説明

溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法

【課題】金属製中子への通電によるラミング材の焼結運転に際し、溶鉄が接触した焼結層を破壊することなく溶鉄を保持できる溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を提供する。
【解決手段】溝型誘導加熱装置10の湯道11形成用の金属製中子12の外表面13に、骨材とガラス粉末を含むコーティング材を室温で硬化するバインダーで塗布し、これを鉄皮14内の所定位置に設置した後、金属製中子12と鉄皮14の間にラミング材15を投入して突き固める方法であって、ラミング材15が、MgO系、又はAl−MgOスピネルとMgOの混合物系である場合は、MgO系又はAl−MgOスピネル系の骨材を含むコーティング材を使用し、ラミング材15が、Al系、又はAl−MgOスピネルとAlの混合物系で構成される場合は、Al系又はAl−MgOスピネル系の骨材を含むコーティング材を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、溶鉄の保温や加熱、また溶鉄への金属の溶解に用いる溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶鉄用の溝型誘導加熱装置には、溶鉄(溶湯)が流れる流路(湯道)を形成する耐火物に、粉状又は粒状のラミング材が広く用いられている。これは、流路を形成する耐火物の厚みを極力薄くして、溝型誘導加熱装置の電力効率を上げるためであり、このような厚みの薄い耐火物の築造に際し、ウェアライニングとパーマライニングという2層の耐火物を張り分けることが困難であることに起因する。
また、溶鉄用の溝型誘導加熱装置に用いるラミング材は、1350〜1600℃の高温にて使用されるため、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al)、Al−MgOスピネル等を主成分とするものが一般的であり、SiOを主原料とするラミング材は耐用性に劣るため、殆ど使用されない。
【0003】
溝型誘導加熱装置に使用するラミング材は、高温に曝される稼動面(即ち、溶鉄との接触面)近傍が焼結されるため、ラミング材の築造体の中でも、稼動面近傍のみに必要な焼結強度が発現する。このように焼結される層を、一般には焼結層と称し、この焼結層の背面に位置する層を未焼結層と称している。
このように、焼結層の背面に未焼結層が存在するため、なんらかの原因で焼結層に亀裂が生じた場合でも、亀裂に侵入した溶鉄によりこの未焼結層が焼結され、この層により溶鉄の更なる侵入が抑制される。従って、亀裂がラミング材を覆う鉄皮にまで達することはなく、溝型誘導加熱装置からの湯漏れの危険性が非常に低くなる。
【0004】
このような溝型誘導加熱装置の耐火物を新しく築造するに際しては、湯道形成用の筒状の金属製中子を、ケースとなる鉄皮内の所定位置に設置した後、この金属製中子と鉄皮の間にラミング材を投入し、バイブレーター等を用いてラミング材を突き固める作業を行なう。そして、この金属製中子を溶解して除去した後の空間が、誘導加熱される溶鉄のための湯道となる。
しかし、このように、ラミング材を単に突き固めただけの状態では、金属製中子が消失すると湯道は崩壊してしまう。
【0005】
そこで、新しく耐火物を築造した溝型誘導加熱装置を立上げる際には、金属製中子に通電し、この金属製中子を所定の昇温スケジュールに従って加熱することにより、金属製中子に接するラミング材を充分に焼き固めて焼結層を形成する、いわゆる焼結運転が行われている。
この焼結運転の末期には、金属製中子が溶融切断し、それ以上の通電加熱が不可能になるため、通電加熱による焼結運転が完了する。以降は、筒状の金属製中子内に溶鉄を流し込み、溶鉄による湯道の通電を再開させることにより、通常運転へ移行できる。
【0006】
溶鉄用の誘導加熱炉には、以上に示した溝型誘導加熱装置が設けられた誘導加熱炉と、ルツボ型誘導加熱炉の2種類の形式がある。
このルツボ型誘導加熱炉は、例えば、特許文献1に示されているように、溶湯を保持するルツボの周囲に、誘導加熱用の一次コイルを配置した単純な形状となっており、単純な円筒形を呈するルツボ内部の溶湯(焼結運転中は、金属製中子に相当する円筒形の成形用型枠)に、誘導電流が発生する構造となっている。
このため、焼結運転中は、成形用型枠の表面温度のばらつきが少なく、焼結運転末期では、温度のばらつき(「最大温度」−「最小温度」)が概ね100〜300℃程度と軽微であるため、成形用型枠に隣接するラミング材(内張耐火材)が良好に焼結される。
【0007】
