説明

潤滑油添加剤濃縮物

【課題】過塩基性金属清浄剤及び高レベルの有機摩擦調整剤を含有する添加剤濃縮物であって、その成分が沈降物形成という相互作用をしないものを提供すること。
【解決手段】潤滑油添加剤濃縮物であって、潤滑粘性油、塩基性金属複合体、油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物、及び前記濃縮物の全質量をベースとして少なくとも1.7質量%の、少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を含有する有機摩擦調整剤を含むことを特徴とする前記潤滑油添加剤濃縮物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物の製造に有用な添加剤濃縮物に関する。より具体的には、本発明の好ましい態様は、貯蔵安定性の向上を示す潤滑油添加剤濃縮物を提供する。
【背景技術】
【0002】
クランク室エンジン油用の潤滑油組成物は、多量のベースストック油、及び性能を向上させ潤滑剤の有用な寿命を延ばす少量の添加剤を含有する。クランク室潤滑油組成物は、従来、清浄剤及び酸中和剤として作用する塩基性金属複合体、フェノール性及び/又はアミン性抗酸化剤、及び少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を含有する有機摩擦調整剤であって、燃料経済性を向上させるのに有効な有機摩擦調整剤として作用するものを含む。燃料経済性の向上に関する要求の増加、及び潤滑剤に含まれる金属(灰分)の量の低減に関するさらなる要求に直面し、配合者はかつてないほど多い量の摩擦調整剤を使用してきた。
【0003】
潤滑油添加剤は、一般的に、10〜80質量%、例えば20〜80質量%の活性成分(AI)濃縮物の形態において、潤滑剤配合者に提供され、その後、それらは多量の潤滑粘性油に溶解され、十分に配合された潤滑剤が提供される。一般的に、濃縮物は、添加剤濃縮物の質量部当たり、潤滑粘性油3〜100、例えば、5〜40質量部に希釈される。前記のように、ある潤滑油添加剤は濃縮物中の他のものと相互作用することが知られている。そのような公知の相互作用は、有機摩擦調整剤と過塩基性金属清浄剤の間で生じる。具体的には、有機摩擦調整剤は、金属清浄剤の複合体に悪影響を及ぼし、貯蔵中、濃縮物に沈降物を形成することが見い出されている。以前、この相互作用は、有機摩擦調整剤と深刻な相互作用しない清浄剤を選択することにより最小化されていた。ポリアルケニルアシル化剤の添加により、この好ましからざる相互作用が調節されることが見い出された。しかし、有機摩擦調整剤との相互作用の可能性が低い清浄剤は、添加剤パッケージにおいてゲル化の問題を生じることが見い出され、ポリアルケニルアシル化剤(例えば、ポリイソブテニルコハク酸無水物(PIBSA))の存在が、潤滑油組成物の燃料経済的な可能性に負に影響することが見い出された。さらに、ここで要求される増量分の有機摩擦調整剤により、ポリアルケニルアシル化剤適合剤(compatibilizer)と添加剤パッケージ安定性において選ばれる清浄剤との作用は不十分となってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
潤滑油品質規格がより厳しくなってきたので、有機摩擦調整剤の要求量は増加し、添加剤濃縮物中の少量の沈降物の存在でさえも潤滑剤配合者に受容され難くなってきた。従って、過塩基性金属清浄剤及び高レベルの有機摩擦調整剤を含有する添加剤濃縮物であって、その成分が沈降物形成という相互作用をしないものを提供できることが好都合と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも一つの塩基性金属複合体、縮合物の質量をベースとして少なくとも1.7質量%の、少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を有する少なくとも一つの有機摩擦調整剤、及び油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の混合物を含む潤滑剤添加剤濃縮物を提供する。
油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくはメチレン架橋アルキルフェノールである。油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の存在は、濃縮物安定性を向上させる。
本発明の他の態様により、少なくとも一つの塩基性金属複合体及び少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を有する少なくとも一つの有機摩擦調整剤の混合物を含む潤滑剤添加剤濃縮物の安定性を向上させる方法であって、その方法が前記濃縮物にヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を添加することを含む前記方法を提供する。ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくはメチレン架橋アルキルフェノールである。
