説明

潤滑油組成物

【課題】エンジン内での磨耗を減じるための、潤滑油組成物における、特定の洗浄剤組成物の使用法を提供すること。
【解決手段】有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する、洗浄剤組成物の、エンジン内における磨耗を減少させるための潤滑油組成物における、少量での使用であって、該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル数を基準として、50モル%を越える量で芳香族カルボン酸の金属塩を含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量が、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン内での磨耗を減じるための、潤滑油組成物における、特定の洗浄剤組成物の使用に関するものである。本発明は、また内燃機関、好ましくは重量型ディーゼルエンジンにおいて使用する、潤滑油組成物およびその製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
より無害な排気ガス放出に関わる要求は、主として炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物等の汚染物質の放出と言った、環境上の諸問題のために、より一層苛酷なものとなっている。排気装置において触媒コンバータを使用して、汚染物質の放出量を減じている。このようなコンバータは、一般にプラチナまたはその変種および金属酸化物等の触媒金属の組み合わせを利用しており、またこのコンバータを排気ガス流中、例えば自動車の排気パイプに取り付けて、該有害なガスを無害なガスに転化している。燐含有成分、例えば亜鉛ジチオリン酸の分解生成物は、これらコンバータ内の触媒にとって有害であると考えられている。また、同様に硫黄含有成分は、該触媒、例えば窒素酸化物を減じるための触媒を不活性化するものと考えられている。
【0003】
従って、自動車工業界には、潤滑油組成物の燐および硫黄含有率を減じるように、圧力がかけられている。
この燐および硫黄含有率の低減は、例えば亜鉛ジチオリン酸の量を減じることによって、該潤滑油組成物中の燐および硫黄成分の量を減らすことにより、達成できる。しかし、これは、例えば該潤滑油組成物の耐磨耗特性および酸化防止特性を低下するという問題を提起する。
一般に、当分野では、燐-、硫黄-およびモリブデン-含有化合物が、耐磨耗性および/または酸化防止性添加剤であると説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、エンジン内での磨耗を減じるための、潤滑油組成物における、特定の洗浄剤組成物の使用法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、内燃機関、好ましくは重量型ディーゼルエンジンにおいて使用する、潤滑油組成物を提供することにある。
本発明の目的は、更に内燃機関、好ましくは重量型ディーゼルエンジンの潤滑方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、該潤滑油組成物において使用するための、添加組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚いたことに、特定の洗浄剤組成物が、低い燐含有率および場合によっては低い硫黄含有率を持つ潤滑油組成物、好ましくは低い燐含有率および低い硫黄含有率両者を持つ潤滑油組成物に対して、有利な耐磨耗性を与えることを見出した。
従って、第一の局面において、本発明は、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物の、エンジン内における磨耗を減少させるための潤滑油組成物における、少量の使用法を提供し、該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル数を基準として、50モル%を越える量で、芳香族カルボン酸の金属塩を含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量は、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする。
【0006】
また、他の特定の洗浄剤組成物が、低い燐含有率および場合によっては低い硫黄含有率を持つ潤滑油組成物、好ましくは低い燐含有率および低い硫黄含有率両者を持つ潤滑油組成物に対して、酸化防止性を与えることをも見出した。
従って、第二の局面によれば、本発明は、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物を、潤滑油組成物の耐酸化性を改善するために、あるいは該潤滑油組成物を調整するために、該潤滑油組成物において、少量で使用する方法を提供し、該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える、(I) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(II) フェノールの金属塩、または(III) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量は、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする。
【0007】
第三の局面では、本発明は、SAE 5WXまたはSAE 0WX潤滑油組成物を提供し、この組成物は、(A) 多量の該潤滑油組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および
(C) 夫々少量の、(C1) 分散剤および/または分散-粘度改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、
各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であり、Xが20、30、40および50の何れかを表すことを特徴とする。用語5WXまたは0WXにおいて、Xは20、30、40および50であり、これら用語は、SAE J300分類から導かれたものである。
【0008】
第四の局面において、本発明は、潤滑油組成物を提供し、この組成物は、(A) 多量の該潤滑油組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および(C) 夫々少量の、(C1)分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする。
【0009】
第五の局面によれば、本発明は、潤滑油組成物を提供し、該組成物は、(A) 多量の該潤滑油組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、(B) 少量の、1種を越える型の有機酸の金属塩を含む、少なくとも1種の洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および(C) 夫々少量の、(C1)分散剤および/または分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする。
【0010】
第六の局面によれば、本発明は潤滑油組成物を提供するものであり、この組成物は、(A) 多量の該潤滑油組成物に添加された、合成ベースストック(basestock)を含有する潤滑粘度を持つオイルと、(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および(C) 夫々少量の、(C1)分散剤および/または分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む補助添加剤とを含み、各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする。
【0011】
第七の局面において、本発明は、上記第三乃至第六の局面の何れかに従う、潤滑油組成物を調製するための、添加剤組成物を提供し、該組成物は、該添加剤組成物の質量を基準として、0.6質量%未満の燐を含み、および場合により多くとも2.5質量%の硫黄をも含み、該添加剤組成物は、(a) 希釈剤またはキャリヤ流体、(b) 上記第三局面乃至第六局面の何れか1つの局面に記載の洗浄剤組成物、(c) 1種またはそれ以上の燐-含有および/または硫黄-含有化合物、(d) 1種またはそれ以上の酸化防止添加剤、および(e) (b)、(c)および(d)とは異なる、1種またはそれ以上の補助添加剤、例えば分散添加剤を含むことを特徴とする。
【0012】
第八の局面では、本発明は、内燃機関、好ましくは重量型ディーゼルエンジンを潤滑する方法を提供し、該方法は、上記第三局面乃至第六局面の何れか1つの局面に記載した潤滑油組成物を、該エンジンに供給する工程を含むことを特徴とする。
第九の局面において、本発明は、上記第三局面乃至第六局面の何れか1つの局面に記載した潤滑油組成物を製造する方法を提供し、該方法は、対応する上記第三局面乃至第六局面に規定したような、成分(A)、(B)および(C)を混合し、あるいは上記第七局面の添加組成物と、対応する上記第三局面乃至第六局面に規定した如き、潤滑粘度を持つオイルとを混合する工程を含む。
