説明

漂白剤組成物

【課題】血液汚れに対して優れた漂白効果を発揮し、且つ血液汚れが黒ずんだ汚れとなることを防止できる漂白剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)ナットウキナーゼ、(b)過酸化水素及び水中で過酸化水素を放出する化合物から選ばれる1種以上の化合物、並びに(c)界面活性剤を含有する漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用漂白剤として用いられてきた酸素系漂白剤には、水に溶解して過酸化水素を放出する過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムが漂白性能、安全性などの面で広く利用されている。この酸素系漂白剤は塩素系漂白剤に比べて漂白力が弱いために、各種漂白活性化剤を併用して漂白力を高めることが行なわれている。そのような漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、アセトキシベンゼンスルホン酸塩、テトラアセチルグリコリル、グルコースペンタアセテートなどが代表的なものとして使用されている。これらの漂白活性化剤は保存安定性を高めるために造粒物として配合されることが多い。
【0003】
漂白の対象となる汚れは多種多様であるが、その中でも血液によるシミや汚れは強固で落ちにくい汚れである。血液汚れの漂白には、上記のような酸素系漂白剤に界面活性剤と酵素(プロテアーゼ)を配合し、それらの相乗効果によりある程度の効果が得られることが知られている。
【0004】
しかしながら、血液に由来するシミ汚れは、漂白剤を作用させると色が濃くなって、黒ずんだ汚れとなってしまうことがある。また、界面活性剤やプロテアーゼが作用する前に漂白剤、特に有機過酸が反応すると血液中の蛋白が変質し、界面活性剤やプロテアーゼの効きが悪くなるという現象が起きる。これを解決するためには、有機過酸の生成を遅らせる方が良いことになるが、漂白活性剤の造粒物の溶解性を抑えて対応しようとすると、造粒物の溶け残りが生ずるため、漂白対象物を部分的に脱色させるという問題が生ずる。
【0005】
特許文献1〜4には、血液汚れに適用できる漂白剤や洗浄剤に酵素を配合することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−528427号
【特許文献2】特表2006−517989号
【特許文献3】特開2001−40399号
【特許文献4】特開平9−316490号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、血液汚れに対して優れた漂白効果を発揮し、且つ血液汚れが黒ずんだ汚れとなることを防止できる漂白剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)ナットウキナーゼ、〔以下、(a)成分という〕、(b)過酸化水素及び水中で過酸化水素を放出する化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(b)成分という〕、並びに(c)界面活性剤〔以下、(c)成分という〕を含有する漂白剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、血液汚れに対して優れた漂白効果を発揮し、且つ血液汚れが黒ずんだ汚れとなることを防止できる漂白剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(a)成分>
本発明に用いられるナットウキナーゼは、納豆菌が生産する血栓溶解酵素であって、その血栓溶解作用のために、脳梗塞の予防や治療に効果のあることが確認されている。本発明者らは、ナットウキナーゼの他の技術分野への応用展開を検討していたところ、ナットウキナーゼを含有する漂白剤組成物は、特許文献1〜3にあるような公知のプロテアーゼを含有する酵素系漂白剤組成物と比較すると、血液汚れに対して優れた漂白効果を発揮し、且つ血液汚れが黒ずんだ汚れとなることを防止できることを見出した。
【0011】
一般に、公知のプロテアーゼを含有する漂白剤組成物においては、血液汚れに対して前処理をしていない場合には漂白効果が十分に発現できないことが知られている。これは、公知のプロテアーゼ、過酸化水素等の酸化剤及び前処理をしていない血液汚れが洗濯液中に存在した場合には、酸化剤による血液の黒変反応が勝ってしまうために、プロテアーゼの効果が十分に発現されないものと考えられている。
【0012】
(a)成分のナットウキナーゼは、公知の方法、例えば、特開2006−325538号公報に記載の製造方法やそれに準じた製造方法で得られたものを使用することができる。より具体的には、ナットウキナーゼとポリフェノール類と結合させて分離した後、アルコール類を用いてこの抽出物から納豆特有の臭い成分を除去して得られたものを使用することができる。
【0013】
本発明の漂白剤組成物中の(a)成分の総蛋白量は、充分な漂白力を得る観点から、0.05〜5質量%であることが好ましい。本発明の漂白剤組成物が粉末組成物の場合は、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜3質量%であり、更に好ましくは0.3〜1.5質量%である。また、本発明の漂白剤組成物が液体組成物の場合は、好ましくは0.05〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%であり、更に好ましくは0.2〜1.5質量%である。ここで(a)成分の総蛋白量は、ローリーらの方法(Lowry,O.H.et.al.,J.Biol.Chem.,193,265(1951))に準じ、牛血清アルブミン(Bovine Serum Albumin、SIGMA社製製品番号A―7030)に換算して表わした。
【0014】
<(b)成分>
(b)成分のうち、水中で過酸化水素を放出する化合物としては、無機過酸化物が好ましく、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過燐酸塩等の無機の過酸化物塩を挙げることができる。これらの中でも過炭酸塩、過ホウ酸塩が好ましく、特に過炭酸塩が好ましい。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0015】
