説明

溶接部の異常検出方法

【課題】溶接部の異常の有無を高い精度で検出することができる溶接部の異常検出方法を提供する。
【解決手段】溶接部5の異常検出方法は、AE波を発生させる振動発生部11をスピンドル3におけるテーパ部3bの外周面に配置すると共に、AE波を検出する振動検出部12をシャフト本体2の外周面に配置する配置工程と、振動発生部11からAE波を発生させ、スピンドル3から溶接部5を通ってシャフト本体2に伝播したAE波を振動検出部12によって検出する検出工程と、振動検出部12からの出力信号に基づいて、溶接部5における異常の有無を判定する判定工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のアクスルにおける溶接部の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接部の異常の有無を検出する方法が多く開示されている。例えば特許文献1には、音響放出による溶接欠陥の検知方法について記載されており、特に溶接中のアークの後方で冷却中の溶接金属中から生ずる音響放出音を検出することにより、内部欠陥とその位置を検知する方法が開示されている。この検知方法によれば、例えば高温割れといった溶接欠陥について、欠陥の程度および位置を非破壊的に、かつ、リアルタイムで検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−143264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象となる溶接部としては、上記文献1に記載された形状の母材の他、例えばトラック等の特装車両のアクスルの溶接部がある。このようなアクスルは、車両の走行に関わる重要な部品のため、溶接部の異常の有無を高い精度で検知することが求められている。しかしながら、上記アクスルの溶接部は、例えば、シャフト本体とスピンドルとの当接部分に形成され、スピンドルにはハブ等を取り付けるためのテーパ部が存在するため、溶接部の異常の有無を精度よく検出するには一定の工夫が必要となる。
【0005】
本発明は、アクスルにおける溶接部の異常の有無を高い精度で検出することができる溶接部の異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の溶接部の異常検出方法は、筒状のシャフト本体の端部にシャフト本体側に向かって大径となるテーパ部を有するスピンドルを溶接してなるアクスルの溶接部の異常の有無を検出する溶接部の異常検出方法であって、固体伝播振動を発生させる振動発生手段をスピンドルにおけるテーパ部の外周面に配置すると共に、固体伝播振動を検出する振動検出手段をシャフト本体の外周面に配置する配置工程と、振動発生手段から固体伝播振動を発生させ、スピンドルから溶接部を通ってシャフト本体に伝播した固体伝播振動を振動検出手段によって検出する検出工程と、振動検出手段からの出力信号に基づいて、溶接部における異常の有無を判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この溶接部の検出方法では、溶接部を挟んで振動発生手段と振動検出手段とを配置し、スピンドルから溶接部を通ってシャフト本体に伝播した固体伝播振動を検出する振動検出手段からの出力信号に基づいて溶接部における異常の有無を判定する。ここで、本発明では、振動発生手段が、ハブ等を取り付けるために他の部分に比べて外周面の平坦度が高くなるように処理されたテーパ部に配置される。これにより、スピンドルに固体伝播振動を入力する際の減衰を抑制することができるので、振動検出手段において、スピンドルから溶接部を通ってシャフト本体に伝播した固体伝播振動の減衰状況を鮮明に検出することができる。この結果、アクスルにおける溶接部の異常の有無を高い精度で検出することが可能となる。
【0008】
また、本発明の溶接部の異常検出方法では、振動発生手段は、テーパ部における溶接部側の端部に配置されていることが好ましい。これにより、振動発生手段とスピンドルにおける溶接部と反対側の端部との距離が確保されるので、振動検出手段において、振動発生手段から直接伝播する固体伝播振動の検出と、スピンドルにおける溶接部と反対側の端部で反射して伝播する固体伝播振動の検出に時間差が発生する。この結果、上記反射した固体伝播振動を容易に排除することが可能となり、溶接部の異常の有無を検出する精度をさらに向上させることができる。
【0009】
