説明

潤滑給油ポンプ

【課題】 容器交換の作業効率を向上することができる潤滑給油ポンプを提供する。
【解決手段】 グリース等の粘性流動体からなる潤滑剤を収納している容器50の上に被せられる蓋部14と、この蓋部14に取り付けられた駆動装置15と、前記容器50内に挿入されるように前記蓋部14に取り付けられるとともに、駆動装置により駆動されることによって潤滑剤を吸い込み且つ吐出するポンプ本体16と、前記蓋部14に連結された昇降部材13と、前記ポンプ本体16を容器50よりも高位置に配置するべく前記昇降部材13を上下に昇降する昇降機構12と、を備えており、前記昇降部材が、上下方向の軸心X1を有する支軸28を備え、前記蓋部14が、容器50の上方位置と該上方位置から水平方向に外れた退避位置との間で移動可能となるように、前記支軸28に軸心X1回りに回動自在に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販のドラム缶、ペール缶あるいは角缶等の容器に取り付けて、これらの容器内に収納されたグリース等の潤滑剤を直接吸引し、各種産業機械等の給油箇所に対し、分配弁を介して或いは直接に潤滑剤を高出力でかつ少量ずつ吐出することができる潤滑給油ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の潤滑給油ポンプを示しており、潤滑給油ポンプは、皿状の蓋部101と、該蓋部101の中央部上面に固定された駆動装置102と、蓋部101から下方に延びる動力伝達部103と、該動力伝達部103の下端に連結されたポンプ本体104を備えており、蓋部101は容器の上端部に直接着脱自在に取り付けられている。ポンプ本体104はその下端吸込部105からグリース等の潤滑油を直接吸引し、送出口106から給油箇所に送る。使用後に新容器に取り替える場合には、容器の上端部から潤滑給油ポンプを上方に取り出し、容器を新容器と置き換えて再び潤滑給油ポンプを容器の上端に取り付ける。
【0003】
かかる従来の潤滑給油ポンプでは、使用済みの容器を新容器に取り替える際、一方の手でポンプ部分を持ち上げ、他方の手で容器を交換するといった面倒な作業が必要である。また、ポンプ部分が重いときは地面に直接置かざるを得ず、吸い込み口にゴミが付着してポンプ機能が低下するという欠点があった。
【0004】
そこで本願出願人は、上記問題を解決する技術を従前に提案した(下記特許文献1,2)。これらの技術は、容器の近傍に支柱を立設するとともに、支柱に昇降部材を昇降自在に支持し、この昇降部材に蓋部を固定したものである。そして、昇降部材を支柱に沿って上昇させることで、蓋部とともにポンプ本体を持ち上げて容器から取り外し、その状態のまま容器の交換を行えるようにしている。
【0005】
しかしながら、これらの技術にも次のような欠点がある。
(1) 容器を交換する場合、新しい容器は、通常クレーン等によりつり上げて設置箇所へ運搬する。しかし、設置箇所の上には上昇させたポンプがあるため、新容器をクレーンで直接設置箇所に置くことができなかった。そのため、少し手前に置き、人手によってポンプ下の設置箇所に移動させていた。新容器がドラム缶の場合、重量が約200kgにもなるため、このような人手による作業は相当な重労働となり、時間も要する。
【0006】
なお、下記特許文献1には、容器を交換する場合に、支柱を中心に蓋部を回動する旨が記載(段落番号[0018])されており、これによって、ポンプを設置箇所の上方から退避させ、新しい容器を直接設置場所に運搬することが可能となる。しかしながら、蓋部を昇降部材ごと回動させなければならないため、操作が非常に重くなるという問題があった。また、昇降部材は、ワイヤーロープにつり下げられると共に該ワイヤーロープを巻き取ることで上昇する構成となっているが、支柱を中心に昇降部材とともに蓋部を回動すると、ワイヤーロープが支柱に巻き付いてしまうという問題があった。ワイヤーロープが巻き付くと、巻き付きを解除する方向の力が働き、蓋部を元の位置に戻そうとするため、元に戻らないように押さえておかなければならない。このため、容器の交換に手間がかかり、実質的に1人作業は不可能であった。これらの理由から、蓋部を回動する構成は、現実に実施するに到らなかった。
【0007】
(2) 容器内の潤滑剤が無くなったとき、給油対象の潤滑不足を防ぐために、直ちに新しい容器と交換しなければならない。しかし、新しい容器の保管場所は、ポンプの稼働場所から離れているのが普通であり、交換に時間を要する。仮に、保管場所が稼働場所の近くにあったとしても、重量の大きなドラム缶であると簡単には運搬できず、結果として、交換に相当の時間を要する。
【0008】
また、昨今の人手不足のため、容器交換の専従者を配備することはほとんどなく、兼務とするのが普通である。この場合、煩わしい容器交換作業を、主業務を停止してまで行うことは少なく、一区切りつくまで放置されやすい。そのため、容器交換までさらなる時間を要し、給油対象の潤滑不足の可能性が高まる。