一方、本願発明が対象とする溝型誘導加熱装置は、例えば、特許文献2に示されているように、UIコアを用いた一次コイルの周囲に横E型となるように湯道が形成された複雑な形状となっている。このため、一次コイルと湯道の間の距離が、溝型誘導加熱装置内の各部で大きくばらつき、その結果、金属製中子の表面温度のばらつきが、焼結運転末期では概ね400〜500℃に達する。
この焼結運転末期においては、金属製中子の高温部が概ね1500℃の高温となるため、この高温部が溶融切断されて、金属製中子の通電加熱が不可能となる。
【0008】
このように、高温部が切断された状態のままでは、耐火物の冷却が始まってしまうため、筒状の金属製中子内に溶鉄を流し込み、通電加熱を再開することが必要となる。しかし、この時点では、金属製中子の低温部が概ね1000℃を超え1100℃以下(この記載に関しては、以降、1000〜1100℃と記載)にしか到達していないため、この低温部に接触する耐火物については、充分な焼結強度が得られていない。
従って、例えば、溶鉄の受湯時の溶湯圧力による湯道の圧壊や溶湯流による損耗、あるいは低温部が受湯により急速に1500℃まで昇温されることによる耐火物自身の熱膨張に伴う応力による破壊等により、金属製中子で焼結させたラミング材の焼結層が破壊する可能性がある。
【0009】
なお、ここでいう破壊とは、ラミング材の未焼結層が溶湯により広面積で一挙に曝露されるという破壊、具体的には、焼結が不足する部分での破壊、あるいは焼結層が薄い部分での破壊を意味しており、この破壊は、誘導加熱装置からの湯漏れに直結する。前記したような、焼結層の背面側に未焼結層を有し、焼結層の亀裂に侵入した溶湯によって背面側の未焼結層が焼結されるという、亀裂の進展を抑制するメカニズムでは、上記した破壊を抑制することは到底できない。
また、概ね1000〜1100℃という低温部の焼結層では、気孔率も充分に低下していないため、溶鉄等の浸潤によるラミング材の稼動面側の崩壊や構造スポール等も懸念される。なお、溶鉄用の溝型誘導加熱装置の常用温度は、概ね1350〜1600℃であるため、この温度に耐え得るラミング材を、概ね1000〜1100℃という低温で充分に焼結させることは困難である。
【0010】
この問題に対して、耐火物の稼動面側のみの焼結性を向上させる技術や、皮膜を形成する技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、耐火物に対して浸透性を有する添加剤(ガラス組成)を含有させたネット又は織布を、成形用型枠の外表面に装着し、この型枠を用いて耐火物を内張りした後、これを昇温する方法が提案されている。
また、特許文献2には、溝型誘導加熱装置用の中子の外表面に、溶湯に対して不活性な薄い剛性のコーティング層を、溶射等によって形成する方法が提案されている。
そして、特許文献3には、溝型誘導加熱装置用の中子の周囲に、定形耐火物によるスリーブを形成し、このスリーブの外表面にガラス層を形成する材料を塗布して、これを炉内の所定位置に設置してから、その周囲にラミング材を突き固める方法が提案されている。
【0011】
【特許文献1】特開昭61−128089号公報
【特許文献2】特開平5−10685号公報
【特許文献3】特開平11−201652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の方法では、使用したネット等の糸目による添加剤のムラが不可避であり、添加剤を用いた焼結層の材質が不均一になるという問題があった。
また、形状が複雑な溝型誘導加熱装置用の中子を使用する場合、この中子の外表面にネット等を装着する作業が困難であり、例え装着できたとしても、中子の外表面にネット等を重ね巻いた段差(凹凸)ができるため、中子を溶融し除去した後に、焼結したラミング材の表面に凹凸が形成され、耐火物に容易に亀裂が生成する原因となる。
【0013】
そして、特許文献1が対象とするルツボ型誘導加熱炉の耐火物は、前記したように、単純な円筒形状で成形用型枠の温度が均一となり易く、ラミング材の焼結が均一に進行して完了するため、ラミング材の焼結に特許文献1に記載されたガラスを主成分とする添加剤を用いても、耐火物の強度を向上させることができる。しかし、溝型誘導加熱装置では、焼結時の温度ばらつきが400〜500℃であり、金属製中子に接触するラミング材全域を均一に焼結できないため、ラミング材の焼結に上記した添加剤を使用しても、温度が低い(1000〜1100℃)部分の耐火物の強度を向上させることはできない。
このように、溝型誘導加熱装置においては、特許文献1に記載された添加剤を使用しても、耐火物の強度が不足することを、本願発明者らは新しく知見している。
【0014】
また、特許文献2の方法では、焼結による昇温過程において、中子とコーティング層の間の熱膨張差により、コーティング層に亀裂が入ってしまうという問題がある。
