漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法
本発明は、漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法に関し、より詳細には、生漆から抽出したウルシオールのヒドロキシ基の反応性を除去し、鋼板などの記載のUVコーティング剤として使用することによって、高い抗菌性を示すだけでなく、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、低含量の光開始剤を使用した高い架橋反応速度、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性などの優れた表面外観及び機能性を示すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法に係り、より詳しくは、生漆から抽出したウルシオールのヒドロキシ基の反応性を除去し、鋼板などの基材のUVコーティング剤として使用することによって、高い抗菌性を示すだけでなく、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、低含量の光開始剤を使用した高い架橋反応速度、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性などの優れた表面外観及び機能性を示すことができる漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漆の木(Toxicodendron vernicifluum)の主原産地は、中央アジア及びヒマラヤであると知られているが、現在は、中国、熱帯地方、日本国及び韓国など東アジア圏で主に生産されていて、これから得られた漆液は、抗菌性、耐候性、耐磨耗性、耐水性、耐腐食性などの長所があるので、昔から金属、木材などのコーティング素材に活用されて来ており、漢方では、薬剤として広く活用されて来ている。生漆の主成分は、ウルシオール(60〜70%)、水分(〜20%)、その他水溶性及び油溶性タンパク質、ラッカーゼ及びガム(gum)類である。
【0003】
ウルシオール(urushiol)は、不飽和鎖状アルキル基(unsaturated alkyl chain)を有するカテコール(catechol)として知られていて、一般的に、poison ivy疾患の主原因として解釈されている。このようなウルシオールは、多様な極性及び非極性溶媒によく溶けるものと知られていて、有機溶媒を利用した抽出法が非常に発達されている。図1に示すように、生漆は、自然状態または空気中に放置された状態で、内在されたラッカーゼ(laccase)の酵素反応によってウルシオール単量体と分子量1,000〜5,000g/mol程度のオリゴマーとで構成されている。
【0004】
最近、このようなウルシオールの問題点を解決し、ウルシオールの重合及び架橋反応を通じて抗菌性に優れたコーティング及び塗料製品を開発するための多くの努力が報告されており、古典的な方法としては、ラッカーゼまたはペルオキシド開始剤(peroxide initiators)の存在下でのフリーラジカル重合を例示することができる。前者の場合、長い重合及び架橋時間を要求するが、後者の場合、数時間内に反応を完了することができ、多様な用途に研究及び開発が進行されて来た。韓国公開特許第2008−0045926号公報によれば、高価なウルシオールを広い重量範囲でUV塗料に対して100:1〜100まで使用した。
【0005】
しかし、ウルシオールのカテコール構造は、フリーラジカル重合時(熱及び光硬化の両方該当)、図2のような副反応(ラジカル捕獲反応)に起因してコーティング表面の光沢度低下、低い重合速度、低い硬化率、高い含量の開始剤使用などが問題点として指摘されて来た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の短所を改善するためになされたものであって、生漆から抽出したウルシオールのヒドロキシ基をブロック(blocking)し、UVコーティング剤として使用することによって、優れた物性を有する基材、その製造方法、及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含むUVコーティング用組成物を提供する。
【化1】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
上記置換基Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるか、または非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す。
【0008】
また、本発明は、下記化2で表される化合物のヒドロキシ基を改質した化合物を含むUVコーティング用組成物を製造する段階と、上記組成物を基材に塗布して硬化させる段階と、を含む基材の表面処理方法を提供する。
【化2】
上記式中、R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示す。
【0009】
また、本発明は、基材と、前記基材の一面または両面に本発明によるUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含む表面処理基材を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記の表面処理基材を利用した製品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、漆の抗菌特性を示すウルシオール(urushiol)のヒドロキシ基をブロックして反応性を除去した後、UVコーティング剤として使用することによって、基材の抗菌効果に優れていて、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性、及び低い含量の光開始剤を使用した高い架橋反応速度を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の生漆から抽出したウルシオール単量体の化学式を示す図である。
【図2】本発明の生漆から抽出したウルシオールの光硬化反応時に発生するラジカル捕獲反応及び重合メカニズムを示す図である。
【図3】本発明の生漆から抽出したウルシオールのFT−IRデータを示す図である。
【図4】本発明の生漆から抽出したウルシオールの1H−NMRデータを示す図である。
【図5】本発明の生漆から抽出したウルシオールの変性反応例を示す図である。
【図6】本発明の生漆から抽出したウルシオール(a)及び変性ウルシオール(b)のFT−IRスペクトルデータを示す図である。
【図7】対照群(a)、本発明の生漆から抽出したウルシオール(b)、5%ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオール(c)及び10%ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオール(d)を含むUVコーティング剤を使用して鋼板の抗菌性を測定した結果を示す図である。
【図8】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理による耐食性テスト結果(SST)を示す図である。
【図9】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理による耐食性テスト結果(SST)を示す図である。
【図10】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理によるナノ硬度測定結果を示す図である。
【図11】本発明の生漆由来の変性ウルシオールを利用した鋼板のUV硬化技術を図式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の構成を具体的に説明する。
【0014】
本発明は、バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含むUVコーティング用組成物に関する。
【化1】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す。
【0015】
上記化1の化合物は、漆の木(Toxicodendron vernicifluum)または漆科の木材から抽出が可能な生漆(raw lacquer)(または漆液)の主成分として知られているウルシオールのヒドロキシ基をブロック化して反応性を除去することによって、UV硬化反応性を向上させた変性ウルシオールを示すものであって、ヒドロキシ基のブロック化は、本発明の基材の表面処理方法において化2で表されるウルシオールの表面改質段階で具体的に後述していて、このようなブロック化は、カテコール構造のラジカル共鳴安定化効果を抑制し、ラジカルの消去及び遅延反応を抑制することができるので、UVコーティング剤として使用して、光硬化時に発生する副反応がなく、且つウルシオール特有の優れた特性、例えば、抗菌性、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性などの効果を示すことができることを特徴とする。
【0016】
本発明の化1の化合物の置換基の定義に使用された用語は、下記の通りである。
”アルキル”は、他に記載がない限り、炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖あるいは環状の飽和炭化水素を示す。C1〜30アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、イソノニル、およびイソデシルなどが含むが、これらに制限されない。
また、アルキルは、”シクロアルキル”を含む。
シクロアルキルは、他に記載がない限り、炭素数3〜12の非芳香族飽和炭水素環として単一環及び融合環を含む。C3−12シクロアルキルの代表的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれるが、これらに制限されない。
【0017】
”アルキレン”は、アルキルから誘導された2価の有機のグループ(bivalent organic group)として、好ましい炭素数の範囲は、前記アルキルと同一である。
【0018】
”アルキニル”は、他に記載がない限り、1以上の三重結合を有する、炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素を示す。C2〜24アルキニル基の例は、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、イソブチン、sec−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、イソペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、イソヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、1−ノニン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、1−デシン、2−デシン、3−デシン、4−デシン及び5−デシンが含まれるが、これらに制限されない。