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第2561762号公報
【特許文献2】実公平7−40152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、容器交換の作業効率を向上する潤滑給油ポンプを提供することを目的とする。また、容器が空になったときの給油対象の潤滑不足を防止しうる潤滑給油ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、グリース等の粘性流動体からなる潤滑剤を収納している容器の上に被せられる蓋部と、この蓋部に取り付けられた駆動装置と、前記容器内に挿入されるように前記蓋部に取り付けられるとともに、駆動装置により駆動されることによって潤滑剤を吸い込み且つ吐出するポンプ本体と、前記蓋部に連結された昇降部材と、前記ポンプ本体を容器よりも高位置に配置するべく前記昇降部材を上下に昇降する昇降機構と、を備えている潤滑給油ポンプにおいて、前記昇降部材が、上下方向の軸心を有する支軸を備えており、前記蓋部が、容器の上方位置と該上方位置から水平方向に外れた退避位置との間で移動可能となるように、前記支軸に軸心回りに回動自在に連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、グリース等の粘性流動体からなる潤滑剤を収納している容器を載置する載置部と、載置部上の容器の上に被せられる蓋部と、この蓋部に取り付けられた駆動装置と、前記容器内に挿入されるように前記蓋部に取り付けられるとともに、駆動装置により駆動されることによって潤滑剤を吸い込み且つ吐出するポンプ本体と、前記蓋部に連結された昇降部材と、前記ポンプ本体を容器よりも高位置に配置するべく前記昇降部材を上下に昇降する昇降機構と、を備えている潤滑給油ポンプにおいて、前記昇降部材が、上下方向の軸心を有する支軸を備えており、前記載置部が、前記支軸の軸心を中心とする円周上に複数設けられており、前記蓋部が、1の載置部上の容器の上方位置と、他の載置部上の容器の上方位置との間で移動可能となるように、前記支軸に軸心回り回動自在に連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記載置部が、前記支軸を中心とする円周上に2つ並べて配置されており、前記支軸が、平面視において、各載置部上の容器間に入り込むように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、次の効果を奏する。
(1)容器を交換する場合、蓋部を水平に回動して設置箇所の上方から退避させることができるので、新たな容器を直接クレーン等によって設置箇所に運搬することができる。したがって、重いドラム缶であっても、重労働を伴うことなく迅速に効率よく交換作業を行うことができる。
【0015】
(2)昇降部材に支軸を設け、該支軸に蓋部を回動自在に支持しているので、昇降部材を伴うことなく蓋部を単独で軽く回動させることができ、蓋部の回動が昇降機構に影響されることもない。
【0016】
請求項2の発明によれば、次の効果を奏する。
(1)ある載置部の容器が空になった場合、蓋部を他の載置部側へ移動し、この載置部上の容器から潤滑油を吸い出して給油を継続することができる。したがって、給油対象の潤滑不足を防止することができる。
【0017】
(2)ある載置部の容器を交換する場合、蓋部を他の載置部側へ退避させることができるので、新たな容器を直接クレーン等によって運搬することができる。したがって、重いドラム缶であっても、重労働を伴うことなく迅速に交換作業を行うことができる。
【0018】
(3)空の容器を交換する作業は、他の載置部の容器が空になるまでの間に行えばよいので、容器交換の専従者でなくても、時間的な余裕を持って交換作業を行うことができる。給油対象が潤滑不足となる可能性も低くなる。
【0019】
(4)昇降部材を伴うことなく蓋部を単独で軽く回動させることができ、蓋部の回動が昇降機構に影響されることもない。
【0020】
請求項3の発明によれば、昇降部材の支軸が、2つの載置部上の容器間に入り込むように配置されているので、2つの容器を載置できるにも関わらず、装置全体を可及的にコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る潤滑給油ポンプ10の平面図、図2は、図1のII−II矢視図である。潤滑給油ポンプ10は、基板11と、基板11上に設けられた昇降機構12と、昇降機構12により上下昇降される昇降部材13と、昇降部材13に連結された蓋部14と、蓋部14に取り付けられた駆動装置15およびポンプ本体16と、を備えている。
【0022】