また、本発明の溶接部の異常検出方法では、振動検出手段の位置を固定し、振動発生手段の位置をテーパ部の外周面の円周方向に沿って変えながら、検出工程を複数回実行することが好ましい。また、本発明の溶接部の異常検出方法では、振動発生手段の位置を固定し、振動検出手段の位置をシャフト本体の外周面の円周方向に沿って変えながら、検出工程を複数回実行することが好ましい。また、本発明の溶接部の異常検出方法では、振動発生手段の位置を固定し、振動検出手段をシャフト本体の外周面の円周方向に沿って複数の箇所に設置し、検出工程を実行することが好ましい。これにより、筒状アクスルの溶接面に沿って複数のデータを取得することが可能となり、溶接部の異常の有無を検出する精度をさらに向上させることができる。
【0010】
また、溶接部の異常検出方法では、判定工程は、出力信号の移動平均値の標準偏差に基づく標本線を設定し、出力信号が標本線の値に一致した回数に基づいて、溶接部における異常の有無を判定することが好ましい。これにより、振動検出手段からの出力信号を特徴化することができるので、振動検出手段からの出力信号と、健全な溶接部を計測した場合の信号との差が小さい場合であっても、出力信号が標本線の値に一致した回数に基づいて溶接部における異常の有無を判定できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクスルにおける溶接部の異常の有無を高い精度で検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な一実施形態に係る溶接部の異常検出方法の対象となるアクスルの概略図である。
【図2】図1のアクスルの溶接部近傍を拡大した断面図である。
【図3】本発明の好適な一実施形態に係る溶接部の異常検出方法を実行するシステムの機能構成を示したブロック図である。
【図4】図3の振動検出部から出力される信号の一例を示す図である。
【図5】図3の判定部における波形解析を説明する図である。
【図6】本発明の好適な一実施形態に係る溶接部の異常検出方法を示すフローチャートである。
【図7】図3の振動検出部から出力される信号の一例を示す図である。
【図8】図3の判定部における波形解析結果を説明する図である。
【図9】本発明の他の好適な一実施形態に係る溶接部の異常検出方法を説明する図である。
【図10】図9で示す異常検出方法において取得する出力信号および波形解析結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な一実施形態に係る溶接部の異常検出方法について、図1〜図8を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本発明の溶接部の異常検出方法の検査対象となるアクスル1を示す概略図である。
【0014】
本発明の溶接部の異常検出方法の対象となるアクスル1は、トラック等の特装車両の走行装置における車軸である。このアクスル1は、図1、図2に示すように、筒状のシャフト本体2の端部にシャフト本体2側に向かって大径となるテーパ部3bを有するスピンドル3を溶接して形成されている。シャフト本体2は、例えば、9mmの厚みを有する中空円筒状の部材である。スピンドル3は、シャフト本体2と接合される部分である接合部3aと、筒径がシャフト本体2側に向かって大きくなるように変化するテーパ部3bと、外周面にハブを取り付けるための部分である取付部3cとを有している。テーパ部3bおよび取付部3cの外周面は、切削等によって加工され、表面が整形されており、一方で接合部3aの外周面は、高さ4mm程度の余盛を有する溶接ビードがグラインダー仕上げされている。このため、両者の表面性状には大きな差のあることが明らかである。
【0015】
スピンドル3とシャフト本体2との溶接は、例えば、溶接ロボットを用いた自動溶接によって行われる。この溶接は、例えば図2に示すように、スピンドル3の開先部3dとシャフト本体2の開先部2aとを互いに突合わせ、突合わせた位置の内周面側に裏あて部材4を設け、外周面側から溶接ロボットのトーチが当てられる。そして、開先部3d,2aを互いに突合わせた接合面に沿って、トーチあるいはアクスルを形成する部材を回転させることによって、スピンドル3の端部とシャフト本体2の端部との間に、円周状の溶接部5が形成される。また、スピンドル3とシャフト本体2との溶接は、外周面に沿って2周させることが好ましい。
【0016】
以下、上述したようなスピンドル3とシャフト本体2とが溶接してなるアクスル1における溶接部5の異常の有無を検出する検査システム10と、異常の有無を検出する方法とについて、図3〜図8を用いて説明する。
【0017】
検査システム10は、図3に示すように、振動入力部(振動発生手段)11と、振動検出部(振動検出手段)12と、信号処理部13と、判定部15とを含んで構成されている。
【0018】
