説明

濾材を備えた飲水器とその濾材の洗浄方法

【課題】濾材を備えた飲水器であって、小型化することが可能な飲水器とその濾材の洗浄方法とを提供する。
【解決手段】飲水器100は、主通水路1と精密濾材13と熱水タンク20と加熱装置21とを備えている。主通水路1には、原水が流れる。精密濾材13は、主通水路1に配置されている。熱水タンク20には、精密濾材13を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。また、加熱装置21は、熱水タンク20に溜められた飲用水を加熱する。さらに、飲水器100は、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水機能と濾材を洗浄する機能とを有する飲水器のうち、特に、水を加熱する機能を有した飲水器に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水器または循環温水器等の一般的な浄水装置は、原水が流れる通水路と、通水路に配置された濾材とを備えている。上記浄水装置では、浄水を生成するときの出力時間が長くなるほど細菌または微粒子等によって濾材がひどく目詰まりし、浄水性能が低下する。また、当該浄水装置が長時間使用されずに放置される場合は、濾材または通水路に水が滞留するため、濾材または通水路に細菌が増殖する。そのため、濾材に付着した細菌または微粒子等の汚れを除去するように、濾材を洗浄する機能を有する浄水装置が従来から考案されている。
【0003】
例えば、特開平11−207333号公報(以下、特許文献1という)に係る浄水装置は、浄化された水が溜められる貯水槽と、濾材洗浄用の水を溜め且つ溜められた水を加熱する加熱部とを備えている。このように、特許文献1に係る浄水装置は、貯水槽とは別に備えられた加熱部が水を溜め且つ水を加熱し、この加熱された水を利用することによって濾材を洗浄している。
【0004】
また、特開昭62−266193号公報(以下、特許文献2という)に係る浄水装置は、水が溜められる純水槽と、熱交換器とを備えている。濾材洗浄用の水には、純水槽に溜められた水が利用されている。熱交換器は、純水槽に溜められた水が流通する経路に配置されている。このように、特許文献2に係る浄水装置は、流通する経路で加熱させた水を利用することによって濾材を洗浄している。
【0005】
また、特開平03−202130号公報(以下、特許文献3という)に係る浄水装置は、洗浄用の水を加熱する加熱装置を備えている。特許文献3に係る浄水装置は、薬剤で濾材を洗浄した後に、加熱装置で加熱された水を濾材に流通させることによって濾材を洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−207333号公報
【特許文献2】特開昭62−266193号公報
【特許文献3】特開平03−202130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2、または特許文献3に係る浄水装置は、濾材を洗浄するためだけに利用される水を溜めている。そのため、洗浄用の水を溜めるためだけに利用される容器が必要である。これにより、特許文献1、特許文献2、または特許文献3に係る浄水装置は、大型化してしまう。
【0008】
特に、特許文献1に係る浄水装置の加熱部には、濾材を洗浄するためだけの水が溜められている。この加熱部により、特許文献1に係る浄水装置は大型化する。浄水装置の一例であって浄水機能を有する飲水器は、室内の限られたスペースに設置されることが求められる。そのため、飲水器は、大型化されるよりも小型化されることが望ましい。
【0009】
そこで、本発明の目的は、濾材を備えた飲水器であって、小型化することが可能な飲水器とその濾材の洗浄方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従った飲水器は、主通水路と濾材と第1のタンクと加熱装置とを備えている。主通水路には、原水が流れる。濾材は、主通水路に配置されている。第1のタンクには、濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。また、加熱装置は、第1のタンクに溜められた飲用水を加熱する。さらに、本発明に従った飲水器は、加熱装置によって加熱された第1のタンクの飲用水を主通水路に通過させることにより、濾材を加熱する。
【0011】
本発明に従った飲水器の濾材の洗浄方法は、主通水路と濾材と第1のタンクとを備えた飲水器において、加熱装置によって加熱された第1のタンクの飲用水を主通水路に通過させることにより、濾材を加熱する方法である。主通水路には、原水が流れる。濾材は、主通水路に配置されている。第1のタンクには、濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。加熱装置は、第1のタンクに溜められた飲用水を加熱する。
【0012】
本発明によれば、第1のタンクに溜められた飲用水としての浄水は、加熱装置によって加熱される。また、加熱装置によって加熱された第1のタンクの飲用水は、主通水路を通過することにより、濾材を加熱する。これにより、濾材に付着した細菌等を殺菌することができ、細菌等の繁殖を抑制することができる。その結果、濾材を清潔に洗浄することができる。また、第1のタンクには、飲用水として使用者に利用される浄水が溜められている。すなわち、第1のタンクは、洗浄用の水を溜めるためだけに利用される容器ではない。つまり、本発明に従った飲水器では、洗浄用の水を溜めるためだけに利用される容器は不要である。そのため、本発明に従った飲水器は、小型化が可能である。したがって、本発明によれば、濾材を備えた飲水器であって、小型化することが可能な飲水器とその濾材の洗浄方法とを提供することができる。
【0013】
