説明

濾過膜、膜モジュールおよび水処理装置

【課題】不純物の除去精度を向上させることのできる濾過膜、膜モジュールおよび水処理装置を得る。
【解決手段】原水を濾過する複数の細孔3が設けられた中空糸膜(膜本体)1と、中空糸膜1の外表面(表面)8に予め付着させて積層させることにより、原水中の不純物を除去する粒子層と6を備えた濾過膜10を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道水等の原水中に含まれた不純物を除去する濾過膜、膜モジュールおよび水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浄水構造として、比重の異なる活性炭を層状に充填して濾床を形成し、この濾床に原水を透過させることで、当該原水中に含まれた不純物を除去するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−071081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、単に比重の異なる活性炭を層状に積層させる構成では、不純物の種類によっては活性炭に吸着されないものもあるため、不純物を除去する精度が低いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、不純物の除去精度を向上させることのできる濾過膜、膜モジュールおよび水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、原水を濾過する複数の細孔が設けられた膜本体と、前記膜本体の表面に予め付着させて積層させることにより、原水中の不純物を除去する粒子層とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、前記粒子層は、前記膜本体の表面に積層される第1の粒子層と、当該第1の粒子層の表面に積層される第2の粒子層とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、前記第1の粒子層はカーボン粒子で構成されるとともに、前記第2の粒子層はイオン交換樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3のうち何れか1項に記載の前記濾過膜を、吸入口および吐出口を有した容器の内部に収納させて一体化したことを特徴とする膜モジュールである。
【0010】
請求項5の発明にあっては、原水を導入して少なくとも浄化した浄水を得る請求項4に記載の前記膜モジュールを用いたことを特徴とする水処理装置である。
【0011】
請求項6の発明にあっては、導入された原水を前記膜モジュールの上流側から当該膜モジュールに導水可能な第1水路と、前記第1水路に接続して設けられるとともに、導入された原水を前記膜モジュールの下流側から当該膜モジュールに導水可能な第2水路と、前記第1水路と前記第2水路との分岐点に設けられて、当該第1水路および第2水路のいずれか一方に原水を導水させる水路切替手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置である。
【0012】
請求項7の発明にあっては、前記膜モジュールの上流側には、前記水路切替手段により前記第2水路に原水を導水して前記膜モジュールを逆洗浄した際に、当該膜モジュールの濾過膜に付着した粒子を回収可能な粒子回収手段が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の水処理装置である。
【0013】
請求項8の発明にあっては、前記膜モジュールには、前記粒子層を通電可能な電極が設けられていることを特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項に記載の水処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、複数の細孔が設けられた膜本体と前記膜本体の表面に予め付着させて積層させることにより、原水中の不純物を除去する粒子層とを備えた濾過膜を用いることで、粒子層で不純物を吸着することができる上、膜本体で不純物を濾過することができるようになるため、不純物の除去精度を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、粒子層は膜本体の表面に積層される第1の粒子層と当該第1の粒子層の表面に積層される第2の粒子層とを備えるため、不純物のターゲットに応じて粒子層を異ならせることで原水中に含まれる様々な種類の不純物を除去することが可能な多機能膜とすることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1の粒子層はカーボン粒子で構成されるとともに、第2の粒子層はイオン交換樹脂で構