説明

潤滑油、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】高温高湿環境下、画像ボケを発生することなく、長期間安定して画像を出力できる潤滑剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】潤滑性物質と、特定のアルキル基,芳香族炭化水素基等の置換基により置換されていてもよいヘキサ−(P−ジ置換アミノ−スチルベニル)−トリフェニレン系化合物とを含有する潤滑剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油と該潤滑油を用いた画像形成装置及び、該画像形成装置用のプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体に帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程などの工程を施すことにより、画像が形成される。この時、感光体には、帯電工程において生じる放電生成物や転写されなかった未転写残留トナーが存在することがある。そのため、転写工程後に、感光体に対してクリーニング工程が施され、放電生成物や残留トナーからなる残留物を除去される。
【0003】
クリーニング工程には、一般的にゴムブレードを感光体に押し当てて感光体表面の残留物を除去する方式がとられる。しかしながら、感光体表面とクリーニングブレード間の摩擦によるストレスが大きく、ゴムブレードの磨耗や感光体表面層の磨耗が生じ、ゴムブレードおよび有機感光体の寿命を短くする。そのため、摩擦による部材の劣化を低減し、ク
リーニング性を向上させる必要がある。
【0004】
摩擦を低減する方法で一般的なものとしては、感光体表面に潤滑剤を供給し、供給された潤滑剤をクリーニングブレードやブラシなどによって均一に塗布して潤滑剤の皮膜を形成する方法がある(例えば、特許文献1)。潤滑剤は、感光体表面を覆うことで、帯電手段による放電エネルギーから感光体表面を保護する機能も有する。しかしながら、感光体表面を保護するために、潤滑剤が放電エネルギーを吸収することになり、潤滑剤の皮膜は劣化する。
【0005】
潤滑剤の劣化を防止する手段として、潤滑剤中にヒンダードフェノールやヒンダードアミンといった酸化防止剤を含有させる方法が提案されている(例えば、特許文献5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献5の方法では、高温高湿環境下で画像ボケが生じることがある。これは、酸化防止剤が放電エネルギーによって容易に反応し、酸化防止剤自体が劣化(酸化や分解)することで、放電生成物と容易に結合し、画像ボケを誘発する可能性が考えられる。
【0007】
そこで本発明では、高温高湿環境下、画像ボケを発生することなく、長期間安定して画像を出力できる潤滑剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
潤滑性物質と、下記化1で表されるトリフェニレン化合物と、を含有する潤滑剤
【0009】
【化1】

[式中、R及びRは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、又は、芳香族炭化水素基を表しており、同一でも異なっていてもよい。但し、R及びRのいずれか1方は、置換基により置換されていてもよいアルキル基である。また、R及びRは互いに結合し、窒素原子を含む置換基により置換されていてもよい複素環基を形成してもよい。Rは水素原子、置換基により置換されていてもよい、置換基により置換されていてもよいアルコキシ基、置換基により置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、ハロゲン原子を表し、nは1〜4の整数を表す。]
が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高温高湿環境下、画像ボケを発生することなく、長期間安定して画像を出力できる潤滑剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の一例の断面図である。
【図2】図2は、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の他の例の断面図である。
【図3】図3は、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成のさらに他の例の断面図である。
【図4】図4は、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成のまたさらに他の例の断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】図6は、本発明に係る画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布機構の一例を示す概略構成図である。
【図7】図7は、本発明に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図8】図8は、本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の潤滑剤は、画像形成装置などに使用することが可能である。具体的には、静電潜像を担持するための感光体と、感光体表面を帯電させるための帯電手段と、感光体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、感光体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、感光体の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段と、を有する画像形成装置などに使用することができる。
【0013】
潤滑剤供給手段(潤滑剤付与手段)を用いて、感光体上に潤滑剤を供給することによって、クリーニングブレードに対する感光体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減することができる。これにより、優れた耐久性(耐摩耗性や耐キズ性など)を維持しつつ中抜けなどの異常画像の発生を抑制できる。特に、高温高湿環境下における画像ボケの発生を抑制でき、高品質の画像を安定して提供することができる。
【0014】
本発明における潤滑剤は、潤滑性物質と下記化2で表されるトリフェニレン化合物とを含有する。
【0015】
【化2】

[式中、R及びRは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、又は、芳香族炭化水素基を表しており、同一でも異なっていてもよい。但し、R及びRのいずれか1方は、置換基により置換されていてもよいアルキル基である。また、R及びRは互いに結合し、窒素原子を含む置換基により置換されていてもよい複素環基を形成してもよい。Rは水素原子、置換基により置換されていてもよい、置換基により置換されていてもよいアルコキシ基、置換基により置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、ハロゲン原子を表し、nは1〜4の整数を表す]
本発明の潤滑剤が感光体表面に塗布されることにより、トナーの離型性が向上し、クリーニングが困難である球形トナーのクリーニングを容易になる。また、クリーニングブレードと感光体が摺擦するときに発生しやすいブレード鳴きや、ブレードエッジの摩耗も解消することができる。
【0016】
本発明の潤滑剤は、固形、液体、粉体及び半練り状など、感光体表面に塗布することができ、電子写真特性を満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0017】
〔トリフェニレン化合物〕
本発明に係るトリフェニレン化合物について説明する。
【0018】
トリフェニレン化合物は、対応する下記化3で表わされるボロン誘導体と、下記化4で表わされる2,3,6,7,10,11−ヘキサハロゲントリフェニレンとを反応させることにより製造することができる。
【0019】
【化3】

[式中、R及びRは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、又は、芳香族炭化水素基であり、RとRは同一でも異なっていてもよい。但し、R及びRのいずれか1方は、置換基により置換されていてもよいアルキル基である。また、R及びRは互いに結合し、窒素原子を含む置換基により置換されていてもよい複素環基を形成してもよい。Rは水素原子、置換基により置換されていてもよい、置換基により置換されていてもよいアルコキシ基、置換基により置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、ハロゲン原子を表し、nは1〜4の整数]
【0020】
【化4】

