説明

潤滑剤を収容孔に供給する装置

【課題】
スクリュー軸受(9)の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔(8)に供給すること。
【解決手段】
スクリュー軸受(9)の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔(8)に供給する装置であって、前記スクリュー軸受は、2つのハウジング部、特に2つのクランクのハウジング部が相互に連結することができるのに適したものであり、その際、1つのハウジング部(1)は、他方のハウジング部に対向した接触面(10)を備え、前記接合面(10)で、溝(13)が走り、前記溝(13)は、収容孔(8)を、隣接した潤滑剤が通るスペース、特にクランク部(6)と連結させ、収容孔(8)の覆い部の一部で、溝(13)が円弧形状に進行すること。
更に、本発明の対象は、このような装置の生産方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に応じた、スクリュー軸受の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔に供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界において、油を使う環境で、内燃機関のクランクシャフトを動かすことは公知である。
【0003】
米国特許第6543405号明細書によると、オイル溝を介して、スクリュー軸受のための収容孔とオイル路とを結ぶことは、さらに公知である。それに加えて、軸受カバーの表面上にオイル溝が走っている。鋳造技術的に、このようなオイル溝が配置不可能である限り、通常のとても小さいオイル溝は、軸受カバーで、個々に、小さい歯切り工具(ホブ)を使って作成される。これが時間やコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6543405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、潤滑剤をスクリュー軸受のための収容孔に供給する装置を提供することであり、簡単な方法で作成することができる。更に、対応する製造方法が提案されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、請求項1に記載の特徴を通じて解決可能である。有利な形態は、下位の請求項の特徴から生じる。
【0007】
本発明の本質は、潤滑剤通る溝を円弧状の部分として形成することである。溝を作成には、環状の歯切り工具のような、実施例の切削工具を用いることによって可能であるという製造技術の利点を有している。それらの歯切り工具は、ハウジング部上を切削する場合、対応する接触面に、流入溝と流出溝を同時に削る。収容孔を持った溝の覆い部の一部により、潤滑剤を、隣接した潤滑剤の通るスペースから、収容孔に達することである。潤滑剤が通るスペースに圧力をかける必要は、それにもかかわらずない。むしろ、これらのやり方や方法は、溝内で、スプラッシュオイルさえも収容孔に達し、そして、スクリュー軸受が十分に湿った状態になる。スクリュー軸受の湿り気は、とりわけ、必要である。それによって、内燃機関の運転の際のスクリューの相対的な長さのために、スクリューは、振動し始め、不必要な負担をかけられることとなる。
【0008】
口径が小さい孔が、収容孔の覆い部の一部で、又は、覆い部の一部に平行に延在して設けられている。収容孔で容器が設けられているのであれば適切である。それによって、潤滑剤の流入が、容器に確保される。
【0009】
その際、短い深さの穴が、収容孔として備わっている。
【0010】
更に、円弧形状の溝は、潤滑剤の流入部と流出部とを備えている。これにより、潤滑剤の動きを可能としている。
【0011】
更に、好ましい実施例では、ハウジングの側面に、収容孔が配置されている。そして、環状の歯切り具の使用によって、側面のみを加工すればよいという利点がある。
【0012】
更に、本発明の特徴は、スクリュー軸受の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔に供給する装置の生産方法であって、前記スクリュー軸受は、2つのハウジング部、特に2つのクランクのハウジング部が相互に連結するのに適しており、その際、1つのハウジング部は、他方のハウジング部に対向した接触面を備え、前記接合面で、溝が形成され、前記溝は、隣接した潤滑剤が通るスペースを備えた収容孔、特にクランク部と連結させることである。本発明により、収容孔の覆い部の一部で、溝が円弧形状に進行することを提案する。
【0013】
更に、穴で、潤滑剤が、収容孔にはめ込まれた通過キャップを通り過ぎるために、収容孔の覆い部の一部で、又は、収容孔の覆い部の一部と平行に、口径が小さいボーリング孔の穴を開けることである。
【0014】
円弧形状に削るための有利な方法は、環状歯切り具が適している。
【0015】
加えて、円弧形状の溝の削り溝は、流入部と流出部とを一回で作成することである。
【0016】
更に好ましい実施形態では、収容孔は、ハウジングの側面に穴を開けることである。
【0017】
その他の有利な実施形態は、次で図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】クランクシャフトを持ったクランクハウジングのハウジング部の側面図を示したものである。
【図2】クランクシャフトを外した、図1のハウジング部の側面図を示したものである。
【図3】図2の印Aによる特別図を示したものである。
【図4】図2の印Bによる特別図を示したものである。
【図5】溝を製造するための工具を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図において、対向エンジンに関係する実施例であることは明らかであり、対向エンジンによって、クランクハウジングは、2つのハウジング部から構成されており、それらの共通の接合面は垂直に整列している。図1及び図2で、第1のハウジング部1が、クランクシャフト2を軸受している。クランクシャフト2の上に、全体で6つのコネクティングロッド3があり、コネクティングロッドは、図示されていないピストンの対応する数と連結されている。図示されたハウジング部1で、3つのピストンのために、3つのピストン開口部4が設けられている。別の3つのピストンは、別の図示されていないハウジング部で、ピストン開口部が設けられている。
