説明

澱粉の加水分解法

本発明は、粒状澱粉の初期糊化温度より低い温度において粒状澱粉を酵素加水分解して可溶性澱粉加水分解物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、粒状澱粉の初期糊化温度より低い温度において粒状澱粉を加水分解して可溶性澱粉加水分解物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
澱粉を、甘味料としてまたは他の糖類の前駆体、例えば、フルクトースとして使用される澱粉加水分解物、例えば、マルトース、グルコースまたは特にシロップに転化する、多数の方法が記載されてきている。また、グルコースを発酵させてエタノールまたは他の発酵生成物、例えば、クエン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、ナトリウムエリトルベート、イタコン酸、乳酸、グルコン酸; ケトン; アミノ酸、グルタミン酸 (モノグルタミン酸ナトリウム) 、ペニシリン、テトラサイクリン; 酵素; ビタミン、例えば、リボフラビン、B12、β-カロテンまたはホルモンを生成することができる。
【0003】
澱粉はグルコース単位の鎖から成る高分子量ポリマーである。通常、それは約80%のアミロペクチンおよび20%のアミロースから成る。アミロペクチンは、α-1,4 D-グルコース残基の直鎖がα-1,6 グリコシド結合で結合されている、分枝鎖状多糖である。
アミロースは、α-1,4 グリコシド結合で一緒に結合されたD-グルコピラノース単位から構築された、直鎖状多糖である。澱粉を可溶性澱粉加水分解物に転化する場合において、澱粉は解重合される。慣用の解重合プロセスは、糊化工程および2つの連続的プロセス工程、すなわち、液化プロセスおよびサッカリド化プロセスから成る。
【0004】
粒状澱粉は、室温において水中に不溶性である微視的粒体から成る。水性澱粉スラリーを加熱するとき、粒体は膨潤し、究極的に破裂して、澱粉分子を溶液中に分散させる。この「糊化」プロセス間に、粘度が劇的に増加する。典型的な産業的プロセスにおいて、固形分は30〜40%であるので、澱粉を希釈または 「液化」 して取扱い可能としなくてはならない。この粘度減少は今日主として酵素分解により実施される。液化工程間に、長鎖澱粉はα-アミラーゼにより小さい分枝鎖状単位および直鎖状単位 (マルトデキストリン) に分解される。典型的には、液化プロセスは約105〜110℃において約5〜10分間、次いで約95℃において約1〜2時間実施される。次いで温度を60℃に低下させて、グルコアミラーゼまたはβ-アミラーゼおよび必要に応じて脱分枝酵素、例えば、イソアミラーゼまたはプルラナーゼを添加し、そしてサッカリド化プロセスを約24〜72時間進行させる。
【0005】
前述の説明から明らかなように、慣用の澱粉転化プロセスは、種々の工程間の温度に関する異なる必要条件のために、非常にエネルギーを消費する。こうして、澱粉を糊化しないで全体のプロセスを実施できるように、このプロセスにおいて使用する酵素を選択することが望ましい。このようなプロセスは下記の特許の主題である: US 4591560、US 4727026およびUS 4009074およびEP 0171218。
本発明は、澱粉の初期糊化温度より低い温度において粒状澱粉を可溶性澱粉加水分解物に転化する1工程プロセスに関する。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
第1の面において、本発明は、可溶性澱粉加水分解物を製造する方法を提供し、この方法は水性粒状澱粉スラリーを前記粒状澱粉の初期糊化温度より低い温度において第1酵素および第2酵素の作用に暴露することを含んでなり、前記第1酵素は、グリコシドヒドロラーゼファミリー13のメンバーであり; α-1,4-グリコシド加水分解活性を有し; そしてCBMファミリー20に属する機能的炭水化物結合性モジュール (CBM) を含んでなり、前記CBMは配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有し; そして第2酵素は真菌α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) およびグルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) を含んでなるリストから選択される。
【0007】
本発明の第1面の方法は、1工程プロセスとしておよび/または1または2以上の工程を含んでなるプロセスとして実施することができる。
第2の面において、本発明は、高フルクトース性シロップ (HFSS) を製造する方法を提供し、前記方法は本発明の第1面の方法により可溶性澱粉加水分解物を製造することを含んでなり、さらに可溶性澱粉加水分解物を高フルクトース性シロップ (HFSS) に転化することを含んでなる。
【0008】
第3の面において、本発明は、燃料用または飲用エタノールを製造する方法を提供し、この方法は本発明の第1面の方法により可溶性澱粉加水分解物を製造することを含んでなり、さらに可溶性澱粉加水分解物を発酵させてエタノールを生成する工程を含んでなり、ここで発酵工程を粒状澱粉の加水分解と同時にまたは別々に/順次に実施する。
【0009】
第4の面において、本発明は、澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素の使用を提供し、前記酵素は配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する機能的CBMを含んでなる。
【0010】
第5の面において、本発明は、粒状澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素の使用を提供し、前記酵素は配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる。
【0011】
第6の面において、本発明は、粒状澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素および機能的CBMの使用を提供し、前記酵素は配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
定義
用語 「粒状澱粉」 は、原料の生澱粉、すなわち、糊化されていない澱粉として理解される。澱粉は水中に不溶性である小さい粒体として植物中で形成される。これらの粒体は初期糊化温度より低い温度において澱粉中に保存される。冷水中に入れると、粒体は少量の液体を吸収する。50℃〜70℃まで、膨潤は可逆的であり、可逆性の程度は特定の澱粉に依存する。より高い温度において、糊化と呼ばれる不可逆的膨潤が開始する。
【0013】
用語 「初期糊化温度」 は、澱粉の糊化が開始する最低温度として理解される。水中で加熱された澱粉は50℃〜75℃において糊化し始める; 糊化の正確な温度は特定の澱粉に依存し、当業者はそれを容易に測定することができる。こうして、初期糊化温度は植物種、植物種の特定の変種、ならびに成長条件に従い変化することがある。本発明の関係において、所定の澱粉の初期糊化温度は、下記の文献に記載されている方法を使用して澱粉粒体の5%において複屈折が喪失する温度である: Gorinstein S. およびLii C. 、Starch/Starke、Vol. 44 (12) pp. 461-466 (1992) 。
【0014】
