溶融樹脂塊供給装置
【課題】 圧縮成形用の雌型のキャビティまで溶融樹脂塊を搬送する円筒状の移送ガイドからタイミング遅れなく確実に圧縮成形用の雌型のキャビティ内に確実に落とし込むことができる溶融樹脂塊供給装置を提供することにある。
【解決手段】 圧縮成形用の雌型の上の筒状の移送ガイド9に対して振動を与える振動発生手段16を設けたことを特徴とするものであり、それにより溶融樹脂塊13が移送ガイドの収容室の内周面に貼着することなく、短時間に円滑に圧縮成形用の雌型のキャビティ内に溶融樹脂塊を落とし込むことができ、落下時間のタイミングのばらつきがなく生産管理を容易にできる。
【解決手段】 圧縮成形用の雌型の上の筒状の移送ガイド9に対して振動を与える振動発生手段16を設けたことを特徴とするものであり、それにより溶融樹脂塊13が移送ガイドの収容室の内周面に貼着することなく、短時間に円滑に圧縮成形用の雌型のキャビティ内に溶融樹脂塊を落とし込むことができ、落下時間のタイミングのばらつきがなく生産管理を容易にできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成高分子材料の溶融樹脂塊供給装置に関し、特に押出機のダイヘッドから吐出する溶融樹脂の所定量を圧縮成形用の雌型のキャビティ内へ落とし込む溶融樹脂塊供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に熱可塑性樹脂を用いたボトル、キャップ、カップなどの容器を製造する方法として射出成形法や圧縮成形法が知られている。このうち圧縮成形法においては、押出機のダイヘッドから吐出する溶融樹脂は切断されて所定量の溶融樹脂塊とされ、これを圧縮成形用の雌型のキャビティ内に落とし込まれる。ついで、雌型内の溶融樹脂塊内に雄型を押し込んで圧縮成形し、所望の成形品を得ることができる。ボトルを製造する場合には、まず、プリフォームを圧縮成形によって製造し、このプリフォームをブロー成形する(特許文献1参照)。
【0003】
本出願人は、先に、押出機のダイヘッドから吐出される溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、これを圧縮成形用の雌型のキャビティ内に移送する手段として、円筒状の移送ガイドを使う技術を提案している。この技術によれば、溶融樹脂塊は局部的な損傷を受けることなく圧縮成形用の雌型のキャビティ内に落とし込まれる(特開平2005−343110号公報参照)。
【特許文献1】特開2000−280248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の溶融樹脂塊供給装置においては、溶融樹脂塊の一部が、円筒状の移送ガイドの内周面に貼着し、これが原因となって、圧縮成形用の雌型のキャビティ内への落下のタイミングにばらつきが生じ生産管理上好ましくなかった。
そこで、本発明の目的は、押出機のダイヘッドから吐出される溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、圧縮成形用の雌型のキャビティまで搬送する円筒状の移送ガイドからタイミング遅れなく確実に圧縮成形用の雌型のキャビティ内に溶融樹脂塊を確実に落とし込むことができる溶融樹脂塊供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による溶融樹脂塊供給装置は、押出機のダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して得られた溶融樹脂塊を圧縮成形金型へ移送する筒状の移送ガイドを有し、この移送ガイドには、移送ガイドに対して振動を与える振動発生手段が設けられている。
前記振動発生手段は、固定フレームと、この固定フレーム内に収容され微動可能な可動部材と、この可動部材に取り付けられ前記固定フレームとの間に空気室を形成する弁部材と、この弁部材を固定フレームに対して押し付ける押しバネとを備えている。
また、前記振動発生手段は、給気ポートと排気ポートとを有する空気室と、この空気室内に収容された浮動可能な振動子とを備えている。前記振動子は円柱体でもよいし、球体であってもよい。また前記振動子をリングで構成することもできるし、その他適宜の形状に設計することができる。
さらに、前記振動子を直接的に駆動モータを使って回転させることもできる。
また、本発明の他の実施形態によれば、前記振動発生手段は、固定フレームに対して取り付けられた電磁石と、この電磁石の磁極面に近接して設けられ、かつ可動部材の側に固定された磁性体と、前記可動部材が磁極面から離れる方向に附勢する押しバネとを備えている。
