説明

溝形断面材のロール成形方法

【課題】剛性が高く簡素な構造の汎用のロール成形スタンドを使用しながらも、成形ロールを交換及びロールの軸方向位置の調整をすることなく、例えば構造材等に使用される厚さ2.3〜6mm程度の範囲の溝形断面材を成形する方法を提供する。
【解決手段】両端が支持された上下軸に成形ロール1,2を取付けたロール成形スタンドを多段配置したロール成形装置によって溝形断面材を成形する方法であって、成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材が成形可能なように設計されたロールを使用して溝形断面材を成形するとともに、溝形断面材を概略最終形状にまで成形する粗成形領域の後半において、ウェブ及びフランジ部のロール隙間とウェブとフランジに挟まれたコーナー部内側の半径が成形する溝形断面材の厚みに対して適正に設定された成形ロールを用いてコーナー寸法を矯正し、その後に残留応力除去ならびに寸法精度確保のための仕上げ成形を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝形断面形状を有する長尺材を金属板あるいは金属帯からロール成形するに際し、2種類以上の板厚の異なる金属板あるいは金属帯に対してロール交換及びロールの軸方向の取付け位置の調整を行わずに、さらには外形寸法の異なる溝形断面材においてもロールを交換及びロールの軸方向の取付け位置の調整をすることなくロール成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦なウェブ(底部)の両端にフランジを持つ軽量溝形断面材は、上下一対のロールを多段配置したロール成形プロセスによって所定の断面に段階的に成形された後、走行切断機で所定の長さに切断することにより製造される。
通常ロール成形プロセスでは、素材が噛み込まれるロールギャップが素材の幅方向の位置にかかわらず素材の厚みとほぼ等しく設定され、曲げコーナー内側に接触するロールのコーナー半径が素材の板厚に対して適正な大きさに、例えば素材厚みの1ないし2倍程度に設定された成形ロールが使用されている。厚みが大きく異なる素材を成形するに当たっては、厚みの差が少ない場合にはウェブとフランジ部におけるロールギャップが素材の厚みとほぼ等しくなるようにロールの軸方向の取付け位置を調整してウェブとフランジ部におけるロールギャップが素材の厚みとほぼ等しくなるようにロール位置を調整するか、あるいは厚みの差が大きい場合には、コーナー部内側に当接するロールを素材の厚みに対して適正な大きさのコーナー半径が設定されたロールに交換し、ウェブとフランジ部におけるロールギャップが素材の厚みとほぼ等しくなるようにロールを取付けて成形している。
【0003】
このように複数の厚みの素材に対して夫々ロールの交換あるいは位置調整を行うことは、ロール交換ならびに調整時間の増大を招き、生産性を損なう原因となる。ロール成形法は同一形状の長尺材を大量に生産するのに適した製造方法であり、製造ロットが小さい場合においてロール交換・調整作業による生産性の低下が問題となる。このようなことから、従来、厚みの近い素材に対してはロール交換・組換えを省略する目的で一部のロールのロールギャップを調整することによって1種類のロールで複数の厚みの形鋼を成形することが広く行われてきた。
【0004】
しかしながら、1種類のロールで成形する素材の厚みの範囲が広くなると、一部の厚みの素材においてコーナー部が所定の形状に成形できなくなる。通常1種類のロールで複数の厚みの素材を成形する場合、最も厚い素材に合わせて製作されたロールを使用して、厚みの薄い素材を成形する際にはロール軸に平行なウェブのロールギャップだけを素材の厚みに合わせる。この場合、ウェブに対して角度を持ったフランジ部においてはロールギャップが素材の厚みに対して広くなり、ウェブとフランジの対称軸に対して上ロールがウェブ寄りとなって非対称に配置されるため、板厚の範囲が広い場合コーナー部の形状に問題が生じる。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、少なくともコーナー内側に位置する成形ロールをウェブとフランジの対称線上に配置することにより、厚みが異なってもロールギャップがコーナーの両側で非対称とならないようにされている。特に、特許文献2にあってはコーナー外側のロールも内側のロールに対向する位置に配置されている。
