説明

溶融物除去装置及び方法

【課題】 レーザー径2ミリメートル長さ2メートル以上の高出力コリメート(平行)レーザービームによる2メートル以上の深い切断と切断時に生起する溶融物(ドロス)を高圧大流量の圧縮空気の衝突力により粉砕、飛散除去による相乗効果により、切断能率を大幅に向上させる。
【解決手段】 構造体の表面から所定の深さの内部までレーザービームで構造物形成物を溶融させ、溶融された溶融物を飛散させて切断面を形成する切断装置の溶融物飛散装置において、前記切断面の幅より小さい厚さの板状本体内部に複数の気体溜まり部が設けられ、前記気体溜まり部に高圧気体を導く気体流路が前記板状本体内部に設けられていることを特徴とする溶融物飛散装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビル、山、ダム、港湾、原子力施設、焼却場、煙突、橋梁等の構造体に表面から所定深さの内部までレーザービームで構造体形成物を溶融させ、溶融物を飛散させて切断面を形成する切断装置の溶融物飛散装置およびレーザービーム照射手段が配置されてなる切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−18612号広報に記載された溶融物飛散装置は先端に噴出口をもつ円筒状のノズルであり、表面の溶融物を飛散させる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−18612号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の装置では、側部に噴出口がないため、奥深くの溶融物を飛散させることはできない。仮に側部に噴出口を設けたとしても、圧力損失が発生して先端部まで高圧の流体を送ることができず、奥の溶融物を飛散させることはできないという欠点があり、本発明はこの欠点を解消することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成させるため、構造体の表面から所定の深さの内部までレーザービームで構造物形成物を溶融させ、溶融された溶融物を飛散させて切断面を形成する切断装置の溶融物飛散装置において、前記切断面の幅より小さい厚さの板状本体内部に複数の気体溜まり部が設けられ、前記気体溜まり部に高圧気体を導く気体流路が前記板状本体内部に設けられている溶融物飛散装置を提供する。
【0006】
さらに本発明は、上記記載の溶融物飛散装置の前記噴出口が設けられた側面と間隔を保ってレーザービーム照射手段が配置されたことを特徴とする切断装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればレーザービームで構造体形成物の溶融切断と高圧大流量の流体噴射の衝突力での溶融物粉砕、飛散除去とによる相乗効果により、切断能率の大幅な向上、解体・改修コストの大幅な削減、低騒音・低振動の作業環境の改善が出来る構造物形成体切断方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】切断詳細図
【図2】除去装置当該板状本体詳細図 その1
【図3】除去装置当該板状本体詳細図 その2
【図4】除去装置当該板状2枚重ね合わせ完了図
【図5】トンネル設計断面図
【図6】トンネル切断実態図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2除去装置図で構造を説明します。
該溶融物飛散装置12は該板状本体詳細図(図1)と該板状2枚重ね合わせ図(図2、図3)及び該薄板2枚重ね合わせ完了図(図4)で説明をする。溶融物飛散装置12は切断溝の幅より小さい板状本体で、長い切断長においても高圧・大流量の気体を圧力、流量が減衰する事無く各該気体墳出口12a、12bの各墳出口に均等に噴出しを発揮するためのものである。該溶融物飛散装置板状本体に気体流入口12cを4箇所12c−1、12c−2、12c−3、12c−4を設け、気体墳出口ブロック12a−1、12a−2、12a−3、12a−4に各気体墳出口を設けます。該気体墳出口12a−1、12a−2、12a−3、12a−4と該気体流入口12c−1、12c−2、12c−3、12c−4との間に該気体流路12d−1、12d−2、12d−3、12d−4を設け、更に前述の高圧・大流量の気体が減衰しない手段として該気体墳出口12a−2、12a−3、12a−4の直近に該気体溜り部12e−2、12e−3、12e−4を設けて、気体の減衰を防ぐ。 該溶融物飛散装置は図2溶融物飛散装置該板状本体に前述の気体流入口、気体流路、気体溜り部、気体墳出口を設け、図3該板状2枚重ね合わせ図のように板状2枚を重ね合わせて製作をする。
【0010】
