説明

潤滑剤調合物および潤滑方法

【課題】排ガス触媒の不活性化が緩和され、および/またはオイルの消費量が低減された潤滑剤調合物と潤滑方法を提供すること。
【解決手段】(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含む潤滑剤組成物で、ここで当該潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを実質的に含んでいない、潤滑剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施態様は、排ガス触媒の不活性化が緩和され、および/またはオイルの消費量が低減された、特定の調合物および方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンオイルは、50年以上にわたってジンクジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)で調合され、その結果磨耗、酸化、および腐食のレベルが下げられてきた。この添加剤は至る所に存在し、現代のほぼすべてのエンジンオイル中に見られる。これは耐磨耗性、耐酸化性、および耐腐食性などの分野において多機能性を示し、エンジンオイルメーカーおよび販売業者による一般的用途において、紛れもなく最もコスト効率の良い添加物の一つである。しかしながら、燃焼されたオイルから得られるリンが不浸透性のグレーズを形成して、貴金属触媒部分を覆ってしまった場合、排ガス触媒コンバータおよび酸素センサーの分野に深刻な問題を引き起こすことが知られている。その結果、自動車メーカーでは、コンバータおよび酸素センサーの寿命を延長させるために、エンジンオイル中で使用されるZDDPの量をコントロールし、また減少させること、そして貴金属の含有量を少なくすることによって製造元にかかるコンバータの初期費用を低減することが必要となる。
【発明の開示】
【0003】
ある実施態様で、潤滑剤組成物は、ノアク(NOACK)揮発度が約5から約15の基油と、第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含み得る。この潤滑剤組成物には、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートは実質的に含まれていない。
【0004】
別の実施態様では、潤滑剤組成物は、(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油と(b)(i)約50から約100モル%の、炭素数が約1から約18である第1級アルコール、(ii)約50モル%以下の、炭素数が約3から約18である第2級アルコール、(iii)リンを含んだ成分、および(iv)亜鉛を含んだ成分の反応生成物を含み得る。
【0005】
別の実施態様において、自動車排ガス触媒コンバータにおける触媒の不活性化を減少させる方法は、(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含む潤滑剤組成物でエンジンを潤滑することから成る。この潤滑剤組成物には、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートは実質的に含まれていない。
【0006】
別の実施態様において、エンジン内のオイルの消費量を減少させる方法は、(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートから成る潤滑剤組成物でエンジンを潤滑することから成る。この潤滑剤組成物には、すべてが第2級のアルコキシ部分(all−secondary
alkoxy moieties)を有するジンクジアルキルジチオホスフェートは実質的に含まれていない。当潤滑剤組成物は、オイルの消費量すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、オイルの消費量を低減させる。
【0007】
別の実施態様で、エンジンを潤滑する方法は、当該のエンジンに潤滑剤組成物を接触させることから成り、当該潤滑剤組成物は、(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含む
。この潤滑剤組成物には、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートは実質的に含まれていない。当潤滑剤組成物は、オイルの消費量すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、オイルの消費量を低減させる。さらに当潤滑剤組成物は、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、自動車排ガス触媒コンバータ中の触媒の不活性化を低減させる。
【0008】
本明細書に記載の組成物および方法は、特に排ガス触媒の不活性化の低減および/またはオイル消費量の減少に適している。本明細書に記載の組成物および方法のその他の特徴および利点は、本明細書に記載の実施例を限定することを目的とすることなく実施例の態様を例示することを目的とした、以下の詳細な説明を参照することにより明らかである。
【0009】
前述の概要および以下の詳しい説明は、共に例示および説明のみを目的としたものであり、開示・請求された実施例のさらなる説明を提供することが意図されたものであると理解される。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載の実施態様に基づいた潤滑剤組成物は、基油および第1級アルキル部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含み得るものであり、当該潤滑剤組成物は、実質的に第2級アルキル部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含んでいない。
【0011】
当該潤滑剤組成物は、エンジンオイル用および/またはヘビーデューティーのエンジンオイル用などを含むがこれらに限定されることのない、多様な用途での仕様に適している。例としては、火花点火および圧縮点火の内燃エンジン、車やトラックのエンジン、船舶および鉄道用のディーゼルエンジン、その他を含む、多様な用途用のクランクケースおよび/または触媒コンバータが挙げられる。
【0012】
当該潤滑剤組成物には、基油および一つ以上の添加剤成分が含まれる。これらの添加剤成分を組み合わせて、基油と組み合わされる添加剤パッケージを形成することができる。またあるいは、この添加剤成分を直接基油と組み合わせてもよい。