本発明に従った飲水器では、第1のタンクに溜められ、且つ、加熱装置によって加熱された第1のタンクの飲用水は、熱水の飲用水であることが好ましい。すなわち、本発明に従った飲水器の加熱装置は、濾材を洗浄するためだけに利用されるものではなく、飲用水としての熱水を生成するために利用されている。さらに、本発明に従った飲水器では、飲用水としての浄水と、濾材を洗浄するために利用される浄水とが、第1のタンクに溜められている。このように、本発明に従った飲水器では、通常の浄水動作から濾材を洗浄する洗浄動作に切り換えられる際には、既に濾材の洗浄に利用することが可能な熱水が用意されている。その結果、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間が短縮される。したがって、本発明によれば、濾材を備えた飲水器であって、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間を短縮することが可能な飲水器を提供することができる。
【0014】
本発明に従った飲水器は、主通水路を流れる原水の流量を検知する検知部と、検知部にて検知された原水の流量に基づいて濾材の洗浄が必要であるか否かを判断する判断部と、をさらに備えていることが好ましい。検知部は、主通水路のうちの濾材よりも原水の流れ方向に関する上流側に配置されていることが好ましい。さらに、本発明に従った飲水器は、判断部による判断の結果に基づいて濾材を加熱することが好ましい。
【0015】
本発明に従った飲水器では、検知部と判断部とにより、濾材の洗浄が必要な時期を判断することができる。そのため、好適な時期に濾材を洗浄することができる。その結果、飲水器の浄水性能の低下を抑制することができる。
【0016】
本発明に従った飲水器は、第1の洗浄流路とポンプとをさらに備えていることが好ましい。第1の洗浄流路は、加熱装置によって加熱された第1のタンクの飲用水を濾材に直接的に通過させるように第1のタンクと濾材が配置された主通水路との間を接続していることが好ましい。ポンプは、第1の洗浄流路に配置されていることが好ましい。また、ポンプは、第1のタンクの飲用水を濾材に送水する。
【0017】
この構成によれば、ポンプの送水により、加熱された第1のタンクの飲用水を濾材に直接的に通過させることができる。加熱された水が濾材を直接的に通過することにより、濾材がより加熱されやすい。また、濾材に付着した細菌または微粒子等は、濾材を直接的に通過する水によって洗い流される。これにより、濾材をさらに清潔に洗浄することができる。
【0018】
本発明に従った飲水器では、第1の洗浄流路から濾材を通過する第1のタンクの飲用水は、原水が濾材を通過する時と逆の方向から濾材を通過することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、第1の洗浄流路から濾材を通過する第1のタンクの飲用水は、濾材の表面に付着した細菌または微粒子等を押し出す方向に濾材を通過する。これにより、濾材の表面に付着した細菌または微粒子等が濾材から剥離される。そのため、濾材を効果的に洗浄することができる。その結果、濾材をさらに清潔に洗浄することができる。
【0020】
本発明に従った飲水器は、第2のタンクと冷却装置とをさらに備えていることが好ましい。第2のタンクには、濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。冷却装置は、第2のタンクに溜められた飲用水を冷却する。さらに、本発明に従った飲水器は、加熱された第1のタンクの飲用水を主通水路に通過させることによって濾材を加熱した後に、冷却装置によって冷却された第2のタンクの飲用水を主通水路に通過させることにより、濾材を冷却することが好ましい。
【0021】
本発明に従った飲水器の濾材の洗浄方法において、飲水器は第2のタンクと冷却装置とをさらに備えていることが好ましい。第2のタンクには、濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。冷却装置は、第2のタンクに溜められた飲用水を冷却する。また、本発明に従った飲水器の濾材の洗浄方法は、加熱された第1のタンクの飲用水を主通水路に通過させることによって濾材を加熱した後に、冷却装置によって冷却された第2のタンクの飲用水を主通水路に通過させることにより、濾材を冷却することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、第2のタンクに溜められた飲用水は、冷却装置によって冷却される。また、冷却装置によって冷却された第2のタンクの飲用水は、加熱された第1のタンクの飲用水によって濾材が加熱された後に主通水路を通過することにより、濾材を冷却する。
【0023】
ところで、濾材が加熱された後で濾材の温度が細菌の繁殖に好適な温度(一般的には25℃〜30℃)に低下するときには、濾材で細菌が増殖するおそれがある。そのため、本発明のように、濾材を洗浄した後に、冷却された第2のタンクの冷水を利用して濾材を急速に冷却することにより、細菌の増殖を抑制することができる。すなわち、本発明に従った飲水器は、濾材に付着した細菌を殺菌することおよび濾材に残った細菌の増殖を抑制することができる。そのため、濾材を清潔にしておくことができる。したがって、本発明によれば、濾材を清潔にすることが可能な飲水器を提供することができる。
【0024】
本発明に従った飲水器では、第2のタンクに溜められ、且つ、冷却装置によって冷却された第2のタンク飲用水は、冷水の飲用水であることが好ましい。すなわち、本発明に従った飲水器の冷却装置は、濾材を冷却するためだけに利用されるものではなく、飲用する冷水を生成するために利用されている。さらに、本発明に従った飲水器では、飲用水としての浄水と、濾材を洗浄するために利用される浄水とが、第2のタンクに溜められている。このように、本発明に従った飲水器では、通常の浄水動作から濾材を加熱し且つ濾材の加熱後に濾材を冷却するような洗浄動作に切り換えられる際には、既に濾材の洗浄に利用することが可能な熱水と冷水とが用意されている。その結果、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間が短縮される。したがって、本発明によれば、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間を短縮することが可能な飲水器を提供することができる。
【0025】