[式中、Xはハロゲン原子を表す]
本発明に係るトリフェニレン化合物は、塩基の存在下又は不存在下、パラジウム系触媒を用いて、前記化3と前記化4の原料又はその塩の混合物を、100〜250℃程度の温度でカップリング反応させることによって製造することができる。
【0021】
使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば、水;メタノール、エタノール及びプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム及びジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水類;ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びアニソールなどのエーテル類;酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられる。また、これらの溶媒は1種類又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0022】
前記塩基としては、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミンなどが挙げられる。また、塩基の使用量は、具体的には前記原料の1〜3倍モルであることが好ましい。
【0023】
パラジウム系触媒としては、例えば、塩化パラジウムなどの無機パラジウム塩;酢酸パラジウムなどの有機パラジウム塩;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウ無(II)クロリドなどの有機パラジウム錯体が挙げられる。また、パラジウム系触媒の使用量は、具体的には前記原料の0.001〜0.5倍モルであることが好ましい。
【0024】
前記化2又は前記化3の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。さらに、R1,R2が互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を形成する場合、その複素環基としてはピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。
【0025】
表1に前記化2又は前記化3のR1、R2、R3、nの好ましい例を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0026】
【表1】

潤滑剤中に含まれるトリフェニレン化合物の含有量としては、0.1〜40質量%以下であることが好ましく、1質量%〜30質量%であることがより好ましい。トリフェニレン化合物の含有量が0.1質量%より少ない場合、脂肪酸金属塩の分解を抑制する効果が小さく、画像ボケの発生を抑制できない場合がある。また、トリフェニレン化合物の含有量が40質量%より多い場合、潤滑剤の成分が不足してしまい、感光体表面の潤滑性が不十分となる。そのため、クリーニング不良が起こりやすい、転写時の中抜けが起こりやすい、虫食い画像が発生する、といった問題が起こることがある。また、潤滑剤との混合固形物がもろくなり、消費量が増大してしまうことがある。
【0027】
〔潤滑性材料〕
潤滑性材料は、例えば、脂肪酸金属塩、カルナウバワックスのような天然ワックス、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系の樹脂、メラミンシアヌレート、及び、窒化ホウ素など、公知のものを適宜選択することができる。但し、供給安定性や取り扱いの観点から、固形であるものが好ましい。この中でも、脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。
【0028】
上記脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸の群から選択される1種もしくは2種類以上の脂肪酸と、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、リチウムの群から選択される1種もしくは2種類以上の金属と、から成る脂肪酸金属塩が好ましい。前述の脂肪酸金属塩は、直鎖状の炭化水素の構造を持つため、層間のすべりが起こりやすく、良好な潤滑性を発揮するため好ましい。また、前述の金属の直鎖状の脂肪酸金属塩を使用することにより、良好な耐候性を付与できる。
【0029】
前述の脂肪酸金属塩は、通常70〜150℃の温度で溶解させ、任意の金型に流し込んで冷却固化させることで、固形潤滑剤として得ることができる。そのため、本発明のトリフェニレン化合物を含有するワックスを作成するには、予め、トリフェニレン化合物と脂肪酸金属塩とを混合した状態で高温にし、溶解又は分散させてから冷却固化することで、容易に作成することができる。このように、前述の脂肪酸金属塩は、潤滑性が高く、耐候性に優れ、トリフェニレン化合物と混合する際の取り扱いも容易であり、好ましい。
【0030】
[感光体]
以下、本発明の潤滑剤が付与される感光体について詳細に説明する。
【0031】
感光体としては、導電性支持体の上に感光層が形成されていれば、特に限定されないが、光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、材料の選択範囲の広さ、製造の容易さ、低コスト、無毒性、等の観点から、有機感光体が好ましい。中でも、高い耐久性と良好な電気特性の観点から、感光体の表面層が、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、の反応により硬化・形成された、架橋表面層からなるものが好ましい。
【0032】
図1に、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の一例の断面図を示す。図1では、感光体10Aは、支持体11上に単層型の感光層12を設けている。この時、必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有しても良い。
【0033】
図2に、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の他の例の断面図を示す。図2では、感光体10Bは、支持体11と、支持体11上に電荷発生層13、及び電荷輸送層14を、順次積層し、積層型感光層を設けている。つまり、感光層12が電荷発生層13、及び電荷輸送層14に機能分離されたタイプである。また、必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有しても良い。さらに、電荷発生層及び電荷輸送層は、逆の順番で積層しても良い。
【0034】
図3に、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の、さらに他の例の断面図を示す。感光体10Cは、支持体11と電荷発生層13との間に下引き層15が形成されている以外は、図2の感光体10Bと同一の構成である。
【0035】
図4に、本発明の潤滑剤が付与される感光体の層構成の、さらに他の例の断面図を示す。感光体10Dは、電荷輸送層14上に保護層16が形成されている以外は、図3の感光体10Cと同一の構成である。
【0036】
本発明で用いられる感光体は、支持体上に感光層を有していれば、その他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。感光体の表面層が、架橋樹脂からなるものが好ましく、その中でも、電荷輸送性構造を有する重合性化合物を用いて硬化・形成された架橋表面層からなるものが好ましい。
【0037】
図4に示される保護層16は、感光体の表面を保護する目的で、架橋性樹脂を用いることが好ましい。また、無機微粒子や潤滑性微粒子を含有させた保護層を設けることも好ましい。上記の構成とすることで、感光体が高い耐摩耗性を有するので好ましい。
【0038】
架橋性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。中でも、静電特性及び耐磨耗性の観点から、電荷輸送性構造を有する重合性化合物を含むことが好ましい。例えば、水酸基を有する電荷輸送性構造を有するモノマーと、イソシアネート化合物と、を加熱硬化させることで、ウレタン樹脂を含む保護層が形成される。
【0039】
水酸基を有する電荷輸送性構造としては、特に限定されないが、下記化5〜化10で示す化合物などを使用することができる。
【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

