説明

湿式脱硫装置、及び該湿式脱硫装置の操業方法

【課題】液貯留部内の吸収液(廃液)の塩濃度が高い場合でも固体析出物が析出しないように吸収塔の運転が可能な湿式脱硫装置、及び該湿式脱硫装置の操業方法を提供する。
【解決手段】吸収塔内に貯留された吸収液と前記吸収塔内に導入された被処理ガスとを気液接触させ、脱硫処理する湿式脱硫装置の操業方法であって、吸収塔内に貯留された吸収液の塩濃度を計測するステップと、吸収液の液温を計測するステップと、塩濃度と液温に基づいて吸収液を加温するか否かを判定するステップと、処理ステップにおいて吸収液を加温すると判定された場合、吸収液の塩濃度における固体析出物が析出しない目標温度に加温するステップとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄酸化物を含有する排ガス中の硫黄酸化物をアルカリ吸収液で吸収除去する湿式脱硫装置、及び該湿式脱硫装置の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湿式脱硫装置は、火力発電設備、工業用燃焼炉、焼却炉又は船舶用、陸上走行用、陸上定置用のディーゼルエンジン等から排出された硫黄酸化物を含有する排ガスを吸収塔内に導入し、石灰溶液、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化マグネシウム水溶液(スラリー)等の吸収液と接触させ、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に物理的、化学的に取り込んで脱硫処理し、処理後の吸収液を吸収塔内の液貯留部に回収している。
【0003】
硫黄酸化物を吸収した吸収液は、排水基準を遵守するよう適切に処理され、最終的には廃液として河川や海域に放流される。この廃液処理には、廃液処理設備を別途設置する必要がある。
【0004】
例えば、湿式脱硫装置を船舶で使用する場合には、大規模な廃液処理設備を設置できないという制約がある。このような制約の下では、廃液量をできる限り増やさないように湿式脱硫装置を効率的に運転制御する必要がある。
【0005】
一方、湿式脱硫装置の操業時間が長くなると、液貯留部の吸収液(廃液)は、液中に存在する酸性成分とアルカリ成分との中和により塩濃度が高くなる。塩濃度が高くなると、例えば、硫黄酸化物を含有する排ガスを水酸化ナトリウム水溶液で中和する場合、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)が析出する。また、該排ガスを水酸化マグネシウム水溶液で中和する場合、硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO・7HO)が析出する。以下、硫酸ナトリウム・10水和物や硫酸マグネシウム・7水和物等の析出物を「固体析出物」と称する。
【0006】
このような固体析出物は、配管の詰まり等の問題を誘発するため、湿式脱硫装置を長時間操業できないという問題がある。また、固体析出物が析出しないよう、廃液を水で薄めて塩濃度を低くするなどの運用を余儀なくされ、結果的に廃液の量が増加してしまうという問題がある。
【0007】
従来、廃液量を低減する技術として、SOガスをSOガスへ転化するコンバータ(酸化触媒)の入口温度と出口温度の温度差に応じてSOガスを除去し、脱硫装置へのアルカリ液の供給量を制御する三酸化硫黄含有ガスの処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−11041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されている三酸化硫黄含有ガスの処理装置は、SOガスとSOガスが混在するとpHの調整のためのアルカリ水溶液を多く消費することになるため、事前に酸化触媒によってSOガスに酸化させ、SOガスからSOガスへの転化率を酸化触媒の入口温度から割り出し、pHの調整に必要なアルカリ水溶液を算出してこれを注入している。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は中和剤であるアルカリ水溶液の低減という意味では有効であるが、処理装置内に貯留している廃液量そのものは変化しないため、根本的な廃液量の低減にはならないという問題があった。
【0011】
そこで発明者らは、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)や硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO・7HO)等の固体析出物が析出せず、廃液量が増加しない湿式脱硫装置の操業方法を検討した結果、廃液の塩濃度が高く、且つ廃液の温度が低くなるほど上記固体析出物が析出しやすいことを知見し、廃液の塩濃度に応じて廃液の温度を適切に制御することで上述のような課題を解決できることを見出して本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の湿式脱硫装置は、吸収塔と、吸収塔の底部に形成された吸収液を貯留する液貯留部と、吸収液と吸収塔内に導入された被処理ガスとを気液接触させる気液接触部とを有する湿式脱硫装置である。この湿式脱硫装置は、吸収液を加温する加温部と、吸収液の塩濃度を計測する塩濃度計測部と、吸収液の液温を計測する温度計測部と、塩濃度計測部によって取得された塩濃度と塩濃度計測部によって取得された液温とに基づいて、加温部を作動させて吸収液を目標温度に制御する制御部とを有している。
