説明

澱粉−キシログルカン複合体の製造方法、澱粉−キシログルカン複合体及び該複合体を含有する食品

【課題】高粘性を発現することができ、安定性にも優れる澱粉−キシログルカン複合体を効率的に製造する澱粉−キシログルカン複合体の製造方法、澱粉−キシログルカン複合体及び該複合体を含有する食品を提供することを目的とする。
【解決手段】澱粉とキシログルカンとが乾式にて混合された混合物を、乾式にて80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有することを特徴とする澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉−キシログルカン複合体の製造方法、澱粉−キシログルカン複合体に関し、さらには該複合体を含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉は広く食品産業に利用されている。澱粉を水と共に加熱すると膨潤し粘性を発現し、このように膨潤して粘性が発現した澱粉の糊液は、増粘作用やゲル化作用によるソースやたれ等の食品用増粘剤、麺類やパン等の食感改良剤、またはバッターやフィリング等の安定剤等として、広く使用されている。
【0003】
かかる澱粉は、グルコースのα−1,4結合(アミロース)やα−1,6結合(アミロペクチン)から構成される高分子(多糖類)の1種であるが、一般的に、上記食品用増粘剤、食感改良剤や安定剤等として使用する場合、同一濃度の非澱粉系の多糖類に比べて、粘度やゲル化力が低く、安定性(耐熱性、耐酸性、耐酵素性、耐シェア性)に劣る。
【0004】
これらを改善するために、アミロースやアミロペクチン鎖に、例えばリン酸架橋やアジピン酸架橋等の化学修飾処理を施した、いわゆる加工(化工)澱粉が開発されている。これら加工澱粉は、化学薬品を使用するため、生産コストの上昇につながり、また、澱粉の味の面では、苦味やえぐ味が感じられることが多い。さらに、消費者の食に関する安全、安心への意識が高まっており、化学薬品を用いない天然志向の食品素材が要望されている。
【0005】
このようなニーズから、化学薬品を用いずに澱粉を改質する試みがなされており、例えば、加熱蒸気を吹き込みつつ加熱する加熱処理(湿熱処理)が施された澱粉が開発されている(特許文献1参照)。しかし、かかる湿熱処理澱粉は、安定性の向上が認められるもののそのレベルは未だ十分とは言えず、また、増粘作用(粘性発現)の点でも未だそのレベルは十分とは言い難い。さらに、加熱蒸気を吹き込むための製造設備が工業レベルで必要となり、製造コストの上昇を招き得る。
【0006】
そこで、澱粉の改質のために、澱粉に、澱粉以外の多糖類を併用する試みが、多数行われている。例えば、澱粉とキトサンの混合塩水溶液を300℃以下で加熱処理(加熱乾燥)すること(特許文献2参照)、澱粉とキサンタンガムの混合水溶液を100℃以下で加熱乾燥して澱粉をゼラチン化させた後に100℃以上で乾燥すること(特許文献3参照)、澱粉とイオン性多糖類の混合物を加水後に加熱乾燥すること(非特許文献1参照)、澱粉とキサンタンガムの混合物を水分含量15−50%になるように加水により調湿した後、100〜200℃で加熱乾燥すること(特許文献4参照)が知られている。
【0007】
しかし、これらは、加熱処理前に、澱粉と多糖類に加水する必要があり、この加水処理を行う分だけ工程が増える。また、加水処理後の混合物がスラリー状となる場合には、取り扱いが煩雑となり、工業的な工程としては好ましくない。
【0008】
一方、加水せずに加熱処理を行うことによって多糖類を改質する試みとしては、キサンタンガムを粉末状態で80〜120℃の加熱処理を行うこと(特許文献5参照)が知られているが、これは、キサンタンガム単体についての技術であり、澱粉を改質することについての技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−130102号公報
【特許文献2】特開平4−18437号公報
【特許文献3】特開昭55−157601号公報
【特許文献4】特開2005−54028号公報
【特許文献5】特開平10−33125号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】S.-T.Lim et.al.,Cereal Chemistry,2002,Vol.79,No.5,p.601-606
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、高粘性を発現することができ、安定性にも優れる澱粉−キシログルカン複合体を効率的に製造し得る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法、澱粉−キシログルカン複合体及び該複合体を含有する食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を克服すべく鋭意研究を行った結果、澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合し、この混合物を乾式にて80〜160℃で加熱処理することによって、高い粘性を発現し、安定性に優れる澱粉−キシログルカン複合体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法は、
