説明

漏洩調査装置および漏洩調査装置用処理装置

【課題】 リーク調査を容易にする漏洩調査装置と、リーク調査で得たデータの処理を簡単化する漏洩調査装置用処理装置とを提供する。
【解決手段】 調査対象のリークにより発生する音波を検知する、検出部10と集音部20と把持部30とから成るリーク検知手段と、リーク検知手段が音波を検知したときの位置を調べるGPSセンサ42と、GPSセンサ42が検知した位置をリーク発生の位置のデータとし、このデータを調査付属データとする処理部44Bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮空気等のリークを調査する際に用いられる漏洩調査装置および漏洩調査装置用処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リーク調査の対象である圧縮空気は、各種の生産現場で使用されている。例えば、コンプレッサで圧縮された空気は、多数のエア配管が接続されて形成されている配管系を流れる。この配管系は生産施設等に配置されて、配管系を流れる圧縮空気は生産施設内の各生産ラインで使用される。通常、エア配管等で圧縮空気のリークがあると、コンプレッサの負担が大きくなり、消費電力量が増える結果となる。このために、リーク調査業務が行われて、圧縮空気のリーク箇所が特定される。
【0003】
圧縮空気のリーク調査業務では、リークディテクター(例えば、特許文献1参照。)を使用して、リーク箇所および漏洩量を特定している。リークディテクターには各種のものがある。例えば、圧縮空気がエア配管等からリークする際に、リーク箇所で発生する音波を調べるものがある。リーク調査業務の調査者は、リーク調査の際には、報告書に添付して依頼者に対する提案訴求力を向上させるため、別途、デジタルカメラで現地施設の状況を撮影する。そして、調査者は、後日、データを整理した上、報告書様式にして依頼者に提出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−294573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮空気のリーク調査には、調査時にリークディテクターとデジタルカメラとを使用することに作業性の低下がある。また、生産設備近くで調査する場合もあり、調査者の安全面を考慮すると、リークディテクターとデジタルカメラとを同一者が同時に使用することが困難である。このために、二人一組でリーク調査が行われることになる。
【0006】
リークディテクターを用いた圧縮空気のリーク調査には、通常、1回の調査で、10箇所から40箇所程度のリーク箇所を発見する場合が多く、その撮影画像は100枚程度に及ぶ場合もある。また、漏洩量などを記入したリーク箇所札をリーク箇所に付ける作業も必要である。さらに、配管接続部等からのリークのように、リーク箇所は類似していることが多い。このために、撮影後報告書として整理する際に、各リーク箇所を区別して関連付けすることが困難な場合が多い。さらに、リークディテクターを操作する調査者が得たデータと、デジタルカメラを操作する調査者が得たデータの両方があるので、その後に行われる各種データの整理に、時間を要するという問題がある。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、リーク調査を容易にする漏洩調査装置と、リーク調査で得たデータの処理を簡単化する漏洩調査装置用処理装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、調査対象のリークにより発生する音波を検知するリーク検知手段と、前記リーク検知手段が音波を検知したときの位置を調べる位置検知手段と、前記位置検知手段が検知した位置をリーク発生の位置のデータとし、このデータを調査付属データとする処理手段と、を備えることを特徴とする漏洩調査装置である。
【0009】
請求項1の発明では、リーク検知手段が調査対象のリークにより発生する音波を検知する。このとき、リーク検知手段が音波を検知したときの位置を、位置検知手段が調べる。そして、処理手段は、位置検知手段が検知した位置を調査付属データとする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の漏洩調査装置において、前記リーク検知手段が音波を検知したタイミングで、調査対象のリーク箇所を撮影する撮影手段と、データを記憶する記憶手段と、を備え、前記処理手段は、撮影の日付けのような、撮影に関連するデータを調査付属データに含め、前記撮影手段が撮影した画像のデータに対して調査付属データを付加し、調査付属データが付加された画像のデータを前記記憶手段に保存する処理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の漏洩調査装置において、前記処理手段は、検知した