また、特許文献3では、上下ロールを片側支持方式とし、さらに上ロールのチョックが垂直方向に対して45度の角度に沿って上下することにより、ロールギャップの大きさに関わらずウェブとフランジのロール隙間が常に等しくなるような成形スタンドが開示されている。
【0006】
さらに、ウェブ幅が異なる溝形断面材をロール交換せずに成形する方法としては、例えば特許文献4あるいは特許文献5に開示されているように、溝形断面材の2箇所の曲げ加工を行うロールをロール軸も含めて左右に分割してロールの一方のみ支持する片持ち式ロールスタンドとし、夫々が相対的に幅方向に移動可能に取付けたロール成形装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7‐34937号公報
【特許文献2】特開2005‐111497号公報
【特許文献3】特開平9‐76024号公報
【特許文献4】特開平9‐76024号公報
【特許文献5】特開2004‐82155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3の技術では、コーナーの対称線上に内側の成形ロールを配置することにより、コーナー形状の非対称性の問題については解決できるが、素材の厚みの如何に関わらず同一の内側ロールを用いることになるため、コーナーR寸法については薄肉材で過大、厚肉材で過小となりやすい問題がある。また、ウェブとフランジの対称線に沿ってロールを配置することから、ロール軸は各スタンドで異なった角度で取付ける必要があり、高価な専用のスタンドが必要となる。またロールの位置調整機構も複雑な構造となり、ロールの駆動が困難となる場合もある。さらにスタンド構造の複雑化に伴ってスタンドの剛性が低下するため、前述のコーナーR寸法の問題と相俟って、厚みが4.5〜6mm程度の厚肉の軽量溝形断面材には適用できなかった。
【0009】
ロールスタンドを分割した片持ち式ロールスタンドによってウェブ幅の異なる溝形断面材をロール交換無しに成形する特許文献4,5の方法でも、ロールの両側が支持されたロールスタンドに比べて剛性が低く、厚みが4.5〜6mm程度の厚肉の軽量溝形断面材には適用できなかった。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、剛性が高く簡素な構造の汎用のロール成形スタンドを使用しながらも、成形ロールを交換することなく、例えば構造材等に使用される厚さ2.3〜6mm程度の範囲の溝形断面材を成形する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の溝形断面材のロール成形方法は、その目的を達成するため、両端が支持された上下軸に成形ロールを取付けたロール成形スタンドを多段配置したロール成形装置によって平坦なウェブの両側にフランジを持つ所定の範囲の厚みの溝形断面材を成形する方法であって、前記ロール成形装置によって成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材が成形可能なように設計されたロールを使用して、成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材よりも厚みの薄い溝形断面材を成形する際、溝形断面材を概略最終形状にまで成形する粗成形領域の後半から、引続いて行われる残留応力除去ならびに寸法精度確保のための仕上げ成形領域の間に、ウェブ及びフランジ部のロール隙間とウェブとフランジに挟まれたコーナー部内側の半径が成形する溝形断面材の厚みに応じて設計された成形ロールを用いてコーナー部の寸法を矯正する工程を挟むことを特徴とする。
【0011】
そして、両端が支持された上下軸に取付けられた、成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材が成形可能なように設計されたロールの上下軸間の距離を調整することによって、成形ロールの形鋼ウェブ部に相当する位置のギャップを成形する形鋼の厚みに合わせることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、成形する溝形断面材の外形、厚さ寸法に関わらずロール交換及びロールの軸方向の取付け位置の調整を行うことなしに成形することが可能となり、また設備費が安価で、スタンド剛性が高い両端を支持された上下軸を持つ汎用の成形スタンドを用いていることから、片持ちスタンドなどの従来の可変寸法成形機では困難であった厚肉材を含む広い範囲の板厚においてロール兼用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明でのフランジ立て成形の態様を説明する概略図