澱粉とキシログルカンとが乾式にて混合された混合物を、乾式にて80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有することを特徴とする。
ここで、「乾式にて混合」とは、得られた混合物の水分量が、15重量%未満になるような混合をいう。すなわち、澱粉とキシログルカンを、水(または水蒸気)を加えることなくそのまま混合する態様の他、該水分量が15重量%未満であれば、水分を含んだ状態で混合するような態様も本発明に含まれる。
【0014】
かかる製造方法により、水への分散または溶解により高い粘性を発現することが可能であり、安定性にも優れる澱粉−キシログルカン複合体を、加水処理等を行うことなく効率的に製造することができる。
【0015】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法においては、前記加熱処理を、1〜7時間行うことが好ましい。
【0016】
これにより、より十分な高粘性を発現可能な前記複合体を、該複合体の着色を防止しつつ製造することができる。
【0017】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法においては、前記混合物は、前記澱粉と前記キシログルカンとが重量比15:85〜95:5で混合されていることが好ましい。
【0018】
これにより、より高い粘性の発現を可能な前記複合体を製造することができる。
【0019】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法においては、前記澱粉は、コーンスターチ、小麦澱粉、ワキシーコーンスターチ、α化小麦澱粉、α化ワキシーコーンスターチ、α化コーンスターチ、α化タピオカ澱粉、タピオカ化工澱粉、ワキシーコーン化工澱粉から選択される1種類、または、2種類以上の混合物であることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法においては、前記キシログルカンは、タマリンド種子由来のキシログルカンであることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法は、澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合しつつ80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体は、
澱粉とキシログルカンとが乾式にて混合された混合物が、乾式にて80〜160℃で加熱処理されて成ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体においては、水溶液濃度6重量%、環境温度25℃、回転速度6rpmの条件でB型回転粘度により粘度を測定した場合に、前記加熱処理後の粘度が、前記加熱処理前の粘度よりも10%以上高いことが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体においては、前記加熱処理後の水分量と前記加熱処理前の水分量との差が、15重量%以下であることが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体は、澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合しつつ80〜160℃で加熱処理されて成ることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る食品は、前記澱粉−キシログルカン複合体を含有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る食品においては、前記食品が、ドレッシング、バッター、発酵食品、チルド製品、小麦粉製品、プレミックス類、ソース類、たれ類、漬物または米粉製品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
以上の通り、本発明によれば、高粘性の発現が可能であり、安定性にも優れる澱粉−キシログルカン複合体を、加水処理等を行うことなく効率的に製造することができる。また、かかる澱粉−キシログルカン複合体を含有する食品は、該複合体の増粘作用、ゲル化作用や安定性等が十分に発揮された食品となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体の製造方法は、澱粉とキシログルカンとの乾式にて混合された混合物を、乾式にて80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有する。
【0030】
前記キシログルカンは、グルコース及びキシロースを構成糖とする非イオン系の多糖類であり、グルコースがβ−1,4結合した主鎖に、側鎖としてキシロースが結合した基本構成を有している。また、本明細書において、用語「キシログルカン」は、高分子(天然)キシログルカン及び低分子キシログルカンの両方を意味する。
【0031】
高分子キシログルカンは、天然物由来のキシログルカンであり、その分子量が、50,000〜1,000,000程度である。かかる高分子キシログルカンは、例えば、エンドウ、ダイズ、ポプラ、イネ、タケノコといった高等植物の細胞壁や、タマリンド種子等から抽出することによって得ることができる。また、高分子キシログルカンは、植物組織から水を用いて抽出したり、水で抽出困難な場合にはアルカリ水溶液を用いて抽出することができるが、より容易に抽出することができるという観点から、水で抽出可能か否かによらず、アルカリ水溶液を用いて抽出することが好ましい。