無機過酸化物を用いる場合、粒、顆粒等の粒子状のものを用いることが好ましく、その平均粒径は、好ましくは200〜1000μmであり、特に好ましくは250〜400μmである。また、漂白剤組成物のケーキングを防止するためには、孔径125μmの篩を通過するような微粉末の含有量が、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが特に好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0016】
また、液体組成物である場合は、(b)成分として過酸化水素を用いることが好ましい。
【0017】
本発明の漂白剤組成物中の(b)成分の含有量は、充分な漂白力を付与するとともに、他成分との配合を考慮すると、過酸化水素として0.1〜15質量%であることが好ましい。本発明の漂白剤組成物が粉末組成物の場合は、過酸化水素として、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは5〜14質量%であり、更に好ましくは8〜13質量%である。また、本発明の漂白剤組成物が液体組成物の場合は、過酸化水素として、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
【0018】
<(c)成分>
(c)成分の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられるが、好ましくは陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤であり、より好ましくは非イオン界面活性剤である。
【0019】
陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコール、好ましくは直鎖又は分岐鎖の1級又は2級アルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、アルキル鎖の炭素数が10〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩及び脂肪酸塩から選ばれる一種以上が挙げられる。これら陰イオン界面活性剤の対イオンとしては、アルカリ金属塩類が好ましく、特にナトリウム又はカリウムが挙げられる。
【0020】
特に、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩及び炭素数12〜18のアルキル硫酸エステル塩から選ばれる一種以上を含むことが好ましい。
【0021】
また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーから選ばれる一種以上が挙げられる。
【0022】
特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、中でも、炭素数10〜18のアルコール、好ましくは直鎖又は分岐鎖の1級又は2級のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを4〜20モル付加したHLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0、更に11.0〜14.5であるようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むことが好ましい。
【0023】
両性界面活性剤としては特に限定されないが、アミンオキサイド類、例えば炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルアミンオキサイド、及びベタイン類から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。また、ベタイン類の具体例としては、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル−プロピルスルホベタイン等を挙げることができる。
【0024】
本発明では、(1)アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、(2)炭素数12〜18のアルキル硫酸塩及び(3)炭素数10〜18のアルコール、好ましくは直鎖又は分岐鎖の1級又は2級のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを4〜20モル付加したHLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの少なくとも何れかを含むことが好ましく、特に上記(3)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0025】
本発明の漂白剤組成物中の(c)成分の含有量は、充分な漂白力を付与するという観点から、0.1〜20質量%であることが好ましい。中でも粉末組成物の場合は、より好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは1〜8質量%であり、更に好ましくは2〜5質量%である。また、液体組成物の場合は、より好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、更に好ましくは3〜10質量%である。
【0026】
<その他の成分>
〔(d)成分〕
本発明の漂白剤組成物は、漂白活性化剤〔以下、(d)成分という〕を含有することが好ましい。漂白活性化剤は、水中で過酸化水素と反応し、有機過酸を発生させる有機過酸前駆体である。漂白活性化剤としては、炭素数6〜14のアルカノイルオキシ基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数6〜14のアルカノイルオキシ基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれる化合物が好ましい。
【0027】