本発明の他の及びさらなる目的、利点及び特徴は、以下の詳述を参考に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施に有用な有機摩擦調整剤は、ヒドロキシル基及びアミン基から選ばれる少なくとも一つの極性基を含む油溶性化合物を含み、その化合物は流体力学及び混合流体力学/境界層条件下、摩擦を低減することが可能である。そのような材料の例としては、高級脂肪酸のグリセロールエステル、例えば、グリセロールモノ-オレート;長鎖ポリカルボン酸とジオールのエステル、例えば二量化不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物;及びアルコキシル化アルキル置換モノアミン、ジアミン及びアルキルエーテルアミン、例えば、エトキシル化獣脂アミン及びエトキシル化獣脂エーテルアミンが挙げられる。特に好ましい有機摩擦調整剤としては、グリセロールオレート、特にグリセロールモノオレート、及びエトキシル化アミン、具体的にはエトキシル化獣脂アミンが挙げられる。濃縮物中に多量の有機摩擦調整剤が存在する場合、負の相互作用がより深刻なので、本発明の濃縮物は、添加剤濃縮物の全質量をベースとして、少なくとも1.7質量%、好ましくは少なくとも3質量%、より好ましくは少なくとも5質量%の有機摩擦調整剤を含む。言い換えると、希釈後、少なくとも0.15質量%、好ましくは少なくとも0.25質量%及びより好ましくは少なくとも0.5質量%の有機摩擦調整剤を有する配合潤滑剤を提供するのに十分な量の有機摩擦調整剤を含む濃縮物が好ましい。
【0007】
本発明の内容において有用な塩基性金属複合体は、堆積物を低減又は除去する清浄剤として及び酸中和剤又は錆防止剤としての両方において作用し、それにより摩耗及び腐食を低減し、エンジン寿命を延長する。一般的に、清浄剤は長い疎水性尾部を有する極性先端部を含む。極性先端部は、酸性有機化合物の金属塩を含む。塩は、実質的に理論量の金属を含んでいてもよく、その場合、それらは正塩又は中性塩として通常記載され、一般的に全塩基価又はTBN(ASTM D2896により測定され得る場合)0〜80であると考えられる。多量の金属塩基は、過剰な金属化合物(例えばオキシド又はヒドロキシド)を酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることにより導入してもよい。得られる過塩基性清浄剤は、金属塩基(例えば、カーボネート)ミセルの外層として中和清浄剤を含む。そのような過塩基性清浄剤のTBNは150以上であってもよく、一般的にTBN250〜450またはそれ以上であると考えられる。
【0008】
使用してもよい清浄剤としては、金属、具体的にはアルカリ又はアルカリ土類金属、例えばバリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムの油溶性中性及び過塩基性スルホネート、フェナート、硫化フェナート、チオホスホネート、サリチレート及びナフテネート及び他の油溶性カルボキシレートが挙げられる。最も一般的に使用される金属は、カルシウム及びマグネシウム(それらは潤滑剤に使用される清浄剤中に共に存在してもよい)及びカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムの混合物である。特に好都合な金属清浄剤は、TBN20〜450の中性及び過塩基性カルシウムスルホネート、TBN50〜450の過塩基性カルシウムフェナート及び硫化フェナート及びTBN20〜450の中性及び過塩基性マグネシウム又はカルシウムサリチレートである。過塩基性又は中性又はその両方の清浄剤の組み合わせを使用してもよい。
【0009】
スルホネートをスルホン酸から製造してもよく、それらはアルキル置換芳香族炭化水素、例えば石油の分留又は芳香族炭化水素のアルキル化により得られるもののスルホン化により一般的に得られる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又はそれらのハロゲン誘導体、例えばクロロベンゼン、クロロトルエン及びクロロナフタレンのアルキル化により得られるものが挙げられる。アルキル化を、触媒の存在下、炭素数が約3〜70より多いアルキル化剤で行ってもよい。通常、アルカリールスルホネートは、アルキル置換芳香族成分当たり、炭素数約9〜約80以上、好ましくは約16〜約60である。
【0010】
油溶性スルホネート又はアルカリールスルホン酸は、金属のオキシド、ヒドロキシド、アルコキシド、カルボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスルフィド、ニトレート、ボレート及びエーテルで中和されていてもよい。金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNに関して選ばれるが、一般的に、要求される理論量の約100〜220質量%(好ましくは少なくとも125質量%)である。
フェノール及び硫化フェノールの金属塩を、好適な金属化合物、例えばオキシド又はヒドロキシドとの反応により製造し、中性又は過塩基性生成物を、当技術分野に公知の方法により得てもよい。硫化フェノールは、フェノールと硫黄又は硫黄含有化合物、例えば硫化水素、硫黄一ハロゲン化物又は硫黄二ハロゲン化物との反応により製造され、一般的に、2つ以上のフェノールが硫黄含有架橋により架橋される化合物の混合物である生成物を形成してもよい。
【0011】
カルボキシレート清浄剤、例えばサリチレートは、芳香族カルボン酸を好適な金属化合物、例えばオキシド又はヒドロキシドと反応させることにより製造することが可能であり、中性又は過塩基性生成物は当技術分野に公知の方法により得られてもよい。芳香族カルボン酸の芳香族成分はヘテロ原子、例えば窒素及び酸素を含むことができる。好ましくは、その成分は、炭素原子のみを含み;より好ましくは、その成分は6以上の炭素原子を含み、例えばベンゼンは好ましい成分である。芳香族カルボン酸は、一つ以上の芳香族成分、例えば一つ以上のベンゼン環であって、アルキレン架橋により縮合するか連結されたものを含んでいてもよい。カルボキシル成分は、芳香族成分に直接的又は間接的に結合していてもよい。好ましくは、カルボン酸基は、芳香族成分の炭素原子、例えばベンゼン環上の炭素原子に直接結合している。より好ましくは、また、芳香族成分は第二の官能基、例えばヒドロキシ基又はスルホネート基を含み、それらは芳香族成分上の炭素原子に直接又は間接的に結合することができる。