用語 「可溶性澱粉加水分解物」 は、本発明の方法の可溶性生成物として理解され、そして単糖、二糖、およびオリゴ糖、例えば、グルコース、マルトース、マルトデキストリン、シクロデキストリンおよびこれらの任意の混合物を含んでなることができる。好ましくは、粒状澱粉の乾燥固形分の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%は可溶性澱粉加水分解物に転化される。
【0015】
用語 「特殊シロップ」 は、この分野において認識されている用語であり、そしてDEおよび炭水化物スペクトルに従い特性決定される (参照: 論文”New Specialty Glucose Syrups”、p. 50+、テキストブック”Molecular Structure and Function of Food Carbohydrate”、編者: G. G. BirchおよびL. F. Green、Applied Science Publishers LTD、ロンドン) 。典型的には、特殊シロップは35〜45の範囲のDEを有する。
【0016】
「グリコシドヒドロラーゼファミリー13」 は、本発明の関係において、(β/α) 8またはTIMバレル構造を有する触媒モジュールを含んでなり、そしてα‐保持反応メカニズムを通して澱粉および関係する基質に作用するヒドロラーゼのグループとして定義される (Koshland、1953、Biol. Rev. Camp. Philos. Soc. 28、416-436) 。
「α-1,4 グリコシド加水分解活性」は、本発明の関係において、下記の文献において定義されているように、α-1,4 グリコシド結合の加水分解および/または合成を触媒する酵素のグループを含んでなるとして定義される: Takata 他、1992、J. Biol. Chem. 267、18447-18452およびKoshland、1953、Biol. Rev. Camp. Philos. Soc. 28、416-436。
【0017】
「ファミリー20の炭水化物結合性モジュール」またはCBM-20モジュールは、本発明の関係において、下記の文献に開示されているポリペプチドの炭水化物結合性モジュール (CBM) に対して少なくとも45%の相同性を有するほぼ100アミノ酸の配列として定義される: 第1図、Joergensen 他 (1997) Biotechnol. Lett. 19: 1027-1031。CBMはポリペプチドの少なくとも102アミノ酸、すなわち、アミノ酸582〜683のサブ配列を含んでなる。
【0018】
この開示において適用されるグリコシドヒドロラーゼファミリーのナンバリングは下記の概念に従う: Coutinho P. M. およびHenrissat B. (1999) CAZy-Carbohydrate-Active Enzymes server at URL: http://afmb.cnrs-mrs.fr/-cazy/CAZY/index.htmlまたは選択的にCoutinho P. M. およびHenrissat B. 1999; The modular structure of cellulases and other carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach、”Genetics, Biochemistry and Ecology of Cellulose Degradation”、 編者: K. Ohmiya、K. Hayashi、K. Sakka、Y. Kobayashi、C. Karitaおよび. Kimura、Uni Publishers Co. 東京、pp. 15-23、およびBoume Y. およびHenrissat B. 2001; Glycoside hydrolase and glycosyltransferases: families and functional modules、Current Opinion in Structural Biology 11: 593-600。
【0019】
炭水化物結合性モジュール (CBM) は、多糖またはオリゴ糖 (炭水化物) に優先的に結合し、頻繁に - しかし必ずしも独占的にではなく - それらの水不溶性 (結晶を含む) 形態に結合する、ポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0020】
多数のタイプのCBMが特許および科学文献に記載されてきているが、それらの大部分 - それらの多数はセルロース分解酵素 (セルラーゼ) から誘導され - 「セルロース結合性モジュール」と普通に言及される; こうして典型的なセルロース結合性モジュールはセルラーゼ中に存在するCBMである。同様に、CBMの他のサブクラスは、例えば、キチン結合性モジュール (典型的にはキチナーゼ中に存在するCBM) 、キシラン結合性モジュール (典型的にはキシラナーゼ中に存在するCBM) 、マンナン結合性モジュール (典型的にはマンナナーゼ中に存在するCBM) 、澱粉結合性モジュール (ある種の澱粉加水分解酵素、例えば、ある種のグルコアミラーゼ中に存在し、またはシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼのような酵素中に存在することがある) 、またはα-アミラーゼを包含する。
【0021】
CBMは、特に典型的には基質加水分解のための活性部位を含有する触媒モジュールと、問題の炭水化物基質に結合するための炭水化物結合性モジュール (CBM) とを含んでなる加水分解酵素 (ヒドロラーゼ) において、2またはそれ以上のポリペプチドアミノ酸配列領域から成る大きいポリペプチドまたはタンパク質の一体的部分として見出される。このような酵素は2以上の触媒モジュールと、1、2または3つのCBMとを含んでなることができ、必要に応じて1または2以上のCBMを1または2以上の触媒モジュールに結合させる1または2以上のポリペプチドアミノ酸配列をさらに含んでなり、後者のタイプの領域は通常「リンカー」と呼ばれる。CBMを含んでなる加水分解酵素の例 (それらのあるものは既に前述した) は、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルエステラーゼおよびキチナーゼである。CBMは、また、藻類、例えば、赤色藻ポルフィラ・プルプレア (Porphyra purpurea) 中に非加水分解性多糖結合性タンパク質の形態で見出された。
【0022】
CBMが存在するタンパク質/ポリペプチド (例えば、酵素、典型的には加水分解酵素) において、CBMはN末端またはC末端にまたは内部に位置することができる。
CBMそれ自体を構成するポリペプチドまたはタンパク質 (例えば、加水分解酵素) の部分は、典型的には、約30より多いが、約250より少ないアミノ酸残基から成る。
アミノ酸配列配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるCBMを含んでなる酵素、ならびにアミノ酸配列配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の相同性を有するCBMを含んでなる酵素は本発明において好ましい。
【0023】
この開示において言及するポリペプチドの 「相同性」 は、第1配列が第2配列から偏っていることを示す、2配列間の同一性の程度として理解される。相同性はこの分野において知られているコンピュータプログラム、例えば、下記により適当に決定することができる: GCGプログラムパッケージで提供されるGAP (Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8、1994年8月、Genetics Computer Group、575 Science Drive、米国 53711 ウィスコンシン州マディソン) (Needleman S. B. およびWunsch C. D. (1970) 、Journal of Molecular Biology 48、443-453。アミノ酸配列を比較するために下記の設定を使用する: 3.0のGAP生成ペナルティーおよび0.1のGAPエクステンションペナルティー。