【0020】
いずれのコネティングロッド3の間に、ハウジング部1の側面5が延在しており、側面5は、ハウジング部1を、全部で6つのクランク部6に細分化している。いずれの側面5も、クランクシャフク2のために、セミモノコック形状の軸受7を備えている。
【0021】
2つのハウジング部の構成ために、収容孔8が側面5に設けられており、収容孔8は、スクリュー軸受9と実施されている。構成されている形態において、2つのハウジング部は、それらの接合面10を向かい合って備えている。接合面の間は、密閉されている。
【0022】
図3から、図2によりAで表した細部が明らかになる。収容孔8に、通過キャップ11がはめ込まれている(図2参照)。収容孔8の周りに、潤滑剤、特にオイルを供給するために、最初に潤滑剤の追加が行われ、また、収容孔8と同様の方向に延在するボーリング孔12を置くために、ボーリング孔12の長さは、通過キャップ11の長さより大きくなっている。その後、収容孔8に孔があけられ、引き続いて、環状の歯切り具を使って、接合面10で、円形の溝13を削って作っている。収容孔8の覆い部に、溝13があるので、溝13を削ることで同時に流入部14と流出部15が作られる。収容孔8で通過キャップ11を通り過ぎてオイルを案内することが、収容孔8の縁で溝13を持ったより小さなのボーリング孔12の覆い部を通じて、さらに可能である。
【0023】
図4から同様に、環状歯切り具を使って作成された溝13が明らかであり、溝13の流入部14は、側面5の右側にあるクランク部6に、側面5の計測に基づいて流れ込み、他方、流出部15は、側面5の左側にあるクランク部6に流れ込む。通常の円形状の溝13を作成することで、接合面上に一つの円弧を生じさせ、接合面は、大部分の保護領域やクランク部6を通り、保護領域を遮断している。環状歯切り具が、細部A及びBのように「接触なし」であるのではなく、図2の細部Cのように、側面5上にもう一つの円弧16を削っても問題はない。
【0024】
図5は、本発明による溝13の製造工具を最後に示している。環状歯切り具17は、矢印Rに従って、環状歯切り具自身の軸の周りを溝13を作成するために回転し、接合面10の方向に、定義された送りVを中心に移動している。環状の歯18の大きさは、本質的に、側面5の幾何学、及び、収容孔8の位置に従っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュー軸受(9)の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔(8)に供給する装置であって、
前記スクリュー軸受は、2つのハウジング部、特に2つのクランクのハウジング部が相互に連結するのに適しており、
その際、1つのハウジング部(1)は、他方のハウジング部に対向した接触面(10)を備え、
前記接合面(10)に、溝(13)が形成され、
前記溝(13)は、隣接した潤滑剤が通るスペースを備えた収容孔(8)、特にクランク部(6)と連結させた装置において、
収容孔(8)の覆い部の一部で、溝(13)が円弧形状に進行することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
収容孔(8)の覆い部の一部で、又は、収容孔(8)の覆い部の一部と平行に、口径で小さいボーリング孔(12)が延在していることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記ボーリング孔(12)は、収容孔(8)より小さい大きさであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の装置であって、
円弧形状の溝(13)は、流入部(14)と流出部(15)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の装置であって、
収容孔(8)は、ハウジング(1)の側面(5)に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
スクリュー軸受(9)の軸受を湿らせるために、潤滑剤を収容孔(8)に供給する装置の製造方法であって、
前記スクリュー軸受は、2つのハウジング部、特に2つのクランクのハウジング部が相互に連結するのに適当しており、
その際、1つのハウジング部(1)は、他方のハウジング部に対向した接触面(10)を備え、
前記接合面(10)に、溝(13)が形成され、
前記溝(13)は、隣接した潤滑剤が通るスペースを備えた収容孔(8)、特にクランク部(6)と連結させる製造方法において、
収容孔(8)の覆い部の一部で、溝(13)を、接合面(10)から円弧形状に削ることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法であって、
収容孔(8)の覆い部の一部で、又は、収容孔(8)の覆い部の一部と平行に、口径が小さいボーリング孔(12)の穴を開けることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項6、又は、7に記載の製造方法であって、
円弧形状の溝(13)を環状歯切り具により、側面(10)から削ることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一つに記載の製造方法であって、
円弧形状の溝(13)の削り溝は、流入部(14)と流出部(15)とを同時に作成することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一つに記載の製造方法であって、
収容孔(8)は、ハウジング(1)の側面(5)に穴を開けることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−228902(P2009−228902A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67698(P2009−67698)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】