成されているため、原水中に含まれた重金属イオンを確実に除去することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、上記作用効果を奏する膜モジュールを得ることができるとともに、モジュール化することで濾過膜の点検や交換を容易に行うことができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、上記作用効果を奏する膜モジュールを用いた水処理装置を得ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、膜モジュールを逆洗浄する構成の水処理装置を容易に得ることができるとともに、膜モジュールを逆洗浄することで不純物が付着した濾過膜を再使用することができ、膜モジュールの長寿命化を図ることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、粒子回収手段により膜モジュールの濾過膜に付着された粒子を回収できるため、当該粒子を再利用して水処理装置のコストを低減させることができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、膜モジュールには粒子層を通電可能な電極が設けられているため、特に粒子層に帯電させたイオン交換樹脂を用いた場合には、当該イオン交換樹脂が不純物の吸着に伴い失った電荷を補うことができるため、不純物の除去精度ならびに膜モジュールの性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる水処理装置を示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる膜モジュールを示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる濾過膜を示した模式図であり、(a)は膜本体の表面に粒子層を積層させた状態を示した図、(b)は原水を濾過膜で濾過する通常時を示した図、(c)は膜モジュールの下流側から水を逆流させて濾過膜の洗浄を行う逆洗浄時を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる水処置装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
図1〜図3は本発明の第1実施形態を示した図であり、図1は水処理装置を示した構成図、図2は膜モジュールを示した図、図3は濾過膜を示した模式図であり、(a)は膜本体の表面に粒子層を積層させた状態を示した図、(b)は原水を濾過膜で濾過する通常時を示した図、(c)は膜モジュールの下流側から水を逆流させて濾過膜の洗浄を行う逆洗浄時を示した図である。
【0025】
まずは、図1を参照して本実施形態にかかる水処理装置の概略構成について説明する。
【0026】
本実施形態の水処理装置100は、図示しない導水ポンプによって導かれた原水を一時貯水する原水槽21と、原水槽21内の原水を膜モジュール20に供給する原水ポンプ22と、原水ポンプ22によって導かれた原水を濾過する膜モジュール20と、膜モジュール20で濾過した処理水を貯水する処理水槽23とを備えており、これらの部材が水路25によって接続されている。なお、図中V1〜V4は各水路25に設けられたバルブであり、図示せぬ制御部に接続されている。
【0027】
この水路25は、原水槽21内の原水を膜モジュール20で濾過する通常時に、原水槽21から原水ポンプ22を介して膜モジュール20の上流側から当該膜モジュール20に導水可能な第1水路25aと、この第1水路25aに接続して設けられるとともに、原水を原水ポンプ22を介して膜モジュール20の下流側から当該膜モジュール20に導水可能な第2水路25bとを備えている。
【0028】
かかる構成の本実施形態の水処理装置100では、通常時には第1水路25aと第2水路25bとの分岐点に設けられたバルブV2の第1水路25a側を開け、原水ポンプ22の加圧によって原水がバルブV3を介して膜モジュール20の吸入口12に導入される。そして、膜モジュール20の濾過膜10で原水が濾過され、濾過された処理水が膜モジュール20の吐出口13からバルブV4を介して処理水槽23に送られる。
【0029】
そして、予め設定された周期などによって、原水を膜モジュール20の下流側から逆流させて濾過膜10の洗浄を行う。
【0030】
濾過膜10の逆洗浄時には、第1水路25aと第2水路25bとの分岐点に設けられたバルブV2の第2水路25b側を開け、原水ポンプ22の加圧によって原水がバルブV4を介しての膜モジュール20の吐出口13に導入される。そして、膜モジュール20の濾過膜10が原水で洗浄され、洗浄された排水が膜モジュール20の吸入口12からバルブV3を介して排出される。
【0031】