更に、溶射等によりコーティング層を形成しているが、加熱しても一般には、コーティング層が耐火物と結合し難く、互いに焼結しないため、コーティング層と耐火物との間に結合力が発生しない。このため、コーティング層が溶湯流に曝されると、コーティング層が溶湯流によって洗い流されてしまうという問題がある。その結果、焼結が不足するラミング材の焼結層が溶湯流に曝露され、焼結層が破壊するという課題がある。
【0015】
そして、特許文献3の方法では、形状が複雑な溝型誘導加熱装置の製造に用いる中子の周囲に、定形耐火物によるスリーブを形成することが大変困難であり、実用上は不可能である。
また、焼結による昇温過程において、中子とスリーブの間の熱膨張差により、スリーブに亀裂が入ってしまうという問題もある。
【0016】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、金属製中子への通電によるラミング材の焼結運転に際し、溶鉄が接触した焼結層を破壊することなく溶鉄を保持できる溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的に沿う本発明に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、溝型誘導加熱装置の湯道形成用の金属製中子の外表面に、骨材及び該骨材同士を結合するガラス粉末を含むコーティング材を、室温で硬化するバインダーを用いて塗布し、該コーティング材が塗布された前記金属製中子を鉄皮内の所定位置に設置した後、該金属製中子と前記鉄皮の間に、MgO系、Al系、もしくはAl−MgOスピネルとMgO又はAlの混合物系のラミング材を投入して突き固める溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法であって、
前記ラミング材が、MgO系である場合、又はAl−MgOスピネルとMgOの混合物系である場合は、MgO系又はAl−MgOスピネル系の前記骨材を含む前記コーティング材を使用し、
前記ラミング材が、Al系である場合、又はAl−MgOスピネルとAlの混合物系で構成される場合は、Al系又はAl−MgOスピネル系の前記骨材を含む前記コーティング材を使用する。
【0018】
本発明に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末は、SiO、Al、NaO、P、B、KO、NaO、CaO、MgO、及びTiOのいずれか3種以上からなる粉末であって、融点が700℃以上1000℃以下であり、しかも前記コーティング材中の前記ガラス粉末の量が15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末は、SiO、Al、NaO、P、B、KO、NaO、CaO、MgO、及びTiOのいずれか3種以上からなる粉末であって、前記ラミング材又は前記コーティング材中の前記骨材と反応して、700℃以上1000℃以下で液相を生成しはじめるものであり、しかも前記コーティング材中の前記ガラス粉末の量が15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末の粒子は45μmアンダーであることが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記骨材は、50μmオーバーかつ200μmアンダーの粒子を30質量%以上含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜5記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、金属製中子の外表面に、骨材及びガラス粉末を含むコーティング材をバインダーを用いて塗布し、金属製中子と鉄皮の間にラミング材を投入して突き固めるので、ラミング材の焼結終了時、概ね1000〜1100℃にしか到達していない低温部においても、骨材間をガラスが架橋した構造を持つ強固な保護層を形成できる。これにより、溶湯圧力による湯道圧壊や溶湯流による損耗、更には溶湯等の浸潤によるラミング材の稼動面側の崩壊や構造スポールを防止できる。
また、コーティング材の塗布には、室温にて硬化するバインダーを使用するため、従来のように、ネット又は織布を併用することなく、金属製中子の表面に直接塗布して定着させることができ、また糸目によるコーティング材のムラも発生しない。
そして、ラミング材がMgO系又はAl−MgOスピネルとMgOの混合物系である場合は、MgO系又はAl−MgOスピネル系の骨材が配合されたコーティング材を使用し、またラミング材がAl系又はAl−MgOスピネルとAlの混合物系である場合は、Al系又はAl−MgOスピネル系の骨材が配合されたコーティング材を使用するので、ラミング材とコーティング材との反応を防止でき、その結果、スピネル膨張の発生を防止できる。これにより、例えば、コーティング材で形成されるコーティング層で微亀裂等が発生することを防止でき、コーティング層による溶湯の浸潤防止効果を維持できる。