音波の大きさを基に前記検知手段が算出した調査対象の漏洩量のデータを、前記調査付属データに少なくとも含むようにする、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の漏洩調査装置において、二次元バーコードの印刷が可能な印刷手段を備え、前記処理手段は、前記画像のデータと共に保存される調査付属データを前記印刷手段に出力し、前記印刷手段は、調査付属データが入力されると、この調査付属データを基に二次元バーコードを印刷する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の漏洩調査装置が接続される漏洩調査装置用処理装置であって、リーク調査の報告書の書式であって、文字を入力するための入力位置、図表を入力するための入力位置および画像を入力するための入力位置が報告書に必要な数だけ決められている書式を保存する記憶手段と、前記漏洩調査装置が生成した画像のデータおよび調査付属データを基に、文字の入力位置、図表の入力位置および画像の入力位置に応じたデータを生成し、生成したデータを前記各入力位置に入力して、報告書のデータを生成する処理手段と、を備えることを特徴とする漏洩調査装置用処理装置である。
【0014】
請求項5の発明では、記憶手段は、リーク調査の報告書の書式であって、文字を入力するための入力位置、図表を入力するための入力位置および画像を入力するための入力位置が報告書に必要な数だけ決められている書式を保存する。処理手段は、漏洩調査装置が生成した画像のデータおよび調査付属データを基に、文字の入力位置、図表の入力位置および画像の入力位置に応じたデータを生成し、生成したデータを各入力位置に入力して、報告書のデータを生成する。そして、印刷手段は、処理手段が生成した報告書のデータを用いて、報告書を印刷する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、調査付属データが表すリーク発生の位置を基に、例えば設備配置図中におけるリーク発生の位置を容易に特定することを可能にする。
【0016】
請求項2の発明によれば、検知手段がリークディテクターとして機能し、撮影手段がカメラとして機能するので、リーク調査の際にデジタルカメラの携帯を不要にして、調査対象のリーク箇所を示す画像のデータを得ることができる。また、この発明によれば、撮影した画像データに対して、調査付属データが付加されるので、後日の画像の整理を容易に行うことを可能にする。
【0017】
請求項3の発明によれば、画像データに対して漏洩量のデータを付加することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、漏洩量が二次元バーコードで印刷されるので、リーク箇所札に対する漏洩量の記入を不要にし、また、後日、二次元バーコードを読むだけで、漏洩量を含む調査の内容を把握することが可能である。特に、撮影箇所が暗所である場合には、二次元バーコードから調査の内容を把握できる点は極めて有利である。
【0019】
請求項5の発明によれば、生成した報告書のデータを用いて印刷を行うことが可能であり、報告書を自動で作成することができる。これにより、リークの調査者が行う報告書作成の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1による漏洩調査装置の一例を示す側面図である。
【図2】コントローラの構成を示す構成図である。
【図3】カメラ駆動制御の一例を表すフローチャートである。
【図4】保存処理の一例を表すフローチャートである。
【図5】印刷処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】リーク箇所札の一例を示す図である。
【図7】実施の形態2による印刷処理の一例を表すフローチャートである。
【図8】実施の形態2で印刷されるシール示す図である。
【図9】実施の形態3によるカメラ駆動制御の一例を表すフローチャートである。
【図10】実施の形態4による漏洩調査装置用処理装置の一例を示す構成図である。
【図11】実施の形態4によるデータ整理処理の一例を表すフローチャートである。
【図12】実施の形態4で使用される設備配置図の一例を示す図である。
【図13】実施の形態4による報告書作成処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の各実施の形態について、圧縮空気の漏洩を調査する場合を例として、図面を用いて詳しく説明する。
【0022】
(実施の形態1)
この実施の形態による漏洩調査装置を図1に示す。図1の漏洩調査装置は、検出部10、集音部20、把持部30、収納部40、プリンタ50およびケーブル61、62を備え、検出部10と集音部20と把持部30とにより、圧縮空気の漏れ部分で発生する音波を検知して数値化し、数値化した値の表示等をするリークディテクターが構成されている。
