説明

湿度センサ

【課題】 湿度の検出感度が高く、小型化が可能な湿度センサを実現する。
【解決手段】
湿度センサ1は、基板11の基板面11a上に設けられた湿度検出部10と、出力部19と、ヒータ制御部18と、から構成されている。湿度検出部10は、基板11の基板面11a上に、ヒータ12、絶縁膜13、下部電極14、感湿部材15及び上部電極16を順に積層して構成されている。本発明に係る湿度センサ1によれば、湿度検出部10の上部電極16と出力部19とを、基板11上に形成されたバンプ20sを介して電気的に接続することができるので、出力部19を半導体プロセスにより同一基板上に形成することができる。従って、出力部19を別部材として設ける必要がないので、湿度の検出感度が高く、小型化が可能な湿度センサ1を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雰囲気の湿度を検出する湿度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、雰囲気湿度を検出する湿度センサとして、吸湿性を有する高分子材料で形成された感湿部材を備えた容量式湿度センサが知られている。
例えば、いわゆる平行平板型の湿度センサは、基板上に形成された下部電極と、下部電極上に形成され、湿度に応じて静電容量が変化する感湿部材と、感湿部材の上に、雰囲気の水分が透過可能に形成された上部電極とからなる湿度検出部を有している(特許文献1)。感湿部材は、多数の細孔を有しており、細孔内に雰囲気の水分が吸脱着することにより誘電率が変化する。通常、水の誘電率は高分子材料よりも大きいため、感湿部材に水分が吸着すると誘電率が大きくなる。そのため、感湿部材の静電容量を検出することにより、雰囲気の湿度を検出することができる。この構成の湿度センサは、感湿部材の面積を大きくすることができるので、湿度の変化に対して静電容量の変化が大きい、つまり、感度が高いという利点を有している。
【特許文献1】特開平2−140654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような平行平板タイプの湿度センサでは、感湿部材を挟んで基板の厚さ方向の異なる面に電極を形成するため、検出部において検出された静電容量に基づいて湿度を演算処理する処理回路を、半導体プロセスにより同一基板上に形成することが困難である。そのため、処理回路を別部材として設けなければならないので、湿度センサを小型化することが困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、この発明は、湿度の検出感度が高く、小型化が可能な湿度センサを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板上に形成された下部電極と、前記下部電極に対向して設けられ、厚さ方向に水分を透過可能に構成された上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に介在し、湿度に応じて静電容量が変化する感湿部材と、からなる湿度検出部と、前記上部電極及び前記下部電極と電気的に接続されており、前記感湿部材の静電容量を検出し、その検出された静電容量に対応するレベルの信号を出力する出力手段と、を備えた湿度センサにおいて、前記基板上には、前記出力手段と、前記上部電極の下方に設けられ、前記出力手段に電気的に接続されたバンプとが形成されており、前記バンプを介して、前記上部電極が前記出力手段に接続された、という技術的手段を用いる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、湿度検出部の上部電極と出力手段とを、基板上に形成されたバンプを介して電気的に接続することができるので、出力手段を半導体プロセスにより同一基板上に形成することができる。従って、出力手段を別部材として設ける必要がないので、湿度の検出感度が高く、小型化が可能な湿度センサを実現することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の湿度センサにおいて、前記上部電極は、パンチングメタルにより形成されている、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、上部電極は、パンチングメタルにより形成されているため、雰囲気の水分を孔部を通じて感湿部材に到達させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の湿度センサにおいて、前記上部電極は、多孔質セラミックス基板の表面に導電性材料からなる配線パターンを形成してなる、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、上部電極は、多孔質セラミックス基板の表面に導電性材料からなる配線パターンを形成してなるため、多孔質セラミックス基板の表面の全面において、細孔を通じて雰囲気の水分を感湿部材に到達させることができる。