説明

溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置

【課題】 産業廃棄物の溶融処理施設における逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1に付着する溶融ダスト6の固形化物の付着を防止し、逆U字管5の閉塞に伴う操業停止を生じさせることなく安定操業を行うことが可能な溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置を提供する。
【解決手段】 その方法は、逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1の手前側でその内部を通過する排ガスFに液体13を噴霧することにより排ガスFに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで急冷することを特徴とし、その装置は逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1の手前側に配置した噴霧手段と、出口付近5a3の温度を測定する温度検出手段と、検出された温度に基づいて液体の噴霧量を制御する制御手段とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置に関し、さらに詳しくは、自動車シュレッダーダスト(ASR)、家電シュレッダーダストをはじめとする鉛、亜鉛、銅等の金属と塩素源となる塩化ビニル等の塩素系樹脂が混入した産業廃棄物を溶融処理したときに発生する排ガスを急冷塔に移送する際に逆U字管の内壁に溶融ダストが溶着固化するのを防止する溶融ダスト付着防止方法及びそれを実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車シュレッダーダスト(ASR)、家電シュレッダーダストのような、鉛、亜鉛、銅等といった金属と塩素源となる塩化ビニル等の塩素系樹脂が混入した産業廃棄物を溶融処理する設備として、流動層式ガス化炉と溶融炉とを備えた産業廃棄物の溶融処理施設が知られている(特開平11−302748号公報(特許文献1))。
【0003】
特許文献1は、産業廃棄物中の有価金属の回収を目的としてなされたものであり、その概略構成を示す図1に示された溶融処理施設に産業廃棄物を投入し、処理を行っている。まず、この溶融処理施設に基づく産業廃棄物の溶融処理工程を説明する。
【0004】
初めに、図1に示すように、中和滓A1を第1の貯蔵所1に貯蔵し、金属を含む産業廃棄物A2等を別の第2の貯蔵所2に貯蔵する。
第1の貯蔵所1から中和滓A1と粉砕した形で入荷した産業廃棄物A2等と同時に供給コンベアー3によりに供給フィーダー4に投入し、供給フィーダー4から一定量を流動層式ガス炉11に投入する。
ここで、産業廃棄物A2には、自動車、家庭電化製品等をシュレッダーで処理したCu、Fe、Al、Pb、Zn等の有価金属とプラスチックを含むシュレッダーダスト、工業用の廃プラスチック、ウレタン等が含まれる。
【0005】
流動層式ガス化炉11では、さらに図1に示すように、投入された産業廃棄物A2等と中和滓A1が、流動床12から押し込まれる空気Cによりガス化炉11内で流動層を形成して循環している。ガス化炉11内では、産業廃棄物A2中の廃プラスチックの燃焼を制御しつつ、廃プラスチックを熱分解しガス化する。
ガス化炉11内で細粒化されない中和滓と蒸気圧が低いCu、Fe、Al等の有価金属を含む第1の不燃物は流動床12の脇からガス化炉11外に回収される。さらに、ガス化炉11内で生成された熱分解ガスE、粉砕されたCu2Oを含む100〜250μmの直径の中和滓と廃プラスチックから分離した蒸気圧の高い有価金属の第2の不燃物が溶融炉21に直接移送される。
【0006】
溶融炉21では、熱分解ガスE等が移送されると同時に、空気を供給し空気比約1.3に調整し燃焼させる。燃焼は1,200〜1,400℃の温度で行う。熱分解ガスEは、燃焼して排ガスFとなり図2に示すように、排ガス排出口22から排出する。
【0007】
ここで、排ガスFの温度が250〜500℃の範囲にあるとダイオキシン等の有害物質が再合成されることを考慮し、この温度範囲にある時間を少なくして有害物質の再度の生成を防止すべく、溶融炉21からの排ガスFに、廃液分解塔26で廃液Lを噴霧し、さらに急冷塔41で冷却水を噴霧して排ガスFを冷却している。
【0008】
さらに、製錬で生ずる廃液には金属イオンや酸が含まれ、一般下水で生ずる廃液には、無機物、有機物等が残存するが、これらは焼却処理することが望ましいことから、廃液分解塔26で廃液Lを熱分解処理する工程を含ませている。廃液Lは、高温度に曝すことにより有機物等と酸等は分解し、無機物と金属イオン等は酸化物にしてバグフィルター51で回収している。尚、特許文献1では、溶融炉21から回収したスラグGを電気式保持炉31で精錬する工程を含んでいる。