【0023】
集音部20は、生産施設に設けられている配管系等から圧縮空気が漏れる際に、漏れ部分で発生する音波の集音を行って、音波を一点に集める。つまり、集音部20には、開口が設けられ、集音部20はこの開口を通った音波の集音をしている。
【0024】
漏洩調査装置の検出部10は、生産施設に設けられている配管系等から圧縮空気が漏れる際に、リーク箇所で発生する超音波を検知する。検出部10は、受信部11と、操作部12と、ケーブル13とを備えている。受信部11は、超音波を受信するセンサ11Aを備えている。センサ11Aは、集音部20で集められた音波を受信すると、受信した音波に応じた電気信号である音波信号を生成し、この音波信号を本体11Bに設けられている受信回路11Cに出力する。受信回路11Cは、音波信号の増幅等を行い、増幅後の音波信号の大きさを表す検知信号を生成する。さらに、検知信号には、音波信号の大きさを基に算出した漏洩量が含まれる。受信回路11Cは、ケーブル13を経て、この検知信号を操作部12に出力する。この実施の形態では、受信回路11Cの検知信号は、ケーブル61を経て、収納部40にも出力されている。
【0025】
操作部12は、各種の操作用のボタンや表示用のボタンおよび液晶パネルを備えている。つまり、操作部12の操作用のボタンは、例えば受信部11の受信回路11Cの増幅度を設定する。これにより、感度調整が行われる。また、操作部12の表示用のボタンは、受信回路11Cからの検知信号により、受信した音波の大きさを、棒状に点灯表示する。また、液晶パネルは、検知信号により、漏洩量を表す数値を表示する。
【0026】
また、漏洩調査装置は、集音部20からレーザポインタを出力する機能も、リークディテクターの1つの機能として備えている。
【0027】
漏洩調査装置の収納部40には、圧縮空気の漏洩を調査する際に用いられる、各種の機能を持つ装置が収められている。この実施の形態では、収納部40には、漏洩部分を撮影するためのカメラ41、撮影位置を調べるGPS(Global Positioning System)センサ42、撮影方向を調べる方位センサ43、および、これらのセンサから受け取ったデータの記憶等を行うコントローラ44が収められている。
【0028】
カメラ41は、集音部20の開口側に、かつ、収納部40の外側にレンズ41Aを備え、また、把持部30から突出するように、ボタン41Bを備える構造である。さらに、カメラ41は、撮影画面を表示するパネル41Cを備える構造である。カメラ41は、ボタン41Bが短時間で押されたときに画像を撮影する、手動撮影モードになる。また、ボタン41Bが長押し押されると、自動撮影モードになる。自動撮影モードになると、カメラ41は、撮影要求信号をコントローラ44に出力する。この後、コントローラ44からの撮影駆動信号を受け取ると、この信号を受け取った時点で画像を撮影する。カメラ41は、手動撮影モードまたは自動撮影モードによる撮影を行うと、撮影終了信号をコントローラ44に出力し、この後、撮影で得た画像データもコントローラ44に出力する。
【0029】
GPSセンサ42は、GPS衛星からの電波を受信し、受信した電波を基に現在の位置データを演算する。この位置データは緯度と経度から成っている。この実施の形態では、GPSセンサ42は、カメラ41が画像を撮影したときのカメラ41の位置を表す位置データを演算する。つまり、GPSセンサ42は、コントローラ44から撮影終了信号を受け取ると、位置データを取得し、この位置データをコントローラ44に出力する。
【0030】
方位センサ43は、磁気センサを内部に備え、この磁気センサで地磁気を検知して方位データを演算する。この実施の形態では、方位センサ43は、カメラ41が画像を撮影したときの、カメラ41の撮影方向を方位で表す方位データを演算する。つまり、方位センサ43は、コントローラ44から撮影終了信号を受け取ると、方位データを取得し、この方位データをコントローラ44に出力する。
【0031】
プリンタ50は、小型の肩掛け用のものであり、コントローラ44から受け取ったデータを印刷する。つまり、プリンタ50は、コントローラ44から後述の2次元コードデータを受け取ると、このデータから2次元コードが表示されたラベルを印刷する。2次元コードは明暗の方形状の点(図示を省略)が縦方向と横方向との2次元に配列されて形成されたパターンであり、こうした明暗のパターンにより、英数字、漢字やカナの組み合わせを表すことができる。二次元コードとしては、カラーを用いたものなど、各種のものがある。
【0032】
コントローラ44は圧縮空気のリーク調査に係る制御を行うものであり、コントローラ44として例えばワンチップIC(集積回路)がある。コントローラ44は、図2に示すように、インターフェース44A、44Cと、処理部44Bと、記憶部44Dとを備えている。
【0033】