【0019】
”アリール”は、他に記載がない限り、炭素数5〜12の芳香族環状化合物を示す。アリール基の例とては、フェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントラセニルを含むが、これらに制限されない。
【0020】
”アルアルキル”は、アリール及びアルキルが前述したようなアリール−アルキル−グループを意味する。好ましいアルアルキルは、低級アルキルグループを含む。適合するアルアルキルグループの非制限的例は、ベンジル、2−フェネチル及びナフタレニルメチルを含む。母残基(parent residue)に対する結合は、アルキルを通じて行われる。
【0021】
前記アルキル、アルキレン、アルキニル、アリール及びアルアルキルは、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキニル、及び炭素数5〜12のアリールよりなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されることができる。
【0022】
上記化1の化合物は、具体的には、R1が、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示し、
R2及びR3が、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、C5−12のアリール、またはC6−12のアルアルキルを示し、
上記置換基Rは、それぞれC1−6のアルキル、C2−6のアルキレン、またはC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−6のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことができる。
【0023】
上記化1の化合物は、具体的に、R1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、またはC2−6のアルキレンで置換されるかまたは非置換されたC6−12のアルアルキルを示すことができる。
【0024】
上記化1の化合物は、具体的に、R1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−8のアルキル、ベンジル、またはC2−4のアルキレンで置換されたC6−12のアルアルキルを示すことができる。
【0025】
本発明のUVコーティング用組成物において、上記化1の化合物は、1〜50重量部含まれることが好ましい。含量が1重量部未満の場合は、含量が極めて少ないため、ウルシオールの特性を発現しにくくなり、50重量部を超過する場合は、UV溶液に対してウルシオールの含量が多くなりすぎて、UV硬化時に完全に硬化が起きないので、コーティング表面に未反応物質が残るからである。
【0026】
本発明のUVコーティング用組成物において、前記バインダーは、オリゴマー及び希釈剤を含むことができる。
【0027】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタン系変性エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリリックアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、アクリリックアクリレート、ポリチオールアクリレート誘導体、またはポリチオールスピロアセタル系などを単独または2種以上使用することができる。
【0028】
前記エポキシアクリレートは、芳香族二作用性エポキシアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、または脂肪族エポキシアクリレートなどを制限なく使用することができる。
【0029】
前記ウレタンアクリレート重合は、ジイソシアネートと活性水素を有しているポリオールとの水素移動反応によって進行し、イソシアネートとヒドロキシアルキルアクリレートを反応させて製造することができるが、これに限定されない。
【0030】
より具体的には、前記オリゴマーは、ウレタン系変性エポキシアクリレート25〜45重量部と、ウレタンアクリレート10〜25重量部と、を含むことが好ましい。
【0031】
前記ウレタン系に変性されたエポキシアクリレートオリゴマーは、含量が25重量部未満では耐食性及び耐スクラッチ性が良くなく、45重量部を超過すると塗料の粘度が増加して作業性が悪くなる。より好ましくは、30〜38重量部含まれることが好ましい。
【0032】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、含量が10重量部未満なら、塗膜硬度が増加し、ベンディング性(加工性)、特定的に屈曲加工性及び付着性が良くなく、25重量部を超過すれば、塗膜硬化度が減少し、耐スクラッチ性が減少する。より好ましくは、15〜20重量部含まれることが好ましい。
【0033】
また、前記希釈剤は、1官能基または3官能基アクリルモノマーを使用することができ、例えば、アクリルモルホリン(ACMO)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、イソボニルアクリレート(IBOA)などの1官能基アクリルモノマー、およびトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシレイティド(3モル)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシレイティド(6モル)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレイティド(3モル)トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)などの3官能基アクリルモノマーのうちの1個以上を選択して使用することができるが、これに限定されない。
【0034】
より具体的には、アクリル系モノマーは、1官能基アクリルモノマー25〜35重量部と、3官能基アクリルモノマー7〜15重量部と、を含むことが好ましい。
【0035】
前記1官能基アクリルモノマーは、含量が25重量部未満なら粘度が増加して付着性が良くなく、35重量部を超過すれば、紫外線硬化性が減少し、生産性が減少するからである。
【0036】
また、前記3官能基アクリルモノマーは、含量が7重量部未満なら粘度が増加し、15重量部を超過すれば全般的な塗膜の物性に良くない影響を及ぼすからである。
【0037】
また、本発明のUVコーティング用組成物は、オリゴマー及び希釈剤以外に添加剤を含むことができる。
【0038】
前記添加剤として光開始剤を含むことができる。光開始剤は、ベンゾフェノン系、ジフェノキシベンゾフェノン系、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、またはベンジル系光開始剤などを制限なく使用することができる。現在市販されている光開始剤としては、Micure HP−8、Irgacure 819、Darocur TPO、Micure CP−4のような開始剤を使用することができるが、これに限定されない。
【0039】
本発明の組成物において、前記光開始剤の含量は特に制限されないが、0.1〜10重量部を使用することが好ましい。0.1重量部未満では硬化されないおそれがあり、10重量部を超過すると物性が低下することがある。
【0040】
一方、貯蔵を容易にするために安定剤を使用することができ、フェノール系酸化防止剤、アルキル化されたモノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化されたヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化されたチオジフェニルエーテル、アルキルリデンビスフェノール、O−、N−、及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化されたマロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン系酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性剤、ホスファイト、ホスホニト、ベンジルホスホネート 、アスコビン酸、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシナジスト、ベンゾフラノン、またはインドリノンが含まれるが、これに限定されない。
【0041】
また、本発明のUVコーティング用組成物は、粘着強度を増加させるためにシランカップリング剤を追加して添加することができる。
【0042】
シランカップリング剤の具体的例としては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、ガンマ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ベータ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニル卜リクロロシラン、ガンマ−メルカプトプロピルメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びその混合物が含まれるが、これに限定されない。
【0043】
また、本発明は、下記化2で表される化合物のヒドロキシ基を改質した化合物を含むUVコーティング用組成物を製造する段階と、前記組成物を基材に塗布して硬化させる段階と、を含む基材の表面処理方法に関する。
【化2】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示す。
【0044】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示すことができる。
【0045】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示すことができる。
【0046】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示すことができる。
【0047】
本発明の基材の表面処理方法において、化2の化合物の改質段階は、有機溶媒及び触媒の存在下で化2の化合物及び上記化2の化合物のヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物を反応させる段階を含むことが好ましい。