水酸基を有する電荷輸送性構造は、例えば、特許第3540056号公報等に開示された合成方法等を用いて合成することができる。
【0046】
また、架橋性樹脂を有する保護層として、電荷輸送構造を有さないラジカル重合性モノマーと、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物と、を用いて、3次元の網目構造を形成したものが好ましい。架橋度が非常に高く、高硬度な表面層を得ることができ、より高い耐摩耗性が達成されるため好ましい。
【0047】
具体的には、架橋性樹脂は、耐摩耗性、静電特性の点から、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と、を含むことが好ましい。
【0048】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を用いた感光体は、良好な電気的特性を有する。これは、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を用いることで、架橋結合間がペンダント状に固定化したことに起因すると考えられる。
【0049】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有する場合、1官能のラジカル重合性化合物は、3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有さない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こることがある。これにより、架橋表面層の機械的強度が低下することがある。
【0050】
また、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の代わりに、電荷輸送性構造を有する2官能以上のラジカル重合性化合物を用いた場合を下記に説明する。この場合、電荷輸送性構造が嵩高いため、硬化樹脂中に歪みが発生し、架橋表面層の内部応力が高くなる。そのため、キャリアの付着等によりクラックや傷の発生が頻発する場合がある。
【0051】
電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物とは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造又は縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性基により置換されている芳香族環等の電子輸送性構造を有しておらず、ラジカル重合性基を3個以上有する化合物を意味する。ラジカル重合性基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合することが可能な基を意味する。なお、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物が有する3個以上のラジカル重合性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
ラジカル重合性基としては、特に限定されないが、1−置換エチレン基、1,1−置換エチレン基等が挙げられる。
【0053】
1−置換エチレン官能基としては、一般式
CH=CH−X
(式中、Xは、置換基により置換されていてもよいアリーレン基、置換基により置換されていてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、一般式
−CON(R1)−基
(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)
で表される基又はチオ基である。)
で表される基が挙げられる。
【0054】
におけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。また、Xにおけるアルケニレン基としては、ビニレン基等が挙げられる。
【0055】
また、Rにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。また、Rにおけるアラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が挙げられる。さらに、Rにおけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0056】
1−置換エチレン官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
【0057】
1,1−置換エチレン官能基としては、下記一般式
CH=C(Y)−X
(式中、Xは、上記Xに記載されている基、単結合又はアルキレン基であり、Yは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、一般式
−COOR
(式中、Rは、水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基、又は、一般式
−CONR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、又は、置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基である。)
この時、Y、Xのいずれか一方が、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、又は芳香族環であることが好ましい。
【0058】
1,1−置換エチレン官能基のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としてはメトキシ基又はエトキシ基等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、ナフチルメチル基、又はフェネチル基等が挙げられる。さらに、アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。
【0059】
1,1−置換エチレン官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
【0060】
なお、X、X、Y、R、R及びRにおける置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0061】
これらのラジカル重合性基において、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物、アクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応又はエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
【0062】
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、特に限定されないが、以下の化合物を使用することができる。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどである。これらは、1種類又は2種類以上を併用しても良い。
【0063】
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を意味する。
【0064】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマーの官能基数に対する分子量の比が250以下であることが好ましい。ラジカル重合性モノマーの官能基数に対する分子量の比が250以下であることにより、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成できる。ラジカル重合性モノマーの官能基数に対する分子量の比が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく、耐摩耗性が幾分低下することがある。
【0065】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量は、架橋表面層全量に対し20〜80質量%、好ましくは35〜65質量%である。モノマー成分が20質量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、十分な耐摩耗性向上が達成されないことがある。また、モノマー成分が80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じることがある。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるが、両特性のバランスの観点から35〜65質量%程度の範囲であることが好ましい。
【0066】
電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物とは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、又は、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基などの電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有し、かつ、ラジカル重合性官能基を1個有する化合物を意味する。ラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで挙げたものと同様であり、中でもアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
【0067】
また、電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物としては、静電特性の観点から、トリアリールアミン構造を有するもの好ましい。中でも、下記一般式の化11
【0068】
【化11】

(式中、R10は水素原子、ハロゲン原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、一般式
−COOR11
(式中、R11は水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基、ハロゲン化カルボニル基又は一般式
−CONR1213
(式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基である。Ar、Arは、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよいアリーレン基である。Ar、Arは、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよいアリール基である。X10は単結合、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいシクロアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基である。Zは置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基である。m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数)
で表される化合物が好ましい。
【0069】
10で示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が、それぞれ挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
【0070】
10で示される置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
【0071】
Ar、Arの中で好ましいものは、置換基により置換されていてもよいアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
【0072】
縮合多環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものが好ましい。具体的には、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
【0073】
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、及び9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基等が挙げられる。
【0074】
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の複素環芳香族化合物由来の1価基が挙げられる。
【0075】
Ar及びArにおける置換基は以下にあげるものなどを使用することができる。
【0076】
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基
〔2〕アルキル基
この時、炭素数が1〜12であり、1〜8が好ましく、1〜4の直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。また、フッ素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していても良い。
【0077】
具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0078】
〔3〕アルコキシ基
アルコキシ基におけるアルキル基は〔2〕におけるアルキル基と同様である。
【0079】
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0080】
〔4〕アリールオキシ基
アルールオキシ基のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を置換基として含んでも良い。
【0081】
具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
【0082】
〔5〕アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基
アルキルメルカプト基としては、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。また、アリールメルカプト基としては、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0083】
〔6〕下記一般式化12で表される基
【0084】
【化12】

(式中、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、〔2〕で示したアルキル基、又はアリール基である。R15及びR16は結合して、環構造を形成してもよい。)
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられる。これらは炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含んでもよい。
【0085】
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕アルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基
アルキレンジオキシ基としては、メチレンジオキシ基等が挙げられる。また、アルキレンジチオ基としては、メチレンジチオ基等が挙げられる。
【0086】
〔8〕その他
置換基により置換されていてもよいスチリル基、置換基により置換されていてもよいβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0087】
Ar及びArで表される二価のアリーレン基としては、前記Ar、Arで表される一価のアリール基から誘導される基が挙げられる。
【0088】
10は単結合、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいシクロアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基などが挙げられる。
【0089】
前記置換基により置換されていてもよいアルキレン基としては、通常、炭素数1〜12であり、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のものが使用できる。アルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
【0090】
具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
【0091】
前記置換基により置換されていてもよいシクロアルキレン基としては、炭素数5〜7の環状アルキレン基などが挙げられ、これらの環状アルキレン基は、置換基として、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
【0092】
前記置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基としては、−CHCHO−基、−CHCHCHO−基、−(OCHCH−O−基、又は−(OCHCHCH−O−基、等が挙げられる。但し、式中のh,iはそれぞれ、1〜4の整数を表す。
【0093】
また、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基により置換されていてもよい。
【0094】
X10におけるビニレン基としては、下記一般式の化13
【0095】
【化13】