以上のことから、金属製中子への通電によるラミング材の焼結運転において、例えば、1000〜1100℃程度にしか到達していない低温部の焼結層に溶湯が接触しても、この焼結層が破壊することなく、溶湯を保持することができる。
【0021】
特に、請求項2、3記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、ガラス粉末に、700℃以上1000℃以下で液相を生成しはじめるものを使用するので、この温度よりも高く、最低でも1000℃程度まで上昇する金属製中子に接触するラミング材を構成する耐火材間や、コーティング材に含まれる骨材間に、毛細管現象によって液体として浸透できる。これにより、金属製中子の表面に強固な保護層を形成できる。
更に、ガラス粉末は、ラミング材を構成する耐火材と、コーティング材中の骨材とをも架橋するため、コーティング材で形成されるコーティング層がラミング材表面に強固に付着し、溶湯流によって洗い流されにくくなる。
また、コーティング材中のガラス粉末の量を規定するので、溶湯の浸潤防止効果を維持しながら、コーティング層の長寿命化も達成できる。ここで、ガラス粉末には、昇温により液相が生成する前にガラスを生成するものも含まれる。これには、例えば、クレイと呼ばれるSiO−Al−NaO系のものがある。この材質は、結晶質(即ちガラスではない)であるが、一般に600℃以上でガラス化し、700℃以上(700〜800℃)で液相を生成しはじめる。
【0022】
請求項4記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、ガラス粉末の粒子の大きさを規定するので、ガラス粉末をコーティング材中の骨材に対して均一に分散でき、溶湯の浸潤防止効果を更に向上できる。
請求項5記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、骨材の粒子の大きさを規定するので、金属製中子の表面へのコーティング材の塗布作業を良好にできると共に、塗布厚みを均一にできて強固に付着させることができ、しかも溶湯流による磨耗に対する耐用性についても担保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を使用する溝型誘導加熱装置の正断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、溝型誘導加熱装置10の湯道11の形成に使用する金属製中子12の外表面13に、骨材及びガラス粉末を含むコーティング材を、バインダーを用いて塗布し、このコーティング材が塗布された金属製中子12を鉄皮(ケースともいう)14内の所定位置に設置した後、金属製中子12と鉄皮14の間に、MgO系、Al系、もしくはAl−MgOスピネルとMgO又はAlの混合物系のラミング材15を投入して突き固める方法である。以下、詳しく説明する。
【0025】
まず、金属製中子12を準備する。
この金属製中子12は、中空の筒(パイプ)で構成され、角部が丸みを有する2つの型枠の一辺部を連接させた形状(正面視して横B状)となって、台板16と接する側を平面状としたものである。なお、金属製中子12の外径は、形成される湯道11の内幅(例えば、6cm以上30cm以下)となっている。この金属製中子の材質は、通電して抵抗加熱できるものであれば、特に問わないが、金属製中子は、最終的に溶融して溶湯(溶銑、溶鋼等の溶鉄)に混入するため、不純物とならない材質、例えば、鋳物製や鋼製等で構成されることが好ましい。
【0026】
この金属製中子12の外表面13に、例えば、厚みが1mm以上5mm以下の範囲内となるように、目視で1回又は複数回、刷毛塗りでコーティング材を塗布する。なお、コーティング材の塗布厚みが厚過ぎれば、コーティング材が剥がれ落ち、薄過ぎれば、コーティング材が機能しなくなる。
このコーティング材の塗布は、室温で硬化するバインダーを使用して行う。このバインダーとしては、例えば、澱粉糊等の水溶性の有機系接着剤が好適であるが、室温で骨材及びガラス粉末を金属製中子12の外表面13に固定し、例えば、100〜300℃の加熱温度で消失又は炭化して、バインダーとしての機能を果たさなくなるものであれば、これに限定されるものではない。
なお、バインダーの添加量は、コーティング材の全体量の1質量%未満でよい(外分、外掛、外割)。
【0027】
コーティング材は、骨材と、この骨材同士を結合するガラス粉末(低温溶融ガラス)を含んでいる。