【0013】
基油
当実施態様での使用に適した基油は、鉱油(または天然油)、合成潤滑油、植物油、およびそれらの組み合わせなどのような、一つ以上の潤滑粘度のオイルを含み得る。このような基油には、車やトラックのエンジン、船舶および鉄道用のディーゼルエンジン、その他のような、火花点火および圧縮点火の内燃エンジン用のクランクケース潤滑油として従来使用されていたものが含まれる。好適な基油のノアク揮発度は約5から約15である。別の例で好適な基油のノアク揮発度は、約10から約15である。さらに別の例で好適な基油のノアク揮発度は約9から約13である。基油は一般的に、以下の表1に示されるように、グループI、グループII、グループIII、グループIVおよびグループVに分類される。
【表1】

【0014】
合成基油の非限定的例としては、ジカルボン酸のアルキルエステル、ポリグリコールおよびアルコール、ポリブテンを含むポリアルファオレフィン、アルキルベンゼン、リン酸の有機エステル、ポリシリコーン油、およびアルキレンオキシドポリマー、インターポリマー、コポリマー、および末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化、その他によって修飾されているそれらの誘導体などが含まれる。
【0015】
鉱物基油には、動物油および植物油(例えばヒマシ油やラードオイル)、液体石油、および水素化精製され、溶媒処理または酸処理された、パラフィン系、ナフテン系、およびパラフィン・ナフテン混合系の鉱油系潤滑油が含まれるが、これらに限定はされない。石炭または頁岩から得られた潤滑粘度のオイルもまた、基油として有用である。
【0016】
ZDDP成分
本明細書に開示された潤滑剤組成物は、第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)を含み得る。この潤滑剤組成物は、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するZDDPを実質的に含んでいない。さらに、潤滑剤組成物中のリンの総量には、約20%未満の、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが含まれている。別の例では、潤滑剤組成物中のリンの総量には、約15%未満の、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが含まれている。また別の例では、潤滑剤組成物中のリンの総量には、約10%未満の、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが含まれている。
【0017】
当該潤滑剤組成物は、約0.03重量%から約0.15重量%のリンを潤滑剤組成物中に供給するのに十分な量の、第1級アルコキシ部分を有するZDDPから成る。この潤滑剤組成物はまた、さらに第1級および第2級の両方のアルコキシ部分を有するZDDPを含むこともある。第1級および第2級の両方のアルコキシ部分を有するZDDPは、約0.03重量%から約0.15重量%のリンを潤滑剤組成物中に供給するのに十分な量で存在する。
【0018】
好適なZDDPは、特定量の第1級および第2級アルコールから作られる。例えば、第1級アルコールと第2級アルコールは、約100:0から約50:50の比率で組み合わされる。またさらなる例では、第1級アルコールと第2級アルコールは、約60:40の比率で組み合わされる。好適なZDDPの例には、(i)約50から約100モル%であり、炭素数が約1から約18である第1級アルコール、(ii)約50モル%以下であり、炭素数が約3から約18である第2級アルコール、(iii)リンを含んだ成分、および(iv)亜鉛を含んだ成分を組み合わせることによって得られた反応生成物が含まれ得る。さらなる例では、第1級アルコールは、炭素数が約1から約18である第1級アルコールの混合物である。またさらなる例では、第1級アルコールは、炭素数が約4及び約8であるアルコールの混合物である。第2級アルコールもまたアルコールの混合物であり得る。例として、第2級アルコールは炭素数が3のアルコールを含むこともある。これらのアルコールには、分岐鎖、環、または直鎖のいずれが含まれていてもよい。
【0019】
ZDDPは、約60モル%の第1級アルコールと約40モル%の第2級アルコールの組み合わせを含むことがある。
【0020】
リン含有成分は、例えば硫化リンやそれに限定されることのない、任意の好適なリン含有成分から成る。好適な硫化リンは、五硫化リンまたは三硫化四リンを包含する。
【0021】
亜鉛含有成分は、例えば酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ジンクプロピレート、塩化亜鉛、プロピオン酸亜鉛、または酢酸亜鉛や、これらに限定されることのない、任意の好適な亜鉛含有成分を含むことがある。
【0022】
当該反応生成物は、結果として得られる混合物、成分、または成分の混合物を含み得る。当該反応生成物には、未反応の反応物質、化学的に結合した成分、生成物、または極性結合した成分などが含まれていることも、また含まれていないこともある。
【0023】
任意成分
本明細書に記載の潤滑剤組成物には、一つ以上の追加の添加剤成分が含まれている。好適な添加剤成分には、分散剤、酸化防止剤(即ち抗酸化剤)、摩擦低減剤、粘度調整剤、防錆剤、脱乳化剤(demulsifier)、流動点降下剤、消泡剤、およびシール膨張剤などが含まれるが、これらに限定はされない。上述の各添加剤は、使用される場合、目的とする特性を潤滑剤にもたらすために、機能的に効果のある量で使用される。従って、例えば添加剤が腐食防止剤である場合、この腐食防止剤の機能的に効果のある量とは、目的とする腐食防止特性を潤滑剤にもたらすのに十分な量となる。通常使用される場合、これらの各添加剤の濃度は、潤滑剤組成物の総重量を基にして約20重量%以下、一つの実施態様では約0.001重量%から約20重量%、また一つの実施態様では潤滑剤組成物の総重量を基にして0.01重量%から約10重量%の範囲である。
【0024】