更に、本発明は、エンジン内での磨耗を低減するために、上記第三局面乃至第六局面の何れか1つの局面に記載した潤滑油組成物を使用する方法をも提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これら本発明の諸特徴を、以下において更に詳細に説明する。
潤滑油組成物
各局面に関連して、好ましくは、該潤滑油組成物中の燐の量は、硫黄の存在量とは独立に、該組成物の質量を基準とする質量%単位で表して、0.08未満、0.07未満または0.06未満、より好ましくは多くとも0.05、多くとも0.04または多くとも0.03、例えば0.001〜0.03なる範囲、例えば多くとも0.02または多くとも0.01である。各局面の好ましい態様では、この燐含有率は、該潤滑油組成物においてゼロである。
【0014】
各局面に関連して、好ましくは、該潤滑油組成物中の硫黄の量は、燐の存在量とは独立に、該組成物の質量を基準とする質量%単位で表して、多くとも0.45、または多くとも0.4、あるいは多くとも0.35、あるいは多くとも0.3もしくは多くとも0.25、特に多くとも0.2または多くとも0.15、例えば0.001〜0.1または0.005〜0.05なる範囲にある。各局面の好ましい態様では、この硫黄含有率は、該潤滑油組成物においてゼロである。
本発明における各局面の1態様では、これら燐および硫黄の量は、亜鉛ジチオリン酸等の耐磨耗添加剤を由来とする。
本発明における各局面の好ましい態様では、その他の態様とは独立に、該潤滑油組成物中の塩素の量は、該組成物の質量を基準としたppm単位で表して、多くとも100、好ましくは多くとも50、例えば多くとも30、より好ましくは多くとも20、特に多くとも10、例えば0〜5なる範囲にある。ジオキシンの生成を抑えるためには、塩素の量を減らすのが有利である。
【0015】
相互に独立に、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量は、好ましくは上記成分(B)および(C)両者に由来し、より好ましくは、これらの量は上記成分(A)、(B)および(C)に由来する。
本発明による適当な局面の態様では、その他の局面とは独立に、該潤滑油組成物は、SAE 5WXまたはSAE 0WX潤滑油組成物の形状にあり、ここでXは、20、30、40および50の何れかを表す。好ましくは、Xは20または30を表す。
各局面の一態様において、他の態様とは独立に、窒素の量は該潤滑油組成物の質量を基準として、好ましくは少なくとも0.01または少なくとも0.02、より好ましくは少なくとも0.05、例えば少なくとも0.055、有利には少なくとも0.06、特に少なくとも0.065、例えば少なくとも0.1質量%である。この窒素の量は、該潤滑油組成物の質量を基準として、好ましくは多くとも0.3、例えば多くとも0.25、または多くとも0.2、あるいは多くとも0.15質量%である。
【0016】
本発明の各局面による一態様では、該窒素の量は、ポリイソブテニルサクシンイミド等の分散添加剤を由来とするものである。
本発明の適当な局面に関わるもう一つの態様では、その他の態様とは独立に、酸化防止添加剤の量は、該潤滑油組成物の質量を基準として、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.5、特に少なくとも1.0、最も好ましくは多くとも5.0質量%である。
本発明の各局面に関わる好ましい態様において、該潤滑油組成物は、燐-含有化合物、硫黄-含有化合物およびモリブデン-含有化合物から選択される、1種またはそれ以上の補助添加剤(C)を含まない。例えば、この潤滑油組成物は、燐-含有および/またはモリブデン-含有化合物、例えば亜鉛ジチオジリン酸塩および/またはモリブデンジチオカルバメートを含まない。
【0017】
本発明の潤滑油組成物は、好ましくは、内燃機関、好ましくは乗用車エンジンまたは重量型ディーゼルエンジンを潤滑するのに適した、クランクケース潤滑油組成物である。乗用車エンジンの例は、軽量ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンである。
重量型トラックの市場は、ディーゼルエンジンを採用するようになってきており、これは該ディーゼルエンジンの優れた寿命およびその動作の経済性両者による、好ましい動力源に基づくものである。特殊化された潤滑剤が、重量型ディーゼルエンジンのより厳密な性能要求を満たすために、開発されている。
満足な重量型性能を立証するために、幾つかのエンジンテストが必要とされ、該テストは、スス-関連バルブ列(valve train)磨耗、フィルタの詰まりおよびスラッジを評価するための、カミンス(Cummins) M11テストを含む。
【0018】
アメリカンペトロリウムインスチチュート(American Petroleum Institute: API)、アッソシアションデコンストラクチュールユーロペアンドトモビル(Association des Constructeur Europeen d'Automobile: ACEA)およびジャパニーズスタンダードオーガニゼーション(Japanese Standards Organization: JASO)は、潤滑油組成物に要求される、性能レベルを指定している。また、グローバル(Global)として知られる、性能規格書が存在し、これはACEA、APIおよびJASO規格の、テストおよび性能レベルを含む。
従って、本発明の重質潤滑油組成物は、好ましくは少なくとも重量型ディーゼルエンジン用潤滑剤の要求性能、例えば少なくともAPI CG-4、好ましくは少なくともAPI CH-4、特に少なくともAPI CI-4を満足する。もう一つの態様において、本発明の潤滑油組成物は、該APIの性能要件を満たすこととは無関係に、好ましくは少なくともACEA E2-96、より好ましくは少なくともACEA E3-96、特に少なくともACEA E4-99、有利には少なくともACEA E5-99を満足する。更なる態様において、本発明の潤滑油組成物は、該APIおよびACEAの性能要件を満たすこととは無関係に、好ましくはJASO DH-1またはグローバル(Global) DHD-1を満足する。
【0019】
乗用車エンジン、例えばガソリンまたはディーゼルエンジン用の潤滑油組成物に関連して、該潤滑油組成物は、好ましくは少なくとも性能要件API SH、より好ましくは少なくともAPI SJ、特に少なくともAPI SLを満足する。もう一つの態様において、本発明の潤滑油組成物は、ガソリンエンジンについては、少なくともACEA A2-96(2号)、より好ましくは少なくともACEA A3-98、特に少なくともACEA A1-98を満足し、また軽量ディーゼルエンジンについては、少なくともACEA B2-98、より好ましくは少なくともACEA B1-98、例えば少なくともACEA B3-98、特に少なくともACEA B4-98を満足する。
上記のように、本発明の第一局面による指定された洗浄剤組成物は、低い燐含有率および場合により低い硫黄含有率を持つ潤滑油組成物において、耐磨耗特性を発揮することが分かった。このような潤滑油組成物中の、燐または硫黄の量は、上記の燐および硫黄の量に対応する。この耐磨耗性は、バルブ列、ジャーナル継手、およびピストンリングまたはライナー、特に該バルブ列において期待される。
【0020】
従って、更なる局面において、本発明は、上記第三の局面に従う潤滑油組成物を提供するが、ここでは該洗浄剤組成物は、該組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を超える(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩を含み、また(C1)成分は分散添加剤である。
本発明の各局面に関わる好ましい態様において、該潤滑油組成物は、ASTM D874によれば、2未満、好ましくは1.5未満、特に1未満、有利には0.9、0.8、0.7または0.6未満、例えば0、0.1、0.2、0.3または0.4〜0.5モル%の硫酸化灰分を与える。
【0021】
重量型ディーゼルエンジン(Heavy Duty Diesel Engines)
本発明による重量型ディーゼルエンジンは、好ましくは陸上用自動車、より好ましくは大型陸上自動車、例えば大型トラックにおいて使用される。該陸上自動車は、典型的に12トンを越える車重を有する。このような自動車で使用するエンジンは、少なくとも6.5、好ましくは少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、例えば少なくとも15リッターの全排気量を持つ傾向にあり、全排気量12〜20Lなる範囲のエンジンが好ましい。一般に、24Lを越える全排気量を持つエンジンは、陸上用自動車とは考えられない。本発明によるエンジンは、また少なくとも1.0または少なくとも1.5、例えば少なくとも1.75、好ましくは少なくとも2L/シリンダなるシリンダ当たりの排気量をもつ。一般に、陸上走行自動車における重量型ディーゼルエンジンは、多くとも3.5、例えば多くとも3.0、好ましくは多くとも2.5L/シリンダなるシリンダ当たりの排気量をもつ。
【0022】