前記振動発生手段は、前記固定フレームと可動部材の側にそれぞれ向き合わせて設けられた圧電素子によって構成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、振動発生手段を移送ガイドに設けたので、溶融樹脂塊が移送ガイドの内周面に貼着することなく、短時間に円滑に圧縮成形用の雌型のキャビティの内に溶融樹脂塊を落とし込むことができ、落下時間のタイミングのばらつきがなく安定した生産管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明による溶融樹脂塊供給装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は単層のロータリー式圧縮成形装置の平面図を示しており、符号1は押出機を示している。この押出機1はスクリューを内蔵しており、ダイヘッド2からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂の溶融樹脂を吐出するようになっている。この実施形態は単層の圧縮成形装置に本発明を適用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、多層溶融樹脂の圧縮成形装置に対しても適用可能である。
【0008】
符号3はロータリー式の圧縮成形金型のうち下部の雌型を示しており、多数の圧縮成形用の雌型3,3・・3が回転テーブル4の円周上に等間隔をおいて配置されている。
また、前記押出機1と回転テーブル4との間には、押出機1のダイヘッド2から吐出される溶融樹脂を所定量に切断して溶融樹脂塊とし、この溶融樹脂塊を前記圧縮成形用の雌型3のキャビティ内に落とし込むためのロータリー式のカッターガイド5が設置されている。このカッターガイド5はハブ6を有し、このハブ6からアーム7,7・・7が円周方向に等間隔をおいて放射状に延出している。各アーム7の先端には、本発明の要部を構成する移送ガイド8が取り付けられている。なお、図1中符号50は圧縮成形された成形品(プリフォーム)を次の工程へ排出するための取出しロータリを示している。
【0009】
前記移送ガイド8は、図2および図3に示されるように、固定移送ガイド9と、この固定移送ガイド9に対してヒンジ軸10回りを開閉可能に枢着された可動移送ガイド11とから構成されている。この可動移送ガイド11が前記固定移送ガイド9に対して閉じたときに、図3から明らかなように、円筒状の収容室12が形成され、この収容室12内に溶融樹脂塊13が収容される。また、前記固定移送ガイド9と可動移送ガイド10の上縁には溶融樹脂の所定量を切断するためのカッター14、15が一体的に形成されている。
【0010】
図4はダイヘッド2から吐出された溶融樹脂が固定ガイド9の上縁のカッター14により切断される寸前の状態を示しており、切断された溶融樹脂塊13は、図5から明らかなように、収容室12内を下方に落下し、直下に配置された圧縮成形用の雌型3のキャビティ内に落とし込まれる。
【0011】
図6は本発明による溶融樹脂塊供給装置の基本原理を示したもので、固定移送ガイド9に対して全体を符号16で示す振動発生手段が取りつけられ、移送ガイド8に対して微振動を与えられるようになっている。
振動発生手段16としては種々の実施形態が考えられ、次にこれらの実施形態について説明する。
【0012】
図7および図8に示した例は空気溜め式振動発生手段である。
図7において、符号20は固定フレームを示し、この固定フレーム20に対して可動部材21が押しバネ22を介して弾性懸架されている。また、前記可動部材21は、一対の案内軸23,24により上下方向に案内動されるようになっている。また、前記可動部材21には弁室25を形成する弁部材26が組み込まれ、この弁部材26の弁通路27は給気ポート28と連通している。なお、弁部材26の上端面は固定フレーム20の側に設けられた弁座シート29と当接し、協働して前記弁室25が形成されている。この実施形態によれば、給気ポート28より圧縮空気が弁通路27を通じて弁室25内に供給され、この弁室25内の圧力が所定値以上に高まると、図8に示されたように、押しバネ22を圧縮して弁部材26がわずかに下降する。すると、弁室25内の空気が排気されて減圧され、押しバネ22のバネ力で復元し、これを繰り返すことにより移送ガイド8に対して振動を与えることになる。
【0013】
図9および10はおもりを使用した振動発生手段の実施形態を示している。
この実施形態では固定フレーム20に対して可動部材21が案内軸23.24に沿って上下方向に案内動され、可動部材21内には空気室30が形成され、この空気室30は、給気ポート31と排気ポート32と連通している。また、前記空気室30内には振動子としてのおもり33が組み込まれている。このおもり33は円柱状の部材であるが、球体やリングなどの適宜の形状であっても良い。
この実施形態によれば、給気ポート31より空気室30内に圧縮空気が導入され、おもり33に作用しておもり33を振動空気室30内でおもりの重心と回転中心を偏心して回転させ排気ポート32より排気される。この間におもり33が可動移送ガイド21に対して衝撃を与え、これを振動させ、結果として移送ガイド9に対して振動を与えることになる。
【0014】
図11、図12および図13に示された実施形態は、短円柱のおもり33に代えてリング形状のおもりを使用した例を示している。すなわち、固定フレーム20の内側に空気室30が形成され、この空気室30の内側にリング34が組み込まれている。
この実施形態によれば、給気ポート31より圧縮空気が供給され、排気ポート32より排気されるが、この間にリング34に対して圧縮空気が作用してリング34を回転させる。この回転中のリング34が振動力を加え、移送ガイド9に対して振動を与えることになる。