【0032】
かかる抽出によって得られた高分子キシログルカンは、必要に応じて、アルコール沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性の差やアフィニテイーの差等を利用した各種のクロマトグラフィー、等により、さらに精製してもよい。
【0033】
また、かかる高分子キシログルカンのうち、タマリンド種子由来の高分子キシログルカン(タマリンド種子キシログルカン)は、市販品(例えば、DSP五協フード&ケミカル株式会社製:グリロイド3S)として入手したものを用いることもでき、かかる市販品をさらに精製して用いることもできる。
【0034】
さらに、高分子キシログルカンを、利用し易くするために部分分解して低分子化してもよい。
【0035】
低分子化グルカンは、このように高分子キシログルカンの低分子化によって得られたキシログルカンである。かかる低分子キシログルカンは、物理的方法(例えばホモジナイザーによる低分子化等)、化学的方法(例えば酸加水分解などによる低分子化等)、酵素分解等、あるいは植物中から単離・抽出したり、化学的合成したりする等、公知の方法によって、得ることができる。
【0036】
例えば、タマリンド種子キシログルカンから酵素分解によって低分子キシログルカンを得る場合には、β−1,4−グルカナーゼ活性を有する植物組織崩壊酵素を用い、かかる酵素の特性に応じた添加量、pH、温度、時間を適宜設定して酵素分解反応をさせることができる。
【0037】
また、かかる植物組織崩壊酵素としてセルラーゼを用いる場合には、例えば、水に、タマリンド種子キシログルカンと、該タマリンド種子キシログルカン100重量部に対して0.01〜2.0重量部のセルラーゼとを添加し、pH3〜7、温度35〜60℃で3〜96時間、酵素分解反応させる。そして、反応終了後、セルラーゼを失活させ、クロマトグラフィー等の方法で反応生成物を精製することによって、分子量が5000以下の低分子キシログルカンを得ることができる。
【0038】
また、前記キシログルカンは、高分子キシログルカンまたは低分子キシログルカンのいずれかであっても、両者の混合物であってもよく、また、複数種類の植物に由来するキシログルカンの、混合物であってもよい。
【0039】
前記澱粉は、例えば、とうもろこし、タピオカ、馬鈴薯、小麦、キャッサバ、米、米粉、甘藷、サゴ、くず等に由来する澱粉である。また、かかる澱粉は、これら植物から抽出された澱粉そのまま(生澱粉)であっても、α化処理、酵素処理、化学処理(加工処理または化工処理ともいう)、湿熱処理、等の処理がなされたものであってもよい。また、これらのうち1種類、または2種類以上の混合物であってもよい。
【0040】
なお、上記α化処理によって得られる澱粉は、α化澱粉と呼ばれており、通常、澱粉の糊液をホットロールやスプレー乾燥機などによって短時間で乾燥して得られる、水で容易に膨潤溶解する澱粉のことをいう。
【0041】
前記混合物は、上述のような澱粉とキシログルカンとが、乾式にて混合することによって得られる。混合方法としては、例えば従来公知の混合機を用いることができる。混合時間は、澱粉とキシログルカンとを略均一に混合可能であれば特に限定されるものではない。
【0042】
また、該混合物は、例えば、加熱処理工程の前に混合工程を設け、該混合工程において上記混合機を用いて澱粉とキシログルカンとを混合することによって得ることができる。
【0043】
前記加熱処理工程においては、上述のように得られた混合物を、乾式にて加熱処理する。すなわち、前記混合物を、水(または水蒸気)を加えることなくそのまま加熱処理する。
【0044】
かかる乾式の加熱処理における加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。かかる加熱方法として、例えば、送風加熱式の乾燥機、熱風乾燥機、棚式乾燥機等の乾燥機を用いて加熱する方法が挙げられる。このうち、例えば、棚式乾燥機を用いて加熱処理を行う場合には、前記混合物をバット等の容器に広げ、混合物が広げられたバットを棚式乾燥機内の棚に載置して、該棚式乾燥機内で前記混合物を加熱することができる。
【0045】
また、上記したような乾燥機の他、例えば、加熱可能なジャケットを備えた混合機、内部を加熱可能な混練装置(水を用いずに使用する)、内部を加熱及び攪拌可能な回転ドラム等、を用いて加熱する方法も挙げられる。例えば、加熱可能なジャケットを備えた混合機としてニーダー、パドルミキサー等の加熱混合装置を用いる場合には、前記混合物を加熱混合装置に入れ、該加熱混合装置内で前記混合物をさらに混合しながら加熱することができる。
【0046】
上記では、澱粉とキシログルカンとの混合物を加熱処理する態様を示したが、この他、例えば上記加熱混合装置に澱粉とキシログルカンとを投入し、該加熱混合装置内で、澱粉とキシログルカンとを混合しつつ加熱処理することもできる。すなわち、澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合しつつ80〜160℃で加熱処理することもできる。
【0047】