本発明に従った飲水器は、第2の洗浄流路とポンプとをさらに備えていることが好ましい。第2の洗浄流路は、冷却装置によって冷却された第2のタンクの飲用水を濾材に直接的に通過させるように第2のタンクと濾材が配置された主通水路との間を接続していることが好ましい。ポンプは、第2のタンクの飲用水を濾材に送水する。また、ポンプは、第2の洗浄流路に配置されていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、ポンプの送水により、冷却された第2のタンクの飲用水を濾材に直接的に通過させることができる。冷却された水が濾材を直接的に通過することにより、濾材がより冷却されやすい。また、濾材に付着した細菌または微粒子等は、濾材を直接的に通過する水によって洗い流される。これにより、濾材をさらに清潔に洗浄することができる。
【0027】
本発明に従った飲水器では、第2の洗浄流路から濾材を通過する第2のタンクの飲用水は、原水が濾材を通過する時と逆の方向から濾材を通過することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第2の洗浄流路から濾材を通過する第2のタンクの飲用水は、濾材の表面に付着した細菌または微粒子等を押し出す方向に濾材を通過する。これにより、濾材の表面に付着した細菌または微粒子等が濾材から剥離される。そのため、濾材を効果的に洗浄することができる。その結果、濾材をさらに清潔に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、濾材を備えた飲水器であって、小型化することが可能な飲水器とその濾材の洗浄方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る飲水器の構成を示すブロック図である。
【図2】濾材の洗浄の開始を判断する制御のフローチャートである。
【図3】濾材の洗浄に係る制御のフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る飲水器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示すように、飲水器100は、主通水路1と濾材10と熱水タンク20と加熱装置21とを備えている。主通水路1には、原水が流れる。第1のタンクとしての熱水タンク20には、濾材10を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。加熱装置21は、熱水タンク20に溜められた飲用水を加熱する。熱水タンク20に溜められ、且つ、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水は、熱水の飲用水である。また、後述するように、第2のタンクとしての冷水タンク30に溜められ、且つ、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水は、冷水の飲用水である。
【0033】
濾材10は、プレフィルタ11と吸着濾材12と精密濾材13とを有している。プレフィルタ11と吸着濾材12と精密濾材13とは、原水の流れ方向に関する上流側から下流側に向かって、プレフィルタ11と吸着濾材12と精密濾材13との順に主通水路1に配置されている。ここで、熱水タンク20に溜められた浄水によって加熱される対象の濾材10は、精密濾材13である。
【0034】
プレフィルタ11は、原水に含まれる比較的大きな粒子等の汚れを除去する。これにより、プレフィルタ11よりも下流側に配置された他の濾材の寿命を長くすることができる。プレフィルタ11には、一般的に使用されているものが利用され、例えば不織布で構成されたものが利用される。不織布の素材には、例えばセラミックが用いられている。プレフィルタ11は、不織布が糸巻き状に束ねられている。
【0035】
吸着濾材12は、原水に含まれる塩素、臭気、またはトリハロメタン等を除去する。吸着濾材12には、一般的に利用されているものが利用され、例えば、活性炭等の多孔質の物質が利用されている。
【0036】
一方、精密濾材13は、細菌またはウィルス等の微粒子を除去する。精密濾材13には、除去する対象物によって精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、または逆浸透膜(RO膜)等が利用されている。
【0037】
飲水器100は、電磁弁91、電磁弁92、電磁弁93、電磁弁94、電磁弁95、および電磁弁96を備えている。また、飲水器100は、制御部50を備えている。制御部50は、マイクロコンピュータの一部である。電磁弁91と電磁弁92と電磁弁93と電磁弁94と電磁弁95と電磁弁96とは、制御部50に制御されている。なお、電磁弁95は、冷水タンク30の内部に配置されていてもよく、冷水タンク30の外部の周辺に配置されていてもよい。また、電磁弁96は、熱水タンク20の内部に配置されていてもよく、熱水タンク20の外部の周辺に配置されていてもよい。
【0038】
制御部50は、飲水器100の制御に関わる対象を制御している。制御部50は、例えば、ポンプ40と加熱装置21と冷却装置31と表示部54とを制御している。制御部50は、操作部55が使用者に操作されることに基づき、飲水器100の制御に必要な対象を制御している。
【0039】
飲水器100では、少なくともプレフィルタ11と吸着濾材12と精密濾材13と逆止弁49と電磁弁93と電磁弁94とが、主通水路1に配置されている。さらに、後述する検知部60が主通水路1に配置されている。
【0040】
逆止弁49は、主通水路1のうち、吸着濾材12の下流且つ精密濾材13の上流に配置されている。逆止弁49は、精密濾材13から吸着濾材12への水の流れを遮断している。また、逆止弁49は、電磁弁91から吸着濾材12への水の流れを遮断している。
【0041】
電磁弁91は、流路28に配置されている。流路28は、精密濾材13の上流側且つ逆止弁49の下流側の部分の主通水路1に接続されている。電磁弁91が開放されているときは、後述するように流路29を流れる熱水または流路39を流れる冷水が、流路28を通って飲水器100の外部へ排出される。
【0042】
電磁弁93が開放されているときは、冷水タンク30と精密濾材13との間を水が流れることができ、電磁弁94が開放されているときは、熱水タンク20と精密濾材13との間を水が流れることができる。
