説明

漬物袋

【課題】食材の漬かり具合に応じていつでも食材を取り出すことができ、また、調味料だけを何度でも充填、追加、交換あるいは除去し、何度でも簡易に袋を開封、密封することができる新規の漬物袋を提供する。
【解決手段】漬物袋10は、合成樹脂製の袋体11の内部に仕切シート12を設け、この仕切シート12によって第1収容部13と第2収容部14との2室に分割する。第1収容部13には第1開口部15を設け、第2収容部には第2開口部16を設ける。第1開口部15は、合成樹脂製の一対の嵌合凸条15aと嵌合凹条15bとにより構成され、開閉自在である。また、第2開口部16は、合成樹脂製の一対の嵌合凸条16aと嵌合凹条16bとにより構成され、開閉自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味噌漬けやぬか漬け等に使用する非液状の調味料に手を汚さず素材を漬け込み、かつチャック部分より調味料だけを簡単に何度でも充填、追加、交換あるいは除去するための機能を持たせた漬物袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜や魚、肉等の食材を調味料に漬け込んで作られる味噌漬けやぬか漬け等は、一般的に多数市販されているが、調味料や容器を購入して自ら漬け床を作成し、手作りする人も多い。
【0003】
漬け床は一般的に壷やこれに類似した形状の容器に調味料を入れて作られ、これに食材を漬け込むことになる。最近は利便性を向上するため、壷やこれに類似した形状の容器の代わりに包装袋内に調味料を封入したものが販売されている。例えば、特開平6−319440号公報(特許文献1)では、合成樹脂製袋内に不織布等の仕切片を設けて袋内を2分し、2分された一方の部屋に調味料を充填し、他方の部屋に食材を収納して、この袋の開口部を密封することにより、漬物を製造或いは保存する方法を開示している。
この方法では、食材と調味料をそれぞれの部屋に入れた後に、袋の開口部を密封してしまうため、食材又は調味料を取り出すためには、袋の密封を破る必要があり、一旦密封を破ると、袋の密封部付近が破損してしまい、再密封できず、食材の入れ替えや、味の調節のために後から調味料を追加、交換、除去することができないという問題があった。
【特許文献1】特開平6−319440
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたもので、食材の漬かり具合に応じていつでも食材を取り出すことができ、また、調味料だけを何度でも充填、追加、交換あるいは除去し、何度でも簡易に袋を開封、密封することができる新規の漬物袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の漬物袋は、漬物を製造或いは保存するための合成樹脂製の袋であって、この袋の内部を浸透性の仕切りシートにより二室に分割し、この2室の一方をぬかみそ等の調味料を収納する調味料室とし、二室の他方を食材を収納する食材室とするとともに、この調味料室と食材室のそれぞれに開閉自在の開口部を設けたことを特徴とする。さらに、この開口部は、合成樹脂製の互いに嵌合する一対の嵌合凸条と嵌合凹条であることを特徴とする。
本発明の漬物袋は、上記のように構成したことにより、調味料と食材とを、それぞれ調味料室と食材室に別々に収納することができ、浸透性の仕切シートを通じて、調味料の成分が食材の側に浸透し、漬物を作ることができる。また、調味料室と食材室のそれぞれに開閉自在の開口部を設けたことにより、食材と調味料を、別々に、何度も充填、追加、交換あるいは除去することが可能となる。
【0006】
また、本発明の漬物袋の仕切シートは、漬物袋の内部で、断面V字状に二つ折りに折り曲げて設けられ、調味料室と食材室とが二面で隣接するようにしたことを特徴とする。
本発明の漬物袋は、上記のように構成したことにより、漬物袋の内部で、調味料室と食材室とが仕切シートによって接する面積が大きくなり、調味料の成分の食材への浸透量がより多くなるという作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、調味料と食材とを、それぞれ調味料室と食材室に別々に収納することができ、浸透性の仕切シートを通じて、調味料の成分が食材の側に浸透し、漬物を作ることができ、食材に調味料が直接付着しないので、食材を漬物袋から取り出した後、調味料を洗い落とすことなく、すぐに食べることができる。また、食材室から食材を取り出す際に、手に調味料が付着することが無く、後で手を洗ったり、手袋をはめて作業したりするような面倒を省くことができる。
また、調味料室と食材室のそれぞれに開閉自在の開口部を設けたことにより、食材と調味料を、別々に、何度も充填、追加、交換あるいは除去することが可能となる。また、開口部に合成樹脂製の一対の嵌合凸条と嵌合凹条とを用いたことにより、いつでも簡単に開口部を開いて、食材や調味料を出し入れすることができ、開口部を閉じて調味料室と食材室を密封することができる。
【0008】
また、調味料室と食材室とが二面で隣接するので、調味料室と食材室とが仕切シートによって接する面積が大きくなり、調味料の成分の食材への浸透量が多くなるので、漬物製造に要する時間をより短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を、代表的な実施例に基づいて、図を用いて説明する。ここで、図1は本発明の漬物袋の構造を説明する構造説明図、図2は図1中のA−A矢視線が示す断面図、図3は本発明の漬物袋の、調味料室に調味料を入れ、食材室に食材を入れた状態を示す断面図である。