【0009】
前記特許文献1では、溶融炉21から排出される排ガスFは、廃液分解塔26を経由して急冷塔41に移送されているが、図3に示すような逆U字管5を介して溶融炉21から急冷塔41への排ガスFの移送を行う。
【0010】
溶融炉21では、前記のように熱分解ガスEが1,200〜1,400℃の温度で燃焼している。図3に示すような逆U字管5を用いた場合、燃焼後の排ガスFは、急冷塔41へ到達するまでに徐々に冷却される。例えば、ベンド部5aの入り口付近5a1での温度が1,100〜1,400℃で、ベンド部5aの頂部付近5a2を通過した後の出口付近5a3での温度が1,100〜1,300℃の如くである。
【0011】
ここで、排ガスFは、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等を成分とする溶融ダストを含んでいる。この溶融ダストの平均的な融点は1,050℃程度(950〜1,100℃)である。また、前記のように排ガスFが前記ベンド部5aの入り口付近5a1、頂部付近5a2、出口付近5a3と流れると、ベンド部5aの頂部付近5a2、中でも、頂部付近5a2の小径側内壁付近では、温度の低下、流速が変わる等の影響を受け、図4で拡大して示したように、徐々に溶融ダスト6が逆U字管5の内壁に付着する。
【0012】
このように付着した溶融ダスト6は、排ガスFの温度低下等に起因及び温度上昇による溶融等により徐々に付着するもので、逆U字管5の内壁へこびりつく様に付着し、しかもそれは非常に硬い。この為、排ガスFの流通量が増すに従って、溶融ダスト6は図3に示すように積層状に付着し、徐々に逆U字管5を閉塞していく。14日間の操業でベンド部5aの50%が閉塞することもあった。逆U字管5が閉塞されれば排ガスFが流れないことになり問題であった。
【0013】
このような問題を解決するために、従来は、エアピック等を用いて付着した溶融ダスト6を剥離し、除去しなければならなかった。この剥離、除去作業は、7〜14日毎に溶融処理施設を停止して行わなければならず、連続操業の妨げとなり問題であった。
【0014】
そこで、逆U字管5のベンド部5aの頂部からその内壁に向かって液体を噴射し、排ガスFを当該排ガスFに含まれる溶融ダスト6成分の融点以下まで急冷することによって溶融ダスト6を逆U字管5の内壁に付着する間もなく固化させて粒状(粒径0.1〜2mm程度)の粒状固化ダストとし、それによって溶融ダスト6の付着の防止を図ることが提案された(特開2005−273968号(特許文献2))。
【特許文献1】特開平11−302748号公報
【特許文献2】特開2005−273968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献2に開示された方法によって逆U字管5のベンド部5aの内部における溶融ダスト6の付着物の付着は改善された。しかし、この方法によると、今度は逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1で溶融ダスト6の付着物が付着することが確認され、その部分で逆U字管5の閉塞を生じさせるおそれがあることがわかった。但し、今回の溶融ダストの付着物は従来のような硬い付着物とは異なり、比較的柔らかい付着物であることもわかった。
【0016】
また、処理すべき産業廃棄物の種類によってそれを構成する成分の組成が大きく異なので処理原料の性状が常に均一ではなく、従って、燃焼処理する炉内の熱変動が激しかった。そのため、燃焼処理における温度管理、特に、排ガスの温度管理は容易ではなかった。
【0017】
そこで、本発明は、これまでの方法をさらに改良し、逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1における溶融ダスト6の固形化物の付着を防止し、逆U字管5の閉塞に伴う操業停止を生じさせることなく安定操業を行うことが可能な溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、逆U字管5内に堆積した粒状固形ダストを簡単に除去することができ、しかも、その回数をこれまでより減らしつつ安定操業が可能な溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、産業廃棄物の溶融処理施設におけるガス化炉及び溶融炉の下流に配置した廃液分解塔及び急冷塔に排ガスを移送する逆U字管の内壁に溶着する溶融ダストの付着防止方法であって、逆U字管のベンド部の入り口の手前