すなわち、本実施形態では、第1水路25aと第2水路25bとの分岐点に設けられたバルブV2が水路切替手段として機能することとなり、図示せぬ制御部からの信号を受けて原水を濾過する通常時と濾過膜10を洗浄する逆洗浄時とで、第1水路25aと第2水路25bに対する水路25の切替を行っている。
【0032】
また、本実施形態では、膜モジュール20の上流側には、詳細を後述する濾過膜10に積層された粒子を回収する粒子回収手段30が設けられており、前述したバルブV2によって濾過膜10が逆洗浄された排水は、この粒子回収手段30に送られるようになっている。粒子回収手段30は、濾過膜10に積層されていた粒子と排水に含まれた不純物とを分離して粒子を回収し、当該回収した粒子を第3水路25cを介してバルブV1に送り、膜モジュール20の濾過膜10に再度積層させて利用することができるようになっている。
【0033】
なお、粒子回収手段30による粒子の回収方法としては、積層される粒子の種類や水質によって、例えば粒子径に適したフィルター、比重差による分離、電気的分離、電磁石による回収など適宜に変更することが可能である。また、濾過膜10を逆洗浄する回数や予め設定された周期などによって劣化した粒子は回収せず排水して、新しい粒子を積層させるようにしてもよい。
【0034】
以上のように、本実施形態の水処理装置100では、原水を膜モジュール20の上流側から導水可能な第1水路25aと、膜モジュール20の下流側から導水可能な第2水路25bと、第1水路25aと第2水路25bとの分岐点に設けられて、当該第1水路25aおよび第2水路25bのいずれか一方に原水を導水させる水路切替手段としてのバルブV2とを備える構成であるため、膜モジュール20を逆洗浄する構成の水処理装置100を容易に得ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、粒子回収手段30により膜モジュール20の濾過膜10に付着された粒子を回収できるため、当該粒子を再利用して水処理装置100のコストを低減させることができるという利点もある。
【0036】
なお、本実施形態では、濾過膜10の逆洗浄時に原水を利用して逆洗浄を行う構成としたが、例えば処理水槽23に貯留された処理水や、洗浄用の浄化水を用いて逆洗浄を行う構成としてもよい。
【0037】
次に、図2、図3を参照して本実施形態にかかる膜モジュール20について詳しく説明する。
【0038】
本実施形態の膜モジュール20は、原水を濾過する濾過膜10と、吸入口12および吐出口13を有して濾過膜10を内部に収容させた円筒状のケーシング(容器)18とを備えている。
【0039】
濾過膜10は、原水を濾過する複数の細孔3が設けられた膜本体を備えていて、本実施形態では、この膜本体として細いストロー状の中空糸膜1を用いており、この中空糸膜1が多数束ねられて略U字状に湾曲させた状態で収容されている。ケーシング18の吸入口12から中空糸膜1の膜壁7を通過して膜内に透過した原水は、膜内を通って集水部15に流出し、吐出口13からバルブV4を介して処理水槽23に送られる。原水が中空糸膜1の膜壁7を通過する際に、原水に含まれる不純物が濾過されるものである。
【0040】
ここで、本実施形態では、この中空糸膜1の膜壁7の外表面(表面)8に、原水中の不純物を除去する粒子層6を予め付着させて積層させることにより濾過膜10を構成している。
【0041】
具体的には、図3(a)に示すように、濾過膜10の粒子層6は、中空糸膜1の外表面8に細孔3よりも粒径の大きなカーボン粒子を積層して形成したカーボン粒子層4(第1の粒子層)と、当該カーボン粒子層4の表面に、例えばNa等のアルカリ金属形交換基を有する陽イオン交換樹脂の粒子を積層して形成したイオン交換樹脂層5(第2の粒子層)とを備えて構成されている。
【0042】
本実施形態では、複数の細孔3が設けられた膜本体としての中空糸膜1に当該細孔3よりも粒径の大きいカーボン粒子が入った溶液を通水することでカーボン粒子を中空糸膜1上に積層してカーボン粒子層4を形成し、その後、カーボン粒子よりも粒径の小さい陽イオン交換樹脂の粒子を混合した溶液を通水することで陽イオン交換樹脂の粒子をカーボン粒子層4上に積層してイオン交換樹脂層5を形成している。
【0043】
このように、中空糸膜1上にカーボン粒子を積層するとともに、カーボン粒子層4上に陽イオン交換樹脂の粒子を積層することで、中空糸膜1の細孔3よりも小さい細孔を有する濾過膜10を形成している。なお、この濾過膜10の細孔径は、積層する粒子サイズや、積層する厚みを制御することにより適宜に設定することが可能である。
【0044】