基板11は平板状に形成され、基板11の上面には、容器50を載置するための載置部17が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、2つの載置部17A,17Bが備えられ、各載置部17A,17Bは並べて配置されている。各載置部17A,17Bには、容器50を位置決めする位置決め手段18が設けられている。位置決め手段18は、基板11から上方に突出する当て止め板からなり、該当て止め板は、帯板を円弧状に湾曲させて形成され、有底円筒形の容器50の下端外周面に当接するようになっている。なお、以下の説明では、載置部17の並設方向を左右方向とする。また、載置部17に対し、昇降機構12が設けられている側を後側、その逆を前側とする。
【0023】
昇降機構12は、基板11の左右中央部で後部側に配置されており、基板11上に立設されたガイド支柱19と、昇降部材13を昇降させる昇降装置20とを備えている。ガイド支柱19は、上下方向の軸心を有する円筒のパイプ材により構成され、基板11上の2つの載置部17の間で載置部17よりやや後側に配置されている。なお、基板11上には、昇降機構12の隣に制御盤55が立設されている。
【0024】
図3は、図2のIII−III矢視図である。図2および図3に示すように、昇降装置20は、巻き取り装置21と、索状部材22と、滑車23とを有している。巻き取り装置21は、ガイド支柱19に取り付けられている。具体的には、ガイド支柱19の後部に上下に渡って左右一対のステー24を設け、該ステー24に巻き取り装置21を取り付けている。巻き取り装置21は、ドラム25と、ドラム25に減速ギヤ機構(図示略)を介して連動連結された手動ハンドル26とを備えている。滑車23は、支柱の上部に左右軸心周りに回転自在に取り付けられている。索状部材22は、ワイヤーロープ、チェーン等により構成され、一端側がドラム25に巻回され、中途部が滑車23に引っ掛けられ、他端部が昇降部材13に接続されている。
【0025】
したがって、手動ハンドル26を回転し、索状部材22をドラム25に巻き取ることで昇降部材13を上昇させることができる。なお、減速ギヤ機構には、図示しないラチェット爪および摩擦ブレーキ等が設けられており、所望の回転位置で手動ハンドル26を停止すると、ラチェット爪の作用により自動的にその停止位置を維持できるようになっている。ラチェット爪を解除すると、摩擦ブレーキ等に制御されながら、昇降部材13が自重等によりゆっくりと下降するようになっている。
【0026】
昇降部材13は、前記ガイド支柱19に上下昇降自在に取り付けられた被ガイド部27と、蓋部14を支持する支軸28とを有している。被ガイド部27は、ガイド支柱19に上下移動自在に外嵌された筒形の本体部29を備え、本体部29には、ガイド支柱19の外面を上下に転動するガイド輪30が設けられている。ガイド輪30は、本体部29の上部と下部とに設けられた一対の支持体31に各4個ずつ取り付けられている。各4個のガイド輪30は、互いにガイド支柱19の周りに90°の間隔をあけて配置されている。このガイド輪30によって、本体部29がガイド支柱に沿って円滑に上下移動するようになっている。また、ガイド支柱19と昇降部材13の間には、ガイド支柱19に対する昇降部材13の回り止めをする回り止め手段51が設けられている。本実施形態の回り止め手段51は、ステー24の一方から支持体31側に突出する二又状の係合片52と、支持体31からステー24側に突出し、係合片52の二又間に挿入される被係合片53とを備えている。
【0027】
前記支軸28は、上下方向の軸心X1を有するパイプ材により構成され、本体部29から前方に突出する軸ブラケット32に下端部が固定されている。図1に示すように、支軸28の軸心X1は、2つの載置部17A,17Bの中心O1,O2を通る仮想円Zの中心位置に配置されている。換言すると、支軸28の軸心X1を中心とする円周上に、前記載置部17が配置されている。また、支軸28は、2つの載置部17A,17B上の容器50A,50B間に入り込むように配置されている。具体的には、支軸28は、2つの容器50A,50Bの外面を結ぶ接線Yよりも容器50側の領域内に配置されている。
【0028】
図1および図2に示すように、蓋部14は、有底円筒状の容器50の上部開口を覆うように円形状に形成されている。駆動装置15は、ギヤードモーター等により構成され、蓋部14の上面に取り付けられている。ポンプ本体16は、蓋部14の下面から下方に延びるサポートパイプ33の下端に取り付けられ、サポートパイプ33内の動力伝達軸(図示略)を介して駆動装置15に接続され、駆動装置15によって駆動される。ポンプ本体16は、蓋部14を容器50上に被せることによって、容器50内に挿入される。
【0029】
蓋部14には出口ポート34が設けられており、出口ポート34とポンプ本体16の吐出口35とが導管36で接続されている。そして、駆動装置15によるポンプ本体16の駆動で、容器50内の潤滑油が導管36を通って出口ポート34から吐出され、図示しない給油対象へと移送される。
【0030】