【図2】本発明でのコーナー矯正の態様を説明する概略図
【図3】本発明での90度フランジ立て成形の態様を説明する概略図
【図4】本発明で、幅広ウェブ部を持つ溝形鋼を成形する態様を説明する概略図
【図5】本発明で、幅狭ウェブ部を持つ溝形鋼を成形する態様を説明する概略図
【図6】本発明実施例での曲げ角度を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者らは、ロールと素材の厚みの組み合わせについて検討した結果、ロール兼用化によってフランジ部のロール隙間が過大でコーナー部において内側ロールが曲げコーナー対称線に関して非対称に配置されていても、コーナー部を除くウェブ部及びフランジ部は平坦度及び成形角度に関してほとんど問題なく成形可能であることを見出した。また兼用ロールにより概略の断面形状を成形した後、各板厚専用ロールによってコーナー部を所定の形状に矯正することが可能なことを見出した。そして、兼用ロールによる溝形断面材のフランジ立て加工と板厚専用ロールによるコーナー部の形状矯正を組み合わせることで、異なる厚みの素材に対してほとんどのロールを共用することができる本発明に至った。
【0015】
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明では、成形しようとする対象の溝形断面材の内、最も厚いものに合わせてロールギャップとコーナーRの形状が設定された成形ロールを全ての厚みの素材に適用する。成形スタンドは剛性が高く汎用性のある上下に一対のロール軸が並行に配置され、その両端をチョックならびにロールスタンドで支持する方式のものを使用する。
本成形ロールでは、形鋼のウェブ部のロールギャップを最も厚い素材の厚みに合わせた時、その両側のフランジ部のロールギャップもほぼ同様なロールギャップに設定される。例えばJIS
G3350に記載されているように板厚中心で板厚の1.5倍程度となるように、曲げコーナー部の内側を押圧する上ロールには板厚と同程度のコーナーRが設けられている。
このようなロールを用いて最も厚い素材を溝形断面材に成形した場合、断面の概略形状及びコーナー部とも所定の形状に成形される。
【0016】
次にこのロールを用いて厚みがロールの設計厚みよりも薄い素材を成形する場合、ロールギャップはそのままでも成形は可能であるが、ウェブ、フランジともロールギャップが過大なためロールによる素材の保持が不十分となってスリップや蛇行を生じる恐れがある。このため、ロールギャップは成形する素材の厚みに合わせて調整することが好ましい。この際、スタンド構造によりロールは上下方向にのみ移動可能であるので、ロール軸に平行なウェブ部のロールギャップのみ素材の厚みに合わせることとなる。その際、ウェブに対して角度を持ったフランジ部ではその角度に応じてロールギャップが素材厚みに比べて過大となり、その程度はフランジが起き上がってくる成形後段ほど顕著となる。
【0017】
このようにフランジ部に隙間のある状態で成形を行うと、フランジ部の素材は曲げ外側の下ロール2に接触して曲げられるため、フランジの平坦性ならびに最終形状まで曲げられた時の外形寸法はフランジに隙間のない状態で曲げられたものとほぼ同様に成形される。ウェブとフランジの間のコーナー部については成形時に曲げ内側の上ロール1の角に接触した状態で曲げられるため、その曲げ半径は素材の厚みに対して過大となる(図1参照)。
【0018】
板厚に対して過大に成形されたコーナー部は、曲げ加工工程の後半に配置されたウェブとフランジのロールギャップが素材の厚みにほぼ等しく設定され、上ロール1のコーナー半径が素材の厚みに対して適正に設定されたロールで成形することにより、コーナー部が厚みに対して適正な形状に矯正される(図2参照)。製品のフランジ角度が直角の場合、フランジが若干開いた、例えば曲げ角度80度前後の角度のロールでコーナー矯正を実施することが好ましい。