【0024】
本発明の第1酵素として使用すべき酵素は、3モジュールアミラーゼコアと、ファミリー20の別の炭水化物結合性モジュールとから成る4モジュールα-アミラーゼである。このα-アミラーゼは細菌源または真菌源に由来する野生型α-アミラーゼであることができるか、あるいはそれは突然変異体、タンパク質操作変異型、またはこのような野生型の他の変異型であることができるか、あるいはそれは変異型または野生型のハイブリッドであることができる。
【0025】
α-アミラーゼは野生型酵素であることが好ましい。次のα-アミラーゼはいっそう好ましい: 活性の増加、低いpHおよび/または高いpHにおけるタンパク質安定性の増加、カルシウム消耗に向かう安定性の増加、および/または高温における安定性の増加に導くアミノ酸修飾を含んでなる前述のα-アミラーゼの変異型および/またはハイブリッド。
【0026】
この開示において言及する用語 「酵素ハイブリッド」 は、CBMを含んでなるアミノ酸配列に結合した (すなわち、二重結合した) 澱粉加水分解酵素 [これは本発明の関係において、例えば、α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、イソアミラーゼ (EC 3.2.1.68) またはプルラナーゼ (EC 3.2.1.41) であることができる] のアミノ酸配列を含んでなる修飾された酵素として理解される。CBMはN-末端に融合されていることが好ましいが、これに限定されない。ハイブリッドは2以上のCBMを含んでなることができる。
【0027】
CBMを含有する酵素ハイブリッド、ならびにそれらの製造および精製はこの分野において知られている [例えば、下記の文献を参照のこと: WO 90/00609、WO 94/24158およびWO 95/16782、ならびにGreenwood 他、Biotechnology and Bioengineering 44 (1994) pp. 1295-1305] 。それらは、例えば、次のようにして製造することができる: 問題の酵素をコードするDNA配列に、リンカーを使用するか、あるいは使用しないで、結合したセルロース結合性モジュールをコードするDNAフラグメントを含んでなるDNA構築物を宿主細胞の中に形質転換し、そして形質転換された宿主細胞を増殖させて融合遺伝子を発現させる。
【0028】
炭水化物結合性モジュール (CBM) とα-アミラーゼとの間のハイブリッドタンパク質の構築において、安定な発現可能なかつ適用可能な酵素を得るために1または2以上の下記工程を必要とする。
【0029】
1) 可能な交雑点を同定するために、慣用法に従いCBMドナー分子を触媒モジュールドナーと整列させることがしばしば必要である。相同性が相対的に高い場合、いくつかの可能な交雑点が存在することができる。しかしながら、相同性が低い場合または触媒モジュールの配列およびCBMのみが利用可能である場合、それぞれ、CBMは配列の開始において、すなわち、究極的にシグナル配列後に挿入されたN-末端において; または停止シグナル前のC-末端において触媒モジュールに伸長として結合することができる。CBMがN-末端またはC-末端に位置するかどうかに無関係に、数アミノ酸を欠失させるか、あるいはリンカーとしてある数のアミノ酸を挿入して発現可能な適用安定性酵素を得ることが有益であることがある。
【0030】
2) 前記1) においてなされた考察に従いCBMをコードする遺伝子と澱粉加水分解モジュールとのDNAハイブリッドを構築することは、当業者に知られている方法により実施することができる。これらの方法は、なかでも、生ずるDNA交雑点にわたってハイブリダイゼーションするように設計されたプライマーを使用するPCR反応、DNA消化および引き続く結合または、例えば酵母による、 in vivo 組み合わせを包含する。
【0031】
3) 澱粉加水分解モジュールへのCBMの簡単な結合は、フォールディングまたは安定性の問題のために発現に劣るハイブリッドタンパク質、または所定の適用下に十分な安定性および/または活性を欠如するハイブリッドタンパク質をしばしば生ずる。このような問題を克服するために、位置指定突然変異誘発またはいっそうランダムなアプローチにより、ハイブリッドタンパク質をタンパク質操作に付すことができる。これはCBMモジュールおよび澱粉加水分解モジュール中のアミノ酸、ならびに長さおよびアミノ酸配列に関して、澱粉加水分解モジュールからCBMへの移行を最適化することを包含する。
【0032】
アミノ酸配列配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるCBMを含んでなるハイブリッド酵素、ならびにアミノ酸配列配列番号1、配列番号2および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる酵素は、本発明の第1酵素として好ましい。
【0033】
また、α-澱粉加水分解活性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつアミノ酸配列配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるハイブリッド酵素、ならびにアミノ酸配列配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる酵素は、本発明の第1酵素として好ましい。
【0034】
好ましくは、本発明の第1酵素は、CBMおよび/または真菌、例えば、タラロマイセス (Talaromyces) の種に属する株、またはアスペルギルス (Aspergillus) の種に属する種、例えば、アスペルギルス・アワモリ (A. awamori) 、アスペルギルス・カワチイ (A. kawachii) 、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) およびその他に由来するか、あるいは細菌、例えば、バシラス (Bacillus) の種、例えば、バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) 、バシラス・フラボテルムス (B. flavothermus) 、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) またはバシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) に由来するα-澱粉加水分解配列を含んでなる。
【0035】
3モジュールアミラーゼコアと、ファミリー20の別の炭水化物結合性モジュールとから成る4モジュールα-アミラーゼは、本発明の第1酵素としていっそう好ましい。配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる4モジュールα-アミラーゼは最も好ましい。
【0036】
好ましくは、本発明の第1酵素は、真菌または細菌、例えば、バシラス (Bacillus) 種の株から単離された4モジュールα-アミラーゼ、例えば、配列番号20および配列番号21に示すポリペプチド、またはバシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) の株から単離された4モジュールα-アミラーゼ、例えば、配列番号19に示すポリペプチド、またはアスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) の株から単離された4モジュールα-アミラーゼ、例えば、配列番号22に示すポリペプチドである。