なお、前記実施形態におけるおもり33は、圧縮空気による空気圧の作用で空気室30の内側で回転したが、おもり33を直接的に駆動モータで回転駆動することもできる。
【0015】
図14および図15に示した実施形態は電磁ソレノイドの例を示しており、固定フレーム20に対して押しバネ22,22を介して可動部材21が弾性懸架されている。また、前記固定フレーム20には電磁ソレノイド35が設置され、この電磁ソレノイド35の磁極面に近接して磁性体36が可動部材21の側に取り付けられている。この実施形態によれば、電磁ソレノイド35に通電して附勢すると、磁性体36との間に吸着反発が繰り返して起こり、可動部材21に振動が加えられ、これにより移送ガイド8に対して振動が加えれる。
【0016】
図16に示した実施形態は振動発生手段として圧電素子を使用した例を示しており、固定フレーム20と可動部材21とは一対の連結部材38,39で連結されている。また、固定フレーム20の側には部材40を介して圧電素子41が設けられる一方、可動部材21の側には部材42を介して圧電素子43が設けられている。
この実施形態によれば圧電素子41,43に通電すると振動が発生し、部材40,42を介して可動部材21に対して振動が与えられ、その結果、移送ガイド8を振動させることができる。
【0017】
本発明は上述のように構成したから、振動発生手段により移送ガイドに対して振動を加え、ダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、移送ガイドの収容室内を内周面に張り付くことなく、安定したタイミングで圧縮成形用の雌型のキャビティ内へ落とし込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用する圧縮成形機を示した平面図
【図2】開状態にある移送ガイドを示した平面図
【図3】閉状態にある移送ガイドを示した平面図
【図4】固定移送ガイドによる溶融樹脂塊の切断状況を示した説明図
【図5】切断終了後の移送ガイドを示した説明図
【図6】本発明の原理を示す実施形態を示した側面図
【図7】圧力上昇状態にある空気溜め式振動発生手段を示した縦断面図
【図8】圧力開放状態にある空気溜める式振動発生手段を示した縦断面図
【図9】おもりを使用した実施形態を示した側断面図
【図10】おもり式振動発生手段を使用した例を示した縦断面図
【図11】横振動型の振動発生手段を使用した例を示した側断面図
【図12】切断直後の溶融樹脂塊の落下状態を示した側断面図
【図13】リングによる振動発生手段を使用した例を示した横断面図
【図14】電磁ソレノイドによる振動発生手段を示した縦断面図
【図15】電磁ソレノイドが吸着状態にある状態を示した側面図
【図16】圧電素子を使用した例を示した側面図
【符号の説明】
【0019】
1 押出機
2 ダイヘッド
13 溶融樹脂塊
8 移送ガイド
16 振動発生手段
20 固定フレーム
21 可動部材
22 押しバネ
26 弁部材
31 空気室
33 おもり
35 電磁ソレノイド
36 磁性体
41 圧電素子
【技術分野】
【0001】
本発明は合成高分子材料の溶融樹脂塊供給装置に関し、特に押出機のダイヘッドから吐出する溶融樹脂の所定量を圧縮成形用の雌型のキャビティ内へ落とし込む溶融樹脂塊供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に熱可塑性樹脂を用いたボトル、キャップ、カップなどの容器を製造する方法として射出成形法や圧縮成形法が知られている。このうち圧縮成形法においては、押出機のダイヘッドから吐出する溶融樹脂は切断されて所定量の溶融樹脂塊とされ、これを圧縮成形用の雌型のキャビティ内に落とし込まれる。ついで、雌型内の溶融樹脂塊内に雄型を押し込んで圧縮成形し、所望の成形品を得ることができる。ボトルを製造する場合には、まず、プリフォームを圧縮成形によって製造し、このプリフォームをブロー成形する(特許文献1参照)。
【0003】
本出願人は、先に、押出機のダイヘッドから吐出される溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、これを圧縮成形用の雌型のキャビティ内に移送する手段として、円筒状の移送ガイドを使う技術を提案している。この技術によれば、溶融樹脂塊は局部的な損傷を受けることなく圧縮成形用の雌型のキャビティ内に落とし込まれる(特開平2005−343110号公報参照)。
【特許文献1】特開2000−280248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の溶融樹脂塊供給装置においては、溶融樹脂塊の一部が、円筒状の移送ガイドの内周面に貼着し、これが原因となって、圧縮成形用の雌型のキャビティ内への落下のタイミングにばらつきが生じ生産管理上好ましくなかった。