インターフェース44Aは、カメラ41、GPSセンサ42、方位センサ43と処理部44Bとを接続するものであり、入出力される信号のレベル変換などを行う。同じように、インターフェース44Aは、収納部40からの検知信号を、レベル変換して処理部44Bに送る。インターフェース44Cは、プリンタ50と処理部44Bとを接続する。
【0034】
記憶部44Dは、データやプログラムを記憶する記憶装置である。また、記憶部44Dは、圧縮空気のリーク調査に係る制御に必要とするプログラムを、あらかじめ記憶している。さらに、記憶部44Dは、漏洩調査装置を使用して調査を行う調査者のデータをあらかじめ記憶している。記憶部44Dに対する情報の入力は、例えばパソコンから入力される。この場合、コントローラ44のインターフェース44Cはパソコンに接続可能である。パソコンから入力されるデータには、調査者データがある。調査者データは、この漏洩調査装置を取り扱う調査者の所属機関を表すデータである。この調査者データとして具体的には、この調査者の氏名や、調査者が所属する「XX会社 XX営業所 営業総括課」というような所属機関や、連絡する場合の「連絡先 000−0000−0000」というような連絡先がある。
【0035】
処理部44Bは、記憶部44Dに記憶されているプログラムを実行して、リーク調査に必要な各種の制御を行う。例えば、処理部44Bは撮影駆動信号をカメラ41に出力する。具体的には、処理部44Bは、カメラ41から撮影要求信号を受け取ると、カメラ駆動制御を行う。このカメラ駆動制御の一例を図3に示す。処理部44Bは、カメラ駆動制御を開始すると、所定時間例えば10秒間、検出部10から検知信号を受け取る(ステップS1)。この所定時間は、調査者がリーク箇所付近で漏洩調査装置を上下左右に振らせるために設定されている。この後、処理部44Bは、検出部10から再度受け取った検知信号が表す、音波の最大レベルを調べる(ステップS2)。ステップS2が終了すると、処理部44Bは、検出部10から再再度受け取った検知信号により音波がステップS2で調べた最大レベルになった時点で、カメラ41に対して撮影を指示する撮影駆動信号を生成し(ステップS3)、この撮影駆動信号をカメラ41に出力する(ステップS4)。ステップS4が終了すると、処理部44Bはカメラ駆動制御を終了する。
【0036】
こうしたカメラ駆動制御によって、調査者がリーク箇所付近で漏洩調査装置を上下左右に10秒程振らせる。この後、調査者が再びリーク箇所付近で漏洩調査装置を、撮影する画像がぶれない程度に上下左右に振らせると、受信した音波が最大になる箇所つまりリーク箇所で、カメラ41は自動的に撮影を行う。これは、最大の音波を検知したタイミングで、カメラ41が自動的に撮影を行うことになる。これにより、確実にリーク箇所を撮影することができる。
【0037】
処理部44Bは、カメラ駆動制御に続いて、画像データに各データを付加して保存する保存処理を行う。この保存処理の一例を図4に示す。処理部44Bは、カメラ41から撮影終了信号を受け取ると、保存処理を開始し、カメラ41から画像データを受け取る(ステップS21)。ステップS21が終了すると、処理部44Bは、撮影終了信号をGPSセンサ42と方位センサ43とに出力し(ステップS22)、この後、GPSセンサ42からの位置データと、方位センサ43からの方位データとを受け取る(ステップS23)。この後、処理部44Bは、本日の日付けと現在の時刻とを調べる(ステップS24)。ステップS24で、処理部44Bは、内部に備えるタイマ(図示を省略)を利用する。さらに、処理部44Bは、リークディテクターを構成する検出部10から受け取った検知信号から圧縮空気の漏洩量を調べて、漏洩量データを作成する(ステップS25)。処理部44Bは、カメラから受け取った画像データに対して、位置データおよび方位データと、日付データおよび時刻データと、漏洩量データとを付加する(ステップS26)。ステップS26が終了すると、各データが付加された画像データを記憶部44Dに保存する(ステップS27)。ステップS26で画像に付加されるデータは、圧縮空気の漏洩に関する調査付属データである。つまり、各画像データには、調査付属データがそれぞれ関連付けられている。
【0038】
こうしたカメラ駆動制御と保存処理とが繰り返されて、圧縮空気の漏れ部分を撮影した画像に対して、位置データおよび方位データと、日付データおよび時刻データとから成る調査者データが付加されて保存されていく。
【0039】
処理部44Bは、保存処理を行う毎に印刷処理をする。印刷処理は、リーク箇所に関する情報を表すリーク箇所タグを印刷するためのものである。保存処理が終了すると、処理部44Bは印刷処理を開始する。この印刷処理の一例を図5に示す。処理部44Bは、印刷処理を開始すると、記憶部44Dに保存されている調査付属データを読み出す(ステップS41)。ステップS41で、処理部44Bは、圧縮空気の漏洩量データと、日付けデータおよび時刻データと、位置データおよび方位データとを調べる。ステップS41が終了すると、処理部44Bは、記憶部44Dから調査者データを読み出す(ステップS42)。なお、ステップS41とステップS42とは入れ替えて行ってもよい。