【0013】
また、本発明の湿式脱硫装置の操業方法は、吸収塔内に貯留された吸収液と吸収塔内に導入された被処理ガスとを気液接触させ、脱硫処理する湿式脱硫装置の操業方法である。この湿式脱硫装置の操業方法は、吸収液の塩濃度を計測するステップと、吸収液の液温を計測するステップと、塩濃度と液温に基づいて吸収液を加温するか否かを判定するステップと、上記処理ステップにおいて吸収液を加温する判定がなされた場合、吸収液を目標温度に加温するステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、廃液の塩濃度に応じて廃液の温度を目標に制御することで固体析出物の析出を抑制できる。これにより、廃液の塩濃度が高い場合でも固体析出物が析出しないように廃液の温度が制御可能となるので、固体析出物による配管の詰まり等の問題を回避できる。その結果、廃液の塩濃度が高くても湿式脱硫装置を運転できるため、湿式脱硫装置の長時間操業が可能になるという効果を奏する。更に、廃液の塩濃度が高くても湿式脱硫装置を運転できるため、従来の湿式脱硫装置と比べると廃液の塩濃度を下げる必要がなく、廃液量を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態の湿式脱硫装置の概略構成図である。
【図2】中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合の固体析出物の析出特性を示すグラフである。
【図3】中和剤として水酸化マグネシウム水溶液を用いた場合の固体析出物の析出特性を示すグラフである。
【図4】本実施の形態の湿式脱硫装置における運転制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る湿式脱硫装置(以下、「吸収塔」と称する。)、及びその操業方法について、添付図面に従って説明する。以下の実施の形態では、主として船舶用、陸上走行用、陸上定置用のディーゼル機関の燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を脱硫処理するのに好適な吸収塔を説明するが、本発明は例えば、工業用のボイラやガス化炉等の燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を脱硫処理する吸収塔にも同様に採用できる。
【0017】
以下の説明では、方向や位置を表す用語(例えば、「上部」、「下部」等)を便宜上用いるが、これらは、発明の理解を容易にするためであり、それらの用語によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0018】
図1に示すように、ディーゼルエンジン等の燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を脱硫処理する吸収塔1は、縦型の円筒状に形成され、下部に排ガス2(以下「被処理ガス2」と称する。)を塔内に導入するガス導入管3が接続されているとともに、上部に脱硫処理後の処理ガス4を排出するガス排出管5が接続されている。
【0019】
吸収塔1の底部には、吸収液6を貯留する液貯留部7が形成されている。液貯留部7の側壁には、吸収塔1内の中央部に配置されたスプレーノズル8(気液接触部)に吸収液6を移送するための循環ポンプ9を有する循環配管10が接続されている。スプレーノズル8から吸収塔1内に噴霧される吸収液6は、被処理ガス2と向流接触し、被処理ガス2中の硫黄酸化物を吸収して被処理ガス2の脱硫処理が行われるようにしてある。硫黄酸化物を吸収した吸収液6は再び液貯留部7に回収される。
【0020】
図示するように、液貯留部7の外側はグラスウール等の断熱材で外装されている。また。循環配管10の外側は、電源11に接続された例えばリボンヒータ等のヒータ12(加温部)で捲かれており、さらにその外側を断熱材で外装保温してある。液貯留部7の底部には、先端にバルブV1が接続された引抜き配管13が接続されている。バルブV1を開くことで液貯留部7内の吸収液6を抜き出すことができる。
【0021】
吸収塔1は、中和剤としての水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化マグネシウム水溶液を液貯留部7内に供給する吸収液供給部14を有する。一方、液貯留部7には、液貯留部7の吸収液6のpHを計測するpHセンサ15が接続されている。吸収液供給部14とpHセンサ15は、吸収塔1の全体制御を実行する制御部16に電気的に接続されており、pHセンサ15から出力される吸収液6の水素イオン濃度指数に基づき、制御部16が吸収液供給部14を制御し、液貯留部7の吸収液6のpHを一定に保持するようにしてある。
【0022】
図示するように、液貯留部7の底部には、液貯留部7の吸収液6の温度を計測する温度センサ17(温度計測部)と、吸収液6(廃液)の塩濃度を計測するための電気伝導率計18(塩濃度計測部)が接続されている。温度センサ17と電気伝導率計18は制御部16に電気的に接続されている。制御部16が温度センサ17と電気伝導率計18から出力される情報を取得して実行する制御内容は、後ほど詳しく説明する。なお、本実施の形態では、塩濃度は、NaSOの濃度、又はMgSOの濃度である。