このように、前記混合物を加熱処理する、または澱粉とキシログルカンとを混合しつつ加熱処理することにより、澱粉−キシログルカン複合体を製造することができる。かかる製造方法で得られた澱粉−キシログルカン複合体は、水への分散または溶解により高い粘性の発現が可能となり、安定性にも優れる。また、かかる複合体を、水を加える加水工程等を行うことなく、効率的に製造することができる。また、粘性については、特に室温でも高い粘性の発現が可能となり、このことは、マヨネーズ、バッターミックス等、製造工程で加熱工程を設けることができないような食品の製造に有用である。また、高い粘性を発現させるために複合体を加熱して膨潤させる必要が無いため、食品製造のエネルギーコストを節約できる。
【0048】
前記加熱処理は、80〜160℃で行う。加熱温度を80℃以上とすることにより、澱粉とキシログルカンとの間で十分に複合体を形成することができるため、得られた複合体が高い粘性を発現することが可能となる。また、160℃以下とすることにより、過加熱を、防止できるため、得られた複合体が高い粘性を発現することや、複合体の着色を防止することが可能となる。また、このように着色を防止しつつ高い粘性を有する複合体を製造する、という観点から、加熱処理を、80〜150℃の加熱処理温度で行うことが好ましく、100〜150℃の加熱温度で行うことがより好ましい。
【0049】
また、加熱時間が短すぎると、十分に複合体を形成できず、複合体が高い粘性を発現できないおそれがあるため、例えばかかる観点を考慮して加熱時間を適宜設定することができ、加熱時間を1時間以上とすることが好ましい。一方、加熱時間が長すぎると、過加熱によって複合体が高い粘性を発現できないおそれや、複合体に着色が生じるおそれもある。従って、例えばかかる観点も考慮して、加熱時間を、例えば3〜7時間とすることが好ましい。
【0050】
さらに、加熱温度と加熱時間の組み合せについては、適宜設定可能であるが、例えば、加熱温度及び加熱時間を、80〜160℃で1時間以上とすることが好ましく、80〜150℃で3時間〜7時間とすることがより好ましく、100〜150℃で3時間〜7時間とすることがさらに好ましい。
【0051】
前記澱粉とキシログルカンとの混合物の、加熱処理前の水分量は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD−620−1)を用い、140℃×30分で測定したとき、15重量%未満であることが好ましく、13重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
澱粉とキシログルカンの配合量は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能であり、例えば、澱粉とキシログルカンの重量比が5:95〜95:5であることが好ましく、15:85〜95:5であることがより好ましく、60:40〜95:5であることがさらに好ましい。これにより、得られた複合体がより高い粘性を発現することが、可能となる。
【0053】
上記した澱粉、キシログルカンに加え、これら以外の増粘多糖類をさらに添加して、澱粉−キシログルカン複合体を製造することもできる。かかる増粘多糖類として、澱粉及びキシログルカンを除き、例えば、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン、カードラン、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、プルラン、セルロース、キチン、キトサン、グルコサミン等や、これらの分解物等が挙げられ、また、これらから選択される1種類、または2種類以上を組み合わせて配合することもできる。
上記した分解物とは、上記増粘多糖類を熱、酸、酵素などで部分分解したものをいう。具体的には、例えば、商品名ファイバロンS(DSP五協フード&ケミカル株式会社)等のグアーガムの酵素分解物が挙げられる。その他、例えば、ペクチンを酵素で分解して低分子化したペクチン分解物またはペクチンを酵素で分解したオリゴガラクチュロン酸、キチンを塩酸で分解したオリゴ−N−アセチルグルコサミンが挙げられる。
【0054】
前記澱粉−キシログルカン複合体は、水に分散または溶解させたとき、澱粉及びキシログルカンを未加熱で混合して得られた混合物や、澱粉とキシログルカンを単体で乾式加熱した後混合して得られた混合物よりも、高い粘性を発現させることができる。すなわち、澱粉の発揮し得る粘性とキシログルカンの発揮し得る粘性との単なる和ではなく、これらが相乗的に作用した高い粘性を発現させることができる。従って、澱粉及びキシログルカンの使用量を減らすことができるため、コストダウンにつながる。加えて、前記複合体が室温で高い粘性を発現することができるため、製造工程中の加熱の有無にかかわらず高い粘性を付与することができ、前記複合体を広範囲の用途に使用できる。
【0055】
さらに、前記複合体は、例えば耐熱性、耐酸性、耐酵素性、耐シェア性等の点で安定性に優れる。また、発現させた粘性の経時安定性が高く、粘性の変化が少ない。さらに、澱粉及びキシログルカンが天然物に由来するため、前記複合体は、安全性が高く、環境に優しい。加えて、前記複合体は、製造が容易で、水を加える必要がないため複雑な処理が不要となる。そして、前記複合体は、高粘性に基づく効果により、乳化安定性が高いものとなる。
【0056】