これにより、感湿部材表面にデッドスペースをなくすことができるので、湿度センサの検出感度を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の湿度センサにおいて、前記感湿部材は、スクリーン印刷法により形成された、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、感湿部材は、スクリーン印刷法により形成されているため、塗布位置、量などを正確に制御することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の湿度センサにおいて、前記感湿部材は、液状の原料を前記上部電極と前記下部電極との間隙に充填させた後に硬化させることにより形成された、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、感湿部材は、液状の原料を上部電極と下部電極との間隙に充填させた後に硬化させることにより形成されているため、感湿部材を間隙に隙間なく充填することができ、各電極との密着力を向上させることができるので、より確実に感湿部材の静電容量を検出することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の湿度センサにおいて、前記感湿部材は、予めシート状に形成されている、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、感湿部材は、予めシート状に形成されているため、液状の原料を使用した場合のように、硬化させる工程が不要であるので、湿度センサの製造工程を短縮することができる。また、流動性がないため、所定の位置からはみ出すおそれもなく、形成位置、量などを正確に制御することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の湿度センサにおいて、前記下部電極及び前記上部電極の少なくとも一方の電極の、前記感湿部材と接する面に、シランカップリング剤が塗布されている、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、下部電極及び上部電極の少なくとも一方の電極の、感湿部材と接する面に、シランカップリング剤が塗布されているため、各電極との密着力を向上させることができるので、より確実に感湿部材の静電容量を検出することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の湿度センサにおいて、前記感湿部材を加熱するヒータが備えられている、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、感湿部材を加熱する加熱部材が備えられているため、感湿部材に結露した場合などに感湿部材の水分を蒸発させて効率よく除去することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の湿度センサにおいて、前記加熱部材は、前記基板面と前記感湿部材との間に備えられている、という技術的手段を用いる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、加熱部材は、基板面と感湿部材との間に備えられており、感湿部材に近接して設けられているので、効率的に感湿部材を加熱して水分を除去することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、請求項8に記載の湿度センサにおいて、前記加熱部材は、前記感湿部材の中に備えられている、という技術的手段を用いる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、前記加熱部材は、前記感湿部材の中に備えられているため、更に効率的に感湿部材を加熱して水分を除去することができる。
【0025】
請求項11に記載の発明では、請求項8に記載の湿度センサにおいて、前記上部電極及び前記下部電極の少なくとも一方が、前記加熱部材として作用する、という技術的手段を用いる。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、上部電極及び下部電極の少なくとも一方が、加熱部材として作用するため、加熱部材を別途形成する必要がないので、湿度センサの製造工程を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明に係る湿度センサの実施形態について、図を参照して説明する。図1は、湿度センサを基板の基板面上方から見た平面説明図である。図2は、図1をA方向から見た透視説明図である。
なお、図1及び図2では、説明のために一部を拡大して誇張して示している。また、以下の説明において、ある層が他の層の上に存在すると記述される場合には、ある層が他の層の真上に存在する場合と、ある層と他の層との間に第3の層が介在される場合とを示す。
【0028】
(湿度センサの構造)
図1に示すように、湿度センサ1は、基板11の基板面11a上に設けられた湿度検出部10と、出力部19と、ヒータ制御部18と、から構成されている。
図1及び図2に示すように、湿度検出部10は、基板11の基板面11a上に、ヒータ12、絶縁膜13、下部電極14、感湿部材15及び上部電極16を順に積層して構成されている。
下部電極14及び上部電極16は、感湿部材15の静電容量を検出し、その検出された静電容量に対応するレベルの電圧信号を出力するCV変換回路を備えた出力部19と電気的に接続されている。ヒータ12はヒータ制御部18と電気的に接続されている。
【0029】
本実施形態では、基板11として、シリコン表面に絶縁膜が形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板を用いる。ここで、基板11としては、基板面11aが絶縁されている各種基板、例えば、ガラス基板、アルミナなどのセラミックス基板、樹脂基板などを用いることができる。