【0023】
図2は、硫黄酸化物を脱硫処理する中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合の硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)の析出特性データである。図3は、硫黄酸化物を脱硫処理する中和剤として水酸化マグネシウム水溶液を用いた場合の硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO・7HO)の析出特性データである。図2と図3に示す縦軸は、廃液温度(吸収液6の温度)を示し、横軸は、廃液の塩濃度(吸収液6の塩濃度)を示している。図2及び図3から明らかなように、廃液の塩濃度(吸収液6の塩濃度)が高く、且つ廃液温度(吸収液6の温度)が低くなるほど上記固体析出物が析出しやすい傾向にある。
【0024】
図2では、廃液の塩濃度(吸収液6の塩濃度)5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%のとき、廃液温度(吸収液6の温度)をそれぞれ、2℃、12℃、16℃、22℃、24℃、26℃に廃液(吸収液6)を加温すれば固体析出物である硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)が析出せず、吸収塔1を長時間操業できることが理解できる。つまり、廃液の塩濃度が30wt%の高濃度になっても廃液の温度を26℃にすれば固体析出物が析出せずに吸収塔1の運転が可能なのである。
【0025】
図3では、廃液の塩濃度(吸収液6の塩濃度)25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%のとき、廃液温度(吸収液6の温度)をそれぞれ、2℃、8℃、21℃、32℃、42℃、48℃に廃液(吸収液6)を加温すれば固体析出物である硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO・7HO)が析出せず、吸収塔1を長時間操業できることが理解できる。つまり、廃液の塩濃度が50wt%の高濃度になっても廃液の温度を48℃にすれば固体析出物が析出せずに吸収塔1の運転が可能なのである。
【0026】
本実施の形態では、図2及び図3に示した固体析出物の析出特性データが制御部16に予め設定されている。これにより、制御部16は、温度センサ17と電気伝導率計18から出力される吸収液6(廃液)の温度情報と塩濃度情報に基づき、現在の吸収液6(廃液)の状態を判定し、循環配管10を加熱するヒータ12のオン・オフを制御する。なお、固体析出物の析出特性データは、制御部16内に必ずしも設定する必要はなく、例えば外部の記憶装置等に設定してもよい。
【0027】
次に、上述のように構成された吸収塔1の作動について、図1、図2及び図4を参照して説明する。本動作説明では、水酸化ナトリウム水溶液で被処理ガス2中の硫黄酸化物を脱硫処理する例を説明する。
【0028】
図4に示すように、温度センサ17と電気伝導率計18により液貯留部7の吸収液6(廃液)の温度と塩濃度が計測され、それらの情報を示す電気信号が制御部16に出力される(ステップS1)。
【0029】
ステップS2において、制御部16は、取得された吸収液6(廃液)の温度及び塩濃度と、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合の硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)の析出特性データとを参照し、現在の液貯留部7内の吸収液6は固体析出物が析出する析出領域にあるか否か、つまり、吸収塔1が運転可能であるか否かを判定する。
【0030】
ステップS2の判定結果がYESと判定された場合、つまり、現在の液貯留部7内の吸収液6(廃液)は、塩濃度が高く、且つ温度が低いので固体析出物の析出領域にある(吸収塔1の運転不可)と判定された場合、ステップS3に進む。
【0031】
ステップS3において、制御部16は、現在の液貯留部7内の吸収液6の塩濃度で固体析出物が析出しない領域の温度になるようヒータ12をオンして該吸収液6の温度を制御する。その後、ステップS5に進んで吸収塔1の運転を開始する。
【0032】
ステップS2の判定結果がNOと判定された場合、つまり、現在の液貯留部7内の吸収液6は固体析出物が析出しない領域にある(吸収塔1の運転不可)と判定された場合、ステップS4に進み、ヒータ12をオフ(ヒータ12に通電しない。)する。その後、ステップS5に進んで吸収塔1の運転を開始する。
【0033】
次に、制御部16が循環ポンプ9を起動すると、液貯留部7内の吸収液6が循環配管10を介して吸収塔1内の中央部のスプレーノズル8に移送され、吸収液6がスプレーノズル8から吸収塔1内に噴霧される。噴霧された吸収液6と、ガス導入管3から吸収塔1内に導入した被処理ガス2とが向流接触し、被処理ガス2中の硫黄酸化物が吸収液6中に吸収され、該吸収液6は再び液貯留部7に回収される。
【0034】