[式中、R17は水素原子、アルキル基(前記〔2〕で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表されるアリール基と同じ)aは1又は2、bは1〜3を表す。]
で表される基などを使用することができる。
【0096】
Zは、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基などを使用することができる。
【0097】
置換基により置換されていてもよいアルキレン基としては、Xのアルキレン基と同様の基を使用することができる。
【0098】
置換基により置換されていてもよいアルキレンエーテル基としては、Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
【0099】
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
【0100】
また、電荷輸送構造を有する1官能のラジカル重合性化合物として、さらに好ましいものとしては、下記一般式の化14
【0101】
【化14】

(式中、o、p、qはそれぞれ独立して、0又は1の整数、Rは水素原子又はメチル基であり、R、Rは、それぞれ独立して水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基である。また、s、tはそれぞれ独立して、0〜3の整数を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、又は下記一般式の化15のいずれか1つで表される二価基である。)
【0102】
【化15】

で表される化合物が挙げられる。
【0103】
及びRの置換基としては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基であることが好ましい。
【0104】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、通常、架橋表面層全量に対して20〜80質量%であり、好ましくは35〜65質量%である。電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、架橋表面層全量に対して20質量%未満では、架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがある。また、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、架橋表面層全量に対して80質量%を超えると、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招くため、高い耐摩耗性が発揮されないことがある。
【0105】
架橋性樹脂は、粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で、電荷輸送性構造を有さない1官能のラジカル重合性モノマー、電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー及び/又はラジカル重合性オリゴマーをさらに含んでも良い。
【0106】
電荷輸送性構造を有さない1官能のラジカルモノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー等が挙げられる。
【0107】
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0108】
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
【0109】
電荷輸送性構造を有さない1官能のラジカル重合性化合物、電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物及びラジカル重合性オリゴマーの添加量は、耐摩耗性の点から、通常、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物に対して、50質量%以下であり、30質量%以下が好ましい。
【0110】
また、本発明においては、架橋表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化したものが好適に用いられるが、この硬化反応(架橋反応)を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を使用し、架橋表面層を形成してもよい。
【0111】
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられ、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0112】
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系、又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
【0113】
また、光重合促進効果を有する化合物を単独又は光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進効果を有する化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0114】
重合開始剤の含有量は、通常、架橋性樹脂に対して、0.5〜40質量部であり、1〜20質量部であることが好ましい。
【0115】
本発明の保護層16は、架橋性樹脂を含む塗工液を塗布することで形成することができる。この時、塗布液は、各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質等の添加剤を含んでも良い。可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。可塑剤の添加量は、通常、塗工液の固形分に対し20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であることが好ましい。
【0116】
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー等が挙げられる。レベリング剤の添加量は、塗工液の固形分に対し3質量%以下が好ましい。
【0117】
塗布液は、溶媒を含んでも良い。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系等が挙げられる。これらの溶媒は1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0118】
塗布液を塗布する方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法等を用いて行うことができる。
【0119】
架橋性樹脂を架橋する場合、光を照射することが好ましい。光源としては、高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源を利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ、可視光光源を選択することも可能である。また、架橋反応は温度の温度依存性が大きく、光照射時の塗膜の表面温度は20℃以上170℃以下であることが好ましい。塗膜の表面温度制御手段は、熱媒体を用いて温度を制御する方法が好ましい。
【0120】
次に、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとして、アクリロイルオキシ基を3つ有する化合物を用い、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物としてアクリロイルオキシ基を1つ有する化合物を用いる場合の、保護層16の形成方法を示す。
【0121】
アクリロイルオキシ基を3個有する化合物に対するアクリロイルオキシ基を1個有するトリアリールアミン化合物の質量比は、通常、3/7〜7/3である。また、アクリロイルオキシ基を3個有する化合物及びアクリロイルオキシ基を1個有するトリアリールアミン化合物の総質量に対して、3〜20%の重合開始剤を添加すると共に、溶媒を添加して、塗布液を調製する。
【0122】
保護層16が形成される電荷輸送層14において、電荷輸送物質として、トリアリールアミン系ドナー、バインダー樹脂として、ポリカーボネートが用いられており、スプレーコート法を用いて保護層16を形成する場合、塗布液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が挙げられる。また、溶媒の添加量は、アクリロイルオキシ基を3個有する化合物及びアクリロイルオキシ基を1個有するトリアリールアミン化合物の総質量に対して、3〜10倍である。
【0123】
アルミシリンダー等の導電性支持体11上に、下引き層15、電荷発生層13、電荷輸送層14を順次積層した後、スプレーコート法を用いて塗布液を塗布し、指触乾燥を経て、光を照射して架橋性樹脂を架橋する。
【0124】
メタルハライドランプを用いて紫外光を照射する場合、照度は50〜1000mW/cmであることが好ましい。例えば、照度が700mW/cmである場合、ドラムを回転させながら、紫外光を全ての面に均一に2分間程度照射する。このとき、熱媒体を用いて、塗膜の表面の温度が高くならないように制御する。架橋性樹脂を架橋した後、塗膜に残留した溶媒を低減するため、100〜150℃で10〜30分間加熱して、感光体10Dが得られる。
【0125】
なお、架橋樹脂の架橋を促進するために、加熱する時や紫外光を照射する時の雰囲気の酸素濃度を低くすることが好ましい。これにより、酸素によるラジカル重合の阻害を低減できるため、架橋密度が高い保護層16を形成することができる。
【0126】
また、窒素で置換して酸素濃度を低下させた雰囲気下で、スプレーコート法を用いて塗布液を塗布したり、指触乾燥したりすることも有効である。
【0127】
保護層16の厚さは、通常、1〜30μmであり、2〜20μmが好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。保護層14の厚さが1μm未満であると、耐磨耗性が低下することがあり、30μmを超えると、静電特性が低下することがある。
【0128】
保護層16は、フィラーをさらに含むことが好ましい。これにより、耐摩耗性を向上させることができる。さらに、保護層16の表面に微細な凹凸が形成されるため、感光体10に潤滑剤が付与されやすくなる。
【0129】
有機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アモルファスカーボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0130】
無機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0131】
フィラーは、硬度の点から、無機フィラーであることが好ましく、フィラーを構成する材料は、静電特性の点から、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンがさらに好ましい。このとき、無機フィラーとして、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等を用いることができる。
【0132】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満であると、耐摩耗性が低下することがあり、0.5μmを超えると、保護層16の光の透過率が低下することがある。
【0133】
保護層16中のフィラーの含有量は、通常、5〜50質量%であり、5〜30質量%が好ましい。保護層16中のフィラーの含有量が5質量%未満であると、耐摩耗性が低下することがあり、30質量%を超えると、静電特性が低下したり、保護層16の光の透過率が低下したりすることがある。
【0134】
フィラーは、表面処理剤により表面処理されていてもよい。これにより、保護層16中のフィラーの分散性を向上させることができる。
【0135】
表面処理剤としては、特に限定されないが、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリコーン樹脂、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いても良い。また、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸と、シランカップリング剤とを併用してもよい。
【0136】
表面処理剤により表面処理されている量は、通常、フィラーに対して、3〜30質量%であり、5〜20質量%が好ましい。表面処理剤により表面処理されている量が、フィラーに対して、3質量%未満であると、保護層14中のフィラーの分散性を向上させることができないことがあり、30質量%を超えると、静電特性が低下することがある。