【0030】
基板面11a上には、ヒータ12が、例えば、PolySi薄膜により形成されている。このヒータ12の上面を覆って、例えば、プラズマCVD法により酸化けい素からなる絶縁膜13が形成されている。
また、基板面11a上には、ヒータ12の外側であって、後述する上部電極16の下面の4角近傍に、4つのパッド11p〜11sが形成されている。ここで、4箇所に形成されている各パッド11p〜11sのうち、パッド11qとパッド11sとは、出力部19と電気的に接続されており、パッド11pとパッド11rとは、基板11上の回路と電気的に絶縁されている。
【0031】
各パッド11p〜11sには、はんだボールからなるバンプ20がそれぞれ形成されている。パッド11pに形成されたバンプ20p及びパッド11qに形成されたバンプ20qは、それぞれ下部電極14と接続されている。パッド11rに形成されたバンプ20r及びパッド11sに形成されたバンプ20sは、バンプ20p及びバンプ20qより高く形成されており、それぞれ上部電極16と接続されている。
【0032】
この絶縁膜13の上面には、下部電極14が、真空蒸着法などによりアルミニウムを付着させ、所定の形状(本実施形態では蛇腹状)にパターニングして薄膜状に形成されている。ここで、下部電極14には、アルミニウム以外にも、銅、金、白金等の導電性を有する材料を用いることができる。下部電極14は、バンプ20qを介して、出力部19と電気的に接続されている。
【0033】
この下部電極14を覆って、湿度に応じて静電容量が変化する感湿部材15が形成されている。感湿部材15は、数ナノオーダーの細孔を多数有しており、厚さ数μmの薄膜状に形成されている。本実施形態では、感湿部材15は、ポリイミド系樹脂をスクリーン印刷法にて塗布後、所定温度で加熱して硬化することにより形成される。感湿部材15としては、数ナノオーダーの細孔を多数有しており、細孔内に雰囲気の水分が吸脱着することにより誘電率が変化する材料を用いることができ、例えば、セルロース、アクリル系樹脂や、メソポーラスシリカ、ゼオライトなどの無機膜を用いることもできる。
【0034】
感湿部材15の上面には、水分を透過可能に構成された上部電極16が、感湿部材15に接触した状態で設けられている。上部電極16は、バンプ20sを介して、出力部19と電気的に接続されている。また、バンプ20r及びバンプ20sにより下部電極14に対して所定の間隔を保持している。
本実施形態では、上部電極16は、板状のコバールに多数の孔部16aが形成されたパンチングメタルを用いる。雰囲気の水分はこの孔部16aを通じて感湿部材15に到達させることができる。ここで、コバールは、基板11の構成材料であるシリコンと熱膨張係数が近いため、バンプ20(20p〜20s)に生じる熱応力を小さくすることができるので、バンプによる接合の信頼性を向上させることができる。
【0035】
上述のように、湿度センサ1は、下部電極14と上部電極16とにより感湿部材15を挟み込んで構成された湿度検出部10が、出力部19及びヒータ制御部18とともに同一の基板11に搭載された構成となっている。
これにより、出力部19などを別部材として設ける必要がないので、湿度センサ1を小型化することができる。また、バンプ20による配線を行うため、配線を簡略化できるとともに、上部電極16を所定の間隔で保持することができる。更に、感湿部材15により、バンプ20を外部環境から遮断して保護することができるとともに、上部電極16と基板11との熱膨張差によりバンプ20に生じる熱応力を緩和することができる。
また、基板11上にヒータ12を設けることができるので、湿度検出部10に結露などによりセンサ特性の変動が生じた場合でも、ヒータ12を発熱させて水分を除去することにより、迅速に元のセンサ特性に戻すことができる。
【0036】
なお、下部電極14と出力部19とを電気的に接続する配線が形成できる場合には、パッド11p、11q及びバンプ20p、20qを形成する必要はない。
【0037】
(湿度の測定原理)
感湿部材15は、数ナノオーダーの細孔を多数有しており、細孔内に雰囲気の水分が吸脱着することにより誘電率が変化する。水の誘電率はポリイミド系樹脂の誘電率よりも大きいため、感湿部材15の細孔内に、雰囲気の湿度に応じて水分が吸着すると、吸着した水分量に応じて誘電率が大きくなる。そのため、下部電極14、上部電極16及びこれら電極間に介在する感湿部材15とにより構成されるコンデンサとして作用する湿度検出部10の静電容量が変化する。
【0038】
この静電容量は、出力部19において検出され、その検出された静電容量に対応する出力値Vを出力する。出力値Vは、下部電極14及び上部電極16間に生じる静電容量に比例して蓄積された電荷を、出力部19に備えられた図示しないスイッチトキャパシタ構成のC−V変換部において電圧に変換して、増幅して容量変化に応じた電圧として出力される。この出力値Vから、センサ特性に基づいて、雰囲気の湿度が検出される。ここで、センサ特性は、湿度センサ1の製造時に、湿度を変化させながら出力電圧を測定し、両者の関係より出力部19において設定されている。
【0039】
(湿度センサの製造工程)
次に、湿度センサ1の製造工程について説明する。
まず、工程1では、基板11を用意し、基板面11a上に、例えば、PolySi薄膜により、ヒータ12を形成し、パッド11p〜11s、出力部19、ヒータ制御部18及び所定の配線を形成する。