【0043】
飲水器100が浄水を生成するときには、電磁弁93と電磁弁94とが開放され、且つ、電磁弁91と電磁弁92と電磁弁95と電磁弁96とが閉塞されている。原水は、主通水路1に配置された濾材10であるプレフィルタ11と吸着濾材12と精密濾材13とを通過して浄化される。浄化された水は、電磁弁93と電磁弁94とのそれぞれを通過し、浄水として熱水タンク20と冷水タンク30とに溜められる。
【0044】
加熱装置21は、熱水タンク20の外部に設置されているものであってもよく、熱水タンク20の内部に設置されているものであってもよい。熱水タンク20は、加熱装置21と一体であるように構成されていてもよい。つまり、熱水タンク20は、水を溜める機能および水を加熱する機能の双方の機能を有していてもよい。
【0045】
加熱装置21は、一般的に利用されているものによって熱水タンク20に溜められる水を加熱するものであればよい。加熱装置21は、例えば、金属等の導体で形成された導線(図示せず)を有している。この導線が熱水タンク20の内部に配置されている。加熱装置21は、制御部50に制御されており、導線に電流が流れる際の電気抵抗によってジュール熱が熱水タンク20の内部に発生する。このジュール熱によって熱水タンク20の浄水が加熱される。ただし、この導線は、熱水タンク20の外側の周囲に巻きつけられているものであってもよい。また、加熱装置21は、誘電体等の電気の不良導体(図示せず)と平衡電極(図示せず)とを利用するものであってもよい。誘電体が平衡電極に挟まれ、誘電体と平衡電極との間に高周波電圧が負荷されることにより、誘電体が加熱される。さらに、加熱装置21は、誘電体等の電気の不良導体(図示せず)にマイクロ波を照射することより、誘電体を加熱するもの(マイクロ波照射方式を利用したもの)であってもよい。さらにまた、加熱装置21は、誘導加熱方式を利用するものであってもよい。この方式によれば、導体の周辺に金属等の物質が配置され、導体に交流電流が流れることにより、導体と金属との間に磁界が生じて金属に誘導電流が流れる。このときの電気抵抗により、金属が加熱される。加熱装置21が発生させる熱量により、熱水タンク20の内部に溜められる浄水が加熱される。
【0046】
加熱された熱水タンク20の浄水は、飲用水として熱水タンク20に溜められている。飲水器100の使用者は、熱水タンク20に溜められた飲用水を飲水器100の外部に排出させ、熱水タンク20の浄水を熱水として飲用することができる。
【0047】
冷却装置31は、冷水タンク30の外部に設置されているものであってもよく、冷水タンク30の内部に設置されているものであってもよい。冷水タンク30は、冷却装置31と一体であるように構成されていてもよい。つまり、冷水タンク30は、水を溜める機能および水を冷却する機能の双方の機能を有していてもよい。飲水器100に係る冷却装置31は、例えば圧縮機(図示せず)と熱交換器(図示せず)とを有している。
【0048】
冷却装置31では、冷却装置31の内部に封入された冷媒を圧縮機で圧縮した後に気化させることにより、冷水タンク30の内部に溜められた浄水が冷却される。ただし、冷却装置31は、圧縮機と熱交換器とを有するものに限定されず、ペルチェ素子を利用したものであってもよい。冷却装置31は、一般的に利用されているものによって冷水タンク30に溜められる水を冷却するものであればよい。
【0049】
冷却された冷水タンク30の浄水は、飲用水として冷水タンク30に溜められている。飲水器100の使用者は、冷水タンク30に溜められた飲用水を飲水器100の外部に排出させ、冷水タンク30の浄水を冷水として飲用することができる。冷却装置31は、冷水タンク30に溜められた浄水を冷却する。冷水タンク30に溜められた浄水は、飲用水として飲用可能な冷水である。
【0050】
熱水タンク20と冷水タンク30との内部には、それぞれ検知部22と検知部32とが取り付けられている。検知部22と検知部32とは、それぞれ熱水タンク20と冷水タンク30との外部に配置されていてもよい。検知部22は熱水タンク20の内部の水の水位を検知し、検知部32は冷水タンク30の内部の水の水位を検知する。例えば熱水タンク20の水位が予め定められた所定の水位以下に下がった場合は、原水が飲水器100の内部に供給される。原水が主通水路1を通ることにより、熱水タンク20に浄水が供給される。熱水タンク20の水位が予め定められた他の所定の水位以上に上がった場合は、原水の供給が停止される。このように、飲水器100では、予め定められた範囲の一定量の浄水が熱水タンク20と冷水タンク30とのそれぞれに溜められるように構成されている。
【0051】
所定の水位は、例えば制御部50に設けられた記憶部51が記憶している。また、検知部22または検知部32にて検知されるそれぞれ熱水タンク20または冷水タンク30の水位に基づき、判断部52は、それぞれ熱水タンク20の水位または冷水タンク30の水位が所定の水位等であるか否かを判断する。判断部52は、例えば制御部50に設けられている。ただし、検知部22と検知部32とのそれぞれが、記憶に関する機能と判断に関する機能とを有していてもよい。飲水器100は、使用者が主通水路1に原水を流すことにより、熱水タンク20または冷水タンク30に飲用水としての浄水が溜められるものであってもよい。
【0052】
飲水器100では、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を加熱する。加熱された精密濾材13では、精密濾材13に付着した細菌等が熱によって殺菌されるため、精密濾材13の汚れが除去される。
【0053】
検知部60は、主通水路1を流れる原水の流量を検知する。また、検知部60は、主通水路1のうちの精密濾材13よりも原水の流れ方向に関する上流側に配置されている。判断部52は、検知部60にて検知された原水の流量に基づき、精密濾材13の洗浄が必要であるか否かを判断する。判断部52は、検知部60にて検知された原水の流量に基づき、流量の積算値を算出する。ただし、原水の流量の積算値は、検知部60が測定するものであってもよい。判断部52は、原水の流量の積算値が所定の積算値であるか否かを判断する。飲水器100では、判断部52による判断の結果に基づいて精密濾材13の加熱が開始される。