コーナー矯正を行った後フランジ角度を最終の製品角度まで曲げて、必要に応じて残留応力除去、反り・曲がり修正を行った後、素材がコイルの場合は所定長さに切断して溝形断面材を得る。80度前後の角度でコーナー矯正を実施する場合は、夫々の厚みに対する矯正ロールスタンドを成形方向に沿って並べておいて、使用するロールのみロールギャップを素材の厚みに設定して、その他の厚み用のロールについては成形する素材よりも広いロールギャップになるように解放しておくことで、成形する素材の厚みが変わってもロール交換を行う必要がなくなる。
【0019】
コーナー矯正を行った後フランジ角度を最終の製品角度まで曲げる際、フランジ部は隙間がある状態で成形されるが、フランジ部素材は上ロール1と接触することなく、曲げ外側の下ロール2に接触して曲げられる(図3参照)ため、フランジの平坦性ならびに最終形状まで曲げられた時の外形寸法はフランジ部に隙間のない状態で曲げられたものとほぼ同様に成形される。
なお、後段の成形スタンドで90度よりも過度にオーバーベンドに成形する際には、上ロールにフランジ部が入り込むスリットが設けてあり、下ロールはウェブ部の下面を支えるのみのフラットな構造となった成形ロールが用いられるために、上記形態と若干異なる。すなわち、オーバーベンドで曲げ角度が90度以上となる場合には、フランジの外側にフランジ部が入り込むスリットが設けられた上ロールが接触し、次のスタンドでオーバーベンドを戻す際にはフランジの内側が上ロールに接触する。粗成形では一方的にフランジを外側のロールで起こしていくのでフランジのほぼ全面が下ロールに接触するが、オーバーベンド工程では一つのロールで曲げ角度を微調整するのでロールに接触するのはフランジの先端付近のみになる場合が多くなる。
【0020】
さらに素材を溝形断面材に成形するロールを幅方向に2分割し、1段分のロールを2段の両端が支持された上下軸を持つロールスタンドに取付けて2箇所の曲げ加工を別々のロールスタンドで行うようにしてもよい。すなわち、図4,5に示すように、一方のコーナー部を成形するロールスタンド群に対し、他方のコーナー部を成形するロールスタンド群を素材幅方向に移動可能とすることにより、ウェブ幅の異なる溝形断面材についてもロールを交換することなくロール成形することが可能である。図4はウェブ幅が広い場合を示しており、図5はウェブ幅が狭い場合を示している。いずれも(a)に正面図を、(b)に平面図を示している。図4のように幅広ウェブを加工できるように設計配置したロールスタンド群の、図の場合、左側のコーナー部を成形するワークサイドロールスタンド群3を素材幅方向ドライブサイドロールスタンド群4側に移動させることにより、図5に示すように幅狭のウェブを加工することができる。
なお、フランジ長さについては従来法においても素材幅の変更で調整可能であり、以上の手段を組み合わせて使用することにより、1台のロール成形機でロールを交換及びロールの軸方向の取付け位置の調整をすることなく厚みとウェブ幅とフランジ長さが異なる溝形断面材を製造することが可能となる。
【0021】
以上の説明は2箇所の曲げ部を持つ溝形断面材についてのものであるが、溝形断面材のロール成形工程の前に、本発明に基づいたリップの曲げ工程を追加することにより、リップ付き溝形断面材(Cチャンネル材)に適用することも可能である。また、成形は基本的に両端が支持された上下軸を持つロールスタンドで行うが、成形途中の素材の幅方向位置の調整等の目的で垂直に配置された片持ちの軸を有するサイドロールスタンドを併用しても良い。また、成形負荷が少なく必ずしも剛性の高い成形スタンドを必要としない後半のオーバーベンド工程においては溝形鋼のウェブ寸法の変更が容易な、例えば特開平9−76024に開示された片持ち式のロールスタンド、あるいは軸の剛性を犠牲にして軸の伸縮可能とした実開平7−33414に開示されたスタンド等を使用しても良い。
【実施例】
【0022】
実施例1;
表1に示すように板厚4.5mm用に設計された6段のフランジ立て用ロールと、板厚2.3mm用に設計されたフランジ成形兼コーナー矯正用ロールと、板厚4.5mm用に設計されたフランジ立てロール及び最終段を含む5段の板厚4.5mm用に設計されたオーバーベンドロールを、両端を支持された2本の上下軸よりなる全14段の下軸駆動式ロール成形スタンドに取付けた溝形断面材ロール成形装置を用いた。なお、表1中の曲げ角度は、図6に示す通り、ウェブ部の延長線とフランジ部とで形成される角度の設計値を指している。
