するのを防止することができるとともに、感湿素子22における放射ノイズおよび伝導ノイズの影響を低減することができる。これにより、安価、かつ、軽量で、静電気による故障および検出信号のノイズが少ない信頼性の高い湿度測定装置100を実現することができる。
【0061】
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…湿度センサ
22…感湿素子
24a,24b…リードピン
28a…保護柱
28b…ガイド柱
29,29A,29B,29C,29D…接続部材
29a…接触部
100…湿度測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定環境の雰囲気の湿度を検出する感湿素子と、
前記感湿素子を囲み、通気性と導電性とを有する包囲部材と、
前記感湿素子にそれぞれ接続され、一方が接地された一対の電極と、
前記一方の電極と接続し、導電性を有する接続部材と、を備え、
前記接続部材の一部は前記包囲部材と接触している
ことを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
前記包囲部材は、複数の孔が形成された金属製の部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項3】
少なくとも前記接続部材の前記一部は弾性体である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の湿度センサ。
【請求項4】
少なくとも前記接続部材の前記一部は金属製のばねである
ことを特徴とする請求項3に記載の湿度センサ。
【請求項5】
前記包囲部材の内側に、前記感湿素子を環状に囲む複数の柱状部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の湿度センサ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の湿度センサを備える
ことを特徴とする湿度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−154633(P2012−154633A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11055(P2011−11055)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】