【0137】
保護層16にフィラーを含有させる場合の、バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂等を使用することができる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0138】
次に、感光体10を構成する複層型感光層および単層型感光層について説明する。
【0139】
《複層型感光層》
電荷発生層は、電荷発生物質を含有し、バインダー樹脂やその他の成分を含んでも良い。電荷発生物質としては、特に限定されないが、無機材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル化合物、セレン−テルル−ハロゲン化合物、セレン−ヒ素化合物、等が挙げられる。電荷発生物質としては、有機材料としては、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン又はトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンまたはナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0140】
電荷発生層に含まれるバインダー樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても使用しても良い。
【0141】
電荷発生層は、電荷輸送物質を含んでも良い。電荷発生層は、バインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を含んでも良い。
【0142】
電荷発生層を形成する方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等の真空薄膜作製法、浸漬塗布法、スプレーコート法、ビードコート法等のキャスティング法等が挙げられる。
【0143】
キャスティング法を用いて電荷発生層を形成する際に用いられる塗布液に含まれる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられ、2種類以上併用してもよい。中でも、塗膜の乾燥性の点で、沸点が40〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールが好ましい。
【0144】
塗布液は、溶媒中に電荷発生物質を溶解又は分散させることにより調製することができる。
【0145】
溶媒中に電荷発生物質を溶解又は分散させる方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミル等の分散メディアを用いる方法、高速液衝突分散方法等が挙げられる。
【0146】
電荷発生層の厚さは、通常、0.01〜5μmであり、0.05〜2μmが好ましい。
【0147】
電荷輸送層は、電気抵抗が高いことが好ましい。また、誘電率が小さく、かつ電荷移動性が良いことが好ましい。また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び高分子電荷輸送物質を含む。
【0148】
電荷輸送物質の正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0149】
高分子電荷輸送物質としては、以下に示す化合物などを使用できる。
【0150】
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
【0151】
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
【0152】
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
【0153】
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
【0154】
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
【0155】
これら以外の高分子電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、等が挙げられる。
【0156】
このような高分子電荷輸送物質としては、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
【0157】
また、電子供与性基を有する重合体は、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー等であって良い。さらに、電子供与性基を有する重合体としては、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を使用することができる。
【0158】
電荷輸送物質の電子輸送物質としては、公知のものを当業者が選択して使用することができる。具体的には、フルオレン系化合物、キノン系化合物を使用することができ、これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0159】
電荷輸送層はバインダー樹脂を含んでも良い。バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂等が用いられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0160】
電荷輸送層は、架橋性を有するバインダー樹脂と架橋性を有する電荷輸送物質とを、架橋させて形成しても良い。
【0161】
なお、電荷輸送層は、架橋性を有するバインダー樹脂と架橋性を有する電荷輸送物質を架橋させて形成してもよい。
【0162】
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶媒中に溶解又は分散させた塗布液を電荷発生層上に塗布することにより形成することができる。
【0163】
電荷輸送層は、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等をさらに含んでいてもよい。
【0164】
電荷輸送層の厚さは、通常、5〜100μmであり、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5〜30μmが好ましい。
【0165】
《単層型感光層》
次に、単層型感光層について説明する。
【0166】
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び必要に応じてその他の成分を含む。
【0167】
単層型感光層、例えば、電荷発生物質と、バインダー樹脂と、電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成することができる(キャスティング法)。また、単層感光層には、可塑剤を含んでも良い。
【0168】
単層型感光層の厚さは、通常、5〜100μmであり、5〜50μmであることが好ましい。単層型感光層の厚さ膜厚が5μm未満であると帯電性が低下することがある。単層型感光層の厚さが100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
【0169】
《支持体》
感光体における支持体は、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて当業者が適宜選択することができる。
【0170】
支持体の材料としては、導電体または導電処理をした絶縁体が好ましい。具体的には、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属、またはそれらの合金;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属、あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの;樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙等が挙げられる。
【0171】
支持体の形状、大きさとしては特に制約はなく、例えば形状として、板状、ドラム状又はベルト状のいずれのものも使用できる。この中でも、ドラム状のものが剛性の高く、好ましい。
【0172】
《下引き層》
下引き層は、接着性の向上、モアレなどの防止、上層の塗工性改良、残留電位の低減などを目的として設けられる。
【0173】
下引き層は、電荷発生層又は感光層を形成する際に、塗布液が塗布されることを考慮すると、有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えても良い。
【0174】
下引き層は、塗工法などによって形成することができる。
【0175】
また、下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を用いて、ゾル−ゲル法により形成されている金属酸化物、陽極酸化により形成されている酸化アルミニウム、ポリパラキシリレン(パリレン)、真空薄膜作製法により形成されている酸化スズ(IV)、二酸化チタン、ITO、酸化セリウム等であってもよい。
【0176】
下引き層の厚さは、通常、0.1〜10μmであり、1〜5μmが好ましい。
【0177】
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置について、図を参照して説明する。本発明の画像形成装置は、感光体に残留したトナーを除去するクリーニング手段(クリーニングブラシ、クリーニングブレードなど)と、本発明の潤滑剤が感光体に付与する潤滑剤付与手段を有し、その他の構成は公知のものを含んでも良い。
【0178】
図5は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図を示す。ドラム状の感光体100と、帯電チャージャ103と、転写前チャージャ107と、転写チャージャ110と、分離チャージャ111と、クリーニング前チャージャ113とを含む。
【0179】
感光体100の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。また、各種チャージャとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド ステート チャージャ)、接触配置、又はギャップテープや端部に段差を設けるなどの手段によって潜像担時体との間にギャップを有して近接配置された帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。
【0180】
転写手段としては、転写チャージャと分離チャージャとを併用したものが好ましい。
【0181】
画像露光部105、除電ランプ102等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの公知の発光物を用いることができる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0182】
現像ユニット106により感光体1上に現像されたトナー画像は、転写紙(記録媒体)109に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体100上にトナーが残存する。残存トナーがクリーニングされずに、次の複写プロセスが行われる場合、帯電不良や露光による静電潜像形成時の不具合が発生することがある。そのため、一般的にはクリーニング手段を用いて未転写残留トナーを除去することが好ましい。クリーニング手段としては、クリーニングブラシ114又はクリーニングブレード115を単独で、又は組み合わせて使用しても良い。クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシ等の
公知のものが用いられる。なお、符号104はイレーサ、108はレジストローラ、112は分離爪を示す。
【0183】
クリーニングブレード115は、摩擦係数の低い弾性体が好ましく、具体的には、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー、などが挙げられる。この中でも、硬化性のウレタン樹脂が好ましく、特に、ウレタンエラストマー(ゴムを含む)が、耐摩耗性、耐オゾン性、耐汚染性の観点から好ましい。クリーニングブレード115は、硬度(JIS−A)が、65〜85度の範囲であることが好ましい。また、クリーニングブレード115は、厚さが0.8〜3.0mmで、突き出し量が3〜15mmの範囲であるものが好ましい。
【0184】