振動発生部11は、スピンドル3におけるテーパ部3bの外周面に固定された、固体伝播振動を入力する部分である。振動発生部11としては、例えば、パルス発生器を採用することができ、その場合、例えば、100〜500ns周期(パルス幅)でAE波を入力する。
【0019】
振動検出部12は、スピンドル3と溶接部5を挟んだシャフト本体2における外周面に固定されており、スピンドル3から溶接部5を通ってシャフト本体2に伝播してくる固体伝播振動をシャフト本体2で検出する部分である。振動検出部12としては、例えば、AE(Acoustic Emission)センサを採用することができ、その場合、例えば、152.34kHzをピーク周波数(中心出力)とするAE波を検出する。そして、振動検出部12は、検出したAE波の強度に対応する出力信号を、例えば、帯域周波数が、40kHz〜1.2MHzであるアンプ(図示せず)を介して信号処理部13に出力する。
【0020】
図4は、振動検出部12から出力される信号の一例を示す図である。振動検出部12は、溶接部5に異常がない場合(健全な場合)には、溶接部5を伝播するAE波の減衰が小さく、例えば図4(a)に示すように、最初に振幅のピークがあって次第に小さくなるような信号を出力する。一方、振動検出部12は、溶接部5に異常がある場合には、例えば図4(b)に示すように図4(a)に比べて振幅が小さい信号を出力する。なお、図4(b)に示す出力信号の波形パターンは、図4(a)に示す出力信号の波形パターンと比較すると、振幅のみが減少した略相似形となっている。
【0021】
信号処理部13は、振動検出部12において検出された出力信号から、溶接部5における異常の有無の判定に必要な判定値を抽出する部分である。信号処理部13は、後述する判定部15が、溶接部5の異常の有無を判定するにあたって客観的に判定を行えるようにするために、波形処理解析によって出力信号を特徴化する。
【0022】
以下、信号処理部13が行う処理の一つである波形処理解析について説明する。この波形処理解析では、まず、図5に示すように、所定抽出幅における出力信号の移動平均値μを求める。次に、移動平均値μの標準偏差σに基づいて標本線を設定する。標本線は、標準偏差σを所定倍することによって得ることができる。例えば、図5に示すように、標準偏差σを、−3.0倍、−1.5倍、+1.5倍、+3.0倍することによって、−3σの標本線、−1.5σの標本線、+1.5σの標本線、+3.0σの標本線を得ることができる。次に、出力信号が、所定の標本線(例えば、+3σの標本線)の値に一致する回数を算出する。信号処理部13は、この回数を判定値とし、判定部15に出力する。
【0023】
判定部15は、信号処理部13において算出された出力信号が標本線の値に一致した回数に基づいて、溶接部5における異常の有無を判定する部分である。判定部15は、出力信号が標本線の値に一致した回数が基準データを満たす場合、溶接部5に異常がないと判定し、出力信号が標本線の値に一致した回数が基準データを満たさない場合、溶接部5に異常があると判定する。基準データは、健全な溶接部を伝播するときに得られる時系列波形について波形解析をした結果に基づいて設定されたものであり、データベース部14に格納されている。
【0024】
以下、溶接部5における異常の有無の検出方法について説明する。図6に示すように、最初に、検査の対象となるアクスル1に振動発生部11と振動検出部12とを配置する(ステップS1:設置工程)。この配置工程では、スピンドル3におけるテーパ部3bの溶接部5側の端部の外周面に振動発生部11を配置し、溶接部5を挟んでシャフト本体2の外周面に振動検出部12を配置する。
【0025】
次に、振動発生部11からの固体伝播振動の発生を開始し、スピンドル3から溶接部5を通ってシャフト本体2に伝播したAE波を振動検出部12によって検出する(ステップS2:検出工程)。なお、固体伝播振動の周期は、例えば、150nsとする。
【0026】
次に、振動検出部12において取得された出力信号から溶接部5における異常の有無の判定に必要な判定値を抽出する(ステップS3)。具体的には、まず、所定抽出幅(図7の例では、AE波の入力周期である150ns)における移動平均値μを求め、移動平均値μに基づく標準偏差σを算出する。次に、算出した標準偏差σを所定倍(図7の例では、標準偏差σの3倍)することによって得られる標本線を設定する。そして、出力信号が当該標本線の値に一致する回数を算出し、図8(a)に示すように判定値を取得する。なお、図8(a)は、図7に示す時系列波形の中からM1に該当する波形(0.045s〜0.06s)のみを波形解析した結果を示している。
【0027】