本明細書で使用する用語「全排気量」および「シリンダ当たりの排気量」とは、内燃機関に関する当業者には公知である(「ディーゼルエンジンリファレンスブック(Diesel Engine Reference Book)」, B. チャレン(Challen) & R. バラネスク(Baranescu), 第2版, 1999, SAEインターナショナル刊を参照のこと)。簡単に言えば、該用語「排気量」とは、ピストンの運動によって決定される、エンジン内のシリンダの容積に対応し、また結果として該「全排気量」とは、シリンダの数に依存する、その全容積である。また、該用語「シリンダ当たりの排気量」とは、該エンジンにおける該全排気量対シリンダ数の比である。
かくして、一局面において、本発明は、エンジンが少なくとも6.5Lなる全排気量および少なくとも1.0L/シリンダなるシリンダ当たりの排気量を持つ重量型ディーゼルエンジン、好ましくは陸上走行型自動車と、上記第三乃至第六局面の何れか一つに規定したような潤滑油組成物との組み合わせを提供する。
【0023】
潤滑粘度(Lubricating Viscosity)を持つオイル(A)
この潤滑油は、グループI、II、III、IVまたはVベースストックおよびこれらの混合物からなる群から選択される、潤滑粘度を持つ合成オイルまたは無機オイルであり得る。
ベースストックは、蒸留、溶媒精製、水添処理、オリゴマー化、エステル化および再精製を含む種々の異なる方法(これらに制限されない)を利用して製造できる。
アメリカンペトロリウムインスティチュート(API) 1509 「エンジンオイルライセンシング&サーティフィケーションシステム(Engine Oil Licensing and Certification System)」, 第14版, 1996年12月は、あらゆるベースストックは5種の一般的カテゴリーに分割されることを述べている。
グループIベースストックは、90%未満の飽和物質および/または0.03%を越える硫黄分を含み、かつ80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
【0024】
グループIIベースストックは、90%以上の飽和物質および0.03%以下の硫黄分を含み、かつ80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
グループIIIベースストックは、90%以上の飽和物質および0.03%以下の硫黄分を含み、かつ120以上の粘度指数を有する。
グループIVベースストックは、ポリ(α-オレフィン) (PAO)であり、また
グループVベースストックは、上記グループI、II、IIIまたはIVに含まれない、他の全てのベースストックを含む。
グループIVベースストック、即ちポリ(α-オレフィン) (PAO)は、α-オレフィンの水添オリゴマーを含み、最も重要なオリゴマー化方法は、フリーラジカル法、チーグラー触媒反応、カチオン反応、およびフリーデル-クラフツ触媒反応である。
【0025】
エステル形状にあるグループVベースストックが好ましく、また市販品として入手可能な傾向にある。その例は、ポリオールエステル、例えばペンタエリスリトールエステル、トリメチロールプロパンエステルおよびネオペンチルグリコールエステル;ジエステル;C36ダイマー酸エステル;トリメリテートエステル、即ち1,2,4-ベンゼントリカルボキシレート;およびフタレートエステル、即ち1,2-ベンゼンジカルボキシレートを含む。これらエステルを製造するための該酸は、好ましくは式:RCO2Hで表されるモノカルボン酸であり、ここでRは、分岐、直鎖または混合アルキル基である。このような酸は、例えば6〜18個の炭素原子を含むことができる。
好ましくは、この潤滑油は、上記グループI〜Vベースストックの何れかから選択されるが、該選択されたベースストックは、多くとも0.5、例えば多くとも0.1または多くとも0.05質量%の硫黄を含む。
【0026】
特に好ましいものは、グループII、III、IVまたはVベースストックまたは任意の2種以上を含むその混合物、またはグループIVベースストックと5〜95、好ましくは10〜90、例えば20〜85質量%のグループI、II、IIIまたはVベースストックとを含む混合物であるが、その硫黄含有率は、多くとも0.5、例えば多くとも0.1または多くとも0.05質量%である。
エステル形状にあるグループIVベースストックおよびグループVベースストックは、合成ベースストックであると考えられる。
従って、本発明の適当な局面に関わる好ましい態様では、その他の態様とは無関係に、該潤滑粘度を持つオイルは、合成ベースストックを含む。
【0027】
従って、該潤滑粘度を持つオイルは、エステル形状にあるグループIVベースストックおよびグループVベースストックから選択される、少なくとも1種のベースストックを含む。好ましくは、該潤滑粘度を持つオイルは、本質的に以下に列挙するものからなる:
(a) グループIVベースストックおよびグループIIIベースストックおよび/またはグループIIベースストック;または
(b) エステル形状にあるグループVベースストックおよびグループIIIベースストックおよび/またはグループIIベースストック;または
(c) エステル形状にあるグループIVベースストックおよびグループVベースストックおよび場合によりグループIIIベースストックおよび/またはグループIIベースストック。
上記グループを規定するのに使用するテスト法は、飽和物質については、ASTM D2007、粘度指数についてはASTM D2270および硫黄についてはASTM D2622、4294、4927および3120の何れかである。
【0028】
洗浄剤組成物(B)
洗浄剤は、エンジン内における、高温ワニスおよびラッカー堆積物等のピストン堆積物の形成を減じる添加剤であり、これは酸-中和特性を有し、また微粉砕された固体物質を懸濁状態に維持することを可能とする。これは、金属「石鹸」、即ちここでは界面活性剤としても知られる、有機酸の金属塩を主成分とするものである。
洗浄剤は、極性の頭部、即ち有機酸の金属塩と、油溶性に関わる長い疎水性の尾部を含む。従って、該有機酸は、典型的には1またはそれ以上の官能基、例えばOH、COOHまたはSO3Hと、ヒドロカルビル置換基を持つ。
有機酸の例は、スルホン酸、フェノールおよびその硫酸化誘導体、および芳香族カルボン酸を包含するカルボン酸を含む。本発明の一局面によれば、金属洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を超える芳香族カルボン酸の金属塩を含む該金属洗浄剤組成物は、低い燐含有率および場合により低い硫黄含有率を有する潤滑油組成物、好ましくは低い燐含有率および低い硫黄含有率を有する潤滑油組成物に、磨耗に関わる利点、例えばエンジン内の磨耗を最小化する能力を与えることを見出した。
【0029】
好ましくは、該芳香族カルボン酸の金属塩の割合は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、少なくとも60または少なくとも70、より好ましくは少なくとも80または少なくとも90モル%である。
最も好ましい態様において、この洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、100モル%の芳香族カルボン酸の金属塩を含み、即ちこの洗浄剤組成物は、該有機酸として芳香族カルボン酸のみを含む。
本発明のもう一つの局面によれば、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を超える、(I) 芳香族カルボン酸の金属塩、(II) フェノールの金属塩または(III) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者を含む該金属洗浄剤組成物は、低い燐含有率および場合により低い硫黄含有率を有する潤滑油組成物、好ましくは低い燐含有率および低い硫黄含有率を有する潤滑油組成物に、耐酸化性を与えることをも見出した。
【0030】
上記(I)、(II)および(III)から選択される該金属塩の割合は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、好ましくは少なくとも60または少なくとも70、より好ましくは少なくとも80または少なくとも90モル%である。
最も好ましい態様においては、該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者を含む金属塩100モル%を含み、即ち該洗浄剤組成物は、該有機酸として、芳香族カルボン酸およびフェノールのみを含む。
潤滑油組成物のより良好な耐酸化性を得るためには、芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者が、該洗浄剤組成物中に存在する場合には、モル量を基準として、芳香族カルボン酸金属塩よりも大量の、フェノール金属塩が存在することが好ましい。有利には、フェノールの金属塩のみを含む洗浄剤組成物が、芳香族カルボン酸の金属塩および/または他の有機酸、例えばスルホン酸の金属塩を含む洗浄剤組成物と比較して、潤滑油組成物により良好な耐酸化性を与えることを見出した。
【0031】
潤滑油組成物のより良好な耐磨耗性を得るためには、洗浄剤組成物は、該組成物における該有機酸のモル量を基準として、芳香族カルボン酸の金属塩を、50モル%を越える量で含むことが好ましい。
該芳香族カルボン酸の芳香族部分は、窒素および酸素等のヘテロ原始を含むことができる。好ましくは、この芳香族部分は、炭素原子のみを含み、より好ましくはこの部分は6個以上の炭素原子を含み、例えばベンゼンが好ましい芳香族部分である。