かかる構成の濾過膜10を用いて原水を濾過すると、図3(b)に示すように、原水中に存在する藻類やコロイダルに集合した性状をした有機物9を濾過できるだけでなく、通常の中空糸膜1では濾過されなかった中空糸膜1の細孔3よりも小さい汚れも濾過できるようになる。さらに、活性炭に吸着されない鉛などの溶解性の重金属イオン11については、原水がイオン交換樹脂層5を通過する際に原水とイオン交換樹脂層5との間でイオン交換を行い、ナトリウムイオンを重金属イオン11に置き換えることで捕捉することができる。すなわち、イオン交換樹脂層5を形成することで原水中に溶解している重金属イオン11を除去することができる。
【0045】
そして、上述したように、予め設定された周期などによって、膜モジュール20の下流側から原水を逆流させて濾過膜10の洗浄を行うと、図3(c)に示すように、濾過膜10に積層されていたカーボン粒子および陽イオン交換樹脂の粒子が濾過膜10から剥離するとともに、濾過膜10によって捕捉していた不純物がカーボン粒子および陽イオン交換樹脂の粒子から分離する。そして、粒子回収手段30(図1参照)によってカーボン粒子および陽イオン交換樹脂の粒子と排水に含まれた不純物とを分離して、カーボン粒子および陽イオン交換樹脂膜の粒子を回収し、当該回収したカーボン粒子および陽イオン交換樹脂の粒子をバルブV1に送り、膜モジュール20の中空糸膜1に再度積層させて利用することができるようになっている。このとき、陽イオン交換樹脂の粒子を食塩水等の塩溶液に通水させて再生し、陽イオン交換樹脂として再利用できるようにするのが好適である。
【0046】
以上、詳細に説明してきたように、本実施形態では、原水を濾過する複数の細孔3が設けられた中空糸膜(膜本体)1と、中空糸膜1の外表面8に予め付着させて積層させることにより、原水中の不純物を除去する粒子層6とを備えた濾過膜10を用いて膜モジュール20を構成している。そのため、中空糸膜1に積層された粒子層6で原水中の不純物を吸着することができる上、中空糸膜1で不純物を濾過することができるようになるため、不純物の除去精度を向上させることができる。
【0047】
また、粒子層6を中空糸膜1の外表面8に積層させるだけなので、不純物の除去精度を向上させることのできる濾過膜10を容易に得ることができる。
【0048】
また、濾過膜10の粒子層6は、中空糸膜1の外表面8に積層される第1の粒子層4と当該第1の粒子層4の表面に積層される第2の粒子層5とを備えるため、不純物のターゲットに応じて粒子層を異ならせることで原水中に含まれる様々な種類の不純物を除去することが可能な多機能膜とすることができ、本実施形態では、第1の粒子層4はカーボン粒子で構成されるとともに、第2の粒子層5はイオン交換樹脂で構成されているため、原水中に含まれた重金属イオン11を確実に除去することができる。
【0049】
また、本実施形態では、このような濾過膜10をケーシング(容器)18の内部に収納させて一体化することで膜モジュール20を構成しているため、濾過膜10の点検や交換を容易に行うことができるとともに、濾過膜10に粒子層6を容易に積層させることができるという利点もある。
【0050】
なお、本実施形態では、濾過膜10の膜本体として細いストロー状の中空糸膜1を用いたが、これに限定されず、例えばスパイラル膜やチューブラー膜、平膜を用いてもよい。そして、これらの膜の種類としては、MF膜(精密濾過膜)やUF膜(限外濾過膜)、NF膜を用いることが可能である。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図4は本実施形態にかかる水処置装置を示した図である。
【0052】
本実施形態にかかる水処理装置100Aは、上記第1実施形態にかかる水処理装置100に対して、膜モジュール40が異なっている。
【0053】
具体的には、本実施形態では、濾過膜10を構成するイオン交換樹脂層の替わりに、イオン交換樹脂をマイナスに帯電させて形成したイオン性樹脂をカーボン粒子層4の表面に積層させてイオン性樹脂層とするとともに、濾過膜10の上流側と下流側に電極17、18を設け、電源装置50によってイオン性樹脂層が連続または断続的に通電されるようにした。
【0054】
水中の汚れや水中に溶解している重金属イオン11は、基本的にプラスに帯電しているため、この濾過膜10を用いた場合、これらの汚れや重金属イオン11がマイナスに帯電しているイオン性樹脂に引きつけられ、このイオン性樹脂に吸着されることで除去される。ただし、汚れや重金属イオン11の吸着が進むと、重金属イオン11とイオン性樹脂との間で電荷の移動が行われてイオン性樹脂層の総電荷量が減少していき、やがて、飽和状態となって電荷を帯びていない状態になってしまう。このように、イオン性樹脂による重金属イオン11の除去能力は水を濾過するにつれて徐々に低下していくが、本実施形態では、電源装置50によってイオン性樹脂層を通電し、当該イオン性樹脂層に電荷を供給できるようにすることで、再びイオン性樹脂層をマイナスに帯電させて再利用できるようにしている。
【0055】
したがって、本実施形態では、濾過膜10が物理的に閉塞してしまうまで、水中の重金属イオン11の除去が可能となる。