また、前記複合体が、上記したように高い粘性等を発現し得るため、該複合体の使用量を大幅に低減することができる。このように使用量を低減できることから、澱粉分子のいわゆる老化現象を相対的に抑制し、これに伴って、該複合体を食品等に含有させた際の安定性の向上も期待される。また、キシログルカンは、澱粉に近い食感を有しており、他の多糖類のような粘着性が少ないため、複合体全体として澱粉に近い自然な食感の発揮が期待され得る。
【0057】
上記の通り、前記澱粉−キシログルカン複合体は、増粘安定剤、ゲル化剤や安定剤として、広い用途へ適用を可能とすることができ、例えば後述する食品へ幅広い適用が期待される。
【0058】
前記澱粉−キシログルカン複合体においては、水溶液濃度6重量%、環境温度25℃、回転速度6rpmの条件でB型回転粘度により粘度を測定した場合に、前記加熱処理後の粘度が、前記加熱処理前の粘度よりも10%以上高いことが好ましい。
【0059】
さらに、本発明に係る澱粉−キシログルカン複合体においては、前記加熱処理後の水分量と前記加熱処理前の水分量との差が、15重量%未満であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0060】
本発明の澱粉−キシログルカン複合体を含有する食品としては、例えば、ドレッシング、衣用バッター、発酵乳製品、プリン、ゼリー等チルドデザート製品、小麦粉製品、プレミックス類、ソース類、たれ類、漬物類、米粉使用製品などが挙げられる。また、ドレッシングとしては、マヨネーズ風のドレッシング等が挙げられ、発酵製品としては、ヨーグルト等の発酵乳製品が挙げられ、小麦粉製品としては、例えばパン、フィリング、フラワーペースト、麺等が挙げられる。
【実施例】
【0061】
以下に本発明について、実施例等を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0062】
試験方法:
本発明において得られた澱粉‐キシログルカン複合体を、水に対して室温で溶解または加熱溶解して溶液を調製し、得られた溶液の粘度を測定した。
【0063】
溶解水溶液の調製方法:
室温溶解水溶液の調製方法として、測定試料を2重量%または6重量%となるように、乾燥減量を考慮して適当量を秤量し、25℃の脱イオン水をTKホモミキサーにて5000rpmで攪拌しながら徐々に添加し分散させ、その後8000rpmに上げ10分間攪拌を続けることによって調製した。一方、加熱溶解水溶液の調製方法としては、上記室温溶解水溶液と同様にして、測定試料を脱イオン水に分散させた後、攪拌しながら95℃で10分加熱することによって調製した後、室温で自然放冷した。そして、かかる自然放冷後、所定の温度(25℃)の恒温槽に入れて、粘度測定に供した。このように複合体の溶解温度を室温と95℃とに設定して調製された各溶解水溶液の粘度を測定することにより、複合体の溶解に加熱が必要か否かを確認した。
【0064】
粘度測定方法:
溶液の粘度測定方法は以下の通りとした。すなわち、2重量%または6重量%に調製した水溶液をトールビーカーに移し25℃の恒温槽に30分間静置後B型粘度計(東機産業株式会社製:TV−20)にてローター回転数6rpmでの粘度を測定した。
【0065】
実験例1 加熱温度による影響
コーンスターチ(コーンスターチY、三和澱粉工業株式会社製)75gとキシログルカン(グリロイド3S、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)25gを粉末混合機(株式会社シンマルエンタープライズ製:ターブラーミキサーT2C)で30分間混合した後、ステンレスバットに広げ、熱風乾燥機(東京理科器械株式会社製:WFO−700)内で、表1に示す所定の温度で7時間加熱処理し、実施例1の澱粉−キシログルカン複合体を得た。次いで、得られた複合体の6重量%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
また、混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の混合物(未加熱)を得、上記と同様に6重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。
【0067】
なお、この実験例で使用した試料が含有する水分値(重量%)を、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD−620−1)を用いて140℃×30分間によって測定したところ、コーンスターチでは12.2重量%、キシログルカンでは2.6重量%、加熱処理前の混合物(比較例1)の水分量は、9.3重量%(表1参照)であった。また、80〜140℃の加熱温度で加熱処理して得られた複合体(実施例1)について、上記試料と同様にして水分量を測定した結果を、表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1に示すように、加熱時間が7時間の場合、加熱温度が80〜150℃では、未加熱の場合と比較して高い粘度(粘性)を示したが、加熱温度が160℃では、粘度が低下していた。また、140℃のとき、粘度は最大値を示した。また、未加熱の混合物の水分量と加熱処理後の水分量との差(すなわち加熱処理前後の水分量の差)は、加熱処理温度を80、100、120、140℃とした場合に、それぞれ4.6重量%、6.1重量%、6.7重量%、7.6重量%であった。
【0070】
実験例2 加熱温度及び加熱時間の影響