【0048】
上記化2の化合物は、漆(Toxicodendron vernicifluum)または漆科の木材から抽出が可能な生漆(raw lacquerまたは漆液)から抽出した天然、または合成化合物であることができる。
【0049】
本発明の一具体例によれば、化2の化合物として生漆から抽出した天然状態を使用する場合は、次の方法によって抽出することができるが、これに特に制限するものではない。
【0050】
まず、生漆及び有機溶媒を1:1〜2の重量比で混合し、20〜25℃で3〜6時間窒素雰囲気下で撹拌する。混合比率が1未満の場合、ウルシオールが充分に溶解されない問題が生じ、2を超過する場合、有機溶媒の使用及び回収にさらに多い時間が所要されることがある。
【0051】
有機溶媒としてメチレンクロライド、アセトン、またはアセトニトリルなどを使用することができる。より好ましくは、低い沸点に起因して低温で回収が容易であり、少ないエネルギーを必要とするメチレンクロライドを使用することが好ましい。
【0052】
漆は、原産地に制限なく使用することができる。
【0053】
撹拌後、混合溶液をペーパーフィルター(Whatman、100μm pore size)でフィルターした後、さらにテフロン(登録商標)フィルター(Millipore、PTFE、0.1μm)で濾過する。フィルター方法は、遠心分離法を使用しないので、必要な時間及び経済的費用が少ないという長所がある。
【0054】
濾過された溶液は、さらに20℃の真空オーブンで乾燥し、有機溶媒を除去する。
【0055】
ウルシオール抽出方法は、窒素雰囲気で酸化状態を防止し、低温で乾燥させて加熱によるウルシオールの副反応を最小化することを特徴とする。
【0056】
触媒は、SnOct2、ジブチルスズ ジラウレート(dibutyltin dilaurate、DBDTL)などを単独または2種以上使用することができる。
【0057】
前記触媒は、化2の化合物100重量部に対して0.1〜1重量部含まれることが好ましいが、含量範囲内の場合、反応性が良いからである。
【0058】
有機溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone)、またはジメチルホルムアミド(dimethylformamide)などを単独または2種以上使用することができる。
【0059】
上記化2の化合物及び有機溶媒は、重量対比1:2〜4の比率で混合することが好ましい。有機溶媒の重量比が1:2未満の場合、反応時に粘度上昇及び反応熱の問題に起因して反応温度制御が容易ではなく、1:4の比率を超過する場合、多量の有機溶媒を除去しなければならない問題点があるからである。
【0060】
また、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、構造内にイソシアネート基、アルコキシ基、またはカルボキシル基を有する化合物、ハロゲン原子を含む化合物、または環状無水物であることができる。
【0061】
より具体的に、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、R−N=C=O、R−O=C−X、R−COOH、R4−x−Si−(R’)x、またはR−R’を示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
置換基Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換されることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことができる。
【0062】
最も具体的に、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、ベンジルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、3−イソプロフェニル−a、a−ジメチルベンジルイソシアネート、メタアクロイルクロライド、アルキルシランまたは脂肪酸スクシン無水物などを単独または2種以上使用することができる。
【0063】
化2の化合物を有機溶媒に溶かした反応溶液、及びヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、1:2〜2.1のモル比で混合することが好ましいが、混合モル比が1:2より少ない場合は、未反応のヒドロキシ基が存在し、重合時に低い硬化度、低い重合速度などの問題点が発生することがあり、モル比が1:2.1より大きい場合は、未反応官能基(イソシアネート)が反応物に存在し、これを除去するための精製過程が必要であるか、または最終製品に残留し、毒性問題が発生したり、あるいはフィルム外観が悪くなることがある。
【0064】
また、上記化2の化合物の改質温度は、30〜50℃であることが好ましい。温度が30℃未満では反応時間が長くなり、50℃を超過すれば、速い反応速度に起因して反応熱の制御が難しくなることがあり、官能基(イソシアネート)の副反応(ビウレット(biuret)及びアロファネート(allophanate)形成が発生することがある。
【0065】
また、基材は、金属、木材、プラスチック、皮、または紙などを使用することができる。
【0066】
金属は、好ましくは、鋼板であって、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛系電気メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、メッキ層にコバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、アルミニウム、マンガン、鉄マグネシウム、スズ、銅またはこれらの混合物である不純物または異種金属を含有するメッキ鋼板、シリコーン、銅、マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、亜鉛またはこれらの混合物を添加したアルミニウム合金板、リン酸塩が塗布された亜鉛メッキ鋼板、冷延鋼板、または熱延鋼板などを使用することができるが、これに特に制限されるものではない。
【0067】
また本発明は、基材と、前記基材の一面または両面に本発明によるUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含む表面処理基材に関する。
【0068】
本発明の表面処理基材は、UVコーティング用組成物を、基材の一面または両面に塗布し、UV光硬化反応を通じて1〜20μm厚さのコーティング層を形成することによって、優れた抗菌性、高耐スクラッチ性及びコーティング表面の優れた表面光沢度を維持することができると共に、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、および耐食性向上効果などを示す親環境的で且つ健康に有益な機能性を有することができる。
【0069】
基材は、金属、木材、プラスチック、皮、または紙などを使用することができるが、これに特に制限するものではない。
【0070】
基材として、金属、好ましくは、鋼板を使用する場合、鋼板の種類は、前述した通りである。
【0071】
また、本発明は、上記の表面処理基材を利用した製品に関する。
【0072】
本発明の表面処理基材は、優れた抗菌効果だけでなく、高光沢、鮮映性、耐スクラッチ性などに優れていて、優れた表面外観及び機能性が要求される家電製品、または壁体、天井材、仕切りなどの建築物内外装材に使用することができる。
【0073】
(実施例)
以下に、本発明を、実施例及び比較例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が、下記実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0074】
(UVコーティング液製造)
ウルシオールを生漆から抽出するために、生漆をメチレンクロライドに1:1の重量比率で入れ、窒素雰囲気の下で約23℃で約4時間撹拌した。
【0075】
撹拌後、溶液をペーパーフィルター(Whatman、100μm pore size)でフィルターした後、さらにテフロン(登録商標)フィルター(Millipore、PTFE、0.1μm)で濾過した。
【0076】
濾過した溶液は、さらに20℃の真空オーブンで乾燥し、メチレンクロライドを除去した。
【0077】
図3及び図4に抽出したウルシオールに対するFT−IRスペクトル及び1H−NMRデータそれぞれを示した。
【0078】
次に、上記で抽出したウルシオールのヒドロキシ基と反応することができるモノイソシアネートを導入し、ヒドロキシ基をブロック化した。具体的に説明すれば、次の通りである。
【0079】
スズオクトエート(tin octoate、SnOct2)(0.1重量部)の存在下で、ウルシオールをテトラヒドロフランに1:2の重量比で混合し、溶かした。
【0080】
上記溶液にモノイソシアネート(ヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、またはTMI Meta、Cytec社)をゆっくり添加し、約40℃で反応させた。反応時にリアルタイムでFT−IR分析を通じて2270−3cm−1で検出されるNCOピークの強度を観察し、これを通じて反応の完結時間及び消耗するモノイソシアネートの量を決定した。
【0081】
上記で反応が完結された変性ウルシオール(HI−UR:ヘキシルイソシアネートで変性、BI−UR:ベンジルイソシアネートで変性、TI−UR:TMI(Meta、Cytec社)で変性されたもの)を変性しないURと同じ条件でUVコーティング液と均質混合し、抗菌UVコーティング液を製造した。製造されたコーティング液を鋼板に塗布した後、UV光硬化反応を通じて抗菌UVコーティング鋼板を製造した。
【0082】
具体的に、変性エポキシアクリレートオリゴマー[CN150/80、Sartomer、米国]35g、ウレタンアクリレートオリゴマー[UA−5221, HSケムトロン、韓国]15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)[SR285、Sartomer、米国]30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)[Miramer M200、ミウォン商社、韓国]10g、光開始剤[Darocur 1173、Ciba Chemicals、スイス]8g、消泡剤[TEGO Airex 920、Evonik、ドイツ]0.5g、レベリング剤[TEGO Rad 2250、Evonik、ドイツ]0.5g及び付着増進剤1gを混合し、塗料組成物を製造した。上記組成物をメッキ鋼板(GI、EG)上に0.5〜20μm以下にコーティングした後、UVランプを利用して2000mJ以下の光量で硬化させた。
【0083】