【0012】
芳香族カルボン酸の好ましい例は、サリチル酸及びそれらの硫化誘導体、例えばヒドロカルビル置換サリチル酸及びそれらの誘導体である。例えば、ヒドロカルビル置換サリチル酸の硫化方法は、当業者に公知である。一般的に、サリチル酸は、フェノキシドのカルボキシル化、例えばKolbe-Schmitt法により製造され、その場合、通常、希釈において、非カルボキシル化フェノールとの混合物において一般的に得られると考えられる。
油溶性サリチル酸における好ましい置換基は、アルキル置換基である。アルキル-置換サリチル酸において、好都合には、アルキル基の炭素数は、5〜100、好ましくは9〜30、具体的には14〜20である。一つより多いアルキル基がある場合、全てのアルキル基中の平均炭素数は、適切な油溶性を確実にするために好ましくは少なくとも9である。
【0013】
また、潤滑油組成物の配合に一般的に有用な清浄剤としては、混合界面活性剤系と形成された「ハイブリッド」清浄剤、例えば、フェナート/サリチレート、スルホネート/フェナート、スルホネート/サリチレート、及びスルホネート/フェナート/サリチレートが挙げられ、それらは例えば、継続中の米国特許出願第09/180,435号及び第09/180,436号及び米国特許第6,153,565号及び第6,281,179号に記載されている。
潤滑剤添加剤濃縮物中の有機摩擦調整剤との相互作用は、金属複合体の金属がカルシウムである場合に特に激しい。さらに、有機摩擦調整剤との相互作用は、スルホネート清浄剤及びスルホネート界面活性剤を含む複合体清浄剤を含む濃縮物においてより明らかである。従って、好ましい態様において、塩基性金属複合体は、カルシウム過塩基性清浄剤又は過塩基性スルホネート又はスルホネート含有複合体清浄剤、より好ましくは過塩基性カルシウムスルホネート又はスルホネート含有複合体清浄剤である。
【0014】
本発明の実施に有用な油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、以下の構造を有するものである:
【化1】

(式中、nは、0〜10、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜7、最も好ましくは3〜6であり;Yは、二価架橋基であり、好ましくはヒドロカルビル基であり、好ましくは炭素数1〜4であり;またRは、炭素数4〜30、好ましくは8〜18、最も好ましくは9〜15であるヒドロカルビル基である。)
【0015】
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくはヒドロカルビルフェノールホルムアルデヒド縮合物である。ここに使用する用語「ヒドロカルビル」は、関連する基が、水素原子及び炭素原子から主に構成され、炭素原子により分子の残部に結合されるが、基の実質的な炭化水素特性を損なうのに十分な比率において他の原子又は基の存在を排除しないことを意味する。ヒドロカルビル基は、好ましくは、水素及び炭素原子のみから構成される。好都合には、ヒドロカルビル基は、脂肪族基、好ましくはアルキル又はアルキレン基、具体的にはアルキル基であり、線状又は分岐であってもよい。Rは、好ましくはアルキル又はアルキレン基である。Rは、好ましくは分岐である。
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、MALDI-TOF(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization-飛行時間型)質量分析計により測定した場合、質量平均分子量(Mw)は、600〜4000、好ましくは800〜3500、より好ましくは1000〜2000、さらにより好ましくは1200〜1900、最も好ましくは1400〜1750である。
【0016】
好ましくは、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、少なくとも一つのアルデヒド又はケトン又はそれらの反応等価物と少なくとも一つのヒドロカルビルフェノールとの縮合反応により、酸触媒、例えばアルキルベンゼンスルホン酸の存在下で得られるものである。好ましくは、生成物をストリッピングにかけ、いずれかの未反応ヒドロカルビルフェノールを除去し、未反応ヒドロカルビルフェノール5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、さらにより好ましくは1質量%未満にする。最も好ましくは、生成物の未反応ヒドロカルビルフェノールは、0.5質量%未満、例えば0.1質量%未満である。
塩基性触媒を使用できるが、酸触媒が好ましい。酸触媒は、多様な酸性化合物、例えば、リン酸、硫酸、スルホン酸、シュウ酸及び塩酸から選択されてもよい。また、酸は、酸処理クレーのような固形材料の成分として存在してもよい。使用される触媒の量は、全反応混合物の0.05〜10質量%以上、例えば0.1〜1質量%で変えてもよい。
【0017】
特に、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくは、分岐ドデシルフェノールホルムアルデヒド縮合物、例えばテトラプロペニル四量体フェノールホルムアルデヒド縮合物である。
