説明

湿度検出センサ

【課題】保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを提供すること。
【解決手段】本発明の湿度検出センサは、基板10と、前記基板10上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜22を一対の電極21,23で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜22が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部20と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極23上に形成された保護層24と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜22と前記保護層24との間の少なくとも一部に前記一方の電極23が介在していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子感湿膜を誘電体とした湿度検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
湿度変化測定に用いられる湿度検出センサには、吸収又は放出した水分量に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を誘電体とした静電容量型の湿度検出センサがある。容量型湿度検出センサは、湿度に応じて静電容量が変化するセンサ部と、湿度によらず一定の静電容量を保持する基準部とを備えており、センサ部と基準部との間の容量差分を電圧に変換して出力する。センサ部及び基準部は、高分子感湿膜を一対の電極で挟持した積層構造を有する。このような湿度検出センサとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−138074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造において、電極が露出することを防止するために通常パッシベーション膜(保護層)が形成されている。このパッシベーション膜としては、窒化シリコン膜(SiNx)などが用いられている。しかしながら、このような保護層を備えた湿度検出センサは、センサ部のTCC(Temperature Coefficient of Capacitance)が大きい。このため、高温環境下などを含め、温度変化がある場合での使用を想定した場合において、優れた温度特性を持つ湿度検出センサが望まれている。ここで、TCCとは、温度変化に対する容量の割合を示す係数({ΔC/(ΔT・C)}×10ppm)である。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の湿度検出センサは、基板と、前記基板上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極上に形成された保護層と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜と前記保護層との間の少なくとも一部に前記一方の電極が介在していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、感湿領域以外の領域において、高分子感湿膜と保護層との間の少なくとも一部に一方の電極が介在しているので、高分子感湿膜と前記保護層とが直接接触する領域の面積が小さくなり、温度特性に優れる。これにより、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを実現することができる。
【0008】
本発明の湿度検出センサにおいては、基板と、前記基板上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極上に形成された保護層と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜と前記保護層とが直接接触する領域の面積が、温度変化による出力変化が起こらない大きさであることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、感湿領域以外の領域において、高分子感湿膜と前記保護層とが直接接触する領域の面積が、温度変化による出力変化が起こらない大きさであるので、高分子感湿膜と前記保護層とが直接接触する領域の面積が小さくなり、温度特性に優れる。これにより、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを実現することができる。
【0010】
本発明の湿度検出センサにおいては、前記基板上に設けられ、前記高分子感湿膜を一対の電極で挟持してなり、湿度にかかわらず静電容量が変化しない基準部を有し、前記センサ部と前記基準部との間の容量差分を電圧に変換して出力することが好ましい。
【0011】
本発明の湿度検出センサにおいては、前記感湿領域は、他方の電極よりも広い領域にわたって設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明の湿度検出センサにおいては、前記他方の電極は前記センサ部と前記基準部とで共通に設けられており、前記高分子感湿膜及び前記一方の電極は前記センサ部と前記基準部とで個別に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の湿度検出センサによれば、基板と、前記基板上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極上に形成された保護層と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜と前記保護層との間の接触部分を少なくするので、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る湿度検出センサのセンサ部及び基準部を示す平面図である。