抗菌UVコーティング液においてウルシオール(変性または純粋)と光開始剤の含量は、表1のように使用した。
【0084】
抗菌UVコーティング液にコーティングされた鋼板は、次のような方法で抗菌性(KATRI、韓国衣類試験研究員に依頼)を測定した。テスト方法は、JIS Z2801法で、使用された菌株として、黄色葡萄状球菌(S.aureus、ATCC 6538P)と大腸菌(E.coli、ATCC 8739)を使用した。
【0085】
まず、菌株を栄養培地(nutrient broth)に準備した後、0.4mL程度の体積の量であらかじめ滅菌した試験片(サンプル当たり3個ずつ、コーティング鋼板の試験片サイズ=50mm×50mm)に載置し、その上を滅菌ポリスチレンフィルム(sterile polystyrene film)(40mm×40mm)で覆った。このサンプルを35℃で24時間インキュベーター中で培養させた後、さらにStomacher bagに入っているneutralizer containerに入れ、24時間培養後、それぞれの試験片から生成された菌株のコロニー数を測定し、次の式で抗菌性(静菌減少値:R、静菌減少率:%)を評価した。対照群としては、鋼板試験片なしにStomacher bagだけを使用して処理した。
【0086】
静菌減少値
【数1】
【0087】
静菌減少値
【数2】
【0088】
上記式中、
Aは、初期菌株のコロニー数、Bは、24時間培養後、対照群での菌株のコロニー数、Cは、抗菌処理された鋼板試験片での菌株のコロニー数を示す。
【0089】
硬化度(degree of crosslinking、DC)分析は、溶媒抽出法を使用した。製造された抗菌性UVコーティング液を鋼板に塗布した後、UVで光照射し、硬化時間5分後、試験片を取り出し、これをエタノールに入れ、24時間放置した後、エタノールに溶けて残留する未反応の単量体及びウルシオールの量を重量法で測定した。重量法に使用された式(3)は、次の通りである。
【0090】
【数3】
【0091】
上記式中、W0は、試験片にコーティングされたコーティング液の重量、Wsは、エタノールに溶けて出たコーティング液の重量である。
【0092】
鋼板のナノ硬度の測定条件は、次の通りである。
測定チップ:Berkovichダイヤモンドtip(D=7.53h、A=24.56hc2)
分析温度:20℃
最大荷重=500mN
試験片の平均値を使用する
【0093】
また、光沢度は、光沢度測定器を利用してアングルセレクターを60゜に固定した後、黒色光沢標準板をサンプル台に載置した。スイッチをオン(On)させた後、1〜2分間放置し、標準板の光沢が96.4%になるまでStandardizing Control Knobを用いて調整した後試、テストしようとする試験片を標準板に変え、マイクロアンペアのスケールを読んだ(但し、10回測定した後、平均値を出す。)。
【0094】
引張強度は、引張強度試験機器(万能測定器)を利用して試験片をテスト機器にセッチング(Setting)した後、破断されるまでテストした。テスト速度は、50mm/min、テスト完了荷重減少量(End Load)は、90%にした。
【0095】
下記表1〜3は、本発明のUVコーティング液の光硬化による物性測定結果を示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
表1に示したように、純粋UVコーティング液の場合、抗菌性が全然なく、未変性ウルシオールが10重量部導入されたUVコーティング液の場合にも、E.coliに対しては、低い静菌減少率を示した。この場合、何より問題になったことは、高い開始剤の含量が要求されるにもかかわらず、低い硬化度と非常に長い硬化時間を示した。
【0100】
ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオールを5重量部及び10重量部含有する抗菌UVコーティング液の場合、E.coliに対して高い抗菌活性を示した。これは、変性ウルシオールの高い硬化反応に起因するものであって、ウルシオールのヒドロキシ基をブロック化することによって、カテコール構造のラジカル共鳴安定化効果を抑制し、ラジカルの消耗及び遅延反応を抑制させる。また、優れた硬化度により外観の光沢度の優れたコーティングフィルムを得ることができる。
【0101】
表2に示したように、ウルシオールの導入により光沢度が増加した。これは、ウルシオールの高光沢特性に起因したものと考えられるが、測定値より実際目視で見る時、高光沢だけでなく、鮮映性において顕著に差異があった。
【0102】
表3に示したように、ウルシオール含量が増加するにつれて引張強度が増加した。
【0103】
また、図8及び図9は、耐食性テスト結果(SST)を示したもので、改質しないウルシオールを含有する場合、低い硬化効率による表面未硬化に起因して塗膜にクラックが生じ、白錆が発生し、ウルシオールが含有されていない溶液の場合、耐食性が劣化し、改質したウルシオールを含有する場合、ウルシオールの特性である耐食性向上(防錆性)効果によって白錆発生がない。
【0104】
したがって、素地鋼板が耐食効果を有しているSST以外には、耐食性のための下地塗膜が必要であるが、ウルシオール添加時に1coatで所望の耐食性能具現が可能である。
【0105】
図10は、本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理によるナノ硬度測定結果を示したものであり、純粋UVコーティング液に比べて硬度が増加した。すなわち、耐スクラッチ性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、優れた表面外観及び機能性が要求される家電製品、または壁体、天井材、仕切りなどの建築物内外装材に使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法に係り、より詳しくは、生漆から抽出したウルシオールのヒドロキシ基の反応性を除去し、鋼板などの基材のUVコーティング剤として使用することによって、高い抗菌性を示すだけでなく、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、低含量の光開始剤を使用した高い架橋反応速度、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性などの優れた表面外観及び機能性を示すことができる漆由来の変性ウルシオールを利用した基材の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漆の木(Toxicodendron vernicifluum)の主原産地は、中央アジア及びヒマラヤであると知られているが、現在は、中国、熱帯地方、日本国及び韓国など東アジア圏で主に生産されていて、これから得られた漆液は、抗菌性、耐候性、耐磨耗性、耐水性、耐腐食性などの長所があるので、昔から金属、木材などのコーティング素材に活用されて来ており、漢方では、薬剤として広く活用されて来ている。生漆の主成分は、ウルシオール(60〜70%)、水分(〜20%)、その他水溶性及び油溶性タンパク質、ラッカーゼ及びガム(gum)類である。
【0003】
ウルシオール(urushiol)は、不飽和鎖状アルキル基(unsaturated alkyl chain)を有するカテコール(catechol)として知られていて、一般的に、poison ivy疾患の主原因として解釈されている。このようなウルシオールは、多様な極性及び非極性溶媒によく溶けるものと知られていて、有機溶媒を利用した抽出法が非常に発達されている。図1に示すように、生漆は、自然状態または空気中に放置された状態で、内在されたラッカーゼ(laccase)の酵素反応によってウルシオール単量体と分子量1,000〜5,000g/mol程度のオリゴマーとで構成されている。
【0004】
最近、このようなウルシオールの問題点を解決し、ウルシオールの重合及び架橋反応を通じて抗菌性に優れたコーティング及び塗料製品を開発するための多くの努力が報告されており、古典的な方法としては、ラッカーゼまたはペルオキシド開始剤(peroxide initiators)の存在下でのフリーラジカル重合を例示することができる。前者の場合、長い重合及び架橋時間を要求するが、後者の場合、数時間内に反応を完了することができ、多様な用途に研究及び開発が進行されて来た。韓国公開特許第2008−0045926号公報によれば、高価なウルシオールを広い重量範囲でUV塗料に対して100:1〜100まで使用した。
【0005】
しかし、ウルシオールのカテコール構造は、フリーラジカル重合時(熱及び光硬化の両方該当)、図2のような副反応(ラジカル捕獲反応)に起因してコーティング表面の光沢度低下、低い重合速度、低い硬化率、高い含量の開始剤使用などが問題点として指摘されて来た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の短所を改善するためになされたものであって、生漆から抽出したウルシオールのヒドロキシ基をブロック(blocking)し、UVコーティング剤として使用することによって、優れた物性を有する基材、その製造方法、及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含むUVコーティング用組成物を提供する。
【化1】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
上記置換基Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるか、または非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す。
【0008】
また、本発明は、下記化2で表される化合物のヒドロキシ基を改質した化合物を含むUVコーティング用組成物を製造する段階と、上記組成物を基材に塗布して硬化させる段階と、を含む基材の表面処理方法を提供する。
【化2】
上記式中、R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示す。
【0009】
また、本発明は、基材と、前記基材の一面または両面に本発明によるUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含む表面処理基材を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記の表面処理基材を利用した製品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、漆の抗菌特性を示すウルシオール(urushiol)のヒドロキシ基をブロックして反応性を除去した後、UVコーティング剤として使用することによって、基材の抗菌効果に優れていて、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性、及び低い含量の光開始剤を使用した高い架橋反応速度を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の生漆から抽出したウルシオール単量体の化学式を示す図である。