【0054】
以下では、精密濾材13の洗浄の開始を判断する制御について図2を用いて説明する。
【0055】
ステップS11では、主通水路1を流れる原水の流量が検知される。ステップS12では、原水の流量の積算値(言い換えると積算流量)が所定の積算流量以上であるか否かが判断される。
【0056】
ステップS12において、積算流量が所定の積算流量以上であると判断される場合には、ステップS13に進み、積算流量が所定の積算流量未満であると判断される場合には、ステップS12が繰り返される。ステップS13では、精密濾材13の洗浄が開始される。制御部50の判断部52によって精密濾材13の洗浄が必要な時期であることが判断される場合には、精密濾材13の洗浄に係る制御が開始される。
【0057】
精密濾材13の洗浄が必要な時期であるか否かの判断は、他の方法によって判断されるものであってもよい。例えば、原水の流れ方向に関して、精密濾材13の上流側と下流側との圧力差を検知し、この圧力差が所定の圧力差以上である場合に精密濾材13の洗浄を開始することにしてもよい。また、主通水路1を原水が流れているときの時間の積算値によって判断されるものであってもよい。制御部50に設けられたタイマ53は、主通水路1を原水が流れているときの時間を計測することができる。判断部52またはタイマ53は、タイマ53にて計測された時間に基づき、主通水路1を原水が流れているときの時間の積算値を算出する。
【0058】
続いて、精密濾材13の洗浄に係る制御について図3を用いて説明する。
【0059】
先ず、ステップS31では、精密濾材13の洗浄が必要であることが表示部54に表示される。このように、精密濾材13の洗浄が必要であることが表示部54を介して使用者に通知される。
【0060】
表示部54は、例えば、液晶画面を有し、精密濾材13の洗浄が必要であることを使用者にイメージさせるような図柄または文字を液晶画面に表示する。また、表示部54には、発光ダイオード(LED)等の光源が利用されていてもよい。発光ダイオードが発光することにより、精密濾材13の洗浄が必要であることが表示部54に表示される。
【0061】
続いて、ステップS32では使用者によって操作部55が操作される。操作部55が操作されることにより、制御部50は、精密濾材13の洗浄を開始する。ステップS33では電磁弁93,94,95が閉塞される。飲水器100が浄水を生成することが可能である場合に精密濾材13の洗浄が開始されるときには、電磁弁95は閉塞されたままである。続いて、ステップS34では、電磁弁91,92,96が開放される。
【0062】
ただし、ステップS31とステップS32とは、省略されていてもよい。すなわち、図2のステップS12の判断の結果に基づき、制御部50が電磁弁91,92,93,94,95,96を自動的に制御することにより、飲水器100は精密濾材13の洗浄に係る制御を自動的に開始することができる。
【0063】
ステップS35では、ポンプ40の作動が開始される。ポンプ40の作動により、熱水タンク20から電磁弁96を経て流路29に熱水が吸引される。第1の洗浄流路としての流路29は、熱水タンク20と精密濾材13が配置された主通水路1との間を接続する。加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水は、流路29を通過することにより、精密濾材13を直接的に通過する。ポンプ40は、流路29に配置され、電磁弁92を介して熱水タンク20の飲用水を精密濾材13に送水する。
【0064】
熱水タンク20から主通水路1に向かって流路29を流れる熱水は、電磁弁92を経て濾材10のうちの精密濾材13を通過する。この際、熱水は、原水が精密濾材13を通過する時と逆の方向から精密濾材13を通過する。精密濾材13を通過した熱水は、流路28を流れ、電磁弁91を経て飲水器100の外部へ排水される。精密濾材13を通過する際の熱水の温度は、殺菌効果の観点から60℃以上であることが好ましい。さらに、精密濾材13を通過する際の熱水の温度は、80℃以上であることがより好ましい。
【0065】
ステップS35に続いて、ステップS36では、熱水タンク20の水位が所定の水位以下であるか否かが判断される。ステップS36において、熱水タンク20の水位が所定の水位以下であると判断される場合にはステップS37に進み、熱水タンク20の水位が所定の水位よりも高い水位であると判断される場合にはステップS36が繰り返される。
【0066】
ステップS37では、ポンプ40の作動が停止される。これにより、精密濾材13への熱水の送水が停止される。続いて、ステップS38では、電磁弁96が閉塞される。ステップS39では、電磁弁95が開放される。
【0067】
ステップS40では、ポンプ40の作動が開始される。ポンプ40の作動により、冷水タンク30から電磁弁95を経て流路39に冷水が吸引される。第2の洗浄流路としての流路39は、冷水タンク30と精密濾材13が配置された主通水路1との間を接続する。冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水は、流路39を通過することにより、精密濾材13を直接的に通過する。ポンプ40は、流路39に配置され、電磁弁92を介して冷水タンク30の飲用水を精密濾材13に送水する。流路29には、電磁弁96とポンプ40と電磁弁92とが配置されている。流路39には、電磁弁95とポンプ40と電磁弁92とが配置されている。
【0068】
冷水タンク30から主通水路1に向かって流路39を流れる冷水は、電磁弁92を経て濾材10のうちの精密濾材13を通過する。この際、冷水は、原水が精密濾材13を通過する時と逆の方向から精密濾材13を通過する。精密濾材13を通過した冷水は、流路28を流れ、電磁弁91を経て飲水器100の外部へ排水される。
【0069】
ステップS40に続いて、ステップS41では、冷水タンク30の水位が所定の水位以下であるか否かが判断される。ステップS41において、冷水タンク30の水位が所定の水位以下であると判断される場合にはステップS42に進み、冷水タンク30の水位が所定の水位よりも高い水位であると判断される場合にはステップS41が繰り返される。