(d)成分としては、下記一般式(d1)で表される化合物を挙げることができる。
【0028】
【化1】

【0029】
〔式中、R1は、炭素数5〜13のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を示し、Yは、陰イオン性基、好ましくはスルホン酸基もしくはカルボン酸基又はそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩を示す。〕
【0030】
式(d1)中、R1の炭素数が5以上であると汚れに対する吸着性が高くなり、充分な漂白、洗浄性能を発揮することができ、13以下であると低温の漂白条件においても充分な溶解性を付与することができるため好ましい。
【0031】
かかる一般式(d1)に該当する化合物としては、下記一般式(d2)又は(d3)で表されるものが好ましい。
【0032】
【化2】

【0033】
〔式中、R2及びR3は、それぞれ、炭素数5〜13のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を示し、M1及びM2は、それぞれ、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子又はアンモニウム基を示す。〕
【0034】
(d)成分は、その安定性を高めるために、水溶性バインダー及びその他の成分とともに混合して造粒物にすることもできる。(d)成分の造粒物は、特開平11−217590号の段落0017〜0022の記載を参照することができる。
【0035】
本発明の漂白剤組成物中の(d)成分の含有量は、充分な漂白力、洗浄力を付与するため、0.1〜10質量%であることが好ましい。本発明の漂白剤組成物が粉末組成物の場合は、好ましくは1〜8質量%であり、更に好ましくは2〜5質量%である。また、本発明の漂白剤組成物が液体組成物の場合は、好ましくは0.1〜7質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%であり、更に好ましくは0.8〜3質量%である。
【0036】
〔(e)成分〕
本発明の漂白剤組成物は、分散剤(e)〔以下、(e)成分という〕を含有することができる。(e)成分としては、カルボン酸系重合体として、(e1)ポリアクリル酸、アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸系重合体、(e2)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の多価カルボン酸系重合体が挙げられる。また、(e3)グリオキシル酸系重合体、(e4)多糖類(カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等)、等の高分子化合物が挙げられるが、重量平均分子量が数百〜10万のカルボン酸系重合体、特にアクリル酸系重合体が好ましい。
【0037】
本発明の漂白剤組成物中の(e)成分の含有量は、充分な漂白力、洗浄力を付与するため、1〜5質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜4質量%であり、特に好ましくは2〜3質量%である。
【0038】
〔(f)成分〕
本発明の漂白剤組成物は、(f)成分として金属封鎖剤を配合することができる。金属封鎖剤としては、(f1)フィチン酸等のリン酸系化合物又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸およびその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸などの有機酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(f7)ゼオライトAに代表されるアルミノケイ酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩、(f8)アミノポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、又はポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらの中で上記(f2)、(f5)、(f6)及び(f7)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、上記(f2)からなる群より選ばれる少なくとも一種がさらに好ましい。
【0039】
本発明の漂白剤組成物中の(f)成分の含有量は、充分な漂白力、洗浄力を付与するため、1〜5質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜4質量%であり、特に好ましくは2〜3質量%である。
【0040】
〔酵素〕
本発明の漂白剤組成物は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等の酵素のうち、(a)成分以外の酵素を含有することができ、アミラーゼ及び/又はプロテアーゼを含有することがより好ましく、アミラーゼ及びプロテアーゼを含有することが特に好ましい。
【0041】
本発明の漂白剤組成物には、洗浄剤や漂白剤に配合される公知の成分を配合することができる。その一例を以下に示す。
【0042】
(1)酵素安定剤
酵素安定剤として、還元剤(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム)のカルシウム塩やマグネシウム塩、ポリオール、ホウ素化合物等を配合することができる。還元剤は、水道水中の塩素を除去することにより、酵素を安定化する。さらに亜硫酸ナトリウムは、前記効果とともに酸化防止剤としての効果も有している。
【0043】
(2)香料