骨材は、ラミング材にMgO系の耐火材を使用する場合、又はAl−MgOスピネルとMgOの混合物系で構成される耐火材を使用する場合は、MgO系又はAl−MgOスピネル系のものを使用する。
また、ラミング材にAl系の耐火材を使用する場合、又はAl−MgOスピネルとAlの混合物系で構成される耐火材を使用する場合は、骨材にAl系又はAl−MgOスピネル系のものを使用する。
【0028】
ここで、ラミング材に使用するMgO系の耐火材とは、例えば、MgOを80質量%以上含み(上限は100質量%)、その他に、Al、SiO、CaOが含まれるものがある。
また、Al系の耐火材とは、例えば、Alを80質量%以上含み(上限は100質量%)、その他に、MgO、SiO、CaOが含まれるものがある。
なお、MgO系の骨材には、例えば、高純度MgOクリンカーがあり、Al系の骨材には、例えば、高純度Alクリンカーがある。また、Al−MgOスピネル系の骨材には、例えば、高純度Al−MgOスピネルクリンカーがある。
そして、ラミング材に使用するAl−MgOスピネルとMgOの混合物系の耐火材とは、例えば、Al−MgOスピネルとMgOを90質量%以上(Al−MgOスピネル:75〜95質量%、MgO:3〜20質量%)含み(上限は100質量%)、その他に、SiO、CaOが含まれるものがある。
更に、Al−MgOスピネルとAlの混合物系の耐火材とは、例えば、Al−MgOスピネルとAlを90質量%以上(Al−MgOスピネル:75〜95質量%、Al:3〜20質量%)含み(上限は100質量%)、その他に、SiO、CaOが含まれるものがある。
【0029】
この骨材は、50μmオーバー(篩目が50μmの篩を使用したときの篩上)かつ200μmアンダー(篩目が200μmの篩を使用したときの篩下)の粒子を30質量%以上含むことが好ましい。
ここで、骨材の粒子の大きさが50μmアンダーの場合、骨材の粒子構成が小さくなり、溶湯流による磨耗に対する耐用性を担保する粗骨材が少なくなり過ぎるため、実用上の強度が低くなる。一方、200μmオーバーの場合、骨材の粒子構成が大き過ぎて、金属製中子へコーティング材を塗布する際の作業性が悪くなり、均一な厚みのコーティング層を、金属製中子の表面に強固に付着させることが困難となる。なお、骨材は、このような大きさの粒子を30質量%以上含むことで、上記した効果が顕著になる。
以上のことから、50μmオーバーかつ200μmアンダーの粒子を30質量%以上、好ましくは35質量%以上含む骨材を使用する。なお、上限については、骨材の全て(100質量%)が、50μmオーバーかつ200μmアンダーであってもよいため、特に規定していないが、現実的には90質量%程度である。
【0030】
ガラス粉末は、SiO、Al、NaO、P、B、KO、NaO、CaO、MgO、及びTiOのいずれか3種以上からなる粉末であって、融点が700℃以上1000℃以下であることが好ましい。また、上記した組成の粉末であって、ラミング材又はコーティング材中の骨材と反応して700℃以上1000℃以下で液相を生成しはじめるものであることが好ましい。
上記したガラス粉末の組成と温度範囲は、前記したように、従来問題となっていた金属製中子の低温部の温度が、概ね1000〜1100℃であることにより決定している。このため、ガラス粉末の組成は、融点又は液相を生成しはじめる温度が、金属製中子の低温部の温度よりも低い温度となるように、即ち700℃以上1000℃以下(好ましくは、上限を900℃、更には800℃)の温度範囲となるように選定する。ガラス粉末が、700℃未満で液相を生成する場合、生成した液相が1000〜1100℃になると粘性が低くなり、骨材等を架橋して強固な保護層を造る効果が低くなる。一方、1000℃を超えて液相を生成する場合、1000℃以上で架橋が生成しない場合がある。
【0031】
なお、上記した組成と温度範囲を満足する組成物の具体例としては、例えば、アルミノケイ酸ソーダガラスフリットやクレイ等が挙げられる。特に、クレイを用いると、コーティング材に適度な粘稠性や可塑性を与えることができ、作業性が向上する。
このガラス粉末の粒子は45μmアンダーであることが好ましい。
このガラス粉末は、骨材同士を結合する機能を有するものであるため、コーティング材中に均一に分散させることが好ましく、この分散を行うためには、45μmアンダーの粒子、好ましくは30μmアンダーの粒子、更に好ましく20μmアンダーの粒子を使用する。
【0032】
このガラス粉末は、コーティング材に15質量%以上40質量%以下含まれていることが好ましい。従って、コーティング材を骨材とガラス粉末で構成する場合は、骨材が60質量%以上85質量%以下含まれることになる。
ここで、コーティング材中に含まれるガラス粉末の量が15質量%未満の場合、ガラス粉末の量が少な過ぎて、骨材同士を架橋するガラス量が少なくなるため、溶湯等の浸潤防止効果が少なくなる。一方、ガラス粉末の量が40質量%を超える場合、ガラス粉末の量が多過ぎて、骨材量が少なくなり過ぎるため、コーティング材の寿命が短くなる。