【0037】
配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなるα-アミラーゼは、本発明の第1酵素として最も好ましい。
上記α-アミラーゼは0.001〜1.0 KNU/g DS、好ましくは0.002〜0.5 KNU/g DS、好ましくは0.02〜0.1 KNU/g DSの量で添加することができる。
【0038】
真菌α-アミラーゼ
本発明の方法において第2酵素として使用すべき特定の酵素は、真菌α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、例えば、フンガミル様α-アミラーゼである。この開示において、用語 「フンガミル様α-アミラーゼ」 は、WO 96/23874中の配列番号10に示すアミノ酸配列に対して高い相同性、すなわち、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%またはさらに90%より高い相同性を有するα-アミラーゼを示す。真菌α-アミラーゼは0.001〜1.0 AFAU/g DS、好ましくは0.002〜0.5 AFAU/g DS、好ましくは0.02〜0.1 AFAU/g DSの量で添加することができる。
【0039】
β-アミラーゼ
本発明の方法において第2酵素として使用すべき他の特定の酵素は、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) であることができる。β-アミラーゼはエキソ作用性マルトジェニックアミラーゼに対して伝統的に与えられた名称である。これらのアミラーゼは、アミロース、アミロペクチンおよび関係するグルコースポリマー中の1,4-α-グリコシド結合の加水分解してグルコースを生成する反応を触媒する。
β-アミラーゼは種々の植物および微生物から単離されてきている (W. M. FogartyおよびC. T. Kelly、Progress in Industrial Microbiology Vol. 15、pp. 112-115、1979) 。これらのβ-アミラーゼは、40℃〜65℃の範囲の最適温度および4.5〜7.0の範囲の最適pHを有することにより特徴づけられる。考えられるβ-アミラーゼは、オオムギSpezyme(商標)BBA 1500、Spezyme(商標)DBAおよびOptimatTM ME、OptimatTM BBA (Genencor Int. から) 、ならびにNovozymeTM WBA (Novozymes A/S から) からのβ-アミラーゼを包含する。
【0040】
グルコアミラーゼ
本発明の方法において第2酵素として使用すべきそれ以上の特定の酵素は、また、微生物または植物に由来するグルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) であることができる。下記から成る群から選択される真菌または細菌由来のグルコアミラーゼは好ましい: アスペルギルス (Aspergillus) グルコアミラーゼ、特にアスペルギルス・ニガー (A. niger) G1またはG2グルコアミラーゼ (Boel 他 (1984) 、ENBO J. 3 (5) 、p. 1097-1102) 、またはそれらの変異型、例えば、WO 92/00381またはWO 00/04136に開示されているもの; アスペルギルス・アワモリ (A. awamori) グルコアミラーゼ (WO 84/02921) 、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) (Agric、Biol. Chem. (1991) 、55 (4)、p. 941-949) 、またはそれらの変異型またはフラグメント。
【0041】
他の考えられるアスペルギルス (Aspergillus) グルコアミラーゼは熱安定性を増強する変異型を包含する: G137AおよびG139A (Chen 他 (1996) 、Prot. Engng. 9、499-505); D257EおよびD293E/Q (Chen 他 (1995) 、Prot. Engng. 8、575-582); N182 (Chen 他 (1994) 、Biochem. J. 301、275-281); ジサルファイド結合、A246C (Fierobe 他 (1996) 、Biochemistry 35、8698-8704; および位置A435およびS436におけるPro残基の導入 (Li 他 (1997) 、Protein Engng. 10、1199-1204。
【0042】
他の考えられるグルコアミラーゼは下記のものを包含する: タラロマイセス (Talaromyces) グルコアミラーゼ、特にタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) (WO 99/28448) 、 タラロマイセス・レイセタヌス (Talaromyces leycettanus) (米国特許Re. 32,153) 、タラロマイセス・ズポンチ (Talaromyces duponti) 、タラロマイセス・サーモフィルス (Talaromyces thermophilus) (米国特許第4,587,215号) に由来するグルコアミラーゼ。
【0043】
細菌の考えられるグルコアミラーゼは、クロストリジウム (Clostridium) 属、特にクロストリジウム・テルモアミロリチカム (C. thermoamylolyticum) (EP 135,138) 、および クロストリジウム・テルモヒドロスルフリカム (C. thermohydrosulfuricum) (WO 86/01831) からのグルコアミラーゼを包含する。好ましいグルコアミラーゼは、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) に由来するグルコアミラーゼ、例えば、WO 00/04136中の配列番号2に示されているアミノ酸配列に対して50%、55%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%またはさらに90%の相同性を有するグルコアミラーゼを包含する。
【0044】
また、下記の商品が考えられる: AMG 200L; AMG 300L; SANTM SUPERおよびAMGTM E (Novozymesから); OPTIDEXTM 300 (Genencor Int. から); AMIGASETMおよびAMIGASETM PLUS (DSMから); G-ZYMETM G900 (Enzyme Bio-Systemsから); G-ZYMETM G990 ZR (アスペルギルス・ニガー (A. niger) グルコアミラーゼおよび低プロテアーゼ含有率) 。
グルコアミラーゼは0.02〜2.0 AGU/g DS、好ましくは0.1〜1.0 AGU/g DS、例えば0.2 AGU/g DSの量で添加することができる。
【0045】
追加の酵素
本発明の方法は、第3酵素の存在下に実施することができる。特定の第3酵素はバシラス (Bacillus) α-アミラーゼ (しばしば「ターマミル (Termamyl) 様α-アミラーゼ」と呼ばれる) であることができる。よく知られているターマミル様α-アミラーゼは、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) の株に由来するα-アミラーゼ (Termamylとして商業的に入手可能である) 、バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) 、およびバシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) に由来するα-アミラーゼを包含する。