側でその内部を通過する排ガスに液体を噴霧することにより排ガスに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで冷却して粒状固化ダストとすることを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の溶融ダストの付着防止方法において、逆U字管のベンド部の出口付近の温度に基づいて液体の噴霧量を制御することにより、排ガスに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで急冷することを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の溶融ダストの付着防止方法において、液体の噴霧は、噴霧量の異なる噴霧手段を組み合わせて行うことを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の本発明は、請求項1から3いずれか1項に記載の溶融ダストの付着防止方法において、液体は廃液であることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置であって、産業廃棄物の溶融処理施設におけるガス化炉及び溶融炉の下流に配置した急冷塔に排ガスを移送する逆U字管のベンド部の入り口の手前側でその内部を通過する排ガスに液体を噴霧することにより排ガスに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで冷却して粒状固化ダストとするための1又は複数の噴霧手段と、逆U字管のベンド部の出口付近の温度を測定する温度検出手段と、そして、温度検出手段によって検出された温度に基づいて液体の噴霧量を制御する制御手段とを備えてなる溶融ダストの付着防止装置を提供する。
【0024】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置であって、さらに、逆U字管内に堆積した溶融ダストの粒状固形化ダストをエアーで除去するためのエアー噴射手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、これまでとは異なり、逆U字管のベンド部の入り口の手前側でその内部を通過する排ガスに液体を噴霧して排ガスを冷却することによって、排ガスに含まれる溶融ダスト成分が逆U字管の内壁に溶着する前に粒状固形化ダストとすることとしたため、溶融ダストが逆U字管のベンド部のみならずその入り口付近においても付着することがなく逆U字管の内壁の閉塞を効果的に防止することができるという効果がある。
【0026】
また、本発明によれば、逆U字管のベンド部の出口付近の温度に基づいて液体の噴霧量を制御し、また噴霧量の異なる噴霧手段を組み合わせて行うこととしたので、排ガスの温度管理を容易に行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る溶融ダストの付着防止方法及びそれを実施するための装置について好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図6は本発明に係る溶融ダストの付着防止方法の好ましい一実施形態のフローチャート、図7はそれを実施するための装置を示す断面図である。
【0028】
図7に示すように、本発明に係る溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置は、概略として、溶融炉21と急冷塔41とを繋ぐ逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1の手前側にその内部を通過する排ガスFに液体13を噴霧する液体噴霧ノズル7a、7bと、エアー噴射ノズル8が配設されて構成されている。逆U字管5は直径およそ1mの円筒状をなし、入り口付近5a1と出口付近5a3は略垂直方向に直線状に立設され、それらがU字状のベンド部5aによって連結され頂部付近5a2が形成されている。
【0029】
液体噴霧ノズル7a、7bはそれぞれ噴霧量の異なる2種類のものが逆U字管5の円周方向に沿って等間隔に4本配置されている。本実施形態では、4本の液体噴霧ノズル7a、7bが設けられているが、実際の使用に際してはこれに限定されるものではなく、噴霧量の異なる大小の2種類の液体噴霧ノズル7a、7bを単独で又はそれぞれ組み合わせて用いることができる。例えば、噴霧量の異なる大小2種類の液体噴霧ノズル7a、7bがある場合、大1本のみ又は小2本を用いるものの他、大2本と小1本の3本としたり、小2本と大1本の3本としたりすることができる。もちろん、液体噴霧ノズル7a、7bの全体の配置数とその組み合わせは自由に選択することが可能である。尚、液体噴霧ノズル7a、7bを配置する位置は逆U字管5の円周上に配置することに限定されるものでははく、上下方向にあるいはらせん状に配置することも可能である。このように、噴霧量の異なる2種類の液体噴霧ノズル7a、7bを使い分けることでスプレー後工程(廃液処理)においての温度管理を容易に行うことが可能となる。
