説明

濾過方法

【課題】本発明は濾過装置の目詰まりを簡単に解消することを課題とする。
【解決手段】濾層7Aを水流によって動くことが出来る濾材粒子7で構成し、濾過工程中、該濾層7Aに詰まった泥分Mを、該濾材粒子7の動きによって濾層7Aから遊離させ沈降させる。該濾材粒子7は被処理液より比重が軽いから、泥分Mに伴って沈降した濾材粒子7は泥分Mから分離して浮上し、濾層7Aに復帰することによって目詰まりが自然に解消され、長時間効率的に濾過を行なうことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば土木工事現場から排出される泥水を濾過するために使用される濾過方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば土木工事現場から排出される泥水は沈澱池によって該泥水に含まれている粗大粒子を沈澱除去された後、フィルタープレス等によって微細粒子を濾別除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−269610号公報
【特許文献2】特開平8−24516号公報
【特許文献3】特開昭48−25259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしフィルタープレス等の濾布を使用した濾過装置では、濾布の目詰まりが短時間に起り、該目詰まりを解消するために逆洗等の工程が必要になり、濾過を効率良く行なうことが出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の問題点を解決するための手段として、槽体(2)と、該槽体(2)内上部と下部とに張設されている上側多孔層(3)および下側多孔層(6)と、該槽体(2)下部に設けられている被処理液導入口(4)と、該槽体(2)の上側多孔層(3)より上方に設けられている濾液排出口(5)と、該上側多孔層(3)と該下側多孔層(6)との間に装填されている該被処理液よりも比重が小さい多数の濾材粒子(7)と、該上側多孔層(3)と該下側多孔層(6)との間に挿入されている水噴射パイプ(8)とからなる濾過装置(1)を使用し、沈殿池からの上澄液を被処理液として該上澄液に凝集剤を添加して該上澄液に含まれている粘着性のある泥分Mを凝集させておく。
その状態で上記濾過装置(1)の槽体(2)内に該被処理液導入口(4)を介して該上澄液を導入し、該上澄液の導入によって該多数の濾材粒子(7)を浮上させ、浮上した該多数の濾材粒子(7)は該上側多孔層(3)によって堰止められて該上側多孔層(3)の下側に濾層(7A)を形成する。
該上澄液を該濾層(7A)に通過せしめて該上澄液中に含まれている泥分M凝集物を濾別し、該濾層(7A)の濾材粒子(7)間に詰まっている泥分M凝集物は水流による該濾材粒子(7)間の動きによって該濾層(7A)から分離して下側多孔層(6)上に堆積せしめ、該濾層(7A)の濾材粒子(7)間に泥分M凝集物がある程度詰まって付着してきたら、該水噴射パイプ(8)から該濾層(7A)内に水を噴射して該濾層(7A)の再生を行なう濾過方法を提供するものである。
該濾材粒子(7)は該被処理液よりも比重が小さいプラスチックからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の濾過方法に用いられる濾過装置の濾層は、動くことが出来る濾材粒子から構成されているので、濾過工程中に水流によって該濾材粒子が動くことによって目詰まりが自然に解消され、長時間効率的に濾過を行なうことが出来る。更に、対象被処理水は、沈殿池からの泥水の上澄液に凝集剤を添加したものであるから、該上澄液中の泥分はすべて下側多孔層に効率よく堆積し、抽出される濾液は何等の処理の必要なく、放流することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一具体例の模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一具体例を図1に示す。図に示す濾過装置(1)は、槽体(2)と、該槽体(2)内の上部に張設されているパンチングメタル、網等の上側多孔層(3)と、該槽体(2)の下部に設けられている被処理液導入口(4)と、該槽体(2)において該上側多孔層(3)よりも上方に設けられている濾液排出口(5)と、該槽体(2)内において該上側多孔層(3)の下側に張設されている下側多孔層(6)と、該上側多孔層(3)と該下側多孔層(6)との間に装填されている多数の濾材粒子(7)と、該濾材粒子(7)内に挿入されている水噴射パイプ(8)とからなる。
【0009】
上記濾材粒子(7)は被処理液よりも比重の小さい材料からなり、該被処理液が例えば水の場合は、水の比重1よりも小さいポリスチレン、ポリメチルメタクリレートらのプラスチックを材料とし、粒径は1〜20mm程度に設定される。
【0010】