【0046】
他のターマミル様α-アミラーゼは下記のものを包含する: バシラス (Bacillus) 種の株NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513またはNCIB 9375に由来するα-アミラーゼ、それらのすべてはWO 95/26397に詳細に記載されている; および下記の文献に記載されているα-アミラーゼ: Tsukamoto 他、Biochemical and Biophysical Research Communications 151 (1988) 、pp. 25-31。本発明の関係において、ターマミル様α-アミラーゼはWO 99/19467、p. 3、l. 18 - p. 6、l. 27に規定されているα-アミラーゼである。
【0047】
考えられる変異型およびハイブリッドは、WO 96/23874、WO 97/41213、およびWO 99/19467に記載されている。下記の突然変異を有する組換えバシラス・ステアロサーモフィラス (B. stearothermophilus) α-アミラーゼ変異型が特別に考えられる: I181* + G182* + N193F。バシラス (Bacillus) α-アミラーゼは当業者によく知られている有効量で添加することができる。
【0048】
本発明の他の特定の第3酵素は脱分枝酵素、例えば、イソアミラーゼ (EC 3.2.1.68) またはプルラナーゼ (EC 3.2.1.41) であることができる。イソアミラーゼはアミロペクチンおよびβ-限界デキストリン中のα-1,6-D-グリコシド分岐結合を加水分解し、そしてβ-限界デキストリンプルランを攻撃できないこと、およびα-限界デキストリンに対する限定された作用により、プルラナーゼと区別することができる。枝切り酵素は当業者によく知られている有効量で添加することができる。
【0049】
本発明の態様
本発明の方法に付すべき澱粉スラリーは、20〜55%の乾燥固形分粒状澱粉、好ましくは25〜40%の乾燥固形分粒状澱粉、より好ましくは30〜35%の乾燥固形分粒状澱粉を有することができる。
本発明の第1面の方法に付した後、粒状澱粉の少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または好ましくは少なくとも99%の乾燥固形分が可溶性澱粉加水分解物に転化される。
【0050】
本発明によれば、第1面および第2面の方法は初期糊化温度より低い温度において実施される。好ましくは、方法を実施する温度は、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも41℃、少なくとも42℃、少なくとも43℃、少なくとも44℃、少なくとも45℃、少なくとも46℃、少なくとも47℃、少なくとも48℃、少なくとも49℃、少なくとも50℃、少なくとも51℃、少なくとも52℃、少なくとも53℃、少なくとも54℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、または好ましくは少なくとも60℃である。
【0051】
本発明の第1面の方法を実施するpHは、3.0〜7.0、好ましくは3.5〜6.0、またはより好ましくは4.0〜5.0の範囲であることができる。
【0052】
本発明の第1面の方法における生成物である可溶性澱粉加水分解物の正確な組成は、適用する酵素の組み合わせおよび処理する粒状澱粉のタイプに依存する。好ましくは、可溶性加水分解物は少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95.0%、少なくとも95.5%、少なくとも96.0%、少なくとも96.5%、少なくとも97.0%、少なくとも97.5%、少なくとも98.0%、少なくとも98.5%、少なくとも99.0%または少なくとも99.5%の純度を有するマルトースである。
【0053】
さらにいっそう好ましくは、可溶性澱粉加水分解物はグルコースであり、そして最も好ましくは、澱粉加水分解物は少なくとも94.5%、少なくとも95.0%、少なくとも95.5%、少なくとも96.0%、少なくとも96.5%、少なくとも97.0%、少なくとも97.5%、少なくとも98.0%、少なくとも98.5%、少なくとも99.0%または少なくとも99.5%のDX (全可溶化乾燥固形分のグルコース%) を有する。しかしながら、本発明における生成物である可溶性澱粉加水分解物が特殊シロップ、例えば、アイスクリーム、ケーキ、キャンディー、缶詰果実の製造に使用される、グルコース、マルトース、DP3およびDPnの混合物を含有する特殊シロップである方法が等しく考えられる。
【0054】
本発明の方法において処理すべき粒状澱粉は、特に塊茎、根、茎、莢、穀物または全穀粒から得ることができる。さらに詳しくは、粒状澱粉はトウモロコシ、トウモロコシ粗粒、穂軸、コムギ、オオムギ、ライムギ、マイロ、サゴ、カッサバ、タピオカ、モロコシ、イネ、エンドウ、ソラマメ・インゲン・ササゲの類、バナナまたはジャガイモから得ることができる。処理すべき粒状澱粉は、高度に精製された澱粉品質、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99.5%の純度であることができるか、あるいは非澱粉画分、例えば、胚芽残留物および繊維を含む微粉砕全穀粒を含んでなる材料を含有するいっそう粗製の澱粉であることができる。
【0055】
原料、例えば、全穀粒を微粉砕して構造を開き、それ以上の処理を可能とする。2種類の微粉砕プロセスは本発明において好ましい: 乾式微粉砕および湿式微粉砕。乾式微粉砕において、全仁を微粉砕し、使用する。湿式微粉砕において、胚芽と粉末 (澱粉粒体およびタンパク質) は良好に分離され、澱粉加水分解物をシロップの製造に使用する位置に適用され、ここでわずかの例外が存在する。乾式微粉砕および湿式微粉砕の両方は澱粉加工の分野においてよく知られており、そして本発明の方法のために等しく考えられる。
【0056】
本発明の第1面の方法は限外濾過システム中で実施することができ、ここで保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液は可溶性澱粉加水分解物である。限外濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施する方法が等しく考えられ、ここで保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液は可溶性澱粉加水分解物である。また、精密濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施する方法が考えられ、ここで保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液は可溶性澱粉加水分解物である。
【0057】
本発明の第2面の方法において、本発明の方法における可溶性澱粉加水分解物を高フルクトース性シロップ (HFSS) 、例えば、高フルクトース性コーンシロップ (HFCS) に転化する。この転化は好ましくはグルコースイソメラーゼを使用して、より好ましくは固体支持体上に支持された固定化グルコースイソメラーゼを使用して達成される。考えられるイソメラーゼは、商品SweetzymeTM IT (Novozymes A/Sから) 、G-zymeTM IMGIおよびG-zymeTM G993、KetomaxTMおよびG-zymeTM G993 (Rhodiaから) 、G-zymeTM G993液体およびGenSweetTM IGI (Genencor Int.から) を含んでなる。