【図2】本発明の生漆から抽出したウルシオールの光硬化反応時に発生するラジカル捕獲反応及び重合メカニズムを示す図である。
【図3】本発明の生漆から抽出したウルシオールのFT−IRデータを示す図である。
【図4】本発明の生漆から抽出したウルシオールの1H−NMRデータを示す図である。
【図5】本発明の生漆から抽出したウルシオールの変性反応例を示す図である。
【図6】本発明の生漆から抽出したウルシオール(a)及び変性ウルシオール(b)のFT−IRスペクトルデータを示す図である。
【図7】対照群(a)、本発明の生漆から抽出したウルシオール(b)、5%ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオール(c)及び10%ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオール(d)を含むUVコーティング剤を使用して鋼板の抗菌性を測定した結果を示す図である。
【図8】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理による耐食性テスト結果(SST)を示す図である。
【図9】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理による耐食性テスト結果(SST)を示す図である。
【図10】本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理によるナノ硬度測定結果を示す図である。
【図11】本発明の生漆由来の変性ウルシオールを利用した鋼板のUV硬化技術を図式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の構成を具体的に説明する。
【0014】
本発明は、バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含むUVコーティング用組成物に関する。
【化1】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す。
【0015】
上記化1の化合物は、漆の木(Toxicodendron vernicifluum)または漆科の木材から抽出が可能な生漆(raw lacquer)(または漆液)の主成分として知られているウルシオールのヒドロキシ基をブロック化して反応性を除去することによって、UV硬化反応性を向上させた変性ウルシオールを示すものであって、ヒドロキシ基のブロック化は、本発明の基材の表面処理方法において化2で表されるウルシオールの表面改質段階で具体的に後述していて、このようなブロック化は、カテコール構造のラジカル共鳴安定化効果を抑制し、ラジカルの消去及び遅延反応を抑制することができるので、UVコーティング剤として使用して、光硬化時に発生する副反応がなく、且つウルシオール特有の優れた特性、例えば、抗菌性、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、耐食性向上効果、優れた表面光沢度、高耐スクラッチ性などの効果を示すことができることを特徴とする。
【0016】
本発明の化1の化合物の置換基の定義に使用された用語は、下記の通りである。
”アルキル”は、他に記載がない限り、炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖あるいは環状の飽和炭化水素を示す。C1〜30アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、イソノニル、およびイソデシルなどが含むが、これらに制限されない。
また、アルキルは、”シクロアルキル”を含む。
シクロアルキルは、他に記載がない限り、炭素数3〜12の非芳香族飽和炭水素環として単一環及び融合環を含む。C3−12シクロアルキルの代表的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれるが、これらに制限されない。
【0017】
”アルキレン”は、アルキルから誘導された2価の有機のグループ(bivalent organic group)として、好ましい炭素数の範囲は、前記アルキルと同一である。
【0018】
”アルキニル”は、他に記載がない限り、1以上の三重結合を有する、炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素を示す。C2〜24アルキニル基の例は、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、イソブチン、sec−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、イソペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、イソヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、1−ノニン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、1−デシン、2−デシン、3−デシン、4−デシン及び5−デシンが含まれるが、これらに制限されない。
【0019】
”アリール”は、他に記載がない限り、炭素数5〜12の芳香族環状化合物を示す。アリール基の例とては、フェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントラセニルを含むが、これらに制限されない。
【0020】
”アルアルキル”は、アリール及びアルキルが前述したようなアリール−アルキル−グループを意味する。好ましいアルアルキルは、低級アルキルグループを含む。適合するアルアルキルグループの非制限的例は、ベンジル、2−フェネチル及びナフタレニルメチルを含む。母残基(parent residue)に対する結合は、アルキルを通じて行われる。
【0021】
前記アルキル、アルキレン、アルキニル、アリール及びアルアルキルは、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキニル、及び炭素数5〜12のアリールよりなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されることができる。
【0022】
上記化1の化合物は、具体的には、R1が、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示し、
R2及びR3が、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、C5−12のアリール、またはC6−12のアルアルキルを示し、
上記置換基Rは、それぞれC1−6のアルキル、C2−6のアルキレン、またはC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−6のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことができる。
【0023】
上記化1の化合物は、具体的に、R1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、またはC2−6のアルキレンで置換されるかまたは非置換されたC6−12のアルアルキルを示すことができる。
【0024】
上記化1の化合物は、具体的に、R1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−8のアルキル、ベンジル、またはC2−4のアルキレンで置換されたC6−12のアルアルキルを示すことができる。
【0025】
本発明のUVコーティング用組成物において、上記化1の化合物は、1〜50重量部含まれることが好ましい。含量が1重量部未満の場合は、含量が極めて少ないため、ウルシオールの特性を発現しにくくなり、50重量部を超過する場合は、UV溶液に対してウルシオールの含量が多くなりすぎて、UV硬化時に完全に硬化が起きないので、コーティング表面に未反応物質が残るからである。
【0026】
本発明のUVコーティング用組成物において、前記バインダーは、オリゴマー及び希釈剤を含むことができる。
【0027】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタン系変性エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリリックアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、アクリリックアクリレート、ポリチオールアクリレート誘導体、またはポリチオールスピロアセタル系などを単独または2種以上使用することができる。
【0028】
前記エポキシアクリレートは、芳香族二作用性エポキシアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、または脂肪族エポキシアクリレートなどを制限なく使用することができる。
【0029】
前記ウレタンアクリレート重合は、ジイソシアネートと活性水素を有しているポリオールとの水素移動反応によって進行し、イソシアネートとヒドロキシアルキルアクリレートを反応させて製造することができるが、これに限定されない。
【0030】
より具体的には、前記オリゴマーは、ウレタン系変性エポキシアクリレート25〜45重量部と、ウレタンアクリレート10〜25重量部と、を含むことが好ましい。
【0031】
前記ウレタン系に変性されたエポキシアクリレートオリゴマーは、含量が25重量部未満では耐食性及び耐スクラッチ性が良くなく、45重量部を超過すると塗料の粘度が増加して作業性が悪くなる。より好ましくは、30〜38重量部含まれることが好ましい。
【0032】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、含量が10重量部未満なら、塗膜硬度が増加し、ベンディング性(加工性)、特定的に屈曲加工性及び付着性が良くなく、25重量部を超過すれば、塗膜硬化度が減少し、耐スクラッチ性が減少する。より好ましくは、15〜20重量部含まれることが好ましい。
【0033】
また、前記希釈剤は、1官能基または3官能基アクリルモノマーを使用することができ、例えば、アクリルモルホリン(ACMO)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、イソボニルアクリレート(IBOA)などの1官能基アクリルモノマー、およびトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシレイティド(3モル)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシレイティド(6モル)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレイティド(3モル)トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)などの3官能基アクリルモノマーのうちの1個以上を選択して使用することができるが、これに限定されない。