コーンスターチ(コーンスターチ、三和澱粉工業株式会社製)を用い、表2に示す所定の加熱温度および加熱時間条件で加熱処理すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の澱粉−キシログルカン複合体を得、得られた複合体の6重量%水溶液の粘度を測定した。また、澱粉とキシログルカンを混合して得た混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例2と同様にして、比較例2の混合物(未加熱)を得、上記と同様に6重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。結果を表2に示す。表中、単位が記載されていない数字は粘度を表し、その単位はmPa・sである。なお、実施例2における140℃7時間のデータは、実施例1のデータを用いた。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示すように、加熱温度が160℃の場合には、1時間という短時間で加熱することにより、十分に高い粘度を示した。また、加熱温度と加熱時間の関係は、加熱温度が高い場合には短時間、加熱温度が低い場合には長時間とすることが粘度を十分に高くするという点で、好ましいことが示された。また、160℃で3時間以上の場合には、複合体が着色する傾向にあった。かかる表2及び上記表1から、加熱温度及び加熱時間が、80℃〜160℃で1時間以上であることが好ましく、80℃〜150℃で3〜7時間であることがより好ましく、100〜150℃で3〜7時間であることがさらに好ましいことが示された。
【0073】
実験例3 澱粉とキシログルカンの配合比率による影響
コーンスターチ(コーンスターチ、三和澱粉工業株式会社製)を用い、表3に示すような所定の配合比率とし、140℃で5時間加熱処理すること以外は実施例1と同様にして、実施例3の澱粉−キシログルカン複合体を得、得られた複合体の6重量%及び2重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。また、澱粉及びキシログルカンをそれぞれ単体で、実施例3と同様に加熱処理した後、表3に示す所定の配合比率で混合して比較例3の混合物(単体加熱後混合)を得、得られた混合物の6重量%及び2重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
表3に示すように、実施例3では、混合物を加熱処理することにより、いずれの配合比率であっても、単体で加熱処理後混合したものと比較して、遥かに高い粘度が示された。かかる高粘度は、比較例3のように、単に澱粉、キシログルカンのそれぞれ単体を加熱処理することによっては得られなかったことから、澱粉とキシログルカンとの混合物を加熱処理することによって両者の複合体が形成され、これにより、相乗的な粘度上昇(増粘作用)が示されたと考えられる。
【0076】
澱粉とキシログルカンの配合比率は、澱粉の配合比率が高過ぎる場合、及びキシログルカンの配合比率が高過ぎる場合には、相乗的な粘度上昇の程度(単体加熱後混合の粘度に対する、複合体の粘度の比率)が小さい傾向にあった。この結果、澱粉とキシログルカンの重量比が、15:85〜95:5であることが好ましく、60:40〜95:5であることがより好ましいことがわかった。
【0077】
実験例4 澱粉種の違いによる影響
コーンスターチ(コーンスターチY、三和澱粉工業株式会社製)、小麦澱粉(小麦澱粉浮粉)、ワキシーコーンスターチ(ワキシスターチY、三和澱粉工業株式会社製)、α化小麦澱粉(WA−105、三和澱粉工業株式会社製)、α化ワキシーコーンスターチ(ワキシーアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、α化コーンスターチ(コーンアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、α化タピオカ澱粉(タピオカアルファーTP−2、三和澱粉工業株式会社製)、タピオカ化工澱粉(てんじん300、王子コーンスターチ株式会社製)、ワキシーコーン化工澱粉(ファインテックスS−1、王子コーンスターチ株式会社製)、以上の各種澱粉各75gと、キシログルカン(グリロイド3S、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)25gと、をそれぞれ上記粉末混合機にて30分間混合した後、ステンレスバットに広げ、上記熱風乾燥機内で、100℃または140℃で5時間加熱処理し、実施例4の澱粉−キシログルカン複合体を得た。そして、得られた複合体の6重量%室温水溶液の粘度を測定した。
【0078】
また、澱粉とキシログルカンを混合して得た混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例4と同様にして、比較例4の混合物(未加熱)を得た。さらに、澱粉及びキシログルカンを単体で実施例4と同様に加熱処理した後、加熱処理された澱粉とキシログルカンを混合すること以外は実施例4と同様にして、比較例5の混合物(単体加熱後混合)を得た。そして、得られた混合物の6重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