【図3】(a)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサのセンサ部を示す断面図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの基準部を示す断面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサのセンサ部の他の例を示す断面図であり、(c)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの基準部の他の例を示す断面図である。
【図5】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの製造方法を説明するための断面図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの温度特性を示す特性図であり、(b)は、従来の湿度検出センサの温度特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの構成を示すブロック図である。図1に示す湿度検出センサは、吸収又は放出した水分量に応じて誘電率が変化する高分子感湿材料を用いた高分子膜湿度センサである。この湿度検出センサは、基板10上に、湿度によって静電容量C20が変化するセンサ部20と、湿度によらず一定の静電容量C30を保持する基準部30と、このセンサ部20と基準部30とに電気的に接続し、該センサ部20と基準部30との間の容量差分ΔC(=C20−C30)を電圧に変換して外部回路に出力する回路部40とを有している。
【0016】
回路部40には、外部回路との接続用パッド40aが設けられている。パッド40aを介して湿度検出センサに接続された外部回路において、湿度検出センサの出力(容量差分ΔCに対応する電圧)から湿度変化(相対湿度)を検出する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサのセンサ部及び基準部を示す平面図である。また、図3(a)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサのセンサ部を示す断面図であり、図3(b)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの基準部を示す断面図である。
【0018】
図2において、右側がセンサ部20であり、左側が基準部30である。センサ部20及び基準部30は、下部電極、高分子感湿膜及び上部電極が積層された構造を有する。すなわち、センサ部20及び基準部30は、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極(下部電極及び上部電極)で挟持してなる平行平板構造を有する。
【0019】
湿度により静電容量が変化するセンサ部20においては、図3(a)に示すように、基板10上に下部電極21が形成されている。下部電極21上には、下部電極21全体を覆うようにして高分子感湿膜22が形成されている。高分子感湿膜22上には、高分子感湿膜22全体を覆うようにして上部電極23が形成されている。この上部電極23の感湿領域A(高分子感湿膜22が部分的に外界に露出する領域)には、高分子感湿膜22を外界に露出させる複数の開口部23aが形成されている。センサ部20全体には、露出した上部電極23を保護するための保護層24が形成されている。なお、保護層24にも高分子感湿膜22を外界に露出させる複数の開口部が形成されている。開口部23aは、図2に示すように、左右上下方向に所定間隔をあけて並設されており、平面矩形状をなしている。この開口部23aの数、平面形状及び形成位置は任意である。
【0020】
図3(a)に示すセンサ部20においては、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜22と保護層24との間の少なくとも一部に一方の電極である上部電極23が介在している。すなわち、領域Bにおいて、高分子感湿膜22上に上部電極23を介して保護層24が形成された構成を持つ。
【0021】
本発明者らは、センサ部において保護層を設ける場合に温度特性、例えば、TCC(Temperature Coefficient of Capacitance)が大きくなることに着目し、このTCCの増加が高分子感湿膜と保護層との間の接触部分に起因することを見出した。そこで、本発明者らは、高分子感湿膜と保護層との間の接触部分を少なくすることにより、TCCの増加を防止することができることを見出し本発明をするに至った。
【0022】
すなわち、本発明の骨子は、高分子感湿膜と保護層との間の接触部分を少なくして、すなわち、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜と保護層との間の少なくとも一部に上部電極を介在させる、あるいは、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜と保護層とが直接接触する領域の面積を、温度変化による出力変化が起こらない大きさにして、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを実現することである。
【0023】
図3(a)においては、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜22と保護層24との間の少なくとも一部に上部電極23を介在させることにより、高分子感湿膜22と保護層24との間の接触部分を少なくしている。このような構成においては、上部電極23が領域Bまで延在している。すなわち、断面視において、上部電極23が下部電極21よりも広い領域にわたって設けられている。このため、領域Bに延在する上部電極23及び保護層24にも開口部23aを形成することにより、領域Bに延在する高分子感湿膜22も外界に露出することになり、実質的な感湿領域Aを広くすることができ、センサ部の精度を高めることができる。