夫々のロールのウェブ部のロールギャップを板厚に相当する約2.3mmに設定して呼称板厚2.3mm、幅290mmの鋼帯をロール成形し、ウェブ幅200mm×フランジ長さ50mmの溝形断面材を得た。
【0023】
成形された溝形断面材の寸法精度(ウェブ幅、フランジ長さ、ウェブとフランジの角度、コーナー部寸法、先後端の断面形状等)は、全ロールが板厚2.3mm用に設計された成形ロールで成形された溝形断面材と遜色ないものであった。
次いで、前記の成形装置のロールギャップを全て約4.5mmに設定し、さらに板厚2.3mm用に設計されたNo.7段の80度成形ロールのみフランジ部のロールギャップが4.5mmよりも大きくなるように解放して、呼称板厚4.5mm、幅283mmの鋼帯をロール成形し、ウェブ幅200mm×フランジ長さ50mmの溝形断面材を得た。得られた溝形断面材は寸法精度、表面品質等に関して何ら問題のないものであった。
【0024】

【0025】
実施例2;
表1に示したロールの内、成形角度80度までの8組のロールについて、夫々の成形ロールをワークサイドとドライブサイドに2分して200mmのスタンド間隔を隔てて連続する2段の成形スタンドに形鋼のコーナー部の幅方向位置の関係を維持した状態で取付けた表2に示すようなロールが取付けられた全22段のロール成形装置を用いて、実施例1と同様に溝形断面材の成形を行い、板厚2.3mm及び4.5mm×ウェブ幅200mm×フランジ長さ50mmの2種類の溝形断面材を得た。
次いで、ワークサイドの成形ロールが取付けられたNo.2〜16までの偶数段の成形スタンドを幅方向ドライブ側に50mm移動して、さらに各ロールのウェブ部のギャップを成形する素材の板厚に調整し、No.17〜22の6段の成形スタンドについては円周方向の一部に軸の外径より広い切り欠きのある馬蹄形のスペーサーの位置を入れ替えることによりワークサイドの上下のロールを50mmドライブ側に移動した状態で、板厚2.3mm×板幅240mm、及び板厚4.5mm×板幅233mmの鋼帯をロール成形し、板厚2.3mm及び4.5mm×ウェブ幅150mm×フランジ長さ50mmの2種類の溝形断面材を得た。得られた溝形断面材はいずれも寸法精度、表面品質等に関して問題のない品質を有するものであった。
【0026】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が支持された上下軸に成形ロールを取付けたロール成形スタンドを多段配置したロール成形装置によって平坦なウェブの両側にフランジを持つ所定の範囲の厚みの溝形断面材を成形する方法であって、前記ロール成形装置によって成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材が成形可能なように設計されたロールを使用して、成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材よりも厚みの薄い溝形断面材を成形する際、溝形断面材を概略最終形状にまで成形する粗成形領域の後半から、引続いて行われる残留応力除去ならびに寸法精度確保のための仕上げ成形領域の間に、ウェブ及びフランジ部のロール隙間とウェブとフランジに挟まれたコーナー部内側の半径が成形する溝形断面材の厚みに応じて設計された成形ロールを用いてコーナー部の寸法を矯正する工程を挟むことを特徴とする溝形断面材のロール成形方法。
【請求項2】
両端が支持された上下軸に取付けられた、成形する溝形断面材の中で最も厚みの大きい溝形断面材が成形可能なように設計されたロールの上下軸間の距離を調整することによって、成形ロールの形鋼ウェブ部に相当する位置のギャップを成形する形鋼の厚みに合わせる請求項1に記載の溝形断面材のロール成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206173(P2012−206173A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167869(P2012−167869)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2007−242818(P2007−242818)の分割
【原出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(593023785)日新総合建材株式会社 (23)
【Fターム(参考)】