表4に示すように、いずれの澱粉においても混合後加熱処理して得られた澱粉−キシログルカン複合体の粘度は、加熱処理を行わない混合物(未加熱)の粘度、及び、澱粉とキシログルカンを単体で同じ条件で加熱処理した後に同じ比率で混合した混合物(単独加熱後混合)の粘度、のいずれの粘度と比べても、遥かに大きかった。この結果、澱粉の種類を変えても、澱粉とキシログルカンの混合物を加熱処理することにより、澱粉−キシログルカン複合体が形成され、相乗的な粘度上昇が得られることがわかった。
【0081】
実験例5 多糖類種の違いによる影響
澱粉とキシログルカンとの配合比率を重量比90:10とし、140℃で5時間の加熱処理を行うこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の澱粉−キシログルカン複合体を得、得られた複合体の6重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。また、キシログルカンの代わりに、該キシログルカンと同じく非イオン系多糖類であるグアガム(グアパック、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、ローカストビーンガム(メイプロディン200、三晶株式会社製)を用いること以外は実施例5と同様にして、比較例6の処理物を得、得られた処理物の6重量%室温溶解水溶液の粘度を測定した。結果を表5に示す。
【0082】
【表5】

【0083】
表5に示すように、澱粉−キシログルカン複合体では粘度上昇が見られるが、澱粉−グアーガムの処理物では、加熱処理によって粘度が大きく低下し、澱粉−ローカストビーンガムの処理物では、加熱処理しても粘度が殆ど変化しなかった。この結果、澱粉−キシログルカン複合体の相乗的な粘度上昇は、キシログルカンに特有のものであることが示された。
【0084】
実験例6 経時安定性
α化小麦澱粉(WA−105、三和澱粉工業株式会社製)、α化コーンスターチ(コーンアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、α化タピオカ澱粉(タピオカアルファーTP−2、三和澱粉工業株式会社製)、α化ワキシーコーンスターチ(ワキシーアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、以上の各種澱粉各75gとキシログルカン(グリロイド3S、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)25gを用い、100℃で5時間加熱処理すること以外は実施例1と同様にして、実施例6の澱粉−キシログルカン複合体を得た。そして、得られた複合体を10℃環境下に保存し、6重量%室温溶解水溶液の粘度を経時的に測定した。
【0085】
また、加熱処理していない澱粉単体を比較例7とし、澱粉とキシログルカンを混合して得た混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例6と同様にして混合物(未加熱)を得、得られた混合物を比較例8とした。そして、これらを10℃環境下に保存し、6重量%室温溶解水溶液の粘度を経時的に測定した。結果を表6に示す。
【0086】
【表6】

【0087】
表6に示すように、澱粉−キシログルカン複合体は、いずれの澱粉種においても、澱粉単体及び混合物と比較して10℃において経時的な粘度の増減(変化)が小さく、より安定であった。
【0088】
実験例7 加熱溶解粘度
コーンスターチ(コーンスターチY、三和澱粉工業株式会社製)、小麦澱粉(小麦澱粉浮粉)、ワキシーコーンスターチ(ワキシスターチY、三和澱粉工業株式会社製)、α化小麦澱粉(WA−105、三和澱粉工業株式会社製)、ワキシーコーン化工澱粉(ファインテックスS−1、王子コーンスターチ株式会社製)、タピオカ化工澱粉(てんじん300、王子コーンスターチ株式会社製)、以上の各種澱粉各75gとキシログルカン(グリロイド2A、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)25gを用い、100℃及び140℃で5時間加熱処理すること以外は実施例1と同様にして、実施例7の澱粉−キシログルカン複合体を得た。そして、得られた複合体の6重量%加熱溶解水溶液の粘度を測定した。
【0089】
また、澱粉とキシログルカンを混合して得た混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例7と同様にして、比較例9の混合物(未加熱)を得た。そして、得られた混合物の6重量%加熱溶解水溶液の粘度を測定した。結果を表7に示す。
【0090】
【表7】

【0091】
加熱溶解水溶液は、室温溶解水溶液と比べると粘度の上昇の程度はやや少ないが、未加熱の混合物と比較して、粘度が大きく増加した。特に、澱粉としてコーンスターチを用いた場合には、複合体の増粘作用が大きかった。
【0092】
実験例8 食品応用例(マヨネーズでの経時安定性)
α化小麦澱粉(WA−105、三和澱粉工業株式会社製)、α化コーンスターチ(コーンアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、α化タピオカ澱粉(タピオカアルファーTP−2、三和澱粉工業株式会社製)、α化ワキシーコーンスターチ(ワキシーアルファーY、三和澱粉工業株式会社製)、以上の各種澱粉各75gとキシログルカン(グリロイド3S、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)25gをそれぞれ上記混合機にて30分間混合した後、ステンレスバットに広げ、上記熱風乾燥機内で、100℃で5時間加熱処理し、澱粉−キシログルカン複合体を得た。