該芳香族カルボン酸は、1以上の芳香族部分、例えば融合またはアルキレンブリッジを介して結合した、1以上のベンゼンリングを含むことができる。
該カルボン酸部分は、該芳香族部分に、直接または間接的に結合できる。好ましくは、このカルボン酸基は、該芳香族部分の炭素原子、例えば該ベンゼンリング上の炭素原子と、直接結合する。
【0032】
より好ましくは、該芳香族部分は、また第二の官能基、例えばヒドロキシル基またはスルホネート基を含み、該官能基は該芳香族部分の炭素原子に直接または間接的に結合できる。
芳香族カルボン酸の好ましい例は、サリチル酸および硫酸化されたその誘導体、例えばヒドロカルビル置換サリチル酸およびその誘導体である。
例えば、ヒドロカルビル置換サリチル酸を硫酸化する方法は、当業者には公知である。
サリチル酸は、典型的にカルボキシル化、例えばフェノキシドのコルベ-シュミット法によって調製され、この場合、一般には、通常希釈剤中に、カルボキシル化されていないフェノールとの混合物として得られる。
【0033】
油溶性サリチル酸中の好ましい置換基は、アルキル置換基である。アルキル-置換サリチル酸において、該アルキル基は、有利には5〜100、好ましくは9〜30、特に14〜20個の炭素原子を含む。1を越えるアルキル基が存在する場合、これら全てのアルキル基における平均の炭素原子数は、十分な油溶性を保証するために、少なくとも9であることが好ましい。
フェノールは、硫酸化されていなくてもよいが、好ましくは硫酸化されたものである。更に、ここで使用する用語「フェノール」とは、1を越えるヒドロキシル基を含むフェノール(例えば、アルキルカテコール)または縮合芳香族環(例えば、アルキルナフトール)および化学的に変性されたフェノール、例えばアルキレンでブリッジされたフェノールおよびマンニッヒ塩基-縮合フェノール;およびサリゲニン-型のフェノール(塩基性条件下で、フェノールとアルデヒドとを反応させることにより製造される)を包含する。
好ましいフェノールは、以下の式で表されるものである:
【0034】

【0035】
ここで、Rはヒドロカルビル基であり、またyは1〜4を表す。yが1より大きい場合、該ヒドロカルビル基は同一または異なっていても良い。
これらフェノールは、しばしば硫酸化された状態で使用される。硫酸化法の詳細は、当業者には公知であり、これについては、例えばUS-A-4,228,022およびUS-A-4,309,293を参照のこと。
上記式において、Rで表されるヒドロカルビル基は、有利にはアルキル基であり、これは有利には5〜100、好ましくは5〜40、特に9〜12個の炭素原子を含み、これら全てのR基内の、平均炭素原子数は、オイルに対する十分な溶解度を保証するために、少なくとも約9である。好ましいアルキル基は、ノニル(例えば、トリプロピレン)基またはドデシル(例えば、テトラプロピレン)基である。
【0036】
上に示したように、ここで使用する用語「フェノール」とは、例えばアルデヒドとの化学反応により変性されたフェノール、およびマンニッヒ塩基-縮合フェノールを含む。
フェノールを変性できるアルデヒドは、例えばホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびブチルアルデヒドを含む。好ましいアルデヒドは、ホルムアルデヒドである。本発明において使用するのに適した、アルデヒド-変性フェノールは、例えばUS-A-5,259,967に記載されている。
マンニッヒ塩基-縮合フェノールは、フェノール、アルデヒドおよびアミンの反応によって製造される。適当なマンニッヒ塩基-縮合フェノールは、GB-A-2,121,432に記載されている。
一般に、これらフェノールは、上記したもの以外の置換基を含むことができる。このような置換基の例は、メトキシ基およびハロゲン原子である。
好ましいフェノールは、その硫酸化誘導体である。
【0037】
該洗浄剤組成物は、少量で、芳香族カルボン酸およびフェノール以外の有機酸、例えばスルホン酸およびカルボン酸の金属塩を含むことができる。
スルホン酸は、典型的にヒドロカルビル-置換、特にアルキル-置換芳香族炭化水素、例えば蒸留および/または抽出による、石油の分画、または芳香族炭化水素のアルキル化により得られるものを、スルホン化することによって得られる。これらアルキルアリールスルホン酸は、通常約22〜約100またはそれ以上の炭素原子を含む。これらスルホン酸は、その芳香族部分上で、1を越えるアルキル基によって置換されていても良く、例えばこれらはジアルキルアリールスルホン酸であり得る。好ましくは、このスルホン酸は、350以上、より好ましくは400以上、特に500以上、例えば600以上の数平均分子量を持つ。数平均分子量は、ASTM D3712によって測定できる。
本発明において使用できる、他の型のスルホン酸は、アルキルフェノールスルホン酸を含む。このようなスルホン酸は硫酸化することができる。
【0038】
カルボン酸はモノ-およびジ-カルボン酸を含む。好ましいモノカルボン酸は、8〜30、特に8〜24個の炭素原子を含むものである。(本明細書において、該炭素原子数は、カルボン酸内の炭素原子数を表し、そのカルボキシル基内の炭素原子数も、その数に含められる)。モノカルボン酸の例は、イソオクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸およびベヘン酸である。イソオクタン酸は、必要ならば、「セカノイック(Cekanoic)」なる商品名でエクソンケミカル(Exxon Chemical)社によって販売されている、C8酸異性体混合物として使用できる。その他の適当な酸は、α-炭素において3級置換されたもの、およびカルボキシル基を分離している2以上の炭素原子を含むジカルボン酸である。更に、炭素原子数35を越える、例えば炭素原子数36〜100のジカルボン酸も適している。不飽和カルボン酸は、硫酸化することができる。
この金属洗浄剤は、中性または過塩基性であり得、これらの用語は当分野において公知である。
これら洗浄剤は、15または60〜600、好ましくは100〜450、より好ましくは160〜400なる範囲の、全塩基数(Total Base Number: TBN)を持つことができる。TBNは、ASTM D-2896に従って測定する。
【0039】
本発明の洗浄剤は、1種の有機酸の塩または1種を超える有機酸の塩、例えばハイブリッド複合洗浄剤であり得る。
一態様において、この洗浄剤は、1種の有機酸の金属塩を含む。
ハイブリッド複合洗浄剤は、該洗浄剤内の該塩基物質が、1種を越える有機酸の金属塩により安定化された洗浄剤である。単一の型の有機酸が、同一型の有機酸混合物を含む可能性があることは、当業者には理解されるであろう。例えば、スルホン酸は、種々の分子量を持つスルホン酸の混合物を含むことができる。このような有機酸組成物が、一つの型と考えられる。従って、複合洗浄剤は、2種以上の別々の、場合により過塩基性の洗浄剤を含む混合物とは区別される。このような混合物の1例は、過塩基性カルシウムフェネート洗浄剤を含む、過塩基性カルシウムサリチレート洗浄剤の1種である。
【0040】
当分野では、過塩基性複合洗浄剤の例を記載している。例えば、ハイブリッド複合洗浄剤の説明および定義に関連して、本明細書に参考文献として組み入れられる、国際特許出願公開第9746643/4/5/6および7は、1種を越える酸性有機化合物を、塩基性金属化合物で中和し、次いでこの混合物を過塩基性にすることにより製造された、ハイブリッド複合体を記載している。該洗浄剤の個々の塩基性ミセルは、従って複数の型の有機酸によって安定化される。ハイブリッド複合洗浄剤の例は、カルシウムフェネート-サリチレート-スルホネート洗浄剤、カルシウムフェネート-スルホネート洗浄剤およびカルシウムフェネート-サリチレート洗浄剤を含む。
EP-A-0 750 659は、カルシウムフェネートをカルボキシル化し、次いでカルシウムサリチレートとカルシウムフェネートとの混合物を、硫酸化し、かつ過塩基化することによって製造した、カルシウムサリチレートフェネート複合体を記載している。このような複合体は、「フェナレート(phenalates)」と呼ぶことができる。
好ましい複合洗浄剤は、サリチレートを主成分とする洗浄剤、例えばカルシウムフェネート-サリチレート洗浄剤および「フェナレート」である。
【0041】
本発明の適当な局面に関わる更なる態様では、その他の態様とは独立に、好ましい洗浄剤は、1種を越える型の有機酸の金属塩(即ち、ハイブリッド複合洗浄剤)を含む。従って、この洗浄剤は、例えばサリチル酸の金属塩、好ましくはカルシウム塩および/またはフェノールの金属塩、好ましくはカルシウム塩および他の有機酸、例えばスルホン酸の金属塩を含むことができる。
1種を越える型の有機酸が単一の洗浄剤(即ち、ハイブリッド複合洗浄剤)中に存在する例において、1種の型の、任意の有機酸対、もう一つの有機酸の比率は重要ではないが、この洗浄剤組成物は、本発明の上記適当な局面において説明した、規定された比率の、該適当な金属塩を含むことを条件とする。
不明確さを回避するために、この洗浄剤組成物は、また無灰洗浄剤、即ち金属を含まない洗浄剤を含むことができる。
【0042】
好ましくは、該洗浄剤組成物は、この洗浄剤が1種の有機酸の金属塩を含むか、あるいは1種を越える有機酸の金属塩を含むかとは無関係に、少なくとも1種の過塩基性金属洗浄剤を含む。