上記濾過装置(1)の槽体(2)内に沈澱池からの上澄液を被処理液として被処理液導入口(4)を介して導入する。該上澄液には微細な泥分が含有されており、該泥分は粘着性があるので該上澄液には濾過に先立って凝集剤を添加して凝集させておく。槽体(2)内に該上澄液が導入されると、上側多孔層(3)と下側多孔層(6)との間に装填されている多数の濾材粒子(7)が浮上し、該上側多孔層(3)に堰止められその下側に濾層(7A)を形成する。
【0011】
この場合、該濾層(7A)の厚さは通常250〜350mm程度になるような量だけ濾材粒子(7)を装填しておき、そして上側多孔層(3)と下側多孔層(6)との間隔は通常450〜600mm程度に設定しておく。
【0012】
該濾過装置(1)内に導入された上澄液は図1矢印に示すように槽体(2)内を上行して下側多孔層(6)を通過して多数の濾材粒子(7)によって形成されている濾層(7A)内を通過し、その間に該上澄液中に含まれている微細粒子である泥分Mが濾別され、濾液Sは上側多孔層(3)を通過して濾液排出口(5)から排出される。
【0013】
該濾層(7A)を構成する濾材粒子(7)は、水流によって若干動くことが出来、このような濾材粒子(7)の動きによって該濾材粒子(7)間に詰まっている泥分Mは、該濾層(7A)から離れて沈降し、下側多孔層(6)上に堆積する。該泥分Mには濾層(7A)の濾材粒子(7)も若干同伴するが、比重差によって浮上して再び濾層(7A)内に復帰する。
【0014】
該濾層(7A)の濾材粒子(7)間に泥分Mがある程度詰まって付着して来たら、水噴射パイプ(8)から濾層(7A)内に水を噴射して濾層(7A)の再生を行なう。即ち水噴射パイプ(8)から噴射された水によって濾層(7A)内の濾材粒子(7)は動き、その間に詰まっている泥分Mは該濾材粒子(7)から遊離して沈降し、下側多孔層(6)上に堆積する。該下側多孔層(6)上に堆積した泥分Mは、上方より圧力水を吹付けて強制的に槽体(2)底部に落とし、該槽体(2)底部に堆積した泥分Mはバキューム等で取除く。
【0015】
該濾層(7A)の濾材粒子(7)にある程度の量泥分Mが付着し、水噴射によっても除去しにくくなったら、濾過工程を中断して上側多孔層(3)を槽体(2)から取はずし、濾材粒子(7)を取出して更新するか、あるいは該濾材粒子(7)を洗浄する。
【0016】
本発明は上記具体例によって限定されるものではなく、例えば該下側多孔層(6)に開閉可能な窓を設けておき、該下側多孔層(6)上に堆積した泥分Mを該窓を開いて槽体(2)底部に落としてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1. 濾過装置
2. 槽体
3. 上側多孔層
4. 被処理液導入口
5. 濾液排出口
6. 下側多孔層
7. 濾材粒子
7A. 濾層
8. 水噴射パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体と、
該槽体内上部と下部とに張設されている上側多孔層および下側多孔層と、
該槽体下部に設けられている被処理液導入口と、
該槽体の上側多孔層より上方に設けられている濾液排出口と、
該上側多孔層と該下側多孔層との間に装填されている該被処理液よりも比重が小さい多数の濾材粒子と、
該上側多孔層と該下側多孔層との間に挿入されている水噴射パイプと
からなる濾過装置を使用し、
沈殿池からの上澄液を被処理液として該上澄液に凝集剤を添加して該上澄液に含まれている粘着性のある泥分を凝集させておき、
その状態で上記濾過装置の槽体内に該被処理液導入口を介して該上澄液を導入し、
該上澄液の導入によって該多数の濾材粒子を浮上させ、
浮上した該多数の濾材粒子は該上側多孔層によって堰止められて該上側多孔層の下側に濾層を形成し、
該上澄液を該濾層に通過せしめて該上澄液中に含まれている泥分凝集物を濾別し、
該濾層の濾材粒子間に詰まっている泥分凝集物は水流による該濾材粒子間の動きによって該濾層から分離して下側多孔層上に堆積せしめ、
該濾層の濾材粒子間に泥分凝集物がある程度詰まって付着してきたら、該水噴射パイプから該濾層内に水を噴射して該濾層の再生を行なう
ことを特徴とする濾過方法。
【請求項2】
該濾材粒子は該被処理液よりも比重が小さいプラスチックからなる請求項1に記載の濾過方法。


【図1】
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【公開番号】特開2009−178714(P2009−178714A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116276(P2009−116276)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【分割の表示】特願平9−28394の分割
【原出願日】平成9年1月27日(1997.1.27)
【出願人】(393018668)
【出願人】(593074042)株式会社ムラカム (1)
【Fターム(参考)】