【0070】
ステップS42では、ポンプ40の作動が停止される。これにより、精密濾材13への冷水の送水が停止される。続いて、ステップS43では、電磁弁91,92,95が閉塞される。ステップS44では、電磁弁93,94が開放される。ステップS44の後では、飲水器100において通常の浄水動作が作動する。
【0071】
なお、飲水器100では、原水の流れ方向に関して吸着濾材12と精密濾材13との間に逆止弁49が配置され、精密濾材13のみが飲用水で洗浄されている。ただし、飲用水で洗浄される濾材10は、精密濾材13のみに限定されず、プレフィルタ11または吸着濾材12であってもよい。飲用水で洗浄される濾材10は、耐熱性を有している。
【0072】
なお、飲水器100は、原水が精密濾材13を通過する時と同じ方向から熱水タンク20または冷水タンク30の飲用水を精密濾材13に通過させていてもよい。
【0073】
以上のように、飲水器100は、主通水路1と精密濾材13と熱水タンク20と加熱装置21とを備えている。主通水路1には、原水が流れる。精密濾材13は、主通水路1に配置されている。熱水タンク20には、精密濾材13を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。また、加熱装置21は、熱水タンク20に溜められた飲用水を加熱する。さらに、飲水器100は、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を加熱する。
【0074】
飲水器100の精密濾材13の洗浄方法は、主通水路1と精密濾材13と熱水タンク20とを備えた飲水器100において、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を加熱する方法である。主通水路1には、原水が流れる。精密濾材13は、主通水路1に配置されている。熱水タンク20には、精密濾材13を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。加熱装置21は、熱水タンク20に溜められた飲用水を加熱する。
【0075】
飲水器100では、熱水タンク20に溜められた飲用水としての浄水は、加熱装置21によって加熱される。また、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水は、主通水路1を通過することにより、精密濾材13を加熱する。これにより、精密濾材13に付着した細菌等を殺菌することができ、細菌等の繁殖を抑制することができる。その結果、精密濾材13を清潔に洗浄することができる。また、熱水タンク20には、飲用水として使用者に利用される浄水が溜められている。すなわち、熱水タンク20は、洗浄用の水を溜めるためだけに利用される容器ではない。つまり、飲水器100では、洗浄用の水を溜めるためだけに利用される容器は不要である。そのため、飲水器100は、小型化が可能である。したがって、本実施形態によれば、精密濾材13を備えた飲水器100であって、小型化することが可能な飲水器100とその精密濾材13の洗浄方法とを提供することができる。
【0076】
飲水器100では、熱水タンク20に溜められ、且つ、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水は、熱水の飲用水である。すなわち、加熱装置21は、精密濾材13を洗浄するためだけに利用されるものではなく、飲用水としての熱水を生成するために利用されている。さらに、飲水器100では、飲用水としての浄水と、精密濾材13を洗浄するために利用される浄水とが、熱水タンク20に溜められている。このように、飲水器100では、通常の浄水動作から濾材を洗浄する洗浄動作に切り換えられる際には、既に精密濾材13の洗浄に利用することが可能な熱水が用意されている。その結果、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間が短縮される。したがって、本実施形態によれば、精密濾材13を備えた飲水器100であって、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間を短縮することが可能な飲水器100を提供することができる。
【0077】
飲水器100は、主通水路1を流れる原水の流量を検知する検知部60と、検知部60にて検知された原水の流量に基づいて精密濾材13の洗浄が必要であるか否かを判断する判断部52と、をさらに備えている。検知部60は、主通水路1のうちの精密濾材13よりも原水の流れ方向に関する上流側に配置されている。さらに、飲水器100は、判断部52による判断の結果に基づいて精密濾材13を加熱する。
【0078】
飲水器100では、検知部60と判断部52とにより、精密濾材13の洗浄が必要な時期を判断することができる。そのため、好適な時期に精密濾材13を洗浄することができる。その結果、飲水器100の浄水性能の低下を抑制することができる。
【0079】
飲水器100は、流路29とポンプ40とをさらに備えている。流路29は、加熱装置21によって加熱された熱水タンク20の飲用水を精密濾材13に直接的に通過させるように熱水タンク20と精密濾材13が配置された主通水路1との間を接続している。ポンプ40は、流路29に配置されている。また、ポンプ40は、熱水タンク20の飲用水を精密濾材13に送水する。
【0080】
飲水器100では、ポンプ40の送水により、加熱された熱水タンク20の飲用水を精密濾材13に直接的に通過させることができる。加熱された飲用水が精密濾材13を直接的に通過することにより、精密濾材13がより加熱されやすい。また、精密濾材13に付着した細菌または微粒子等は、精密濾材13に直接的に通過する水によって洗い流される。これにより、精密濾材13をさらに清潔に洗浄することができる。
【0081】
飲水器100では、流路29から精密濾材13を通過する熱水タンク20の飲用水は、原水が精密濾材13を通過する時と逆の方向から精密濾材13を通過する。
【0082】