【0030】
このような構成により、逆U字管5へ導入される1,100〜1,400℃の排ガスFの温度を瞬時に溶融ダスト成分の融点約1,050℃(950〜1,100℃)に冷却することができ、これによって溶融ダスト6の逆U字管5内壁への付着が効果的に防止される。ここで、液体噴霧に使用する液体は工業用水等を用いることができるが、水の替わりに廃液、例えば、可燃性成分を含まない廃酸液等を用いることも可能であり、この場合には排ガスF処理に加えて廃液処理も同時にしかも効率よく行うことが可能となる。
【0031】
液体噴霧ノズル7a、7bの下側には逆U字管内に堆積する溶融ダストの粒状固形化ダストを除去するためのエアー噴射ノズル8が設けられている。本実施形態では2本のエアー噴射ノズル8が設けられているがその数に限定はなく、少なくとも1本設けられていればよい。エアー噴射ノズル8と上述した液体噴霧ノズル7a、7bは、いずれも、排ガスFの流通方向に沿うように取り付け、噴射する液体13、エアー14も排ガスFの流通方向と沿うようにするとよい。これにより排ガスFを効率的に急冷させることができると共に、粒状固化ダスト15を容易に出口方向へ吹き飛ばすことが可能となる。
【0032】
一方、逆U字管5の出口付近5a3には温度センサ9が取り付けられている。そして、温度センサ9によって測定された出口付近5a3を通過する排ガスFの温度に基づいて逆U字管5内に導入される排ガスFに対してどの程度の量の液体13を噴霧すれば排ガスに含まれる溶融ダスト成分をその融点以下まで急冷できるかを算出し、それに基づいて液体噴霧ノズル7a、7bから噴霧される液体13の噴霧量の調整を指示する制御装置10を備えている。この制御装置10は図示しない中央処理装置、記憶手段、入力手段等を備えた一般的なコンピュータに、そのような処理を行うプログラムをインストールすると共に、液体噴霧ノズル7a、7bや温度センサ9等と電子的に接続することによって実現される。
【0033】
このように逆U字管5に液体噴霧ノズル7a、7b、エアー噴射ノズル8、温度センサ9及び制御装置10制御装置を備えた溶融ダストの付着防止装置の操業条件の一例を以下に示すと共その方法について説明する。尚、噴霧する液体としては工業用水を用いた。
排ガス(F)量 1,5000〜20,000Nm/h
噴霧ノズル(大)
水噴霧量 210〜318リットル/h
水圧 0.15〜0.35MPa
噴霧ノズル(小)
水噴霧量 36〜50リットル/h
水圧 0.15〜0.30MPa
噴霧ノズルの使用数 3本(大、小の組み合わせは自由)
大3本の使用なら318リットル/h×3本=954リットル/h
小1本の使用なら36リットル/h×1本=36リットル/h
まず、逆U字管5の下部側の入り口付近5a1から排ガスFを導入する(ステップS1(図6参照))。そして、排ガスFが出口付近5a3を通過する際の温度を温度センサ9によって検出し(ステップS2)、制御装置10は検出された温度に基づいて液体噴霧ノズル7a、7bに対して液体13を所定の量を噴霧するよう信号を送り、液体噴霧ノズル7a、7bはそれに基づき排ガスFに対して所定量の液体13を噴霧する(ステップS3)。液体13が噴霧されることによって排ガスFの溶融ダスト6は急速に冷却されて粒状固化ダスト15となる(ステップS4)。これを繰り返しつつ操業を行う。そして、約10日に1回の割合でエアー噴射ノズル8からエアーを噴射して逆U字管5内に堆積した粒状固化ダスト15を除去する(ステップS5)。
ここで、排ガスFに含まれる溶融ダストの成分分析値は以下の通りである。
【表1】

【0034】
以上のような条件で溶融処理施設を稼動してベンド部5aの出口付近5a3の温度を少なくとも1,050℃となるように液体噴霧ノズル7a、7bの液体13の噴霧量を制御したところ、排ガスF中に含まれる溶融ダストは逆U字管の内壁に付着する間もなく、固化し、粒状(粒径0.1〜2mm程度)の粒状固化ダスト15とすることができた。しかも、これまで液体噴霧ノズルを逆U字管5の頂部付近5a2に設けていたときに発生していた逆U字管5のベンド部5aの入り口付近5a1における溶融ダスト6の固形化物の付着は見られなかった。尚、粒状固化ダスト15は、ベンド部5aの小径側内壁に積もることがあるが、溶融した状態で内壁に付着しているわけではないので、エアー噴射ノズル8からのエアー14の噴射を10日に1回の割合で約10分程度行うことにより容易に吹き飛ばすことができた。吹き飛ばされた粒状固化ダスト15は、排ガスFの流れに乗って急冷塔41側へ落下するのでそれを除去すればよい。