【0058】
本発明の第3面の方法において、本発明の方法における可溶性澱粉加水分解物を燃料用または飲用エタノールの製造に使用する。第3面の方法において、発酵を粒状澱粉スラリーの加水分解と同時にまたは別々に/順次に実施することができる。発酵を加水分解と同時に実施するとき、温度は好ましくは30℃〜35℃、より好ましくは31℃〜34℃である。本発明の第3面の方法は限外濾過システム中で実施することができ、ここで保持物質を酵素、原料澱粉、酵母、酵母栄養素および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液はエタノールを含有する液体である。限外濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施する方法が等しく考えられ、ここで保持物質を酵素、原料澱粉、酵母、酵母栄養素および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液はエタノールを含有する液体である。
【0059】
本発明の第1面の方法における生成物である可溶性澱粉加水分解物は、また、発酵生成物を製造する方法において使用することができ、この方法は処理した澱粉を発酵させて発酵生成物、例えば、クエン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、またはナトリウムエリトルベートを生成することを含んでなる。
【0060】
他の態様において、澱粉スラリーはCBMを含んでなるが、澱粉加水分解モジュールを含まないポリペプチドと接触させる、すなわち、ルースCBMの適用である。ルースCBMは、澱粉結合性モジュール、セルロース結合性モジュール、キチン結合性モジュール、キシラン結合性モジュール、マンナン結合性モジュール、および他の結合性モジュールであることができる。この関係におけるCBMは、微生物CBM、特に細菌CBMまたは真菌CBMである。
【0061】
下記は特に好ましい: ポリペプチド配列配列番号1、配列番号2、および配列番号3としてこの開示に示す澱粉結合性モジュールまたは米国仮出願No. 60/511044中に配列番号12として開示されている澱粉結合性モジュール; ホルモコニス (Hormoconis) 種、例えばホルモコニス・レジネ (Hormoconis resinae) (Syn. Creoste真菌またはAmorphotheca resinae) (SWISSPROT: Q03045) からのグルコアミラーゼのCBM、配列番号13; レンチヌラ (Lentinula) 種、例えばレンチヌラ・エドデス (Lentinula edodes) (シイタケキノコ) (SPTREMBL: Q9P4C5) からのCBM、配列番号14; ニューロスポラ (Neurospora) 種、例えばニューロスポラ・クラッサ (Neurospora crassa) (SWISSPROT: P14804) からのCBM、配列番号15; タラロマイセス (Talaromyces) 種、例えばタラロマイセス・ビッソクラミジオイデス (Talaromyces byssochlamydioides) からのCBM、配列番号16;
【0062】
ゲオスミチア (Geosmithia) 種、例えばゲオスミチア・シリンドロスポラ (Geosmithia cylindrospora) からのCBM、配列番号17; スコリアス (Scorias) 種、例えばスコリアス・スポンギオサ (Scorias spongiosa) からのCBM、配列番号18; エウペニシリウム (Eupenicillium) 種、例えばエウペニシリウム・ルドウィギイ (Eupenicillium ludwigii) からのCBM、配列番号19; アスペルギルス (Aspergillus) 種、アスペルギルス・ジャポニカス (Aspergillus japonicus) からのCBM、配列番号20; ペニシリウム (Penicillium) 種、例えばペニシリウムcfミクジンスキイ (Penicillium cf miczynskii) からのCBM、配列番号21; Mz1 ペニシリウム (Penicillium) 種からのCBM、配列番号22; チサノホラ (Thysanophora) からのCBM、配列番号23; フミコラ (Humicola) 種、例えばフミコラ・グリセア・ヴァル・テルモデア (Humicola grisea var. thermoidea) からのCBM。
【0063】
最も好ましいCBMは下記を包含する: 米国仮出願No. 60/511044中に配列番号24として開示されているCBM; アスペルギルス (Aspergillus) 種、例えばアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) からのグルコアミラーゼのCBM、配列番号25; アテリア (Athelia) 種、例えばアテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) からのグルコアミラーゼのCBM。また、前述のCBMアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも50%、60%、70%、80%またはさらに少なくとも90%の相同性を有するCBMに適用は本発明において好ましい。
ルースCBMは有効量で粒状澱粉スラリーに適用することができる。
【0064】
材料および方法
α-アミラーゼ活性 (KNU)
澱粉加水分解活性は、基質としてジャガイモ澱粉を使用して決定することができる。この方法は変性されたジャガイモ澱粉を酵素で破壊することに基づき、そして澱粉/酵素 溶液の試料をヨウ素溶液と混合することによって、反応を追跡する。最初に、黒みがかった青色が生成するが、澱粉が破壊する間に、青色はより弱くなり、徐々に赤みがかった褐色になり、これを着色ガラス標準と比較する。
【0065】
1キロノボアルファアミラーゼ単位 (Kilo Novo alpha amylase Unit) (KNU) は、標準条件 (すなわち、37℃±0.05; 0.0003 M Ca2+; およびpH 5.6) 下に5.26 gの澱粉乾燥物質 (Merck Amylum solubile) をデキストリン化する酵素の量として定義される。
この分析法をいっそう詳細に記載するフォルダーAF 9/6はノボザイムA/S (Novozymes A/S) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0066】
グルコアミラーゼ活性 (AGU)
ノボグルコアミラーゼ単位 (AGU) は、37℃、pH 4.3において1分当たり1 μMのマルトースを加水分解する酵素の量として定義される。
この活性は、グルコースGOD-Peridキット (Boehringer Mannheimから入手可能である、124036) を使用して後に変更された方法 (AEL-SM-0131、Novozymesから要求に応じて入手可能である) によりAGU/mlとして決定される。標準: AMG-標準、バッチ7-1195、195 AGU/ml。375 μlの基質 (50 mMの酢酸ナトリウム中の1%のマルトース、pH 4.3) を37℃において5分間インキュベートする。
【0067】