【0024】
湿度にかかわらず静電容量が変化しない基準部30においては、図3(b)に示すように、基板10上に下部電極21が形成されている。下部電極21上には、下部電極21全体を覆うようにして高分子感湿膜31が形成されている。高分子感湿膜31上には、高分子感湿膜31全体を覆うようにして上部電極32が形成されている。基準部30全体には、露出した上部電極32を保護するための保護層24が形成されている。
【0025】
基板10としては、表面が絶縁体で保護された基板(例えば、シリコン基板)などを用いることができる。下部電極21及び上部電極23,32を構成する材料としては、例えばAl、AlCu、Ta、Ti、NiFe、Niなどを用いることができる。高分子感湿膜22,31を構成する材料としては、パターニングが容易なポリイミドなどを用いることができる。また、保護層24としては、例えば窒化シリコン(SiNx)膜、SiO膜、Al/SiO積層膜、SiO/SiN積層膜などを用いることができる。
【0026】
本実施の形態に係る湿度検出センサにおいては、図2に示すように、下部電極21はセンサ部20と基準部30とで共通に設けられている。下部電極21には、センサ部20と基準部30との間のほぼ中間の位置から下部電極配線が引き出され、この下部電極配線が回路部40の電極パッド40aに接続されている。このように下部電極配線をセンサ部20と基準部30との間のほぼ中間の位置から引き出すことにより、センサ部20と基準部30の電気的な対称性が良くなり、センサ容量C20と基準容量C30のばらつきを低減させることができる。
【0027】
また、高分子感湿膜22,31及び上部電極23,32は、図2に示すように、センサ部20と基準部30とで個別に設けられている。上部電極23,31には、上部電極23,31と回路部40の電極パッド40aとを接続する上部電極配線がそれぞれ設けられている。上部電極配線は、一対の上部電極23,31からそれぞれ一定の幅寸法で延在する配線パターンであって、その幅寸法は、センサ部20と基準部30で生じる寄生容量が同一になるように調整されている。これにより、寄生容量によるセンサ容量C20と基準容量C30のばらつきを低減させることができる。
【0028】
上記構成を有する湿度検出センサにおいては、次のようにして湿度を検出する。まず、センサ部20では、感湿領域Aにおいて開口部23aを介して高分子感湿膜22が外界に露出している。このため、高分子感湿膜22は、雰囲気中の湿度(水分量)に応じて吸収又は放出する水分量が変化し、誘電率εが変化する。このため、下部電極21と上部電極23との間の静電容量C20が変化する。一方、基準部30では、高分子感湿膜31が外界に露出しないので、雰囲気中の湿度(水分量)が変化しても高分子感湿膜31中の水分量は変化せず、誘電率εも変化しない。このため、下部電極21と上部電極32との間には一定の静電容量C30が保持される。そして、センサ部20の静電容量C20と基準部30の静電容量C30との間の容量差分を求めることにより、湿度により変化した静電容量(差分値)を測定することができる。本湿度検出センサにおいては、この差分値を電圧に変換して出力するように構成されている。
【0029】
この湿度検出センサにおいては、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜22と保護層24との間の少なくとも一部に上部電極23を介在させている。これにより、高分子感湿膜22と保護層24との間の接触部分を少なくなるので、保護層24を設けても温度特性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明においては、センサ部20の高分子感湿膜22と保護層24との間の接触部分を少なくする構成として、図4(a)に示すように、高分子感湿膜22と保護層24との間に間隙25を設けて、高分子感湿膜22と保護層24とが直接接触しないようにしても良い。また、図4(b)に示すように、高分子感湿膜22と保護層24とが直接接触する領域(オーバーラップ部26)をできるだけ小さくする、すなわち高分子感湿膜22と保護層24との間の接触面積をできるだけ小さくするように構成しても良い。なお、ここで、高分子感湿膜22と保護層24との間の接触面積をできるだけ小さくするとは、高分子感湿膜22と保護層24との間の接触面積を、温度変化、例えば、25℃〜85℃における温度変化による出力変化が起こらない大きさにすることである。
【0031】
また、本発明においては、図4(c)に示すように、基準部30の上部電極32に、センサ部20の感湿領域Aの上部電極23と同様に開口部を形成しても良い。このような構成にすることにより、センサ部20の静電容量C20と基準部30の静電容量C30との差分を正確に求めることが可能となる。
【0032】
次に、湿度検出センサの製造方法について説明する。図5(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る湿度検出センサの製造方法を説明するための断面図である。
【0033】
まず、図5(a)に示すように、基板10を覆う絶縁層(図示せず)上に、下部電極21を形成する。すなわち、下部電極21は、基板10の全面に電極材料を被着し、その上にレジスト層を形成し、パターニングしてマスクとし、そのマスクを介して電極材料をエッチングすることにより形成する。下部電極21は、センサ部20及び基準部30で共通である。なお、この下部電極21を形成する際に、回路部40の配線導体とパッド40aを同時に形成する。
【0034】
次いで、図5(b)に示すように、下部電極21上に、下部電極21を覆うように、センサ部20、基準部30それぞれで高分子感湿膜22,31を形成する。すなわち、高分子感湿膜22,31は、基板10の全面に高分子材料(例えばポリイミド)を塗布し、硬化させ、その上にレジスト層を形成し、パターニングしてマスクとし、そのマスクを介して高分子材料をエッチングすることにより形成する。高分子感湿膜22,31は、センサ部20及び基準部30でそれぞれ個別である。
【0035】