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくは、濃縮物の質量をベースとして約2〜20質量%、好ましくは約5〜15質量%、より好ましくは約10〜12質量%の量において添加剤濃縮物中に存在する。
好ましくは、有機摩擦調整剤及びヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、有機摩擦調整剤の質量%対ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の質量%の比、約1:3〜約1:7、より好ましくは約1:1.5〜約1:3.5、最も好ましくは約1:1〜約1:2.5を提供する量において存在する。従って、少なくとも3質量%の有機摩擦調整剤を含有する濃縮物は、最低約9〜約21質量%のヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を好ましく含有する。
【0018】
幾つかのヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、抗酸化性及び分散性を提供することが知られている(例えば、Rippleの米国特許第5,259,967号を参照されたい)。従って、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を使用して添加剤パッケージを安定化する場合、酸化阻害を有する潤滑油組成物を提供するために一般的に使用されるフェノール性及び/又はアミン性抗酸化剤を、低減した量で又は除去して使用することができる。幾つかのヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、固有の清浄性を提供することが見い出され、また、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が添加剤パッケージを安定化するために使用される場合、金属清浄剤の量は可能な限り低減され得る。ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が金属非含有であり、硫黄非含有であり得るので、特に添加剤パッケージが「Low SAPS」(サルフェート灰分、リン及び硫黄)潤滑剤の新規世代の配合に使用される場合、いずれかの固有の清浄性は、追加の重要な利点を本発明の組成物に提供する。
【0019】
有機摩擦調整剤3質量%以上の存在下において添加剤パッケージ安定性を提供するために、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を、塩基性金属複合体の質量%対ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の質量%比、約1:7〜約23:1、好ましくは少なくとも約1:3〜約6:1、より好ましくは約1:2〜約5:1を提供する量において使用することができる。
濃縮物が油性であるために、添加剤は、油性キャリヤーにおいて溶液中にあってもよいか又はそのようなキャリヤーは別々に提供されてもよいか又はその両方である。好適なキャリヤーの例は、潤滑粘性油であり、例えば、以下に詳細に記載するように、脂肪族、ナフテン及び芳香族炭化水素である。
【0020】
本発明の濃縮物の製造に又はそのような濃縮物から潤滑油組成物の製造に有用な潤滑粘性油は、天然(植物、動物又は鉱物)及び合成潤滑油及びそれらの混合物から選ばれてもよい。それは、軽質留出鉱物油から重質潤滑油の粘度範囲、例えば、ガスエンジン油、鉱物潤滑油、モータービークル油及びヘビーデューティディーゼル油であってもよい。一般的に、油の粘度は100℃で、2センチストークス〜30センチストークス、具体的には5センチストークス〜20センチストークスである。
天然油としては、動物油及び植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油);パラフィン、ナフテン及びパラフィン-ナフテン混合型の液体石油及び水素化精製、溶媒処理又は酸処理鉱物油が挙げられる。石炭又は頁岩から誘導される潤滑粘性油は、また、有用なベース油として使用される。
【0021】
合成潤滑油としては、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えばポリマー及びインターポリマーオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びそれらの誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。
アルキレンオキシドポリマー及びインターポリマー及びそれらの誘導体であって、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化等により改質されたものは、他の部類の公知の合成潤滑油を構成する。これらは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのポリマー化により製造されるポリオキシアルキレンポリマー、及びポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば、分子量1000のメチル-ポリイソプロピレングリコールエーテル又は分子量1000〜1500のポリ-エチレングリコールのジフェニルエーテル);及びそれらのモノ-及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、テトラエチレングリコールの混合C3-C8脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルにより例証される。