そこで、本発明の目的は、押出機のダイヘッドから吐出される溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、圧縮成形用の雌型のキャビティまで搬送する円筒状の移送ガイドからタイミング遅れなく確実に圧縮成形用の雌型のキャビティ内に溶融樹脂塊を確実に落とし込むことができる溶融樹脂塊供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による溶融樹脂塊供給装置は、押出機のダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して得られた溶融樹脂塊を圧縮成形金型へ移送する筒状の移送ガイドを有し、この移送ガイドには、移送ガイドに対して振動を与える振動発生手段が設けられている。
前記振動発生手段は、固定フレームと、この固定フレーム内に収容され微動可能な可動部材と、この可動部材に取り付けられ前記固定フレームとの間に空気室を形成する弁部材と、この弁部材を固定フレームに対して押し付ける押しバネとを備えている。
また、前記振動発生手段は、給気ポートと排気ポートとを有する空気室と、この空気室内に収容された浮動可能な振動子とを備えている。前記振動子は円柱体でもよいし、球体であってもよい。また前記振動子をリングで構成することもできるし、その他適宜の形状に設計することができる。
さらに、前記振動子を直接的に駆動モータを使って回転させることもできる。
また、本発明の他の実施形態によれば、前記振動発生手段は、固定フレームに対して取り付けられた電磁石と、この電磁石の磁極面に近接して設けられ、かつ可動部材の側に固定された磁性体と、前記可動部材が磁極面から離れる方向に附勢する押しバネとを備えている。
前記振動発生手段は、前記固定フレームと可動部材の側にそれぞれ向き合わせて設けられた圧電素子によって構成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、振動発生手段を移送ガイドに設けたので、溶融樹脂塊が移送ガイドの内周面に貼着することなく、短時間に円滑に圧縮成形用の雌型のキャビティの内に溶融樹脂塊を落とし込むことができ、落下時間のタイミングのばらつきがなく安定した生産管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明による溶融樹脂塊供給装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は単層のロータリー式圧縮成形装置の平面図を示しており、符号1は押出機を示している。この押出機1はスクリューを内蔵しており、ダイヘッド2からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂の溶融樹脂を吐出するようになっている。この実施形態は単層の圧縮成形装置に本発明を適用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、多層溶融樹脂の圧縮成形装置に対しても適用可能である。
【0008】
符号3はロータリー式の圧縮成形金型のうち下部の雌型を示しており、多数の圧縮成形用の雌型3,3・・3が回転テーブル4の円周上に等間隔をおいて配置されている。
また、前記押出機1と回転テーブル4との間には、押出機1のダイヘッド2から吐出される溶融樹脂を所定量に切断して溶融樹脂塊とし、この溶融樹脂塊を前記圧縮成形用の雌型3のキャビティ内に落とし込むためのロータリー式のカッターガイド5が設置されている。このカッターガイド5はハブ6を有し、このハブ6からアーム7,7・・7が円周方向に等間隔をおいて放射状に延出している。各アーム7の先端には、本発明の要部を構成する移送ガイド8が取り付けられている。なお、図1中符号50は圧縮成形された成形品(プリフォーム)を次の工程へ排出するための取出しロータリを示している。
【0009】
前記移送ガイド8は、図2および図3に示されるように、固定移送ガイド9と、この固定移送ガイド9に対してヒンジ軸10回りを開閉可能に枢着された可動移送ガイド11とから構成されている。この可動移送ガイド11が前記固定移送ガイド9に対して閉じたときに、図3から明らかなように、円筒状の収容室12が形成され、この収容室12内に溶融樹脂塊13が収容される。また、前記固定移送ガイド9と可動移送ガイド10の上縁には溶融樹脂の所定量を切断するためのカッター14、15が一体的に形成されている。
【0010】
図4はダイヘッド2から吐出された溶融樹脂が固定ガイド9の上縁のカッター14により切断される寸前の状態を示しており、切断された溶融樹脂塊13は、図5から明らかなように、収容室12内を下方に落下し、直下に配置された圧縮成形用の雌型3のキャビティ内に落とし込まれる。
【0011】
図6は本発明による溶融樹脂塊供給装置の基本原理を示したもので、固定移送ガイド9に対して全体を符号16で示す振動発生手段が取りつけられ、移送ガイド8に対して微振動を与えられるようになっている。
振動発生手段16としては種々の実施形態が考えられ、次にこれらの実施形態について説明する。
【0012】
図7および図8に示した例は空気溜め式振動発生手段である。