香料としては、従来洗剤に配合されている香料、例えば特開昭63−101496号公報記載の香料、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、トリシクロ[5.2.1.02,6]−デセ−3−エン−8−イルアセテート、トリシクロ[5.2.1.02,6]−デセ−3−エン−8−イソプロピオネート、3−アミル−4−アセトキシテトラヒドロピラン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、2−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α,α’−ジメチル−p−エチルヒドロシンナミックアルデヒド等を挙げることができる。もちろんその他の洗剤成分による劣化のないように、配合する各香料成分の種類及び場合により配合比率や配合量を考慮する。
【0044】
本発明の漂白剤組成物は上記(a)、(b)、(c)成分、更には(d)〜(f)成分、酵素、その他の成分を含有するものであり、その形態は、液体、粉末、粒状であることができる。本発明の組成物は、衣料、寝具等の繊維製品の漂白、洗浄用に好適である。
【0045】
本発明の漂白剤組成物は、弱アルカリ性洗剤と共に洗濯浴に希釈して洗濯機などで洗浄する方法を用いても差し支えないが、該組成物(原液)又は該組成物と水とを含有する水性媒体を、衣料等に付着した汚れに直接接触させて漂白処理する方法が高い効果を得るために好ましい。接触させる方法としては、繊維製品に該組成物(原液)又は該水性媒体を浸漬させる方法、汚れの付着している部分に直接塗布や滴下して付着させる方法、及びトリガー式スプレーヤーなどのスプレー付き容器に充填してスプレーする方法を挙げることができ、簡便性の点から汚れの付着している部分に直接塗布や滴下して付着させる方法が好ましい。接触させる時間としては漂白効果の点から好ましくは5〜480分、より好ましくは10〜360分、特に好ましくは20〜240分、特に好ましくは30〜120分が好適である。また、接触させる温度としては好ましくは2〜50℃、より好ましくは5〜40℃、更に好ましくは20〜35℃である。
【0046】
接触処理後の衣料等は水道水ですすぎ洗いをするか、弱アルカリ洗剤と共に洗濯し、すすぎ洗いをすることが好適であり、特に弱アルカリ性洗剤で洗濯することが洗浄効果をより効率よく除去する上で好ましい。すすぎ後は脱水し、自然乾燥または乾燥機により乾燥する。
【0047】
本発明の漂白剤組成物を用いた漂白方法では、本発明の漂白剤組成物から調製された、pHが9以上、好ましくは9.5〜11である水性媒体を繊維製品に接触させることが好ましい。このpHは、漂白時のpHである。接触時間は、5分以上、更に30〜120分が好ましい。また、水性媒体の温度或いは接触時の周囲温度は5〜50℃が好ましく、より好ましくは5〜40℃、更に好ましくは20〜35℃である。
【実施例】
【0048】
実施例1、2及び比較例1、2
表1、2に示す漂白剤組成物を、過酸化水素の濃度が粉末組成物の場合0.06質量%、液体組成物の場合0.04質量%となるように水で希釈した水溶液を調製する。この水溶液に、EMPA社より購入したNo.111汚染布(血液汚染布)8×8cmを各4枚ずつ入れ、2時間25℃浸漬する。その後、汚染布を取り出し、濃度0.0667質量%の市販洗剤(花王アタック)水溶液に投入し、ターゴトメーターにて普通洗浄した(80rpm×10分)。水道水ですすぎ、乾燥させて、次式により漂白率を算出した。また、黒変防止効果を以下の基準で評価した。
【0049】
【数1】

【0050】
反射率は日本電色工業(株)製ND−300Aで460nmフィルターを使用して測定した。
【0051】
<黒変防止効果>
漂白率を測定した漂白、洗浄後のサンプルを用いて目視判定を行い、以下の基準で評価した。
○・・・洗浄後の汚染布が黒ずんでいない。
△・・・洗浄後の汚染布がやや黒ずんでいる。
×・・・洗浄後の汚染布が黒ずんでいる。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
表2中、( )内の数値は過酸化水素としての配合量である。また、表1、2で特記したものは以下のものである。
【0055】
*1 ナットウキナーゼ:特開2006−325538号公報の実施例1に従ってナットウキナーゼを調製した。即ち、納豆菌培養液にポリフェノール類を加えることによって、ナットウキナーゼをポリフェノール類と結合させて抽出することにより、ナットウキナーゼとポリフェノール類との結合物を分離し、この沈殿物にエチルアルコールを加えてよく混合攪拌し、その後遠心分離により得た沈殿物を凍結乾燥することやイオン交換水や塩化カルシウム水溶液に溶解したもの、またはそれを公知の精製手段により酵素蛋白質の純度を高めた後、ナットウキナーゼの粉末を得た。なお、表中の配合量は、前記方法により測定された牛血清アルブミン換算の総蛋白量に基づく質量%である。
*2 非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数6.4、HLB11.8)
*3 漂白活性化剤:デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸ナトリウム
*4 サビナーゼ18T:ノボザイムズ(株)製(表中の配合量は、前記方法により測定された牛血清アルブミン換算した総蛋白量に基づく質量%である。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ナットウキナーゼ、(b)過酸化水素及び水中で過酸化水素を放出する化合物から選ばれる1種以上の化合物、並びに(c)界面活性剤を含有する漂白剤組成物。
【請求項2】
(c)成分が、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数12〜18のアルキル硫酸塩及び炭素数10〜18のアルコールにアルキレンオキシドを4〜20モル付加したHLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上の界面活性剤である、請求項1記載の漂白剤組成物。
【請求項3】
更に(d)漂白活性化剤を含有する請求項1又は2記載の漂白剤組成物。

【公開番号】特開2011−122099(P2011−122099A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282020(P2009−282020)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】