飲水器100では、流路29から精密濾材13を通過する熱水タンク20の飲用水は、精密濾材13の表面に付着した細菌または微粒子等を押し出す方向に精密濾材13を通過する。これにより、精密濾材13の表面に付着した細菌または微粒子等が精密濾材13から剥離される。そのため、精密濾材13を効果的に洗浄することができる。その結果、精密濾材13をさらに清潔に洗浄することができる。
【0083】
飲水器100は、冷水タンク30と冷却装置31とをさらに備えている。冷水タンク30には、精密濾材13を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。冷却装置31は、冷水タンク30に溜められた飲用水を冷却する。さらに、飲水器100は、加熱された熱水タンク20の水を主通水路1に通過させることによって精密濾材13を加熱した後に、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を冷却する。
【0084】
飲水器100の精密濾材13の洗浄方法において、飲水器100は冷水タンク30と冷却装置31とをさらに備えている。冷水タンク30には、精密濾材13を通過することによって浄化された飲用水が溜められる。冷却装置31は、冷水タンク30に溜められた水を冷却する。また、飲水器100の精密濾材13の洗浄方法は、加熱された熱水タンク20の水を主通水路1に通過させることによって精密濾材13を加熱した後に、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の水を主通水路1に通過させることにより、精密濾材13を冷却する。
【0085】
飲水器100では、冷水タンク30に溜められた飲用水は、冷却装置31によって冷却される。また、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水は、主通水路1を通過することにより、精密濾材13を冷却する。
【0086】
ところで、精密濾材13が加熱された後で精密濾材13の温度が細菌の繁殖に好適な温度(一般的には25℃〜30℃)に低下するときには、精密濾材13で細菌が増殖するおそれがある。そのため、飲水器100のように、精密濾材13を洗浄した後に、冷却された冷水タンク30の冷水を利用して精密濾材13を急速に冷却することにより、細菌の増殖を抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、精密濾材13に付着した細菌を殺菌することおよび精密濾材13に残った細菌の増殖を抑制することができる。そのため、精密濾材13を清潔にしておくことができる。したがって、本実施形態によれば、精密濾材13を清潔にすることが可能な飲水器100を提供することができる。
【0087】
飲水器100では、冷水タンク30に溜められ、且つ、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水は、冷水の飲用水である。すなわち、冷却装置31は、精密濾材13を冷却するためだけに利用されるものではなく、飲用する冷水を生成するために利用されている。さらに、飲水器100では、飲用水としての浄水と、精密濾材13を洗浄するために利用される浄水とが、冷水タンク30に溜められている。このように、飲水器100では、通常の浄水動作から精密濾材13を加熱し且つ精密濾材13の加熱後に精密濾材13を冷却するような洗浄動作に切り換えられる際には、既に精密濾材13の洗浄に利用することが可能な熱水と冷水とが用意されている。その結果、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間が短縮される。したがって、本発明によれば、浄水動作から洗浄動作に切り換えられる時間を短縮することが可能な飲水器100を提供することができる。
【0088】
飲水器100は、流路39とポンプ40とをさらに備えている。流路39は、冷却装置31によって冷却された冷水タンク30の飲用水を精密濾材13に直接的に通過させるように冷水タンク30と精密濾材13が配置された主通水路1との間を接続している。ポンプ40は、冷水タンク30の飲用水を精密濾材13に送水する。また、ポンプ40は、流路39に配置されている。
【0089】
飲水器100では、ポンプ40の送水により、冷却された冷水タンク30の飲用水を精密濾材13に直接的に通過させることができる。冷却された水が精密濾材13を直接的に通過することにより、精密濾材13がより冷却されやすい。また、精密濾材13に付着した細菌または微粒子等は、精密濾材13を直接的に通過する水によって洗い流される。これにより、精密濾材13をさらに清潔に洗浄することができる。
【0090】
飲水器100では、流路39から精密濾材13を通過する冷水タンク30の飲用水は、原水が精密濾材13を通過する時と逆の方向から精密濾材13を通過する。
【0091】
飲水器100では、流路39から精密濾材13を通過する冷水タンク30の飲用水は、精密濾材13の表面に付着した細菌または微粒子等を押し出す方向に精密濾材13を通過する。これにより、精密濾材13の表面に付着した細菌または微粒子等が精密濾材13から剥離される。そのため、精密濾材13を効果的に洗浄することができる。その結果、精密濾材13をさらに清潔に洗浄することができる。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、精密濾材13を備えた飲水器100であって、小型化することが可能な飲水器100とその精密濾材13の洗浄方法とを提供することができる。
【0093】
(第2実施形態)
前記第1実施形態において、飲水器100では、熱水タンク20または冷水タンク30の飲用水が精密濾材13を直接的に通過することにより、精密濾材13が洗浄されていた。ただし、熱水タンク20または冷水タンク30の飲用水は、精密濾材13の周辺を通過していてもよい。熱水タンク20の飲用水が精密濾材13の周辺を通過する場合であっても、精密濾材13を加熱することによって精密濾材13を洗浄することができる。
【0094】
以下では、飲水器200について説明する。なお、前記第1実施形態と同一の機能を有するものには同符号を付し、説明を省略する。
【0095】
飲水器200では、図1に示す飲水器100のうち、電磁弁91と電磁弁92とのうちのいずれかが省略されている。図4に示す飲水器200では、図1に示す飲水器100のうち、電磁弁92が省略されている。