【0034】
より具体的には、アクリル系モノマーは、1官能基アクリルモノマー25〜35重量部と、3官能基アクリルモノマー7〜15重量部と、を含むことが好ましい。
【0035】
前記1官能基アクリルモノマーは、含量が25重量部未満なら粘度が増加して付着性が良くなく、35重量部を超過すれば、紫外線硬化性が減少し、生産性が減少するからである。
【0036】
また、前記3官能基アクリルモノマーは、含量が7重量部未満なら粘度が増加し、15重量部を超過すれば全般的な塗膜の物性に良くない影響を及ぼすからである。
【0037】
また、本発明のUVコーティング用組成物は、オリゴマー及び希釈剤以外に添加剤を含むことができる。
【0038】
前記添加剤として光開始剤を含むことができる。光開始剤は、ベンゾフェノン系、ジフェノキシベンゾフェノン系、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、またはベンジル系光開始剤などを制限なく使用することができる。現在市販されている光開始剤としては、Micure HP−8、Irgacure 819、Darocur TPO、Micure CP−4のような開始剤を使用することができるが、これに限定されない。
【0039】
本発明の組成物において、前記光開始剤の含量は特に制限されないが、0.1〜10重量部を使用することが好ましい。0.1重量部未満では硬化されないおそれがあり、10重量部を超過すると物性が低下することがある。
【0040】
一方、貯蔵を容易にするために安定剤を使用することができ、フェノール系酸化防止剤、アルキル化されたモノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化されたヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化されたチオジフェニルエーテル、アルキルリデンビスフェノール、O−、N−、及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化されたマロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン系酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性剤、ホスファイト、ホスホニト、ベンジルホスホネート 、アスコビン酸、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシナジスト、ベンゾフラノン、またはインドリノンが含まれるが、これに限定されない。
【0041】
また、本発明のUVコーティング用組成物は、粘着強度を増加させるためにシランカップリング剤を追加して添加することができる。
【0042】
シランカップリング剤の具体的例としては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、ガンマ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ベータ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニル卜リクロロシラン、ガンマ−メルカプトプロピルメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びその混合物が含まれるが、これに限定されない。
【0043】
また、本発明は、下記化2で表される化合物のヒドロキシ基を改質した化合物を含むUVコーティング用組成物を製造する段階と、前記組成物を基材に塗布して硬化させる段階と、を含む基材の表面処理方法に関する。
【化2】
上記式中、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示す。
【0044】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示すことができる。
【0045】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示すことができる。
【0046】
上記化2の化合物は、具体的にはR1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示すことができる。
【0047】
本発明の基材の表面処理方法において、化2の化合物の改質段階は、有機溶媒及び触媒の存在下で化2の化合物及び上記化2の化合物のヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物を反応させる段階を含むことが好ましい。
【0048】
上記化2の化合物は、漆(Toxicodendron vernicifluum)または漆科の木材から抽出が可能な生漆(raw lacquerまたは漆液)から抽出した天然、または合成化合物であることができる。
【0049】
本発明の一具体例によれば、化2の化合物として生漆から抽出した天然状態を使用する場合は、次の方法によって抽出することができるが、これに特に制限するものではない。
【0050】
まず、生漆及び有機溶媒を1:1〜2の重量比で混合し、20〜25℃で3〜6時間窒素雰囲気下で撹拌する。混合比率が1未満の場合、ウルシオールが充分に溶解されない問題が生じ、2を超過する場合、有機溶媒の使用及び回収にさらに多い時間が所要されることがある。
【0051】
有機溶媒としてメチレンクロライド、アセトン、またはアセトニトリルなどを使用することができる。より好ましくは、低い沸点に起因して低温で回収が容易であり、少ないエネルギーを必要とするメチレンクロライドを使用することが好ましい。
【0052】
漆は、原産地に制限なく使用することができる。
【0053】
撹拌後、混合溶液をペーパーフィルター(Whatman、100μm pore size)でフィルターした後、さらにテフロン(登録商標)フィルター(Millipore、PTFE、0.1μm)で濾過する。フィルター方法は、遠心分離法を使用しないので、必要な時間及び経済的費用が少ないという長所がある。
【0054】
濾過された溶液は、さらに20℃の真空オーブンで乾燥し、有機溶媒を除去する。
【0055】
ウルシオール抽出方法は、窒素雰囲気で酸化状態を防止し、低温で乾燥させて加熱によるウルシオールの副反応を最小化することを特徴とする。
【0056】
触媒は、SnOct2、ジブチルスズ ジラウレート(dibutyltin dilaurate、DBDTL)などを単独または2種以上使用することができる。
【0057】
前記触媒は、化2の化合物100重量部に対して0.1〜1重量部含まれることが好ましいが、含量範囲内の場合、反応性が良いからである。
【0058】
有機溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone)、またはジメチルホルムアミド(dimethylformamide)などを単独または2種以上使用することができる。
【0059】
上記化2の化合物及び有機溶媒は、重量対比1:2〜4の比率で混合することが好ましい。有機溶媒の重量比が1:2未満の場合、反応時に粘度上昇及び反応熱の問題に起因して反応温度制御が容易ではなく、1:4の比率を超過する場合、多量の有機溶媒を除去しなければならない問題点があるからである。
【0060】
また、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、構造内にイソシアネート基、アルコキシ基、またはカルボキシル基を有する化合物、ハロゲン原子を含む化合物、または環状無水物であることができる。
【0061】
より具体的に、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、R−N=C=O、R−O=C−X、R−COOH、R4−x−Si−(R’)x、またはR−R’を示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
置換基Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換されることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことができる。
【0062】
最も具体的に、ヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、ベンジルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、3−イソプロフェニル−a、a−ジメチルベンジルイソシアネート、メタアクロイルクロライド、アルキルシランまたは脂肪酸スクシン無水物などを単独または2種以上使用することができる。
【0063】
化2の化合物を有機溶媒に溶かした反応溶液、及びヒドロキシ基と反応可能な官能基を含有する化合物は、1:2〜2.1のモル比で混合することが好ましいが、混合モル比が1:2より少ない場合は、未反応のヒドロキシ基が存在し、重合時に低い硬化度、低い重合速度などの問題点が発生することがあり、モル比が1:2.1より大きい場合は、未反応官能基(イソシアネート)が反応物に存在し、これを除去するための精製過程が必要であるか、または最終製品に残留し、毒性問題が発生したり、あるいはフィルム外観が悪くなることがある。
【0064】
また、上記化2の化合物の改質温度は、30〜50℃であることが好ましい。温度が30℃未満では反応時間が長くなり、50℃を超過すれば、速い反応速度に起因して反応熱の制御が難しくなることがあり、官能基(イソシアネート)の副反応(ビウレット(biuret)及びアロファネート(allophanate)形成が発生することがある。
【0065】
また、基材は、金属、木材、プラスチック、皮、または紙などを使用することができる。
【0066】
金属は、好ましくは、鋼板であって、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛系電気メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、メッキ層にコバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、アルミニウム、マンガン、鉄マグネシウム、スズ、銅またはこれらの混合物である不純物または異種金属を含有するメッキ鋼板、シリコーン、銅、マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、亜鉛またはこれらの混合物を添加したアルミニウム合金板、リン酸塩が塗布された亜鉛メッキ鋼板、冷延鋼板、または熱延鋼板などを使用することができるが、これに特に制限されるものではない。