次いで、図5(c)に示すように、高分子感湿膜22,31上に、高分子感湿膜22,31を覆うように、センサ部20、基準部30それぞれで上部電極23,32を形成する。すなわち、上部電極23,32は、基板10の全面に電極材料を被着し、その上にレジスト層を形成し、パターニングしてマスクとし、そのマスクを介して電極材料をエッチングすることにより形成する。ここで、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜22と後述する保護層24との間の少なくとも一部に上部電極23が介在するようにパターニングする。なお、上部電極23,32は、センサ部20及び基準部30でそれぞれ個別である。
【0036】
次いで、図5(d)に示すように、センサ部20の上部電極23の感湿領域Aに開口部23aを形成する。この開口部23aは、基準部30をマスクした状態でドライエッチングなどの異方性エッチングにより形成することができる。
【0037】
次いで、図5(e)に示すように、湿度検出センサ全体に保護層構成材料を被着することにより、センサ部20及び基準部30上に保護層24を形成する。このとき、センサ部20の感湿領域Aにおいては、上部電極23上に保護層24が形成され、開口部23aから高分子感湿膜22が外界に露出した状態となる。なお、保護層24を形成した後に、開口部23a内に被着された保護層構成材料をエッチングにより部分的に除去しても良い。このようにして、本発明の湿度検出センサを作製することができる。
【0038】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
センサ部20が図3(a)に示す構成であり、基準部30が図3(b)に示す構成である湿度検出センサを作製した。この湿度検出センサは、感湿領域A以外の領域Bにおいて、高分子感湿膜22と保護層24との間の少なくとも一部に上部電極23が介在しており、高分子感湿膜22と保護層24との間の接触部分が少なくなっている。このとき、上部電極及び下部電極は、それぞれ厚さ0.2μmのAl膜とし、高分子感湿膜は、厚さ1.0μmのポリイミド膜とし、保護層は、厚さ1.0μmのSiNx膜とした。この湿度検出センサについて、温度25℃、50℃、85℃における出力(測定湿度)を調べた。その結果を図6(a)に示す。
【0039】
比較として、センサ部20が、感湿領域A以外の領域Bにおいて高分子感湿膜22と保護層24とが直接接触していること以外図3(a)に示す構成と同じ構成であり、基準部30が図4(c)に示す構成である湿度検出センサを作製した。この湿度検出センサについて、温度25℃、50℃、85℃における出力(測定湿度)を調べた。その結果を図6(b)に示す。
【0040】
図6(a)に示すように、本発明に係る湿度検出センサにおいては、いずれの温度でも出力が同じであり、温度特性に優れていた。一方、本発明の構成を採用しない湿度検出センサにおいては、図6(b)に示すように、同じ湿度でも温度が高くなるほど出力値が大きくなっており、温度特性が悪かった。このように、本発明によれば、保護層を備えていても温度特性に優れた湿度検出センサを実現することができる。
【0041】
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。上記実施の形態においては、センサ部と基準部とを備えた湿度検出センサについて説明しているが、本発明はこれに限定されず、センサ部のみで構成された湿度検出センサにも同様に適用することができる。また、上記実施の形態における材料、各層の配置位置、厚さ、大きさ、製法などは適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 基板
20 センサ部
21 下部電極
22,31 高分子感湿膜
23,32 上部電極
23a 開口部
24 保護層
25 間隙
26 オーバーラップ部
30 基準部
40 回路部
40a パッド
A 感湿領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極上に形成された保護層と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜と前記保護層との間の少なくとも一部に前記一方の電極が介在していることを特徴とする湿度検出センサ。
【請求項2】
基板と、前記基板上に設けられ、湿度に応じて誘電率が変化する高分子感湿膜を一対の電極で挟持し、部分的に前記高分子感湿膜が部分的に外界に露出する感湿領域を持つセンサ部と、少なくとも前記一対の電極のうちの露出した電極上に形成された保護層と、を具備し、前記感湿領域以外の領域において、前記高分子感湿膜と前記保護層とが直接接触する領域の面積が、温度変化による出力変化が起こらない大きさであることを特徴とする湿度検出センサ。
【請求項3】
前記基板上に設けられ、前記高分子感湿膜を一対の電極で挟持してなり、湿度にかかわらず静電容量が変化しない基準部を有し、前記センサ部と前記基準部との間の容量差分を電圧に変換して出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の湿度検出センサ。
【請求項4】
前記感湿領域は、他方の電極よりも広い領域にわたって設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の湿度検出センサ。
【請求項5】
前記他方の電極は前記センサ部と前記基準部とで共通に設けられており、前記高分子感湿膜及び前記一方の電極は前記センサ部と前記基準部とで個別に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の湿度検出センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−80833(P2011−80833A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232414(P2009−232414)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】