すべてが第1級のアルコールZDDP抗磨耗化学品(anti−wear chemistry)を使用すると、すべてが第2級のアルコールZDDPで調合されたオイルに対し、二つの利点が得られることが証明されている。それは化学中毒に関連した排ガス触媒の不活性化の量を低減させること、そしてオイルの消費量を減少させることである。リン排出指数テスト(250°CでのPEI)により、すべてが第1級の成分を含んでいるオイルのリンの揮発性が、すべてが第2級のアルコールZDDPを含んだ調合物に比べ並外れて高いとみなされているため、これらの発見は予想外のものであった。(本明細書で使用する「PEI」とは「250°CでのPEI」と同様であることを意図する。)リンの揮発性を測定するPEIテストは、自動車メーカーであるサバント株式会社(Savant Corporation)やその他の会社によって、乗用車エンジンオイルのリン揮発性を評価かつコントロールし、それによって排ガス触媒コンバータの劣化を制限しまたその耐用年数を延長させる手段として提案されている。本実施例は、驚くべきことに、逆が真実であることを示している。
【実施例】
【0025】
以下の例は実施例の態様を例示することを目的としたもので、いかなる意味でも実施例を制限することを意図したものではない。
【0026】
発明の流体および比較用の流体を、約70mphで走行するフォード社の車をシミュレートするため、アフトンケミカル・コーポレーション(Afton Chemical Corporation)作成の触媒テスト(以下「アフトン触媒テスト」と呼ぶ)によりテストした。当テストにおいて、密結合の(close−coupled)新しい触媒コンバータを、10日間運転したエンジンに装着した。リンの揮発性に関連する影響を増大させるため、エンジン中のオイルを24時間ごとに交換し、オイルと冷却水の温度をそれぞれ150℃および122℃まで上昇させた。オイルの消費量は、除去された質量の重量を測定し、それを取り付け時の質量から差し引くことによって正確に決定される。アフトン触媒テストの作動条件を表2に表す。
【表2】

【0027】
ノアク揮発度15%のオイルを含有した組成物を使用したアフトン触媒テストにより、組成物のテストを行った。比較用の組成物には、低PEIの、すべてが第2級のアルコールZDDPが含まれていた。発明の組成物には、高PEIのすべてが第1級のアルコールZDDPが含まれていた。テストの結果を表3に表す。結果に見られるように、発明の組成物は比較用の組成物に比べ、使用後のオイル中に多くのリンを留保しており、触媒の不活性化が低く、またオイルの消費量が少なかった。
【0028】
オイルの消費量はグラム/時間で表されている。触媒の不活性化の量は、「T50」着火時間のロスによって測定した。50%の変換効率が起こるとなる温度について説明するため、エミッションテストにおいてT50を使用する。それにより全体の排気が低下されるため、T50温度を低く維持することが望ましい。
【表3】

【0029】
本明細書の全体を通した多くの箇所で、多数の米国特許が参照されている。このような引用文献はすべて、完全に説明されたものとして本開示に明白に組み込まれている。
【0030】
前述の実施例はその実行においてかなり変化する余地がある。従って当実施例は、上記に述べられた特定の例証に制限されることを意図したものではない。むしろ前述の実施例は、法律的に使用可能なそれらの対応範囲を含む、添付の請求項の精神および範囲内にある。
【0031】
当特許権者は、開示された実施例のいずれをも一般に提供することは意図しておらず、また開示された修正または変更は、それらがすべて完全に請求項の範囲内に収まらない状態になるまで、均等論により当実施例の一部であると見なされる。
【0032】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
【0033】
1.潤滑剤組成物であり:
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含み、ここで当該の潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを実質的に含んでいない、潤滑剤組成物。
【0034】
2.潤滑剤組成物がエンジンオイルである、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0035】
3.潤滑剤組成物がヘビーデューティーのエンジンオイルである、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0036】
4.基油のノアク揮発度が約10から約15である、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0037】
5.基油のノアク揮発度が約9から約13である、上記4に記載の潤滑剤組成物。
【0038】
6.基油が鉱油、合成油、またはそれらの混合物を含む、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0039】
7.基油が、グループIの基油、グループIIの基油、グループIIIの基油、グループ
IVの基油、およびグループVの基油から成るグループから選択された一つ以上の要素を含んでいる、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0040】
8.潤滑剤組成物中のリンの総量に、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが約20%未満含まれている、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0041】
9.潤滑剤組成物中のリン総量に、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが約15%未満含まれている、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0042】
10.潤滑剤組成物中のリン総量に、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが約10%未満含まれている、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0043】
11.第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが、潤滑剤組成物中に約0.03重量%から約0.15重量%のリンを供給するのに十分な量で存在する、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0044】
12.潤滑剤組成物が、さらに第1級と第2級の両方のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含む、上記1に記載の潤滑剤組成物。
【0045】
13.第1級と第2級の両方のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが、潤滑剤組成物中に約0.03重量%から約0.15重量%のリンを供給するのに十分な量で存在する、上記12に記載の潤滑剤組成物。