【0096】
飲水器200では、流路29または流路39を流れる飲用水が濾材10の周辺を通過するように構成されている。すなわち、流路29または流路39を流れる飲用水は、濾材10を直接的に通過することがない。例えば、飲水器200が濾材10を収容するケース(図示せず)を備えている場合は、流路29または流路39を流れる飲用水がケースの周辺を流れる。このとき、ケースの周辺を流れる飲用水は、ケースの外側または内側を循環するように流れていてもよく、ケースの外側または内側を単に通過していてもよい。
【0097】
流路29を流れる熱水が精密濾材13の周辺を流れることにより、精密濾材13が加熱される。これにより、精密濾材13が加熱消毒され、精密濾材13が洗浄される。流路39を流れる冷水が精密濾材13の周辺を流れる場合には、一旦加熱された精密濾材13が冷却される。
【0098】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0099】
1:主通水路、10:濾材、13:精密濾材、20:熱水タンク、21:加熱装置、29:流路、30:冷水タンク、31:冷却装置、39:流路、40:ポンプ、52:判断部、60:検知部、100:飲水器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が流れる主通水路と、
前記主通水路に配置された濾材と、
前記濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる第1のタンクと、
前記第1のタンクに溜められた飲用水を加熱する加熱装置と、を備え、
前記加熱装置によって加熱された前記第1のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることにより、前記濾材を加熱する、飲水器。
【請求項2】
前記第1のタンクに溜められ、且つ、前記加熱装置によって加熱された前記第1のタンクの飲用水は、熱水の飲用水である、
請求項1に記載の飲水器。
【請求項3】
前記主通水路のうちの前記濾材よりも原水の流れ方向に関する上流側に配置され、前記主通水路を流れる原水の流量を検知する検知部と、
前記検知部にて検知された原水の流量に基づき、前記濾材の洗浄が必要であるか否かを判断する判断部と、をさらに備え、
前記判断部による判断の結果に基づいて前記濾材を加熱する、
請求項1または請求項2に記載の飲水器。
【請求項4】
前記加熱装置によって加熱された前記第1のタンクの飲用水を前記濾材に直接的に通過させるように前記第1のタンクと前記濾材が配置された前記主通水路との間を接続する第1の洗浄流路と、
前記第1の洗浄流路に配置され、前記第1のタンクの飲用水を前記濾材に送水するポンプと、をさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の飲水器。
【請求項5】
前記第1の洗浄流路から前記濾材を通過する前記第1のタンクの飲用水は、原水が前記濾材を通過する時と逆の方向から前記濾材を通過する、
請求項4に記載の飲水器。
【請求項6】
前記濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる第2のタンクと、
前記第2のタンクに溜められた飲用水を冷却する冷却装置と、をさらに備え、
加熱された前記第1のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることによって前記濾材を加熱した後に、前記冷却装置によって冷却された前記第2のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることにより、前記濾材を冷却する、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の飲水器。
【請求項7】
前記第2のタンクに溜められ、且つ、前記冷却装置によって冷却された前記第2のタンクの飲用水は、冷水の飲用水である、
請求項6に記載の飲水器。
【請求項8】
前記冷却装置によって冷却された前記第2のタンクの飲用水を前記濾材に直接的に通過させるように前記第2のタンクと前記濾材が配置された前記主通水路との間を接続する第2の洗浄流路と、
前記第2の洗浄流路に配置され、前記第2のタンクの飲用水を前記濾材に送水するポンプと、をさらに備えた、
請求項6または請求項7に記載の飲水器。
【請求項9】
前記第2の洗浄流路から前記濾材を通過する前記第2のタンクの飲用水は、原水が前記濾材を通過する時と逆の方向から前記濾材を通過する、
請求項8に記載の飲水器。
【請求項10】
原水が流れる主通水路と、
前記主通水路に配置された濾材と、
前記濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる第1のタンクと、
前記第1のタンクに溜められた飲用水を加熱する加熱装置と、を備えた飲水器において、
前記加熱装置によって加熱された前記第1のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることにより、前記濾材を加熱する、飲水器の濾材の洗浄方法。
【請求項11】
前記濾材を通過することによって浄化された飲用水が溜められる第2のタンクと、
前記第2のタンクに溜められた飲用水を冷却する冷却装置と、をさらに備え、
加熱された前記第1のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることによって前記濾材を加熱した後に、前記冷却装置によって冷却された前記第2のタンクの飲用水を前記主通水路に通過させることにより、前記濾材を冷却する、
請求項10に記載の飲水器の濾材の洗浄方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−55811(P2012−55811A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199985(P2010−199985)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】