次に、判定値に基づいて、溶接部5における異常の有無を判定する(ステップS4)。具体的には、図8(a)に示すように、+3σの標本線に対して、出力信号が標本線の値に一致した回数が1回でもあれば、当該溶接部5には異常がないと判定する。一方、図8(b)に示すように、+3σの標本線に対して、出力信号が標本線の値に一致することがない場合、当該溶接部5には異常があると判定する。なお、ここでは、標本線3σに対して出力信号が標本線の値に一致した回数が1回以上あることを溶接部5における異常の有無の判定基準としたがこれに限定されるものではなく、健全な溶接部を伝播するときに得られる時系列波形を波形解析した結果に基づいて、標本線ごとに値を設定することができる。
【0028】
以上に示す溶接部5の異常検出方法では、ハブ等を取り付けるために他の部分に比べて外周面の平坦度が高くなるように処理されたテーパ部3bに振動発生部11が配置されるので、振動発生部11によって固体伝播振動が入力される時の減衰が抑制される。これにより、振動発生部11は、振幅幅の大きいAE波をスピンドル3に入力することが可能となり、溶接部5を伝播する際のAE波の減衰状況をより明確に検出することが可能となる。この結果、アクスル1における溶接部5の異常の有無を高い精度で検出することが可能となる。
【0029】
さらに、本実施形態では、金属材料内を多方向に伝播するAE波を使用しているので、超音波探傷における斜角探傷のように、方向性が出てしまう音波等では形成状態(形状、向き)によって検出することが難しいブローホール等も容易に検出することができる。すなわち、超音波探傷では、細長く形成されたブローホールに、長手方向から音波を入射させた場合に精度よく検出できないのに対し、本実施形態の検出方法では、方向性を持たないAE波を使用しているので、アクスル1における溶接部5の異常の有無を容易に検出することができる。また、X線検査のような特殊な設備を設けることなくアクスル1における溶接部5の異常の有無を簡易に検出することができる。
【0030】
また、本実施形態では、テーパ部3bの中でも、溶接部5側の端部に振動発生部11が配置される。これにより、振動発生部11とスピンドル3における溶接部5と反対側の端部との距離を確保することができるので、振動検出部12において、振動発生部11から直接伝播する固体伝播振動の検出と、スピンドル3における溶接部5と反対側端部で反射して伝播する固体伝播振動の検出とに時間差を生じさせることができる。この結果、上記反射した固体伝播振動を容易に排除することが可能となり、溶接部5の異常の有無を検出する精度をさらに向上させることができる。
【0031】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0032】
上記実施形態の溶接部5の異常検出方法では、ステップS2の検出工程において、振動検出部12をシャフト本体2の外周面における1箇所で固体伝播振動を検出する例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS2の検出工程では、振動発生部11を固定し、振動検出部12をシャフト本体2の外周面の円周方向に沿って移動させながら複数回、固体伝播振動を検出してもよい。
【0033】
具体的には、図9に示すように、振動検出部12をシャフト本体2の外周面の円周方向に沿って移動させ、4箇所(0度、90度、180度、270度)の位置で固体伝播振動を取得する。このとき、振動検出部12で取得された出力信号から、図10(a)に示すような、横軸を時間(s)、縦軸を電圧(v)とする時系列波形を取得する。そして、上記実施形態と同様に、判定部15は、所定抽出幅における移動平均値μを求め、標準偏差σを3倍することによって得られる標本線を設定し、図10(a)、図10(b)に示すように、出力信号がこの標本線の値に一致する回数を算出する。そして、図10(a)に示すように、+3σの標本線の値に1回でも一致することが各検出点(0度、90度、180度、270度)において検出された場合には、当該溶接部5には異常がないと判定してもよい。一方、図10(b)に示すように、+3σの標本線の値に一致することが各検出点(0度、90度、180度、270度)において検出されない場合には、当該溶接部5に異常があると判定してもよい。
【0034】
これにより、アクスルの溶接面に沿って複数のデータを取得することが可能となり、断面において溶接の状態にバラつきのある場合であっても、溶接部5の異常の有無を検出することが可能となる。この結果、溶接部5の異常の有無を検出する精度をさらに向上させることができる。
【0035】