【0022】
他の好適な部類の合成潤滑油は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。そのようなエステルの例としては、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル、及びセバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2モル及び2-エチルへキサン酸2モルの反応により形成される複合エステルが挙げられる。
【0023】
また、合成油として有用なエステルとしては、炭素数5〜12のモノカルボン酸及びポリオールから製造されるもの及びポリオールエステル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールが挙げられる。
【0024】
シリコンベース油、例えばポリアルキル-、ポリアリール-、ポリアルコキシ-又はポリアリールオキシシリコン油及びシリケート油は、合成潤滑剤の他の有用な部類を含む;そのような油としては、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチル-フェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。他の合成潤滑油としては、リン-含有酸の液体エステル(例えば、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及びポリマー性テトラヒドロフランが挙げられる。
潤滑粘性油は、群I、群II、群III、群IV又は群V油又は前記油のブレンドを含んでいてもよい。また、潤滑粘性油は、群I油と群II、群III、群IV又は群V油の一つ以上とのブレンドを含んでもよい。
【0025】
ここに使用した油に関する定義は、米国石油協会(API)の刊行物「Engine Oil Licensing and Certification System」、Industry Services Department、第4版、1996年12月、補遺1、1998年12月に見出されるものと同じである。上記刊行物は、以下のように油を類別している:
a) 群I油は、飽和物含量が90%未満であり、及び/又は硫黄含量が0.03%より高く、また、粘度指数は、80以上120未満であり、これは表1に明記した試験方法による。
b) 群II油は、飽和物含量が90%以上であり、硫黄含量が0.03%以下であり、また、粘度指数は、80以上120未満であり、これは表1に明記した試験方法を使用している。APIにより確認された群と離れるものではないが、約110より高い粘度指数の群II油は、「群II+」油とよく呼ばれる。
c) 群III油は、飽和物含量が90%以上であり、硫黄含量が0.03%以下であり、また、粘度指数は、120以上であり、これは表1に明記した試験方法を使用している。
d) 群IV油は、ポリαオレフィン(PAO)である。
e) 群V油は、群I、II、III又はIVに含まれない他の全てのベースストックである。

【0026】
好ましくは、潤滑粘性油の飽和物含量は、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも85%である。最も好ましくは、潤滑粘性油の飽和物含量は、90%より高い。好ましくは潤滑粘性油の硫黄含量は、1質量%未満、好ましくは0.6質量%未満、より好ましくは0.3質量%未満、例えば0〜0.3質量%である。
好ましくは、潤滑粘性油の揮発度は、Noack試験により測定した場合(ASTM D5880)、約40質量%以下、例えば約35質量%以下、好ましくは、約32質量%以下、例えば約28質量%以下、より好ましくは約16質量%以下である。好ましくは潤滑粘性油の粘度指数(VI)は、少なくとも85、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは約105〜140である。
【0027】
過塩基性金属清浄剤、有機摩擦調整剤及びヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の他に、本発明の濃縮物及びそれらから形成された十分に配合された潤滑剤は、無灰分散剤、耐磨耗剤、酸化防止剤又は抗酸化剤、金属含有摩擦調整剤及び燃料節約剤(fuel economy agents)、消泡剤、腐食防止剤及びポリアルケニルアシル化剤から選ばれる多くの他の性能向上添加剤を含むことができる。従来、潤滑剤の配合時、添加剤は、一つ以上、好ましくは単一の濃縮添加剤パッケージにおいて配合者に提供され、多くの場合DI(分散剤-阻害剤)パッケージと呼ばれ、また、VI向上剤及び/又はVI向上剤及びLOFIは第二のパッケージにおいて提供されると考えられる。
無灰分散剤は、摩耗又は燃焼の間、油の酸化から生じるサスペンジョン油不溶物から守る。それらは、スラッジの沈殿及びワニスの形成の予防に、特にガソリンエンジンにおいて特に好都合である。
【0028】
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、耐磨耗剤及び抗酸化剤としてよく使用される。その金属は、アルカリ又はアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅であってもよい。亜鉛塩が潤滑油において最も一般的に使用され、また、それは、公知の技術により、まず、ジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を、一つ又はそれより多いアルコール又はフェノールをP2S5と反応させて形成し、その後、形成したDDPAを亜鉛化合物と中和することにより製造してもよい。例えば、ジチオリン酸を、第一級及び第二級アルコールの混合物を反応させることにより製造してもよい。或いは、複数のジチオリン酸を製造することができ、そこでは、一方のヒドロカルビル基は完全に第二級であり、他方のヒドロカルビル基は完全に第一級である。亜鉛塩を製造するために、いずれかの塩基性又は中性の亜鉛化合物を使用することができるが、酸化物、水酸化物、炭酸塩が、最も一般的に使用される。市販の添加剤は、過剰の亜鉛を多くの場合含み、なぜなら、中和反応において過剰の塩基性亜鉛化合物が使用されるからである。