図4は、図2のIV−IV矢視図である。蓋部14の一側部には、連結ブラケット38を介して被連結具39が取り付けられている。被連結具39は、軸心を上下に向けた円筒形に形成され、前記支軸28に軸心X1回りに回動自在に外嵌されている。したがって、蓋部14は、支軸28の軸心X1回りに水平に回動(揺動)自在となっている。図2に示すように、支軸28の上部側には、被連結具39の下方位置を規制するフランジ部40と、被連結具39の上方への抜け止めをなす止め輪41とが設けられている。
【0031】
蓋部14の外周部には、取手42が設けられており、該取手42は、容器50の外側で蓋部14から下方に延びている。
【0032】
[本実施形態の潤滑給油ポンプ10の作用]
次に、上記構成における作用を説明する。図1において、2つの載置部17A,17Bには、それぞれ容器50A,50Bが設置され、蓋部14は、支軸28の軸心X1を中心として左側に揺動し、左側の容器50Aの上に被せられている。
【0033】
左側の容器50Aから潤滑油を吸い出し、該容器50Aが空になった場合、次の操作を行う。まず、巻き取り装置21の手動ハンドル26を操作して昇降部材13を上昇し、ポンプ本体16を、容器50Aよりも高い位置に配置する(図2の二点鎖線)。そして、取手42を介して蓋部14を支軸28の軸心X1回りに右側へ回動し、右側の容器50Bの上方に配置する。その後、巻き取り装置21を操作して昇降部材13を下降し、ポンプ本体16を右側の容器50B内に挿入するとともに、該容器50Bの上部開口を蓋部14で被う。
【0034】
空になった左側の容器50Aは、右の容器50Bが空になるまでの間に、載置部17A外へ移動し、新たな容器と交換する。左側の載置部17Aの上方には蓋部14やポンプ本体16が存在しないため、新たな容器をクレーン等の運搬装置によって直接載置部17Aに設置することができる。右側の容器50Bが空になった場合も、上記と同様の操作を行う。
【0035】
[第1実施形態の効果]
本実施形態は以上の通りであり、次のような効果を奏する。
(1)一方の容器50が空になった場合、蓋部14を他方の容器50に即座に移動させ、給油を継続することができる。したがって、給油対象37の潤滑不足を防止することができる。
【0036】
(2)一方の載置部17に新たな容器を載置する場合、蓋部14を他方の載置部17側に退避させておくことができるので、一方の載置部17に、クレーン等によって直接新たな容器を運搬することができる。したがって、重いドラム缶であっても、重労働を伴うことなく迅速に交換作業を行うことができる。
【0037】
(3)一方の容器50の交換作業は、他方の容器50が空になるまでの間に行えばよいので、容器交換の専従者でなくても、時間的な余裕を持って交換作業を行うことができる。したがって、給油対象37が潤滑不足となる可能性も低くなる。
【0038】
(4)昇降部材13に支軸28を設け、該支軸28に蓋部14を回動自在に支持しているため、蓋部14を軽く回動させることができ、また、蓋部14の回動動作と、昇降機構12による昇降動作とを、互いに影響を与えることなく行うことができ、一方の動作が他方の動作の障害になることもない。
【0039】
(5)昇降部材13の支軸28が、2つの載置部17A,17B上の容器50A,50B間に入り込むように配置されているので、容器50A,50Bを2つ載置できるにも関わらず、装置全体の前後幅D(図1)を可及的に小さくすることができる。
【0040】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る潤滑給油ポンプ10の側面図である。本実施形態では、昇降機構12の構成が第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0041】
昇降機構12は、ガイド支柱19に、上下方向に延びるラック43を上下移動自在に支持し、ラック43に係合するピニオン44を回動自在に設けるとともに、該ピニオン44に減速ギヤ機構等を介して手動ハンドル26を連動連結して構成されている。上記ラック43は、昇降部材13に連結されている。したがって、手動ハンドル26の操作によって昇降部材13が上下に昇降される。本実施形態でも第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る潤滑給油ポンプ10の側面図である。本実施形態においても、昇降機構12の構成が第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
昇降機構12は、油圧シリンダ等の流体圧シリンダ45により構成されており、該油圧シリンダ45のシリンダチューブ46が基板11上に立設され、ピストンロッド47がシリンダチューブ46に沿って上下動するようになっている。ピストンロッド47の先端には、ブラケット48を介して昇降部材13が連結されている。油圧シリンダ45は、図示しない油圧ポンプ等からの圧油の供給で作動する。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0044】