【0040】
この後、処理部44Bは、ステップS41とステップS42とで得た各データを、2次元コードを表す2次元コードデータに変換する(ステップS43)。ステップS43が終了すると、処理部44Bは、生成した2次元コードデータをプリンタ50に出力して(ステップS44)、印刷処理を終了する。
【0041】
こうした印刷処理により、処理部44Bは、圧縮空気の漏洩量、調査者データ、当日の日付けデータ、調査した時刻データ、位置データ、方位データを表す2次元コードをプリンタ50に印刷させる。
【0042】
さらに、この実施の形態では、処理部44Bは、カメラ41のパネル41Cに位置や方位などの調査付属データの内容を表示する。なお、パネル41Cとは別にデータ表示用の液晶パネルを備えるようにしてもよい。
【0043】
次に、この実施の形態による漏洩調査装置の動作について説明する。依頼者からリーク調査の依頼を受けると、調査者は漏洩調査装置を携帯して、依頼者の生産設備等に出向く。調査者は、現場でリーク調査業務を開始すると、漏洩調査装置を用いて、配管系のエア配管等における圧縮空気のリーク箇所を調査する。リークがあると、検出部10の操作部12が表示するリークの大きさを表す表示等を基に、調査者は、漏洩調査装置をリーク箇所と推定される方向に向け、パネル41Cでモニタされる画像を見て、カメラ41のボタン41Bを押しながら、漏洩調査装置を上下左右に動かす。このとき、カメラ41のパネル41Cには調査付属データの内容が表示されるので、例えば表示された位置を基に、調査者は、設備配置図を参照することにより、設備配置図における現在の位置を知ることもできる。なお、設備配置図には、コンプレッサや配管の配置の様子が表示され、かつ、緯度と経度とを表すラインも表示されている。
【0044】
これにより、カメラ41は、自動撮影モードになり、撮影要求信号をコントローラ44に出力する。コントローラ44は、撮影要求信号を受け取ると、カメラ駆動制御を行い、圧縮空気のリークで発生する音波が最大になった所で、撮影駆動信号をカメラ41に出力する。カメラ41は、撮影駆動信号を受け取ると、リーク箇所の撮影を行い、撮影終了信号と画像データとをコントローラ44に出力する。
【0045】
コントローラ44は、撮影終了信号と画像データとを受け取ると、保存処理を行い、画像データに対して、位置データおよび方位データと、日付データおよび時刻データと、漏洩量データとを付加して、記憶部44Dに保存する。保存処理が終了すると、コントローラ44は印刷処理を行う。これにより、プリンタ50は、圧縮空気の漏洩量、調査者データ、当日の日付けデータ、調査した時刻データ、位置データ、方位データを表す2次元コードが表示されたラベルを印刷する。
【0046】
この後、調査者は、例えば図6に示すように、ラベル110の必要部分に書き込みをして、2次元コードが表示されたラベル110をリーク箇所札120に貼り付け、このリーク箇所札120をリーク箇所の配管等に括り付ける。後日、調査者や調査の依頼者が携帯電話機の読み取り機能を利用して、2次元コードを読むことができ、リーク箇所の確認等を可能にする。
【0047】
ところで、調査が終了すると、調査者は、漏洩調査装置をパソコンに接続し、記憶部44Dに記憶されている画像データを参照することができる。このとき、画像データには、位置データおよび方位データと、日付データおよび時刻データと、漏洩量データとが付加されているので、これらのデータを基に調査者は撮影時の様子を簡単に整理することができる。
【0048】
こうして、この実施の形態によれば、リークディテクターの機能とカメラ機能とを持つ漏洩調査装置を使用することにより、デジタルカメラの携帯を不要にし、しかも、最大の音波を検知したタイミングで、圧縮空気のリーク箇所を示す画像データを得ることができる。
【0049】
また、この実施の形態によれば、撮影した画像データに対して、位置データおよび方位データと、日付データおよび時刻データと、漏洩量データとを付加することができる。つまり、位置データおよび方位データで特定される撮影位置と画像とが関連付けられているので、画像を含む後日のデータ整理を容易に行うことを可能にする。また、画像データの位置データと方位データとにより、施設内の配管図を参照して、リーク箇所の特定を容易に行うことを可能にする。
【0050】
また、この実施の形態によれば、漏洩量等を2次元コードで表したラベルを現場で印刷し、このラベルをリーク箇所札に貼り付けるだけで、現場における漏洩量の記入を省くことができる。これにより、調査者の作業の効率化を可能にする。また、2次元コードを読むだけで、調査の内容を把握することが可能である。特に、撮影箇所が暗所である場合には、2次元コードから調査の内容を把握できる点は極めて有効である。
