説明

溶接型超音波応力変換器を備えた締結具

【課題】 応力変換器を締結具に搭載するための方法を提供する。
【解決手段】 前記方法は、応力変換器(2)を溶接インサート(6)に固定する段階と、前記インサート(6)を締結具(4)に溶接する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は一般に、試料の応力または歪みの測定と検査に関し、特に超音波応力変換器を締結具に溶接するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在はGEインスペクション・テクノロジーズ社(GE Inspection Technologies)傘下のストレステル・ウルトラソニック・テスティング・エクイップメント(StressTel Ultrasonic Testing Equipment)社発行の「締結具超音波探傷検査の手引き(Guide to Ultrasonic Inspection of Fasteners)」に記載されているように、同社のボルトマイク(BOLTMIKE(商標))システムは、音波が締結具の長さに沿って伝播するのに要する時間を、引張力が該締結具に加えられる前後に測定し、締結具に加わる荷重を判断する。しかし、締結具を測定する前に、該締結具を超音波検査のために適正に下準備しなければならない。例えば、変換器の適正な結合には非常に平滑な表面が重要であり、そのためには適切な接触媒質を施されなければならない。さらに、変換器をボルト頭またはスタッド端部上に堅実に配置することによって、計器の精度と繰り返し性とが向上する。
【0003】
変換器を確実に適切配置するために、いくつかの方法が用いられてきた。最も一般的な方法は、ボルト頭の中央に配置される磁気変換器を用いるものである。貼付形超音波張力センサは、ミシガン州トロイ市のマイクロコントロール社(MicroControl Inc.)から入手可能であり、インテリファスト社(Intellifast Gmbh)からは、恒久取付型変換器システムが提供されている。インテリファスト社(Intellifast)自身が開示するプラズマ溶射「スパッタリング」手順は、世界知的所有権機構WO2007124924公報およびWO2006015813公報に明示されているように、恒久取付型圧電薄膜層をボルト上に適用するものである。しかし、上述およびその他の従来式の応力変換器の構成の多くは煩雑であり、多くのコストと時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報第2006/015813号
【特許文献2】国際公開公報第2007/124924号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、応力変換器を溶接インサートに固定する段階と、インサートを締結具に溶接する段階とを含む、圧力変換器を締結具に搭載するための装置および方法を提供することにより、様々な実施形態において、このような従来方法による上述およびその他の態様に対処する。
【0006】
以下に、本発明による技術にかかる様々な態様を、添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面は必ずしも実寸に則しているとは限らないが、全図面を通して同様のパーツには同様の参照番号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】超音波応力変換器を締結具に搭載するための方法にかかる略分解断面図である。
【図2】図1に示す変換器と溶接インサートとの拡大図である。
【図3】図1に示す方法にかかる略組立断面図である。
【図4】超音波応力変換器を締結具に搭載するためのその他の方法にかかる略分解断面図である。
【図5】図4に示す変換器と溶接インサートとの拡大図である。
【図6】図4に示す組立済み締結具の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、変換器2を締結具4の一方または両方の端部に搭載するための方法にかかる略分解断面図である。本明細書に記載の例示的な実施形態において、前記変換器2は、超音波応力変換器等の応力変換器であり、前記締結具4は、ボルトである。しかし、変換器2および/または締結具4として他に、圧電変換器、温度変換器、放射線変換器、ロッド、ピン、リベット、鉄筋コンクリート用棒鋼等といった様々なものを用いることができる。変換器2は、センサおよび/または送信励振器を含んで良い。前記励振器はまた、センサと別途に設けられていても良い。例えば、送信器は、必ずしも締結具4に固定されていなくて良い。
【0009】
前記変換器2は、図2により詳細に示すように、溶接インサート6に固定される。例えばインサート凹部8が、変換器2を受けるようインサート6の一方の端部に形成される。インサート6の他方の端部はさらに、円錐状の先端部10を含んで良いが、該端部は扁平状、半球状または楕円形状等のその他の先端形状を有しても良い。前記先端部は、さらにまた、図4〜6に示す比較的長い先端部のように、様々な長さおよび/またはテーパ角を有して良い。
【0010】
インサート6の先端部10はさらに、該インサートの残りの部分を形成する材料よりも高い融点を有する材料を含んで良い。インサート6は、クロム合金鋼等の非腐食性材料をはじめとする様々な材料によって形成される。それに代わって、またはそれに加えて、インサート6は、亜鉛めっきボルト等に用いられるような亜鉛合金製あって良い。
【0011】
締結具4は、インサート6の先端部10を受けるための締結具凹部12を随意的に備えて良い。この締結具凹部12は、適切なシーラントまたはフラックス等の任意の防食剤により満たされる。締結具凹部12はさらに、図4〜6に示すように、先端部10の形状に沿って構成されて良い。
【0012】
インサート6と変換器2とは、摩擦圧接、電気抵抗溶接、ろう付けおよびはんだ付け等の何らかの溶接工程により締結具4に固定される。例えば、摩擦圧接工程を示す図3から最もよくわかるように、変換器2を有するインサート6は、回転ビット14内に固定される。このビット14を、締結具凹部12に向かって適切な速度および圧力で回転させながら下降させると、少なくともインサート6の先端部が溶融するとともに、前記インサートが締結具4に接着される。さらに、締結具凹部12に液体16を供給し、上述の溶接工程後の冷却および/またはフラッシングを行う。
【0013】
上述の技術は、応力変換器を有する従来式締結具を上回る様々な利点を提供する。前記工程は例えば、従来技術よりも簡便、低費用かつ容易に実施可能である。その結果、特定の用途では単一の基準ボルトのみにおいて用いられていた応力変換器を、より多くのボルトに適用することが可能になる。
【0014】
なお、上述の実施形態、および特にあらゆる「好ましい」実施形態においては、本発明による技術により想起可能な様々な実施形態を例示したに過ぎない。添付の特許請求の範囲により定義され、保護される本発明の精神から本質的に逸脱しない限り、本発明にはさらなる多様な改変が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力変換器(2)を締結具(4)に搭載するための方法であって、
前記変換器を溶接インサート(6)に固定する段階と、
前記インサート(6)を前記締結具(4)に溶接する段階とを含む方法。
【請求項2】
前記溶接は、摩擦圧接、電気抵抗溶接、ろう付け、およびはんだ付けからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶接は、摩擦圧接である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記締結具(4)に、前記変換器(2)を受けるための凹部(8)を形成する段階をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
締結具(4)に溶接されるインサート(6)と、
前記インサート(6)に固定される応力変換器(2)とを有する装置。
【請求項6】
前記インサートは、
前記変換器(2)を受けるよう、一方の端部に配置されるインサート凹部(8)と、
前記一方の端部とは反対側の他方の端部に配置される円錐状先端部(10)とをさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記一方の端部は、前記締結具および前記インサートの残りの部分よりも低い融点を有する材料からなる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記インサート(6)が溶接された締結具(4)をさらに含む、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記インサート(6)は前記締結具(4)に摩擦圧接される、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−195984(P2009−195984A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33363(P2009−33363)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】