【0029】
酸化防止剤又は抗酸化剤は、鉱物油が使用中に劣化する傾向を低減する。酸化的劣化は、潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス様付着物により、また、粘度上昇により証明され得る。そのような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、好ましくは炭素数5〜12のアルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、油溶性フェナート及び硫化フェナート、ホスホ硫化又は硫化炭化水素、リンエステル、チオカルバミン酸金属、油溶性銅化合物であって、米国特許第4,867,890号に記載されたもの、及びモリブデン含有化合物及び芳香族アミンが挙げられる。
【0030】
公知の金属含有摩擦調整剤としては、油溶性オルガノ-モリブデン化合物が挙げられる。また、そのようなオルガノ-モリブデン摩擦調整剤は、抗酸化及び耐磨耗性を潤滑油組成物に提供する。そのような油溶性オルガノ-モリブデン化合物の例として、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィド等及びそれらの混合物が挙げられてもよい。特に好ましくは、モリブデンのジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート及びアルキルチオキサンテートである。
泡のコントロールは、ポリシロキサンタイプの消泡剤、例えばシリコン油又はポリジメチルシロキサンにより提供され得る。
幾つかの上記添加剤は、複数の作用を提供し、従って、例えば、一つの添加剤が、分散剤-酸化防止剤として作用してもよい。このアプローチは、公知であり、ここにさらに詳述する必要はない。
配合されたクランク室潤滑剤に使用した時の、そのような追加の添加剤の典型的な有効量を、以下に示す:
【0031】

【0032】
本発明の濃縮物は、高温、即ち、周囲温度より高い温度で好ましく製造される。そのような濃縮物は、少なくとも50℃、例えば少なくとも80℃、好ましくは少なくとも90℃、より好ましくは少なくとも100℃で製造される。エネルギーは低温で節約されるが、実際問題は使用することができる最も都合のよい温度が指示される。従って、周囲温度で固形である添加剤が使用される場合、他の添加剤への添加前に油中にそれを溶解するよりも、添加剤が流動する温度へ、その温度を上昇させることが通常、一層好都合である。いずれかの添加剤がそのような温度で都合よく取り扱われるならば、100℃以上の温度が使用され得る。混合温度で保持される時間及びそのような温度及び時間条件下での安定性が考慮されなければならない。
【0033】
好都合には、添加剤濃縮物の形成時、分散剤及び清浄剤を、比較的高温で予混合し、得られる予混合物を、その後低温で残りの添加剤と混合する。混合順序が、濃縮物の安定性へのヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の作用に明らかに影響するとは見い出されて来なかった。従って、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、有機摩擦調整剤を含む他の添加剤との混合前に分散剤及び清浄剤と予混合することが可能であるか、分散剤/清浄剤予混合物との接触前に有機摩擦調整剤を含有する他の添加剤と混合してもよいか、又は濃縮物形成の間のいずれかの段階において別々の成分として濃縮物に導入することができる。濃縮物の成分を、それらの均一混合物を達成するのに十分な時間、混合温度で都合よく保持する。これは、通常、1時間半以内に、特に混合温度が80℃を超える場合に達成し得る。
【0034】
本発明の濃縮物を、いずれかの都合のよい方法で潤滑油組成物に導入できる。従って、分散剤及び清浄剤それぞれの所望の濃度で油にそれらを分散又は溶解することにより、潤滑粘性油にそれらを直接添加することができる。そのような混合を、周囲温度又は高温で起こすことができる。代わりに、組成物を好適な油溶性溶媒及びベース油と混合し、さらなる濃縮物を形成し、それをその後潤滑粘性油と混合し、最終潤滑油組成物を得ることができる。そのような濃縮物は、一般的に、(活性成分(A.I.)ベースとして)、全濃縮物質量をベースとして、少なくとも一つのヒドロキシ又はアミノ基を含有する有機摩擦調整剤約1.7〜約20質量%、好ましくは約3〜約10質量%、塩基性金属複合体約3〜約45質量%、好ましくは約5〜約30質量%、より好ましくは約7.5〜約25質量%、及びヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物約1〜約15質量%、好ましくは約3〜約13質量%、より好ましくは約6〜約8質量%を含むと考えられ;濃縮物の残りは、希釈油(好ましくはわずか約90質量%、例えばわずか80質量%)及び所望により他の添加剤を含む。
【0035】
本発明は、以下の実施例を参考にしてさらに理解されると考えられ、そこでは全ての部は、特に規定しない限り質量部(AI)であり、本発明の好ましい態様を含む。