【0035】
尚、エアーだけを噴射しても多少の冷却効果はあるが、溶融ダスト6が逆U字管5の内壁に付着しないように排ガスFを急冷するためには、液体噴霧を行うことが好ましい。また、粒状固化ダスト15は逆U字管5の垂直部分の内壁に付着することもあるが、このような部分に付着した溶融ダストは自重により落下する。
【0036】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】溶融処理施設の概略構成図である。
【図2】図1に示した溶融処理施設を構成する溶融炉の概略構成を示した図である。
【図3】逆U字管の内壁に溶融ダストが付着した様子を示す説明図である。
【図4】図3において溶融ダストが付着した部分を拡大した説明図である。
【図5】従来の溶融ダストの付着防止方法を説明するための逆U字管の断面図である。
【図6】本発明に係る溶融ダストの付着防止方法の一実施形態におけるフローチャートである。
【図7】本発明に係る溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置の一実施形態を説明するための断面図である。
【図8】液体噴霧ノズルが配置された部分の逆U字管の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 貯蔵所
3 供給コンベアー
4 供給フィーダー
5 逆U字管
6 溶融ダスト
7a 液体噴霧ノズル大
7b 液体噴霧ノズル小
8 エアー噴射ノズル
11 流動層式ガス化炉
12 流動床
13 液体
15 粒状固化ダスト
21 溶融炉
26 廃液分解塔
31 電気式保持炉
41 急冷塔
51 バグフィルター
G スラグ
A1 銅滓
A2 産業廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業廃棄物の溶融処理施設におけるガス化炉及び溶融炉の下流に配置した廃液分解塔及び急冷塔に排ガスを移送する逆U字管の内壁に溶着する溶融ダストの付着防止方法であって、
前記逆U字管のベンド部の入り口手前側でその内部を通過する前記排ガスに液体を噴霧することにより当該排ガスに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで冷却して粒状固化ダストとすることを特徴とする溶融ダストの付着防止方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融ダストの付着防止方法において、
前記逆U字管ベンド部の出口付近の温度に基づいて前記液体の噴霧量を制御することを特徴とする溶融ダストの付着防止方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の溶融ダストの付着防止方法において、
前記液体の噴霧は、噴霧量の異なる噴霧手段を組み合わせて行なうことを特徴とする溶融ダストの付着防止方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載の溶融ダストの付着防止方法において、
前記液体は廃液であることを特徴とする溶融ダストの付着防止方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置であって、
産業廃棄物の溶融処理施設におけるガス化炉及び溶融炉の下流に配置した急冷塔に排ガスを移送する逆U字管のベンド部の入り口の手前側でその内部を通過する前記排ガスに液体を噴霧することにより当該排ガスに含まれる溶融ダスト成分の融点以下まで冷却して粒状固化ダストとするための1又は複数の噴霧手段と、
前記逆U字管のベンド部の出口付近の温度を測定する温度検出手段と、そして、
前記温度検出手段によって検出された温度に基づいて前記液体の噴霧量を制御する制御手段と、
を備えてなる溶融ダストの付着防止装置。
【請求項6】
請求項5に記載の溶融ダストの付着防止方法を実施するための装置であって、
さらに、前記逆U字管内に堆積した溶融ダストの粒状固形化ダストをエアーで除去するためのエアー噴射手段を備えていることを特徴とする溶融ダストの付着防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−271175(P2007−271175A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97970(P2006−97970)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】