さらに、各検出点と減衰状態との組み合わせに基づいて、溶接部5のさらに詳しい異常状況を判定することも可能である。例えば、図10(a)に示すように、一般的には、振動発生部11と各検出点(0度、90度、180度、270度)との距離に比例してAE波の減衰が小さくなる。これに対して、各検出点(0度、90度、180度、270度)におけるAE波の減衰の大きさが、270度、180度、90度、0度という順番の場合、振動発生部11と検出点(270度)との間に異常があると判定する。また、多点計測による有効性として、0度、90度、180度、270度の位置にAEセンサをそれぞれ配置し(計4つ)、それぞれの波形を同時に解析し、波形の変化を捉えることによって、溶接不良の発生位置を90度刻みで特定することができる。
【0036】
なお、上記方法では、ステップS2(検出工程)において、振動検出部12をシャフト本体2の外周面の円周方向に沿って移動させて、複数の箇所で固体伝播振動を検出する例を挙げて説明したが、これに限られるものではなく、各検出点(0度、90度、180度、270度)にそれぞれ振動検出部12を設けてもよい。また、振動検出部12を固定して、振動発生部11をスピンドル3の外周面の円周方向に沿って移動させながら、固体伝播振動を複数回検出するようにしてもよい。また、各検出点は、上記に示した0度、90度、180度、270度の4箇所に限らず、例えば、8箇所、12箇所等であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態の溶接部5の異常検出方法では、標本線を設定するにあたり標準偏差σを3倍した3σを設定したがこれ限定されるものではなく、例えば、標準偏差σを1.5倍した1.5σや標準偏差σを6倍した6σ等を設定してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…アクスル、2…シャフト本体、2a…開先部、3…スピンドル、3a…接合部、3b…テーパ部、3c…取付部、3d…開先部、5…溶接部、10…検査システム、11…振動入力部、12…振動検出部、13…信号処理部、14…データベース部、15…判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシャフト本体の端部に前記シャフト本体側に向かって大径となるテーパ部を有するスピンドルを溶接してなるアクスルの溶接部の異常の有無を検出する溶接部の異常検出方法であって、
固体伝播振動を発生させる振動発生手段を前記スピンドルにおける前記テーパ部の外周面に配置すると共に、前記固体伝播振動を検出する振動検出手段を前記シャフト本体の外周面に配置する配置工程と、
前記振動発生手段から前記固体伝播振動を発生させ、前記スピンドルから前記溶接部を通って前記シャフト本体に伝播した前記固体伝播振動を前記振動検出手段によって検出する検出工程と、
前記振動検出手段からの出力信号に基づいて、前記溶接部における異常の有無を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする溶接部の異常検出方法。
【請求項2】
前記振動発生手段は、前記テーパ部における前記溶接部側の端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の溶接部の異常検出方法。
【請求項3】
前記振動検出手段の位置を固定し、前記振動発生手段の位置を前記テーパ部の外周面の円周方向に沿って変えながら、前記検出工程を複数回実行することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部の異常検出方法。
【請求項4】
前記振動発生手段の位置を固定し、前記振動検出手段の位置を前記シャフト本体の外周面の円周方向に沿って変えながら、前記検出工程を複数回実行することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部の異常検出方法。
【請求項5】
前記振動発生手段の位置を固定し、前記振動検出手段を前記シャフト本体の外周面の円周方向に沿って複数の箇所に設置し、前記検出工程を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部の異常検出方法。
【請求項6】
前記判定工程は、前記出力信号の移動平均値の標準偏差に基づく標本線を設定し、前記出力信号が前記標本線の値に一致した回数に基づいて、前記溶接部における異常の有無を判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶接部の異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−53188(P2011−53188A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204897(P2009−204897)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】