【0051】
(実施の形態2)
先の実施の形態では、2次元コードが表示されたラベル110をプリンタ50が印刷したが、この実施の形態では、リーク箇所札120をシール形式にしてプリンタ50が印刷するようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0052】
この実施の形態では、処理部44Bは、図7に示す印刷処理を行う。この印刷処理で、ステップS41〜ステップS43は実施の形態1と同様である。ステップS43が終了すると、処理部44Bは、ステップS42で読み出した、調査者データをテキストデータに変換する(ステップS44A)。つまり、処理部44Bは、ステップS47で、調査者データを利用して、この調査者の氏名、調査者が所属する「XX会社 XX営業所 営業総括課」と言うような所属機関、連絡する場合の「連絡先 000−0000−0000」というような連絡先を表すテキストデータ作成する。この後、処理部44Bは、ステップS43で作成した2次元コードデータと、ステップS44Aで作成したテキストデータとを、シールの所定場所に振り分けてシール用データを作成する(ステップS44B)。ステップS44Bが終了すると、処理部44Bは、シール用データをプリンタ50に出力する(ステップS44C)。
【0053】
こうした印刷処理により、プリンタ50は、シール用データを基に、例えば図8に示すように、2次元コード141を印刷すると共に、テキストデータに対応する調査者情報142を印刷したシール140を作成する。なお、調査者は、このシール140を直接、リーク箇所の配管等に貼り付けることになる。
【0054】
こうして、この実施の形態によれば、シール140には手書き部分が無いので、調査者の負担を軽減し、作業時間の短縮を可能にする。
【0055】
(実施の形態3)
この実施の形態では、実施の形態1のカメラ制御を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0056】
この実施の形態では、処理部44Bは、図9に示すカメラ駆動制御を行う。実施の形態1と同様のステップS1が終了すると、処理部44Bは、検知信号が表す音波のレベルを調べる(ステップS2A)。この後、処理部44Bは、音波のレベルが所定レベル以上になった時点で、カメラ41に対して撮影を指示する撮影駆動信号を生成する(ステップS3A)。
【0057】
この後、処理部44Bは、実施の形態1と同様のステップS4を行う。
【0058】
この実施の形態によれば、所定レベル以上の音を発生するリーク箇所で、カメラ41は自動的に撮影を行うことができる。これは、音波を検知したタイミングで、カメラ41が自動的に撮影を行うことになる。これにより、確実にリーク箇所を撮影することができる。
【0059】
(実施の形態4)
この実施の形態による漏洩調査装置用処理装置を図10に示す。図10の漏洩調査装置用処理装置80には、実施の形態1〜実施の形態3で説明した漏洩調査装置の接続が可能である。漏洩調査装置用処理装置80としては、例えばパソコンがある。漏洩調査装置用処理装置80は、インターフェース81、処理部82、記憶部83、入力部84および表示部85を備えている。
【0060】
漏洩調査装置用処理装置80のインターフェース81は、コントローラ44と処理部82とのデータ伝送を可能にする。入力部84は、キーボードやマウス等のような、使用者である調査者の指示や、画像などを入力するための装置である。表示部85は、液晶パネルのような、データや画像を表示するための装置である。
【0061】
記憶部83は、データやプログラムを記憶する記憶装置である。記憶部83は、入力部84の操作により、調査を依頼した依頼者データをあらかじめ記憶している。依頼者データには、依頼者の名称や担当者など各種のデータが含まれている。また、記憶部83は、調査エリアの設備配置図データをあらかじめ記憶している。設備配置図データはコンプレッサや配管の配置を表す設備配置図の画像データである。設備配置図はコンプレッサや配管の実際の配置を縮尺して描いた図面である。この設備配置図データには、設備配置図の縮尺を表す縮尺データが付加されている。また、記憶部83は、調査者がリーク調査を終了した後で作成する報告書の書式をあらかじめ記憶している。この報告書の書式には各種の入力位置が設けられている。入力位置には、調査の日付けや調査した設備などを入力する文字の入力位置と、リーク状況の一覧表などを入力する表の入力位置と、リーク箇所の写真などを入力する画像の入力位置とがある。報告書の各入力位置は、報告書の書式に応じて必要数だけ随所に設けられ、また、報告書の書式変更に応じて自在にアレンジすることが可能である。
【0062】