好ましい過塩基性金属洗浄剤は、芳香族カルボン酸の金属塩、好ましくはサリチル酸の金属塩、あるいはフェノールの金属塩、好ましくは硫酸化アルキルフェノールの金属塩、あるいは芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者を含む。
グループ1およびグループ2金属は、該洗浄剤中の金属として好ましく、より好ましくは、該金属はカルシウムおよびマグネシウム、特にカルシウムである。
【0043】
少なくとも1種のカルシウムサリチレートを主成分とする洗浄剤、好ましくは少なくとも1種の過塩基性カルシウムサリチレートを主成分とする洗浄剤を含む、好ましくはこれから本質的になる洗浄剤組成物は、耐磨耗性を得る上で特に有効であることが分かったが、該芳香族カルボン酸の金属塩、即ち本例におけるサリチル酸の金属塩の上記比率が、満足される必要がある。従って、中性であれ、過塩基性であれ、カルシウムサリチレートを主成分とする洗浄剤を含む洗浄剤組成物が、有利である。好ましくは、該カルシウムサリチレートを主成分とする洗浄剤は、サリチル酸以外の有機酸、例えばスルホン酸および/またはフェノールの、1種以上の金属、好ましくはカルシウムの塩を含むことができる。
【0044】
少なくとも1種のカルシウムフェネートを主成分とする洗浄剤、好ましくは少なくとも1種の過塩基性カルシウムフェネートを主成分とする洗浄剤を含む、好ましくはこれから本質的になる洗浄剤組成物は、耐酸化性を与えるために、特に有効であることが分かったが、フェノール金属塩の上記比率が、満たされることを条件とする。従って、中性であれ、過塩基性であれ、カルシウムフェネートを主成分とする洗浄剤のみを含む洗浄剤組成物が、有利である。好ましくは、該カルシウムフェネートを主成分とする洗浄剤は、フェノール以外の有機酸、例えばサリチル酸および/またはスルホン酸の、1種以上の金属、好ましくはカルシウムの塩を含むことができる。
好ましくは、各局面に関わる該洗浄剤組成物は、界面活性剤の含有率を基準として、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、例えば少なくとも20または少なくとも30、より好ましくは少なくとも50、最も好ましくは多くとも75 mM/kg潤滑油組成物なる量で、該潤滑油組成物中に存在する。一態様においては、界面活性剤の含有率を基準として、該洗浄剤組成物の量は、該潤滑油組成物において、10〜15 mM/kgである。
【0045】
全金属含有率を測定するための適当な方法は、当分野において公知であり、X-線蛍光法および原子吸光分光法を含む。
該有機酸と結合した金属の量を決定するための適当な方法は、種々の塩基性成分の(例えば、金属炭酸塩および金属有機酸塩)の相対的割合を決定するための、電位差酸滴定法、有機酸の当量モル濃度を測定するための、既知量の金属塩の加水分解およびこれに続く電位差塩基滴定法、およびCO2の含有量を測定することによる、炭酸イオン等の非-有機酸アニオンの測定等を包含する。
金属スルホン酸塩の場合、ASTM D3712を利用して、該スルホネート基と結合した金属を決定することができる。
【0046】
組成物が、洗浄剤と1種以上の補助添加剤を含む例においては、該洗浄剤は、例えば透析技術を利用して、該補助添加剤から分離でき、従って該洗浄剤をその金属比を決定するために、上記のようにして分析することができる。適当な透析技術に関する背景情報は、アモス(Amos) R.およびアルボー(Albaugh) E.W.の、「石油分析におけるクロマトグラフィー(Chromatography in Petroleum Analysis)」, アルトゲルト(Altgelt) K.H.およびグー(Gouw) T.H.編, pp. 417-421,マルセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.), NYおよびバーゼル, 1979に与えられている。
界面活性剤の量および芳香族カルボン酸の量を測定する方法は、当業者には公知である。EP-A-0 876 449は、有機酸のカルシウム塩のモル数を決定する方法を記載しており、これを本発明の参考文献とする。
【0047】
当業者は、また該洗浄剤を製造するのに使用した原料物質(例えば、有機酸)の量に関わる情報および最終的な潤滑油組成物において使用した該洗浄剤の量に関する情報から、該最終の潤滑油組成物における、これらの量を算出することもできる。分析法(例えば、電位差滴定法およびクロマトグラフィー法)は、また界面活性剤および芳香族カルボン酸の金属塩の量を決定するために使用することも可能である。
当業者には、芳香族カルボン酸の金属塩の量を含む、有機酸の金属塩(界面活性剤としても知られる)の量を決定するための方法は、最良でも近似的なものであり、また異なる方法が常に正確に同一の結果を与える訳ではないが、これらは本発明の実施を可能とするのに十分に正確であることが理解されよう。
【0048】
補助添加剤(C)
分散添加剤(C1)は、使用中に酸化により生成するオイル-不溶性物質を、該流体中に懸濁物質として維持し、かくしてスラッジの凝集および沈殿または金属部分への堆積を防止する。所謂無灰分散剤は、金属-含有(および結果として灰分-形成性)洗浄剤とは対照的に、燃焼に際して灰分を実質的に生成しない、有機物質である。ホウ酸塩化された金属を含まない分散剤も、ここでは無灰分散剤と見なされる。適当な分散剤は、例えば長鎖ヒドロカルビル-置換カルボン酸の誘導体を含み、ここで該ヒドロカルビル基は、15000未満、例えば5000未満の数平均分子量を持つ傾向にあり、このような誘導体の例は、高分子量ヒドロカルビル-置換琥珀酸の誘導体である。このようなヒドロカルビル-置換カルボン酸は、例えば窒素含有化合物、有利にはポリアルキレンポリアミンと、あるいはエステルと反応させることができる。特に好ましい分散剤は、ポリアルキレンアミンとアルケニル琥珀酸無水物との反応生成物である。最後に述べた型の分散剤を記載している明細書の例は、US-A-3,202,678、US-A-3,154,560、US-A-3,172,892、US-A-3,024,195、US-A-3,024,237、US-A-3,219,666、US-A-3,216,936およびBE-A-662,875である。
【0049】
ポリブテンとマレイン酸無水物とから、塩素も塩素原子-含有化合物をも使用しない、熱反応法により製造される、ポリイソブテニル琥珀酸無水物から得ることのできる、無灰サクシンイミドまたはその誘導体が、好ましい分散剤である。
好ましくは、本発明の潤滑油組成物は分散添加剤を含む。
あるいはまた、更に、粘度指数改良特性および分散性を付与することのできる、ポリマー化合物によって分散性を与えることができ、このような化合物は分散-粘度指数改良添加剤または多官能性粘度指数改良剤(C1)として知られている。このようなポリマーは、性能特性、例えば分散性および/または酸化防止性を、粘度指数改良性と共に付与する点において、従来の粘度指数改良剤とは異なる。
【0050】
分散性オレフィンコポリマーおよび分散性ポリメタクリレートが、分散-粘度指数改良添加剤の例である。分散-粘度指数改良添加剤は、種々の官能性部分、例えばアミン、アルコールおよびアミドを、ポリマー上に化学的に結合することにより製造でき、該ポリマーは、好ましくはゲル浸透クロマトグラフィーまたは光散乱法により測定した数平均分子量、少なくとも15000、例えば20000〜600000なる範囲の数平均分子量を持つことが好ましい。使用する該ポリマーは、粘度改良剤に関連して以下に記載するようなものであり得る。従って、アミン分子を配合して、分散性および/または酸化防止性を付与することができ、一方フェノール系分子を配合して、酸化防止特性を改善することができる。従って、特別な例の一つは、活性モノマー、例えば無水マレイン酸で後-グラフト化し、次いで例えばアルコールまたはアミンで誘導体化した、エチレン-プロピレンコポリマーである。
EP-A-24146およびEP-A-0 854 904は、分散剤および分散-粘度指数改良剤の例を記載している。これらを本発明の参考文献とする。
【0051】
本発明の適当な局面に関わる好ましい態様において、その他の態様とは独立に、本発明の潤滑油組成物は、分散-粘度指数改良剤を、分散添加剤の代わりに、またはこれと共に含む。酸化防止添加剤(C2)は、無機オイルの使用中における劣化傾向を減じる。この傾向の証拠は、例えば金属表面上におけるワニス-様の堆積物の形成およびスラッジの形成および粘度の増加である。適当な酸化防止添加剤は、硫酸化アルキルフェノールおよびそのアルカリまたはアルカリ土類金属塩、アルキレンブリッジフェノールを含む、ヒンダードフェノール、ジフェニルアミン、フェニル-ナフチルアミン、および燐-硫酸化または硫酸化炭化水素を包含する。好ましい酸化防止剤は、アルキレンブリッジフェノールである。
【0052】
潤滑油組成物において使用できる他の酸化防止剤は、油溶性銅-含有化合物を含む。この銅は、任意の適当な油溶性銅化合物として、該オイル中にブレンドできる。「油溶性」なる用語は、該オイルまたは添加剤パッケージへの通常のブレンド条件下で、化合物が油溶性であることを意味する。この銅は、例えばジヒドロカルビルチオ-またはジチオ-リン酸銅の形状にあり得る。あるいはまた、この銅は、合成または天然カルボン酸、例えばC8〜C18脂肪酸、不飽和酸または分岐鎖カルボン酸の、銅塩として添加できる。同様に有用なものは、油溶性銅ジチオカルバメート、スルホネート、フェネート、およびアセチルアセトネートである。特に有用な銅化合物の例は、アルケニル琥珀酸または無水物から誘導される、塩基性、中性または酸性銅CuIおよび/またはCuII塩である。