25 μlの酢酸ナトリウム中で希釈した酵素を添加する。10分後に100 μlの0.25 M NaOHを添加して、反応を停止させる。20 μlを96ウェルのマイクロタイタープレートに移し、そして200 μlのGOD-Perid溶液 (124036、Boehringer Mannheim) を添加する。室温において30分後、吸収を650 nmにおいて測定し、そして活性 (AGU/ml) をAMG-標準から計算する。この分析法をいっそう詳細に記載するフォルダー (AEL-SM-0131) はノボザイムA/S (Novozymes A/S、デンマーク国) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0068】
真菌α-アミラーゼ活性 (FAU)
真菌α-アミラーゼ活性はFAU (真菌α-アミラーゼ単位) で測定することができる。1 FAUは、標準条件 (すなわち、37℃およびpH 4.7において) 下に1時間当たり5260 mgの固体状澱粉 (Amylum solubile、Merck) を破壊する酵素の量である。このFAUアッセイをいっそう詳細に記載するフォルダー AF 9.1/3 はノボザイムA/S (Novozymes A/S、デンマーク国) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0069】
酸性α-アミラーゼ活性 (AFAU)
酸性α-アミラーゼ活性はAFAU (酸性真菌α-アミラーゼ単位) で測定することができ、これは酵素標準に関して決定される。
使用する標準はAMG 300 L (Novozymes A/Sから入手可能である、グルコアミラーゼ野生型アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) G1、また、これは下記の文献に開示されている: Boel 他 (1984) 、ENBO J. 3 (5) 、p. 1097-1102およびWO 92/00381) である。このAMG中の中性α-アミラーゼは、室温において3週間貯蔵後、ほぼ1 FAU/mlから0.05 FAU/ml以下に低下する。
【0070】
このAMG標準中の酸性α-アミラーゼ活性は下記の説明に従い測定される。この方法において、1 AFAUは標準条件下に1時間当たり5.26 mgの澱粉乾燥固体を分解する酵素の量として定義される。
ヨウ素は澱粉と青色複合体を形成するが、澱粉の分解生成物とそれを形成しない。したがって、色強度は澱粉濃度に対して直接比例する。アミラーゼ活性は、特定の分析条件下における澱粉濃度の減少として、逆比色分析を使用して決定される。
【0071】
【表1】

【0072】
標準条件/反応条件: (/分)
基質 澱粉、ほぼ0.17 g/l
緩衝剤 クエン酸塩、ほぼ0.03 M
ヨウ素 (I2) 0.03 g/l
CaCl2 1.85 mM
pH 2.50〜0.05
インキュベーション温度 40℃
反応時間 23秒
波長 ラムダ = 590 nm
酵素濃度 0.025 AFAU/ml
酵素使用範囲 0.01〜0.04 AFAU/ml
【0073】
それ以上の詳細を望む場合、これらはノボザイムA/Sに対する要求に応じて入手可能であるEB-SM-0259.02/01中に見出すことができ、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0074】
β-アミラーゼ活性 (DO°)
SPEZYME(商標)BBA 1500の活性をアミラーゼ力の程度 (DO°) で表す。それは、試料を100 mlの基質と20℃において1時間インキュベートしたとき、5 mlのフェーリング溶液を還元するために十分な還元糖を生成する0.1 mlの試料酵素調製物の5%溶液中に含有される酵素の量である。
【0075】
プルラナーゼ活性 (新プルラナーゼ単位ノボ (NPUN))
プルラナーゼ活性はプルラン基質に関して決定することができる。プルランは、1,6-α‐結合により結合されたマルトトリオシル単位から本質的に成る線状D‐グルコースポリマーである。エンド-プルラナーゼはランダムに1,6-α‐結合を加水分解して、マルトトリオース、63-α‐マルトトリオシル-マルトトリオース、63-α‐(63-α‐マルトトリオシル-マルトトリオシル)-マルトトリオースを解放する。
【0076】
1新プルラナーゼ単位 (NPUN) はエンド-プルラナーゼの単位であり、そしてノボザイムA/S (Novozymes A/S) Promozyme D 標準に関して測定される。標準条件は40℃、pH 4.5において30分の反応時間であり、そして基質として0.7%のプルランを使用する。赤色基質分解生成物の量を510 nmにおいて分光測定的に測定し、そしてこれは試料中のエンド-プルラナーゼ活性に比例する。この分析法をいっそう詳細に記載するフォルダー (EB-SM.0420.02/01) はノボザイムA/S (Novozymes A/S、デンマーク国) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
標準条件下に、1 NPUNは、1分当たり2.86 μMのグルコースに等しい還元力を有する還元性炭水化物を遊離する酵素の量である。
【0077】
糖のプロファイルおよび可溶化された乾燥固形分の決定
澱粉加水分解物の糖組成をHPLCにより決定し、引き続いてグルコース収率をDXとして計算した。°BRIX、すなわち、澱粉加水分解物の可溶化された (可溶性) 乾燥固形分を、屈折率の測定により決定した。
【0078】
材料
下記の酵素活性を使用した。配列番号19に描写する配列を有するCBDを含む細菌α-アミラーゼ、および同一であるが、CBDモジュールを含まないα-アミラーゼ (配列番号4) 。WO 00/04136中に配列番号2として示されているアミノ酸配列を有するアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に由来するグルコアミラーゼ、または開示されている変異型の1つ。アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に由来する酸性真菌α-アミラーゼ。
コムギ澱粉 (S-5127) をシグマ-アルドリッヒ (Sigma-Aldrich) から入手した。
【0079】
実施例1.
この実施例において、細菌4モジュールα-アミラーゼおよびグルコアミラーゼおよび酸性真菌アミラーゼを使用して、粒状コムギ澱粉をグルコースに転化することを例示する。攪拌しながら247.5 gのコムギ澱粉を502.5 mlの水に添加することによって、33%の乾燥固形分 (DS) 粒状澱粉のスラリーを調製した。HClでpHを4.5に調節した。粒状澱粉スラリーを、100 mlの青色キャップのフラスコに、各フラスコに75 gの量で添加した。フラスコを60℃の水浴中で磁気的に攪拌しながらインキュベートした。時間0において、表2中に記載する酵素活性をフラスコに投与した。24、48、72、および96時間後に、試料を抜出した。
【0080】
【表2】

【0081】
下記の方法を使用して、全乾燥固形分澱粉を決定した。過剰量のα-アミラーゼ (300 KNU/kgの乾燥固形分) を添加し、そして試料を95℃油浴中に45分間入れることによって、澱粉を完全に加水分解した。引き続いて試料を60℃に冷却し、過剰量のグルコアミラーゼ (600 AGU/kg DS) を添加し、次いで60℃において2時間インキュベートした。
0.22 μMのフィルターを通して濾過した後、試料の屈折率を測定することによって、澱粉加水分解物中の可溶性乾燥固形分を決定した。糖プロファイルをHPLCにより決定した。グルコースの量をDXとして計算した。結果を表3および表4に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
実施例2.