図7において、符号20は固定フレームを示し、この固定フレーム20に対して可動部材21が押しバネ22を介して弾性懸架されている。また、前記可動部材21は、一対の案内軸23,24により上下方向に案内動されるようになっている。また、前記可動部材21には弁室25を形成する弁部材26が組み込まれ、この弁部材26の弁通路27は給気ポート28と連通している。なお、弁部材26の上端面は固定フレーム20の側に設けられた弁座シート29と当接し、協働して前記弁室25が形成されている。この実施形態によれば、給気ポート28より圧縮空気が弁通路27を通じて弁室25内に供給され、この弁室25内の圧力が所定値以上に高まると、図8に示されたように、押しバネ22を圧縮して弁部材26がわずかに下降する。すると、弁室25内の空気が排気されて減圧され、押しバネ22のバネ力で復元し、これを繰り返すことにより移送ガイド8に対して振動を与えることになる。
【0013】
図9および10はおもりを使用した振動発生手段の実施形態を示している。
この実施形態では固定フレーム20に対して可動部材21が案内軸23.24に沿って上下方向に案内動され、可動部材21内には空気室30が形成され、この空気室30は、給気ポート31と排気ポート32と連通している。また、前記空気室30内には振動子としてのおもり33が組み込まれている。このおもり33は円柱状の部材であるが、球体やリングなどの適宜の形状であっても良い。
この実施形態によれば、給気ポート31より空気室30内に圧縮空気が導入され、おもり33に作用しておもり33を振動空気室30内でおもりの重心と回転中心を偏心して回転させ排気ポート32より排気される。この間におもり33が可動移送ガイド21に対して衝撃を与え、これを振動させ、結果として移送ガイド9に対して振動を与えることになる。
【0014】
図11、図12および図13に示された実施形態は、短円柱のおもり33に代えてリング形状のおもりを使用した例を示している。すなわち、固定フレーム20の内側に空気室30が形成され、この空気室30の内側にリング34が組み込まれている。
この実施形態によれば、給気ポート31より圧縮空気が供給され、排気ポート32より排気されるが、この間にリング34に対して圧縮空気が作用してリング34を回転させる。この回転中のリング34が振動力を加え、移送ガイド9に対して振動を与えることになる。
なお、前記実施形態におけるおもり33は、圧縮空気による空気圧の作用で空気室30の内側で回転したが、おもり33を直接的に駆動モータで回転駆動することもできる。
【0015】
図14および図15に示した実施形態は電磁ソレノイドの例を示しており、固定フレーム20に対して押しバネ22,22を介して可動部材21が弾性懸架されている。また、前記固定フレーム20には電磁ソレノイド35が設置され、この電磁ソレノイド35の磁極面に近接して磁性体36が可動部材21の側に取り付けられている。この実施形態によれば、電磁ソレノイド35に通電して附勢すると、磁性体36との間に吸着反発が繰り返して起こり、可動部材21に振動が加えられ、これにより移送ガイド8に対して振動が加えれる。
【0016】
図16に示した実施形態は振動発生手段として圧電素子を使用した例を示しており、固定フレーム20と可動部材21とは一対の連結部材38,39で連結されている。また、固定フレーム20の側には部材40を介して圧電素子41が設けられる一方、可動部材21の側には部材42を介して圧電素子43が設けられている。
この実施形態によれば圧電素子41,43に通電すると振動が発生し、部材40,42を介して可動部材21に対して振動が与えられ、その結果、移送ガイド8を振動させることができる。
【0017】
本発明は上述のように構成したから、振動発生手段により移送ガイドに対して振動を加え、ダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して溶融樹脂塊とし、移送ガイドの収容室内を内周面に張り付くことなく、安定したタイミングで圧縮成形用の雌型のキャビティ内へ落とし込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用する圧縮成形機を示した平面図
【図2】開状態にある移送ガイドを示した平面図
【図3】閉状態にある移送ガイドを示した平面図
【図4】固定移送ガイドによる溶融樹脂塊の切断状況を示した説明図
【図5】切断終了後の移送ガイドを示した説明図
【図6】本発明の原理を示す実施形態を示した側面図
【図7】圧力上昇状態にある空気溜め式振動発生手段を示した縦断面図
【図8】圧力開放状態にある空気溜める式振動発生手段を示した縦断面図
【図9】おもりを使用した実施形態を示した側断面図
【図10】おもり式振動発生手段を使用した例を示した縦断面図
【図11】横振動型の振動発生手段を使用した例を示した側断面図
【図12】切断直後の溶融樹脂塊の落下状態を示した側断面図
【図13】リングによる振動発生手段を使用した例を示した横断面図
【図14】電磁ソレノイドによる振動発生手段を示した縦断面図
【図15】電磁ソレノイドが吸着状態にある状態を示した側面図
【図16】圧電素子を使用した例を示した側面図
【符号の説明】
【0019】
1 押出機
2 ダイヘッド
13 溶融樹脂塊
8 移送ガイド
16 振動発生手段
20 固定フレーム
21 可動部材
22 押しバネ
26 弁部材
31 空気室
33 おもり
35 電磁ソレノイド
36 磁性体