銅-含有酸化防止剤は、一般的に該最終的な潤滑油組成物において、銅の質量で、約5〜500 ppmなる範囲の量で使用されるであろう。
【0053】
耐磨耗添加剤(C3)は、その名の示すように、金属部品の磨耗を減じる。亜鉛ジヒドロカルビルジチオリン酸(ZDDPs)は、耐磨耗添加剤として極めて広範囲で利用されている。オイルを主成分とする組成物において使用するZDDPsの例は、式:Zn[SP(S)(OR1)(OR2)]2 (ここで、R1およびR2は1〜18および好ましくは2〜12個の炭素原子を含む)で示されるものである。
特に好ましいものは、1級アルキル基よりも多くの2級アルキル基を持つZDDP、例えば全アルキル基の質量を基準として、少なくとも50、好ましくは少なくとも75、有利には85-100、例えば100質量%の2級アルキル基をもつZDDPである。
【0054】
硫黄-含有およびモリブデン-含有化合物も、耐磨耗添加剤の例である。同様に適当なものは、無灰燐-含有および硫黄-含有化合物である。
好ましい型のモリブデン化合物は、有利には硫黄-含有コアを持つ、3核モリブデン化合物である。この化合物は、該組成物の質量を基準とする、Mo原子として表して、少なくとも1、例えば1〜2000、例えば5〜1000、好ましくは20〜1000、例えば30〜500、特に75〜200、有利には50〜150ppm(質量基準)のMoを与えることができる。
1態様において、該3核モリブデン化合物は、一つのコア、好ましくは硫黄-含有コアを有し、かつこれに結合した1以上の、該化合物を油溶性またはオイル-分散性にすることのできる、モノアニオン性リガンドを含み、ここで該コア内のモリブデン原子数対該リガンド数の比は、1:1を越え、例えば3:2またはそれ以上である。
【0055】
もう一つの態様において、該3核モリブデン化合物は、式:Mo3SkLnQzおよびその混合物で表され、ここでLは十分な炭素原子数を持つ有機基を有するリガンドから、独立に選択されて、該化合物を油溶性とし、nは1〜4であり、kは4〜7なる範囲で変動し、Qは天然電子供与化合物、例えば水、アミン、アルコール、ホスフィン、およびエーテルから選択され、またzは0〜5の範囲内にあり、かつ非-化学量論的な値をも含む。全ての該リガンドの有機基内に、少なくとも21個、例えば少なくとも25個、少なくとも30個、または少なくとも35個の全炭素原子が存在すべきである。
【0056】
重大なことに、該リガンドの該有機基が、十分な数の炭素原子を含んでいて、該化合物を油溶性にする。例えば、各基内の炭素原子数は、一般に1〜100、好ましくは1〜30、およびより好ましくは4〜20なる範囲内にある。好ましいリガンドは、ジアルキルジチオリン酸、アルキルキサンテート、カルボキシレート、ジアルキルジチオカルバメート(dtc)およびこれらの混合物を含む。当業者は、本発明の化合物の製造が、該コアの電荷を釣り合わせるために、適当な電荷をもつリガンドの選択を必要とすることを認識するであろう。
【0057】
本発明の一局面において、第四の局面に従う潤滑油組成物は、更に少量にて3核モリブデン化合物(C4)を含むが、(C1)は分散添加剤および/または分散-粘度指数改良添加剤である。
更に、本発明の適当な局面に関わる好ましい一態様では、その他の態様とは無関係に、該潤滑油組成物は、更に少量にて3核モリブデン化合物(C4)を含む。
WO 98/26030およびUS-A-6,232,276は、3核モリブデン化合物を開示しており、従って3核モリブデン化合物の構造および組成に関するその開示を、本発明の参考とする。
【0058】
粘度指数改良剤(または粘度改変剤)は、潤滑油に高温および低温作業性を付与し、かつ潤滑油が、高温における剪断安定性を維持し、しかも低温における許容される粘度または流動性を示すことを可能とする。従って、粘度指数改良剤は、マルチグレード潤滑油組成物において有用である。粘度改変剤として使用するのに適した化合物は、一般にポリエステルを含む高分子量炭化水素ポリマー、例えばポリメタクリレート、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)ポリマーおよび密接に関連した変性体(所謂オレフィンコポリマー)、水添ポリ(スチレン-コ-ブタジエンまたは-イソプレン)ポリマーおよび変性体、およびエステル化ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)ポリマーである。油溶性粘度改良ポリマーは、一般にゲル浸透クロマトグラフィーまたは光散乱法により測定した、数平均分子量少なくとも15000〜1000000、好ましくは20000〜600000を有する。「潤滑剤の化学&技術(Chemistry & Technology of Lubricants)」, R.M.モルチエ(Mortier) & S.T.オルツリック(Orzulik)編, 第1版, 1992, ブラッキーアカデミック&プロフェッショナル(Blackie Academic & Professional)の第5章における記載を、本発明の参考とする。
【0059】
本発明において有用な他の補助添加剤は、腐食防止剤、摩擦改善剤、防錆剤または錆止め剤、流動点降下剤、乳化破壊剤、および消泡剤を包含する。
上記添加剤の幾つかは、複数の効果を与えることができる。即ち、例えば単一の添加剤が、分散剤-酸化防止剤として機能できる。この方法は周知であり、ここで更に説明する必要はない。
潤滑組成物が、該洗浄剤を含む、1種以上の上記添加剤を含む場合、各添加剤は、典型的に、該添加剤が、その所定の機能を発揮することを可能とする量で、該基油中に配合される。潤滑剤中に使用した際の、このような添加剤の、代表的な有効量は以下の通りである:
【0060】

*: 最終的な潤滑油組成物を基準とする、活性成分の量(質量%)。
【0061】
これら添加剤は、任意の有利な方法で、基油中に配合できる。従って、該添加剤各々は、所定濃度レベルにて、該基油中に分散または溶解することにより、該オイルに直接添加することができる。このような配合は、周囲温度または高温にて行うことができる。
複数の添加剤を使用する場合、これら添加剤を含む、1種以上の添加剤のパッケージ(添加剤組成物または濃厚物としても知られる)を調製し、粘度改変剤、多官能性粘度改変剤および流動点降下剤を除き、数種の添加剤を、該基油に同時に添加して、該潤滑油組成物を製造することが望ましいが、このことは本質的なものではない。該潤滑油に対する該添加剤パッケージの溶解は、溶媒の使用および穏やかに加温しつつ混合することによって簡単化されるが、これも本質的なことではない。
【0062】
該添加剤パッケージは、典型的に、適当な量の添加剤を含むように処方され、該添加剤パッケージを、所定量の基本となる潤滑剤と組み合わせた際に、得られる最終処方物に所定の濃度を与えるであろう。このように、1種以上の洗浄剤を、少量のキャリヤ流体または希釈剤、例えば基油または他の相溶性の溶剤に、他の所定の添加剤と共に添加して、該添加剤パッケージの質量を基準として、例えば約2.5〜約90、好ましくは約5〜約75、最も好ましくは約8〜約60質量%なる量の、適当な割合で添加剤を含み、残部がキャリヤ流体または希釈剤である、活性成分含有添加剤パッケージを形成する。
該第七の局面に関わる好ましい態様では、燐の量は、該添加剤組成物の質量基準で、0.5質量%未満、より好ましくは0.3質量%未満である。好ましい態様において、燐の量は、該添加剤組成物の質量基準で、少なくとも0.01質量%である。
【0063】
好ましくは、該第七局面のこの添加剤組成物は、燐の量とは独立に、該添加剤組成物の質量基準で、2.0未満、より好ましくは2.00未満または1.75質量%未満なる硫黄含有率を有する。好ましい一態様において、硫黄の量は、該添加剤組成物の質量基準で、少なくとも0.01質量%である。
該最終的な潤滑油組成物における添加剤の量は、一般に該潤滑油組成物の型に依存しており、例えば重量型ディーゼルエンジン用の潤滑油組成物は、該潤滑油組成物の質量基準で、2〜20、好ましくは7〜18、より好ましくは8〜16、例えば8〜14質量%なる量の添加剤を含む。乗用車エンジン用の潤滑油組成物、例えばガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン用潤滑油組成物は、より少ない量の添加剤、例えば該潤滑油組成物の質量基準で、3〜10、好ましくは4〜9、特に6〜8質量%の添加剤を含むことができる。
【0064】
従って、該第七局面の添加剤組成物における、該成分(a)〜(e)の割合は、該潤滑油組成物が、該成分(a)〜(e)全てを、2〜20質量%含む場合に、上記第三乃至第六局面の何れかに記載の如き、潤滑油組成物を与えるようなものである。
該第九の局面に従う潤滑油組成物の製法は、成分(A)と成分(B)および(C)を含む添加剤パッケージとを混合する工程を含むことができる。
該第七局面に関わる更なる態様においては、該第七局面の添加剤組成物における、該成分(a)〜(e)の割合は、該添加剤組成物が希釈された際に、該希釈された組成物の質量基準で、成分(b)〜(d)を3.75質量%含む場合に、0.09質量%未満の燐および多くとも0.5質量%の硫黄を含む組成物を与えるような、割合である。好ましくは、該成分(a)〜(e)の割合は、また硫酸化灰分2質量%未満を有する組成物を与えるような割合でもある。