以上のことから、コーティング材中のガラス粉末の量を、15質量%以上40質量%以下、更には、下限を20質量%、上限を35質量%とすることが好ましい。
【0033】
このように、コーティング材が塗布された金属製中子12を、台板16上に載置された上部と下部が開口した鉄皮14内に、前後方向と左右方向の間隔がそれぞれ同じになるように設置した後、金属製中子12と鉄皮14の間にラミング材15を投入して突き固める。
この作業は、金属製中子12と鉄皮14の間にラミング材15を所定高さ分だけ投入し、例えば、ランマー等を用いて突き固める工程を繰り返し行い、鉄皮14の上端位置までラミング材15を充填する。なお、このラミング材15の充填過程においては、金属製中子12に形成された2つの貫通孔17、18に、鉄皮14を貫通する筒状のブッシング(コイル枠)を挿入して、コイル及びコアを挿入する場所を確保する。
このように、金属製中子12と鉄皮14及びブッシングとの間にラミング材15を充填した後、金属製中子12に通電して、焼結運転による昇温を開始する。
【0034】
焼結運転を開始することで、金属製中子12が加熱されるため、バインダーによるコーティング材の接着力と結合力は、100〜300℃程度の比較的低温で失われる。しかし、このときには、金属製中子12の周囲にラミング材15が充填されているため、コーティング材が金属製中子12から剥落することはない。また、昇温によりバインダーの結合力が失われるため、熱膨張によるコーティング材の亀裂も発生しない。
この焼結運転の末期においては、金属製中子12の高温部が溶融切断されて通電加熱が不可能となり、このとき低温部に接触するラミング材については、充分な焼結強度が得られていない。しかし、金属製中子12の周囲に形成したコーティング材により強固な保護層が形成されるため、筒状の金属製中子12内に溶鉄を流し込み、通電加熱を再開しても、溶鉄が接触した焼結層を破壊することなく溶鉄を保持できる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、溝型誘導加熱装置の代わりに試験用誘導加熱炉を使用し、そのラミング材とコーティング材の組合せを種々変えて行った試験について説明する。
この試験に際しては、水溶性の有機接着剤(澱粉糊)をバインダーとして使用し、コーティング材を金属製中子の外表面に2mmの厚みで塗布して自然乾燥させた後、この金属製中子を誘導加熱炉本体内に設置してから、金属製中子の周囲に所定のラミング材を投入して突き固めた。ここで、コーティング材の塗布に、上記したバインダーを使用しない場合、ラミング材を築造する際のランマーによる振動等により、金属製中子からコーティング材が多く剥落し、現実的にはコーティング材を金属製中子に付着させた状態で、ラミング材を築造することは不可能であった。なお、コーティング材中のガラス粉末には、クレイ(SiO−Al−NaO系)を使用した。
【0036】
次に、金属製中子へ通電し、金属製中子が溶解するまで昇温することにより、ラミング材の焼結を行った。
その後、塩基度(CaO質量%/SiO質量%)=1.0のスラグ粉末と冷型銑を炉内に追加投入して加熱溶解し、1400℃で保温した後、溶融スラグ全量と溶銑半量を排出する作業を1サイクルとして、実機の模擬試験を行った。ここで、1サイクルに要する時間は6時間であり、これを8サイクル、合計48時間行うことによりサンプルを得た。
そして、これらのサンプルの断面を観察することにより、形成されたコーティング層の最低残厚と、ラミング材への溶銑やスラグの最大浸潤厚を測定した。この試験条件と試験結果を、表1と表2に示す。なお、判定は、コーティング層の最低残厚が0mmかつ溶銑やスラグの最大浸潤厚が10mmを超える場合を「×」とし、最低残厚が0mm又は最大浸潤厚が10mmを超える場合を「△」とし、最低残厚が1mm超かつ最大浸潤厚が5mm以下の場合を「◎」とし、これら以外の場合を「○」とした。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
表1は、Al−MgOスピネルとAlの混合物系(Al−MgOスピネル:90質量%、Al:8質量%)で構成されるラミング材を使用した結果、表2は、MgO系(MgO:85質量%)のラミング材を使用した結果である。
この表1に示す実施例1〜5は、高純度Alクリンカーを使用したAl系の骨材を含むコーティング材を使用した場合の結果であり、コーティング材中のガラス粉末の配合割合を50〜10質量%の範囲で変更している。一方、比較例1は、コーティング材を使用しない場合の結果であり、比較例2は、高純度MgOクリンカーを使用したMgO系の骨材を含むコーティング材を使用した場合の結果である。