硫黄酸化物が脱硫されて浄化された処理ガス4は、ガス排出管5に流入して系外に排出される。制御部16は、pHセンサ15から出力される吸収液6の水素イオン濃度指数に基づいて吸収液供給部14を制御し、液貯留部7の吸収液6のpHを一定に保持する。
【0035】
このように、本実施の形態の吸収塔1によれば、液貯留部7内の吸収液6(廃液)の塩濃度が高い場合でも固体析出物が析出しないように吸収液6(廃液)の液温を制御できるため、吸収塔1の運転が可能である。したがって、例えば、C重油等の低質油を燃料とする燃焼装置から排出される排ガス(硫黄酸化物が多く含まれる排ガス)を処理しても長時間の操業が可能となる。
【0036】
例えば、硫黄酸化物の濃度が160ppm、流量が2249mN/hの被処理ガス2を、φ750mm×高さ2000mmの吸収塔1を用いて500リットル吸収液6で脱硫処理すると仮定した場合、液貯留部7内の吸収液6(廃液)の塩濃度は1時間あたり0.4wt%増加することになる。従来は、吸収液6(廃液)の塩濃度が10wt%で液貯留部7内の吸収液6(廃液)を外部に引抜いていた。
【0037】
しかし、本発明を採用することにより、吸収液6(廃液)の塩濃度を20wt%以上に高めても運転可能であるので、吸収塔1の操業時間を約25時間延長することが可能になる。この場合、1時間あたり10トンの廃液量を低減できることが発明者らで確認されている。
【0038】
本実施の形態の吸収塔1によれば、液貯留部7内の吸収液6(廃液)の塩濃度が高い場合でも吸収塔1を運転できるため、吸収液6(廃液)を外部に引抜かずに済む。つまり、吸収液6(廃液)の塩濃度を低くするための水が不要となり、廃液量を少なくできる。廃液量を少なくできるので、大規模な廃液処理設備を設置できない船舶にも本発明を採用可能であり、舶用湿式脱硫装置として有用である。なお、本実施の形態では、硫黄酸化物を脱硫処理する中和剤として、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化マグネシウム水溶液を用いたが、これに限らず、水酸化カルシウム[Ca(OH)]や、水酸化カリウム[KOH]を用いてもよい。
【0039】
吸収液6(廃液)を吸収塔1内に長時間保管できると、SOの酸化によるpH調整も同時にできる。吸収液6(廃液)を早期に外部へ引抜くと、別途設けられたタンクに保管する際、溶液の酸化(SO→SO)が起こり、pHの再調整を実施する必要がある。このような酸化現象は数時間かけて行われることから、吸収液6(廃液)を吸収塔1内に長時間保管できると、別途必要であったアルカリ水溶液注入装置も不要になる。
【0040】
また、本実施の形態の吸収塔1によれば、吸収液6(廃液)の塩濃度に応じて該吸収液6(廃液)の目標温度に加温するだけであるので、加温部であるヒータ12は大掛かりなものは不要であり、本実施の形態で例示したリボンヒータのような簡易なものでよい。
【0041】
今回、開示した実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は、上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0042】
1 吸収塔
2 被処理ガス
3 ガス導入管
4 処理ガス
5 ガス排出管
6 吸収液
7 液貯留部
8 スプレーノズル
9 循環ポンプ
10 循環配管
12 ヒータ
14 吸収液供給部
15 pHセンサ
16 制御部
17 温度センサ
18 電気伝導率計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収塔と、
前記吸収塔の底部に形成された吸収液を貯留する液貯留部と、
前記吸収液と前記吸収塔内に導入された被処理ガスとを気液接触させる気液接触部とを有する湿式脱硫装置であって、
前記吸収液を加温する加温部と、
前記吸収液の塩濃度を計測する塩濃度計測部と、
前記吸収液の液温を計測する温度計測部と、
前記塩濃度計測部によって取得された塩濃度と前記塩濃度計測部によって取得された液温とに基づいて、前記加温部を作動させて前記吸収液を目標温度に制御する制御部とを有することを特徴とする湿式脱硫装置。
【請求項2】
前記目標温度は、前記吸収液の塩濃度における固体析出物が析出しない温度であることを特徴とする請求項1に記載の湿式脱硫装置。
【請求項3】
吸収塔内に貯留された吸収液と前記吸収塔内に導入された被処理ガスとを気液接触させ、脱硫処理する湿式脱硫装置の操業方法であって、
前記吸収液の塩濃度を計測するステップと、
前記吸収液の液温を計測するステップと、
前記塩濃度と前記液温に基づいて前記吸収液を加温するか否かを判定するステップと、
前記処理ステップにおいて前記吸収液を加温する判定がなされた場合、前記吸収液を目標温度に加温するステップとを含むことを特徴とする湿式脱硫装置の操業方法。
【請求項4】
前記目標温度は、前記吸収液の塩濃度における固体析出物が析出しない温度であることを特徴とする請求項3に記載の湿式脱硫装置の操業方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−232250(P2012−232250A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101652(P2011−101652)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】