【0065】
好ましくは、本発明の添加剤組成物は、多くとも10、より好ましくは多くとも8、有利には多くとも7質量%の、硫酸化灰分を与える。
好ましくは、該添加剤組成物における酸化防止添加剤の量は、1〜20部なる範囲内にあり、該添加剤組成物における燐-含有および/または硫黄-含有添加剤の量は、1〜9部なる範囲内にある。
該添加剤を該潤滑油組成物に配合した後に、任意の2種以上の洗浄剤を含む、任意の2種以上の該添加剤間に、相互作用が生じ得ることを理解すべきである。この相互作用は、混合過程または作業環境内での該組成物の使用を含む、該組成物が曝される任意の後の状態において起こる可能性がある。相互作用は、また更なる補助添加剤を、本発明の組成物またはオイルの成分を含む該組成物に添加する際に生じる可能性がある。このような相互作用は、該添加剤の化学的な構成を変えてしまう相互作用をも含む。従って、例えば本発明の組成物は、例えば任意の添加剤間に相互作用を生じる組成物並びに、例えば該オイルと混合した成分間に相互作用を生じる組成物を包含する。
【0066】
本明細書において、使用する用語「ヒドロカルビル」とは、関連する基が、主として水素および炭素原子からなり、かつ炭素原子を介して該分子の残りの部分に結合していることを意味するが、該基の実質的な炭化水素特性を減じるには不十分な割合での、他の原子または基の存在を排除するものではない。
ここで使用する用語「含む(comprising または comprises)」とは、述べられた特徴、整数、段階または成分を特定するのに使用されるが、1以上の他の特徴、整数、段階、成分またはその組み合わせの存在または付加を排除するものではない。例えば、この用語「含む」を使用した場合、用語「本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」およびその同族語はその範囲内に含まれ、かつその好ましい態様である。
【0067】
本明細書で使用する用語「油溶性」または「オイル分散性」とは、該添加剤があらゆる割合で、該オイル中に可溶であり、溶解性であり、混和性でありまたは懸濁可能であることを意味するものではない。しかし、これらは、該添加剤が、例えば該潤滑油組成物を使用する環境において、その意図する効果を発揮するのに十分な程度に、該オイル中に可溶であり、あるいは安定に分散し得ることを意味する。更に、他の添加剤、例えば上記のような添加剤の付随的な添加は、上記添加剤の溶解度または分散性に影響を与える可能性がある。
また、用語「多量」とは、該組成物の50質量%を越えることを意味する。
更に、用語「少量」とは、述べられた添加剤および該組成物中に存在する全添加剤の全質量%両者に関して、該添加剤または複数の添加剤の活性成分で表して、該組成物の50質量%未満を意味する。
【0068】
報告される全%は、特に述べない限り、活性成分を基準とする、即ちキャリヤまたは希釈オイルを考慮しない、質量%である。
略号「SAE」は、ソサイアティーオブオートモーティブエンジニアズ(Society of Automotive Engineers)を表し、これは粘度のグレードによって潤滑剤を分類するものである。
該潤滑油組成物中の、燐、硫黄およびモリブデンの量は、ASTM D5185に従って測定されたものであり、該潤滑油組成物中の窒素の量は、ASTM D4629に従って測定されたものであり、また該潤滑油組成物中の塩素の量は、インスティチュートオブペトロリウムプロポーズドメソッド(Institute of Petroleum Proposed Method) AK/99に従って測定されたものである。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を以下の実施例によって例示するが、本発明はこれら実施例によって何等制限されない。
実施例
夫々0.07、0.04および0質量%の燐を含有する潤滑油組成物を、当分野において公知のブレンド法によって製造した。これら潤滑油組成物は、洗浄剤組成物、分散添加剤、酸化防止添加剤、および耐磨耗添加剤(例えば、亜鉛ジチオリン酸)を、種々の量(一例においては0を含む)で含み、種々の燐含有率を有していた。各潤滑油組成物は、SAE 5W30潤滑油組成物であった。
比較例1〜3は、洗浄剤として、フェネート洗浄剤およびスルホネート洗浄剤(約73:27なる界面活性剤比)のみを含み、また酸化防止剤として、フェノール系の酸化防止剤のみを含んでいた。これに対して、本発明の実施例1〜3は、洗浄剤として、サリチレート洗浄剤のみを、また酸化防止剤として、アミン系の酸化防止剤のみを含んでいた。以下の表1に、これら組成物の特性を示す。
【0070】
これら組成物の膜厚および磨耗特性を、弾性水力学的(elastohydrodynamic)膜厚リグ、ディスクオプション(disc option)上のピンに取り付けられた牽引リグ、および4球(four ball)極圧テストによって測定した。
簡単に説明すると、該弾性水力学的リグは、転がり接触状態にある、鋼製のボールおよび被覆ガラスディスク間の膜圧を測定する。このテスト条件は、変動する転がり速度、100℃なる温度、100%転がり接触(0%摺動/転がり比)および20 Nなる荷重である。この装置およびテスト手順の完全な詳細は、トライボロジーインターナショナル(Tribology International), 33 (2000), 241-247; SAE 962037; SAE 961142;およびSAE 962640に記載されている。
大きな膜厚を示す潤滑油組成物は、より確実により良好な耐磨耗性能をもたらし、その理由は、より厚い膜が、より確実にa) 接触面を分離し、かつb) 下部の金属よりも低応力にて、剪断作用し、接着磨耗を緩和するからである。
【0071】
ディスクオプション上の該ピンに関連して、該牽引リグは、SAE 962037、SAE 961142およびSAE 962640に記載されているようなものであるが、ここで該鋼製ボールは、径0.5 mmの鋼製ピンによって置き換えられ、該ピンは一定荷重および温度の下で、SAE 981406に記載のように接触している。このディスクが一定速度で駆動され、かつ磨耗が線形電位変位トランスデューサによって測定される。テスト条件は、以下の通りである:時間:1時間;温度:100℃;負荷:30 N;および摺動速度:1 m/s。
該4球極圧テストで使用する装置は、工業テストIP239で使用されるものである。その条件は、プジョー(Peugeot) D55-1136法で指定されており、簡単に言えば、これらは以下の通りである:回転速度:1500 rpm;時間:60秒;および負荷:100 kgまたは85 kgである。
該ディスクオプション上のピンおよび4球極圧テスト両者は、高圧摺動接触条件下での磨耗を測定する。従って、これらテストにおいて低い磨耗性を示す潤滑油組成物は、より確実に、より良好な磨耗特性を与える。
【0072】
以下の表2は、実施例1〜3(サリチレート-含有潤滑油組成物)に関するテストにおいて形成された膜が、対応する比較例1〜3において形成されたものよりも厚いことを示す。該サリチレート-含有潤滑油組成物(実施例2および3)は、より低い燐含有率において、驚くべき、かつかなりの利点を示す。特に、該サリチレート-含有潤滑油組成物は、該燐含有率が低下するにつれて、実質的に該膜の厚みを維持する。この効果は、少なくとも3種の異なる転がり速度における、該弾性水力学的リグにて立証される。
同様に、表3に示す、該ディスクオプション上のピンに取り付けられた、該牽引リグから得たデータは、低い燐濃度における、該サリチレート-含有潤滑油組成物の、優れたかつ予想外の性能を支持しており、即ち該サリチレート-含有潤滑油組成物は、0.04質量%以下の燐を含む組成物中で、低い磨耗量を示す。
表4に含まれる、4球極圧テストから得たデータも、サリチレート-含有潤滑油組成物が、特に、少なくとも2種の異なる負荷(100 kgおよび85 kg)において、燐を含まないオイル中で、改善された磨耗特性を与えることを支持している。
【0073】
表1:潤滑油組成物の特性

1: 該質量%は、該潤滑油組成物の質量を基準とする;2: mM/kgは該潤滑油組成物1 kg当たりの界面活性剤の量(ミリモル)である。
【0074】
表2:弾性水力学的リグにより測定した膜厚(nm)

【0075】
表3:ディスクオプション上のピンに取り付けた牽引リグで測定した、磨耗(nm)

【0076】
表4:4球極圧テストで得た、平均磨耗傷(mm)

*: 該球(ボール)も共に融着し、結果として無限の磨耗傷を与えた。
【0077】
本発明の好ましい態様を以下に示す。
1. 有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する、洗浄剤組成物の、エンジン内における磨耗を減少させるための潤滑油組成物における、少量での使用であって、該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル数を基準として、50モル%を越える量で芳香族カルボン酸の金属塩を含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量が、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする、上記使用。