次に、工程2では、パッド11p〜11sに、はんだボールからなるバンプ20p〜20sをそれぞれ形成する。ここで、バンプ20として、ワイヤボンダを用いて形成された金製のバンプを用いることもできる。
【0040】
続く工程3では、例えば、プラズマCVD法により酸化けい素からなる絶縁膜13を、基板面11aにヒータ12を覆うように形成する。このとき、バンプ20p〜20sは、絶縁膜13の表面から露出している。
続く工程4では、絶縁膜13の表面に、真空蒸着法などにより所定パターンにてアルミニウムを付着させ、薄膜状の下部電極14を形成する。これにより、下部電極14は、バンプ20p、20qと接続される。ここで、下部電極14は、バンプ20r、20sが露出している位置には形成しない。つまり、下部電極14は、バンプ20r、20sと絶縁されている。
【0041】
続く工程5では、スクリーン印刷法によりポリイミド系樹脂を下部電極14を覆うように塗布後、所定温度で加熱して硬化することにより感湿部材15を形成する。このとき、バンプ20r、20sとは、感湿部材15の表面から露出している。
ここで、感湿部材15と下部電極14との密着力を増大させるために、下部電極14の表面にシランカップリング剤を塗布してもよい。これにより、感湿部材15と下部電極14との接触状態が良好となるため、より確実に感湿部材15の静電容量を検出することができる。
感湿部材15は、スピンコート法、インクジェット法などの方法で形成してもよい。また、感湿部材15を予めシート状に形成し、下部電極14を覆うように配置し、接合してもよい。これにより、液状の原料を使用した場合のように、硬化させる工程が不要であるので、湿度センサ1の製造工程を短縮することができる。また、流動性がないため、所定の位置からはみ出すおそれもなく、形成位置、量などを正確に制御することができる。
続く工程6では、感湿部材15上の所定の位置に上部電極16を配置した後、上部電極16とバンプ20r、20sとを熱圧着し、上部電極16が感湿部材15と接触した状態で、上部電極16とバンプ20r、20sとを接続する。
上述の工程により、本実施形態に係る湿度センサ1が製造される。
【0042】
ここで、感湿部材15は、工程5において形成せずに、工程6において、バンプ20により、下部電極14と上部電極16との間に、所定の間隔の間隙を形成した後に、この間隙内にディスペンサにより液状の原料を充填し、硬化させて形成してもよい。
この構成を用いると、感湿部材15が、下部電極14と上部電極16との間隙に液状で充填されるため、感湿部材15を間隙に隙間なく充填することができ、感湿部材15と上部電極16との密着力を向上させることができるので、より確実に感湿部材15の静電容量を検出することができる。
【0043】
また、バンプ20r及びバンプ20sは、基板11に形成するのではなく、上部電極16の所定の位置に予め形成しておいてもよい。
また、バンプ20r及びバンプ20sは、超音波を印加して上部電極16と圧接することもでき、リフロー処理によりはんだボールの表層を溶融させて上部電極16と接合することもできる。
【0044】
[最良の形態による効果]
(1)本実施形態の湿度センサ1によれば、湿度検出部10の上部電極16と出力部19とを、基板11上に形成されたバンプ20sを介して電気的に接続することができるので、出力部19を半導体プロセスにより同一基板上に形成することができる。従って、出力部19を別部材として設ける必要がないので、湿度の検出感度が高く、小型化が可能な湿度センサ1を実現することができる。
【0045】
(2)上部電極16は、パンチングメタルにより形成されているため、雰囲気の水分を孔部を通じて感湿部材15に到達させることができる。
【0046】
(3)感湿部材15は、スクリーン印刷法により形成されているため、塗布位置、量などを正確に制御することができる。
【0047】
(4)湿度センサ1には、感湿部材15を加熱するヒータ12が基板面11aと感湿部材15との間に備えられており、感湿部材15に近接して設けられているので、効率的に感湿部材15を加熱して水分を除去することができる。
【0048】
(5)下部電極14及び上部電極16の少なくとも一方の電極の、感湿部材15と接する面に、シランカップリング剤が塗布されている場合には、各電極との密着力を向上させることができるので、より確実に感湿部材15の静電容量を検出することができる。
【0049】
〈その他の実施形態〉
(1)上部電極16、または、下部電極14を更に、ヒータ制御部18と接続して、ヒータとして用いる回路構成をしてもよい。この構成を用いると、上部電極16、または下部電極14をヒータとして兼用できるため、ヒータ12を形成する必要がなく、湿度センサ1の製造工程を短縮することができる。
【0050】
(2)ヒータ12を形成する場所は基板面11a上に限定されるものではない。例えば、基板11の下面側に絶縁膜を形成し、この絶縁膜を介して配置してもよい。
また、ヒータ12は、感湿部材15の上面、内部、下面のいずれに形成することもできる。特に、ヒータ12が感湿部材15の中に備えられている構成を用いると、感湿部材15を内部から加熱することができるので、効率的に加熱して水分を除去することができる。
この構成を用いる場合には、感湿部材15に水分を到達可能に構成された、例えば、メッシュ状のヒータを用いることができる。