図1切断詳細実態図は切断された切断溝9が示され、地山8の切断箇所には高出力レーザーガン3と溶融物飛散装置12が配設される。前記切断面の幅より小さい厚さの板状本体11は気体墳出口12a、12bを有し、気体墳出口12a、12bより高温で溶けた同溶融物に高圧・大流量の気体を強烈に噴射し、その衝突力で同溶融物を粉砕、飛散し排出する。
【0011】
高出力レーザーガン3は高出力レーザー発生装置1から光ファイバーケーブル2経由送られてくるレーザービームは高出力レーザーガン3に内臓されているコリメート(平行)集光レンズ4により細いビーム径で長いコリメート(平行)ビーム7を精製され、切断箇所に照射するもので、高出力レーザーガン3のレーザー射出口周囲には高圧気体発生装置5から気体を供給可能にし、これより高出力レーザーガン3に内蔵されているコリメート(平行)集光レンズ4への微粉末の溶融物や煙の侵入を防止(レンズの保護)するようにしている
【0012】
図6トンネル切断実態図は本発明における高出力コリメート(平行)ビームレーザー7によるトンネル掘削時の余掘り許容範囲線の切断方法の実施形態を示す図である。
予め上半切羽14にレーザー切断線(余掘り許容範囲線)13の切断開始点に切断長より深く、高出力レーザーガン3と溶融物飛散装置の組み合わせより大きな穴を明け、その穴に高出力レーザービーム7と溶融物飛散装置12の組み合わせをその穴に挿入配設し、高出力コリメート(平行)レーザービーム7をレーザー切断線(余掘り許容範囲線)13の地山8に向かって照射して地山8の中の岩石及び土を溶融し切断長さの長い、狭い切断幅の溶融幅の切断溝9を作成しながら、レーザー切断進行方向17に切断進行すると共に直近の溶融物飛散装置12より高圧・大流量の気体を強烈な噴射の衝突力で、高温で溶けている同溶融物を紛砕し飛散し、除去し、新しい切断面を創出しながらレーザー切断線(余掘り許容範囲線)13に沿って切断進行する。
【0013】
本発明はNATMトンネル掘削時の掘削工程(余掘り防止)削減及びコスト削減(余掘り事象が出ない為吹き付けコンクリート量の削減)、供用トンネル拡幅工事の覆工コンクリート解体、シールドトンネル掘削時のルート上の障害物切断、騒音・振動を嫌う建築物の解体改修、原子力施設の作業員立入禁止区域でのコンクリート構造物解体改修等の土木建築工事での工程改善、コスト改善に寄与できる。
【0014】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、溶融物飛散装置の形状はレーザービーム径又は構造体形成物によって板状の形状を楕円形状に、板状本体の先端気体墳出口を無くす、又は板状の気体流路をより気体流量を大きく、減衰防止の為に形状を四角にしてもよい。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・・高出力レーザー発振器
2・・・・・光ファイバーケーブル
3・・・・・高出力レーザーガン
4・・・・・コリメート(平行)集光レンズ
5・・・・・高圧圧縮空気発生装置
6・・・・・高圧大流量圧縮空気発生装置
7・・・・・高出力コリメート(平行)レーザービーム
8・・・・・地山
9・・・・・切断溝
10・・・・気体分岐部
11・・・・気体流入部
12・・・・溶融物飛散装置
12a・・・気体噴出口
12b・・・気体墳出口
12c・・・気体流入口
12d・・・気体流路
12e・・・気体溜り部
13・・・・レーザー切断線(トンネル設計断面・余掘り許容範囲)
14・・・・トンネル上半切り羽部
15・・・・トンネル下半切り羽部
16・・・・トンネル掘削半径
17・・・・レーザー切断進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の表面から所定の深さの内部までレーザービームで構造物形成物を溶融させ、溶融された溶融物を飛散させて切断面を形成する切断装置の溶融物飛散装置において、前記切断面の幅より小さい厚さの板状本体内部に複数の気体溜まり部が設けられ、前記気体溜まり部に高圧気体を導く気体流路が前記板状本体内部に設けられていることを特徴とする溶融物飛散装置
【請求項2】
上記記載の溶融物飛散装置の前記噴出口が設けられた側面と間隔を保ってレーザービーム照射手段が配置されたことを特徴とする切断装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−236716(P2011−236716A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120971(P2010−120971)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(597122345)
【Fターム(参考)】