処理部82は、記憶部83に記憶されているプログラムを実行する。処理部82が実行するプログラムにはデータ整理処理がある。このデータ整理処理を図11に示す。処理部82は入力部84から処理開始の指示を受け取ると、データ整理処理を行う。処理部82はデータ整理処理を開始すると、コントローラ44から、現場で得た画像データを読み出して(ステップS61)、すべての画像データを記憶部83に保存する(ステップS62)。このときには、各画像データに付加されている調査付属データも記憶部83にそれぞれ保存される。ステップS62が終了すると、処理部82は、記憶部83に保存した中から最初の画像データを取り出す(ステップS63)。ステップS63が終了すると、処理部82は、この画像データに付加されている調査付属データから、位置データと方位データとを調べる(ステップS64)。
【0063】
ステップS64が終了すると、処理部82は、記憶部83にあらかじめ記憶している設備配置図データを参照し、画像データの位置データと方位データとを基に、設備配置図データにおけるこの画像データの撮影位置を特定する(ステップS65)。このステップS65で、処理部82は、例えば図12に示すように撮影位置を特定する。図12では、設備配置図データが示す設備配置図は、○○ライン210〜○○ライン240に対して、配管系250により、コンプレッサ260、270からの圧縮空気が供給されている。設備配置図の縮尺は、設備配置図データに付加されている縮尺データから得られる。そして、設備配置図には、基準点として点Aがあらかじめ設定され、この基準点の位置データが付加されている。処理部82は、基準点の位置データの緯度および経度と、画像データに付加されている位置データの緯度および経度とから点Aを基準とした、画像データの撮影位置の距離rと角度θを算出し、実際の設備配置における画像データの撮影位置を調べる。この後、処理部82は、縮尺データが示す縮尺により、設備配置図における画像データの撮影位置Bを特定する。さらに、この位置における撮影方向は、画像データに付加されている方位データから得ることができる。この方位データにより、リーク箇所が指示される。
【0064】
ステップS65が終了すると、処理部82は撮影位置Bと撮影方向とを設備配置図の中に取り込んだリーク箇所配置図データを生成する(ステップS66)。ステップS66により、設備配置図の中に撮影位置Bがプロットされて、ここで撮影された画像データが撮影位置Bでの画像として関連付けされる。ステップS66が終了すると、処理部82は、次ぎの未処理の画像データが記憶部83に保存されているかどうかを調べる(ステップS67)。未処理の画像データがあれば、処理部82は、次ぎの画像データを選択し(ステップS68)、処理をステップS64に戻す。ステップS67で未処理の画像データが無ければ、処理部82は、ステップS66で生成した設備配置図データを記憶部83に保存し(ステップS69)、データ整理処理を終了する。
【0065】
データ整理処理が終了すると、処理部82は報告書作成処理を行う。この報告書作成処理を図13に示す。処理部82は報告書作成処理を開始すると、報告書の書式を記憶部83から読み出す(ステップS81)。この後、処理部82は、報告書の最初ページにある入力位置を選択し(ステップS82)、入力位置の書式を判別する(ステップS83)。
【0066】
入力位置が文字である場合、処理部82は、記憶部83に保存されている依頼者データ、調査者データ、調査付属データを参照して、必要な事項のデータを作成する(ステップS84)。この後、処理部82は、作成した必要事項のデータを報告書のデータに入力する(ステップS85)。入力位置が図表である場合、処理部82は、記憶部83に保存されている調査付属データやリーク箇所配置図データを参照して、図や表に必要なデータを作成する(ステップS86)。この後、処理部82は、作成したデータを報告書に入力する(ステップS87)。入力位置が写真である場合、処理部82は、記憶部83に保存されている画像データを参照して、必要な画像のデータを抽出する(ステップS88)。この後、処理部82は、抽出した写真を報告書に入力する(ステップS89)。これらのステップにより、例えば所定の順路で設備を巡った際に、検知したリーク箇所の写真が順に報告書に取り込まれる。また、そのときの漏洩量などの情報も写真周辺に記録される。こうした書式は自在である。
【0067】
ステップS85、ステップS87、ステップS89のいずれかが終了すると、処理部82は報告書に次ぎの入力位置があるかどうかを調べる(ステップS90)。次ぎの入力位置があると、処理部82はこの入力位置を選択して(ステップS91)、処理をステップS83に戻す。次ぎの入力位置が無ければ、処理部82は作成した報告書データを記憶部83に保存して、報告書作成処理を終了する(ステップS92)。
【0068】
この後、調査者は、必要に応じて、記憶部83から報告書データを読み出し、この報告書データをプリンタ(図示を省略)に出力する。プリンタは、報告書データにより報告書を印刷する。これにより、調査者は依頼者に報告書を提出することができる。また、報告書の印刷をしなくても、報告書データを依頼者に提供することも可能である。