実施例
合成例A
ヘプタン中に希釈したノニルフェノール(10.5モル)を、スルホン酸触媒を使用して水中のホルムアルデヒド(9.0モル)と反応させた。試薬を5Lフラスコに充填し、窒素下、100℃に加熱した。希釈油の添加後、水及びヘプタンを、温度が150℃に到達するまで留去した。その後、反応混合物を真空下で分離し、残留溶媒を除去し、最終生成物を精製した。使用した試薬の量を表3に提供した。

【0036】
最終生成物は、数平均分子量(Mn)約840、質量平均分子量(Mw)約1260であり、GPC及びHPLC分析により測定した場合、約0.09質量%の残留ノニルフェノールを含有していた。
比較例1
300TBNのカルシウムスルホネート清浄剤、C8ヒンダードフェノール抗酸化剤(Ciba Specialty Chemicals Corporationの製品、商品名Irganox L135)、他の従来の添加剤(分散剤、ZDDP、アミン性抗酸化剤、モリブデンベース耐磨耗剤、消泡剤)、希釈油及び増加量の有機摩擦調整剤(エトキシル化獣脂アミン(ETA)及びグリセロールモノオレート(GMO))を含有する従来の添加物濃縮物を、表4に示すように製造した(量は質量%により表した)。

【0037】
本発明の実施例1
合成例Aのメチレン架橋アルキルフェノール(MBAP)をIrganox L135ヒンダードフェノール抗酸化剤の代わりに用い、本発明の添加剤濃縮物を表5に示すように製造した(量は質量%として表す)。混合方法及び順序は、比較例1の濃縮物を形成するために使用したものと同様であった(高温での分散剤及び清浄剤の予混合、その後、低温における他の添加剤と予混合した清浄剤/分散剤との混合)。

【0038】
その後、上記各添加剤濃縮物を貯蔵安定性試験にかけ、それは形成された沈降物量を60℃で数週間定期的に測定しながら貯蔵するものであった。測定した沈降物の量が、濃縮物の全質量をベースとして0.05容量%よりも高くなった時点で、濃縮物パッケージは安定性試験に不合格であった。フェノール性抗酸化剤を含有する比較例1の濃縮物に関する試験を、表6に提供する。本発明の実施例1の濃縮物で達成した結果を、表7に提供する。




【0039】

【0040】
前述のように、フェノール性抗酸化剤8.89質量%を含有する濃縮物において、全有機摩擦調整剤3.34質量%の存在が、貯蔵のわずか4週間後に容認できない量の沈降物の形成を生じた。有機摩擦調整剤の全量が3.88質量%及び5質量%に増加した場合、貯蔵安定性試験の不合格が、わずか5週及び4週でそれぞれ生じた。一方、MBAPわずか5.56質量%の存在において、有機摩擦調整剤全量3.34質量%を含む濃縮物は、8週間の安定性試験の最後まで安定を維持し、有機摩擦調整剤全量5質量%を含有する濃縮物は、6週間安定を維持した。11.11質量%までMBAPの量を増加することにより、有機摩擦調整剤全量5質量%を含む濃縮物は、7週の最後まで安定を維持した。
【0041】
ここに記載した全ての特許、文献及び他の資料は、全体として参考文献として本明細書に含まれるものとする。ここに及び添付の特許請求の範囲に示すように、多数の明記した成分を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる組成物の記載は、前記多数の明記の成分を混合することにより製造される組成物をまた含むと解釈されるべきである。本発明の原理、好ましい態様及び作動形態を前記明細書に記載した。出願人が提示したものはそれらの発明であるが、開示した態様は限定的ではなく説明とみなされるため、開示した特定の態様に限定すると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油添加剤濃縮物であって、潤滑粘性油、塩基性金属複合体、油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物、及び前記濃縮物の全質量をベースとして少なくとも1.7質量%の、少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を含有する有機摩擦調整剤を含むことを特徴とする前記潤滑油添加剤濃縮物。
【請求項2】
前記油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が以下の一般式で表される少なくとも一つの化合物である、請求項1に記載の潤滑油添加剤濃縮物:
【化1】

(式中、nは、0〜10であり;Yは、二価架橋基であり;またRは、炭素数4〜30のヒドロカルビル基である。)
【請求項3】
式中、nが3〜6であり;Yが炭素数1〜4のヒドロカルビル基であり;またRが炭素数9〜15のヒドロカルビル基である、請求項2に記載の濃縮物。
【請求項4】
前記濃縮物の全質量をベースとして、前記油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物約2質量%〜約20質量%を含む、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項5】
前記濃縮物の全質量をベースとして、前記油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物約10質量%〜約12質量%を含む、請求項4に記載の濃縮物。
【請求項6】
前記有機摩擦調整剤が、高級脂肪酸のグリセロールエステル;長鎖ポリカルボン酸とジオールのエステル;オキサゾリン化合物;アルコキシル化アルキル置換モノアミン、ジアミン及びアルキルエーテルアミン;及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項7】