[他の実施形態]
その他、本発明は次のように実施することができる。
(1)本発明は、図1において、2つの載置部17A,17Bのうち一つを省略した構成、すなわち、載置部17を一つだけ備えた構成とすることができる。この場合、蓋部14は、載置部17の上方位置と、該上方位置から水平方向に外れた退避位置との間で回動可能となる。したがって、載置部17に新たな容器50を載置する場合、蓋部14を退避させておくことで、当該載置部17に、クレーン等によって直接新たな容器を運搬することができる。したがって、重いドラム缶であっても、重労働を伴うことなく迅速に交換作業を行うことができる。
【0045】
(2)載置部17は、支軸28を中心とする円周上に3箇所以上設けることができる。
【0046】
(3)巻き取り装置21のドラム25を手動ハンドル26の代わりにモーター等の適宜動力源に連結することができる。
【0047】
(4)ガイド支柱19の形状は、昇降部材13を支持し、ガイドすることが可能であれば、円筒状に限らず、種々の形状に変更できる。
【0048】
(5)容器の種類、形状についても適宜変更可能である。この場合、載置部17、位置決め手段18の形状も対応して変更させればよい。
【0049】
(6)本発明では、蓋部14を左右各容器50A,50B上で位置決めするストッパーや、蓋部14の回動範囲を載置部17A,17B間に制限する手段を設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、特に、交換作業が困難な、大重量の容器を対象とした潤滑給油ポンプに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る潤滑給油ポンプの平面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】図2のIV−IV矢視図である。
【図5】第2の実施形態に係る潤滑給油ポンプの側面図である。
【図6】第3の実施形態に係る潤滑給油ポンプの側面図である。
【図7】従来の潤滑給油ポンプを示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 潤滑給油ポンプ
11 基板
12 昇降機構
13 昇降部材
14 蓋部
15 駆動装置
16 ポンプ本体
17 載置部
19 ガイド支柱
20 昇降装置
28 支軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリース等の粘性流動体からなる潤滑剤を収納している容器の上に被せられる蓋部と、この蓋部に取り付けられた駆動装置と、前記容器内に挿入されるように前記蓋部に取り付けられるとともに、駆動装置により駆動されることによって潤滑剤を吸い込み且つ吐出するポンプ本体と、前記蓋部に連結された昇降部材と、前記ポンプ本体を容器よりも高位置に配置するべく前記昇降部材を上下に昇降する昇降機構と、を備えている潤滑給油ポンプにおいて、
前記昇降部材が、上下方向の軸心を有する支軸を備えており、前記蓋部が、容器の上方位置と該上方位置から水平方向に外れた退避位置との間で移動可能となるように、前記支軸に軸心回りに回動自在に連結されていることを特徴とする、潤滑給油ポンプ。
【請求項2】
グリース等の粘性流動体からなる潤滑剤を収納している容器を載置する載置部と、載置部上の容器の上に被せられる蓋部と、この蓋部に取り付けられた駆動装置と、前記容器内に挿入されるように前記蓋部に取り付けられるとともに、駆動装置により駆動されることによって潤滑剤を吸い込み且つ吐出するポンプ本体と、前記蓋部に連結された昇降部材と、前記ポンプ本体を容器よりも高位置に配置するべく前記昇降部材を上下に昇降する昇降機構と、を備えている潤滑給油ポンプにおいて、
前記昇降部材が、上下方向の軸心を有する支軸を備えており、前記載置部が、前記支軸の軸心を中心とする円周上に複数設けられており、前記蓋部が、1の載置部上の容器の上方位置と、他の載置部上の容器の上方位置との間で移動可能となるように、前記支軸に軸心回りに回動自在に連結されていることを特徴とする、潤滑給油ポンプ。
【請求項3】
前記載置部が、前記支軸を中心とする円周上に2つ並べて配置されており、前記支軸が、平面視において、各載置部上の容器間に入り込むように配置されている、請求項2に記載の潤滑給油ポンプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−250173(P2006−250173A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64198(P2005−64198)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(390008338)広和株式会社 (21)
【Fターム(参考)】