41 圧電素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機のダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して得られた溶融樹脂塊を圧縮成形金型へ移送する筒状の移送ガイドを有し、この移送ガイドに取り付けられ移送ガイドに対して振動を与える振動発生手段を設けたことを特徴とする溶融樹脂塊供給装置。
【請求項2】
前記振動発生手段は、固定フレームと、この固定フレーム内に収容され微動可能な可動部材と、この可動部材に取り付けられ前記固定フレームとの間に空気室を形成する弁部材と、この弁部材を固定フレームに対して押し付ける押しバネとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項3】
前記振動発生手段は、給気ポートと排気ポートとを有する空気室と、この空気室内に収容された浮動可能な振動子とを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項4】
前記振動子が円柱体であることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項5】
前記振動子が球体であることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項6】
前記振動子がリングであることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項7】
前記振動発生手段は、ロータ室と、このロータ室内に収容され偏心回転可能な振動子と、この振動子を回転駆動する駆動モータとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項8】
前記振動発生手段は、固定フレームに対して取り付けられた電磁石と、この電磁石の磁極面に近接して設けられ、かつ可動部材の側に固定された磁性体と、前記可動部材が磁極面から離れる方向に附勢する押しバネとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項9】
前記振動発生手段は、前記固定フレームと可動部材の側にそれぞれ向き合わせて設けられた圧電素子によって構成されたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項1】
押出機のダイヘッドから吐出された溶融樹脂の所定量を切断して得られた溶融樹脂塊を圧縮成形金型へ移送する筒状の移送ガイドを有し、この移送ガイドに取り付けられ移送ガイドに対して振動を与える振動発生手段を設けたことを特徴とする溶融樹脂塊供給装置。
【請求項2】
前記振動発生手段は、固定フレームと、この固定フレーム内に収容され微動可能な可動部材と、この可動部材に取り付けられ前記固定フレームとの間に空気室を形成する弁部材と、この弁部材を固定フレームに対して押し付ける押しバネとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項3】
前記振動発生手段は、給気ポートと排気ポートとを有する空気室と、この空気室内に収容された浮動可能な振動子とを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項4】
前記振動子が円柱体であることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項5】
前記振動子が球体であることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項6】
前記振動子がリングであることを特徴とする請求項3記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項7】
前記振動発生手段は、ロータ室と、このロータ室内に収容され偏心回転可能な振動子と、この振動子を回転駆動する駆動モータとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項8】
前記振動発生手段は、固定フレームに対して取り付けられた電磁石と、この電磁石の磁極面に近接して設けられ、かつ可動部材の側に固定された磁性体と、前記可動部材が磁極面から離れる方向に附勢する押しバネとを備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【請求項9】
前記振動発生手段は、前記固定フレームと可動部材の側にそれぞれ向き合わせて設けられた圧電素子によって構成されたことを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂塊供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−268857(P2007−268857A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97509(P2006−97509)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
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