【0069】
こうして、この実施の形態によれば、漏洩調査装置が作成した画像データや、後日、パソコンで作成したリーク箇所配置図データ等を利用して、圧縮空気の漏洩調査の報告書を自動で作成することができる。これにより、調査者の負担を軽減することができる。また、記憶部83に記憶されている報告書データが表す報告書の書式も必要に応じて変更可能であるので、依頼者に応じた報告書を作成することを可能にする。
【0070】
なお、各実施の形態では、パソコンのような処理装置を用いて、データ整理処理と報告書作成処理とを行ったが、漏洩調査装置が、データ整理処理、または、データ整理処理と報告書作成処理との両方を行うようにすることも可能である。
【0071】
さらに、各実施の形態では、2次元コードを用いて、調査付属データを表示したが、2次元コードの他にもICタグを用いることも可能である。この場合には、専用の書き込み装置を用いて、調査付属データをICタグに書き込み、また、読み取り装置を使用して、ICタグに記憶されている調査付属データを読み取ることになる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
この発明は、圧縮空気のリーク調査の他にも、調査対象として各種液体のリーク調査や、家庭用燃料として供給されるガスのリーク調査にも利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 検出部(リーク検知手段)
20 集音部(リーク検知手段)
30 把持部(リーク検知手段)
40 収納部
41 カメラ(撮影手段)
42 GPSセンサ(位置検知手段)
43 方位センサ
44 コントローラ
44A、44C インターフェース
44B 処理部(処理手段)
44D 記憶部(記憶手段)
50 プリンタ
80 処理装置
81 インターフェース
82 処理部
83 記憶部
84 入力部
85 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査対象のリークにより発生する音波を検知するリーク検知手段と、
前記リーク検知手段が音波を検知したときの位置を調べる位置検知手段と、
前記位置検知手段が検知した位置をリーク発生の位置のデータとし、このデータを調査付属データとする処理手段と、
を備えることを特徴とする漏洩調査装置。
【請求項2】
前記リーク検知手段が音波を検知したタイミングで、調査対象のリーク箇所を撮影する撮影手段と、
データを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記処理手段は、撮影の日付けのような、撮影に関連するデータを調査付属データに含め、前記撮影手段が撮影した画像のデータに対して調査付属データを付加し、調査付属データが付加された画像のデータを前記記憶手段に保存する処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩調査装置。
【請求項3】
前記処理手段は、検知した音波の大きさを基に前記検知手段が算出した調査対象の漏洩量のデータを、前記調査付属データに含むようにする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の漏洩調査装置。
【請求項4】
二次元バーコードの印刷が可能な印刷手段を備え、
前記処理手段は、前記画像のデータと共に保存される調査付属データを前記印刷手段に出力し、
前記印刷手段は、調査付属データが入力されると、この調査付属データを基に二次元バーコードを印刷する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の漏洩調査装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の漏洩調査装置が接続される漏洩調査装置用処理装置であって、
リーク調査の報告書の書式であって、文字を入力するための入力位置、図表を入力するための入力位置および画像を入力するための入力位置が報告書に必要な数だけ決められている書式を保存する記憶手段と、
前記漏洩調査装置が生成した画像のデータおよび調査付属データを基に、文字の入力位置、図表の入力位置および画像の入力位置に応じたデータを生成し、生成したデータを前記各入力位置に入力して、報告書のデータを生成する処理手段と、
を備えることを特徴とする漏洩調査装置用処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78125(P2012−78125A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221341(P2010−221341)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】