2. 有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する、洗浄剤組成物の、潤滑油組成物の耐酸化性を改善するための、該潤滑油組成物における少量での使用であって、該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える、(I) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(II) フェノールの金属塩、または(III) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者、の何れかを含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量が、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする、上記使用。
3. 該洗浄剤組成物が、少なくとも1種の過塩基性金属洗浄剤を含む、上記1または2記載の使用。
4. 該過塩基性金属洗浄剤が、芳香族カルボン酸の金属塩またはフェノールの金属塩、もしくは芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者を含む、上記3記載の使用。
5. 該芳香族カルボン酸が、ヒドロカルビル置換されたサリチル酸である、上記1〜4の何れか1項記載の使用。
6. 該フェノールが、硫酸化フェノール誘導体である、上記1〜4の何れか1項記載の使用。
7. 少なくとも1種の該洗浄剤が、15〜600、例えば100〜450、好ましくは160〜400なる範囲のTBNをもつ、上記1〜6の何れか1項記載の使用。
8. 少なくとも1種の該洗浄剤が、サリチル酸マグネシウムを主成分とする洗浄剤、サリチル酸カルシウムを主成分とする洗浄剤およびカルシウムフェネートを主成分とする洗浄剤から選択される、上記1〜7の何れか1項記載の使用。
【0078】
9. SAE 5WXまたはSAE 0WX潤滑油組成物であって、
(A) 多量の該組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、
(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および
(C) 夫々少量の、(C1) 分散剤および/または分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、
各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であり、Xが20、30、40および50の何れかを表す、ことを特徴とする、上記SAE 5WXまたはSAE 0WX潤滑油組成物。
10. (A) 多量の潤滑油組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、
(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および
(C) 夫々少量の、(C1)分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、
各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする、潤滑油組成物。
【0079】
11. (A) 多量の潤滑油組成物に添加された、潤滑粘度を持つオイルと、
(B) 少量の、1種を越える型の有機酸の金属塩を含む、少なくとも1種の洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および
(C) 夫々少量の、(C1)分散剤および/または分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、
各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする、潤滑油組成物。
12. (A) 多量の潤滑油組成物に添加された、合成ベースストックを含有する潤滑粘度を持つオイルと、
(B) 少量の、有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する洗浄剤組成物と、ここで該洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(B2) フェノールの金属塩、または(B3) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者の何れかを含み、および
(C) 夫々少量の、(C1)分散剤および/または分散-粘度指数改良添加剤、(C2) 酸化防止添加剤および(C3) 耐磨耗添加剤を含む、補助添加剤とを含み、
各々該潤滑油組成物の質量を基準として、(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の燐の量が、0.09質量%未満であり、かつ(B)または(C)もしくは(B)および(C)両者由来の硫黄の量が、多くとも0.5質量%であることを特徴とする、潤滑油組成物。
13. SAE 5WXまたはSAE 0WX (ここで、Xは20、30、40または50の何れかを表す)なる形状にある、上記10〜12の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
【0080】
14. 該潤滑粘度を持つオイルが、合成ベースストックを含む、上記9〜11および13の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
15. 該洗浄剤組成物が、1種を越える型の有機酸の金属塩を含む、少なくとも1種の洗浄剤を含有する、上記9、10および12〜14の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
16. 該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える量で、(B1) 芳香族カルボン酸の金属塩を含み、および(C1) が分散添加剤である、上記9記載の潤滑油組成物。
17. 該潤滑油組成物が、重量型ディーゼルエンジン用潤滑油組成物の形状にある、上記上記9〜16の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
18. 該潤滑油組成物が、乗用車エンジン用潤滑油組成物の形態にある、上記上記9〜16の何れか1項に記載の潤滑油組成物。
19. 添加組成物の質量を基準として、0.6質量%未満の燐および場合により多くとも2.5質量%の硫黄を含み、該添加組成物が、
(a) 希釈剤またはキャリヤ流体、
(b) 上記9〜18の何れか1項に記載の洗浄剤組成物、
(c) 1種またはそれ以上の燐-含有または硫黄-含有化合物、
(d) 1種またはそれ以上の酸化防止添加剤、および
(e) (b)、(c)および(d)とは異なる、1種またはそれ以上の補助添加剤、
を含むことを特徴とする、添加組成物。
20. 内燃機関、好ましくは重量型ディーゼルエンジンを潤滑する方法であって、上記9〜18の何れか1項に記載の潤滑油組成物を、該エンジンに供給する工程を含むことを特徴とする、上記方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する、洗浄剤組成物の、エンジン内における磨耗を減少させるための潤滑油組成物における、少量での使用であって、該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル数を基準として、50モル%を越える量で芳香族カルボン酸の金属塩を含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量が、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする、上記使用。
【請求項2】
有機酸の金属塩を含む、1またはそれ以上の金属洗浄剤を含有する、洗浄剤組成物の、潤滑油組成物の耐酸化性を改善するための、該潤滑油組成物における少量での使用であって、該洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物における該有機酸の金属塩のモル量を基準として、50モル%を越える、(I) 芳香族カルボン酸の金属塩、または(II) フェノールの金属塩、または(III) 芳香族カルボン酸の金属塩およびフェノールの金属塩両者、の何れかを含み、該潤滑油組成物中の燐および硫黄の量が、該潤滑油組成物の質量を基準として、夫々0.09質量%未満および多くとも0.5質量%であることを特徴とする、上記使用。

【公開番号】特開2010−155999(P2010−155999A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55407(P2010−55407)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【分割の表示】特願2002−135203(P2002−135203)の分割
【原出願日】平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】