図3に、ヒータ形状の変更例を示す。図中には、ヒータの形状、形成位置を理解するために、感湿部材15、パッド11p〜11s及びバンプ20p〜20sを並記してある。図3(A)に示すように中央部が開口しており、この開口部を介して感湿部材15に水分を到達可能に構成されているヒータ12を用いることができる。また、図3(B)に示すように、感湿部材15の中央部に感湿部材15より充分小さい、例えば、面積が半分程度に形成されたヒータ12を用いることができる。これらの場合、バンプ20p及びバンプ20rは、ヒータ12の形成位置の高さとなるように形成されており、ヒータ12は、バンプ20p及びバンプ20rに電気的に接続されるとともに、所定の位置に保持される。ヒータ制御部18は、パッド11p及びパッド11rに電気的に接続される。
なお、低湿度領域の測定のみ行うような場合には、結露のおそれがないため、必ずしもヒータを設けなくてもよい。
【0051】
(3)図4に示すように、上部電極16は、アルミナなどの多孔質セラミックス基板30の表面30aに、導電性材料からなる電極パターン31を、例えば金メッキなどを施して、形成してもよい。更に、感湿部材15と接する面の裏面にヒータ12を形成してもよい。この構成を使用すると、多孔質セラミックス基板30の表面30a全面において、細孔を通じて雰囲気の水分を感湿部材15に到達させることができる。これにより、感湿部材15表面にデッドスペースをなくすことができるので、湿度センサ1の検出感度を向上させることができる。
【0052】
[各請求項と実施形態との対応関係]
ヒータ12が請求項1に記載の加熱手段に、出力部19が出力手段にそれぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】湿度センサを基板の基板面上方から見た平面説明図である。
【図2】図1をA方向から見た透視説明図である。
【図3】ヒータの変更例を示す平面説明図である。
【図4】上部電極の変更例を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 湿度センサ
10 湿度検出素子
11 基板
13 ヒータ(加熱手段)
14 下部電極
15 感湿部材
16 上部電極
19 出力部(出力手段)
20(20p〜20s) バンプ
30 多孔質セラミックス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された下部電極と、
前記下部電極に対向して設けられ、厚さ方向に水分を透過可能に構成された上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極との間に介在し、湿度に応じて静電容量が変化する感湿部材と、からなる湿度検出部と、
前記上部電極及び前記下部電極と電気的に接続されており、前記感湿部材の静電容量を検出し、その検出された静電容量に対応するレベルの信号を出力する出力手段と、を備えた湿度センサにおいて、
前記基板上には、前記出力手段と、前記上部電極の下方に設けられ、前記出力手段に電気的に接続されたバンプとが形成されており、
前記バンプを介して、前記上部電極が前記出力手段に接続されたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
前記上部電極は、パンチングメタルにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項3】
前記上部電極は、多孔質セラミックス基板の表面に導電性材料からなる配線パターンを形成してなることを特徴とする請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項4】
前記感湿部材は、スクリーン印刷法により形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の湿度センサ。
【請求項5】
前記感湿部材は、液状の原料を前記上部電極と前記下部電極との間隙に充填させた後に硬化させることにより形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の湿度センサ。
【請求項6】
前記感湿部材は、予めシート状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の湿度センサ。
【請求項7】
前記下部電極及び前記上部電極の少なくとも一方の電極の、前記感湿部材と接する面に、シランカップリング剤が塗布されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の湿度センサ。
【請求項8】
前記感湿部材を加熱するヒータが備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の湿度センサ。
【請求項9】
前記ヒータは、前記基板面と前記感湿部材との間に備えられていることを特徴とする請求項8に記載の湿度センサ。
【請求項10】
前記ヒータは、前記感湿部材の中に備えられていることを特徴とする請求項8に記載の湿度センサ。
【請求項11】
前記上部電極及び前記下部電極の少なくとも一方が、前記ヒータとして作用することを特徴とする請求項8に記載の湿度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−39508(P2008−39508A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212127(P2006−212127)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】