【0067】
また本発明は、基材と、前記基材の一面または両面に本発明によるUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含む表面処理基材に関する。
【0068】
本発明の表面処理基材は、UVコーティング用組成物を、基材の一面または両面に塗布し、UV光硬化反応を通じて1〜20μm厚さのコーティング層を形成することによって、優れた抗菌性、高耐スクラッチ性及びコーティング表面の優れた表面光沢度を維持することができると共に、遠赤外線放射効果、電磁波遮断効果、および耐食性向上効果などを示す親環境的で且つ健康に有益な機能性を有することができる。
【0069】
基材は、金属、木材、プラスチック、皮、または紙などを使用することができるが、これに特に制限するものではない。
【0070】
基材として、金属、好ましくは、鋼板を使用する場合、鋼板の種類は、前述した通りである。
【0071】
また、本発明は、上記の表面処理基材を利用した製品に関する。
【0072】
本発明の表面処理基材は、優れた抗菌効果だけでなく、高光沢、鮮映性、耐スクラッチ性などに優れていて、優れた表面外観及び機能性が要求される家電製品、または壁体、天井材、仕切りなどの建築物内外装材に使用することができる。
【0073】
(実施例)
以下に、本発明を、実施例及び比較例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が、下記実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0074】
(UVコーティング液製造)
ウルシオールを生漆から抽出するために、生漆をメチレンクロライドに1:1の重量比率で入れ、窒素雰囲気の下で約23℃で約4時間撹拌した。
【0075】
撹拌後、溶液をペーパーフィルター(Whatman、100μm pore size)でフィルターした後、さらにテフロン(登録商標)フィルター(Millipore、PTFE、0.1μm)で濾過した。
【0076】
濾過した溶液は、さらに20℃の真空オーブンで乾燥し、メチレンクロライドを除去した。
【0077】
図3及び図4に抽出したウルシオールに対するFT−IRスペクトル及び1H−NMRデータそれぞれを示した。
【0078】
次に、上記で抽出したウルシオールのヒドロキシ基と反応することができるモノイソシアネートを導入し、ヒドロキシ基をブロック化した。具体的に説明すれば、次の通りである。
【0079】
スズオクトエート(tin octoate、SnOct2)(0.1重量部)の存在下で、ウルシオールをテトラヒドロフランに1:2の重量比で混合し、溶かした。
【0080】
上記溶液にモノイソシアネート(ヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、またはTMI Meta、Cytec社)をゆっくり添加し、約40℃で反応させた。反応時にリアルタイムでFT−IR分析を通じて2270−3cm−1で検出されるNCOピークの強度を観察し、これを通じて反応の完結時間及び消耗するモノイソシアネートの量を決定した。
【0081】
上記で反応が完結された変性ウルシオール(HI−UR:ヘキシルイソシアネートで変性、BI−UR:ベンジルイソシアネートで変性、TI−UR:TMI(Meta、Cytec社)で変性されたもの)を変性しないURと同じ条件でUVコーティング液と均質混合し、抗菌UVコーティング液を製造した。製造されたコーティング液を鋼板に塗布した後、UV光硬化反応を通じて抗菌UVコーティング鋼板を製造した。
【0082】
具体的に、変性エポキシアクリレートオリゴマー[CN150/80、Sartomer、米国]35g、ウレタンアクリレートオリゴマー[UA−5221, HSケムトロン、韓国]15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)[SR285、Sartomer、米国]30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)[Miramer M200、ミウォン商社、韓国]10g、光開始剤[Darocur 1173、Ciba Chemicals、スイス]8g、消泡剤[TEGO Airex 920、Evonik、ドイツ]0.5g、レベリング剤[TEGO Rad 2250、Evonik、ドイツ]0.5g及び付着増進剤1gを混合し、塗料組成物を製造した。上記組成物をメッキ鋼板(GI、EG)上に0.5〜20μm以下にコーティングした後、UVランプを利用して2000mJ以下の光量で硬化させた。
【0083】
抗菌UVコーティング液においてウルシオール(変性または純粋)と光開始剤の含量は、表1のように使用した。
【0084】
抗菌UVコーティング液にコーティングされた鋼板は、次のような方法で抗菌性(KATRI、韓国衣類試験研究員に依頼)を測定した。テスト方法は、JIS Z2801法で、使用された菌株として、黄色葡萄状球菌(S.aureus、ATCC 6538P)と大腸菌(E.coli、ATCC 8739)を使用した。
【0085】
まず、菌株を栄養培地(nutrient broth)に準備した後、0.4mL程度の体積の量であらかじめ滅菌した試験片(サンプル当たり3個ずつ、コーティング鋼板の試験片サイズ=50mm×50mm)に載置し、その上を滅菌ポリスチレンフィルム(sterile polystyrene film)(40mm×40mm)で覆った。このサンプルを35℃で24時間インキュベーター中で培養させた後、さらにStomacher bagに入っているneutralizer containerに入れ、24時間培養後、それぞれの試験片から生成された菌株のコロニー数を測定し、次の式で抗菌性(静菌減少値:R、静菌減少率:%)を評価した。対照群としては、鋼板試験片なしにStomacher bagだけを使用して処理した。
【0086】
静菌減少値
【数1】
【0087】
静菌減少値
【数2】
【0088】
上記式中、
Aは、初期菌株のコロニー数、Bは、24時間培養後、対照群での菌株のコロニー数、Cは、抗菌処理された鋼板試験片での菌株のコロニー数を示す。
【0089】
硬化度(degree of crosslinking、DC)分析は、溶媒抽出法を使用した。製造された抗菌性UVコーティング液を鋼板に塗布した後、UVで光照射し、硬化時間5分後、試験片を取り出し、これをエタノールに入れ、24時間放置した後、エタノールに溶けて残留する未反応の単量体及びウルシオールの量を重量法で測定した。重量法に使用された式(3)は、次の通りである。
【0090】
【数3】
【0091】
上記式中、W0は、試験片にコーティングされたコーティング液の重量、Wsは、エタノールに溶けて出たコーティング液の重量である。
【0092】
鋼板のナノ硬度の測定条件は、次の通りである。
測定チップ:Berkovichダイヤモンドtip(D=7.53h、A=24.56hc2)
分析温度:20℃
最大荷重=500mN
試験片の平均値を使用する
【0093】
また、光沢度は、光沢度測定器を利用してアングルセレクターを60゜に固定した後、黒色光沢標準板をサンプル台に載置した。スイッチをオン(On)させた後、1〜2分間放置し、標準板の光沢が96.4%になるまでStandardizing Control Knobを用いて調整した後試、テストしようとする試験片を標準板に変え、マイクロアンペアのスケールを読んだ(但し、10回測定した後、平均値を出す。)。
【0094】
引張強度は、引張強度試験機器(万能測定器)を利用して試験片をテスト機器にセッチング(Setting)した後、破断されるまでテストした。テスト速度は、50mm/min、テスト完了荷重減少量(End Load)は、90%にした。
【0095】
下記表1〜3は、本発明のUVコーティング液の光硬化による物性測定結果を示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
表1に示したように、純粋UVコーティング液の場合、抗菌性が全然なく、未変性ウルシオールが10重量部導入されたUVコーティング液の場合にも、E.coliに対しては、低い静菌減少率を示した。この場合、何より問題になったことは、高い開始剤の含量が要求されるにもかかわらず、低い硬化度と非常に長い硬化時間を示した。
【0100】
ヘキシルイソシアネートで変性されたウルシオールを5重量部及び10重量部含有する抗菌UVコーティング液の場合、E.coliに対して高い抗菌活性を示した。これは、変性ウルシオールの高い硬化反応に起因するものであって、ウルシオールのヒドロキシ基をブロック化することによって、カテコール構造のラジカル共鳴安定化効果を抑制し、ラジカルの消耗及び遅延反応を抑制させる。また、優れた硬化度により外観の光沢度の優れたコーティングフィルムを得ることができる。
【0101】
表2に示したように、ウルシオールの導入により光沢度が増加した。これは、ウルシオールの高光沢特性に起因したものと考えられるが、測定値より実際目視で見る時、高光沢だけでなく、鮮映性において顕著に差異があった。
【0102】
表3に示したように、ウルシオール含量が増加するにつれて引張強度が増加した。
【0103】
また、図8及び図9は、耐食性テスト結果(SST)を示したもので、改質しないウルシオールを含有する場合、低い硬化効率による表面未硬化に起因して塗膜にクラックが生じ、白錆が発生し、ウルシオールが含有されていない溶液の場合、耐食性が劣化し、改質したウルシオールを含有する場合、ウルシオールの特性である耐食性向上(防錆性)効果によって白錆発生がない。
【0104】
したがって、素地鋼板が耐食効果を有しているSST以外には、耐食性のための下地塗膜が必要であるが、ウルシオール添加時に1coatで所望の耐食性能具現が可能である。
【0105】
図10は、本発明の生漆由来の変性ウルシオール処理によるナノ硬度測定結果を示したものであり、純粋UVコーティング液に比べて硬度が増加した。すなわち、耐スクラッチ性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、優れた表面外観及び機能性が要求される家電製品、または壁体、天井材、仕切りなどの建築物内外装材に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含む組成物であって、
【化1】
前記化1において、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
前記Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す、
ことを特徴とするUVコーティング用組成物。