グルコアミラーゼおよび酸性真菌α-アミラーゼを使用すると、粒状澱粉がグルコースに部分的にのみ転化することを、この実施例において例示する。
実施例1に記載されているようにして、33% DSの粒状澱粉を含むフラスコを調製し、インキュベートした。時間0において、表5に記載する酵素活性をフラスコに投与した。24、48、72、および96時間後に、試料を抜出した。実施例1に記載されているようにして、試料を分析した。結果を表6および表7に示す。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
実施例3.
実施例3において、グルコアミラーゼ (200 AGU/kg DS) 、酸性真菌アミラーゼ (50 AFAU/kg DS) および実施例1においても使用した無傷の細菌4モジュールα-アミラーゼ (配列番号19) または同一であるが、CBDモジュールを含まない細菌4モジュールα-アミラーゼ (配列番号4) (100 KNU/kg DS) を使用して、粒状コムギ澱粉をグルコースに転化した。実施例1に記載されているようにして、33% 乾燥固形分 (DS) の粒状澱粉のスラリーを調製し、インキュベートした。24、46、70、および90時間後に、試料を抜出した。
【0089】
実施例1に記載されているようにして、全乾燥固形分澱粉を決定した。実施例1に記載されているようにして、澱粉加水分解物中の可溶性乾燥固形分および糖プロファイルを決定した。結果を表8および表9に示す。
【0090】
【表8】

【0091】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性粒状澱粉スラリーを前記粒状澱粉の初期糊化温度より低い温度において第1酵素および第2酵素の作用に暴露することを含んでなり、
前記第1酵素は、
(a) グリコシドヒドロラーゼファミリー13のメンバーであり;
(b) α-1,4-グリコシド加水分解活性を有し; そして
(c) CBMファミリー20に属する機能的炭水化物結合性モジュール (CBM) を含んでなり、前記CBMは配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有し; そして
前記第2酵素は真菌α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) およびグルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) を含んでなるリストから選択される、
可溶性澱粉加水分解物を製造する方法。
【請求項2】
前記α-アミラーゼが配列番号1、配列番号2および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有する機能的炭水化物結合性モジュールを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記α-アミラーゼが配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記α-アミラーゼが配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記澱粉スラリーが20〜55%の乾燥固形分粒状澱粉、好ましくは25〜40%の乾燥固形分粒状澱粉、より好ましくは30〜35%の乾燥固形分粒状澱粉、特に約33%の乾燥固形分粒状澱粉を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
粒状澱粉の少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または少なくとも99%の乾燥固形分が可溶性澱粉加水分解物に転化される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粒状澱粉スラリーをイソアミラーゼおよび/またはプルラナーゼの作用に暴露することを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
温度が少なくとも58℃、59℃、またはより好ましくは少なくとも60℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
pHが3.0〜7.0、好ましくは3.5〜6.0、またはより好ましくは4.0〜5.0の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
可溶性澱粉加水分解物が少なくとも94.5%、95.0%、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、または少なくとも99.5%のDXを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
粒状澱粉が塊茎、根、茎、または全穀粒から得られる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
粒状澱粉が穀物から得られる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粒状澱粉がトウモロコシ、穂軸、コムギ、オオムギ、ライムギ、マイロ、サゴ、カッサバ、タピオカ、モロコシ、イネまたはジャガイモから得られる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
粒状澱粉が全穀粒の乾式微粉砕から、または全穀粒の湿式微粉砕から、または微粉砕トウモロコシ粗粒から得られる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法を限外濾過システム中で実施し、そして保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環のもとに保持し、そして透過液が可溶性澱粉加水分解物である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法を限外濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施し、そして保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環のもとに保持し、そして透過液が可溶性澱粉加水分解物である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法を精密濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施し、そして保持物質を酵素、原料澱粉および水の存在下に再循環のもとに保持し、そして透過液が可溶性澱粉加水分解物である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法の可溶性澱粉加水分解物を高フルクトース性シロップ (HFSS) 、例えば、高フルクトース性コーンシロップ (HFCS) に転化する、高フルクトース性シロップ (HFSS) を製造する方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法の可溶性澱粉加水分解物を発酵させて発酵生成物、例えば、クエン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、ナトリウムエリトルベート、イタコン酸、乳酸、グルコン酸; ケトン; アミノ酸、グルタミン酸 (モノグルタミン酸ナトリウム) 、ペニシリン、テトラサイクリン; 酵素; ビタミン、例えば、リボフラビン、B12、β-カロテンまたはホルモンを生成する、発酵生成物を製造する方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法の可溶性澱粉加水分解物を発酵させてエタノールを生成する、燃料用または飲用エタノールを製造する方法。
【請求項21】
発酵工程を粒状澱粉の加水分解と同時にまたは別々に/順次に実施する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法を限外濾過システム中で実施し、そして保持物質を酵素、原料澱粉、酵母、酵母栄養素および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液がエタノールを含有する液体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法を限外濾過膜を有する連続的膜反応器中で実施し、そして保持物質を酵素、原料澱粉、酵母、酵母栄養素および水の存在下に再循環下に保持し、そして透過液がエタノールを含有する液体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
CBMを含んでなるが、触媒モジュールを含まないポリペプチド、すなわち、ルースCBMを含んでなるポリペプチドと澱粉スラリーを接触させる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素の使用: 前記酵素は配列番号1、配列番号2、および配列番号3から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する機能的CBMを含んでなる。
【請求項26】
粒状澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素の使用: 前記酵素は配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる。
【請求項27】
粒状澱粉の加水分解プロセスにおけるα-アミラーゼ活性を有する酵素および機能的CBMの使用: 前記酵素は配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、例えば少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる。

【公表番号】特表2007−508802(P2007−508802A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515734(P2006−515734)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000456
【国際公開番号】WO2004/113551
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】