【0046】
14.潤滑剤組成物であり:
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油と
(b)(i)約50から約100モル%の炭素数が約1から約18である第1級アル
コール、
(ii)約50モル%以下の炭素数が約3から約18である第2級アルコール、
(iii)リンを含んだ成分、および
(iv)亜鉛を含んだ成分
の反応生成物を含む潤滑剤組成物。
【0047】
15.リン成分が五硫化リンを含む、上記14に記載の潤滑剤組成物。
【0048】
16.亜鉛成分が酸化亜鉛を含む、上記14に記載の潤滑剤組成物。
【0049】
17.
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含む潤滑剤組成物でエンジンを潤滑されることを含む、自動車排ガス触媒コンバータにおける触媒の不活性化を減少させる方法であり、ここで当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。
【0050】
18.
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含む潤滑剤組成物でエンジンを潤滑することを含む、エンジン内のオイルの消費量を減少させる方法であり、ここで当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。
【0051】
19.潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、オイルの消費量を低減させる、上記18に記載の方法。
【0052】
20.エンジンにクランクケースを有する内燃エンジンが含まれ、潤滑剤組成物が当該エンジンのクランクケース中に存在するクランクケースオイルを含む、上記18に記載の方法。
【0053】
21.エンジンに潤滑剤組成物を接触させることを含むエンジンの潤滑方法であり、当該潤滑剤組成物が、
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含み、当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。
【0054】
22.潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、オイルの消費量を低減させる、上記21に記載の方法。
【0055】
23.潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含有した潤滑剤組成物に比べ、自動車排ガス触媒コンバータ中の触媒の不活性化を低減させる、上記21に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であり:
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含む潤滑剤組成物で、ここで当該潤滑剤組成物が、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを実質的に含んでいない、潤滑剤組成物。
【請求項2】
基油のノアク揮発度が約10から約15である、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
基油が、グループIの基油、グループIIの基油、グループIIIの基油、グループIVの基油、およびグループVの基油から成るグループから選択された一つ以上の要素を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
潤滑剤組成物中のリンの総量に、すべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートに起因するリンが約20%未満含まれている、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが、潤滑剤組成物中に約0.03重量%から約0.15重量%のリンを供給するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
潤滑剤組成物が、さらに第1級と第2級の両方のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートを含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
潤滑剤組成物であり:
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油と
(b)(i)約50から約100モル%の炭素数が約1から約18である第1級アルコ
ール、
(ii)約50モル%以下の炭素数が約3から約18である第2級アルコール、
(iii)リンを含んだ成分、および
(iv)亜鉛を含んだ成分
の反応生成物を含む潤滑剤組成物。
【請求項8】
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含む潤滑剤組成物でエンジンを潤滑することを含む、自動車排ガス触媒コンバータにおける触媒の不活性化を減少させる方法であり、ここで当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。
【請求項9】
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含む潤滑剤組成物でエンジンを潤滑することを含む、エンジン内のオイルの消費量を減少させる方法であり、ここで当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。
【請求項10】
エンジンに潤滑剤組成物を接触させることを含むエンジンの潤滑方法であり、当該潤滑
剤組成物が、
(a)ノアク揮発度が約5から約15の基油、および
(b)第1級アルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェート
を含み、当該潤滑剤組成物にすべてが第2級のアルコキシ部分を有するジンクジアルキルジチオホスフェートが実質的に含まれていない、方法。

【公開番号】特開2008−138174(P2008−138174A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276076(P2007−276076)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】