【0056】
また、電極17、18のプラスとマイナスを反転させた状態でイオン性樹脂層を通電できるようにし、例えば、濾過膜10が物理的に閉塞した場合に、イオン性樹脂層をプラスに帯電させるようにすれば、プラスに帯電したもの同士の反発力によって重金属イオン11とイオン性樹脂とを剥離させることができるようになる。
【0057】
さらに、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に水路切替手段(バルブV2)を設けているため、濾過膜10の逆洗浄を行う際に、電極17、18のプラスとマイナスを反転させた状態でイオン性樹脂層を通電させれば、逆洗浄による物理的な洗浄に加えて電気反発力による洗浄も行うことができ、より効果的に、濾過膜10の洗浄を行うことができる。
【0058】
また、濾過膜10に積層された粒子を回収する粒子回収手段30も設けられており、逆洗浄された排水を粒子回収手段30に送り、濾過膜10に積層されていた粒子と排水に含まれた不純物とを分離して粒子を回収し、当該回収した粒子を濾過膜10に再度積層させて利用することができる。
【0059】
したがって、本実施形態の濾過膜10によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、粒子層として、重金属イオンを除去する陽イオン交換樹脂を例示したが、この粒子層は、除去しようとする物質に応じて適宜変更することが可能であり、例えば、陰イオン交換樹脂を積層することで、アンモニウムイオン等、陰イオン性の物質を除去するようにしてもよいし、シリカ粒子を積層することで、シリカコロイドを除去するようにしてもよい。また、上記実施形態では、粒子を混合した溶液を通水させることで当該粒子を中空糸膜(膜本体)に積層させているが、重力や圧力を利用して積層させたり、電気化学的に積層させたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 中空糸膜(膜本体)
3 細孔
4 カーボン粒子層
5 イオン交換樹脂層
6 粒子層
10 濾過膜
25a 第1水路
25b 第2水路
100 水処理装置
V1 バルブ(水路切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を濾過する複数の細孔が設けられた膜本体と、
前記膜本体の表面に予め付着させて積層させることにより、原水中の不純物を除去する粒子層と
を備えることを特徴とする濾過膜。
【請求項2】
前記粒子層は、
前記膜本体の表面に積層される第1の粒子層と、
当該第1の粒子層の表面に積層される第2の粒子層と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の濾過膜。
【請求項3】
前記第1の粒子層はカーボン粒子で構成されるとともに、前記第2の粒子層はイオン交換樹脂で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の濾過膜。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか1項に記載の前記濾過膜を、吸入口および吐出口を有した容器の内部に収納させて一体化したことを特徴とする膜モジュール。
【請求項5】
原水を導入して少なくとも浄化した浄水を得る請求項4に記載の前記膜モジュールを用いたことを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
導入された原水を前記膜モジュールの上流側から当該膜モジュールに導水可能な第1水路と、
前記第1水路に接続して設けられるとともに、導入された原水を前記膜モジュールの下流側から当該膜モジュールに導水可能な第2水路と、
前記第1水路と前記第2水路との分岐点に設けられて、当該第1水路および第2水路のいずれか一方に原水を導水させる水路切替手段と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記膜モジュールの上流側には、前記水路切替手段により前記第2水路に原水を導水して前記膜モジュールを逆洗浄した際に、当該膜モジュールの濾過膜に付着した粒子を回収可能な粒子回収手段が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記膜モジュールには、前記粒子層を通電可能な電極が設けられていることを特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−214235(P2010−214235A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60999(P2009−60999)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】