【0010】
図1に示すように、漬物袋10は、合成樹脂製の袋体11の内部に、仕切シート12が設けられ、この仕切シート12によって第1収容部13と第2収容部14との2室に分割されている。第1収容部13には第1開口部15が設けられ、第2収容部には第2開口部16が設けられている。仕切りシート12は浸透性の素材のシートであり、折り曲げた状態で袋体11の内部を第一収納部13と第二収納部14に分割するように取り付けられている。袋体11の部分は浸透性を有さない素材で構成されている。
【0011】
包装袋10は仕切りシート12により分割された第一収納部13と第二収納部14にそれぞれ食材と調味料を収納することにより、調味料から染み出した成分が浸透性を有する仕切りシート12を浸透して食材を漬け込むことができる。
【0012】
仕切りシート12により分割された2つの収納部のどちらに調味料、あるいは食材を収納するかは特に限定されない。たとえば第一収納部13に食材を、第二収納部14に調味料を収納することにより食材をほぼ全方向から調味料で包み込むような状態にして効率良く漬け込むことができる。また、外部から漬け込んでいる食材の様子や数、種類等を確認できるようにしたい場合は、袋体11に透明な素材を用いて第一収納部13に調味料を、第二収納都14に食材を収納すればよい。また袋体11の第1開口部15の嵌合凸条15aと嵌合凹条15b、第2開口部16の嵌合凸条16aと嵌合凹条16bは、それぞれ合成樹脂製の一対の嵌介凸条と嵌合凹条になっており、いつでも簡単に開口部を開いて、食材や調味料を出し入れすることができ、開口部を閉じて調味料室と食材室を密封することができるように形成されている。
【0013】
前記袋体11に使用する素材は、浸透性を有さないものであれば特に限定されず、たとえばポリプロピレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムやこれのラミネート品、あるいはプラスチックフィルムと紙、セロファン、アルミ箔等の他素材とのラミネート品なども使用できる。またプラスチックフィルムに各種素材を蒸着したフィルムも使用することができる。なお、各素材を積層する手段についても限定はなく、例えば一般的な積層手段であるドライラミネート法や押出コーティング法などを用いればよい。
【0014】
前記仕切りシート12に使用する素材は、調味料の成分が食材に浮番して漬け込み可能であれば特に限定はされず、たとえば不織布やメッシュシートなどが使用できる。
【0015】
前記仕切りシート12の折り曲げ方は断面V字状にニつ折りにするほか、多重に折り曲げてもよい。
【0016】
前記仕切りシート12の寸法や位置は特に限定されず、調味料と食材の量や大きさに応じて変更し、分割される2室のスペースやバランスを調整すればよい。
【0017】
前記袋体11に前記仕切りシート12を取り付ける方法は特に限定されず、たとえば双方の接着部分に熱溶融性の素材を用いてヒートシールによって取り付けてもよいし、各種粘着剤や接着剤を用いて取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の漬物袋の構造を説明する構造説明図である。
【図2】図1中のA−A矢視線が示す断面図である。
【図3】漬物袋に食材と調味料を入れた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 漬物袋
11 袋体
12 仕切シート
13 第1収納部
14 第2収納部
15 第1開口部
15a 嵌合凸条
15b 嵌合凹条
16 第2開口部
16a 嵌合凸条
16b 嵌合凹条
20 食材
30 調味料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漬物を製造或いは保存するための合成樹脂製の袋であって、この袋の内部を浸透性の仕切りシートにより二室に分割し、この2室の一方をぬかみそ等の調味料を収納する調味料室とし、二室の他方を食材を収納する食材室とするとともに、この調味料室と食材室のそれぞれに開閉自在の開口部を設けたことを特徴とする、漬物袋。
【請求項2】
前記開口部は、合成樹脂製の互いに嵌合する一対の嵌合凸条と嵌合凹条であることを特徴とする、請求項1に記載の漬物袋。
【請求項3】
前記仕切シートは、漬物袋の内部で、断面V字状に二つ折りに折り曲げて設けられ、調味料室と食材室とが二面で隣接するようにしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の漬物袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−261380(P2009−261380A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133650(P2008−133650)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(508151862)
【Fターム(参考)】