【0040】
表1に示す実施例3から、コーティング材へのガラス粉末の配合割合が25質量%のときに、形成されたコーティング層への溶銑やスラグの浸潤厚みが最も薄いことが分かった。
また、実施例1のように、ガラス粉末の配合割合が40質量%を超える場合、形成されたコーティング層の損耗が大きく、48時間の浸漬により、最低残厚がゼロとなる部分が発生した。
一方、実施例5のように、ガラス粉末の配合割合が15質量%未満の場合、形成されたコーティング層の損耗は少ないものの、浸潤防止効果が低くなることが分かった。
【0041】
また、比較例2は、Al−MgOスピネルとAlの混合物系で構成されるラミング材と、MgO系の骨材を含むコーティング材を使用したため、最低残厚が0mmとなり、しかも最大浸潤厚が10mmを超えた。
これは、ラミング材に単体Alが含まれており、ラミング材中の単体Alとコーティング材中のMgO骨材とが反応してスピネル膨張が発生し、コーティング層に微亀裂が入ったためと考えられる。
【0042】
続いて、表2について説明する。
この表2に示す実施例6〜10は、高純度MgOクリンカーを使用したMgO系の骨材を含むコーティング材を使用した場合の結果であり、コーティング材中のガラス粉末の配合割合を50〜10質量%の範囲で変更している。一方、比較例3は、コーティング材を使用しない場合の結果であり、比較例4は、高純度Alクリンカーを使用したAl系の骨材を含むコーティング材を使用した場合の結果である。
【0043】
表2に示す実施例8から、MgO系のラミング材と骨材を用いる場合でも、コーティング材へのガラス粉末の配合割合が25質量%のときに、形成されたコーティング層への溶銑やスラグの浸潤厚みが最も薄いことが分かった。
また、実施例6のように、ガラス粉末の配合割合が40質量%を超える場合、形成されたコーティング層の損耗が大きく、48時間の浸漬により、最低残厚がゼロとなる部分が発生した。
一方、実施例10のように、ガラス粉末の配合割合が15質量%未満の場合、形成されたコーティング層の損耗は少ないものの、浸潤防止効果が低くなることが分かった。
【0044】
また、比較例4は、MgO系のラミング材と、Al系の骨材を含むコーティング材を使用したため、最低残厚が0mmとなり、しかも最大浸潤厚が10mmを超えた。
これは、ラミング材に単体MgOが含まれており、ラミング材中の単体MgOとコーティング材中のAl骨材とが反応してスピネル膨張が発生し、コーティング層に微亀裂が入ったためと考えられる。
【0045】
次に、ガラス粉末の粒子の大きさの影響を調査した結果について説明する。
ここでは、ガラス粉末の粒子の大きさが45μmアンダー(−45μmと記載)である実施例3を中心として、ガラス粉末の大きさを種々変えて試験を行った結果について、表3を参照しながら説明する。
【0046】
【表3】

【0047】
表3に示す実施例3、11から、使用したガラス粉末の粒子が45μmアンダーの場合、コーティング層の損耗が特に少ない結果が得られた。なお、実施例12のように、50μmアンダーの粒子を使用した場合、実施例3、11よりも劣るが、コーティング層の損耗は少なく、また最大浸潤防止効果もあった。
これは、粒子の大きさが45μmアンダーのガラス粉末を使用することで、ガラス粉末をコーティング材中に均一に分散させることができ、その結果、骨材同士の結合状態を良好にできたことに起因する。
【0048】
続いて、50μmオーバーかつ200μmアンダー(+50μmかつ−200μmと記載)の骨材の量の影響を調査した結果について説明する。
ここでは、50μmオーバーかつ200μmアンダーの骨材の量が30質量%である実施例3を中心として、骨材の粒子量を種々変えて試験を行った結果について、表4を参照しながら説明する。
【0049】
【表4】

【0050】
表4に示す実施例3、13から、50μmオーバーかつ200μmアンダーの骨材の量が30質量%以上の場合、コーティング層の損耗が特に少ない結果が得られた。なお、実施例14のように、骨材の量を20質量%にした場合、実施例3、13よりも劣るが、コーティング層の損耗は少なく、また最大浸潤防止効果もあった。
これは、50μmオーバーかつ200μmアンダーの骨材の量を30質量%以上とすることで、この粒度範囲の骨材を使用する効果が顕著に現れることに起因する。
【0051】
なお、以上に示したガラス粉末の粒子の大きさと、骨材の粒子の大きさ及びその量は、Al−MgOスピネルとAlの混合物系で構成されるラミング材と、Al系の骨材を使用した実施例3を基準にして説明したが、MgO系のラミング材と、MgO系の骨材を使用した場合についても、実施例8を基準として、同様の結果が得られた。