前記有機摩擦調整剤が、グリセロールオレート;エトキシル化アミン;及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項6に記載の濃縮物。
【請求項8】
前記濃縮物の全質量をベースとして、前記有機摩擦調整剤少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも5質量%を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項9】
前記塩基性金属複合体が過塩基性金属清浄剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項10】
前記過塩基性金属清浄剤が、過塩基性カルシウムスルホネート、過塩基性マグネシウムスルホネート、過塩基性カルシウムフェナート、過塩基性マグネシウムフェナート、過塩基性カルシウムカルボキシレート、過塩基性マグネシウムカルボキシレート、過塩基性カルシウムハイブリッド清浄剤であってスルホネート、フェナート及びカルボキシレート界面活性剤の少なくとも二つを含有する界面活性剤系を含むもの、過塩基性マグネシウムハイブリット清浄剤であって、スルホネート、フェナート及びカルボキシレート界面活性剤の少なくとも二つを含有する界面活性剤系を含むもの、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項9に記載の濃縮物。
【請求項11】
前記過塩基性金属清浄剤が過塩基性カルシウム清浄剤である、請求項10に記載の濃縮物。
【請求項12】
前記過塩基性金属清浄剤が、過塩基性金属スルホネート清浄剤、又はスルホネート界面活性剤及び少なくとも一つの他の界面活性剤を含有する界面活性剤系を含む過塩基性金属ハイブリッド清浄剤である、請求項10又は11に記載の濃縮物。
【請求項13】
前記過塩基性金属清浄剤が、過塩基性カルシウムスルホネート清浄剤、又はスルホネート界面活性剤及び少なくとも一つの他の界面活性剤を含有する界面活性剤系を含む過塩基性カルシウムハイブリッド清浄剤である、請求項10に記載の濃縮物。
【請求項14】
前記有機摩擦調整剤及び前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が、有機摩擦調整剤の質量%対ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の質量%の比、約1:3〜約1:7を提供する量において存在する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項15】
前記塩基性金属複合体及び前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が、塩基性金属複合体の質量%対ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の質量%比、約1:7〜約23:1を提供する量において存在する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項16】
前記有機摩擦調整剤少なくとも約3質量%及びヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物少なくとも約9質量%〜少なくとも約21質量%を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項17】
前記塩基性金属複合体約3〜約45質量%をさらに含む、請求項16に記載の濃縮物。
【請求項18】
分散剤、抗酸化剤及び耐磨耗剤からなる群より選ばれる少なくとも一つの他の添加剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項19】
塩基性金属複合体、及び少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を有する有機摩擦調整剤の混合物を含む潤滑剤添加剤濃縮物の安定性を向上させる方法であって、その方法が前記濃縮物に油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を導入することを含む前記方法。
【請求項20】
添加剤濃縮物が、有機摩擦調整剤少なくとも1.7質量%、過塩基性金属清浄剤少なくとも5質量%及び潤滑粘性油わずか約90質量%を含有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
塩基性金属複合体、及び濃縮物の全質量をベースとして少なくとも1.7質量%の、少なくとも一つのヒドロキシル基又はアミノ基を有する有機摩擦調整剤を含む潤滑剤添加剤濃縮物を安定化するための、油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の使用。
【請求項22】
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が以下の一般式を有する、請求項21に記載の使用:
【化2】

(式中、nは、0〜10であり;Yは、二価架橋基であり;またRは、炭素数4〜30のヒドロカルビル基である。)

【公開番号】特開2006−144015(P2006−144015A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331516(P2005−331516)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】