【請求項2】
前記化1において、R1は、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、C5−12のアリール、またはC6−12のアルアルキルを示し、
前記Rは、それぞれC1−6のアルキル、C2−6のアルキレン、またはC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−6のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項3】
前記化1において、R1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、またはC2−6のアルキレンで置換されるかまたは非置換であるC6−12のアルアルキルを示すことを特徴とする請求項2に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項4】
前記化1において、R1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−8のアルキル、ベンジル、またはC2−4のアルキレンで置換されたC6−12のアルアルキルを示すことを特徴とする請求項2に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項5】
前記化1の化合物が1〜50重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項6】
前記バインダーは、オリゴマー及び希釈剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項7】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタン系変性エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリリックアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、アクリリックアクリレート、ポリチオールアクリレート誘導体、及びポリチオールスピロアセタル系よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項8】
前記オリゴマーは、ウレタン系変性エポキシアクリレート25〜45重量部と、ウレタンアクリレート10〜25重量部と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項9】
前記希釈剤は、アクリル系モノマーであることを特徴とする請求項6に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項10】
前記アクリル系モノマーが、1官能基アクリルモノマー25〜35重量部と、3官能基アクリルモノマー7〜15重量部と、を含むことを特徴とする請求項9に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項11】
光開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項12】
前記光開始剤は、ベンゾフェノン系、ジフェノキシベンゾフェノン系、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、及びベンジル系よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項13】
前記光開始剤は、0.1〜10重量部含まれることを特徴とする請求項11に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項14】
基材と、前記基材の一面または両面に請求項1〜13のいずれか1項に記載のUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含むことを特徴とする表面処理基材。
【請求項1】
バインダーと、下記化1で表される化合物と、を含む組成物であって、
【化1】
前記化1において、
R1は、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニルまたはC5−12のアリールを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1〜30のアルキル、C2−30のアルキレン、C2−30のアルキニル、C5−12のアリール、またはC6−24のアルアルキルを示し、
前記Rは、それぞれC1−12のアルキル、C2−12のアルキレン、C2−12のアルキニル及びC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−12のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示す、
ことを特徴とするUVコーティング用組成物。
【請求項2】
前記化1において、R1は、C12−25のアルキルまたはC12−25のアルキレンを示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHR、−O−C(O)−R、−O−Si(R)x(R’)3−x、−O−C(R)x(R’)3−x、または−O−C(O)−(CH2)y−C(O)−OHを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、C5−12のアリール、またはC6−12のアルアルキルを示し、
前記Rは、それぞれC1−6のアルキル、C2−6のアルキレン、またはC5−12のアリールよりなる群から選択された1つ以上の置換基によりそれぞれ置換されるかまたは非置換であることができ、
R’は、C1−6のアルコキシを示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜4の整数を示すことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項3】
前記化1において、R1は、C15H31−2nであり、ここで、nは、1〜3を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−12のアルキル、またはC2−6のアルキレンで置換されるかまたは非置換であるC6−12のアルアルキルを示すことを特徴とする請求項2に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項4】
前記化1において、R1は、(CH2)14CH3、(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3、(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3、または(CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して−O−C(O)NHRを示し、
ここで、Rは、C1−8のアルキル、ベンジル、またはC2−4のアルキレンで置換されたC6−12のアルアルキルを示すことを特徴とする請求項2に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項5】
前記化1の化合物が1〜50重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項6】
前記バインダーは、オリゴマー及び希釈剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項7】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタン系変性エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリリックアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、アクリリックアクリレート、ポリチオールアクリレート誘導体、及びポリチオールスピロアセタル系よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項6に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項8】
前記オリゴマーは、ウレタン系変性エポキシアクリレート25〜45重量部と、ウレタンアクリレート10〜25重量部と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項9】
前記希釈剤は、アクリル系モノマーであることを特徴とする請求項6に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項10】
前記アクリル系モノマーが、1官能基アクリルモノマー25〜35重量部と、3官能基アクリルモノマー7〜15重量部と、を含むことを特徴とする請求項9に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項11】
光開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項12】
前記光開始剤は、ベンゾフェノン系、ジフェノキシベンゾフェノン系、アントラキノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、及びベンジル系よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項13】
前記光開始剤は、0.1〜10重量部含まれることを特徴とする請求項11に記載のUVコーティング用組成物。
【請求項14】
基材と、前記基材の一面または両面に請求項1〜13のいずれか1項に記載のUVコーティング用組成物を硬化させて形成されたコーティング層と、を含むことを特徴とする表面処理基材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−516511(P2013−516511A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547011(P2012−547011)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009403
【国際公開番号】WO2011/081398
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009403
【国際公開番号】WO2011/081398
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【Fターム(参考)】
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