【0093】
得られた澱粉−キシログルカン複合体を試料として用い、表8に示す配合でマヨネーズを調製し、調整したマヨネーズの粘度を経時的に測定した。具体的には、TKホモミキサーで撹拌しながら水に上記複合体を分散し、回転数5000rpmで10分間攪拌後、食塩、モノグルタミン酸ナトリウム(MSG)、からし粉、食酢を加え、さらに卵黄(生)、卵白(生)を添加し5000rpmで5分間攪拌した。さらに8000rpmで菜種油を徐々に添加後、5分間撹拌して予備乳化後、圧力ホモゲナイザーによるホモ処理(15MPa)で乳化してマヨネーズを調製した後、マヨネーズ瓶に充填して実施例8のマヨネーズを得た。そして、得られたマヨネーズを、10℃のインキュベーターに保存後、14日後、30日後の粘度を、上記粘度計(6rpm)を用いて測定した。
【0094】
また、澱粉とキシログルカンを混合して得た混合物について加熱処理を行わないこと以外は実施例8と同様にして、澱粉とキシログルカンの混合物を試料として得、得られた試料を用いて実施例8と同様にして表8の配合でマヨネーズを調製し、比較例10のマヨネーズを得た。そして、得られたマヨネーズを、10℃のインキュベーターに保存後、14日後、30日後の粘度を、上記粘度計(6rpm)を用いて測定した。実施例8及び比較例10のマヨネーズの粘度の、経時的な変化を表9に示す。表9中の数字は初期粘度を100%とした際の粘度の相対変化を表し、単位は%である。
【0095】
【表8】

【0096】
【表9】

【0097】
表9に示すように、いずれの澱粉を用いた場合であっても、澱粉−キシログルカン複合体を用いて調製したマヨネーズは、未加熱混合物を用いて調製したマヨネーズと比較して、30日経過後においても経時な粘度の変化が小さく、安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉とキシログルカンとが乾式にて混合された混合物を、乾式にて80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有することを特徴とする澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項2】
前記加熱処理を、1〜7時間行う請求項1に記載の澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項3】
前記混合物は、前記澱粉と前記キシログルカンとが重量比15:85〜95:5で混合されている請求項1または2に記載の澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項4】
前記澱粉は、コーンスターチ、小麦澱粉、ワキシーコーンスターチ、α化小麦澱粉、α化ワキシーコーンスターチ、α化コーンスターチ、α化タピオカ澱粉、タピオカ化工澱粉、ワキシーコーン化工澱粉から選択される1種類、または、2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項5】
前記キシログルカンは、タマリンド種子由来のキシログルカンである請求項1〜4のいずれかに記載の澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項6】
澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合しつつ80〜160℃で加熱処理する加熱処理工程を有することを特徴とする澱粉−キシログルカン複合体の製造方法。
【請求項7】
澱粉とキシログルカンとが乾式にて混合された混合物が、乾式にて80〜160℃で加熱処理されて成ることを特徴とする澱粉−キシログルカン複合体。
【請求項8】
水溶液濃度6重量%、環境温度25℃、回転速度6rpmの条件でB型回転粘度により粘度を測定した場合に、前記加熱処理後の粘度が、前記加熱処理前の粘度よりも10%以上高い請求項7に記載の澱粉−キシログルカン複合体。
【請求項9】
前記加熱処理後の水分量と前記加熱処理前の水分量との差が、15重量%以下である請求項7または8に記載の澱粉−キシログルカン複合体。
【請求項10】
澱粉とキシログルカンとを乾式にて混合しつつ80〜160℃で加熱処理されて成ることを特徴とする澱粉−キシログルカン複合体。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の澱粉−キシログルカン複合体を含有することを特徴とする食品。
【請求項12】
前記食品が、ドレッシング、バッター、発酵食品、チルド製品、小麦粉製品、プレミックス類、ソース類、たれ類、漬物または米粉製品である請求項11に記載の食品。

【公開番号】特開2012−207079(P2012−207079A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72299(P2011−72299)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(501360821)DSP五協フード&ケミカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】