本発明の画像形成装置には、感光体表面に潤滑剤を供給して塗布する潤滑剤塗布ユニット116を備える。特に、近年、電子写真の高画質化に有利とされている球形トナーの実用化が進んでいるが、球形トナーは、従来の粉砕型のトナーと比較して、ブレードクリーニングが困難であることが知られている。そのため、クリーニングブレードの当接圧を強めたり、硬度の高いウレタンゴムブレードを用いるなどの対策が行われている。
【0185】
これらの方法はブレードが当接する感光体表面に対するハザードが大きくなる傾向であり、実際、球形トナーを用いると、感光体の表面摩耗量は増加する傾向にあることが分かってきている。本発明に好適に用いられる架橋表面層を有する感光体は、耐摩耗性が非常に高いため、上記のようなハザードが大きい条件においても、架橋表面層が摩耗することはほとんどないが、対クリーニングブレードの摩擦係数が高いことに起因すると考えられるブレード鳴き、ブレードエッジの摩耗などの不具合を発生させることがあった。
【0186】
そこで、本発明の画像形成装置においては、感光体表面に潤滑剤を供給して塗布する潤滑剤供給手段を備えることによって、クリーニングブレードに対する電子写真感光体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減することができ、上記不具合を解消することができる。
【0187】
図6に、本発明に係る画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布機構の一例を示す概略構成図を示す。図6では、棒状にした潤滑剤(固形物)116をクリーニングブラシ114に押し当てており、クリーニングブラシ114が回転する際に潤滑剤を掻き取り、ブラシに付着した潤滑剤が感光体の表面に塗布される仕組みとなっている。
【0188】
図6に示す潤滑剤供給手段をクリーニングユニット117に備えることで、ドラム周りのレイアウト設計が容易になる。また、装置を簡略化することができる。一方で、クリーニングされたトナーに潤滑剤が多量に混入するため、トナーをリサイクルすることが困難になることがある。また、ブラシのクリーニング効率が低下するなどの不具合が発生する場合もある。また、潤滑剤供給手段を有した塗布ユニットをクリーニングユニットと別に独立して設けることで、このような不具合を解消することもできる。その場合、塗布ユニットは、クリーニングユニットの下流に設けることが好ましい。さらに、塗布ユニットを複数箇所に設け、それらを同時又は順次稼動しても良い。これにより、潤滑剤の塗布効率が高くなる。また、潤滑剤の消費量をコントロールすることもできる。
【0189】
図7は、本発明に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図7において、感光体122は、駆動ローラ123による駆動、帯電チャージャ129による帯電、像露光光源121による像露光、現像、転写チャージャ帯電器125による転写、潤滑剤塗布ユニット130による潤滑剤付与、潤滑剤均しブレード131による潤滑剤塗布量均一化、クリーニングブラシ126によるクリーニング、除電光源128による除電、が繰返し行われる。図中、符号124は転写ローラ、127は従動ローラを示す。
【0190】
[プロセスカートリッジ]
本発明のプロセスカートリッジは、感光体と、感光体に残留したトナーを除去するクリーニングブレードと、本発明の潤滑剤を感光体の表面に付与する潤滑剤供給手段と、を一体に支持し、画像形成装置の本体に着脱可能である。
【0191】
図8に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ200は、感光体201、帯電器202、現像手段204、クリーニング手段209を含み、更に必要に応じてその他の手段を有する。203は露光手段(潜像形成手段)、205は記録媒体、210は搬送ローラである。
【0192】
クリーニング手段209は、クリーニングブラシ208及びクリーニングブレード207を一体に支持する。クリーニングブラシ208により、感光体201の表面に残留したトナーが除去される。また、クリーニングブラシ208は感光体201の表面に潤滑剤を塗布する。その後、クリーニングブレード207により、感光体201の表面に塗布された潤滑剤の量が均一化される。
【実施例】
【0193】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、実施例中において使用される「部」は、すべて質量部を表す。
【0194】
[実施例1]
実施例1では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.が4であるトリゲニレン化合物を使用した。
【0195】
ステアリン酸亜鉛90質量部と、トリフェニレン化合物(白色粉末)10質量部と、を140℃で攪拌して溶融液を得た。次に、140℃で予熱した幅8mm×深さ8mm×長さ500mmのキャビティを有するアルミ製金型のキャビティ内に、溶融液を注入した。その後、予熱した断熱蓋を金型の上部に設置した。さらに、金型の温度が50℃になるまで放冷した。2時間後、金型から固化した成形品を取り出した。
【0196】
成形品を幅8mm×厚み11mm×長さ380mmの形状に加工し、RICOH Pro C900に搭載可能な潤滑剤を得た。
【0197】
[実施例2]
実施例2では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.1であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0198】
[実施例3]
実施例3では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.2であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0199】
[実施例4]
実施例4では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.5であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0200】
[実施例5]
実施例5では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.12であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0201】
[実施例6]
実施例6では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.15であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0202】
[実施例7]
実施例7では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.16であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0203】
[実施例8]
実施例8では、前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.17であるトリゲニレン化合物を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0204】
[実施例9]
実施例9では、ステアリン酸亜鉛及び前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.4であるトリゲニレン化合物の添加量を、それぞれ98部及び2部にした以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0205】
[実施例10]
実施例10では、ステアリン酸亜鉛及び前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.4であるトリゲニレン化合物の添加量を、それぞれ75部及び25部にした以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0206】
[実施例11]
実施例10では、ステアリン酸亜鉛及び前記化2で表され、化2の式中R、R、R、及びnが、表1の例示化合物No.4であるトリゲニレン化合物の添加量を、それぞれ60部及び40部にした以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0207】
[実施例12]
実施例12では、ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸カルシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0208】
[実施例13]
実施例13では、ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸アルミニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0209】
[実施例14]
実施例14では、ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸リチウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0210】
[実施例15]
実施例15では、ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0211】
[実施例16]
実施例16では、ステアリン酸亜鉛の代わりに、パルチミン酸亜鉛を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0212】
[実施例17]
ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸鉄の質量比4:1の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0213】
[実施例18]
ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比1:1の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0214】
[実施例19]
ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸亜鉛とミリスチン酸亜鉛の質量比3:2の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0215】
[実施例20]
ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸亜鉛とオレイン酸亜鉛の質量比9:1の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0216】
[比較例1]
トリゲニレン化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0217】
[比較例2]
トリゲニレン化合物の代わりに、ヒンダードフェノールのサノールLS−2626(三共社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0218】
[比較例3]
トリゲニレン化合物の代わりに、ヒンダードアミンのサノールLS−744(三共社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0219】
[比較例4]
トリゲニレン化合物の代わりに、ヒンダードフェノールのIRGANOX−MD1024(チバスペシャリティケミカルズ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
【0220】
[感光体1の作製]
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)6部、メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)4部、酸化チタン(CR−EL:石原産業)40部、メチルエチルケトン50部からなる下引き層用塗工液を調製した。
【0221】
浸漬塗布法を用いて、アルミニウム製支持体(外径100mmφ)に、下引き層用塗工液を用いて、130℃で20分乾燥し、膜厚が3.5μmの下引き層を形成した。
【0222】
Y型チタニルフタロシアニン6部、ブチラール樹脂(BX−1:積水化学工業製)4部、2−ブタノン200部からなる電荷発生層用塗工液を調製した。
【0223】
下引き層上に、電荷発生層塗工液を用いて浸漬塗工し、90℃で20分加熱乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0224】
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート10部、下記化16
【0225】
【化16】