従って、本願発明の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を使用することで、金属製中子への通電によるラミング材の焼結運転に際し、溶鉄が接触した焼結層を破壊することなく溶鉄を保持できることを確認できた。
【0052】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態において示した溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法は、例えば、誘導炉や薄板の溶融亜鉛めっきポットに設けられた溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法に使用できるが、これに限定されるものではない。
そして、前記実施の形態においては、コーティング材を金属製中子の外表面に、直接塗布した場合について説明したが、コーティング材を、1層又は2層以上の下地骨材を介して、金属製中子の外表面に塗布する場合も、本願発明の権利範囲に含まれる。なお、ここで使用する下地骨材には、本願発明の骨材とはその構成が異なる従来公知の骨材(例えば、Al等)を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法を使用する溝型誘導加熱装置の正断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10:溝型誘導加熱装置、11:湯道、12:金属製中子、13:外表面、14:鉄皮、15:ラミング材、16:台板、17、18:貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝型誘導加熱装置の湯道形成用の金属製中子の外表面に、骨材及び該骨材同士を結合するガラス粉末を含むコーティング材を、室温で硬化するバインダーを用いて塗布し、該コーティング材が塗布された前記金属製中子を鉄皮内の所定位置に設置した後、該金属製中子と前記鉄皮の間に、MgO系、Al系、もしくはAl−MgOスピネルとMgO又はAlの混合物系のラミング材を投入して突き固める溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法であって、
前記ラミング材が、MgO系である場合、又はAl−MgOスピネルとMgOの混合物系である場合は、MgO系又はAl−MgOスピネル系の前記骨材を含む前記コーティング材を使用し、
前記ラミング材が、Al系である場合、又はAl−MgOスピネルとAlの混合物系で構成される場合は、Al系又はAl−MgOスピネル系の前記骨材を含む前記コーティング材を使用することを特徴とする溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法。
【請求項2】
請求項1記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末は、SiO、Al、NaO、P、B、KO、NaO、CaO、MgO、及びTiOのいずれか3種以上からなる粉末であって、融点が700℃以上1000℃以下であり、しかも前記コーティング材中の前記ガラス粉末の量が15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法。
【請求項3】
請求項1記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末は、SiO、Al、NaO、P、B、KO、NaO、CaO、MgO、及びTiOのいずれか3種以上からなる粉末であって、前記ラミング材又は前記コーティング材中の前記骨材と反応して700℃以上1000℃以下で液相を生成しはじめるものであり、しかも前記コーティング材中の前記ガラス粉末の量が15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記ガラス粉末の粒子は45μmアンダーであることを特徴とする溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法において、前記骨材は、50μmオーバーかつ200μmアンダーの粒子を30質量%以上含むことを特徴とする溝型誘導加熱装置の耐火物築造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−287884(P2009−287884A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143177(P2008−143177)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(591255612)サンゴバン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】