で表される低分子電荷輸送物質10部、テトラヒドロフラン80部からなる電荷輸送層用塗工液を調製した。
【0226】
電荷発生層上に、電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、135℃で20分加熱乾燥し、膜厚22μmの電荷輸送層を形成した。
【0227】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート[KAYARAD TMPTA、日本化薬製(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)]10部、下記化17
【0228】
【化17】

で表される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物10部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1部、1%UV硬化型レベリング剤のテトラヒドロフラン溶液[アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートとの混合物(商品名:BYK−UV 3570、ビックケミー社製)]5部及びテトラヒドロフラン100部から成る架橋表面層用塗工液を調製した。
【0229】
電荷輸送層上に、架橋表面層用塗工液を窒素気流中でスプレー塗工した後、10分間窒素気流中に放置して指触乾燥した。次に、酸素濃度が2%以下となるように窒素ガスで置換したUV光照射ブース内で、ランプ電力が160W/cmのメタルハライドランプを用いて、照射距離120mm、照射強度700mW/cm、照射時間60秒の条件で光照射を行った。さらに、130℃で20分乾燥し、厚さ8μmの保護層を形成し、感光体1を得た。
【0230】
実施例1〜20及び比較例1〜4では、感光体1を用いて下記の画像ボケ評価、耐摩耗性評価、耐キズ性評価を実施した。
【0231】
実施例21から30では、感光体を下記の感光体2〜11を用いた以外は、実施例1と同様に下記の画像ボケ評価、耐摩耗性評価、耐キズ性評価を実施した。
【0232】
[実施例21]
架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、下記のモノマーに変更した以外は実施例1と同様にして感光体2を作製した。
【0233】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー[ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製: 分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211)]を用いた。
【0234】
[実施例22]
架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、下記のモノマーに変更した以外は実施例1と同様にして感光体3を作製した。
【0235】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製;分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325)]を用いた。
【0236】
[実施例23]
実施例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記化18
【0237】
【化18】

で示される化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体4を作製した。
【0238】
[実施例24]
実施例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記化19
【0239】
【化19】

で示される化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体5を作製した。
【0240】
[実施例25]
実施例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記化20
【0241】
【化20】

で示される化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体6を作製した。
【0242】
[実施例26]
感光体の電荷輸送層まで形成までは実施例1と同様に行った。次に、アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製)3.0部、不飽和ポリカルボン酸ポリマー(BYK−P104;BYKケミー製)0.06部、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー[トリメチロールプロパントリアクリレート(SR−351、サートマー製)]5部、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー[ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬株式会社製)]5部、前記化18
で表される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物10部、光重合開始剤[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)]1部、テトラヒドロフラン100部から成る架橋表面層用塗工液を調製した。
【0243】
電荷輸送層上に、架橋表面層用塗工液を窒素気流中でスプレー塗工した後、1分間自然乾燥した。UV光照射ブース内で、ランプ電力が160W/cmのメタルハライドランプを用いて、照射距離120mm、照射強度500mW/cm、照射時間45秒の条件で光照射を行った。さらに、130℃で20分乾燥し、厚さ4μmの保護層を形成し、感光体7を得た。
【0244】
[実施例27]
実施例26において、架橋表面層用塗工液に含有されるアルミナ微粒子をシリカ微粒子(KMPX100:信越化学製)に変えた以外は、実施例26と同様にして感光体8を作製した。
【0245】
[実施例28]
実施例26において、架橋表面層用塗工液に含有されるアルミナ微粒子を酸化チタン微粒子(CR−97:石原産業製)に変えた以外は、実施例26と同様にして感光体9を作製した。
【0246】
[実施例29]
感光体の電荷輸送層の形成までは実施例1と同様に行った。次に、 アルミナ(平均一次粒径;0.3μm、住友化学工業製)3.0部、不飽和ポリカルボン酸ポリマー(BYK−P104、BYKケミー製)0.06部、ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製)10部、下記化21
【0247】
【化21】

で示される低分子電荷輸送物質10部、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.06部、酸化防止剤(サノールLS−2626、三共株式会社製)0.20部、テトラヒドロフラン230部、シクロヘキサノン70部からなる表面層塗工液を調製した。
【0248】
電荷輸送層上に、この表面層塗工液を、スプレー塗工法を用いて塗布し、150℃で20分乾燥し、厚さ5μmの表面層を形成し、感光体10を作製した。
【0249】
[実施例30]
感光体の電荷輸送層まで形成までは、実施例1と同様に行った。次に、ポリオール(LZR−170;(固形分41質量%):藤倉化成社製)[スチレン、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートからなるスチレン−アクリル共重合体]20部、水酸基を有する電荷輸送性物質(D2−4)20部、イソシアネート(コロネートL:固形分75%;日本ポリウレタン工業社製)[トリレンジイソシアネートのポリオールアダクト体]38部、1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(シリコーンオイル=KF50−100CS;信越化学工業製)5部、シクロヘキサノン50部、テトラヒドロフラン200部から成る架橋表面層塗工液を調製した。
【0250】
電荷輸送層上に、架橋表面層用塗工液をスプレー塗工後、1分間自然乾燥し、その後、150℃で30分間加熱し、5μmの表面架橋層を設け、感光体11を作製した。
【0251】
[評価]
フルカラープリンタRICOH Pro C900(リコー社製)に搭載されている潤滑剤塗布ユニット用の金属製の支持体に、各実施例又は各比較例の潤滑剤を両面テープで接着した。また、改造機のブラックステーションに各感光体を搭載し、画像ボケ、耐摩耗性、耐キズ性を評価した。
これを、RICOH Pro C900に搭載されている潤滑剤塗布部材用板金(金属製支持体)に、既存の潤滑剤に替えて両面テープで接着した。
【0252】
《画像ボケ評価》
27℃、85%RH環境下、画像面積率が5%であるブラック単色のテストチャートを5000枚連続出力した後、フルカラープリンタの電源を切る。次に、27℃、85%RH環境下で24時間放置した後、カラープリンタの電源を投入し、1200dpi 2by2のブラック単色の全面ハーフトーン画像を出力し、画像ボケによるカスレの有無を評価した。
【0253】
評価基準は以下の通りとした。
【0254】
◎:画像ボケ発生せず。
【0255】
○:帯電器直下にわずかに画像ボケが発生した。実用上はほとんど問題ないレベル。
【0256】
△:帯電器直下とその周辺にわずかに画像ボケが発生したが、実用上許容できるレベル。
【0257】
×:帯電器直下のみならず、画像形成装置奥側の周方向ほぼ全面に画像ボケが発生し、許容できないレベル。
【0258】
《耐摩耗性》
25℃、50%RHの環境下、画像面積率が15%であるブラック単色のテストチャートを10万枚連続出力するランニングの前後の感光層の厚さを、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー社製)を用いて測定し、感光層の摩耗量を算出した。なお、感光層の厚さは、感光体の任意の主走査方向(ドラム軸方向)に、一方の端部からの距離が50mmである位置から、10mm間隔で、330mmである位置まで測定した値の平均値である。
【0259】
なお、感光層の磨耗量が少ない程、潤滑剤の塗布性が良好であると考えられる。
《耐キズ性》
耐摩耗性を評価した後の感光体の表面の副走査方向(ドラム周方向)のスジ状のキズの有無を目視で観察した。
【0260】
なお、感光体の表面のスジ状のキズが少ない程、潤滑剤の塗布性が良好であると考えられる。
【0261】
各々の評価結果は表2及び表3に示す。
【0262】
【表2】

【0263】
【表3】

表2及び表3より、実施例の潤滑剤及び感光体を用いて、高温環境下で繰り返し画像を形成しても、画像ボケの発生を抑制できることがわかる。また、耐摩耗性や耐キズ性も、実使用上問題とはならないレベルを維持していることが確認できる。
【符号の説明】
【0264】
11 支持体
12 感光層
13 電荷発生層
14 電荷輸送層
15 下引き層
16 保護層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0265】
【特許文献1】特開2000−162881号公報
【特許文献2】特開2002−229241号公報
【特許文献3】特開2003−241570号公報
【特許文献4】特開2008−139804号公報
【特許文献5】特開2004−258177号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑性物質と、下記化22で表されるトリフェニレン化合物と、を含有する潤滑剤。
【化22】

[式中、R及びRは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、又は、芳香族炭化水素基を表しており、同一でも異なっていてもよい。但し、R及びRのいずれか1方は、置換基により置換されていてもよいアルキル基である。また、R及びRは互いに結合し、窒素原子を含む置換基により置換されていてもよい複素環基を形成してもよい。R3は水素原子、置換基により置換されていてもよい、置換基により置換されていてもよいアルコキシ基、置換基により置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、ハロゲン原子を表し、nは1〜4の整数を表す。]
【請求項2】
前記潤滑性物質は脂肪酸金属塩を含有する、請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項3】
前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸の群から選択される1種もしくは2種類以上の脂肪酸と、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、リチウムの群から選択される1種もしくは2種類以上の金属と、から成る、請求項2に記載の潤滑剤。
【請求項4】
前記トリフェニレン化合物の含有量が、0.1質量%以上40質量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤。
【請求項5】
固形である、請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑剤。
【請求項6】
感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、該トナー像が転写された感光体に残留したトナーを除去するクリーニングブレードと、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤を前記感光体に付与する潤滑剤付与手段と、を有する画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体の表面には、電荷輸送性構造を有する重合性化合物を含む架橋性樹脂が架橋されている保護層が形成される、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
感光体と、クリーニングブレードと、請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑剤を前記感光体に付与する潤滑剤供給手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能である、プロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163823(P2012−163823A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25035(P2011−25035)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】